5 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:43:51.04 ID:8aKVpNle0

 − 第十二章 海と私と小旅行 −

 〜 第一話 〜


おはようございます、都村トソンです。

旅行の計画が具体性を帯びてから、数週間ほどが過ぎ、ついにその当日と相成りました。

旅行の準備、と言っても、1週間分の着替え以外は大して荷物はありません。
基本的な設備は整っているとのことですし、こちらも、特別に何かをしに、という目的もありませんしね。

私は日程の調整、ビロード君の家庭教師の件がありましたが、幸いな事にビロード君の1学期の成績が
それなりに学習の成果が見られましたので、ビロード君の親御さんからの覚えもよく、こちらの都合で
お休みさせてもらう事になりました。

その分、ここの所はほぼ毎日のようにビロード君の家に行き、みっちりと授業をこなしましたけどね。

(〃^ω^) 「おー……。今日はどうぶつえんの時とはちがう電車なんだおね?」


8 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:45:21.34 ID:8aKVpNle0

(゚、゚トソン 「ええ、反対方向ですね。この駅で言うところの下りの電車ですね」

( ^ω^) 「くだり?」

思わず慣用的な表現を用いてしまい、下りの意味をブーンに説明する事になりました。
こうやって少しずつ、ブーンが学んでいっていると思えば、説明するのも苦にはならないんですよね。

( ^ω^) 「お! わかったお!」

ξ゚听)ξ 「2人とも、もう、電車来るわよ?」

少し離れたベンチで会話していた私とブーンの所へツンちゃんが呼びに来てくれました。
さすがに今日は既に全員揃っています。
ミセリは前日から貞子の家に泊まっていたようで、本人曰く、万全を期したそうです。

遅れたら確実に置いていかれると理解していたのでしょうね。
もちろん、置いていきますけども。

(゚、゚トソン 「ありがとう、ツンちゃん。もうそんな時間ですか」


9 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:46:10.49 ID:8aKVpNle0

ξ゚听)ξ 「ミセリとは大違いね」

ツンちゃんが言うには、ミセリは先程から電車はまだか、遅い、電車遅れてない? 等、うるさかったらしいです。
まさに遠足前の子供状態ですね。

(゚、゚トソン 「まあ、あれといっしょにされても困りますが」

ξ゚ー゚)ξ 「そうね。あんたまであんな風だったら、この旅の先行きは不安だらけだわ」

(〃^ω^) 「でも、ミセリの気持ちもわかるお! ぼくもすっごく、すっごく楽しみにしてたんだお!」

そう言ってブーンはピョンピョン飛び跳ねます。
そうでしたね。こちらも遠足前の子供状態でした。
出発まであと何日というのを指折り数えてましたし、もう暗記してるんじゃないかと思えるほど旅行のしおりを読み返してました。
昨日は昨日で、明日は朝何時だ、忘れ物はないか等、何度も確認させられましたしね。

(゚、゚トソン 「はいはい、わかってますよ。私もブーンといっしょで楽しみでしたからね」

そう言って私は軽くブーンの頭を撫でます。
その様子を見ながら、ツンちゃんはちょっと苦笑い気味に微笑んでいました。
世話が焼けそうだ、とでも思ってるのでしょうね。
ええ、多分ブーンの、それとヒートちゃんの世話を焼いてもらう事になりそうです。


10 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:47:52.76 ID:8aKVpNle0
・・・・
・・・

電車の旅は2時間ほど。途中で1度、乗換えがあります。
最初の電車はそれなりに混んでいたので、ブーン達は私達の膝の上で大人しく座っててもらいました。

乗り換えて以降は、客もまばらになりましたので、それぞれが思い思いに外を見たりお話したりで
電車の旅を満喫しているようです。

ノパ听) 「海の水がしょっぱいってホントか?」

(゚、゚トソン 「ええ、本当です。塩水ですから、飲んじゃダメですよ?」

ノパ听) 「わかった、気をつけるぞ」

私は目的地、ニュー速県にある雲井ヶ浜についてほとんど知りませんでしたが、この旅行が決まってから多少は調べてみました。
ニュー速県にはいくつか海水浴場があり、私達が行く雲井ヶ浜もその1つです。

雲井ヶ浜は、その名が示すように少々変わった地形をしており、さながら夏の雲のようにもこもことした(観光案内から引用です)
形状になっているらしいです。


14 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:49:52.33 ID:8aKVpNle0

あまりイメージが沸きませんでしたが、写真と説明からわかった事を要約すると、砂浜がそんなにまとまった
広いスペースがないせいで、他の海水浴場よりは少々人が少ない、いわゆる穴場的な場所らしいです。
その分施設等も少なく、他と比べて不便ではあるみたいですけどね。

ノハ*゚听) 「塩水の海があるなら、砂糖水の海もあるのか?」

(゚、゚トソン 「残念ながら、海は全て塩水の物しかありませんね」

ノハ´兪) 「ないかー」

人が少ないのは私達、ブーン達に取っては好条件です。
施設も、着替えは旅館で、食事はお弁当でと、私達なら何とかできる範囲でしょう。

ノハ*゚听) 「お魚とか捕ってもいいのか?」

(゚、゚トソン 「それは構わないでしょうが、海の中のお魚さんはものすごく素早いですよ?」

ノハ*゚听) 「そうなのか? それは絶好の修行相手だぞ!」

私は、ふと気になって貞子の方を見てみたら、珍しく眠っているようです。
ヒートちゃんに聞いたところ、昨夜はミセリが騒がしくて寝るのが遅くなった事と、
貞子は早起きしてお弁当を作っていたことがわかりました。


16 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:51:28.07 ID:8aKVpNle0

なるほど、それで貞子は眠っているのですね。
ただ、恐らく騒がしかったのはミセリだけではないでしょうけど。

(゚、゚トソン 「貞子を到着まで起こさないようにね、ヒートちゃん」

ノハ*゚听) 「うん!」

私はヒートちゃんの赤い髪を手で梳きながら、ゆっくりとそう言いました。

( ^ω^) 「……」

(゚、゚トソン 「?」

正面に視線を戻すと、いつの間にか目の前にブーンがいました。
無言でこちらを見ています。何でしょう?

(゚、゚トソン 「どうしました、ブーン?」

ノパ听) 「どうしたんだぁぁぁぁ?」

( ^ω^) 「お!」


17 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:52:21.75 ID:8aKVpNle0

ブーンは突然私とヒートちゃんの間にちょこんと飛び乗るように座りました。

ノパ听) 「うぉ! なんだぁぁぁぁ、ブーン?」

(゚、゚トソン 「ブーン?」

私が首をかしげてブーンを見ていると、その様子を見ていたらしいデレがやってきました。

ζ(゚ー゚*ζ 「よっと」

そして、ヒートちゃんをいきなり抱き上げました。

ノパ听) 「お!? デレ?」

ζ(゚ー゚*ζ 「ねー、ヒートちゃん、あっちの方にさ、すっごいでっかい建物が見えるよ」

ノパ听) 「ホントかぁぁぁぁ? どれだぁぁぁぁ?」

そしてそのまま、ヒートちゃんを抱えて反対側の座席に戻って行きました。
私が呆気に取られて見ていると、デレはウィンクした後、視線をブーンに向けます。


18 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:52:57.03 ID:8aKVpNle0

私は、デレの視線に釣られる様にブーンの方に顔を向けますと、ちょっと不安そうな顔をしたブーンがこちらを見ています。

(゚、゚トソン 「……」

( ^ω^) 「……」

そこでようやく、ブーンの行動とデレの行動、一連の流れを理解しました。

(゚、゚トソン 「……ヒートちゃんには海の水が塩水である事を説明していたんですよ。ブーンは知っていましたか?」

( ^ω^) 「お。知ってたお。ご本で読んだお」

(゚ー゚トソン 「そうですか、よくお勉強してますね」

(〃^ω^) 「おー!」

いわゆる、やきもち、というものでしょうかね?
私がヒートちゃんとばっかりしゃべってたから、ブーンは寂しくなったのかもしれません。

しかし、さっきまではしゃいでうろうろしていたのはブーンですよ?


20 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:55:46.12 ID:8aKVpNle0

私は、何だか嬉しいような、ちょっぴり恥ずかしいような気分でブーンの頭を撫でました。

(〃^ω^) 「おー……」

(゚、゚トソン 「私は、ブーンが好きですし、ヒートちゃんやツンちゃんも好きですよ?」

(〃^ω^) 「うんお! ぼくもトソンが好きだお! デレたちみんなが好きだお!」

私達は顔を見合わせ、にっこり微笑みあいました。

(〃^ω^) 「お……。おひざにのってもいいかお?」

(゚ー゚トソン 「ええ、いいですよ」

ブーンは返事を聞くとすぐ、私の膝の上にちょこんと座りました。
最近ちょっと重くなってきた気がするブーンですが、まだまだ大丈夫なくらいではあります。

(〃^ω^) 「お!」

(゚、゚トソン 「何ですか?」


22 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:56:39.09 ID:8aKVpNle0

(〃^ω^) 「なんでもないお。なんでもないけど、トソンのおひざの上は気持ちいいお」

そういってブーンは、私に大きく背中を預けてきました。
前を向いたその顔に、にこやかな笑みを浮かべたまま。

(〃^ω^) 「おおー♪ おおおおおっおっお♪」

(-、-トソン 「Roll up, roll up for the Mystery Tour♪」

上機嫌で歌い出したブーンに合わせ、私も、ブーンが歌っていると思われる歌を小声で口ずさみました。

快調に進む電車は、県境にある長いトンネルに入りました。


 〜 第一話 おしまい 〜

    − つづく −   


23 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:57:30.06 ID:8aKVpNle0

 〜 第二話 〜


ミセ*゚∀゚)リ 「う・み!」

ノハ*゚听) 「だぁぁぁぁ!!!」

電車が幾つ目かのトンネルを抜けた直後、左前方に突如として海が広がりました。
ミセリやヒートちゃんのみならず、私の膝の上にいたブーンも、飛び降りて反対側の窓に張り付きました。

(〃^ω^) 「おおー! すごいお! 青いお!」

ξ*゚听)ξ 「へー。海見るのも久しぶりだけど、なかなかきれいな海ね」

4人がはしゃぐ中、デレが私の方に寄って来ます。
あの4人ほどはしゃいではいないものの、デレもその表情から浮かれ気味なのが見て取れます。

ζ(゚ー゚*ζ 「綺麗な海だねー」

(゚、゚トソン 「デレの田舎の方に比べたら、そうでもないのでは?」


25 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:58:29.05 ID:8aKVpNle0

デレの出身はもっと南の方、こちらよりもっと田舎だという話を以前に聞きました。
山や海、自然の風景が色濃く残るらしいです。
その話を聞いていると、一度ブーンを連れていっしょに行ってみたくなりました。

ζ(゚ー゚*ζ 「そんなに変わんないかな? まあ、向こうの方がもうちょい田舎だからねー」

その分は綺麗かも、と、やはりデレの田舎の方はもっと綺麗なのでしょうね。

(〃^ω^)ノシ 「トソーン! ほら、海だお! きれいだお!」

ζ(^ー^*ζ 「呼ばれてるよ?」

(゚、゚トソン 「はいはい、ちょっと待ってください」

私は肩を1つすくめ、立ち上がり、ブーンの方に歩いていきました。
後ろからデレがツンちゃんに何か言っているのが聞こえましたが、大方、自分は呼んでくれないの?
とかそんな所でしょう。

・・・・
・・・


26 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 21:59:35.46 ID:8aKVpNle0

(〃^ω^) 「お!」

ブーンは、電車が駅に到着すると、真っ先に電車から跳ねる様に降りました。
ヒートちゃんとミセリがそれに続き、私とツンちゃん、デレと貞子が少し遅れて後に続きました。

ミセ*゚д゚)リ 「うあちぃー」

駅を出て、ロータリー付近に全員で集まります。
ミセリが言うように、今日はとても暑い日です。海のそばだと、日差しが余計に強く感じられるのは錯覚でしょうか。

ζ(゚、゚*ζ 「うーん、潮くさ!」

ξ;゚听)ξ 「あんたってさ、毎回風情が無いわね……」

( ^ω^) 「お……?」

ノパ听) 「何か風が変な感じだぁぁぁぁ!」

ブーンとヒートちゃんは海が初めてなのでしたね。
私は2人に海から吹く潮風に付いて説明しました。
この、海独特の匂いは嫌いではないのですが、後々のケアが面倒ですよね。主に髪とか。


27 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:01:56.91 ID:8aKVpNle0

(゚、゚トソン 「ブーン?」

( ^ω^) 「……」

川д川 「ここで待っていれば、旅館の人が迎えに来てくれるんだよね?」

黙って説明を聞いているものだと思ったブーンから、説明が終わっても何の反応も無いので気になりましたが、
貞子が話しかけてきたので、私はそちらの応対に移ります。

(゚、゚トソン 「ええ、ショボンさんの従兄弟のシャキンさんが来てくれるはずですが……」

ξ゚听)ξ 「目印は?」

(゚、゚トソン 「旅館の名前、るんるん雲井ヶ浜というらしいですが、ペニサスさんの話だと、
      それ以前にシャキンさん見ればわかるらしいのですが」

ζ(゚ー゚;ζ 「そのさらに以前に、旅館の名前につっこみたいんだけどね」

略して、るん雲らしいです。ペニサスさんの話だと。もう既に私がつっこんでおきましたが、昔からそうだし、
地元ならるん雲で通るというペニサスさんのお言葉を黙って受け入れておく事にしました。


29 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:04:21.77 ID:8aKVpNle0

と言いますか、全員一応旅行のしおりに目を通しているはずですから、その辺は見ているはずなんですけどね。
どうも皆さん、最終的に私がどうにかするだろう的な発想が根底にあるような気がしてなりません。
まあ、信頼されていると思えば誇らしくもありますがね。

ミセ;゚ー゚)リ 「さすがにここで立ちっぱなしはしんどいよね」

どの電車かを伝えてはありましたが、向こうもお忙しいでしょうから、あまり無理を、というようなことをミセリに
言おうとしましたが、それは1台の車のクラクションに阻まれました。

(`・ω・´) 「君らがトソンちゃんと愉快な御一行様かな?」

ノパ听) 「まんじゅうだぁぁぁぁ!」

……ああ、なるほど。確かに見ればわかりますね。そっくりですね、ショボンさんと。
恐らくこの方がシャキンさんなのでしょう。

(゚、゚;トソン 「その名前は初耳というかどうかと思いますが、私が都村トソンです。シャキンさんですね。はじめまして」

(`・ω・´) 「やあ、はじめまして、皆さん。僕がシャキンだよ」

朗らかな調子で挨拶を返されるシャキンさんの様子は、本当にショボンさんそっくりです。御兄弟かと思うほどに。


31 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:06:22.01 ID:8aKVpNle0

(`・ω・´) 「ひー、ふー……、七、うん、ちゃんと7人揃ってるね」

川;д川 「えぇ? シャキンさん、この子達が……?」

(`・ω・´) 「ああ、うん、ペニサスちゃんから聞いてるよ。同じなんでしょ、ペニサスちゃんと?」

事も無げにシャキンさんは言います。確かに、ペニサスさんにはブーン達3人も連れて行くことは伝えてはいました。
それに対して、心配するなとペニサスさんは返事をされていましたが、こういうことだったのでしょうか。
しかし……

(`・ω・´) 「ささ、乗って乗って。暑かっただろ、まずは旅館まで、ね」

ζ(゚ー゚;ζ 「え? 乗れって、これに……?」

ノハ*゚听) 「しってるぞぉぉぉぉ! これはオープンカーというやつだぁぁぁぁ!」

残念ながら少し違いますね。これはいわゆる軽トラック言われるものですね。
乗れと言うのは荷台に乗れということでしょう。


34 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:10:46.07 ID:8aKVpNle0

ミセ*゚ー゚)リ 「よっし! いっちばーん!」

ミセリがまず、躊躇無く飛び乗ります。意外と運動神経は良いミセリです。
続いてヒートちゃんが飛び乗り、ミセリに手を借りて貞子が。そしてツンちゃんとデレ。
最後に残ったのは私とブーンです。

(゚、゚トソン 「ブーン?」

先程から様子がおかしいブーン。おかしいというよりは、呆っとしてるのか、何かを考え込んでるのか……。

( ^ω^) 「……」

(゚、゚トソン 「どうしました?」

( ^ω^) 「……おー」

(゚、゚トソン 「具合でも悪いのですか?」

( ^ω^) 「お。違うお」

何でしょう? ブーンの表情を伺うと、狐につままれた、とでも言うような、驚いたような慌てたような顔をしています。


35 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:11:19.51 ID:8aKVpNle0

(;^ω^) 「よくわかんないんだけど、なんかここ、来たことあるような気がするお……」

(゚、゚;トソン 「え!?」

ミセ*゚д゚)リ 「おーい、トソーン。早く乗ってくれー。ここは暑くてかなわんのよ」

(`・ω・´) 「ははは。走り出せば涼しくなるさ」

私は、しゃがみこみ、ブーンと目線をあわせ、優しくブーンの頭を撫でます。

(゚、゚トソン 「そうですか。ブーンは昔ここに来た事があったのかもしれませんね。でも、今は車に乗りましょう。
      ここは暑いですからね。後でゆっくりいっしょに考えましょう」

ブーンは少し不安そうに私の目をじっと見ていましたが、やがていつもの調子で、

(〃^ω^) 「うんお!」

と頷いてくれました。


37 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:12:42.35 ID:8aKVpNle0

私は、ブーンを抱えて荷台に乗せ、自分も上がろうとしましたが、シャキンさんから1人は助手席に、と言われて、
自分は助手席に座りました。

(゚、゚トソン 「すみません、お時間をとらせました」

(`・ω・´) 「よし、みんな乗ったね? それじゃ、しゅっぱーつ。あ、落ちないように気を付けてね?」

(゚、゚;トソン 「落とさないような運転でお願いします」

・・・・
・・・

旅館までは車で15分程度だそうです。
目的柄、駅よりは海に近い立地の方が旅館としては適しているでしょうからね。

ミセ*゚∀゚)リ 「うひょー! いい風ー!」

ヾ(〃^ω^)ノシ 「おおー! 風がびゅーんってすごいおー! 車はやいおー!」

川;д川 「ヒートちゃんは大人しくしててねー」
つパ听) 「貞子、くっつくと暑いぞー?」


40 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:15:07.78 ID:8aKVpNle0

ζ(゚ー゚*ζ 「中々快適だねー」

ξ゚听)ξ 「あんた、意外と慣れてる?」

ζ(゚ー゚*ζ 「田舎者だからねー、軽トラは慣れてるよ」

シャキンさんの車は颯爽とに海沿いの道路を走ります。
窓を開けているので、後ろで騒ぐ面々の声も所々聞こえてきます。

そういえば、ブーンは車に乗るのは初めてじゃないでしょうかね?
初めてが軽トラの荷台と言うのはどうかとは思いますが、先程までと違って、
いつもの明るいブーンに戻っているようなので少し安心しました。

(`・ω・´) 「賑やかだね」

(゚、゚トソン 「これからしばらく騒がしいとは思いますが、よろしくお願いします」

気にしないで、子供は元気が一番と、快活に笑うシャキンさん。笑った感じとかもショボンさんそっくりですね。

(`・ω・´) 「あんまり客が多いとこでも無いからね。部屋を遊ばせておくよりはね」

(゚、゚トソン 「結構良さそうな雰囲気ですけどね、この辺りは」


41 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:15:52.73 ID:8aKVpNle0

シャキンさんの話では、レジャーの多様化に伴い、海はちょっと人気が落ちているとこがあるらしいです。
色々とアフターケアが面倒なので。主に潮と砂。
わざわざ海沿いまで来ても、リゾートホテルのプールにしか行かない人も増えたとのことです。

(`・ω・´) 「この県内でこの浜が一番不便だからね。最も人気が無い。漁港兼、なとこもあるけどね」

(゚、゚トソン 「なるほど」

(`・ω・´) 「まあ、でもね、漁港兼ってことは食事には期待してくれて構わないってことでもあるよ」

(゚ー゚トソン 「それはうちの連中が一番喜びそうな点ですね」

シャキンさんは中々話しやすい人で、旅館に着くまでにはもう数年来の客になったかのような気安さで話せる様になっていました。

(`・ω・´) 「さあ、到着だ」

       「「「「「「「おおー!」」」」」」」
川д川ノハ*゚听)ミセ*゚∀゚)リξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^〃)(゚、゚トソン

程なくしてたどり着いた旅館、るんるん雲井ヶ浜は中々の年季の入った建物で、立地条件も悪くありません。
駐車場の脇の小道から、海岸まですぐ歩いていけるようです。


42 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:19:00.51 ID:8aKVpNle0

(#゚;;-゚) 「お疲れさん、それと、いらっしゃい」

       「「「「「「「こんにちはー」」」」」」」
川д川ノパ听)ミセ*゚ー゚)リξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^〃)(゚、゚トソン

(`・ω・´) 「ただいま。お客さん、無事に連れてきたよ」

旅館の中から1人の小柄な女性が出てこられました。シャキンさんとの空気を見る限り、恐らくは──

(`・ω・´) 「あ、こっちが妻の、この場合は女将さんかな? でぃだよ」

(#゚;;-゚) 「よろしくね。……えーっと、どの子がトソンちゃん?」

(゚、゚トソン 「あ、はい私ですが。この度は色々と──」

(#゚;;-゚) 「え?」

(゚、゚:トソン 「え?」

名乗り出た途端、私の顔を見て疑問の声をあげるでぃさん。
なんでしょう? どこかで会った事ありましたでしょうか?


44 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:20:42.16 ID:8aKVpNle0

(#゚;;-゚) 「うーん……」

(゚、゚:トソン 「あの……?」

でぃさんは私の周りを回りながら、じろじろと観察されています。
何か私に不自然な点があったのでしょうか?

(゚、゚:トソン 「あの──」

(#゚;;-゚) 「──あ! ごめん、ごめん、ついね」

(゚、゚トソン 「つい?」

(#゚;;-゚) 「いや、ペニサスちゃんからね、自分そっくりのいい子が来るって聞いてたからさ」

ンソト;゚、゚) 「は?」

そっくりですか? 私とペニサスさんは……似て無いですよね、色々と。
そういったことを自分から告げると、でぃさんは、


45 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:21:25.54 ID:8aKVpNle0

(#^;;-^) 「うん、似てない。てっきりもっとバイんバイんな、ちょっとアッパーな子がくるのかと思ったら、
      どこぞやのお嬢様みたいにバカ丁寧な子なんだもん」

と、大笑いし、私をバシバシと叩きながら仰られます。

ミセ*゚∀゚)リ 「うひゃひゃひゃひゃ! 確かに全然違うわ。こっちは棒体型だもんね」

ζ(゚ー゚*ζ 「性格もねー。似てるのって、意外と面倒見が良いとこだけじゃない? 体型は全然だけど」

川д川 「顔立ちは割りと似てるかも? まあ、でもやっぱり体型が……」

( 、 トソン

ξ;--)ξ 「何で毎回こいつら学習しないのかねぇ?」

・・・・
・・・

(゚、゚トソン 「というわけで、不束者ではありますが、よろしくお願いします」

(;#゚;;-゚) 「腕っ節は結構似てるかもね……あははは……」


46 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:21:57.43 ID:8aKVpNle0

何を仰っておられるのやら。私とペニサスさんは似てませんよ、ええ。
でぃさんは、ペニサスさんとショボンさんの2人が推薦しただけのことはあるね、気に入った、と豪快に笑われました。
結果的には大いに気に入ってもらえたようなので、これはこれで幸いでしたでしょうか。

(`・ω・´) 「じゃあ、部屋に案内しようか」

(゚、゚トソン 「お願いします」

ξ゚听)ξ 「ほら、行くわよ?」

ζ(メメ、メメζミセメメ、メメ)リ川メ、メ川 「「「は〜い」」」

(〃^ω^) 「お!」

ノパ听) 「おー!」

私達は、クーラーの程よくきいた館内に足を踏み入れました。


 〜 第二話 おしまい 〜

    − つづく −   


47 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:26:11.94 ID:8aKVpNle0

 〜 第三話 〜


ノパ听) 「おー! 広いぞぉぉぉぉ!」

私達が通された百合の間は、十畳以上はありそうな、私達だけで使うには結構広めの畳の部屋でした。
ブーン達は基本的に場所を取りませんからね。それを考えると広すぎるかもしれません。

(`・ω・´) 「とりあえず、館内の施設の説明をざっと」

シャキンさんは、食事や大浴場設の利用時間を簡単に説明してくれました。
食事だけは時間がある程度決まっているものの、大浴場などは深夜の清掃時間以外は自由に入れるそうです。

必要なら、簡易の厨房も使えるようで、自分達で料理をするのもいいそうなので、こういった点は私達には嬉しい限りです。

(゚、゚トソン 「わかりました。ご説明ありがとうございます」

(`・ω・´) 「案内図はこれね。今日は特に何も無いだろうから、早速泳ぎに行くのもいいんじゃないかな?」


48 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:27:02.61 ID:8aKVpNle0

格安でお世話になる以上、こちらからお願いして、バイトと言いますか、お手伝いをさせてもらう事になっていましたが、
それは明日から3日間で、半日ずつの予定です。
今日はシャキンさんの仰られるように、泳ぎに行きましょうかね。
そうしないと収まらない子供達ばかりでしょうしね。

シャキンさんは、また夕食時に、と部屋を出て行かれました。

ミセ*゚∀゚)リ 「よし! 泳ぎに行くぞー!」

ξ゚听)ξ 「その前にお昼ご飯」

(〃^ω^) 「お! ぼく、おなかぺこぺこだお!」

川ー川 「フフフ、残すと痛んじゃうから、全部食べちゃってね」

お昼ごはんは貞子が全員分、お弁当を作って来てくれています。
毎度の事で申し訳ないですが、貞子は楽しんで作ってるから気にしないで、と嬉しそうに笑います。

ミセ*゚∀゚)リ 「うし、ちゃっちゃっと食べて泳ぎに行くぞー!」


50 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:31:39.34 ID:8aKVpNle0

ノハ*゚听) 「う、うまいか?」

(゚ー゚トソン 「ええ、美味しいですよ」

(〃^ω^) 「これがヒートのにぎったおにぎりかお? おいしいお!」

ノハ*゚听) 「ホントかぁぁぁ──モガ」

ξ゚听)ξ 「だから、うるさいっての!」

喜びのおたけびを上げるヒートちゃんの口に、ツンちゃんがおにぎりを押し込みました。
やれやれと、肩をすくめる仕草を見せるものの、ヒートちゃんがちゃんとおにぎりを握れるくらい
成長したことが嬉しいようで、ツンちゃんの顔は笑っています。

ミセ*゚∀゚)リ 「ごちそーさーん!」

川;д川 「はやっ! しかも結構食べたねー」

ミセ*゚ー゚)リ 「私が本気を出せばざっとこんなもんよ」

著しく本気を使う方向が間違っていますが、確かに結構な速さで食べましたね。
私は少々呆れ気味にミセリを見ながらゆっくりとお茶を口に運びました。


51 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:32:12.69 ID:8aKVpNle0

ミセ;゚ー゚)リ 「お嬢様、少々ゆっくり過ぎではなくて?」

(゚、゚トソン 「別に急いで食べなくても海は逃げませんよ?」

ζ(゚ー゚*ζ 「お母さんは否定するけど、お嬢様は否定しないんだね……」

細かいツッコミを入れてくるデレを無視し、さらにミセリに言います。

(゚、゚トソン 「それに、行きたいなら1人で先に行けばいいじゃないですか。道はすぐわかるはずですよ?」

ミセ*゚ぺ)リ 「わかってないなー、トソンは。こーゆーのは、みんなで行くから楽しいんじゃないかー」

そう言ってミセリは順々に私達を見回します。
そして何故か、見られた面々の視線は私に集まることになります。

(-、-トソン 「……もうすぐ食べ終わりますから、ちょっと待ってください」

(〃^ω^) 「お! ちょっとだけ速く食べるお!」

ブーンのその言葉で、皆の食べる速度が少し速くなった気がしましたが、実際のところはどうだったんでしょうね。
私も、心持ち速く食べる努力はしましたが。


52 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:34:36.44 ID:8aKVpNle0
・・・・
・・・

⊂二二(〃^ω^)二⊃ 「いっちばーんだお!」

ノハ*゚听) 「くそー! 負けたぁぁぁぁぁ!」

ミセ;゚д゚)リ 「ちょ、2人とも速過ぎ! ちょっち待ってよ!」

食事が終わり、私達は全員で連れ立って海まで歩いていきました。
着替えは旅館の部屋で済ませました。
海まで大して距離は無いので、帰りもこちらに戻って来てから着替えですかね。

着替え風景は省略します。
主に私の精神衛生上の問題で。

ええ……。

(゚、゚トソン 「結局走って先に行くのなら、待ってた意味がなくありませんかね?」

ζ(゚ー゚*ζ 「まあまあ。それにほら、海には入らず待ってるみたいだよ?」


54 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:38:00.10 ID:8aKVpNle0

川д川 「ものすごい勢いで手を振ってるミセリちゃんが見えるね。早く来いということかな?」

ξ゚听)ξ 「ガキね……」

樹木の生い茂った急勾配の階段を辿り、私達は砂浜へ降り立ちました。
海に近付くと、潮の匂いが一際強まった気がします。

ミセ*゚д゚)リノシ 「うぉーい、遅いぞー!」

ブルーの、いわゆるタンキニと呼ばれる水着を着たミセリがまだ手を振っています。
下はショートパンツ状のスポーティーな感じで、活発なミセリには結構似合ってるのではないでしょうか。

ζ(゚ー゚*ζ 「お待たせー」

デレはフレアなトップスで、スカート付きのセパレートの水着、色はカーキと少々地味目です。
本人曰く、目立ちたくないというのと、目立たせたくないというので色も形状も選んだようです。

まあ、それでもある一点はかなりの存在感を示してはいるようですけどね……。


55 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:38:24.28 ID:8aKVpNle0

ミセ*゚д゚)リ 「待たせ過ぎじゃー、ドン亀どもめ! ブーンちゃん達が待ちくたびれてるじゃないか」

川;д川 「ミセリちゃんが一番待ちくたびれて見えるけどね……」

やんわりと言う貞子は、黒のビキニですがレースがあしらわれてて、どちらかといえば可愛い感じのビキニを着ています。
こうして見ると、普段はあまり意識しませんでしたが、中々のスタイルです。

ミセ;゚д゚)リ 「お前さー、さっきから何でそんな遠い目をしてるわけ?」

(゚、゚トソン 「いえ、別に……」

ξ゚听)ξ 「……着替えのショックが抜け切れてないか」

ζ(゚ー゚;ζ 「今更って気もするけどね……」

別にショックとか受けてませんよ? 皆の着替え風景とか、そんなものはもう見慣れてますし。

ええ……。


56 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:38:56.68 ID:8aKVpNle0

ヾ(〃^ω^)ノシ 「トソーン! 早く海に入るお!」

ζ(゚ー゚*ζ 「ほら、ブーンちゃん呼んでるよ?」

私は、軽く頭を振り自分を呼ぶブーンの元に歩いていきました。
ピョンピョン飛び跳ねて、本当に待ち遠しそうですね。

(゚、゚トソン 「はいはい、来ましたよ」

(〃^ω^) 「おー……」

(゚、゚トソン 「どうしました、ブーン?」

(〃^ω^) 「トソンの水着、すっごく似合ってるお」

(゚、゚*トソン 「そうですか?」

私は、ブーンに言われて改めて自分の水着を確認します。
白地に黒の縁取りの入ったAラインワンピース調の水着。
背中が大きく開いているのが少々気になりますが、かわいらしいデザインで中々気に入ってます。


57 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:42:04.90 ID:8aKVpNle0

(゚、゚トソン 「で、誰に言えと言われました?」

(〃^ω^) 「お! ミセリ──」

(;^ω^) 「お! 違うお! ホントにぼくがそう思ったんだお!」

まあ、そんな所でしょうね。ブーンにお世辞を言うとかの概念は無いでしょうし、
何か言う時は自然に思った事を口にするだけでしょう。

しかし、ミセリは何のつもりでしょうかね……。
何となく意図はわからなくも無いですが、何でこんなに張り切ってるのでしょうね?

( ´ω`) 「おー……、ミセリに言われたのもホントだけど、似合ってるって思ったのもホントだお……」

私が何も言わずに考えていたのを怒っていると勘違いしたのか、ブーンはしょんぼりとしています。
ブーンにも誰にも怒っていたわけではないのですから、ちょっと可哀想なことをしましたね。

(゚ー゚トソン 「ええ、信じますよ。ありがとう。自分でもこの水着はちょっと気に入ってます」

そう言って、私はブーンの頭を撫でました。
ブーンは少し上目遣いでこちらの表情を伺っていましたが、本当に私が怒っていないのがわかると、すぐに笑顔になりました。


58 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:42:39.39 ID:8aKVpNle0

(〃^ω^) 「お! じゃあ、海に入るお!」

(゚、゚トソン 「その前に準備運動を──」

ミセ*゚д゚)リ 「だぁぁぁぁ! お前は前置きが長過ぎるっちゅーねん!」

そう言いながら、ミセリは私とブーンの間に入り、それぞれの手で私とブーンの手を取ると、海に向かって駆け出しました。

(゚、゚;トソン 「ちょっ、ミセリ!?」

(〃^ω^) 「お?」

ミセ*゚∀゚)リ 「いいから、いいから! 海へ突撃ー!」

(〃^ω^) 「おー!」

(゚、゚;トソン 「ちょっと待って、まだ心の準備が──」


59 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:46:39.91 ID:8aKVpNle0

ミセ*゚∀゚)リ 「せーの!」

(〃^ω^) 「お!」

(゚д゚;トソン 「うひゃっ!」

ザッパーン

私とブーンとミセリは、転がり込むように海へダイビングする羽目になりました。
主に私だけが転んだだけですが、手を繋がれてたので、2人を巻き込む形でです。

ミセ*゚ー゚)リ 「うお! ナイスダイブ!」

(〃^ω^) 「おー! お水気持ちいいお!」

(゚、゚;トソン 「何ですか、いきなり滅茶苦茶な……」

ミセ*゚∀゚)リ 「まーまー、折角海に来たんだしさ、あんま考えずにさ、楽しも?」

ミセ*゚ー゚)リ 「ね?」

(-、-;トソン 「……全く」


60 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:47:03.55 ID:8aKVpNle0

あなたはいくつですかと問いたいところですが、ミセリはこの日をブーンと同じくらい心待ちにしていましたからね。
何故かいつも集団行動にこだわるんですよね、ミセリは。
私は、ミセリに返事をする代わりに、その顔目掛けて両手ですくった水を勢いよく引っ掛けました。

ミセ;>д<)リ 「ぼふぁ!」

(゚ー゚トソン 「フフ……」

ミセ*゚∀゚)リ 「ちい、やりおった──」

ミセ;>д<)リ 「げぼふぁ!!」

何か言い掛けたミセリに、続けてブーンが水を掛けます。

(〃^ω^)bd(゚ー゚トソン

ミセ;゚ー゚)リ 「中々いいコンビネーションじゃないか。だがし──」

ミセ;>д<)リ 「どげぼふぁ!!!」

さらにこっそり近付いていたデレが、

ミセ;>д<)リ 「もどげぼふぁ!!!!」


61 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:47:28.08 ID:8aKVpNle0

ついで貞子、

ウォリャァァァ!   ザバーン!
ヽノパ听)┌┛#)゚д゚)リ ウミ、カンケーネエエエエ!!!!!!

そしていつものヒートちゃんの蹴りが入ってミセリは海に沈みました。

(-、-トソン 「これでこの海も平和になることでしょう」

ミセ;゚д゚)リ 「勝手に私を消すなー!!!」

川д川 「あはは」

ξ゚听)ξ 「全く、お子ちゃまども──」

ξ><)ξ 「ぷはぁ!」

ζ(^ー^*ζ 「隙ありー!」

ξ;゚ー゚)ξ 「ほほぅ……。中々やってくれるじゃないの?」


64 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:52:07.97 ID:8aKVpNle0

ζ(゚ー゚;ζ 「え? あ、ほら、軽いスキンシップ──」

ξ; ー )ξ 「問答無用!」

ζ(>д<;ζ 「キャァー!」

川д川 「ヒートちゃんはミセリちゃんと遊んでてねー」

ノパ听) 「わかったぞぉぉぉぉ!」

ミセ;゚д゚)リ 「ちぃ、こんな時ばっかり暴れん坊を押し付けおって」

(〃^ω^) 「おっおっお」

(゚、゚トソン 「楽しいですか、ブーン?」

(〃^ω^) 「すっごく楽しい──」

(〃>ω<) 「おぉ!?」


65 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:52:52.97 ID:8aKVpNle0

私は、ブーンが答え終わる前に水を掛けました。
答えは聞かなくても、ブーンの顔を見ればわかりますからね。

(〃^ω^) 「おー! やったおね、トソーン!」

(゚ー゚トソン 「フフフ、油断しましたね、ブーン」

(〃^ω^) 「待っておー! 今度はぼくのばんだお!」

私達は、時の経つのも忘れて思い思いに海水浴を満喫しました。


 〜 第三話 おしまい 〜

    − つづく −   


68 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:57:06.51 ID:8aKVpNle0

 〜 第四話 〜


ミセ;´д`)リ 「なあ、諸君、そろそろ休憩というかおしまいにしないかね?」

ヾ(〃^ω^)ノシ 「おおー? もうちょっと、もうちょっとだお!」

ノハ*゚听) 「どうした、ミセリぃぃぃぃ? 私達を捕まえてみろぉぉぉぉ!」

ξ*゚听)ξ 「口ほどにも無いわね」

あれから数時間、ミセリとブーン達はずっと海の中で泳いだり走り回ったりです。
ブーン達はお風呂で水慣れしているからか、初めての海もすんなり受け入れられたようです。

ブーンが波にさらわれたり、ヒートちゃんが深いところに沈んだりしたものの、
そんなハプニングを気にすることなく遊び通しです。

私やデレ、貞子といった体力に自信のあるわけでもない面々は、途中から上がってそれを見ていたり、
時々参加したりして、のんびり過ごしていました。

最初っからずっと飛ばしっ放しのミセリも、さすがにそろそろ限界のようですね。


69 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:57:44.34 ID:8aKVpNle0

(゚、゚トソン 「そうですね、あと小一時間もしたら──」

ミセ;゚д゚)リ 「うおぉぉぉい! 空気読んで!」

冗談ですよ。今日は初日ですし、移動の疲れもありますから少し早めに戻りましょうか。

(゚、゚トソン 「さあ、ブーン、ヒートちゃんもツンちゃんも、そろそろ上がって、旅館に戻りましょうか。

(;^ω^) 「お……? もう、帰るのかお?」

(゚、゚トソン 「今日はまだ一日目ですよ? 明日もまた遊びましょう」

ζ(゚ー゚*ζ 「お姉ちゃん達もちょっと疲れちゃったからね。帰ってお風呂とご飯にしよ?」

ξ゚听)ξ 「そうね、さすがにアタシもちょっと疲れたわ。ヒートもそれでいいわね?」

ノパ听) 「おなかすいたぞぉぉぉぉ!」

川д川 「じゃあ、帰ろっか」


71 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 22:59:04.83 ID:8aKVpNle0

私達は手荷物をまとめ、帰り支度をしました。
シャキンさんの話通り、ここは人が少ないようです。
泳いでみて、確かに少々足場が悪かったり狭かったりしたものの、この人数で遊ぶ分には特に問題なさそうですね。
良い所に来たようです。

私達は、昼に来た道を戻り、旅館に帰ってきました。
旅館の前に、何やら作業中のでぃさんが見えます。

(#゚;;-゚) 「おや、おかえり。どうだった、ここの海は?」

ζ(^ー^*ζ 「人が少なくて快適でした」

(#゚;;-゚) 「あはは、そりゃ良かった、と言いたいとこだけど、うちとしてはもうちょい客がねぇー」

そう言ってでぃさんは豪快に笑います。
デレとしては、例の視線の問題がありますから、この状況は嬉しいのでしょうが、
商売をする側としては厳しいのかもしれませんね。

ノパ听) 「おなかすいたぞぉぉぉぉ!」

川;д川 「ヒートちゃん!」


72 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:01:27.81 ID:8aKVpNle0

(#゚;;-゚) 「ん? そうかい、お腹すいたのかい? 食事はどうする? すぐ食べるなら用意させるけど」

(゚、゚トソン 「砂を落としたいですし、お風呂に入りたいので、出来ればその後の方が」

(#゚;;-゚) 「ああ、そりゃそうだね。じゃあ、あんたらが風呂に入ってる間に部屋に用意しとくよ」

ξ゚听)ξ 「お手数をおかけします」

(#゚;;-゚) 「ありゃ、こっちのちっさい子は随分と礼儀正しいね。まあ、これが仕事だから遠慮しない」

(゚、゚トソン 「ありがとうざいます」

食事を用意する時間も考慮して、少し長めに風呂に入っておいで、というでぃさんの言葉を受け、私達は部屋に戻り、
入浴道具を準備して大浴場のほうへ向かいました。

・・・・
・・・

私達は、のんびりと湯船に浸かり、1日の疲れを落としました。
この旅館のお風呂は、一応は温泉らしく、色々な効用が書かれていましたが、お年寄り向けのものが多かった気がします。


74 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:04:09.34 ID:8aKVpNle0

(〃^ω^) 「デレ、ぼくがおせなかながしてあげるお!」

ζ(^ー^*ζ 「うん、お願いね」

ノパ听) 「このお風呂、広いぞぉぉぉぉ!」

川;д川 「ヒートちゃん、お風呂で泳いじゃダメ!」

少し時間が早かったからか、幸いなことに他の客はおらず、私たちの貸しきり状態です。
初めての広いお風呂に、ブーン達はまたも大はしゃぎです。

ξ*--)ξ 「いい湯ね……」

ミセ*-o-)リ 「ふぅー…………」

(゚、゚トソン 「……」

ミセ*-o-)リ 「……」

(゚、゚トソン 「……今日は、お疲れ様でした」


76 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:06:00.72 ID:8aKVpNle0

ミセ;゚ー゚)リ 「え、何? 突然?」

(゚、゚トソン 「ブーン達の世話をほとんど任せてしまいましたからね」

ミセ*゚ー゚)リ 「世話とかそんなんじゃないよ。お友達といっしょに遊んだだけ」

湯船にすっぽりと浸かったミセリは、そう言ってにこりと微笑みました。
私も、そうですね、と微笑み返しました。

ミセ;゚ー゚)リ 「しっかし、あいつらを甘く見てたわ。なんじゃ、あのタフさは……」

(゚、゚トソン 「この暑いさ中、毎日のように公園で走り回ってますからね……」

ミセ;゚ぺ)リ 「あーそっか、たまに付き合うけど、あれもこっちが先にへばるもんなー」

(゚、゚;トソン 「付き合えるだけ上等ですよ」

正直、私の体力では30分も持ちませんね。基本的にブーン達はとにかく走り回りますから。
デレと貞子は最初っから諦めてますからね。その遊びに付き合うのは。

ミセ*-へ-)リ 「まあ、私は料理も出来なきゃ、お勉強を教えるって柄でもないしねー」

だから遊びぐらいはね、とミセリは言います。


77 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:06:26.12 ID:8aKVpNle0

それで十分だと私は思いますけどね。人には向き不向きが有りますし。

(゚、゚トソン 「それを言うなら──」

ξ*--)ξ「「デレは料理も勉強も走るのもダメ(です)よ」」(゚、゚トソン


、ζ(>o<*ζ クション

(;^ω^) 「お? 寒くなっちゃったかお? お湯に入るかお?」

ζ(つー゚*ζ 「ん、大丈夫。きっと誰かが噂してるんだよ」

( ^ω^) 「うわさ?」

ζ(゚ー゚*ζ 「そう、噂。誰かがね──」


ミセ*-へ-)リ 「……」

ミセ*-ー-)リ 「……クスッ」


80 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:08:32.41 ID:8aKVpNle0

ミセ*゚ー゚)リ 「お前らヒドいな。デレがスゴいダメ人間みたいじゃん」

(゚、゚トソン 「そこまでは言いませんが……」

ξ゚听)ξ 「日常の生活力に関してはあんたとデレはどっこいどっこいよ」

ミセ;゚д゚)リ 「どっこいどっこいなら私もダメ人間じゃん」

(゚、゚トソン 「まあ、結果的には……」

ξ゚听)ξ 「そうなるかな……」

ミセ*゚ー゚)リ 「この野郎ども」

そう言いながらもミセリの顔には笑顔が浮かんでいます。
私もツンちゃんも、同じように笑顔だったと思います。
ごく自然に笑顔で、私達はお互い笑いあっていました。


83 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:09:32.58 ID:8aKVpNle0

ξ゚听)ξ 「しかし、意外だったわね」

(゚、゚トソン 「何がですか?」

あんた、泳げたのね、とツンちゃん。
失礼ですね。確かに運動は苦手ですが、泳ぐことぐらいは出来ますよ。
速くも上手くもないですが、浮くぐらいはね。

ミセ*゚д゚)リ 「その浮くことがなー」

(゚、゚トソン 「浮くことが?」

ミセ*゚∀゚)リ 「浮き袋付いてな──」ガコンッ!

ミセメ゚д゚)リ 「桶はやめろ、桶は!」

ζ(゚ー゚*ζ 「あー、トソンちゃん達またやってるよ」

( ^ω^) 「トソン、ケンカはメッだお!」


85 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:11:30.41 ID:8aKVpNle0

(゚、゚トソン 「これはケンカではありませんよ。一方的な制裁です」

(;^ω^) 「せいさい?」

ζ(゚ー゚;ζ 「トソンちゃん、ブーンちゃんに不穏な言葉教えないで」

ξ゚听)ξ 「……ホント、バカみたいに仲いいんだから」

川ー川 「フフフ……」
つパ听) ?

・・・・
・・・

(〃^ω^) 「おおー!」

ノハ*゚听) 「お魚だぁぁぁぁ!」

お風呂から上がって、部屋に戻った私達を待ち受けていたのは、お膳に乗せられたお刺身でした。
パッと見ただけでも、かなりの豪華さが伺えます。


86 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:12:44.36 ID:8aKVpNle0

(`・ω・´) 「やあ、お帰り。おおー、湯上り美人ぞろいだね。これはなかなか──」

(#゚;;-゚) 「余計な御託はいいから、はよ説明してやり? この子達、お腹すいてんだから」

シャキンさんの言葉を、でぃさんが頭を小突いて遮ります。
シャキンさんはこれまで見たところから推察するに、恐妻家のようですね。

(゚、゚トソン 「良い湯でした」

(#^;;-^) 「そうかい? そりゃ良かった。まあ、いいから座って」

それから、シャキンさんがお膳の上の物を説明されました。
食事に関しては、格安で泊めてもらっている事ですし、それ程期待はしていなかったのですが、これは結構なボリュームですね。

(#゚;;-゚) 「そうだね、ぶっちゃければ嬢ちゃん達の食事は余り物の魚とかを使ってんのよね」

私が、無理をさせてないか聞くと、でぃさんからはそんな答えが返ってきました。


89 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:14:48.63 ID:8aKVpNle0

川;д川 「これで余り物ですか?」

貞子の疑問ももっともです。私も貞子も自炊派ですし、食材の値段などもそれなりに精通しています。
これを地元のスーパーで揃えるとしたら……。

(#゚;;-゚) 「まあ、余り物と言っても、今日揚がった魚だから鮮度は良好。ちょっとした理由で市場に回せなかったものとか
      だから、普通に売りもんとしても扱える物もなくはないし、そう構えんでもいいよ」

結論を言えば、こちらの常識で考えても答えはわからない事だったんですよね。
後で水揚げの仕組みや食材の市場に関して聞いてみましょうかね。
でも、こんな客はちょっと嫌な客でしょうか?

(`・ω・´) 「じゃ、僕らはこれで。お膳は食べたら廊下に出しておいてくれればいいからね」

(#゚;;-゚) 「ごゆっくり。お櫃、足りなかったらまだあるからね」

「「「「「「「ありがとうございました(お)&いただきまーす(お)」」」」」」」
川д川ノハ*゚听)ミセ*゚∀゚)リξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^ )(゚、゚トソン


90 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:15:14.72 ID:8aKVpNle0

パクッ

           「「「「「「「ウマー!!!」」」」」」」
川*д川ノハ*゚听)ミセ*゚∀゚)リξ*゚听)ξζ(゚∀゚*ζ(^ω^〃)(゚、゚*トソン

私達は、豊かな海の恵みを夢中で頬張りました。

・・・・
・・・

ζ(´ー`*ζ 「いやー食べた食べた」

ξ*゚听)ξ 「うう、不覚にも食べ過ぎたわ……」

川*д川 「お魚が全然違うねー。何、あの歯ごたえ。あの魚でお料理したいなー」

(゚、゚トソン 「簡易の厨房も借りられるみたいですしね、1食ぐらい自分達で作ってもいいかもしれませんね」

食事を終え、私達は食後の一服を、と言ってもお茶ですが、しながらくつろいでいました。
当初の目論見だと、食事はその厨房を借りてある程度は自炊すべきかとも思っていたのですが、どうしましょうかね。
どこまで甘えていいものかは、今一つ判断しかねます。


100 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:30:23.23 ID:8aKVpNle0

いっそのこと、でぃさんにそのままを直接聞いてみましょうかね?
あの人にならその方がいいような気もしてきます。性格的に。

私が、そんなことを色々と考えていると、デレが私をちょんちょんとつついてきました。

(゚、゚トソン 「どうしま──」

私は、デレに聞き終わる前に、デレが指差した方を見て事態に気付きました。

ミセ*-o-)リノハ*--)(〃´ω`)zzz

(゚ー゚トソン 「全く……」

食べてすぐ寝ると牛になってしまうといつも言ってるんですけどね。
まあ、今日はあれだけ遊びましたしね、疲れて眠くなってしまうのも仕方の無いことかもしれません。
かく言う私も、ちょっと眠いですし。

ζ(゚ー゚*ζ 「お、コーヒーだ」

(゚、゚トソン 「ああ、一応持ってきていました」

川д川 「トソンちゃんはホント、コーヒー好きだよねー」


102 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:32:04.96 ID:8aKVpNle0

お湯は使えるでしょうし、お茶しかない場合も考えて、一応小さめのインスタントコーヒーを持ってきていました。
バッグから出しておいたのを、デレが目ざとく見つけたようです。

ζ(゚ー゚*ζ 「うーん、湯飲みしかないねー」

川д川 「湯飲みでも飲めるよ」

(゚、゚;トソン 「何故かそれを飲む流れになってますね……」

その前に3人、いえ、ツンちゃんもそろそろ眠りに落ちそうな様子ですので、まず布団を敷くのが先な気がしましたが、
布団の上でコーヒーは飲めない、と言うデレの主張に負けてコーヒーを淹れました。

ζ(゚д゚*ζ 「にが!」

(゚、゚トソン 「砂糖は余り持ってきていませんからね。ブーンの荷物の中にあったかもしれませんが」

川д川 「デレちゃんは甘党だよね」

その言葉で、私はあることを思い出しました。


104 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:34:12.26 ID:8aKVpNle0

ζ(゚ー゚*ζ 「どしたの?」

(゚、゚トソン 「これを忘れてました」

私は、自分の荷物の中から、1つの紙箱を取り出しました。

川д川 「あ……」

ζ(゚ー゚*ζ 「あー、ショボ饅があったね」

そうです、ショボンさんから預かっていたシャキンさんへの言伝、饅頭の箱がありました。
うっかりしていましたね。すっかり忘れていました。

(゚、゚トソン 「ちょっと届けてきますね」

私は、コーヒーを飲み干し、部屋を出ました。
後ろからデレの、布団は敷いておくからね、と言う声が聞こえてきました。

・・・・
・・・


106 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:35:29.91 ID:8aKVpNle0

(#゚;;-゚) 「おや、どしたの? まだ何か食べる?」

フロントに行く途中、運よくでぃさんに会いました。
見たところ、手ぶらですし、お急ぎでもないようなので、食事が美味しかった事と、
ショボンさんの言伝のことを伝えることにしました。

(#゚;;-゚) 「そうかい、わざわざ悪かったね」

(゚、゚トソン 「いえ、このくらいは。大した手間でもないですし」

でぃさんは、しばらく私の顔を見つめ、微笑みながらこう言われました。
やっぱりペニサスちゃんとは似てないね、と。

(#゚;;-゚) 「あの子なら、この箱の饅頭、減ってたりするからね」

(゚、゚;トソン 「ペニサスさん……」

(#゚;;-゚) 「まあ、でも、どこか似たとこがないでもないね」

(゚、゚;トソン 「今の例を持ち出された後に言われると、何とも複雑ですね」


109 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:39:28.18 ID:8aKVpNle0

でぃさんは、笑いながらごめんごめんと、謝られ、言葉を続けられます。

(#゚;;-゚) 「根が優しいとことかね、何と言うか、正直なとことかね」

(゚、゚;トソン 「優しいはともかく、私の場合は少々正直が過ぎるようですけどね」

でぃさんはまたも笑いながら、そうそう、そういうとこが、と仰られました。
でぃさんの指摘ももっともなので、私は苦笑いを浮かべ、正直ついでに先ほどの疑問点、
食事についてをお尋ねしてみました。

でぃさんは、今度は大笑いしながら、ホント正直ね、と言いながらも、疑問に答えてくれました。
結果、食事に関してはそう心配するほどの原価ではないと理解しました。

(#゚;;-゚) 「まあ、そんなわけで心配はいらんけど、料理したかったらしてもいいよ?」

(゚、゚トソン 「料理好きがいますからね、お言葉に甘えさせていただくかもしれません」

(#゚;;-゚) 「しかし、ここの魚で料理したら、地元に戻った時が大変かもね」

(゚ー゚トソン 「比べようもないですね。本当に美味しいです」

そういうこと、と、でぃさんはにやりと口の端を歪めました。


110 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:40:04.24 ID:8aKVpNle0

私は、頃合なので、でぃさんにおやすみの挨拶をし、部屋に戻ることにしました。

・・・・
・・・

部屋に戻ると、綺麗に敷かれた布団に、既に4つの膨らみが出来ています。

ζ(゚ー゚*ζ 「おつかれさん」

(゚、゚トソン 「そちらもお疲れ様です」

2人で寝かせるのは大変かと思いましたが、ミセリまでちゃんと布団に寝かされています。
聞けば、ミセリは意外と軽いので、2人で楽に寝かせられたとの事。

(゚、゚トソン 「よく食べる割には太りませんよね、ミセリは」

ζ(゚ー゚*ζ 「うん、軽く女性の敵だよね」

川д川 「その分エネルギーを発散してるようですしね」

(゚、゚トソン 「主に無駄なことに」

川;д川 「それはちょっとヒドいかも……」


114 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:40:50.22 ID:8aKVpNle0

私達も疲れていたので、話もそこそこに床につきました。
さすがに旅館の布団は、ふかふかで心地よい寝心地です。

川д川 「おやすみ」

ζ(゚ー゚*ζ 「おやすみー」

(゚、゚トソン 「おやすみなさい」

この疲れ具合なら、ほどなく眠りに落ちるでしょう。
私はその前に横で眠っているブーンの頬に手を当てます。
相変わらずのすべすべで、落ち着く手触りです。

(〃´ω`) 「おー……zzz」

(゚ー゚トソン 「フフ……、おやすみなさい、ブーン」


115 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:42:53.37 ID:8aKVpNle0

私は目を閉じ、眠りにつこうとしました。
眠りにつくまで、いくつかの漠然とした考えが頭の中を巡ります。
ブーンのこと、ペニサスさんのこと。

そして恐らく、ペニサスさんが自分といっしょに連れてきたであろう夢見のこと。

そんなことを考えている内に、私は、いつの間にか眠りに落ちていました。


 〜 第四話 おしまい 〜

    − つづく −   


118 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:43:40.83 ID:8aKVpNle0

 〜 (゚、゚トソンの日記 〜

今日は自分の部屋を離れ、海沿いの旅館でこの日記を書いています。

以前から計画していた小旅行が、ようやく今日、実現することとなりました。

色々と懸念はありましたものの、蓋を開けてみれば、シャキンさんとその奥さんのでぃさんはいい人で、
ブーン達のことも理解してくれています。

海水浴場も、人手が少なく、ブーン達を遊ばせるにはとても都合の良い場所でした。

もっとも、でぃさんに言わせると、人の少ないのは旅館にとっては残念なことらしいですが。
まあ、商売なのですから当然ですよね。

旅館の方も部屋もお風呂も広く、食事は美味しいと言うこと無しです。
この値段で泊まらせてもらってるのが申し訳なく思うぐらいです。

その代わりと言うわけではないですが、明日からは少しお手伝いもさせてもらうんですけどね。


121 :◆iW2kGg44LU:2008/11/30(日) 23:47:25.08 ID:jOgsWQovO

しかし、シャキンさん達がこうもすんなりブーン達のことを理解していただいた背景には、
多分ペニサスさんのことが大きく関わっているんだと思います。

本音を申せば、その事について、お2人から詳しくお話を聞きたいとこではありますが、
ペニサスさん本人は話したくない事、知られたくない事だと思います。

ブーンのためとは言え、誰かが嫌な思いをするようなことを聞いてもいいのか悩みます。

いえ、悩むまでもなくダメなことでしょう。ブーンに知られたら、きっと悲しい顔をされてしまいます。
自分のせいで誰かが傷付くのは、絶対にブーンは望みませんから。

この件に関しては、慎重に対応しましょうか。

さて、そろそろ眠らないと明日に響くでしょうね。


(゚ー゚トソン 「また明日も、色々と引っ張り回されそうですからね」


 − 第十二章 海と私と小旅行 おしまい −


   − 夢は次章へつづきます −   

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