527 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 10:57:17.92 ID:x/EGXoBTO


このまま電車に乗れば 二度と会えない気がして────




 ──( ^ω^)Never More のようです──





528 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:00:53.34 ID:x/EGXoBTO

4ヶ月、たったそれだけの時間だった
僕はその時間を、この町で過ごした
何の変哲もない、小さな小さな町
おぼろげな記憶にしかなかった、異郷の地


(,,゚Д゚)「いろいろ世話になったな」

無骨で不器用な友人
世話をした覚えはない
むしろ、お世話になりっぱなしだった
町のこと、学校のこと
彼がいたから僕はこの町の、皆の一部になれた




530 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:03:57.34 ID:x/EGXoBTO

(,,^Д^)「またこいよ、ゴルァ」

彼はいつも真っ直ぐだった
嘘偽りなく、正面からぶつかって来た
僕には到底持ち得ない、彼の強さ
不器用な彼らしい、ぎこちない笑顔
それはとても眩しかった




532 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:07:07.21 ID:x/EGXoBTO

僕は、自分が普通の人間だと思ってた
勉強も運動も普通に出来た
人付き合いも問題なく、家庭も至って円満
特別に努力をしたわけでもなく、ごくごく当たり前のように僕はいた


川 ゚ -゚)「お前がいなくなると寂しくなるな」

冷静沈着な友人
いつも通りの淡々とした口調
彼女にとっては、この場面も日常の1コマに過ぎないのかもしれない
彼女にとって、僕がこの町に来たことは、単なる日常として消化されて
彼女にとって、僕がこの町を出ることも、単なる日常として消化される

川 ゚ -゚)「まあ、ほんの少しだけだけどな」

僕がいる日常、僕がいない日常、きっと彼女は何事もなかったように折り合いをつける
冷たいというわけではなく、いつも自分というものを崩さないのが彼女なのだ
決して長いとはいえない付き合いだけど、僕にはそれがわかっている
寂しいと言ってもらえたことが、なんだか嬉しく感じられる


533 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:09:26.12 ID:x/EGXoBTO

川 ゚ー゚)「また会おう」

いつも通りの淡々とした口調、だけどいつもとは違う彼女
ほんの少しだけ上がった口元に、僕も微笑み返す
僕がいる日常は、終わりを告げたのではなく
僕がいる日常はまだ続いていくらしい




534 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:13:07.97 ID:x/EGXoBTO

どこかで糸が切れた
自分では気付かぬ内に、幾重にも張り巡らせていた均衡の糸
このままこのままを続けることは、きっと簡単だった
きっと僕にはそれが出来た
日常をこなすこと、僕が僕でいる役割を果たすこと
生まれてきて、そして死ぬこと


( ´Д`)「ホントに帰っちゃうモナ?」

無邪気で純粋な友人

('A`)「何でお前がそんなに泣いてんだよ……」

斜に構えるが本当は人情味豊かな友人



535 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:16:12.22 ID:x/EGXoBTO

( ;Д;)「ホントにホントに帰っちゃうモナ?」

彼はいつも一瞬一瞬に全力で、今を生きている
疑わことを知らず、人を信じてる
楽しい時に笑い、悲しいときに泣く
子供のような彼を、みんなはからかい、そして愛している

('A`)「まあ、この面子で泣きそうなのはお前ぐらいか」

いつも口をつくのは憎まれ口
ことあるごとに不平、皮肉のオンパレード
その後に彼が取る行動は、いつも言葉とは正反対
彼は生粋の天邪鬼
仲間思いの天邪鬼

( ´∀`)「また来るモナ、絶対、ぜっっったいまた来るモナ!!!」
('A`)「この馬鹿がうるせーからさ、まあ、暇があったら…、な?」

なだめる彼、泣きやむ彼
毎日のように繰り広げられてきた二人の掛け合い
明日から僕は見ることはない
でもきっと、僕が見ていなくても、彼らは変わることはないだろう



536 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:19:48.38 ID:x/EGXoBTO

( ´∀`)「またね〜モナ」
('A`)「じゃあ、またな…」

満面の笑みと、どこか皮肉めいた笑み
いつものような対照的な笑みから告げられた同じ言葉
僕はきっと、ここにいられたことが幸せだったんだろう





537 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:23:59.52 ID:x/EGXoBTO

僕は自分がいらない存在だと思っていた
僕1人がいなくても、世界は回り、皆は変わらず生きていく
悲しむ家族はいたし、悲しむ友達もいた
それでも僕は、自分を見つけられず、世界から切り離そうとした


ξ゚听)ξ「もうお別れか…」

僕は彼女が好きだった
情けない僕を、歯に衣着せない物言いでフルボッコにする彼女
情けない僕を、リアル鉄拳制裁でフルボッコにする彼女
……あれ? フルボッコにされた記憶しかなくね?

ξ゚听)ξ「4ヶ月、長いようで短かったわね」

彼女と話していると、グダグダと悩んでた自分が馬鹿らしくなれた
やりたくないならやならきゃいい、やりたきゃやれ
そこに正しい理由があるなら応援する
ないならフルボッコ
物事なんて、そんなきっちり分けられない
けれど、そんなに複雑に考えてもしょうがない




538 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:26:56.35 ID:x/EGXoBTO

ξ゚听)ξ「最初の頃のあんた、どうしようもないほどグズだったけど…」

芯を持て
自分を持て
自分らしく生きろ
……どこのお師匠様ですか?

ξ゚听)ξ「少しはマシになったみたいね」

よくわからない
僕は本当に強くなれたのだろうか?
昔の僕よりはマシで、普通の人よりはダメな程度だったらどうしよう?

ξ゚听)ξ「…あんたみたいなのでも、いなくなるとちょっとは物足りないかもね」

それでも僕は、僕として生きていくしかない
僕は、今ここにいる僕しかいなくて
僕はそれが持ち得る全てで
僕はそれだけを抱えて、ここから1人で歩かなきゃいけない
僕は足を踏み出す





539 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 11:28:56.19 ID:x/EGXoBTO

ξ--)ξ「ま、もう会えないってわけじゃないしね…」

このまま電車に乗れば────

ξ゚听)ξ「早く乗んなさいよ、電車、出ちゃうわよ?」

このまま電車に乗れば二度と会えない気がして────
僕は突然沸いた不安に足を止め、背中越しに彼女を見る

ξ゚ー゚)ξ「またね」

彼女は軽く微笑んで、僕の背中をそっと押してくれた
またね
別れの言葉、同時に再会を約束する言葉



541 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 12:00:40.51 ID:x/EGXoBTO

僕は自分がいらない存在だと思っていた
そんな僕の為に、自分の時間を費やしてくれた人達がいる
だから僕は、いらない存在じゃない
逆説的な答えを、当てはめてみる
そんな答えなら、最初から存在していた
僕を生み、育ててくれた両親
共に学び、汗を流し、遊んだ友人
僕のいる世界は、ちゃんとそこにあったのだから


僕は、僕自身が壊したもう1つの日常に帰る
大丈夫
押された背中が、少し暖かい
僕は足を踏み出す
踏み出した先はゴールであり、スタート地点
この地に別れを告げ、僕は明日へ向かう


542 :( ^ω^)Never More のようです:2008/10/14(火) 12:05:37.26 ID:x/EGXoBTO

僕は電車に乗り、笑顔で振り向く
僕が言うべき最後の言葉はもう決まっている


( ^ω^)「またね、だお」



(,,゚Д゚)ノシ
川 ゚ー゚)ノシ
( ´∀`)ノシ
('A`)ノシ
ξ゚ー゚)ξノシ


( ^ω^)ノシ



 ──( ^ω^)Never More のようです 終──




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