- 5 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:01:50.18 ID:r7g8Oya80
− 第十四章 砂山と私とペンギンさん −
〜 第一話 〜
おはようございます、都村トソンです。
あれから2日間、バイトをしたり海で遊んだりと、程よく海の空気を満喫しておりました。
この旅行も半分は過ぎ、明後日のお昼には家に帰ることになります。
(゚、゚トソン 「……さすがに朝方は、夏とは言え、それほど暑くも無いですね」
( ^ω^) 「そうだおねー」
川д川 「海沿いだからかな? 潮風がちょっとべたつくけど」
ミセ*゚ー゚)リ 「だいぶこの風にも慣れたけどねー」
ξ゚听)ξ 「後々面倒なんだけどね、このべたつき」
ノパ听) 「おぉぉぉい! 早くこぉぉぉい!」
- 6 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:02:12.82 ID:r7g8Oya80
のんびりと歩く私達5人を、少し先を行くヒートちゃんが呼んでいます。
(`・ω・´) 「はっはっは、そんなに急がなくても大丈夫だよ、ヒートちゃん」
川д川 「ヒートちゃん、こっちに」
ξ゚听)ξ 「それに1人で近付くなって言ってるでしょ?」
ノパ听) 「!」
(`・ω・´) 「え?」
ノパ听) 「そうだったぁぁぁぁ!」
貞子とツンちゃんの言葉に、そのことを思い出したのかヒートちゃんは勢いよくこちらに走って来ました。
後には1人ぽつんと取り残されるシャキンさん。
(`;ω;´) 「うぅ……」
まあ、ほぼ自業自得なので、私からは何も言う事はありませんが。
- 8 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:03:55.13 ID:r7g8Oya80
先日でバイトが終わり、今日から1日フリーです。
とは言え、ブーン達は連日泳いでますから、そろそろただ泳ぐだけには飽きて来る頃でしょう。
……と、私は思ったのですが、そういうわけでもなさそうでした。
よく考えたら、毎日のように公園で同じ様な遊びを繰り返してるブーン達です。そう簡単には飽きは来ないのでしょう。
ヨシヨシ
( ^ω^)つ(`;ω;´)
戻ってきたヒートちゃんの代わりに、いつの間にかブーンがシャキンさんのそばに行っていました。
まあ、ブーンなら大丈夫でしょうが……。
(`;ω;´) 「ブーンちゃんは優しいなー。よーし、おじさん、今日は張り切って絶対釣れる穴場を紹介しちゃうぞー!」
ヽ(〃^ω^)ノ 「おー!」
ミセ*゚ー゚)リ 「ありゃありゃ、ブーンちゃん何もわかってないで喜んでるよね」
(゚、゚トソン 「まあ、私だって釣りなど初めてですから、ブーンもわからないでしょうね」
- 9 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:07:13.01 ID:r7g8Oya80
そうです、私達は朝も早くから釣りに来ています。
先のような理由で、退屈しているかもしれないブーン達が出来る遊びは何か無いかでぃさんに相談したところ、
釣りを勧められたので物は試しにやってみることにしました。
川д川 「でも、私に出来るかなー?」
ξ゚听)ξ 「大丈夫じゃない? 貞子は自分が思ってる以上に器用よ」
とは言うものの、私達は全員釣り初心者です。
道具は貸していただけるということでしたし、餌もオキアミや色々とすり潰して練り合わせたものを使えば、
女の子にとってのネックである、虫や貧毛類を使う必要もありません。
問題は場所や大まかな手順、と言うか道具と餌以外の他全てですね。
(`・ω・´) 「釣ったお魚で美味しいお料理も作っちゃうぞー」
そこで、案内役兼指導役を買って出たのがシャキンさんなんですが……。
まあ、皆露骨に不信感を持っていますので……。
しかし、他に当ては無く、背に腹は変えられないとのことで、シャキンさんにお願いしました。
いい人ではあるんですけどね、ああいう点を除けば。
- 10 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:07:54.67 ID:r7g8Oya80
(`・ω・´) 「さあ、ここだよ」
シャキンさんに誘導され、着いた場所は漁港近くの防波堤です。
こういった場所での釣りが一番初心者向きらしいです。
(゚、゚トソン 「なるほど、確かに入り組んだ地形でも無く、引っかかりそうな場所も無いですしね」
(`・ω・´) 「うん。魚も結構集まる。テトラポッド付近が狙い目かな」
シャキンさんは私の言葉に答えながらも、てきぱきと釣りの準備を進めています。
そして、瞬く間に子供用の小さめの釣竿を3本用意されました。
(`・ω・´) 「ほら、ブーンちゃん、ツンちゃん、ヒートちゃん、これを持ってみて」
(〃^ω^) 「お!」
ξ*゚听)ξ 「へー……」
ノハ*゚听) 「おー!」
3人とも、初めて持つ釣竿に目を輝かせています。
恥ずかしながら、私も物珍しさから食い入るようにそれを見ていた気がします。
- 11 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:10:32.29 ID:r7g8Oya80
(`・ω・´) 「まずは持ち方は……、まあ、それでいいよ、適当で。餌を付けてみようか」
シャキンさんはさすがに手馴れたもので、加えて、教え方もわかりやすくスムーズです。
ブーン達も餌を手に取り、おっかなびっくりで針に付けています。
私は、ブーンが自分の手に針を刺したりしないか心配で、思わず手を出しそうになりました。
(〃^ω^) 「お! できたお!」
(`・ω・´) 「お、いいね。よく出来てるよ。ツンちゃんはもうちょっと深く刺してもいいかな。ヒートちゃんはその逆ね」
シャキンさんはそう言って、次に投げ方や引き方など、基本的なことを一通り実演を交えて教えてくださいました。
(`・ω・´) 「トソンちゃん達はしばらくブーンちゃん達が釣るのを見ててあげてよ。その間に残りも用意するから」
そうですね。私も、ブーンが慣れるまでは見ていたかったので丁度良いです。
私自身も見て慣れる必要はありそうなんですが。
そういった点まで考えて先にブーン達の釣竿だけを用意したシャキンさんは、やはり、こういった指導に関して
はかなり優秀で、配慮も出来る方なのでしょう。
(*`・ω・´) 「あ、貞子ちゃん、投げ方教えようか? いや、決してやましい──」
ああいう点がなければ。
- 12 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:12:24.97 ID:r7g8Oya80
私は、シャキンさんがヒートちゃんに海に蹴落とされて魚が逃げないか心配つつ、ブーンに話しかけます。
(゚、゚トソン 「どうですか? 釣れそうですか?」
(;^ω^) 「おー? わからんおー。ぴくりともしないお」
(゚、゚トソン 「まあ、釣りは我慢のスポーツとも言われますからね。のんびりかかるのを待ちましょう」
( ^ω^) 「うんお」
ξ*゚д゚)ξ 「わ! 何、これ!? え、ちょっ!?」
ミセ;゚д゚)リ 「ツンちゃん、それ引いてる引いてる! 魚来た! 巻いて巻いて!」
そんなことを話してると、ブーンの右方で釣っていたツンちゃんとミセリ組に魚がかかったようです。
ξ*゚д゚)ξヾ 「え? 巻くの? こう?」
ミセ;゚д゚)リ 「いや、髪じゃなくて! てか、ツンちゃん元々巻いてるから」
珍しくツンちゃんが慌てていますね。中々お目にかかれない光景です。
フォローすべきミセリもうろたえ気味で、ドタバタ劇を繰り広げています。
- 14 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:15:42.87 ID:r7g8Oya80
ξ*゚听)ξ 「よいしょー!」
ミセ*゚д゚)リ 「よっしゃー!」
しばらくそんなやり取りを繰り返した後、ようやく2人は魚を釣り上げました。
ミセリによって持ち上げられた糸の先には見覚えのある小型の魚が1匹。あれは──
(`・ω・´) 「お、アジだね。少々小さめだけど、十分食べられる大きさだよ」
いつの間にか水も滴るダメ男のシャキンさんが、私の背後に立っていました。
そして、ツンちゃん達のところへ行き、魚を外して水の入ったクーラーボックスにアジを入れました。
ミセ*゚∀゚)リ 「やったね、ツンちゃん! 初釣果!」
ξ*゚听)ξ 「ま、まあ、アタシにかかればこんなもの簡単よ」
ツンちゃんの尻尾が、ピョコピョコと忙しなく揺れています。
その顔にも満面の笑みを浮かべ、ミセリが差し出した手にハイタッチをするほどの浮かれっぷりです。
( ^ω^) 「おー……」
- 16 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:16:27.54 ID:r7g8Oya80
そんなツンちゃんの姿を羨ましそうに見るブーンに私は微笑みかけます。
(゚ー゚トソン 「私達もがんばりましょう」
(〃^ω^) 「うんお! お──」
(;゚ω゚) 「おー!?」
私が慰めるまでも無く、ブーンの釣竿にも魚がかかったようです。
慌てて釣竿を取り落としそうになるブーンの手を押さえて、落ち着いて引き上げるように伝えます。
(゚д゚;トソン 「ブブブブ、ブーン、おおお、落ち着いて、落ち着いて引き、引き──」
ミセ;゚д゚)リ 「お前が落ち着けよ!」
(;^ω^) 「お!」
私の慌てぶりのせいか、逆にブーンは落ち着いたようで、見よう見まねかながらも、様になった感じでリールを巻きます。
私の反面教師作戦は上手く行ったようですね……ええ……。
- 18 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:18:41.31 ID:r7g8Oya80
(〃^ω^) 「お!」
水面に魚影が見え、ブーンは一気に巻き上げます。
水面から魚が跳ね、宙を舞い、私達の目の前に飛来しました。
ミセ*゚д゚)リ 「ブーンちゃんナイス!」
ξ*゚听)ξ 「やるじゃん!」
いつの間にか、自分たちの釣竿は放ったままで、ミセリとツンちゃんもそばに来ています。
ヾ(〃^ω^)ノシ 「やったお! 釣れたおー!」
(゚ー゚*トソン 「ブーン、すごい!」
(〃^ω^)ヾ 「へへへーだお。 お? なんだお、このお魚さん?」
(゚、゚トソン 「あ、これは……」
楕円形のその姿、小さなくちばしの様なおちょぼ口、黒い斑紋、これは──
- 19 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:18:59.94 ID:r7g8Oya80
(`・ω・´) 「あー、残念、これはクサフグだね。食べられないよ」
(;^ω^) 「おー……、そうなのかお? 残念──」
(〃^ω^) 「おー! ふくらんだお! おもすれーお!」
(゚、゚トソン 「フグは図鑑で見たことありますよね。こうやって威嚇するのですよ」
残念ながら、ブーンが釣り上げたのは食べられないフグでした。
シャキンさんは、その釣り上げたフグを地面に放置しようとしましたが、私はそれを受け取り、ブーンといっしょに海に帰してあげました。
(〃^ω^) 「お。次は釣られちゃダメだお」
・・・・
・・・
それからしばらく、私達は釣りに興じました。
ブーンもだいぶ釣りに慣れ、1人で釣り上げられるようになっていました。
私はそれを少し離れた場所で見ています。
- 22 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:21:39.12 ID:r7g8Oya80
(`・ω・´) 「さっきはごめんね。浅慮の致すところだったよ」
(゚、゚トソン 「え?」
私は、返事をしてすぐに、それが先ほどの魚の扱いについてだと思い当たりました。
(゚、゚トソン 「いえ、釣り人としては、いらない魚を海に返してまたかかる行為は避けたいでしょうから、当たり前のことなんですよね?」
(`・ω・´) 「放置はしないけどね。生かしとく理由も無いけど」
(゚、゚トソン 「ですよね……」
(`・ω・´) 「……ブーンちゃんには、そういった生命の話はしてあるのかな?」
生命の話、いわゆる、生きる事の業といったニュアンスの話でしょうね。
(゚、゚トソン 「……してはいます。理解しているのかはわかりませんが。……そもそも、私なども正しく理解してるかはわからないことですしね」
ブーンが気に入った動物図鑑。そこに載っている動物達。可愛い動物達。そして、食卓にも並ぶその動物達。
その事に気付いたブーンは、悲しそうな顔で、このご飯は食べられないと言いました。
- 23 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:21:55.75 ID:r7g8Oya80
私は、どうやってブーンを言い包めたのでしたかね。ええ、言い包めたのです。
生きるためには仕方の無いこと。食べ物は粗末にしてはいけない。食べられる動物達に感謝を。奇麗事ですね。
私自身が理解していない、感覚的には納得し、矛盾を誤魔化しながら生きている事を、他人が納得できる様に説明できるわけがありません。
ブーンに知識を与えれば、いつかはこういった矛盾に突き当たる事はわかっていました。以前に危惧していた様に。
私は、ブーンといっしょに暮らす事は、ブーンを育てているようなものなのだと、その時に実感しました。
そういう言い方はおこがましいのかも知れませんが。
私もまだ、子供に過ぎないのですから……。
ミセ*゚ー゚)リ 「私らってさ、いい母親になれそうだよねー」
(゚、゚トソン 「……ミセリ?」
ミセ*゚ー゚)リ 「なんかさー、子育ての予行演習してる様な気がしてこない?」
いつの間にか、私のそばにはミセリがいました。
シャキンさんは、ツンちゃんとブーンと楽しそうに話しています。
- 24 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:22:24.81 ID:r7g8Oya80
(-、-トソン 「親という物は、中々偉大なものだったのですね……」
ミセ*゚−゚)リ 「……ん、そうかもね」
ミセ*゚∀゚)リ 「まあ、子育て出来ても相手がねー?」
(゚、゚トソン 「お互いに」
ミセ;゚ー゚)リ 「いっしょにすんなよ」
(゚、゚トソン 「お互いに」
ミセ;゚ー゚)リ 「いっしょに──」
(゚、゚トソン 「お互いに」
ミセ;´へ`)リ 「……お互いに」
川д川 「どうしたの?」
露骨にへこむミセリと、静かにへこむ私の方へ貞子がやってきます。
- 26 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:22:52.28 ID:r7g8Oya80
ミセ;´へ`)リ 「ねー貞ちゃん、何で私らモテないかなー?」
川;д川 「え!? 何でそんな深刻な話題を?」
(´、`トソン 「やはり深刻ですか……」
川;д川 「ちょ、トソンちゃん、顔がヤバい事になってるよ!?」
ミセ;´へ`)リ 「なんだろなー、私ら海に来て誰からも声かけられて無くね?」
(´、`トソン 「デレは結構、声かけられてますよ」
川;д川 「え、いや、そりゃ接客メインで──」
ミセ;´へ`)リ 「貞ちゃんも商品渡す時にさり気に声かけられたりしてたよねー」
川;д川 「うぇ!? 何でそれを!?」
私とミセリは釣りが終わるまでずっと貞子に素面でくだを巻き続けました。
〜 第一話 おしまい 〜
− つづく −
- 30 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:27:25.21 ID:r7g8Oya80
〜 第二話 〜
ζ(´ε`*ζ プーッ
釣りを終えて結構な釣果に満足して戻った私達を迎えたのはふくれっ面のデレでした。
(;^ω^) 「デレ、フグみたいだお……」
ζ(´へ`*ζ 「そりゃふくれるさー」
(゚、゚トソン 「ただいま、デレ」
ζ(´へ`*ζ 「おかえりー……、じゃなくて、何でそんなに普通かなー?」
ξ゚听)ξ 「て言うか、何でふくれてんのよ?」
ζ(゚д゚;ζ 「何でって、みんなが私だけ置いてくからだよ!」
確かに置いていきましたが、別に置いていきたくて置いていったわけでも無いんですがね。
- 31 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:27:43.93 ID:r7g8Oya80
ミセ;゚ー゚)リ 「デレが起きないからだよ」
ζ(´へ`*ζ 「私が起きないのはいつもの事じゃん。起こしてよー」
川;д川 「起こしたんだけどねー」
ノパ听) 「全然起きなかったぞぉぉぉぉ!」
ξ゚听)ξ 「まあ、デレがあんな朝早く起きれるわけないからしょうがないでしょ」
ζ(゚ー゚;ζ 「そ、そんなこと無いもん」
(゚、゚トソン 「むしろ、もう起きてる方が驚きですよ」
ζ(´へ`*ζ 「トソンちゃんまでー」
(`・ω・´) 「はは、まあまあ、みんなが釣ってきた魚で美味しい朝食作るから、それで勘弁してよ」
見かねて割って入ったシャキンさんが、魚の入ったクーラーボックスをデレの目の前におきます。
ドンと、中々重そうな音がしました。
- 32 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:28:08.60 ID:r7g8Oya80
ζ(´ー`*ζ 「あ、釣れたの? ツンちゃん釣れた?」
ξ゚听)ξ 「当たり前でしょ? アタシにかかればこんなもの朝飯前よ」
ヾ(〃^ω^)ノシ 「僕も釣ったお!」
ノパ听)ノ 「私も釣ったぞぉぉぉぉ!」
ζ(´ー`*ζ 「うわー、みんなすごいねー。どんなの釣ったの、デレお姉ちゃんに見せてくれるかなー」
デレがそう言うと、ブーン達は一斉にシャキンさんの方へ目を向けました。
シャキンさんはにこやかに頷き、クーラーボックスを開けます。
ξ゚听)ξ 「ほら、これがアタシが釣ったやつでは一番大きな魚かな」
ζ(゚ー゚*ζ 「ヘー、中々大きいね。これなんて魚?」
(`・ω・´) 「メバルだよ。メバルにしては中々の大物だね」
すごーいと、素直に感心するデレに、ツンちゃんは誇らしげに頷きます。
続いて、ブーンが魚を取り出してきました。
- 34 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:32:12.14 ID:r7g8Oya80
(〃^ω^) 「僕はこれだお!」
ζ(゚ー゚*ζ 「うわ、おっきいね」
(〃^ω^) 「アジだお!」
そうでしたね。ブーンが釣った中では、そのアジが一番大きかったですね。
おおはしゃぎで魚をデレに渡しますが、デレはそれを恐る恐る受け取ります。
ζ(゚ー゚;ζ 「暴れない? これ、まだ生きてるよね」
ノパ听) 「次は私のだぁぁぁぁ!」
そう言うが早いか、自分の番を待ちくたびれたのか、ヒートちゃんは即、デレに魚を渡しました。
ζ(゚ー゚;ζ 「え、あ──」
ζ(゚д゚;ζ 「うひょあおえー!?」
(゚、゚トソン 「あ……」
そう言えばそうでした。ヒートちゃんが釣った、いえ、正確に言えば捕ったのは……。
- 35 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:32:30.26 ID:r7g8Oya80
ζ(>д<;ζ 「なななな、何これ!? へ、へビ? イヤッ! 取って!!!」
ノパ听) 「ヘビじゃないぞー!」
川д川 「ウツボだって」
ヒートちゃんが捕ったのはウツボ。面白い魚がいると言ってヒートちゃんは海に飛び込み、ウツボを捕まえてあがってきました。
最初は、私達も今のデレと似たような反応をしてしまいましたけどね。
シャキンさんがこれも食べられるから、とクーラーボックスに入れてしまいました。
しかし、行きがけに魚を取って修行をするみたいなことをヒートちゃんは言ってましたが、本当に捕まえてしまうとは……。
(゚、゚トソン 「ウツボ料理なんて想像できませんけどね」
(`・ω・´) 「色々あるんだけどね。蒲焼や天ぷら、普通に焼いても食べられる。後はウツボ酒とか」
ミセ;゚ー゚)リ 「酒は止めといてください」
ζ(゚д゚;ζ 「誰か取ってってばー! のんびりお話してないでさー!」
・・・・
・・・
- 36 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:35:21.90 ID:r7g8Oya80
ζ(´ー`*ζ 「うぃー、食べた食べた。ウツボって結構美味しいねー」
_, ,_
(-、-トソン 「……」
ζ(゚ー゚*ζ 「ん? どうしたの?」
どうしたのと言われても、ほんの1時間前足らずのデレの姿を覚えていれば、眉をひそめたくなる気持ちもわかると思いますが。
あれだけ騒いでた割には、シャキンさんによって調理されたウツボ料理をぺろりと平らげるのですから。
ξ゚听)ξ旦~ 「デレがこういう風なのは今に始まった事じゃないでしょうが」
ツンちゃんは、私の前にお茶を差し出しながらそう言います。
~旦(゚、゚トソン 「ありがとう。まあ、わかってはいるんですがね」
少し遅めの朝食を終え、私達はのんびりとお茶を飲みながら今後の予定を話し合うことにしました。
その朝食ですが、さすがに鮮度の高い釣りたての魚は絶品で、朝から結構な量を食してしまいました。
ミセ*´ー`)リ 「このままのんびりしてるのもいいよねー。お腹いっぱいで幸せ」
- 38 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:35:37.54 ID:r7g8Oya80
(〃^ω^) 「僕は泳ぎに行きたいお!」
ノパ听) 「私もだぁぁぁぁ!」
そうですね、明日は朝からブーンが待ち望んでいたの水族館に行く予定ですので、泳げる時間もそう無いでしょうから、
今日の内にいっぱい泳がせてあげましょうかね。
(゚、゚トソン 「ブーン達が泳ぎに行くのなら、私もいっしょに行きますが、皆はどうしますか?」
ζ(゚ー゚*ζ 「あれ? そういや貞ちゃんは?」
ミセ*゚ー゚)リ 「料理中。今朝釣った魚の残りとかね」
食べたばっかでよく食材と向かい合えるねー、とミセリは言いますが、そこは少し私も同意するところですね。
お腹いっぱいの時に、食べ物の匂いでむせる様な感覚に捕らわれる事はあります。
よっぽど貞子は料理が好きなのでしょうね。貞子の料理好きには助けられてばかりなので有難い事ですが。
(〃^ω^) 「ねートソン、貞子にご飯お弁当にしてもらえるようにたのんでもいいかお?」
(゚、゚トソン 「それはいいアイデアかもしれませんね」
- 39 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:36:02.35 ID:r7g8Oya80
朝ご飯が遅い時間でしたので、どうせお昼も遅くなるでしょうし、それならばいっそお弁当にしてもらって、
海で食べるのもいいかもしれません。
(〃^ω^) 「お! じゃあ、早速行って来るお!」
(゚、゚トソン 「場所はわかるのですか?」
(;^ω^) 「お! わからんお……」
(゚ー゚トソン 「全く……。いっしょに行きますからちょっと待ってくださいね」
私は、先ほどの話の続き、ミセリ達に午後からどうするかの確認を取り、結局全員で海に行くことになったので、
貞子に全員分のお弁当が出来るか頼みと確認に行くことにしました。
(゚、゚トソン 「じゃあ、行きましょうか」
( ^ω^) 「お!」
・・・・
・・・
- 41 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:37:46.56 ID:r7g8Oya80
川д川 「あれ? トソンちゃんにブーンちゃん。どうしたの?」
先に説明されていた、客に貸し出すための小さな厨房に貞子はいませんでした。
不審に思って尋ねてみると、どうやらでぃさんのご厚意で、実際に調理で使ってる大きな厨房を使わせてもらっているようでした。
私達が厨房へ行くと、そこには割烹着を着た貞子がいました。
(゚、゚トソン 「どちらかと言えば、どうしたのはこちらの台詞な気はしますが、随分と本格的な場所で本格的ないでたちですね」
( ^ω^) 「なんかテレビに出てくるお母さんみたいだお」
川*д川 「そ、そう? 何かこれ、ちょっと落ち着くんだよね」
割烹着の袖をあげ、何だかよくわからないポーズを取る貞子。その顔には満面の笑みが溢れています。
私達は、ここまで来た要件を貞子に告げました。幸いにも、元々重箱を借りて詰めるつもりだったらしく、
お弁当にコンバートするのは容易いようです。
川*д川 「さすがって言うべきなのかな、ここの厨房、すごっく使いやすいんだ」
(゚、゚トソン 「本格的な設備に見えますね」
川*д川 「うん、火力とかやっぱ違うよ。場所も広いし、道具もいい」
- 42 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:39:47.95 ID:r7g8Oya80
(〃^ω^) 「貞子、ここでお料理するの楽しいのかお?」
川*ー川 「うん、楽しいね。こういうとこ、ちょっと憧れるかも」
そう言う貞子の表情は、いわゆる夢見る乙女のような表情でした。
(゚、゚トソン 「その割烹着はシャキンさんですか?」
川д川 「でぃさんだよ。汚れるだろうからって。シャキンさんから渡されたら着なかったなぁ……」
私は、それもそうですね、と笑って答え、貞子に手伝いがいるか聞こうと思いましたが、むしろ楽しみを奪いそうなので
出来上がりの時間だけを聞いて部屋に戻ることにしました。
・・・・
・・・
(〃^ω^) 「お料理してる貞子はとっても嬉しそうだお」
(゚、゚トソン 「そうですね。あれが趣味みたいなものなんでしょうね」
趣味、と言いましたが、貞子にとっては夢みたいなものなのでしょうか。料理に携わる仕事に就くこと。
以前、将来の夢について聞いた時、そういう仕事もいいな、というような事を言っていた気がします。
- 43 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:41:24.50 ID:r7g8Oya80
(#゚;;-゚) 「おや、どしたの?」
(゚、゚トソン 「あ、でぃさん、こんにちは」
(〃^ω^) 「こんにちはですお」
(#^;;-^) 「はい、こんちは」
私達は、部屋に戻る途中にばったり会ったでぃさんに挨拶をし、貞子に厨房を貸していただいた事にお礼を述べました。
(#゚;;-゚) 「いいって、いいって。ちょっとした娯楽の提供、かつ、こちらの手も抜けるんだしね」
そう言ってでぃさんはいつもの朗らかな笑顔を見せます。
後半は冗談なのでしょうが、言い方が本当っぽくて、思わず吹き出してしまいました。
(#゚;;-゚) 「しっかし、あんたもそうだけど、こっちのちっちゃい子も礼儀正しいね。ペニサスちゃん達と大違いだよ」
(゚、゚トソン 「……達」
私は、その言葉を静かに反芻しました。やはりでぃさんは……。
- 44 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:41:50.44 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「ブーン、ちょっと1人で先に戻っててくれますか? でぃさんとお話がありますので」
( ^ω^) 「お? わかったお」
(#゚;;-゚) 「ん?」
ブーンは、私の言葉を聞くと、でぃさんに、またですお、と挨拶をして部屋に戻りました。
私は、でぃさんに襟を正して質問しました。
(゚、゚トソン 「でぃさんは、ペニサスさんの夢見に会った事がおありなのですね」
私のその言葉に、でぃさんはしまった、というような表情を浮かべられます。
はぐらかそうかとでも考えておられたのかも知れませんが、私が視線を外さずにいると、ちょっと場所変えよっか、と歩き出されました。
・・・・
・・・
(#゚;;-゚) 「ペニサスちゃんからは、その事については黙っててくれって言われとるんよ」
でぃさんに連れられて辿り着いたのは、旅館の最上階の空き部屋の一室でした。
造りは私達の部屋と似てはいますが、上の階なので、私達の部屋よりは海が良く見えます。今日は風もなく、泳ぐにはいい海のようです。
閉め切られていた部屋は、どこと無く、硬質な空気を感じさせます。
- 45 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:42:52.81 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「であるならば、私からは無理に聞くことは出来ません。……ですが──」
(#゚;;-゚) 「ですが?」
(゚、゚トソン 「知っておきたいこともあるのです。ずるい言い方かも知れませんが、失敗をしたくないので」
(#゚;;-゚) 「……詳しくは聞かんけど、ちょっとはわかってるのかな?」
初めて見るようなでぃさんの真剣な眼差しに、私は再度気を引き締め、返答を口にします。
(゚、゚トソン 「当事者達からの確認は取れていませんが、恐らく、ペニサスさんの夢見だった人はわかってます」
(#゚;;-゚) 「そっか……。しかし、難しいな。私から言えることが思い付かんよ。と言うより、言う必要がないのかな?」
(゚、゚トソン 「必要が無い?」
(#゚;;-゚) 「そうや。あんた、あの子を心から大切に思ってるやろ? そしてあの子も」
(゚、゚トソン 「ブーンに関しては、そう思ってくれてるといいな、としか言えませんが、私に関しては断言できます」
(#^;;-^) 「うん、いい返事やね。ならやっぱり何も言う必要は無いかな」
- 46 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:43:27.82 ID:r7g8Oya80
そう言って、でぃさんは表情を緩められました。
同時に、室内の空気も少し柔らかなものになった気がします。
私は視線を窓の外に向け、空を見ました。夏らしい積乱雲が水平線から幾つも生えています。
(#゚;;-゚) 「……でも、やっぱり1つだけ言うとこうかな」
しばらくの沈黙の後、でぃさんは、再び真顔でそう切り出されました。
(゚、゚トソン 「……はい」
(#゚;;-゚) 「あんたはあの子のお母さんじゃない」
(゚、゚トソン 「ええ」
(#゚;;-゚) 「あの子にも、あの子の考えがある」
(゚ー゚トソン 「……はい」
(;#゚;;-゚) 「ん? 私、何か変な事言うたかな?」
私が、こらえ切れずに笑みをこぼしてしまったので、でぃさんは不審に思ったのか尋ねられます。
変な事は言われてませんが、同じ事を思い、同じ事を言われるのですね。
それが少しおかしく、嬉しかっただけです。
- 47 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:44:08.31 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「いえ、私も今朝、そういったような事を考えていたので」
(#゚;;-゚) 「ああ、そっか。それもわかってるんか」
(゚ー゚トソン 「ええ。最も、それに気付かせてくれたのはツンちゃんなんですけどね」
はっきりそう言われてしまいました。あなたも子供なのだと。
その事をでぃさんに告げると、でぃさんは目を丸くして言います。
(#゚;;-゚) 「ああ、あの巻き毛の子か。よく出来た子だと思ったけど、何とまあ……」
(゚、゚トソン 「それだけではなく、ブーンやヒートちゃんと接していると、自然とその事に気付きますよ」
自分に知らない事は沢山あると。
私も、ブーン達と同じ様に学ばなければならない。ブーン達といっしょに学んで行くんだと。
(#-;; -) 「……ホントに、私が言うこと無いな。あんたもあの子も1人じゃない、2人でもないんやね」
(゚ー゚トソン 「そうですね。子供ばかりですが7人、でぃさんの様に、周りで気遣ってくれる人も合わせれば
もっともっと沢山の人がいるんですよ」
- 48 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:44:27.03 ID:r7g8Oya80
(#゚;;-゚) 「……今は話せんけどさ、この後、本当にあんたがペニサスちゃんの事、聞く必要があると思ったら
いつでもおいで。その時は知ってる事全部話してあげるわ」
(゚、゚トソン 「ありがとうございます。でも、そうならずに済む様、がんばりますよ」
(#^;;-^) 「ま、それがいいね」
私達は、お互いの顔を見合わせて自然に微笑んでいました。
結局、ほとんど何も聞いてないのですが、何となく、私の中での事象の整理が一段階進んだようにも思えます。
推理に裏付けが取れた感じでしょうか。
私は、でぃさんを長々と引き止めてしまった事に謝罪し、礼を述べ、部屋に戻ろうとしましたが、
1つ大事な事を聞き忘れていましたので、慌てて引き返しました。
(#゚;;-゚) 「なんや、忘れ物?」
(゚、゚;トソン 「1つ聞き忘れた事が」
(#゚;;-゚) 「ん?」
- 50 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:45:47.89 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「ブーンなんですが、私達と来る以前にこちらで見かけた事はありませんか?」
私は、ブーンの記憶が無い事と、以前こちらにいたような記憶を思い出した事をでぃさんに説明しました。
でぃさんはしばらく考え込むように、目を閉じ、あごに手を当てておられましたが、おもむろに目を開き、
(#゚;;-゚) 「わからん。と言うか、見て無いかな? 見てれば覚えてそうな子やもんね」
と言われました。
まあ、この件に関しては、さほど期待はしていなかったので落胆はしませんが、後でシャキンさんにも聞いておくべきですかね。
私は、再びでぃさんにお礼を言い、部屋に戻る事にします。
ペニサスさん、そしてドクオさん、それとブーン。
私は、3人の人物の顔を順々に思い浮かべながら、心持ち軽い足取りで歩き出しました。
〜 第二話 おしまい 〜
− つづく −
- 51 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:47:05.51 ID:r7g8Oya80
〜 第三話 〜
ザバーン
ヽ(〃^ω^)ノシ 「おー!」
バシャーン
ノハ><) 「ぶはっ!」
ミセ*゚ー゚)リb 「お、ナイスダイビング!」
ノパ听) 「やったなぁぁぁぁ!」
相変わらず元気に駆け回るブーン達を見ながら、私はのんびりとビーチパラソルの下でアイスコーヒーを飲んでいます。
夏真っ盛りの真昼の太陽はギラギラと照らし、身体から汗を滴らせます。
ζ(゚ー゚*ζ 「よっと」
ξ゚听)ξ 「どこ飛ばしてんのよ」
ζ(゚ー゚;ζ 「あれー?」
デレとツンちゃんは海の浅い所でボール遊びをしているようです。
ツンちゃん、腕が短いのに中々器用ですね。
- 53 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:49:15.42 ID:Z4X6vPoFO
川−川 zzz
貞子は私の横で眠っています。日陰とはいえ、この暑い中よく眠れるものです。
そう言えば、自分はあまり汗をかかないということを貞子は以前に言っていました。羨ましい事です。
(〃^ω^)ノシ
再び、ブーン達の方に目を向けると、ブーンがこちらに大きく手を振っています。
考えるまでも無く、私を呼んでいるのでしょうね。
私は、貞子に一声かけるべきか迷いましたが、起こすのもなんでしょうから、アイスコーヒーを飲み干し、
ゆっくりとブーンの方へ歩いていきました。
・・・・
・・・
ミセ;゚д゚)リ 「こいつらの体力は底無しか……」
(゚、゚トソン 「ミセリもがんばったとは思いますが、さすがにずっと付き合うのは無理がありますよ」
ζ(゚ー゚:ζ 「ツンちゃんも意外とタフー」
- 54 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:49:33.78 ID:r7g8Oya80
ξ゚听)ξ 「アタシもちょっと疲れたわ」
ノパ听) 「どーしたぁぁぁぁ? もう終わりかぁぁぁぁ!」
( ^ω^) 「おー? もうお水からあがるのかお?」
まだまだ日は高く、時間も早いです。
私は、ブーン達にまだ遊んでいていいと告げ、ちょっと休ませて、と貞子のいるビーチパラソルの方へ行きました。
貞子は既に起きていて、私達に飲み物を差し出してくれました。
川д川 「お疲れー」
ミセ;゚ー゚)リ 「うん、ホントにお疲れ」
ζ(´∀`*ζ 「冷たい飲み物ー」
ξ゚听)ξ 「海でもお腹冷えてんだから、お腹壊さないように気を付けなさいよ」
川ー川 「はい、ツンちゃんも」
私は、貞子から飲み物を受け取ると、改めてブーンの方を見ます。
海からは上がって、砂で何かを作っているようです。
- 55 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:50:37.38 ID:r7g8Oya80
ミセ*゚ー゚)リ 「お? 砂山作りかな?」
(゚、゚トソン 「ブーンはそんな遊び知ってましたっけ?」
ミセ*゚ー゚)リ 「ああ、私が教えたよ。公園の砂場で」
(゚、゚トソン 「いつの間に……」
ξ゚听)ξ 「こいつはよく一人で公園来るしね。……全く、いい若いもんが、子供と遊ぶしか暇潰しの手段ないの?」
ミセ;゚ー゚)リ 「おーう……、ツンちゃんそれ、ちょっち厳しくね?」
そういうツンちゃんですが、遊んでもらえるのは嬉しいのでしょうね。
皮肉を言いながらも、ミセリと楽しそうにじゃれあっています。
ブーンも私の知らない所で、色々な事を覚えたりしているのですね。
今朝からのお話ではないですが、やはり、ブーンはブーンで自分を形作って行っているのでしょうね。
それは素直に、ブーンの成長を喜ぶべき事なのでしょう。
- 56 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:52:51.31 ID:r7g8Oya80
川д川 「さて、ちょっとヒートちゃんのとこに行って来るよ」
ミセ*゚ー゚)リ 「うぉ、中々チャレンジャーだね」
川д川 「はは、まあ、ヒートちゃんは私の家族だしね。私もなるべくいっしょに遊びたい」
ξ゚听)ξ 「ちょっとおと──手加減させようか?」
川ー川 「ん、大丈夫。ヒートちゃんもその辺は考えてくれるからね」
そう言って貞子は、静かにヒートちゃんの方へ歩き出しました。
黒い水着のシルエットが、青をバックに目に映えます。
ξ゚听)ξ 「ふーん……」
(゚、゚トソン 「貞子は貞子で、ヒートちゃんはヒートちゃんで、それぞれお互いを理解して、歩み寄り、成長しているんでしょうね」
ξ--)ξ 「そんなものかねぇ……」
- 58 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:53:56.03 ID:r7g8Oya80
(゚、゚トソン 「ツンちゃんだってデレと──」
ζ(´q`||ζ 「う……、お腹が……」
ξ;゚听)ξ 「バカ! だから言ったでしょうが! ほら、早くこっち!」
どうも冷たいものの飲みすぎで、お腹を壊したらしいデレをツンちゃんは引っ張っていきます。
よく見ると、デレはもう1本ジュースを開けていたようです。
_, ,_
(-、-;トソン 「……ええと」
ミセ*゚ー゚)リ 「あれはあれでお互い補い合ってるんじゃないかな?」
(゚、゚トソン 「9:1ぐらいでツンちゃんが補ってる気もしなくも無いですがね」
ミセ*゚ー゚)リ 「まあねー。それでもツンちゃんには、デレがあってると思うよ。いるだけでもいいのかもね」
やけに達観したような台詞を言うミセリ。
最近は、ブーンやツンちゃん、ヒートちゃんが欲しいと言うような事は無くなりましたが、夢見をまだ探してはいるようです。
- 59 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:54:15.42 ID:Z4X6vPoFO
ミセ*゚ー゚)リ 「もちろん、トソンとブーンちゃんもね」
(゚、゚トソン 「そうですね。私も随分ブーンに補ってもらっている気はしますよ」
ミセ*゚ー゚)リ 「ただ保護者ってわけでも無いよね、トソン達はさ」
(゚、゚トソン 「家族ではありますが、いっしょに成長して行く仲間、友達みたいなものですよ」
ミセ*゚ー゚)リ 「そうだね」
ミセリはこちらを見ずに、遠く、水平線の果てを見るかのような目で佇んでいます。
私には、その胸中を知るべくはありませんが、きっと……。
(゚、゚トソン 「……もちろん、あなたもですよ、ミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ 「……」
(゚、゚トソン 「……」
沈黙を保つミセリ。私は、これ以上言う言葉も無いので、同じ様に黙って立っていました。
- 60 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:55:06.77 ID:Z4X6vPoFO
ミセ*゚ー゚)リ 「……お」
(゚、゚トソン 「……お?」
ミセ*゚∀゚)リ 「お母さん!」
(゚、゚トソン 「張り倒しますよ?」
ミセメ゚д゚)リ 「そういうのは倒す前に言えよ」
(゚、゚トソン 「冗談ですよ」
ミセ;゚д゚)リ 「どれが!?」
(゚、゚トソン 「色々とです」
ミセ;゚ー゚)リ 「まあ、いいけどさ……」
再びの沈黙。耳に届くのは打ち寄せる波の音、セミの声、ヒートちゃんの声。
私は、空を見上げました。
- 61 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:55:28.33 ID:r7g8Oya80
ミセ*゚ー゚)リ 「……何かさ、悩んでるんだったら相談してよ。いつでもいいからさ……」
……ミセリは相変わらずですね。私が知っている中では、一番不思議な人間かもしれません。
ミセリも、私と同じ様に空を見上げているようです。私は、気配でそう判断しました。
(゚、゚トソン 「お……」
ミセ*゚ぺ)リ 「お……?」
(゚、゚トソン 「お互いに」
ミセ*゚ー゚)リ 「……お互いに」
(゚ー゚トソン 「お互いに」
ミセ*゚∀゚)リ 「お互いに」
私達は、お互い顔を見合わせず、馬鹿みたいに笑い合いました。
ただ笑うだけ、言葉は無く、笑うだけ。ただそれだけで、私達は友達という言葉を理解していたのかもしれません。
〜 第三話 おしまい 〜
− つづく −
- 62 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:57:10.38 ID:Z4X6vPoFO
〜 第四話 〜
ひとしきり笑い合って、結局ミセリはこちらを一度も見ずに、んじゃ、お互いに、と一言残して貞子の所へ走って行きました。
もう体力は回復したのでしょうか? 元気なものです。
海と反対側からは、ツンちゃんとデレが戻ってきています。
(゚、゚トソン 「お疲れさま」
ξ;゚听)ξ 「このバカ、どうしようかね?」
ζ(゚ー゚;ζ 「バカはひどいなー」
(゚、゚トソン 「もう大丈夫なのですか?」
ζ(^ー^*ζ 「うん、出すものだ──」
「女の子がそんなこと口にすんなー!」
ξ#゚听)ξつ#)д゚;ζ ゲフゥー!
- 63 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:58:29.30 ID:Z4X6vPoFO
- _, ,_
(-、-;トソン 「……ええと」
ξ:゚听)ξ 「ああ、もう……」
まあ、親しき仲にも礼儀ありと申しますしね。
デレは何と言うか、親しいものに対しては無防備すぎると言うか、明けっ広げ過ぎると言うか……。
取り敢えず私は、お説教を続けるツンちゃんから視線を移し、ブーンに向けます。
砂山を作ってたはずのブーンはどうしたでしょうか。
(゚、゚;トソン 「……」
ペタペタ コネコネ
(〃^ω^)つ
ブーンはまだ砂山を作っていました。
砂山は順調に、どう見てもブーンより大きくなっています。
(〃^ω^) 「!」
- 64 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:59:07.03 ID:r7g8Oya80
(^ω^)ノシ 「トソーン!」
ブーンが誇らしげな笑顔で私を呼びます。
確かに随分とがんばったみたいですね。立派な砂山が出来ていますよ。
(*゚∀゚)ノ 「ドーン!」
( ゚ω゚) 「!!!」
(゚、゚;トソン 「あ……」
それは突然のことでした。何処からともなく走ってきた女の子が、ブーンの作った砂山を蹴り飛ばして壊してしまいました。
あまりのことに、ブーンは目を点にして、状況を把握出来ないでいます。
( ゚ω゚) 「な、なんてことすんだお!」
(*゚∀゚) 「はーかーいー」
何が起こったのか事態を把握したブーンは、砂山を壊した女の子に詰め寄ります。
どうやらあの女の子はブーンが見えているようですね。
- 65 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 21:59:24.37 ID:Z4X6vPoFO
( ゚ω゚) 「はかいってなんだお! せっかく僕が作った砂山をなんでこわすんだお!」
(*゚∀゚) 「おもしろいからー」
これは止めたほうが良さそうですね。珍しくブーンがすごく怒っています。そしてこれは怒るのも当然です。
(゚、゚トソン 「ブーン、こちらへ」
(;^ω^) 「お!」
怒ったブーンが女の子を叩いたりしないか心配していましたが、私の顔を見て、ブーンは少し落ち着きを取り戻したようです。
我慢したブーンのためにも、私がこの子を叱るべきでしょうね。
(゚、゚トソン 「ねえ、あなた、こんな事をしてはダメですよ? この子が折角楽しく遊んでいた物を」
(*゚3゚) 「うっせーババァ」
(゚、゚トソン 「……お家の人はいっしょじゃないのですか? 他人に迷惑掛けちゃダメって教わりませんでしたか?」
(*゚3゚) 「しりませーん」
- 67 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:00:43.80 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「……迷子さんですか? この近くのお子様ですか?」
(*゚3゚) 「うっさいっての、貧乳」
( 、 #トソン 「遺言はそれでお宜しいですか?」
(;゚∀゚) 「ゆ、ゆいごんってなんだよ?」
やはりお子様ですね。遺言の意味も御存知でないとは。それは貴女がこの世で吐ける最後の言葉のことですよ。
(;゚ー゚) 「ちょっと、つーちゃん、何やってんの!」
私がゆらりと死を告げる一歩を踏み出そうとすると、眼前の削除対象と瓜二つの女の子が走ってきました。
(;^ω^) 「お? おんなじ顔?」
( 、 #トソン 「削除対象が2体に増殖……」
(;゚ー゚) 「え? さく──なに?」
- 69 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:00:53.71 ID:r7g8Oya80
(;゚∀゚) 「この貧──、お姉ちゃん何かヤバいぞ」
ほう、言葉を改める知恵はあるようですね。ですが少々遅かったようです。お祈りは済みましたか? お別れ──
「目を覚ませー!」
ミセ;゚д゚)リつ#) 、 トソン パチーン!
(゚、゚;トソン 「突然何をするんですか!?」
ミセメ゚д゚)リ 「するんですか? じゃねーよ。怖いよ、さっきから! 何かドス黒過ぎて見てらんないよ!」
(゚、゚;トソン 「別にそんなひどいことはしませんよ。ほんのちょっとメッて……」
ミセメ゚д゚)リ 「きっちり私にも殴り返してるお前の言葉は危険、いや、聞けん! 落ち着け!」
ミセリが後ろから羽交い絞めにしてきます。そんなことをせずとも、暴れたりはしませんが。
ほんのちょっぴり、捻ったり毟ったりするだけですよ。
(;゚ー゚) 「つーちゃん! つーちゃんがイタズラしたんでしょ? ちゃんと謝って!」
(*-3-) 「やーだね」
- 70 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:01:55.72 ID:r7g8Oya80
(;゚ー゚) 「ちょっと、つーちゃん! 君、ごめんね、つーちゃんのせいで」
(;^ω^) 「お……」
( ´ω`) 「おー……。ちゃんと……、ちゃんと謝ってくれるならそれでいいお……」
(゚、゚トソン 「ブーン……」
よく我慢しましたね。本当はすごく怒っているでしょうに、すごく悲しいでしょうに。
偉いですよ、ブーンは私は──
(*゚∀゚) 「なんでー、男のくせにヘタレめ」
ドンッ
(;゚д゚) 「つーちゃん!!!」
蹴りました。あの子、ブーンを蹴りましたね。軽くですが、でも、蹴りました。
それでも、ブーンは我慢しています。暴力はダメだと、あの子に訴えています。
泣きそうな目をしながら、涙をこらえながら。
- 71 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:02:15.54 ID:r7g8Oya80
不意に、私を抑える腕の力が弱まった気がしました。
ミセ − )リ 「私が叱ってきていいかな?」
(゚、゚トソン いえ、やはり私が──」
ウォォォォ!!! ドゴォ!
ヽノハ#゚听)┌┛#)゚∀゚).・。 ’
(;゚д゚) 「つーちゃん!?」
ξ゚听)ξ 「男が女に手を出すのがダメってんなら、女が女に手を出す分にはかまわないわよね」
ツンちゃんはそう言って、私達の方を見ます。いつの間にか、デレや貞子もこちらに来ていました。
本当は、暴力自体がダメだと教えているのですが、この場は子供のケンカと割り切りたい気分です。
ツンちゃんなら、手加減はしてくれるでしょうし。
( ´ω`) 「ツン、ケンカはダメだお。お話して仲直りするお」
ξ゚听)ξ 「心配しなさんな。これはケンカじゃないわよ」
ξ#゚听)ξ 「悪い事したら罰を受ける。ちょっとお仕置きするだけよ」
- 75 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:05:36.85 ID:r7g8Oya80
(;゚ー゚) 「えっと……」
ξ#゚ー゚)ξ 「あんたもやる? あんたは別にお仕置きの必要もなさそうだけど」
ノハ#゚听) 「おい、こらぁぁぁぁ! さっさと立ち上がってこぉぉぉぉい!」
ヒートちゃんに蹴り飛ばされた女の子は、海の方に転がっていきました。
ヒートちゃんは手加減しない、と言うか出来なさそうですが大丈夫でしょうか。
( ∀ ) 「……」
そう思っていた矢先に、女の子は立ち上がりました。
しかし、うつむいたまま肩を震わせ、その場から動きません。
ξ#゚听)ξ 「ほら、さっさとこっちにいらっしゃいよ」
( ∀ ) 「……う」
ノハ#゚听) 「かかってこぉぉぉぉい!」
( ∀ ) 「……うぅ」
- 77 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:06:38.54 ID:r7g8Oya80
( ´ω`) 「こっちに来るお。お話しするお」
( ;∀;) 「うわーん」
(゚、゚トソン 「あ……」
女の子は泣き出してしまいました。
ヒートちゃんの蹴りが痛かったのか、ツンちゃんが怖かったのかはわかりませんが、大声で泣いています。
その様子に、ツンちゃんも毒気を抜かれたのか、肩をすくめ、ため息をついています。
ヒートちゃんは、自分が泣かせたと思っているのか、おろおろしながらと貞子を見ています、
(゚、゚トソン 「あの子はあなたの妹さん?」
(;゚ー゚) 「あ、はい、つーといって、私の双子の妹です。私はしぃです」
私は、取り敢えずもう1人の方から色々と聞く事にしました。やはりこの子達は双子のようですね。
(゚、゚トソン 「そうですか。泣かせるつもりはなかったのですが……」
(;゚ー゚) 「い、いえ、あれはつーちゃんが悪いんですし、その──」
- 78 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:07:52.79 ID:r7g8Oya80
「待てーい!!!」
突如として野太い大音声が当たりに響き渡ります。
私達は弾かれたようにその声の方を向きます。そこには──
( ФωФ) 「寄ってたかってしぃとつーを苛める悪の手先め! その様な卑劣な輩、この、杉浦ロマネスクが許しておかぬわ!」
そこには、少し大柄な、何とも形容しがたい、犬のような鳥のような、白と黒のツートーンカラーの生き物がいました。
これは……ひょっとして夢見ですか?
( ;∀;) 「ロマー! 助けてよー!」
(#ФωФ) 「安心せい、つーよ。この我輩が来たからにはもう安心だ。しぃと共に隠れておれ」
ξ#゚听)ξ 「へー、大した自信じゃないの。この……豚?」
ノパ听) 「猫じゃないかぁぁぁぁ?」
ζ(゚ー゚;ζ 「あんな不細工なのは猫と認めたくないなー」
- 79 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:08:35.10 ID:r7g8Oya80
川д川 「よく見るとくちばしらしき物がありますし、鳥では?」
ミセ;゚ー゚)リ 「カラスかカモメか……、それにしてはデブ過ぎか」
(;^ω^) 「図鑑でも見たこと無い生き物だお」
皆思い思いに勝手な事を言っています。夢見という発想が無いのか、わざととぼけているのかはわかりませんが。
私は、この形容しがたい生き物を見ていてある事がひらめきました。
(゚、゚トソン 「わかりました! この生き物は恐らく……カモノハシです!」
ξ゚听)ξ 「ああ、確かに!」
川д川 「そう言われればそんな感じが」
ミセ*゚ー゚)リ 「のっそりした不細工さとか似てるね」
ノパ听) 「かもの……?」
(〃^ω^) 「お! 図鑑に載ってたお! おーすとらりあってとこにいるんだお」
ζ(゚ー゚*ζ 「卵を産むけど哺乳類ってやつだね。テレビで見たことあるなー」
- 80 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:09:12.26 ID:Z4X6vPoFO
(#ФωФ) 「貴様ら好き勝手に言うなー!」
(;゚ー゚) 「あのーロマちゃんはカモノハシじゃないですよ」
(#ФωФ) 「この宇宙大王杉浦ロマネスク、由緒正しきペンギンの末裔である!」
(゚、゚トソン 「ペン……」
( ^ω^) 「……ギン?」
「「「「「「「…………」」」」」」」
川−川ノパ−゚)ミセ ゚−゚)リξ゚−゚)ξζ(゚−゚ ζ(^ω^ )(゚−゚トソン
(#ФωФ) 「ぬお!? 何故黙る!!!」
( ´ω`) 「ねー、トソーン……」
(´、`トソン 「何ですか、ブーン」
( ´ω`) 「僕、すいぞっかんでペンギン見るの楽しみにしてたお」
- 82 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:10:22.14 ID:Z4X6vPoFO
(´、`トソン 「私もペンギンは好きでした」
( ´ω`) 「でも、ペンギンさんって、本物は図鑑と違ってあんなにぶちゃいくなのかお?」
(´、`トソン 「私もまじまじと見た記憶はなかったの気付きませんでしたが、現実は時として残酷なものかもしれませんね」
ミセ;´д`)リ 「私もペンギン、実物初めて見たけど、これは無いわー」
ζ(´д`*ζ 「不細工だねー」
( ФωФ) 「……」
(;゚ー゚) 「あのー、みなさん?」
ノパ听) 「キモ」
ξ゚听)ξ 「不細工通り越してかわいそうなくらいね」
川;д川 「ペンギンかー……、うん……、ペンギンかなぁー……?」
(;゚ー゚) 「あのー、ロマちゃん泣いちゃってるんで、そのくらいにしてあげてくれませんか?」
( つωФ) 「わ、我輩、泣いてなぞおらぬぞ、しぃ!」
- 84 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:12:22.04 ID:r7g8Oya80
しぃちゃんに言われて、ペンギン(仮)の方を見てみると、確かに涙目ですね。
言い過ぎましたでしょうか。しかし、我々の負った心の傷も大きいのですよ。
( ;∀;) 「ロマー、ブサイクでもなんでもいいから助けてよー!」
(#ФωФ) 「ぶ、不細工じゃないもん! ええい、とにかく、貴様ら、しぃとつーを泣かせた罪は償ってもらうぞ!」
(;゚ー゚) 「ちょっと、ロマちゃん、私は泣いて無いし、悪いのはつー──」
( ;∀;) 「ロマー! ロマー!!!」
(#ФωФ) 「よし、待っておれ、つーよ。我輩がこいつら全員叩きのめして詫びさせてくれるわ!」
ξ#゚听)ξ 「へー、中々言うじゃないの。不細工ペンギン如きがアタシに勝てるとでも?」
ノパ听) 「いよぉぉぉぉし! 勝負だ、ブサギン!」
( ^ω^)つ 「お……」
ツンちゃん、ヒートちゃん、そしてペンギン(仮)が一触即発の空気になったその時、
ブーンがツンちゃんとヒートちゃんを制し、一歩前に出ました。
- 85 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:13:53.66 ID:Z4X6vPoFO
ξ゚听)ξ 「ん? 何よ、あんた、まだケンカはダメとか言うわけ?」
( ^ω^) 「うんお。ケンカはダメだお。……でも、勝負ならいいお」
ノパ听) 「おう! 勝負だぞぉぉぉぉ!」
( ^ω^) 「……僕が戦うお」
ξ゚听)ξ 「は? あんたケンカ……まあ、勝負としても暴力はダメなんでしょ?」
( ^ω^) 「うんお。でも、女の子には戦わせておいて、僕が何もしないのはダメだお」
ノパ听) 「私の方が強いぞぉぉぉぉ!」
( ^ω^) 「女の子を守るのは男の子の役目なんだお。そうだおね?」
そう言って、ブーンは私の方を見ます。私は、ブーンの目を見つめ返します。
時間にしてほんの十数秒だったでしょうか、それでも、私はブーンの思いを理解しました。
私は、ゆっくりとブーンに頷きました。
- 87 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:15:30.10 ID:Z4X6vPoFO
( ФωФ) 「ほう、中々見所のある男であるな。貴様の名は?」
( ^ω^) 「ブーンだお。……僕が勝ったら、あっちの子に自分がした事を謝らせて欲しいお」
( ФωФ) 「我輩が勝ったら?」
( ^ω^) 「好きにすればいいお」
そう言って、ブーンは身体を少し前に傾け、いつでも走り出せるような体勢を取ります。
対するペンギン(仮)は仁王立ちのまま、微動だにしません。
(゚、゚;トソン 「ブーン……」
ξ゚听)ξ 「大丈夫よ、ブーンは普段からアタシやヒートで慣れてるから」
(゚、゚;トソン 「……普段からブーンを叩いたりしてるのですか?」
ξ;゚听)ξ 「ち、違うわよ──いや、違わなくはないけど、少なくともヒートは修行に付き合ってもらってるだけよ」
と、中々正直なツンちゃん。まあ、普段からブーンがボケた事を言えばつっこむのはツンちゃんの役目ですしね。
そういった意味でも、ブーンは中々打たれ強いです。
- 88 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:15:48.45 ID:r7g8Oya80
( ^ω^) 「行くお……」
ブーンはそういうや否や、一気にペンギン(仮)の下に駆け寄りました。そして──
ドゴォッ!
(ФωФ(#⊂(`ω´ ) オッ!
一撃でペンギン(仮)を殴り倒しました。
( ;∀;) 「ロマー!?」
(;゚ー゚) 「ロマちゃん!?」
(;^ω^)∩ 「おー……?」
ブーンは不思議そうに殴った手を見ています。私も、状況がよくわかりませんので、単純に見たままで捕らえるしかないのでしょうか?
すなわち、ブーンが勝ったのだろうと。
(メФωФ) 「良い拳であった。お前の勝ちだ、ブーン」
(;^ω^) 「お?」
- 92 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:16:57.06 ID:Z4X6vPoFO
ペンギン(仮)は、のっそりと起き上がり、ブーンに自分の負けを宣言しました。
どう見ても、わざと負けたようにしか見えませんね、これは。
( ;∀;) 「ロマ? 何でさ? 何で本気でやんないのさ?」
当然、泣いている方の女の子、つーちゃんから文句が飛び出します。
(メФωФ) 「つーよ、正直に答えよ。悪いのはお前だな?」
( ;∀;) 「う……」
(゚、゚トソン 「ペンギン(仮)さん?」
( ФωФ) 「あいや、ロマネスクとお呼びくだされ、お嬢さん」
ロマネスクさんは、話している内に、それとつーちゃんの普段を知っている故に、
これはまた、つーちゃんが引き起こしたのだろうと察しがついたそうです。
( ФωФ) 「つーがご迷惑をおかけ致した。ほれ、つー、謝らぬか」
(*゚ぺ) 「むー……」
(*゚ー゚) 「つーちゃん、悪い事したり、他の人に迷惑かけちゃダメって言われてるでしょ?」
- 95 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:18:02.14 ID:r7g8Oya80
ζ(゚ー゚;ζ 「中々強情ないたずらっ子だねー」
ξ゚听)ξ 「やっぱ殴り倒しとく?」
川;д川 「それはダメだよ」
(#゚;;-゚) 「んー? なんや、えらい人が増えてるなー?」
(゚、゚トソン 「でぃさん」
(*゚ー゚) 「おばさん!」
いつの間にか、でぃさんが私達の背後にいました。私達は事の成り行きに注意が行っていたので全く気が付きませんでした。
しかし、しぃちゃんがおばさんと呼んだという事は……
(#゚;;-゚) 「おや、しぃ、つー、それにロマまでおったんか。いや、差し入れに来たんよ。飲み物」
先ほど、デレとツンちゃんが一度旅館に戻った時、私達がまだこちらで泳いでいる予定だと聞き、わざわざ届けてくれたようです。
しぃちゃんとつーちゃんはでぃさんのお姉さんの子供、つまりは姪っ子らしいです。
別の浜の方に住んでいるらしいですが、たまたま午後から預かったらしく、ここにいるとのことです。
- 96 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:19:36.11 ID:Z4X6vPoFO
私は、現在の状況を順にでぃさんに説明しました。
もちろん、途中でつーちゃんが自分に都合がいい様な事を口挟みますが、私は気にせず話し終えました。
(#-;; -) 「なるほどなー。状況はよーくわかった。……つー、ちょっとおいで」
(*゚∀゚) 「おばさん、オレ悪くないよなー?」
(#^;;-^) 「いいから、おいで」
そう言ってでぃさんはにこやかに自分からつーちゃんの方へ歩み寄り、むんずとその首根っこを掴み……
(#゚;;-゚) 「あんたいっつも言われとるやろ? 他人様に迷惑かけるなって!」
でぃさんはつーちゃんを抱え自分の膝に乗せ、つーちゃんのお尻を叩きました。
( ;∀;) 「うわーん、ごめんなさーい」
(#゚;;-゚) 「謝る相手が違うやろ? 何でそんなことしたん?」
( ;∀;) 「面白そうだったからー! ごめんなさーい」
(゚、゚トソン 「でぃさん、その辺で……」
叩く回数が20は越えた辺りで、さすがに止めた方がいいかと、私はでぃさんに声をかけました。
- 97 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:19:55.96 ID:r7g8Oya80
(#゚;;-゚) 「全く……、もうせんよね?」
( ;∀;) 「しませーん! ごめんなさーい!」
でぃさんはつーちゃんを地面に降ろし、ブーンに謝るように促しました。
つーちゃんはでぃさんの顔を見あげましたが、でぃさんが頷くと、自分も頷き、ブーンの方へ向き直りました。
( ;∀;) 「す、砂山壊してごめんなさい。蹴ってごめんなさい!」
そう言ってつーちゃんは大きく頭を下げました。
叩かれたからの謝罪ではなく、本当に心から反省しての謝罪であればいいのですが、その辺りはまだ子供です。
少しずつ、学んでもらうしかないのでしょうね。
( ^ω^) 「ダメだお」
(゚д゚;トソン 「ブーン!?」
( ;д;) 「ふぇ!?」
私は、ブーンが謝罪を拒否した事に驚きを禁じ得ませんでした。
〜 第四話 おしまい 〜
− つづく −
- 98 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:22:29.76 ID:r7g8Oya80
〜 第五話 〜
(〃^ω^) ペタペタ
(*゚∀゚) コネコネ
ノハ*゚听) グチャグチャ
(*゚ー゚) コネコネ
ξ゚听)ξ ペタペタ
ミセ*゚ー゚)リ ペタペタコネコネ
(#゚;;-゚) 「ホントに、良い子やね」
(゚、゚トソン 「ええ、私が思う以上に良い子なのかもしれません」
ブーンは、つーちゃんに許すための条件を出しました。
いっしょに砂山を作って欲しいと。最初のより、大きな砂山を作ろうと。
- 100 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:23:03.43 ID:r7g8Oya80
今は子供達皆と、何故かミセリの6人で砂山を作っています。
(#゚;;-゚) 「まあ、子供達はいっしょに遊べばすぐに仲良くなるでしょ」
でぃさんはそう言って本来の目的、持って来てくれた飲み物を私に手渡してくれました。
(゚、゚トソン 「ありがとうございます。そうですね、もう既に仲良しみたいですが」
(〃^ω^) 「つー、こっち砂がたんないお!」
(*゚∀゚) 「アヒャ、オレに任せろ」
ξ゚听)ξ 「ちょっと、こっちに砂飛ばさないでよ」
(*゚ー゚) 「はい、ツンちゃんこれ」
ノハ*゚听) 「あ、崩れた」
ミセ;゚ー゚)リ 「ヒーちゃん力入れすぎ」
- 105 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:24:43.01 ID:r7g8Oya80
(#^;;-^) 「ホントやね。子供は順応が早いわ」
約一名、大きい子供が混じっていますが、それはそれでいいということにしましょう。
あそこまで自然に馴染めるミセリが少し羨ましくもありますしね。
でぃさんは、飲み物を渡すために貞子の方に歩いて行かれました。
入れ替わりに、ロマネスクさんがこちらに話しかけてきます。
( ФωФ) 「実にご迷惑をおかけした」
(゚、゚トソン 「ちゃんと謝って頂きましたし、ブーンと仲良くしてもらっていますから構いませんよ」
多分、ブーンもそう思っているでしょう。私は、そう続けました。
( ФωФ) 「中々良い男だな、あのブーンとやらは」
(゚、゚トソン 「私も少し驚いています。私は、あの子に少し理不尽な事を押し付けていたかもしれませんので」
私は、ブーンにケンカはしてはいけない、女の子に暴力を振るってはいけない、女の子や自分より弱いものは
守ってあげなければいけないなど、いくつかの事を守って欲しいと伝えていました。
でも、今日のように、女の子から暴力を振るわれたり、理不尽な目にあった時にどうすればいいかということは、
何も言っていませんでした。
- 106 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:25:00.98 ID:r7g8Oya80
自分の意思で考えようにも、先に私が伝えた事が邪魔をしてしまいます。
どうすればいいかわからず、どうしようもなかったブーンはすごく悔しかったのでは無いでしょうか。
( ФωФ) 「ふむ……。良き教えだと我輩は思うぞ? 男があるべき姿である」
(゚、゚トソン 「あの時、ツンちゃん達がいなかったら、ロマネスクさんが来なかったら──」
( ФωФ) 「実際はそばに友達もいたし、我輩も来た。それでよいのでは?」
(゚ー゚トソン 「行き当たりばったりですね」
( ФωФ) 「マニュアル通りでは良き男にはなれんよ。……暴力を振るわずとも止める手段を覚えさせれば良い」
ロマネスクさんは、後でブーンに簡単な護身術と相手を取り押さえる手段を教えておく、そう言ってからからと笑われました。
私は、それに対して礼をいい、その件は任せる事にしました。
あまりそういう事を使う場面には遭遇してほしくないというのが本音ではありますが。
(゚、゚トソン 「しかし、何故あなたはペンギンを自称しているのですか?」
( ФωФ) 「む? この白と黒のカラーリング、しなやかな体躯、くちばし、羽、どこを取ってもペンギンではないか?」
- 107 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:26:31.13 ID:r7g8Oya80
(゚、゚トソン 「夢見……ではないのですか?」
( ФωФ) 「ゆめみ?」
私の言葉をそのままオウム返しにされたロマネスクさんは、夢見の事を全くご存じないようでした。
私は、夢見の事、ブーン達の事を掻い摘んで説明しました。
(;ФωФ) 「なん……だと……」
さすがに自分の根底が揺らいだせいか、出会って初めて動揺した態度を見せるロマネスクさん。
しかし、でぃさんがいるのに何故、夢見の事がわからなかったのでしょうか?
私は、気になったのでこちらに戻ってこられたでぃさんに聞いてみました。
(#゚;;-゚) 「長々と説明するのがメンドかったんでペンギンって事にしといた」
(゚、゚;トソン 「は?」
(#゚;;-゚) 「つーがこれはペンギンだと言うしな、しぃは違うって言ってたけど、どっちでも問題なかったからね」
(;ФωФ) 「そ、そんな理由で……?」
- 108 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:26:43.59 ID:Z4X6vPoFO
ロマネスクさんがガクりと膝を着きます。
まあ、確かに、理由がそんなのではショックを受けるのもわかりますが。
ξ゚听)ξ 「これ、どうしたの?」
(゚、゚;トソン 「まあ、色々ありまして。主に御自分のアイデンティティが揺らいだせいかと」
砂山を作っていたはずのツンちゃんが私のそばに来ていました。
どうしたのかと尋ねてみると、もうそろそろ砂山が完成しそうで、どうせブーンが私に見せたがるだろうから、
向こうに行ってやれ、と、伝えに来てくれたようです。
私は、うなだれたままのロマネスクさんに目を向けます。
面倒、その一言でペンギン化されていたロマネスクさんには同情をしますが、確かにでぃさんの言う事も一理あります。
(*゚∀゚)ノシ 「おーい、ロマー!」
(*゚ー゚)ノシ 「ロマちゃんもいっしょに作ろうよー」
あの子達にとっては、ロマネスクさんがペンギンだろうが夢見だろうがどちらでもいいのでしょうしね。
- 110 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:27:53.35 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「ツンちゃんもいっしょに行きましょう?」
ξ゚听)ξ 「アタシは──まあ、いいわ、いっしょに行ってあげないこともないわね」
私は、ツンちゃんといっしょにブーンのそばまで行きました。
一心に砂山に砂を押し付けていたブーンは、私に気付くと嬉しそうに話しかけてきました。
ヾ(〃^ω^)ノシ 「ほら、見て、トソーン! 前よりおっきな砂山だお! みんなのお陰でもうすぐ出来るお!」
(゚ー゚トソン 「本当に大きな砂山ですね。みんながんばり──」
ζ(´ー`*ζ 「やほー」
.._, ,_
(゚、゚;トソン 「あなたは何をしているのですか、デレ?」
ζ(´ー`*ζ 「んー? こういう砂山の下にはね、誰かが埋まるもんだってミセリちゃんがねー」
(〃^ω^) 「そういうの僕、知らなかったお! また1つかしこくなったお!」
ζ(´ー`*ζ 「まあ、冗談のつもりで埋まったんだけどさ、誰も止めなくてねー。もう自分じゃ抜けらんないの」
- 111 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:28:02.27 ID:r7g8Oya80
さっきから姿が見えないと思っていたら、こんなとこにいましたか。
私は、わかってて埋めたであろうツンちゃんに視線を向けます。
ξ゚听)ξ 「まあ、何かノリで」
(゚、゚;トソン 「……特に害があるわけでも無いですしね」
私は諦めたようにつぶやき、ブーンのそばに座っていっしょに砂山を作り始めました。
・・・・
・・・
それから間もなく、砂山は完成しました。
(〃^ω^)ノ 「できたおー!」
ノハ*゚听)ノ 「完成だぁぁぁぁ!」
(*゚∀゚)ノ 「ヤーハー」
(*゚ー゚)ノ 「おつかれー」
ξ゚听)ξ 「ホント、疲れたわね」
- 112 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:30:07.96 ID:Z4X6vPoFO
私達は、沈む夕日をバックに無邪気に喜ぶ子供達を見ながら微笑んでいました。
川д川 「ちょっと遅くなっちゃったかな?」
でぃさんは既に旅館に戻られています。
旅館のお仕事があるからと言われ、しぃちゃん達は帰りにいっしょに連れてきてくれと頼んで行かれました。
(゚、゚トソン 「ブーン、それに皆さん、そろそろ時間ですし旅館に戻りましょう。お腹もすいたでしょ?」
ヾ(〃^ω^)ノ 「はーいだお」
私の言葉に、ブーンとヒートちゃんはすぐに走ってきます。
その後からしいちゃんとつーちゃんが、ツンちゃんはのんびり歩いてきます。
ζ(´ー`*ζ 「あれー? 私はー?」
(゚、゚トソン 「潮が満ちれば砂山は崩れますよ」
ζ(´д`:ζ 「え?」
- 113 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:30:20.28 ID:r7g8Oya80
ミセ*゚∀゚)リ 「せっかくツンちゃん達ががんばって作った砂山を、みんなが見てるとこで壊すわけにもいかないじゃん?」
ζ(´ー`;ζ 「あ、あー……、そうだねー……」
川д川 「では、お先に」
ζ(´д`:ζ 「え? 私1人?」
(゚、゚トソン 「しぃちゃん達もいますからね。私達3人、あの子達に付いていないと」
ζ(´ー`;ζ 「あ、あー、あー……、そうだねー……。あれー? 何か頭冷たい。水?」
ミセ*゚ー゚)リ 「お、よかったじゃん。もう10分ぐらいすれば出られるんじゃね?」
ζ(´д`;ζ 「うーん……、その前に溺れたりしないかなー?」
川д川 「まあ、その時はその時で」
- 114 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:31:28.91 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「デレの事は忘れません」
ミセ*゚ー゚)リ 「私達の胸の中で、いつまでも……」
ζ(゚д゚;ζ 「ちょ! 何それ!? 助けてよ!?」
私達は、デレの懇願を聞こえないフリで、デレの視界に入らない位置に移動します。
デレは助けてだの溺れるだのわめいていましたが、あまりにうるさいので、ブーン達に聞いてみました。
(゚、゚トソン 「デレがああ言ってますがどうしますか?」
(〃^ω^) 「お!」
ブーンはつーちゃんの方を見て、一声かけました。つーちゃんはその意味を察したのか、こくりと頷きました。
(〃^ω^) 「ヒートもツンもしぃもいっしょに行くお!」
そう言ってブーンは砂山に駆け出します。つーちゃんも、他の子供達も一斉に駆け出しました。
- 115 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:31:41.69 ID:r7g8Oya80
(〃^ω^) 「せーの」
ξ*゚ー゚)ξノハ*゚听)(〃^ω^)「「「「「どーん!!!」」」」」(゚∀゚*)(゚ー゚*)
ζ(゚д゚;ζ 「うひゃぁおえ!?」
砂山はブーン達5人の体当たりで一気に崩れ去りました。
5人はそのまま砂浜に転がって、お腹を抱えて笑っています。
いっしょに何かを成し遂げた、連帯感みたいなものがあの子達に芽生えているのかもしれません。
( ФωФ) 「良き出会い、そして良き友、といったとこであるかな」
(゚ー゚トソン 「ええ、そんなとこでしょうね」
私達は、今日も楽しい一日を終える事が出来ました。
〜 第五話 おしまい 〜
− つづく −
- 118 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:36:24.65 ID:r7g8Oya80
〜 ( ^ω^)の日記 〜
8月×日 はれ
今日は朝につりに行ったお。お魚さんをつるんだお。
はじめてつりしたけど、シャキンがいろいろおしえてくれたお。
アジとかつれたお。ほかにもつれたけど、名前わすれちゃったお。
あとで聞いといて、お家かえってから図かんでしらべるお。
お昼からは海であそんだお。すな山つくったお。
でも、つーって子にじゃまされたお。せっかくつくったのにしょんぼりだったお。
でも、ぼくはおこらなかったお。トソンもあたまをなでてくれたお。気もちよかったお。
そしたら、つーとしぃそれとペンギンさんとお友だちになれたお。
ちゃんとごめん、ってしてくれたお。うれしかったお。
ペンギンさんはペンギンさんじゃなかったからよかったお。明日のすいぞっかんで本もののペンギンさん見るお。
明日がすっごくすっごくたのしみだお。
- 119 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:36:44.89 ID:r7g8Oya80
〜 (゚、゚トソンの日記 〜
今日も今日とて海の日々。
だいぶこの気候にもなれましたが、もう数日で帰るんですよね。少し残念です。
食事は美味しい、海は気持ちいい。ここでの生活も、中々素敵ですので。
朝から釣り、昼から泳ぎと私達は海辺の旅行を存分に楽しんでいると思います。
ブーン達も、毎日思いっきり走ったり泳いだりを楽しんでいるようで、本当に嬉しそうです。
そういった楽しみの反面、私の心にはいくつかの疑問が浮かび、矛盾に煩悶し、思い悩むこともあります。
ブーンを見ていると、改めて考えさせられます。人間が、自分が、いかに矛盾を抱えたままで生きているのかを。
当たり前の事として受け入れている矛盾、それを他人に説明するのが、こうも難しいものとは……。
元々、矛盾しているから説明できないのではありますが。
私1人だと、色々とダメになっていた気がします。ブーンがいて、みんながいる。
自分が面倒を見ているようで、皆から面倒を見てもらっている。私達は、皆そんな風なのかもしれません。
- 120 :◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:37:07.62 ID:r7g8Oya80
しかし、でぃさんの姪っ子たち、主に妹のつーちゃんにですが、には苦労させられました。
ブーンはよく我慢しましたね。ちゃんと自分で考えられるようにもなってきています。
その成長は本当に喜ばしい限りです。
そしてロマネスクさん。
あの方がペンギンだと聞いた時には軽い絶望感を覚えましたが、やはり夢見のようでした。
中々男らしく、紳士的な方です。外見はさておき。
さて、明日はブーンが待ち望んでいた水族館です。引っ張り回されるのは確実でしょうから、早めに寝ますかね。
(゚、゚*トソン 「明日は本物のペンギンが見れますよね? 楽しみです」
− 第十四章 砂山と私とペンギンさん おしまい −
− 夢は次章へつづきます −
- 130 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:52:24.52 ID:r7g8Oya80
ミセ*゚ー゚)リ 「そういやさ、貞ちゃん植物も詳しいんだよね?」
川д川 「好きなだけで詳しいというわけでは」
ミセ*゚ー゚)リ 「んじゃさ、花言葉とかは?」
川д川 「あ、それならまあ。本もありますし」
(゚、゚トソン 「何故、唐突に……」
ミセ*゚ー゚)リ 「まあ、何となく? ただどんな花が好きって言うより面白いじゃん。……ってことでまず、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ 「え、私? うーん……」
ミセ*゚ー゚)リ 「そんな深く考えないで、好きな花言ってみてよ」
ζ(゚ー゚*ζ 「じゃあ、ポピーかな?」
(゚、゚トソン 「雛罌粟ですか」
ミセ;゚д゚)リ 「読めねーよ」
- 131 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:52:50.26 ID:r7g8Oya80
川д川 「ひなげしですね。花言葉は“慰め、いたわり、陽気で優しい、思いやり”ですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「中々デレっぽいね」
(゚、゚トソン 「最近はお馬鹿化著しいですが」
ζ(゚ー゚;ζ 「バカじゃないもん」
ミセ*゚ー゚)リ 「じゃあ、ついでにツンちゃん」
ξ゚听)ξ 「あ、アタシ? えーっと、そうね……ダリアかしら」
川д川 「ダリアは“エレガント、華麗”とかだね」
ζ(^ー^*ζ 「おー、ツンちゃんっぽいね」
ξ*゚听)ξ 「そ、そうかしら?」
ミセ*゚ー゚)リ 「んじゃ、貞ちゃんは?」
川;д川 「わ、私? 私は梔子なんだけど……その……」
- 132 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:53:40.02 ID:r7g8Oya80
(゚、゚トソン 「死人に口無しのクチナシですね」
ミセ;゚ー゚)リ 「違うだろ」
川;ー川 「えっと、花言葉がその……“洗練、優雅”なの。……似合わないよね?」
ξ゚听)ξ 「そんなこと無いわよ。貞子は割とセンスいいわよ」
(゚、゚トソン 「デレよりは」
ζ(゚д゚;ζ 「トソンちゃん!?」
ミセ*゚ー゚)リ 「で、ヒートちゃんは……わかるかな、花、植物?」
ノパ听) 「かぼちゃ」
ミセ;゚ー゚)リ 「かぼ……」
川д川 「花言葉は“広大”だね」
ミセ;゚д゚)リ 「あんの、かぼちゃ?」
- 133 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:56:16.27 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「まあ、花は咲くでしょうからね」
川д川 「じゃがいもとかにもあるよ」
ミセ;゚ー゚)リ 「mjsk? ま、まあいいや。ヒートちゃんらしくて良いね」
ノパ听) 「大きい事は良い事だぁぁぁぁ!」
ミセ*゚ー゚)リ 「では、トソン?」
(゚、゚トソン 「私は雪柳が好きですね。あの小さな白い花は心が和みます」
ζ(゚ー゚*ζ 「決して主役にはなれないけど綺麗だよねー」
川д川 「雪柳の花言葉は……」
ミセ*゚ー゚)リ 「花言葉は?」
川;д川 「……あ、“愛嬌”ですね」
ミセ*゚ー゚)リ 「……」
ζ(゚ー゚*ζ 「……」
- 134 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:57:14.38 ID:Z4X6vPoFO
(゚、゚トソン 「……」
ミセ*゚3゚)リ「「ボフー!」」ζ(゚ε゚*ζ
(゚、゚トソン 「……」
ミセ*゚∀゚)リ 「いやいやいやいや、愛嬌ってあんた……」
ζ(´∀`*ζ 「トソンちゃんから懸け離れ過ぎー」
(゚、゚トソン 「ほほぅ……。そういうミセリはどうなんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ 「私? 私は菜の花だよ。ああいう素朴なのが良いんだよ」
川д川 「菜の花の花言葉は……」
川д川(゚、゚トソンζ(゚ー゚*ζ 「「花言葉は?」」
川д川(゚、゚トソンζ(゚ー゚*ζ 「「「……」」」
ミセ*゚ー゚)リ 「?」
- 135 :花言葉◆iW2kGg44LU:2008/12/08(月) 22:58:20.28 ID:Z4X6vPoFO
川ε川(゚ε゚トソンζ(゚ε゚*ζ 「「「ボフー」」」
ミセ;゚д゚)リ 「!?」
ζ(゚ー゚*ζ 「まあ、らしいといえばらしい?」
川д川 「さもしいですが、まあドンマイ?」
(゚、゚トソン 「ミセリ(笑)」
ミセ;゚д゚)リ 「いや、言えよ! 菜の花の花言葉って何?」
− 花言葉 おしまい −
※菜の花の花言葉“財産”
- 156 :◆iW2kGg44LU:2008/12/09(火) 00:47:47.90 ID:d8Rfx1VZO
<僕が考えたおまけコーナー>
(〃^ω^) 「ブーンが質問に答えるお!のコーナーだお」
(〃^ω^) 「早速始めるお」
(゚、゚トソン 「夢見ってなんですか?」
(〃^ω^) 「お! わからんお」
ζ(゚ー゚*ζ 「トソンちゃんの苦手な食べ物は何?」
(〃^ω^) 「お! わからんお」
ミセ*゚ー゚)リ 「貞ちゃんの得意料理って何?」
(〃^ω^) 「お! 貞子のご飯はどれもおいしいお!」
川д川 「ブーンちゃんの50m走のタイムは?」
(〃^ω^) 「お! わからんお」
(*><) 「と、トソン先生の3サイズはいくつですか?」
(〃^ω^) 「おー? すりーさいず?」
(
<●><●>) 「ブーンではほとんど答えられないことはわかってます」
打ち切り!
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