3 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:34:16.07 ID:mNwGmJZn0

 − 第五章 言葉と私と信じる心 −

 〜 第一話 〜


おはようございます、都村トソンです。

休日の朝は爽やかな目覚めとは程遠い喧騒に包まれてました。
早起きしたブーンが、珍しく騒いでると思ったら、ツンちゃんとテレビのチャンネル争いをしてました。

最終的に、ツンちゃんが譲ってくれたみたいで、ブーンは上機嫌でテレビにかじりついています。

(゚、゚トソン 「おはようございます、ブーン、ツンちゃん」

(〃^ω^) 「おはおー」

ξ゚听)ξ 「おはよ。……悪かったわね、起こした?」

ツンちゃんはよく気の付く子ですね。
私は、大丈夫、丁度起きるところだった、と返して、洗面所兼浴室に向かいます。


4 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:34:40.83 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「ふぅ……。さて、朝ご飯の用意をしなければいけませんね」

手早くシャワーを浴び、キッチンへ向かいます。ツンちゃんに食の好みを聞くと、
特に好き嫌いはないということなので、標準的な和風朝食にする事を決めました。

(゚、゚トソン 「ついでにこれも作っておきますか……」

私は、別途にお米を洗い、鍋に入れます。
そんな折、ツンちゃんがこちらにやってきました。

ξ゚听)ξ 「何か手伝おうか?」

(゚、゚トソン 「お客さんはそんなことしなくていいんですよ」

本当にツンちゃんはいい子ですが、ちょっと気を使い過ぎなのではないでしょうか?
私が、そういった事を告げると、ツンちゃんは、

ξ--)ξ 「いや、まあ、アレが迷惑かけてるからね」

と、未だ、ただ1人夢の世界へ旅立ったままのデレを指差して言いました。


5 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:34:55.59 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「アレも含めてお客さんですから、今日はゆっくりしていてください──ブーン?」

( ^ω^) 「僕が手伝うお」

私達の会話を聞いていたのでしょうか? ブーンがいつの間にかそばに来ていました。

(゚、゚トソン 「テレビはいいのですか?」

(;^ω^) 「おー……、う、うん、いいお。またいつでも見れるお」

そうは言うものの、テレビが気になるらしく、気もそぞろです。

(゚ー゚トソン 「そうですか。では、ブーンはお客様の相手をしてください」

私はそう言って、ツンちゃんに目配せをしました。

ξ゚听)ξ 「そうね、お願いしようかしら? まずはお茶をもらえる?」

( ^ω^) 「お。わかったお」

ブーンはすぐにお茶の準備をし、ツンちゃんにお茶を出します。


6 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:36:26.51 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「んじゃ、次は取りあえず、テレビでも見ようかしらね」

(〃^ω^) 「お! わかったお」

私は、そんな2人の姿を横目に、鼻歌でも歌いそうな気分で味噌汁をかき混ぜました。
なかなか良い出来です。汁物の味が上手く出る時は、調子の良いときなんですよね。

ζ(´д`||ζ 「おあようごぜぶぁ……」

そんな爽やかな気分をぶち壊すような得体の知れない挨拶らしきものが聞こえてきました。

ζ(´д`||ζ 「うおえあ……。何これ、いた、頭いた……」

(゚、゚トソン 「おはようございます、デレ。典型的な二日酔いの症状に見えますね」

私はそう言って、冷蔵庫から野菜ジュースを取り出し、コップに注ぎます。

ζ(´へ`||ζ 「ここどこぉ? ありがとおー」

(゚、゚トソン 「私の部屋ですよ。どこまで覚えてますか?」


7 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:37:37.99 ID:mNwGmJZn0

ζ(´へ`||ζ 「んー……、ツンちゃんとトソンちゃんとブーンちゃんが仲良し?」

意外にも、大まかなところは理解している模様です。寝ながら聞いていたのか、飲んでも記憶が残る
タイプなのか、いずれにしても説明の手間が省けますね。

私は、ひとまずデレは放置で、料理を作り終えました。

(〃^ω^) 「朝ごはんだおー!」

ξ゚听)ξ 「悪いわね、トソン」

(゚、゚トソン 「はい、召し上がれ。デレはこれね」

私は、そういってデレにお粥を差し出します。

ζ(´д`*ζ 「ありがと〜。トソンちゃん、ホント器用だね」

( ^ω^) 「……」

ふと気が付くと、その様子を、なぜかブーンがじっと眺めていました。
どうしたのでしょう?


8 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:38:38.84 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「ブーン? 覚えていませんか? その子が昨日紹介したデレです、ツンちゃんの──」

( ^ω^) 「お。おぼえているお。デレ、はじめましてだお」

ζ(´ー`*ζ 「はじめまして、ブーンちゃん、よろしくね〜」

挨拶を終えた後も、何故かブーンはまだデレの方を見ていました。
デレの方と言うよりは、むしろ──

ζ(゚ー゚*ζ 「ん? ブーンちゃん、これ食べたいの?」

(〃^ω^) 「お!」

ああ、そういうことですか。ブーンはデレが食べている私が作った知らない食べ物に興味があったのですね。
元気なブーンにはお粥なんて作ったことありませんし、私には朝粥など食べる習慣もありません。

(゚、゚トソン 「ブーン、お粥は病気の人や、胃腸の弱った人が食べやすいように作られた食事ですよ?」

ζ(゚ー゚*ζ 「まあまあ、トソンちゃん、いいからいいから。ブーンちゃんお粥好きなの?」

(〃^ω^) 「食べたことないからわからんお」


9 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:38:53.87 ID:mNwGmJZn0

ζ(゚ー゚*ζ 「んじゃ、一口……熱いからねー、フーフー」

(〃^ω^) 「おー」

(゚、゚トソン 「全く……。食べたいなら今度作ってあげますのに」

ζ(^ー^*ζ 「ツンちゃんも?」

ξ゚听)ξ 「ア、アタシはいいわ──やっぱり頂こうかしら」

(゚ー゚トソン 「私に遠慮しなくて良いですよ。食べたいものを食べてください」

それに、2人が食べ過ぎると、デレの分がなくなってしまいますよ。
私は、そう言ってお味噌汁を口に含みました。やはり今日のは良い出来ですね。

こうして、騒がしかった朝は、和やかな朝食へと収束しました。


 〜 第一話 おしまい 〜

    − つづく −   


10 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:40:46.82 ID:mNwGmJZn0

 〜 第二話 〜


(゚、゚トソン 「では、少々お話を聞かせえもらえますでしょうか?」

ξ--)ξ 「ま、こっちも聞きたいからね。情報交換ってことで」

少し遅めの朝食を終え、私達はコーヒーを前に座っています。

ζ(゚ー゚*ζ 「そっかそっか、ブーンちゃんも甘いコーヒーが好きなんだ。私もだよー」

(〃^ω^) 「甘いコーヒーおいしいお」

デレとブーンはすっかり仲良しです。もともと、おっとりした同士、相性は良さそうでしたしね。
しかし、こちらの多少シリアスな空気との温度差が何とも気が抜けます。

ξ゚听)ξ 「続けるわね」

私は無言で頷きました。


11 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:41:23.00 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「アタシは、正直なところ、自分のことはよくわからないわ」

やはりツンちゃんも、記憶はおぼろげらしいです。気が付けば旅をしていたこと。
その旅も、所々記憶が抜け、いつの間にか別の場所にいたこともあったらしいこと。

ツンちゃんは、記憶の残る範囲では、それほど人と関わった覚えがないらしいです。
ドクオさんとは、この町とは別の場所で会ったらしいですが、少々胡散臭かったので、
親しくしてたわけではないらしいとのことです。

(゚、゚トソン 「なるほど。では、御自分の目的も、そうですね、夢も覚えてないと?」

ξ*゚听)ξ 「そ、それは──」

ζ(゚ー゚*ζ 「あー、ツンちゃんはね、ちゃんと夢があるんだよ。かわいい夢──」

ヨケイナコトイウナー! バキッ!
ξ*゚听)ξつ#)д゚*ζ ゲフゥ!


12 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:41:52.66 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚;トソン 「えっと……」

ξ*゚听)ξ 「そ、それは気にしなくていいから、今度はブーンとあんたの話を聞かせなさいよ」

この御様子だと、ツンちゃんは自分の夢を知っているようですね。
そうなると、今は伏せるに任せておくとしても、いつかは詳しく聞く必要があるかもしれません。
あの、夢を見る、夢を見せる存在というペニサスさんの言葉がありますし。

(゚、゚トソン 「ブーンはほとんど何も覚えていないんですよね」

ブーンが覚えていることは、昔誰かといたこと、その人の勧めで夢のために人間になること、
それに空が好きなことぐらいでしょうか。

(゚、゚トソン 「これ以降は、私の推測と観察が大半ですが、ツンちゃんも多少は思い当たる節があるかもしれませんね」

まず、ブーン達は見えないと言うよりは、本人が言ってたように、わからないという言葉の方が正しいであろうということ。
ブーンの姿は、わかる人にしか見えませんし、ブーンの声は、わかる人にしか聞こえません。

最近は、学校以外の外出時はブーンを連れて行くのですが、わからない人にも、ブーンはぶつかれました。
ただ、わからない人には、何がぶつかったかはわかりませんし、下手をすると、ぶつかったことすら認識されません。


14 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:42:26.23 ID:mNwGmJZn0

だから、見えないのではなく、見えているけど、それが何かわからない、そしてそれを気にしない、と言うのが
正しいのでは、と結論付けました。

そういう風なので、ブーンと外出する時は、なるべくそばにいさせて、車とかには気をつけさせています。

これは余談ですが、ブーンがわかる人は、他にも意外といました。今のところは、全て子供ですが。
小さい子は、ブーンのことがわかる場合が多いようです。

ξ゚听)ξ 「なるほどね。確かに、そんな感じかもね。……子供はよく寄って来るわね」

(゚、゚トソン 「その内、公園とかでブーンを子供と遊ばせようかと思ってるですけどね。子供なら、なんだか不思議なことも
      不思議な夢のようなこととして処理してくれそうですし」

ξ゚听)ξ 「何でまた……」

(゚、゚トソン 「やっぱり子供は子供同士、遊んだりすべきかなと。ブーンは人間になりたいんですしね」

以前はそう思ってましたが、今はツンちゃんがお友達になってくれたから、ツンちゃんが遊んでくれるなら
それはそれでもいいんですけどね。


15 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:43:05.56 ID:mNwGmJZn0

少々話がそれましたが、私の持ち得る情報はわずかです。これ以上のことはやはり……。

ξ--)ξ 「その管理人か、ドクオに聞くしかないか……」

同意見です。今のところ、それでもう少し情報を集めた方がよいと思われます。
そうなるとまずは、ペニサスさんの方でしょうか。ドクオさんは居場所がわかりませんし。

ξ゚听)ξ 「んじゃ、まあ、早速行きますかね?」

(゚、゚トソン 「今すぐですか?」

善は急げよ、ツンちゃんは言います。まあ、確かに、今行かない理由もありませんし、
今の中途半端な時間の方がまだペニサスさんもお忙しくないかも知れません。

ならそうしましょうかと、決めようかとした矢先に、デレがブーンを膝抱きにしたまま口を挟んできました。

ζ(゚ー゚*ζ 「ねートソンちゃん、ペニサスさんって誰?」

ンソト;゚、゚) 「え?」


16 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:44:23.99 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「話聞いてたの? ここの管理人でしょうが」

(゚、゚;トソン 「ひょっとしてデレ、ペニサスさんにお会いしたことは……?」

ζ(゚ー゚;ζ 「え……? ないけど」

ああ、なるほど……。ペニサスさんが私に若いのにしっかりし過ぎた、といってた意味がようやくわかりました。
確かに、居住契約は金銭的な契約ですので、顔をあわせたりしなくても問題はないんですけどね……。

(゚、゚トソン 「挨拶ぐらいは伺うべきだったかと。今後、何かお世話になる機会がないとも限りませんし」

ξ゚听)ξ 「デレはおいていきましょ。手ぶらで行くのもなんだろうから。後日ということで」

ζ(゚д゚*ζ 「はーい」

(゚、゚トソン 「ブーンはどうしますか?」

ζ(゚ー゚*ζ 「デレおねーちゃんとごろごろする?」

( ^ω^) 「おー……」

・・・・
・・・


17 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:45:12.50 ID:mNwGmJZn0

ガチャッ カランカラーン
(゚、゚トソン 「こんにちわ」

('、`*川 「いらっしゃい──あら、トソンちゃん、こんにちわ」

(゚、゚トソン 「コーヒーお願いします──今日こそちゃんと払わせてくださいね?」

ペニサスさんの所には、初日に来た以降にも、何度か足を運んでいます。
もちろん、あのコーヒー目当てなのですが、毎回毎回何かと理由をつけては御代を受け取ってもらえません。

('、`*川 「まあ、話の内容次第ねー」

そういってペニサスさんはコーヒーをいれる準備をします。
私は、カウンターの一席に腰掛け、店内を眺めます。土曜の午前の店が開いて間もない時間。
まだ客はほとんどいません。話すには丁度良い頃合です。

ツンちゃんは器用に私の隣の席に飛び乗って座ってます。
真似をしたブーンは転びましたので、ツンちゃんの足元にカウンターを背にして座ってます。

デレは1人でごろごろふて寝です。ζ(´へ`*ζ ションボリング


18 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:45:47.46 ID:mNwGmJZn0

('、`*川 「はい、どうぞ」

(゚、゚トソン 「いただきます」

話に来たのですが、このコーヒーを出されたら手をつけないわけには参りません。
私はコーヒーを一口含み、その味と香りを堪能します。

('、`*川 「そういう顔されたら、お代はもらえなくなるんだけどねー」

そういって、ペニサスさんはいつものようにカラッとした笑い顔を見せます。
ブーンが興味深げに私の手の中のコーヒーカップを見つめています。
一度は飲ませてあげたいですが、それはもう少し、砂糖の量が減ってからにしたいところです。

ξ゚听)ξ 「……」

私は、目が合ったツンちゃんに促され、話の本題を切り出すことにしました。

(゚、゚トソン 「ペニサスさん、今日はお尋ねしたいことがあって参りました」

('、`*川 「ん? 何? また何か出た?」


19 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:47:06.53 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「出ましたね。ですがそれはひとまず置いといて、夢見の件についてもう少し詳しく御伺いしたいのですが」

('、`;川 「え、出たの? ま、まあいいや。うーん、あれかー。あれは正直あんまり話したくないのよねー」

すかさず、どうしてですか、と尋ねると、何というか、私の黒歴史だから、と返されました。
まずはこちらの手札を切ることにしました。取り敢えず、私の推測の件を話します。

('、`*川 「うん、概ねそれで正解かな。すごいね、トソンちゃん、探偵にでもなれるんじゃない?」

(゚ヮ゚トソン 「探偵助手には向いていると言われたことはあります」

('、`;川 「正直、その顔はないわー」

(゚、゚トソン 「冗談ですよ」

ξ#゚听)ξ 「……」

ツンちゃんから真面目にやれとの無言のオーラが届きます。
ブーンは店内を興味深げにキョロキョロ眺めていますね。その内走り出さないか心配です。


20 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:48:09.06 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「正解ですか。それは良かった。……では、それが正解だと言える理由はどちらから?」

('、`*川 「……昔の友達…………からかな」

これは……、ここがどうにも聞きづらい点なのかもしれませんね。
明らかに躊躇いや戸惑いの苦しい思いが言葉に詰まっていました。
それを察せられないほど鈍くはありませんし、そこを根掘り葉掘り聞けるほど非情にもなれません。

ツンちゃんの方を見ると、軽く首を振りました。多分、私と同じ考えなのでしょうね。

(゚、゚トソン 「そうですか、では別の質問なのですが」

('、`*川 「今度は何? 恋愛相談なら──あ、いや、何でもない、何でもないから」

(゚ー゚トソン 「ええ、恋愛相談とかそういうのは 全 く な い ので別のことです」

ペニサスさんが、慌てたようにお代わり飲む? と聞いてこられましたので、有り難くいただいておきます。

(゚、゚トソン 「どういう人が夢見を見ることが出来るのですか? それと、見えない人に見せるには?」


22 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:48:41.71 ID:mNwGmJZn0

('、`*川 「……信じる心、かな?」

(゚、゚トソン 「え?」

('、`*川 「何て言うかね、単純なほど見えやすいらしいよ」

それなら確かに、子供が見えやすいのもわかりますね。そしてデレが見えるのもの。
しかし──

(゚、゚;トソン 「単純ですかね、私は……?」

('、`;川 「え……? あー……、うーん……」

ξ;゚听)ξ 「……」

返答に困るペニサスさん。ツンちゃんも、私が目を向けると目を逸らします。
ブーンは……寝てますね。

('、`;川 「あー……どうなんだろね。何かイレギュラー?的なものなんかじゃないかと……」


23 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:49:54.29 ID:mNwGmJZn0

自分で言うのもなんですが、私は信心深い方ではないですし、新天地の浮かれたテンションでなければ、
ブーンのことはわからなくて信じられなくて終わった気もします。

(゚、゚;トソン 「ま、まあ、それも置いておきます。他の人には……」

('、`*川 「それも似たような感じかな」

(゚、゚トソン 「それはどういった?」

('、`*川 「ここに夢見がいます。貴方は信じますか? 私の事を信じていますか? この2点だとさ」

なるほど。意外と単純なことなのですね。簡単とは言いませんが。しかし、これも伝聞ですか。

ξ゚听)ξ 「……」

いつの間にか、ツンちゃんが足元に来ていました。私を突付いています。紹介しろということでしょうね。


24 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:51:47.18 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「ペニサスさん、実は今ここに夢見が来ています」

('、`*川 「……え?」

(゚、゚トソン 「名前はツン、かわいい女の子です。わかりますか?」

ξ゚听)ξ 「……」

ペニサスさんは私が指した先をじっと見つめていましたが、しばらくの後、ため息を1つかれて

('、`*川 「やっぱり見えないわね、私には」

(゚、゚トソン 「そうですか……」

('、`*川 「……トソンちゃんを信じていないわけじゃないの。私は、トソンちゃんのこと気に入ってるしね」

(゚ー゚トソン 「それは、このコーヒーでひしひしと感じていますよ」

('、`*川 「ありがと。……でもね、私は見えないの。信じて、信じ切れなかったから──」

('、;*川


25 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:52:29.87 ID:mNwGmJZn0

('、⊂川 「あ、ご、ごめん、なんでもないから──」

(゚、゚トソン 「すみません、ペニサスさん、今日は失礼させていただきますね」

私は、ツンちゃんに促されるより早く席を立ちました。ブーンはいつの間にかツンちゃんが起こしていました。

( 、 川 「……うん、また来てね。お代はまた今度で」

(゚、゚トソン 「次は、ちゃんと払わせてくださいね」

私は、ペニサスさんに一礼して、喫茶店を後にしました。
ドアのベルの乾いた音がやけに響き渡ったように思えました。


 〜 第二話 おしまい 〜

    − つづく −   


27 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:53:52.84 ID:mNwGmJZn0

 〜 第三話 〜


(゚、゚トソン 「……」

ξ゚听)ξ 「……」

( ^ω^) ?

ξ゚听)ξ 「……何か。悪かったわね。ごめん」

(゚、゚トソン 「ツンちゃんが謝ることではないでしょう。それに謝るなら、ペニサスさんに謝りたいところですね」

ξ゚听)ξ 「……これ以上は止めときましょう、あの人に聞くのは」

そうですね。これ以上は、本人が自分から話してくれる場合にだけにしておきましょう。
人には、色々あるのでしょうから……。

ξ--)ξ 「……と、なるとあれか」


28 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:54:38.83 ID:mNwGmJZn0

ええ、あの方しかいないでしょうね。
しかし、以前にお会いしたのは偶然で、居場所もわかりませんし、今は打つ手なしですね。

ξ゚听)ξ 「今日は切り上げますか」

(゚、゚トソン 「そうですね……」

( ^ω^) 「ねー、トソン?」

(゚、゚トソン 「なんですか、ブーン?」

( ^ω^) 「あのお店で飲んでたのなんだお? コーヒーみたいだったけど、ちょっとにおいが違ったお?」

意外ですね。そのような細やかな違いもわかるんですね、ブーン。
私は、インスタントコーヒーと喫茶店のコーヒーの違いを簡単に説明しました。

(〃^ω^) 「飲んでみたいおー」

(゚、゚トソン 「そのうちね。ペニサスさんにお持ち帰りもできるか聞いてみますから」

ブーンに約束だお、約束だお、と念を押されました。わかってますよ。ちゃんと覚えておきましょう。


29 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:55:28.95 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「んじゃ、部屋に戻る?」

(゚、゚トソン 「それなんですが、ツンちゃん? 今日は晩ご飯もうちで食べていかれますか?」

それは流石に悪いと言うツンちゃんに、デレもまだ本調子でないのと、ブーンに大勢での食事をもっと体験させたいから
との理由で、納得してもらいました。

(゚、゚トソン 「と言うわけで、私とブーンは買い物に行ってきます。ツンちゃんはデレをお願いできますか?」

ξ゚听)ξ 「ん、わかった──」

「うわ、何これ、ぬいぐるみ? あんたこんなの外に持ち歩いてんの?」

不意に、どこかで聞き覚えのある声が割って入りました。

ミセ*゚ー゚)リ 「よっス」
つ^ω^⊂ 「おー」

ミセ;゚ー゚)リ 「って、うわ、何かしゃべった?」


31 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:56:27.24 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「見えてるわね……。あれ、友達?」

(゚、゚トソン 「一応は。見えてる件はペニサスさんの言葉通りなら存分に納得いきます」

アホなので、とツンちゃんには伝えておきました。

(゚、゚トソン 「で、御用向きは何ですか、ミセリ?」

ミセ*゚ー゚)リ 「え? そりゃデレちゃんのお見舞いに決まってんでしょ? なんたって親友なんだから」

そんなミセリに、ツンちゃんがボソッと、初めて聞く名前ね、と言ってたのが非常に趣き深く感じました。

ミセ*゚∀゚)リ 「しっかし、何、トソン? あんたぬいぐるみ2つも外に持ち出して、どんだけメルヘン少女なのよwww」

(゚、゚トソン 「説明するのも面倒なのですが、ツンちゃん、デレに説明させるということで、このアホを案内してもらっても?」

ξ゚听)ξ 「これ、あんたの部屋に上げちゃっていいの?」

(゚、゚トソン 「不本意ながら仕方ないかと」

ミセ;゚д゚)リ 「え? 何それ? どんなハイテク仕様ぬいぐるみ?」


32 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:57:03.88 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「そういうことだから、あんたは大人しく着いて来なさい。デレのとこに案内するから」

ミセ*゚ー゚)リ 「すっげー、何これ? トソン、あんた何? こんなの持ってんの? チョーかわいいんですけど?」

ξ*゚听)ξ 「お、おだてても何も出ないんだからね?」

(゚、゚トソン 「詳しい話はデレと、そのツンちゃんに聞いてください。では、後ほど」

ミセ*゚ー゚)リ 「何だかよくわかんないけど、オッケー。そうか、君はツンちゃんっていうのか、かわいいねー」

ξ*゚听)ξ 「べ、べたべた触んないで、いいから着いて来なさいってば」

あれは任せておいて良さそうですね。ミセリのことですから、いきなりツンちゃんの機嫌損ねて張り倒されるかと思いましたが、
意外にもその真逆のようですね。

(゚、゚トソン 「では私たちも行きましょうかね」

ヾ(〃^ω^)ノ 「おー!」

私とブーンは2人、でいっしょに商店街へ向かって歩き出しました。

・・・・
・・・


33 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:57:24.54 ID:mNwGmJZn0

(〃^ω^) 「今日のご飯はなんだお?」

(゚、゚トソン 「今日は人数も多いですからね、鍋にしようかと」

(;^ω^) 「な、なべ? あんなかたいの食べるのかお?」

え? 固い? ブーンは何を言ってるのでしょう?
私は、ブーンの言葉の意味がわからず、思わず歩みを止めてしまいました。

(゚、゚トソン 「あ、そういうことですか」

私は、ようやくブーンの言っている言葉の意味に気付き、思わず声を出して笑ってしまいました。

(;^ω^) 「な、なんだお? 急にどうしたんだお?」

(゚ー゚トソン 「いえいえ、ちょっと言葉の行き違いがあっただけですよ」

そう言って、私はブーンにブーンの想像した鍋と、私が言った鍋料理の違いを説明しました。


34 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:57:57.30 ID:mNwGmJZn0

( ^ω^) 「なるほどだお。でも、言葉ってむずかしいおね」

(゚、゚トソン 「今のは私が悪いんですけどね。特定の省略語を、お互いが知っているものとして扱ってしまいましたから」

それでに誤解が生じる場合はありますからね。
伝えたいことが、正しく伝わらない言葉ほど意味がないものはありません。

( ^ω^) 「僕はもっといろいろおぼえなきゃだおね」

(゚、゚トソン 「そうですね。覚えた方が話せることも増えて、多分お互い楽しいですよ」

ブーンはがんばるおー、と言って、私の周りをブーンと言いながらぐるぐる回り始めました。
転ばないように、それと、周りに気をつけてくださいね。

(〃^ω^) 「で、鍋料理ってどんな料理かお?」

(゚、゚トソン 「それはですね──」

・・・・
・・・


35 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 22:58:44.93 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「白菜、葱、春菊……、大根も入れますか」

( ^ω^) 「お……」

(゚、゚トソン 「……ブーン? 春菊を戻さない」

(;^ω^) 「これ、ちょっと苦いからきらいだお……」

(゚、゚トソン 「好き嫌いは良くないですよ。それに、ブーンが嫌いでも他の人が好きな場合もあるのですから」

鍋料理とは、1つの鍋をみんなで突付くんですからね、とブーンをやんわりと諭しました。

(;^ω^) 「わかったお。ごめんなさいだお」

(゚、゚トソン 「まあ、苦手なものは誰にでもありますけどね」

( ^ω^) 「トソンにもあるのかお?」

(゚、゚トソン 「……次はお肉ですね」

(;^ω^) 「!!! ちょっと待ってお。おいていかないでおー」


36 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:00:32.37 ID:mNwGmJZn0

・・・・
・・・

(〃^ω^) 「いつもより荷物いっぱいだお」

(゚、゚トソン 「さすがに、5人分ですしね」

ブーンが言うように、今日の買い物袋はいつもより大きいですね。
ブーンにも、普段よりは少し多めに荷物を持ってもらっています。
ブーン用の小さめなエコバッグを持ち歩いていますので、そちらに落っことしても大丈夫そうなものから入れています。

(゚、゚トソン 「重くないですか?」

(〃^ω^) 「へーきだお。まだまだ持てるおー」

私達はいつものペースで、のんびりと商店街を歩いています。

(゚、゚トソン 「ブーンはお腹空いてませんか?」


38 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:01:20.53 ID:mNwGmJZn0

朝が少々中途半端な時間だったので、現在はお昼抜きの状態でしたね。
私はそうでもないですが、ブーンはそろそろお腹が減ってるかもしれませんね。

(〃^ω^) 「うんお。ちょっとへったお」

まあ、そうでしょうね。部屋にいたら自分で何かつまんでたのかもしれませんが、今日はずっと私といっしょでしたからね。
晩ご飯までまだ間がありますし、少々軽めのものを何か……。

(゚、゚トソン 「お饅頭屋さんにでも行ってみますか」

ヾ(〃^ω^)ノ 「おまんじゅう大好きだおー」

ブーンも賛成してくれましたから、少々回り道してそちらへ向かいます。
お饅頭屋というのは、もちろんあのお店のことです。

(゚、゚トソン 「ブーンは何が好きですか?」

(〃^ω^) 「うんとね、うんとねー、桜もち好きだおー」

(゚、゚トソン 「あれは美味しいですね。控えめな甘さの味付けがお茶とよく合いますし」


40 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:01:58.21 ID:mNwGmJZn0

(〃^ω^) 「あとね、あとね、ショボンまんじゅうー」

(゚、゚トソン 「……ブーンは何が好きですか?」

(;^ω^) 「お? え、桜もちとショボン──」

(゚、゚トソン 「……ブーンは何が好きですか?」

(;^ω^) 「ちょ、トソンどうしたお? なんで何度も聞くんだお? 聞こえてないのかお 桜もちとショボンまんじゅうだお」

……やはり聞き間違いではないのですか。桜餅はわかります。私も好きです。
でもあの、特製ショボン饅頭が好きだとは……。

(゚、゚;トソン 「いえ、ちょっと現実を受け入れられなくて……。そうですか、あれが……」

確かに味はいいんですけどね。ブーンに端の方をちょっともらいましたが、しっとりとした生地に、滑らかな餡が包まれた正統派。
しかし、数種類の餡を練りこんであるようで、それが互いを邪魔しない綺麗なハーモニーを保っていました。

外見があれなんで敬遠してますが。


41 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:02:32.32 ID:mNwGmJZn0

そうこう話しているうちに、私達は饅頭屋、庶凡屋さんの前に辿り着いていました。
そういえば、ここにブーンを連れて入るのは初めてですね。
ブーンはその、少々時代がかった店構えを興味深そうに眺めています。

(´・ω・`) 「へい、らっしゃい。お? トソンちゃん、また来てくれたのかい? 嬉しいねー。
       ん? そっちの子は? お友達かい?」

(゚、゚トソン 「こんにち──え?」

私は、ショボンさんの言葉で振り返りました。もちろん、そこには誰もいません。ブーン以外は。

(´・ω・`) 「変わった子だね。あ、お客さんにそれは失礼だね。ごめんごめん、今日もサービスするから勘弁してよ」

(〃^ω^) 「こんにちわですお。僕はブーンですお」

(´・ω・`) 「はい、こんにちわ。僕はショボンだよ。なかなか礼儀正しい子だね」

2人とも、普通に挨拶を交わしてますね。ブーンが見えるのは確定のようです。
今朝のペニサスさんの話を思い出すと、少々複雑な面持ちにならざるをえませんが、私はショボンさんの方を見ました。


42 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:03:07.19 ID:mNwGmJZn0

(´・ω・`) 「ん、どうしたんだい? 難しい顔をして? 何か悩みなら、甘いものを食べてパーっと忘れるのもいいよ」

(゚、゚トソン 「いえ、この子のことなんですが」

・・・・
・・・

(´・ω・`) 「なるほどねー……」

私は、かいつまんでブーンの事をショボンさんに説明しました。
話していいものかは悩みどころでしたが、ショボンさんの人柄なら、ブーンがわかるという点を考えても、
話しても大丈夫と判断しました。

いざと言う時のために、事情を知った大人の方がいた方が、という打算が働いたことは否定しません。

(´・ω・`) 「まあ、僕にとっては大事なお客さんだからね。僕のお饅頭を食べてくれるなら何でもいいかな」

かなりアバウトな考えですが、ひとまず悪い印象は与えてない模様なので、それでいいかと思います。


44 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:03:34.23 ID:mNwGmJZn0

(´・ω・`) 「で、ブーン君だったね? 君は、僕のお饅頭は好きかな?」

(〃^ω^) 「大好きだお。おいしいお!」

(´・ω・`) 「そりゃ良かった。何が好きかな? 1つ食べるかい?」

(〃^ω^) 「僕ね、桜もちと、ショボンまんじゅうが好きだお!」

(´・ω・`) 「!!!」

ブーンの言葉を聞き、ショボンさんは弾かれた様に震えて、その後、微動だにされなくなりました。

(´ ω `) 「……」

( ^ω^) 「お?」

(゚、゚トソン 「ショボンさん……?」

(´ ω `) 「……ほ」


45 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:06:02.86 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「ほ?」

(´;ω;`) 「ホントかい、ブーン君!!! ホントに君は特製ショボン饅頭が──」

(〃^ω^) 「大好きだお。おいしいお!」

(´;ω;`) 「うぉぉぉぉーん!!!」

うわぁ……、なんでしょう、マジ泣きです。大の大人が人目もはばからず大泣きしています。
理由は、まあ、何となく想像付きましたが……。

(´;ω;`) 「僕は間違ってなかったんだね。全然売れないから不味いのかと散々悩んで、でも、でも──」

問題は味以外の部分でしたでしょうからね……。
私も買ってませんし。買ってないのにいつも何故か入っていたのでブーンが毎回食べてましたが。

    ヨシヨシ
(〃^ω^)つ(´;ω;`) 「うぉぉぉぉーん!!!」

・・・・
・・・


46 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:07:14.43 ID:mNwGmJZn0

(゚、゚トソン 「落ち着かれましたか?」

(´・ω・`) 「うん、すまないね。みっともないとこ見せちゃって」

しばらくの後、ようやく泣き止まれたショボンさんは、少々バツが悪そうに笑っていました。
ブーンは早速、ショボンさんにいただいたショボン饅頭とお茶を堪能しています。

(゚、゚トソン 「……そんなに売れてなかったんですか?」

(´・ω・`) 「うん、物の見事にね。何でだろうね、味には相当自信があったのに」

真実を告げるべきか迷いましたが、売れてない原因すら把握してないとなると、伝えた方がいいのかもしれませんね。

(゚、゚トソン 「やはり、見た目的な部分が大きいかと」

(´・ω・`) 「え! あんなキュートなのに!?」

(゚、゚;トソン 「キュートが不気味という意味なら確かにそうですが、普通の感覚だと受け入れ難い気はしますね」

(´・ω・`) ショボーン


47 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:07:56.98 ID:mNwGmJZn0

現実は時として、苦いものです。
突き付ける言葉が人を傷付けることがある事を、ブーンにもその内ちゃんと教えなければならないでしょうね。

(゚、゚トソン 「ですが、希望がないわけではありません。現に、ここにショボン饅頭を好きな子がいるわけですから」

(´・ω・`) 「そうだよね、確かに僕は間違って──」

(゚、゚トソン 「間違っているのは味や見た目ではなく、売る客層ではないでしょうか?」

(´・ω・`) 「どういうことだい?」

簡単な話です。大人や女性から見ればキモ──失礼、少々敬遠しがちな見た目でも、子供から見れば面白いになるわけですから。
そういった風な私の意見をショボンさんに伝えました。

(´・ω・`) 「……なるほど、客層か。確かに、うちには子供はほとんど来ないね」

(゚、゚トソン 「子供もお饅頭が嫌いなわけではないでしょうが、実際に買いにくるのはその親御さんでしょうからね」

(´・ω・`) 「直接子供に売る、ないし、子供に見せて気に入らせて、親御さんに買っていただくという寸法か」


50 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:08:39.26 ID:mNwGmJZn0

ショボンさんは、しばらく無言で考えた後、勉強になった、と大きくつぶやいて、ブーンにお代わりを持っていきました。
……あんまり与えないで下さいね。晩ご飯もあるんですから。

(゚、゚トソン 「少々差し出がましい口を挟んでしまいましたね。失礼しました」

(´・ω・`) 「いやいやいや、そんなことはないよ。非常に助かった! ホント感謝してる。今日は全部タダで──」

(゚、゚;トソン 「お願いですから普通に買わせてください」

この人といいペニサスさんといい、本当にもう、真面目に商売なさって欲しいところです。良い人達なんですけどね。

(´・ω・`) 「じゃあ、おまけいっぱいね。そこは譲れない」

私は、仕方ないですね、と笑って、ブーンを呼んで買うものを相談して決めました。
ブーンがショボン饅頭を頼もうとすると、そこは頼まなくていい、あげるから、とショボンさんに制されていました。

この流れで断るのもなんですから、そこは有り難くお受けしておきましたが。

折角ですから私も、これまで食べてないものも数品買ってみました。


51 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:09:14.10 ID:mNwGmJZn0

(´・ω・`) 「今日は量が多いんだね?」

(゚、゚トソン 「友達が3人ほど来ているので」

(´・ω・`) 「なんだそうか。じゃあおまけも5倍──」

(゚、゚;トソン 「お気遣いなく、本当に」

(〃^ω^) 「おっおっお」


 〜 第三話 おしまい 〜

    − つづく −   


53 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:09:46.68 ID:mNwGmJZn0

 〜 第四話 〜


(゚、゚トソン 「ただいま」

( ^ω^) 「ただいまーだお」

ξ゚听)ξ 「おかえり──、ってかなりの大荷物ね」

(゚、゚:トソン 「最後の最後でちょっと……、よろしかったらこれは晩ご飯までのつなぎとして食べちゃってください」

私は、そういってパンパンになった庶凡屋の紙袋をツンちゃんに渡そうとしましたが、ちょっと重すぎる気もしたので、
ひとまずキッチンのテーブルに置くことにしました。

「うわ、デレ、見てこれ? こんなのあいつに必要なくない? Aマイナーwww」

「ちょっと、ミセリちゃん、さすがにそれはまずいよ。確かにいらないかもだけど、下着入れとか漁っちゃダメだよ」


54 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:10:13.69 ID:mNwGmJZn0

ξ;゚听)ξ 「……」

( 、 トソン 「ブーン、ツンちゃん、ちょっと荷物を願い出来ますか?」

( ^ω^) 「はーいだお」

ξ;゚听)ξ 「ほどほどにね……」

・・・・
・・・

ミセメメдメ)リ 「トソンはもうちょっとシャレっ気を持つべきだと思うなー、切実に」

うるさい、黙れ。追い出されなかっただけでも有り難く思ってください。

ζ(;ー;メζ 「なんで私まで?」

デレ、自分の発言をよく思い返してみてください。


55 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:11:01.11 ID:mNwGmJZn0

私達は部屋のテーブルに付き、ブーンの入れたお茶を飲みながら休憩中です。

ミセ*゚ー゚)リ 「しっかし、驚いたよ。なんで黙ってたのさー?」
つ^ω^⊂ 「おっおっお」

(゚、゚トソン 「説明したら信じましたか?」

ブーンは私といっしょだったから、ミセリとは面識は皆無なはずなのですが、何やら既に仲良くなっています。
ミセリの物怖じしない単純な性格が、ブーンにはとっつき易いのかも知れませんね。

ミセ*-へ-)リ 「んー……」

ミセ*゚ー゚)リb 「とりあえず、大爆笑して馬鹿にしたかな?」

こいつは……。

ミセ*゚ー゚)リ 「でも、まあ、その後信じただろうけどね。あんたはそんなウソつくタイプじゃないし」

全くこいつは……アホのくせに腹立たしいですね。
私は無言で庶凡屋の紙袋を差し出しました。


56 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:11:51.43 ID:mNwGmJZn0

ミセ*゚ー゚)リ 「お? 何これ? お饅頭? 気がきくじゃん」

ζ(゚ー゚*ζ 「あ、なになに、お茶請け? 私も私も」

(゚、゚トソン 「デレはまず、ツンちゃんに勧めるとこから入ってください」

ξ゚听)ξ 「いいわよ、いつものことだし」

それほど広くもないこの部屋に、5人も集うとさすがに騒がしいものです。
普段の生活の経験上、防音は悪くない部屋なので、この位なら許容範囲でしょうが。

ミセ*゚∀゚)リつ(´・ω・`) 「なんじゃこりゃwwwwww」

ξ;゚听)ξ 「キモ!!!」

ζ(゚д゚;ζ 「微妙!」

ミセ*゚ー゚)リ 「え、でも結構かわいくない?」

(゚、゚;トソン 「かわいくはないですね」


57 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:12:25.06 ID:mNwGmJZn0

ツンちゃんがなにやら複雑な表情をしています。
まあ、確かに、アレを自分と同列に並べてかわいいと言われたら納得いかない物があるのは仕方がないかと。

(;^ω^) 「お……、僕の……」

ミセ*゚ー゚)リ 「ん? これブーンちゃんの?」

( ^ω^) 「うんお。……でも、ミセリが食べたいならあげるお」

ブーンはちょっと躊躇ってるようにも思えましたが、そう言うと、私の方を見て、にっこりと微笑みました。
ええ、それでいいんですよ。いい子ですね。私は、同じようにニッコリと微笑んでブーンを見ました。

ミセ*゚ー゚)リ 「ホント? 食べていいの? ありがとー」

(〃^ω^) 「いいお! まだいっぱいあるお」

そういってブーンは自分の分も袋から取り出します。そして紙袋をデレに渡しました。

ζ(゚ー゚;ζ 「流れ的に私もアレを取り出すべき?」

(-、-;トソン 「自分の食べたいものにしてください……」


58 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:13:09.49 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「なんでアレ、いっぱい買ってきたの? そんなに美味しいの?」

(゚、゚トソン 「味は確かなものです。私は見た目でパスですが」

じゃあなんで、と言うツンちゃんに、あれは買ったものではなく、おまけでもらったものだと説明しました。
丁度よい機会なので、ついでにショボンさんのこと、ブーンがわかったことも話しておきました。

ミセ*゚ー゚)リ}・ω・`) 「ホントだ、うま!!!」
つ^ω^)}・ω・`) 「おいしいお!」

ζ(゚ー゚;ζ 「絶対美味しそうに見えないんだけど、何故か惹かれてる自分が嫌……」

ξ゚听)ξ 「好きにしなさいよ……。……で、見える大人ね」

(゚、゚トソン 「まあ、有り得ない話ではないですよね。現に、今見えてる私達が大人になったら──」

そう言い掛けて、私は1つのことに気付きました。

( 、 トソン 「……」


59 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:14:01.42 ID:mNwGmJZn0

ξ゚听)ξ 「トソン?」

( ^ω^)}・`) 「おー?」

私達が、大人になったら……、私が大人になっても、ブーンのことは見えるのでしょうか……?

・・・・
・・・

トントントンと、規則正しい包丁の音が響きます。音の発生源は、私の目の前のはずなのですが、
どこか遠くの場所から届いたように、現実感のない空虚さで私を包みます。

一時の休憩を終え、私は晩ご飯の支度をしています。
狭いキッチンなので、1人でやると皆に言って作業をしています。

部屋の方からはテレビを見ながら歓談中なのか、楽しげな笑い声が聞こえてきます。

早く料理を作って、私もあの中に混じっておしゃべりしましょう。
そうすれば、こんな気持ちも消えてなくなるはずだから。


60 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:15:17.09 ID:mNwGmJZn0

──どうなのでしょうね。実際のところ。

話を聞けば聞くほど、考えれば考えるほど、今、自分がブーンのことをわかるのが奇跡にしか思えません。

同時に、それはいつわからなくなってもおかしくないことに繋がるように思えます。

(゚、゚トソン 「……はあ」

今日は鍋なので、調理自体はほぼ切るだけなのでそんなにはかかりません。
ですが、どうにも腕が重く、進みが遅いですね。

( ^ω^) 「トソーン? 手伝おうかお?」

いつの間にか、そばにブーンがいました。ひょっとすると、何度か呼びかけていたのかもしれません。
それが私に聞こえなかった──わからなかったとしたら?

(゚、゚トソン 「大丈夫ですよ。昼に説明したように、鍋料理はほとんど材料を切るだけですからね」

(;^ω^) 「そうかお……?」


62 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:15:55.66 ID:mNwGmJZn0

私がそう言っても、ブーンはまだその場から動きません。
私の声が届かなかった──はずはないですよね。ちゃんと返事はしてくれましたし。

(゚、゚トソン 「どうかしましたか?」

(;^ω^) 「おー……」

ブーンは何か言い淀んで、こちらを見ています。
ブーンも、何かわだかまる物を抱えているのでしょうか?
今の私のように、言いたくても言えない、言ってしまえば、全てが壊れてしまう言葉を。

私は、いつの間にかその言葉を口にしていました。

(゚、゚トソン 「私が、ブーンの事をわからなくなったら、ブーンはどうしますか?」

(;^ω^) 「お……」

答えられないのでしょうか? それとも、至極簡単な答えを出してくれるのでしょうか?


63 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:16:31.95 ID:mNwGmJZn0

( ^ω^) 「トソンがわからなくなっても、僕はここにいるお」

(゚、゚トソン 「何故ですか?」

わからなくなったら、私はブーンに何もしてあげられません。

( ^ω^) 「トソンがわからなくなっても、僕はトソンがわかるお」

ブーンが何をしても、私はブーンに気付かず、何もせず、何も言ってあげられなくなります。

( ^ω^) 「それでも僕は、トソンといっしょにいるお」

一方的な言葉。響かない言葉。届かない言葉。空しい言葉。

( ^ω^) 「僕はトソンを見ていられるお。声を聞いていられるお。ずっと見守っていられるお」

1人寂しく?

( ^ω^) 「1人じゃないお。僕はいつでもトソンといっしょだお」


「いつまでも、いっしょだお」


64 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:17:07.72 ID:mNwGmJZn0

( 、 トソン 「私は……」

( ^ω^) 「それに、トソンは忘れないお」

( ^ω^) 「前に僕が、お昼ご飯の食器を片付け忘れたことがあったお」

( ^ω^) 「そのときはトソンに怒られちゃったけど、そのあと、何度も片付けてたら忘れなくなったお」

( ^ω^) 「だから、トソンも何度もやるお」

( ^ω^) 「何度もいっしょに話すお。何度もいっしょに笑うお。何度もいっしょにご飯食べるお。
        何度もいっしょに歩くお。何度もいっしょに遊ぶお。何度もいっしょに──」

( 、 トソン 「ブーン……」

( ^ω^) 「それでもトソンが忘れちゃったら、僕が人間になって思い出させてあげるお。」

(  ω ) 「人間なら、きっとトソンから見えるお」

( ;ω;) 「だからきっとトソンは忘れないお。だから、だから──」


65 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:17:50.61 ID:mNwGmJZn0

( ;ω;(( 、 トソン 「ブーン、ごめんね。ありがとう。わかったから、わかったから、ね?」

( ;ω;) 「トソンは絶対、僕のこと忘れないお」

(゚ー゚トソン 「ええ、絶対、ブーンのことは忘れません」

信じる心……、ペニサスさんがそう言っていましたね。
私は、今まで知らなかった事を知ったことで、よくわからない不安に囚われていたのでしょうか?

これからどうなるかなんてわからない。でも、私はブーンを信じている。
今ここに、ブーンがいる事を信じています。
それでいいじゃないですか。こんなにも、私の事を信じてくれているブーンがいるのだから。

私はしばらく、ブーンと抱き合っていました。
いつかのように、ブーンが泣き止むまで、頭を撫でていました。

場が静かになっていたのに気付いたのは、だいぶ経ってからでした。

(゚、゚トソン 「さて、ご飯の準備しないとですね」


66 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:18:56.90 ID:mNwGmJZn0

ξ;゚听)ξ 「なんであんたはそんな平然としてんのよ」

ζ(;ー;*ζ 「ツンちゃん、そこつっこんじゃダメだよ!」

なんでデレが泣いてるんでしょうね。ツンちゃんの目も、少し潤んでるようにも感じられました。

ミセ*゚ー゚)リ 「まあ、まあ、そんなことよりご飯ご飯。さっさと準備しやがれい!」

努めて明るく振舞うのは、あれなりに空気を読んでのことですかね?

まあ、狭い部屋なんで、丸聞こえなのはわかってはいましたが。

(゚、゚トソン 「うるさいですね、ピーマン頭」

ミセ*゚ぺ)リ 「なんだとぉ、この、Aマイナー!」

( 、 トソン

ξ;゚听)ξ 「ちょ、包丁はやめなさい!」


67 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:19:39.04 ID:mNwGmJZn0

私は、ツンちゃんの声で我に返り、手近にあった包丁に伸ばそうとした手を止めました。
代わりに、反対側の手の中にあったものを──

ガシ!
つ< ^ω^) 「お?」

!!!      !!!     !!!        オー!!!   ブン!
ξ;゚听)ξζ(゚д゚;ζミセ;゚д゚)リ  (゚ω゚;)三二一 ⊂( 、 トソン

力任せに投げ付けました。

……私だって一応は恥ずかしいんですよ。
こういう場面を人に見られるのはね。

可愛げのある照れ隠しだと思ってくださいね、ブーン?


 〜 第四話 おしまい 〜

    − つづく −   


79 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:38:42.28 ID:MX0Em7roO

 〜 第五話 〜


ヾミセ*゚∀゚)リノ 「やっほー!!!鍋だー!!!

ヾ(〃^ω^)ノ 「やっほおー!!!」

ξ゚听)ξ 「へー、美味しそうに出来てるわね……」

ζ(´ー`*ζ 「さー食べるぞー!」

それそれが様々な反応で鍋をお迎えします。料理したとはおこがましくて言えないようなものでも、
これだけ喜ばれると作り甲斐があったというものです。

ミセ*゚ー゚)リ 「お酒は?」

ζ(´д`;ζ 「ないないない」

(゚、゚トソン 「……貞子さんもお呼びすればよかったでしょうかね?」


80 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:40:15.95 ID:MX0Em7roO

ミセ*゚ー゚)リ 「それは今回は見合わせて正解じゃない?」

ζ(゚ー゚*ζ 「どうして?」

ミセ*゚ー゚)リ 「人見知りのあの子の許容量じゃ、この状況はパンクしかねない気がしない?」

今日は随分とミセリがまともな事を。確かにその通りかもしれませんね。

(゚、゚トソン 「貞子さんには、私とブーンか、ツンちゃんの2人で1度顔をあわせてからの方がいいかもしれませんね」

ζ(゚ー゚*ζ 「……ツンちゃんが行くのに私がナチュラルにスルーされてるのは?」

ξ゚听)ξ 「今日だってミセリに説明するのに全く役立ってなかったじゃない」

ζ(;ー;*ζ 「ツンちゃんがいじめるよー」

      ヨシヨシ
(〃^ω^)つζ(;ー;*ζ 「うう、ブーンちゃんは優しいねー」


83 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:42:02.68 ID:MX0Em7roO

(゚、゚トソン 「さて、いただきましょうか」

   「「「「「いただきまーす(お)」」」」」
ミセ*゚∀゚)リξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^ )(゚、゚トソン

ξ゚听)ξ 「特に味付けはしてないの?」

(゚、゚トソン 「今日のはそうですね。主に素材の出汁のみ。後はお好みのたれで」

ミセ*゚∀゚)リ 「ポン酢!」

ζ(゚ー゚*ζ 「麺つゆ!」

ξ゚听)ξ 「醤油もなかなか……」

( ^ω^)「おさとう!」

(゚、゚;トソン 「それは止めてください。没収します」

(;^ω^)「おー……? ダメかお?」


85 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:45:54.28 ID:MX0Em7roO

(゚、゚トソン 「もう少し時間があれば、いろいろと調合してみるのも面白いんですけどね、たれ」

(;^ω^)「ポン酢すっぱいお……」

ζ(゚ー゚*ζ 「そういう場合は、こっちの麺つゆの方がマイルドだよ」

( ^ω^)「お! 僕はこっちの方が好きだお」

ミセ*゚ー゚)リ 「ちぃ、ポン酢の味がわからんとはお子ちゃまめ」

ξ゚听)ξ 「お豆腐美味しいわね」

(゚、゚トソン 「生姜醤油のお豆腐は私も大好物ですよ」

ミセ*゚ー゚)リ 「そんなお子ちゃまには、このゴマだれ!」

( ^ω^)「お? ……これおいしいお!」

(゚、゚トソン 「いつの間にそんなものを」

ξ゚听)ξ 「デレの部屋から取ってきたわ。アタシもあれ好きだし」


87 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:48:31.38 ID:MX0Em7roO

ζ(゚ー゚*ζ 「ブーンちゃん野菜も食べようねー?」

(;^ω^)「おー……、春菊は……」

(゚、゚トソン 「ブーン?」

(;^ω^)「食べるお! 苦いお……」

ミセ*゚ー゚)リ 「エラいな、ブーンちゃん!」

ξ゚听)ξ 「あんたは好き嫌いとかなさそうよね」

ミセ*゚ペ)リ 「ないともさー!」

( ^ω^)「トソンが嫌いなもの教えてくれないんだお」

(゚、゚;トソン 「ちょ、ブーン?」

ζ(゚ー゚*ζ 「ありゃりゃ、お母さんずるいねー」

(゚、゚;トソン 「だれがお母さんですか?」

(〃^ω^)「おっおっお」


88 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:50:22.89 ID:MX0Em7roO

ミセ*゚ー゚)リ 「ほらほら食え食えー!」

(゚、゚;トソン 「いっぺんに入れ過ぎないでください」

ζ(´д`*ζ 「私の糸こんにゃくが埋もれてったー!!!」

ξ゚听)ξ 「鍋の中の物に所有権つけないの」

(〃^ω^)「お肉おいしいお」

(゚、゚トソン 「うどんも入れますか」

ヾミセ*゚∀゚)リノ 「うどんキタ──────!!!」

ヾ(〃^ω^)ノ 「うどんだお──────!!!」

ξ;゚听)ξ 「なに、こいつらのテンションは……」

そんなこんなで賑やかなご飯タイムは終了しました。

・・・・
・・・


89 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:52:36.05 ID:MX0Em7roO

ミセ*゚ー゚)リ 「あー食べた食べた。お、ありがとう、ブーンちゃん」

穏やかな食休み。ブーンがツンちゃんといっしょにお茶をいれてくれています。

(゚、゚;トソン 「ミセリ、お腹出てますよ?」

ξ゚听)ξ 「その体格でよくもあれだけ食べたもんだわ」

ふつーふつー、と言いながら、ミセリは茶請けの桜餅をパクついています。
取り敢えず腹はしまって欲しいですが、ホントによく入りますね。

ζ(´д`*ζ 「お腹いっぱいー、しあわせー」

ξ゚听)ξ 「ここで寝ないのよ? ちゃんと帰ってからね?」

えー眠いー、というデレの頭をツンちゃんがバシバシと叩いています。
ブーンには余り見せたくない光景ですね。真似しませんように。

ミセ*゚ー゚)リ 「でも、いーなー」

(゚、゚トソン 「何がですか?」


91 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:56:35.13 ID:MX0Em7roO

ミセ*゚д゚)リ 「私もブーンちゃんかツンちゃん欲しいー」

ζ(´д`*ζ 「「あげない(ません)」」(゚、゚トソン

ミセ;゚ー゚)リ 「わかってるって、そうじゃなくて、夢見だっけ? そういう子。他にもいないの?」

ξ゚听)ξ 「……いるっちゃーいるはね」

ひょっとしてツンちゃん、あの方のことですか?

ミセ*゚ー゚)リ 「え、ホント? どこどこ? どこにいんの?」

(゚、゚トソン 「具体的にはわかりかねますが、私が引っ越して来た頃にこの辺りで出会いましたので」

ミセ*゚ー゚)リ 「なんて子? どんな子?」

ξ゚听)ξ 「名前はドクオ。見た目は、ちっちゃい人間ね。痩せ型の」

流石ツンちゃん。ウソはついてないけど、そこはかとなく真実は隠した説明ですね。


93 :◆iW2kGg44LU:2008/11/06(木) 23:59:17.81 ID:MX0Em7roO

ミセ*゚ー゚)リ 「そっかー、ドクオちゃんか。ちっちゃいんだー」

小さいは小さいですが、可愛くはありませんね。言いませんけど。

ミセ*゚ー゚)リ 「よし、今度探してみよう。探して捕まえよう!」

(゚、゚トソン 「捕まえたら教えてください。多少聞きたいことがありますので」

ミセ*゚ー゚)リ 「オッケー、把握」

といった所で、今日はお開きに。ツンちゃんはデレを引っ張って部屋へ帰りました。
ミセリもやけに張り切って帰っていきました。

・・・・
・・・

( ^ω^)「みんな帰っちゃったおー……」

(゚、゚トソン 「寂しいですか?」


94 :◆iW2kGg44LU:2008/11/07(金) 00:00:57.90 ID:ex1ZoasFO

私がそう聞くと、ブーンは首を振って、私がいるから寂しくないと答えてくれました。
でも、こういうのは、何か物寂しくなるものなのですよね。
なんでしょう? 祭りの後、とでも言うべきものでしょうか。

( ^ω^)「まつり?」

(゚、゚トソン 「うーん、説明が難しいですね。本来は神様に感謝したりとかで祀ることから来てるのでしょうが」

要はみんなで楽しく騒ぐこと、ですかね?

(〃^ω^)「おー、まつりだお。楽しかったおー」

またその内、みんなでご飯食べたりしましょうね。
次はミセリの家辺りで。色々と物色してきましょう。

(〃^ω^)「おっおっお」

(゚、゚トソン 「どうしました?」

(〃^ω^)「どうもしてないお。でも、なんだかトソンがうれしそうなのがうれしいお」


96 :◆iW2kGg44LU:2008/11/07(金) 00:02:39.14 ID:ex1ZoasFO

(゚、゚*トソン 「私は嬉しそうにしていましたか?」

(〃^ω^)" コクッ

(゚、゚*トソン 「そうですか? そうなんですかねぇ?」

よくわかりませんね。鏡でも見ないと、自分の顔は見えませんし。
でも、もし、私が嬉しそうにしていたのなら、それはきっとみんなと、

ブーンがそばにいるからですよ。

(゚、゚*トソン 「今日は早めに寝ましょうか?」

(〃^ω^) 「うんお!」


 〜 第五話 おしまい 〜

    − つづく −   


97 :◆iW2kGg44LU:2008/11/07(金) 00:03:16.66 ID:Dlnaa4cW0

 〜 (゚、゚トソンの日記 〜

今日は賑やかな一日でした。

朝は、先日から泊まっていたデレにツンちゃん、私とブーンの4人での賑やかな朝食。
個人的には、お味噌汁が久しぶりの会心の出来だったのですが、誰もその点に触れなかったのがちょっと寂しい。

それからペニサスさんのお話。また新しい事実がいくつかわかりました。
ひょっとしたらペニサスさんは、以前に夢見と暮らされていたのでは、とは思うのですが、
そのに点は何か触れてはいけないものがあるような気がします。

ミセリは……何と言うか、まあ、予想通りにミセリなわけで。
あれは子供なんでしょうね、色々な回路が。驚くべき速さでブーンやツンちゃんに馴染んでましたし。

そしてショボンさん。
……気付いてなかったんですね、特製ショボン饅頭の問題点。
ブーンのことがわかったことより、そっちの方が驚きです。
そんなショボンさんだから、ブーンのことがわかったのかもしれませんが。


98 :◆iW2kGg44LU:2008/11/07(金) 00:04:45.09 ID:Dlnaa4cW0

ペニサスさんが言っていた信じる心。
私には、それがあったのでしょうか?

あったから、ブーンがわかったのでしょうが、私にはそれを持ち続ける自信がありませんでした。
そしてそれを、自分の中で処理できませんでした。

だからそのまま、ブーンにぶつけてしまいました。

私は、また、ブーンを傷付けてしまうところだったのかもしれません。

でも、ブーンはそれを真正面から受け止めてくれました。
驚くほど強く、まっすぐにです。

ありがとう、ブーン。
私はもう、迷わずにいられそうです。

ブーンといっしょに、いつまでも、いっしょに夢を探しましょう。


100 :◆iW2kGg44LU:2008/11/07(金) 00:05:23.85 ID:Dlnaa4cW0

そうそう、あれからブーンが字を覚えるって張り切ってます。

忘れるのが怖いなら、いっぱい形になるものを残そうって、ブーンも日記を書くんだって張り切ってます。

そのうち、ブーンの日記も読める日が来るかもしれませんね。
私も楽しみです。

今日は本当に、賑やかで有意義な一日でした。
ブーンは大勢での食事を楽しんでくれましたでしょうかね?
ミセリはちょっと食べすぎだと思いますが。

なんにせよ、私は……

(゚ー゚*トソン 「明日もまた、いつものようにブーンといっしょにがんばっていこうと思います」(〃´ω`)zzz



 − 第五章 言葉と私と信じる心 おしまい −


   − 夢は次章へつづきます −   


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