3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:30:35.70 ID:ZsjzPLsu0

( ><)[+□÷] ピコピコ

( <●><●>)「ビロード、歩きながらのゲームは危ないですよ?」

( ><)「わかってるんです。もう止めるんです」

( <●><●>)「随分と聞きわけがいいですね。珍しい」

( ><)「このゲーム、もう飽きちゃったんです」

( <●><●>)「それは最近買ったばかりではありませんでしたか? 何とかモンスター?」

( ><)「バケットモンスター、略してバケモンなんです」

( ><)「人気シリーズの最新版なんですけど、モンスターが増えただけで前とそんなに変わんないんです」

( <●><●>)「それはある意味人気シリーズの宿命のようなものですね」

( <●><●>)「下手に大きく変えると、前のシリーズのファンが離れてしまう可能性を秘めていますからね」

( <●><●>)「無難な所で手堅くまとめ、早めに出し、従来のファンに惰性で買ってもらう事を期待したのでしょう」



4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:32:25.58 ID:ZsjzPLsu0

( ><)「ワカッテマス君、ゲームやらない割には詳しいんです」

( <●><●>)「その辺りは一般常識の範囲ですよ」

( ><)「そうなんですか? よくわかんないんです」

( ><)「……あーあ、もっと面白いゲームがやりたいんです」

( ><)「もっと斬新なアイデアで、今までにないようなゲームがいいんです」

電柱|A`)「フッフッフ、話は聞かせてもらったよ」

( ><)テクテク

( <●><●>) スタスタ

(;'A`)「え……、あの、ちょっと、ナチュラルにスルーしないでくれるかな?」

( <●><●>)「見るからに怪しい人に声をかけられたので無視したまでです」

( ><)「怪しいんです」



6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:34:56.63 ID:ZsjzPLsu0

(;'A`)「あ、いや、私は決して妖しいものじゃなくてだね……、ほら、君達がゲームがどうとか話してたからね……」

( <●><●>)「自分で自分のことを怪しいと言う人などいないのはわかってます」

(;'A`)「いやね、私はとあるゲーム会社の営業をしていてだね、実は今、開発中の新製品のモニターを探してたとこなんだよ」

(*><)「ゲーム会社の人なんですか!? すごいんです!」

( <●><●>)「なるほど、話の流れからすると、我々にそれをやってみないかと言いたいのですね」

('A`)「そうそう、話が早くて助かるよ」

('A`)「先程の話を聞かせてもらった限りでは、君達は従来のゲームに飽きかけてる所みたいじゃないか?」

( ><)「そうなんです。最近のゲームはどれも似たようなものばっかりで面白くないんです」

( <●><●>)「私はゲームはやらないのですが、開発途中のゲームがどんなものか興味はありますね」

(*'A`)「そうかいそうかい、それは良かった。では早速、ちょっとやってみるかい?」

( ><)「はいなんです!」

(*><)[+□÷] カチッ



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:37:19.16 ID:ZsjzPLsu0

 <('A`)ドクオはモンスター>



    PUSH スタートゥ




(;><)「ドクオって誰なんです!?」

('A`)「ドクオは私だが、どうかしたかな?」

(;><)「おじさんがドクオさんなんですか? このタイトル、何なんですか?」

('A`)「ああ、そのタイトルかい? “ドクオはモンスター”、略して“ドクモン”だよ」

( <●><●>)「なかなか語呂が良くて覚えやすい略称ですね」

(*'A`)「だろ? 私もいい名前だと思ってるんだ」



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:38:27.76 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「語呂はともかく、こんな名前でいいんですか? これだと、ドクオさんがモンスターみたいなんです!」

('A`)「ああ、確かに、名前に関しては少し気になってはいた……」

('A`)「私がこうも前面に来ていいものかと」

(;><)「そっち!?」

(*'A`)「だが、開発の皆がどうしてもと言うものでね。この方が絶対インパクトがあると。タイトルを飾るのはドクオさんしかいないと」

( <●><●>)「なるほど。開発の方々に慕われてるのですね、ドクオさんは」

(*'A`)「フフフ、よしてくれよ、照れるじゃないか」

(;><)「タイトルの意味考えると、これ、どっちかと言えば嫌われてません?」

(*'A`)「私を全面に渡ってフィーチャーしてくれてるんだ。営業冥利に尽きるね」

( <●><●>)「そんな事よりビロード、ゲームを初めてみましょう。私はタイトルでこの先が気になって仕方がありませんよ」

(;><)「気になるっちゃー気になりますが……」



12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:40:59.35 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「そういえば、君達は先程バケットモンスターの話しをしていたよね? 好きなのかな?」

(*><)「はいなんです! モンスター育てて戦わせるゲームは大好きなんです!」

('A`)「それは良かった。この、ドクモンもいわゆる王道の育てゲーで、モンスターを育てて戦わせていくゲームだよ」

( <●><●>)「なるほど。ですが、先程のタイトルからしてこのゲームは一味違うという事なんですね?」

(*'A`)「君は察しが良いね。そう、このゲームは新機軸に挑戦した、漢気溢れる仕様になってる」

(*><)「よくわからないけど、面白そうなんです! 早速始めるんです」 ポチッ

('A`)「さあ、まずは主人公を選んでみようか。主人公は3人の中から選べるようになってる」

(*><)「ふむふむ」

('A`)「それぞれに重厚な設定が用意され、魅力的なキャラになってると思うよ」

( <●><●>)「ほほう、それはそれは。では、一人目は……」



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:42:23.80 ID:ZsjzPLsu0

(,,゚Д゚)
なまえ   :ギコ
しょくぎょう :ほうろうのきし
ぶき    :はがねのたいけん

しょこくを たびする ほうろうのきし。
ぶらいな たいどのなかに みえかくれする きひんから
もとは こうきな いえがらではと うわさされる

とくいぶきは みのたけほどもある はがねのたいけん
どんなてきも まっぷたつにする


(*><)「かっこいいんです!」

('A`)「そうだろ? 主人公にしては渋めだが、そのワイルドさが受けると思うんだ」

('A`)「もちろん、名前は自由に変えられるから自分の名前を入れたりも出来るよ」

( <●><●>)「これは期待が高まりますね。では、二人目は……」



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:44:28.62 ID:ZsjzPLsu0

( ・∀・)
なまえ   :モララー
しょくぎょう :いにしえのもりのたみ
ぶき    :かりうどのゆみ

ほろぼされた いにしえのもりの いきのこり
もりをほろぼした なにものかを おうとともに
もりのたみの いきのこりを さがす

とくいぶきは しなやかなつくりの かりうどのゆみ
どんなてきも ねらいうつ


(*><)「こっちもかっこいいんです!」

('A`)「いわゆる二枚目クール系だね。女の子に人気が出そうなキャラだ」

( <●><●>)「確かにいいチョイスですね」

( ><)「あ、このゲーム、ファンタジー路線なゲームなんですか? それだけでもバケモンとはだいぶ違うんです」



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:45:48.51 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「いいところに目をつけたね。半分正解で半分不正解だ」

('A`)「彼ら二人は、ファンタジー世界の住人、最後の一人は我々と同じ世界の住人という設定だ」

('A`)「そして彼ら三人が、それぞれの世界とは全く違う、“ドクドクワールド”に迷い込んだ所からお話が始まるんだ」

( <●><●>)「随分と凝った設定ですね」

(;><)「ドクドクワールドがちょっとダサいけど、面白そうではあるんです」

('A`)「そして、ドクドクワールドは少し未来の世界という設定なので、色々な技術が発達している」

( ><)「近未来ものですね、用語とか難しそうなんです」

('A`)「その辺は大丈夫、簡単に説明すれば、世界観はバケモンのパクりだからすぐ理解できるよ」

(;><)「それ、営業の人が言っちゃっていいんですか!?」

('A`)「ん? どこかわかり辛い所があったかな?」



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:49:19.22 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「すごいわかりやすかったんです」

( <●><●>)「このビロードに簡単に理解させるとは、ドクオさんの営業手腕は確かなものですね」

(*'A`)「フフフ、よしてくれよ、照れるじゃないか」

(;><)「それでいいんですか?」

('A`)「言葉は伝えられてこそ、だからね」

(-A-)「中にはやたらと難しい言葉を使いたがる人もいるけど、簡単な言葉でわかりやすく伝えるのが営業の仕事だよ」

( <●><●>)「含蓄深いお言葉ですね」

(;><)「色々間違ってる気もしますけど、取り敢えず、三人目を見てみるんです」

('A`)「三人目は我々の世界の人間という設定だね。なるだけリアルな感じを追及したみたいだよ」



22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:51:24.52 ID:ZsjzPLsu0

(*゚ー゚)
なまえ   :しぃ
しょくぎょう :じょしこうせい
ぶき    :えいけん3きゅう

ひるはOL よるはホステス
このせいかつを なんとか かえようと くしんするも げんじつに だきょうしてしまう
じぶんのよわさから ぬけだせないでいる はなもはじらう みそじまえ

いまどき えいけん3きゅうていどでは ぶきにならない
ネタとしての つかみもイマイチなもの


(;><)「微妙にリアルなの来ちゃったんです!」

( <●><●>)「職業が“じょしこうせい”となってますが?」

('A`)「それは夜の方だね。漢字で書けば“女子校生”だ」

(;><)「sneg?」



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:53:53.78 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「もちろん全年齢対象だから、お子様も安心して遊べるよ」

(;><)「明らかにお子様向きのキャラじゃないんです」

('A`)「そうかな? 開発でも結構な人気を誇ってたけどね? 特に三丁目のCちゃんにはウケたよ」

(;><)「モデルがいた!」

( <●><●>)「確かに見た目はかわいらしいですね」

(*'A`)「だろ? この年でこの化粧の乗りはなかなかのもんだろ?」

(;><)「取り敢えず、別のキャラでやるからこの子はもういいんです」

('A`)「あ、しぃちゃん選ばないんだ? ……なるほど」

(;><)「何なんですか?」

(*'A`)「いや、君ぐらいの年だとね、女の子には興味あるけど、その事を友達に知られるのが嫌で、ついつい強がってしまうもんだよね」



26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:56:15.13 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「いや、純粋にこのキャラが嫌なだけなんです」

(*'A`)「フフフ、無理しなくていいんだよ。ここには我々しかいないじゃないか?」

( <●><●>)「そうですよ。私がクラスの皆にビロードのそういう本の隠し場所を知らせましたんで、皆、ビロードの好みはわかってますから」

(;><)「てめえ、何、サラッととんでもない事カミングアウトしてるんですか!?」

( <●><●>)「ちなみに、ロリ巨乳です(笑)」

('A`)「同士よ」

(;><)「ふざけんなです! こないだから急に、女の子が僕を汚いものを見る目つきで見てくるようになったのはそのせいなんですか!?」

( <●><●>)「時期的には合致しますね」

('A`)「人が理解しあうのは難しい事だな」

(;><)「……取り敢えず今はいいんです。ワカッテマス君とは後日じっくり話し合う必要があるんです」



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 20:58:47.76 ID:ZsjzPLsu0

( <●><●>)「では、ご自分の欲望に忠実にキャラを選びましょうか」

(*'A`)「しぃちゃんはロリ系という設定だよ」

(;><)[+□÷] ポチ

( <●><●>)「名前はそのままなんですね」

( ><)「これでいいんです。ゲームを始めるんです」


(*- -)『ん……』

(*゚ー゚)『もう朝か……』

(*゚−゚)『ハア……』



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:00:02.44 ID:ZsjzPLsu0

私はしぃ

中堅所の建築会社の事務をしてるの

会社まで片道1時間

すし詰めの満員電車に揺られての通勤は憂鬱なものだ

会社に行けば会社に行ったで、部長のセクハラや、後輩の、まだ結婚しないんですかという心無い一言に傷つけられる毎日

あんな会社、辞めたいけど、昨今のサブプライムローンの破綻から来る倒産ラッシュ、
未曾有の大不況により今の仕事にしがみついてないと生きていけない


(;><)「微妙に生々しいんです」

('A`)「しぃちゃんのシナリオはリアルさを追及してるからね」

(;><)「と言うか、長いんです! まだゲーム始まらないんですか?」

( <●><●>)「昨今のゲームは皆こんなものでしょう。明らかに力の入れ方を間違ったオープニングムービーなどは必須ですからね」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:01:12.15 ID:ZsjzPLsu0

(*゚ー゚)『さ、昼のお仕事終わりと……』

仕事が終わった

昼の仕事が終わった

そう、終わったのは昼の仕事だけだ

これからまた仕事だ

夜の仕事だ

建築会社の仕事が終われば、私は夜の蝶

翼をもがれた、哀れな夜の蝶だ

好きでこんな仕事をしてるんじゃない

でも、辞めたいけど、昨今のサブプライムローンの破綻から来る倒産ラッシュ、
未曾有の大不況によりこんな仕事もしないと生きていけない



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:03:39.46 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「めちゃくちゃ重いんです!」

('A`)「リアルだろ?」

( <●><●>)「リアル過ぎて、私なんか感情移入しまくりですよ」

(;><)「僕ら中学生ですよ? どこに感情移入する余地があるんですか!?」

(;><)「つーか、ここ、飛ばせないんですか? 早くモンスター育てたいんです!」

('A`)「フフフ、もうすぐ始まるから、まずはじっくりとこの世界に浸ってみてよ」

(;><)「いや、浸りたくないから言ってるんです」

( <●><●>)「あ、しぃちゃんの指名が入りましたよ」



35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:05:53.81 ID:ZsjzPLsu0

(*゚ー゚)『ここは……どこ?』

気付いたら、私は全く知らない場所にいた

全く見覚えのない場所だ

おかしい

さっきまで、片岡さんとお酒を飲んでたはずなのに……


( <●><●>)「急展開来ましたね」

('A`)「ああ、しぃちゃんは時空のひずみに巻き込まれて、ドクドクワールドに飛ばされたんだ」

(ヽ><)「やっとオープニング終わったんですか?」

(ヽ><)「まさか半年間もしぃちゃんの毎日を見せられるとは思わなかったんです」

( <●><●>)「見応えありましたね。これだけでも買う価値があると思えるほどに」

( ><)「思わねーよ。ほとんど会社とお店と自宅の繰り返しだったんです」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:08:19.19 ID:ZsjzPLsu0

( <●><●>)「ようやく常連の片岡さんとの仲が発展しかけてきた所だったんですがね」

( ><)「あ、それはちょっと面白く──じゃなくて、こんな唐突に別世界に飛ばされるなら、最初から飛ばせばいいんです」

('A`)「そこはお話を盛り上げる演出効果ってやつだよ。まあ、ちょっと子供には難しかったかな? 開発にはそう伝えるよ」

( <●><●>)「私は楽しめましたけどね」

( ><)「もういいから、先に進むんです。やっと自分で動かせるんです」

('A`)「まずはそこの研究所に行ってみよう。お待ちかねのモンスターがもらえるよ」

(*><)「待ってましたんです! 早速行ってみるんです!」


('A`)『よく来たな、異界の旅人よ』

(*゚ー゚)『あなたは、どなたですか?』

('A`)『私は、この、ドクモン研究所の所長、ドクオ博士じゃ」



37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:10:50.88 ID:ZsjzPLsu0

( ><)「ドクオさん、モンスターじゃないんですね。確かにゲーム中ではちゃんとした扱いなんです」


('A`)『今から君に、三匹のドクモンの中から一匹だけあげよう』

('A`)『このドクモンを使い、激しい戦いを勝ち抜き、ドクモンマスターを目指すんじゃ」


(;><)「え、何、この急展開? 意味わかんないんです!」


(*゚ー゚)『わかりました、私、ドクモンマスターを目指します!」


(;><)「目指しちゃうの!? いや、君、いろいろ疑問あるでしょ? ここどこ? とか、ドクモンって何とか?」

('A`)「その辺りの説明は漢らしくばっさり省いてある」

(;><)「ここで漢気溢れちゃった!」



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:15:21.11 ID:ZsjzPLsu0

( <●><●>)「なるほど、漢なら、四の五の言わずやってやれという事ですね」

(;><)「主人公、女じゃね?」


('A`)『うむ、良い返事じゃ。お主なら、このドクモンを任せられる」

('A`)『ここの研究所を建ててはや三日、待ち続けた甲斐があったというものじゃ」


(;><)「大して待ってないんです!」

( <●><●>)「さあ、ようやくモンスターを選ぶ場面ですよ。私、年甲斐も無く興奮してきましたよ」

(;><)「いや、僕達まだ若いから」


('A`)『まずは一匹目じゃ』



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:18:31.44 ID:ZsjzPLsu0

('A`)
しゅぞく:どくとかげ
タイプ :どく
わざ1 :ひっかく
わざ2 :かじる
わざ3 :どく


(;><)「グラフィックが博士と同じなんです!」

('A`)「ドクモンだからね。ドクモンは、ドクオ博士が自分を認めないこの世界を壊すために作り上げた人工生命体だ」

(;><)「黒! そんな理由でドクモン作られたんですか!」

( <●><●>)「なるほど、ドクモンはドクオ博士にとって息子のようなものなんですね。ならば子が親に似るのも頷けます」

(;><)「取り敢えず、グラフィックは置いといて、これはどんなモンスターなんですか?」

('A`)「どくタイプのモンスターで、その他の特徴は接近戦が得意なパワータイプだよ」

('A`)「タイプはバケモンに準拠してるからわかりやすいと思う」

(;><)「わかりやすいんです」


('A`)『次に二匹目じゃ』



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:22:04.34 ID:ZsjzPLsu0

('A`)
しゅぞく:どくかめ
タイプ :どく
わざ1 :ひっかく
わざ2 :からにこもる
わざ3 :どく


(;><)「グラフィック一緒なんです!」

( <●><●>)「微妙に色が違いますね。最初のよりほんの少し赤みが濃い紫です」

('A`)「そう、どくかめの方がどくとかげより赤みが濃いんだ。具体的に言うとRが8だけ」

(;><)「光の三原色で言われてもわかんないんです!」

( <●><●>)「では、こうしましょう」



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:25:04.18 ID:ZsjzPLsu0

<FONT color="#800080">('A`) どくとかげ</FONT> ('A`) どくとかげ
<FONT color="#880080">('A`) どくかめ</FONT> ('A`) どくかめ

( <●><●>)「これでまとめられた時には色がちゃんとわかるはずです」

(;><)「大差ないんです! てか、まとめられる前提がえげつないんです!」

( <●><●>)「ついでに言うとパクりです。この微妙な出来だとまとめられない方が良さ気ですが」

('A`)「実に漢らしい」

(;><)「……もういいんです。つーか、コイツもどくタイプなんですか? さっきのと変わんないんです」

('A`)「同じどくタイプでもどくかめは防御型だね。守備力に優れるタイプだ」

(;><)「……ひょっとして三匹目もどくタイプなんですか?」

('A`)「ハハハ、さすがにそれはないよ。まあ、見てのお楽しみだ」


('A`)『最後に三匹目じゃ』



45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:28:14.03 ID:ZsjzPLsu0

('A`)
しゅぞく:どくのたね
タイプ :ぽいずん
わざ1 :すいとる
わざ2 :つる
わざ3 :どく


(;><)「やっぱりグラフィック一緒なんです!」

(;><)「そしてタイプも一緒だろ、これ?」

('A`)「“ぽいずん”はどくタイプの亜種だよ。具体的には、モンハンの亜種みたいに攻撃パターンの使用頻度が違うんだ」

(;><)「うわーい、わっかりやすぅーい」

(;><)「てか、それ、自分で使う場合変わんないんじゃないんですか?」

( <●><●>)「それはさておき、このどくのたねというのはどういったタイプのモンスターなんですか?」

('A`)「どくのたねはトリッキーなタイプだね。わざに癖があって使い辛いけど、使いこなせば強くなる」



47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:31:46.12 ID:ZsjzPLsu0

( <●><●>)「なるほど、これはどれを選ぶか迷いますね……」

(;><)「迷う余地ねーと言うか、どれも大して変わんないんです」

('A`)「そうかな? 実はこの三匹、決定的に違う点がある」

( ><)「それは何なんですか?」

('A`)「ずばり、鳴き声だ」

(*><)「そう言えば、バケモンも全部鳴き声違うんです! それは大きな違いなんです!」

( ><)「……この段階で鳴き声聴けないんですか?」

('A`)「残念ながら聴けないね」

( ><)「そうなんですか。でも、冒険を始めると聴けるんですよね?」

('A`)「……ああ、いずれ聴ける日も……来るだろうね」

(;><)「何でそんな重い調子なんですか?」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:34:42.54 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「ドクモンは博士の野望のため作られた生命体だ。日々過酷な戦いに身を投じてきた」

('A`)「その中には、敵地への潜入ミッションもあった。残念ながら捕らえられ、情報を吐かせるための拷問を受ける事もあった」

('A`)「ドクモンはそれに耐えうる様に、鳴かない様に幼い頃から鍛えられてきたんだ」

('A`)「どんな攻撃を受けようとも、どんな責め苦を味わおうとも決して……」

('A`)「そんなドクモンが、成長してから鳴くのは生涯ただ一度だけ」

('A`)「最後の……断末魔の悲鳴だけだ……」

(;><)「重! 無駄に重!」

(;><)「長過ぎて、どこで突っ込めばいいかわかんなかったんです!」

( つ><⊂) イイハナシダナー

(;><)「今の泣くとこ!?」

('A`)「ハハハ、そんな簡単に泣いてちゃ、ドクモンに笑われるよ?」

( <●><●>)「クッ……私としたことが……。こんな風でドクモンをプレイするとはおこがましいですよね」



50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:37:25.95 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「いやいやいや、何でいい話風になってんの?」

( <●><●>)「さあ、ビロード、やはり私ではドクモンをプレイするのは荷が重いようですから、あなたが選んでください」

(;><)「選べと言われても、選び様が無いと言うか、どれも一緒なんです」

('A`)「……やれやれ、なかなか目の肥えた少年だな」

( ><)「?」

('A`)「実は、ドクモンにはもう一匹、最初に選べるやつがいるんだ」

( ><)「ホントですか!?」

('A`)「ああ、いわゆるシークレットファクター、隠し要素だが」

(*><)「すごいんです! それでやってみたいんです!」

('A`)「まだ発売前だから、本来は教えるわけにはいかないんだけど、今回は特別だ。その代わり、みんなにはないしょだよ?」

(*><)「はいなんです!」

('A`)「じゃあ、ここで、この隠しコマンドを──」ピコーン!



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:41:03.99 ID:ZsjzPLsu0

('A`)『……』

('A`)『そうか……とうとうこの日が来てしもうたか……』


( ><)「何やら始まったんです」

( <●><●>)「只ならぬふいんき(ryですね」


('A`)『……三十八年、長かった。ようやく我を使いこなせる猛者が現れたか』

('A`)『力が欲しいか? 良かろう。ならば応えよう! 我を使え!」


(;><)「博士がドクモンになるんですか!?」

( <●><●>)「なるほど……、あのタイトルはこの事を暗に示唆していたのですね」

('A`)「元々、ドクモンは博士であり、博士はドクモンであるからね。この辺りの設定は話せば長いんだけど、聞きたいかい?」

( ><)「……聞かなくていいから先に進めるんです」


('A`)『見よ! 我が力を!」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:45:33.91 ID:ZsjzPLsu0

('A`)
しゅぞく:まどぎわ
タイプ :こどく
わざ1 :すねをかじる
わざ2 :へやにこもる
わざ3 :くびをつる


( ><)「……」

( <●><●>)「……」

('A`)「どうだい、強そうだろ?」

(;><)「どこから突っ込んでいいかわかんないんです!」

('A`)「あまりのスペックに戸惑ってるのかな?」

('A`)「無理もないか。こうもハイスペックだとね。こいつは、開発のたっての希望で、私をモデルに作られたドクモンだよ」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:47:21.38 ID:ZsjzPLsu0

(;><)「ドクオさん、絶対、開発に嫌われてるんです!」

('A`)「そんな事ないさ。タイプは唯一無二のオリジナルタイプだよ?」

(;><)「唯一ってか、ぼっちなタイプに見えるんです」

( <●><●>)「いえ、ビロード、この、“こどく”と言うのはひょっとすると“蠱毒”という強力な毒のことかもしれませんよ?」

('A`)「こどくタイプの特殊能力の効果は、“他に誰も仲間にならない”なんだ」

(;><)「やっぱり、ぼっちの方だった!」

('A`)「強過ぎる故のバランス調整だね」

( <●><●>)「致し方ありませんね」

('A`)「でも、話を進めてドクモンを進化させると“こどく”から“ばいどく”に進化するからその欠点も解消されるよ」

(;><)「それ、進化なんですか?」

('A`)「毒が倍だよ? 進化に決まってるじゃないか?」

('A`)「ちなみに、ばいどくタイプの特殊能力の効果は、“体が痒くなって時々行動できなくなる”なんだ」

(;><)「梅の方だ!」

('A`)「進化前よりは軽くなってるとは言え、やはり強過ぎる故のペナルティは仕方ないね」

( <●><●>)「バランス調整は大事ですからね」

('A`)「わざも他の最初の三匹が持っている技の強化版だ」

(;><)「強化ってか、劣化ってか、どれもダメそうに見えるんです」

('A`)「フフフ、やはり君ぐらいの年の子供だと、その強さは実際に使ってみないとわからないかな?」

( <●><●>)「取り敢えず、ゲームを進めて使ってみてはいかがでしょう?」

(;><)「正直、他のドクモンにしたいけど、もうキャンセル出来ないみたいなんです」ポチッ


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:50:30.15 ID:ZsjzPLsu0

('A`)『さあ、冒険の旅へ出かけよう!」

(*゚ー゚)『 ニアはい
        いいえ 』

(*゚ー゚)『   はい
      ニアいいえ 』 ピッ


(;><)「あれ?」

('A`)「ん? どうしたのかな? そこはさすがに“はい”を選ばないと進まないよ?」

(;><)「違うんです。僕は何にもボタン押してないんです。勝手に選択肢が選ばれてるんです」

( <●><●>)「オートイベント中ですか」



59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:53:56.55 ID:ZsjzPLsu0

('A`)『え? いっしょに行かないの?」

(*゚ー゚)『 ニアはい
        お断りします 』

(*゚ー゚)『   はい
      ニアお断りします 』 ピッ

('A`)『え? 先週の金曜日、いっしょに出かけるって約束したじゃないですか?」

(*゚ー゚)『 ニアはい
        記憶にございません 』

(*゚ー゚)『   はい
      ニア記憶にございません 』 ピッ

('A`)『これまで沢山プレゼントしたじゃないですか?」

(*゚ー゚)『 ニアはい
        全部売り払いました 』

(*゚ー゚)『   はい
      ニア全部売り払いました 』 ピッ



61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:57:16.99 ID:ZsjzPLsu0

('A`)『いつか一緒に海の見える丘にカフェを出そうって約束しましたよね?」

(*゚ー゚)『 ニアはい
        夢見てんじゃねーよ、ボケ 』

(*゚ー゚)『   はい
      ニア夢見てんじゃねーよ、ボケ 』 ピッ


('A`)「……」

( ><)「……」

( <●><●>)「……」

('A`)「……バグかな?」

( ><)「……バグ……だといいですよね」

( <●><●>)「……バグですよ、最後まで、希望は捨てずにいましょう」



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 21:59:29.31 ID:ZsjzPLsu0

('A`)『好きです、Cさん! 結婚してください」

(*゚ー゚)『 ニアいいえ
       それはないわーwwwwww 』

(*゚ー゚)『   いいえ
      ニアそれはないわーwwwwww 』 ピッ


欝田ドクオは捨てられました


( ><)「……」

( <●><●>)「……」

('A`)「……」

( ><)「……きっとバグですよ、欝田さん 」

( <●><●>)「……世の中に女性は星の数ほどいますよ、鬱田さん」

('A`)「あれ? 私、名字まで名乗りましたっけ?」



64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 22:01:40.72 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「……ごめんね、どうもバグってるみたいだね。これ以上進められないみたいだ」

( <●><●>)「他の主人公で始めると大丈夫なのでは?」

('A`)「いや、オープニングが違うだけで、本編に入るとみんな一緒だからね」

(;><)「一緒なんですか!? あのかっこいい設定は?」

('A`)「戦うのはドクモンだからね。あんな剣とか弓とか持ってたら銃刀法違反で捕まるから、このドクドクワールドに来た最初に捨てるんだ」

(;><)「凝った設定の意味ねええええ!!!」

('A`)「ハハハ、エンディングもそれぞれ違うから、設定の意味はちゃんとあるんだよ」

( <●><●>)「エンディングも違うのですか……ということは……」

('A`)「一応、隠しコマンドを使わなければ先に進めるだろうけど、今日はもう、戻らないといけなくなってしまった」

('A`)「この事を開発に伝えてすぐ修正させないと」

('A`)「今日はごめんね。意見は参考になったよ。これ、発売は二ヵ月後の予定だから、良かったら買ってみてね」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 22:05:14.21 ID:ZsjzPLsu0

('A`)「それじゃ、ありがとう、またね」

( ><)「さよならなんです」

( <●><●>)「お疲れ様でした」

( ><)「……」

( <●><●>)「……」

( ><)「……さすがに買わないんです」

( <●><●>)「……ええ、そうですね。ですが……」

( ><)「ですが?」

( <●><●>)「一つだけ、気になってることがあるんですよ」

( ><)「……」



69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 22:07:48.43 ID:ZsjzPLsu0

 ────二ヵ月後 ゲームショップ


( ><)「ホントに発売されてるんです……」

( ><)「あと一つしか残ってないんです」

( ><)「……」

      スッ……
( ><)つ□⊂(<●><●> )

(;><)「ワカッテマス君!? 何でここに?」

( <●><●>)「……あなたも来ていましたか、ビロード」

( ><)「ゲームやんないワカッテマス君が何でこれを?」

( <●><●>)「本体は買ったので持ってます」

( <●><●>)「いえね、やはりどうしてもあの先が気になりましてね……」

( ><)「……ワカッテマス君もですか? 僕もなんです、やっぱり気になりますよね──」

( <●><●>)「ええ、気になります──」



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/13(金) 22:08:44.84 ID:ZsjzPLsu0


「「片岡さん……」」














( <●><●>)「その後、ドクモンはその年のベストゲーム・オブ・ザ・イヤーのシナリオ部門で大賞を受賞しました」

( ><)「ねーよ」


おしまい



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