3 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 21:52:48.89 ID:CbH9eMmH0

− 第十五章 花火と私と星に願いを −

 〜 第一話 〜


おはようございます、都村トソンです。

ヾ(〃^ω^)ノシ 「トソーン、起きてお! 朝だお、朝!」

('、`トソン 「おはよう、ブーン」

(〃^ω^) 「おはようだお」

('、`トソン 「……時計は見えますか?」

(〃^ω^) 「見えるお!」

('、`トソン 「今何時かわかりますか?」

(〃^ω^) 「おー……? 5時だお!」

('、`トソン 「水族館は9時にならないと開かないんですよ……」


5 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 21:55:16.99 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「うんお」

(-、-トソン 「もう少し寝かせてください……」

(;^ω^) 「おー……」

私は、そう宣言して、再び目を閉じ、横になりました。
先ほどの会話からわかるように、今日は朝から水族館に行く予定です。

普段はお寝坊なブーンですが、今朝は既に目を覚ましています。
本当に水族館が楽しみで仕方がないのでしょうね。

( ^ω^) 「おー……」

目を閉じはしましたが、ブーンがそわそわうろうろしているのは気配でわかります。
放っておくとツンちゃん辺りにうるさいと怒鳴られそうですね。

( ^ω^) 「お!?」

私は薄目を開け、ブーンの位置を確認すると腕を伸ばし、無理矢理布団の中に押し込みました。

(-、-トソン 「ブーンももう少し寝てましょうね。水族館で眠くなったら嫌でしょ?」


7 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 21:57:09.54 ID:CbH9eMmH0

(;^ω^) 「おー……、でも、眠くないお」

(-、-トソン 「目を閉じていれば自然と眠くなりますよ。さあ……」

(;^ω^) 「お……」

( -ω-) 「……」

大人しく言う事を聞いてくれたブーンですが、時折もそもそと動いているのがわかります。やはり眠れないのでしょうか。
しかし、私自身は再びまどろみの中へ入れそうな具合です。

ゴソゴソ

(-、-トソン

ウロウロ

(-、-トソン

ゴソゴソ ウロウロ

(-、-トソン 「ふぅ……」


8 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 21:57:42.04 ID:CbH9eMmH0

今度はヒートちゃん辺りでしょうかね。誰かが起き出してうろうろしだしました。
私は薄目を開け、その人物を確認します。ヒートちゃんだと寝かしつけるのは大変そうですが……。

ミセ*゚д゚)リ ウロウロ
 _, ,_
(-、-トソン 「……ブーン?」

(〃^ω^) 「お?」

私は、まだ眠っていないであろうブーンに声をかけ、ミセリを指差しました。

(-、-トソン 「眠れないのならミセリを誘って散歩にでも行ってきても良いですよ?」

(〃^ω^) 「お! うんお!」

ブーンは返事をするが早いかパッと布団から飛び出して、ミセリの方へトテトテと走って行きます。
何やら話し声が聞こえ、2人連れ立って部屋から出て行くのが気配でわかりました。
私は、それを確認した頃にはいつの間にか眠りに落ちる事が出来ていました。

・・・・
・・・


11 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 21:59:49.22 ID:CbH9eMmH0

時刻は7時半頃でしょうか、私の体内時計はそう告げています。
目を開け、時計を確認すると果たして時刻は大体あっていました。

起き上がり、周りを見渡すと、未だ眠っているのはデレだけという少々珍しい光景を目にする事になりました。

川д川 「おはよー。コーヒー飲む?」

(゚、゚トソン 「おはようございます。皆さん早いですね。コーヒー、お願いします」

私は洗面所へ向かい、顔を洗って戻ってきました。
ブーンとミセリはまだ戻ってません。ツンちゃんとヒートちゃんは貞子といっしょに座っています。

ξ゚听)ξ 「起きたらブーンとミセリがいなかったんだけど……」

私は、ツンちゃん達に今朝の出来事を話しました。
2人は多分、散歩に行っているであろう事を。

ノハ*゚听) 「私も行きたかったぞぉぉぉぉ!」

川ー川 「どこまで行ってるんだろうね? ミセリちゃんもいるし、迷子にはなっていないだろうけど」


14 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:01:35.54 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「浮かれ過ぎと言うかはしゃぎ過ぎと言うか、水族館で息切れしなければいいんですけどね」

ξ--)ξ 「大丈夫でしょ、特にブーンは」

むしろ引っ張り回されてあんたがバテないでよね、とツンちゃんは言います。
その可能性は大いに考えられますね。

川д川 「8時前ぐらいに大食堂に行って、ご飯を食べたらそのまま出かけるって事でいいのかな?」

(゚、゚トソン 「そのつもりでしたが、ブーン達が戻ってこないと……」

ξ゚听)ξ 「先に行ってんじゃない、食堂?」

ノパ听) 「お腹すいたぞぉぉぉぉ!」

ツンちゃんの意見も一理あります。今日に限っては2人ともスケジュールを完璧に把握してそうですし。
自分達から遅れそうになる事はしない気はします。
私達も早めに行ってもいいかもしれませんね。問題が1つありますが。



15 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:01:56.88 ID:CbH9eMmH0

ξ゚听)ξ 「置いていく?」

私の視線の先が何かに気付いたのか、ツンちゃんが控えめに聞いてきます。
置いていく、という断言でないのは、デレといっしょ行きたいからでしょうね。

(゚、゚トソン 「ヒートちゃん、ちょっとデレを起こしてもらえますか……全力で」

ノパ听) 「わかったぞぉぉぉぉ!」

川;д川 「え? ちょ、手加減──」

<「デレぇぇぇぇ! 起きろぉぉぉぉ!!!」

<「みぎゃぁー!?」

ξ;゚听)ξ 「……容赦ないわね」

~旦(-、-トソン ズズー

・・・・
・・・


19 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:04:42.91 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚д゚)リノ 「遅いぞ!」

(〃^ω^)ノ 「お!」

(`・ω・´) 「やあ、おはよう」

大食堂に着くと、ツンちゃんの予想通り、ブーンとミセリは先に来ていました。
シャキンさんもいっしょな上に、何やら豪勢な朝ご飯が並んでいます。

(゚、゚トソン 「おはようございます。ええっと……」

(`・ω・´) 「釣りをしてたら2人が来たんでね。そこそこの釣果もあったし、早めに切り上げて朝ご飯。
        今日はお出かけだろ? ちょっと豪華にね」

(゚、゚トソン 「ブーンの相手をしていただいてありがとうございます。それと、朝食も」

(〃^ω^) 「トソンも食べるおー! おいしいお!」

ブーンとミセリは既に食事中です。シャキンさんが冷めない内に、と勧めるので、私達も席に着き、頂く事にします。

ζ(゚ー゚*ζ 「どこまで散歩に行ったの?」

(〃^ω^) 「この辺ぐるっと回って、釣りをしたていぼうまでだお」


20 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:05:21.32 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚ー゚)リ 「珍しくデレがしゃきっとしてない?」

川д川 「まあ、ヒートちゃんが起こしたので……」

ノハ*゚听) 「うまいぞぉぉぉぉ!」

私達は朝にしてはボリュームのある食事を堪能致しました。

・・・・
・・・

~旦(゚、゚トソン 「というわけで、この後の予定ですが……」

食事を終え、この後の予定の確認をします。
全員理解していると思いたいですが、一応念のためです。

これから水族館に歩いて向かい、開館間もない時刻に到着。さほど広くは無いらしいので、大体昼過ぎぐらいまではいる予定です。
食事は旅館が、かさ張らないお弁当を用意してくれるとの事なので、甘える事にしました。


21 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:06:34.83 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚ー゚)リ 「んで、その後は?」

ζ(゚ー゚*ζ 「最後に一泳ぎしたいかな?」

ノハ*゚听)(〃^ω^)「「うん(お)!」」

ξ゚听)ξ 「じゃあ、一旦旅館に帰ってから海かな」

(`・ω・´) 「その件なんだけど、僕から提案があるんだが」

厨房に行っていたはずのシャキンさんが戻ってきて、私達の話に割って入りました。
いつの間に戻ってきていたのでしょう?

川д川 「提案ですか?」

(`・ω・´) 「うん、やらないか……バーベキュー?」

( ^ω^) 「ばーべ……?」

ノパ听) 「きゅー……?」


22 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:08:05.84 ID:CbH9eMmH0

シャキンさんが意味を分かっていないブーンとヒートちゃんにバーベキューの説明をしてくれます。
聞いている2人の目が、みるみるうちに輝いてきます。

(`・ω・´) 「最後の晩餐だしね、せっかくだからパーっとやりたいなって」

ヾ(〃^ω^)ノ 「おおー! バーベキューやりたいお!」

ノハ*゚听)ノ 「バーベキューだぁぁぁぁ!」

ブーンとヒートちゃんの喜び様もありますが、その提案自体が私達にも大変魅力的なものです。
皆で楽しく過ごすには持って来いのイベントでしょう。ですが──

(゚、゚トソン 「大変有り難いのですが、金銭的面や人件的面など、色々とご負担が──」

(#゚;;-゚) 「相変わらずやね、あんたは」

ポンと、何か紙を丸めたようなもので後ろから頭をはたかれました。
私が振り向くと、そこにはでぃさんがいます。

(#゚;;-゚) 「何度も言うとるやろ、予算の範囲内って?」


24 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:11:57.99 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「……ですが」

(#^;;-^) 「まあ、交換条件も無い事は無い。しぃ達もいっしょだから、面倒見て欲しいんよね」

でぃさんは交換条件と仰られますが、あの子達でもこういう場ならほとんど手がかかる事も無いでしょう。
要するに気を使って頂いているわけです。

(`・ω・´) 「遠慮はしないで欲しい。君達は本当に良い子達だし、この一週間、僕も楽しかった」

(#゚;;-゚) 「最後まで、いっしょに楽しみたいってのもあるんよ。たまには私らもね、羽目を外したいし」

ζ(゚ー゚*ζ 「トソンちゃん」

(-、-トソン 「……ええ」

お断りする理由はこちらには無いんですよね、最初っから。私達にとっては有り難い事ばかりなので。
どの道この一週間、色々と甘えさせて頂いています。最後も甘えさせて頂いても、そう変わらないのも分かっています。

(゚、゚トソン 「では、有り難くお受けさせていただきます」


25 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:12:18.52 ID:CbH9eMmH0

(`・ω・´) 「うん、ありがとう」

ミセ*゚ー゚)リ 「ありがとうはこっちの台詞なんですけどね」

(#゚;;-゚) 「まあ、そういうことやから、水族館に海と楽しんで──そうそう、忘れるとこやった」

そう言ってでぃさんは、先ほど私の頭をはたいた紙を広げて差し出されました。

川д川 「これは……入場券?」

この場で出されるということは当然水族館の入場券で、その意図も受け取れということなのでしょう。
今更断っても無駄でしょうから、せめてその入手経路だけでも聞いておく事にします。

(#゚;;-゚) 「まあ、地元やしね。何かの折に各家庭に配られたりするんよ」

(`・ω・´) 「あまりこういうとこに行かれない、お年寄りの方とかから譲っていたものだよ」

その代わりに、ここの入浴券などをお渡ししているそうです。


26 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:12:39.99 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「何から何までありがとうございます」

ξ゚听)ξミセ*゚ー゚)リノハ*゚听)「「「「「「ありがとうございまーす(お)!」」」」」」(^ω^〃)ζ(゚ー゚*ζ川д川

(`・ω・´) 「うん、子供は素直で──」

(#^;;-^) 「元気が一番」

私達はお2人に礼を言い、お弁当を受け取って水族館へ出発します。
ブーン達は嬉しそうに、見送って頂いたシャキンさん達に大きく手を振っていました。


 〜 第一話 おしまい 〜

    − つづく −   


30 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:15:33.31 ID:CbH9eMmH0

 〜 第二話 〜


(〃^ω^)ノハ*゚听) 「「おー!!!」」

水族館は、話通り小ぢんまりとした建物で、しょんぼり顔のマスコットに迎えられ、古めかしいドアをくぐると、
まずは大水槽のブースがお目見えです。

ここには、大量の魚が詰め込まれていますが、目玉というべき魚はおらず、少々地味ではあります。
しかし、水族館自体が初めてのブーン達にとっては、この水槽の大きさはかなりのインパクトがあったようです。

ζ(´ー`*ζ 「うわー、美味しそー」

ξ;゚听)ξ 「あんたねー、水族館に来ていきなり一番ダメな感想すんじゃないわよ」

ツンちゃんの言い分ももっともですが、確かにデレの言う様に、食卓でお馴染みの魚がいっぱいいます。
アジやイワシ、サバにカツオだかブリだか分からないその系統の魚とか、貞子が料理人の目になってる気がしなくもありません。

私は軽く頭を振り、素直に魚自体の姿を楽しむ事に頭を切り替えました。


32 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:16:12.26 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「おー! あれ知ってるお! エイだお!」

(゚、゚トソン 「そうですね。よく知ってましたね」

(〃^ω^) 「アカエイって書いてあるお。おー? でも、赤くないお?」

(゚、゚;トソン 「その辺を説明するのは難しいですね。“akajei”という学名があってそれに準じているのですが、そもそもそれ自体が和名のアカエイ──」

(;^ω^) 「おー? おー?」

ミセ;゚д゚)リ 「ストップ! ストーップ! ブーンちゃん困ってる。てか、詳しすぎんだろ!? お前はサ○ナ君か?」

ζ(゚ー゚*ζ 「予習したんだよねー、ブーンちゃんのために」

(゚、゚*トソン 「べ、別にブーンのためとかではなく、単に興味が──」

ξ゚听)ξ 「はいはい、ツンデレ乙。アホな事やってないで、次ぎ行きましょ、次」

私達はツンちゃんに促がされ、次のブースへ歩き出しました。
今回も動物園の時と同様、順路通りに回る事にしています。ペニサスさんのしおりにも、それがお勧めされていましたし。
ちなみに、アカエイも食べられます。ええ……。


33 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:17:16.21 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「おーフグだお! 僕が釣ったのよりおっきいお!」

川д川 「トラフグだねー。高級魚だよ」

ノハ*゚听) 「カニだぁぁぁぁ! かっこいいぞぉぉぉぉ!」

(゚、゚トソン 「タラバガニですね。実はヤドカリの仲間ですが。これもお高いですね」

(〃^ω^) 「おータコだお! ホントにツボに入ってるお!」

ノハ*゚听) 「イカもいるぞぉぉぉぉ!」

川д川 「「どっちも美味だ(です)ね」」(゚、゚トソン

ミセ;゚д゚)リ 「おい、こら、料理人2人は黙ってろっつーの」

ζ(゚ー゚;ζ 「水族館じゃなくて魚市場になってない?」

おかしいですね? 先ほど頭を切り替えたはずなのに。
仕方ありません、ここは1つ、童心に返って楽しむべきでしょう。


35 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:18:12.42 ID:CbH9eMmH0

私は、ブーンを抱き上げ手すりに腰掛けさせ、いっしょに水槽に張り付いて魚を見る事にしました。

(〃^ω^) 「キラキラしててきれいだおー」

(゚、゚*トソン 「そうですね、鱗が光って綺麗ですね」

(〃^ω^) 「やこうちゅうも海の中でこんな感じなのかお?」

(゚、゚*トソン 「どうなんでしょうね? 私も近くでは見たことありませんしね」

(〃^ω^) 「おー、そうかお。僕も海の中にもぐってみたいおー」

(゚、゚*トソン 「泳ぎが上手くなれば潜れますし、スキューバダイビングというスポーツもありますよ」

そう言えば、あの夜以来、2人っきりでじっくり話す機会はなかった気がします。
いつもは2人の部屋で2人の生活。でも、この旅行中は7人での生活でしたしね。
まあ、普段から誰かしら、主にミセリが晩ご飯に訪れますから、いつも2人だけってわけでもないんですけどね。

(〃^ω^) 「すきゅーば?」


38 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:19:59.25 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚*トソン 「水中メガネとか酸素ボンベとか……わかりませんよね、これだと」

(〃^ω^) 「わからんお!」

(゚、゚*トソン 「海の中でも目を開けていられるメガネと、水の中でも息が出来るバッグを背負って潜るんですよ」

(〃^ω^) 「おー! すきゅーばだいびんぐすげーお!」

(゚、゚*トソン 「私もやったこともなければ見たこともないので、伝聞の知識ですけどね」

(〃^ω^) 「おー! やってみたいおー」

いつかやってみましょうね、と私はブーンの頭を軽く撫でました。
ブーンは嬉しそうに、うんお、と頷きます。

ミセ*゚ー゚)リ 「おーい、私ら次行くけどどうする? そっちはのんびり2人で回る?」

私はブーンと顔を見合わせます。


40 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:20:29.63 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「行きますか?」

(〃^ω^)つ 「お!」

私とブーンは手をつないで、ミセリの後を追いかけました。

・・・・
・・・

ζ(゚ー゚*ζ 「見た目より中は広い気がするね」

川д川 「順路が入り組んでますしね」

あれから順路どおりに進んでいますが、私も2人の言葉と同じように感じていました。
狭いスペースに効率よく配置されているのか、見る物が多く、結構充実していました。

(゚、゚トソン 「次は何でしょうかね?」

(〃^ω^) 「次はお待ちかねのペンギンさんだお!」


43 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:21:59.81 ID:CbH9eMmH0

ブーンはペニサスさんの旅行のしおりを開いて私に教えてくれます。
このしおり、細部に渡って書かれているのには驚かされました。
少々古いので、順路に多少の変更はあったものの、大体の構造は正しく書かれていました。

ノハ*゚听) 「ペンギンかー。楽しみだぞー!」

川ー川 「そうだねー」

ζ(゚ぺ*ζ 「昨日ひどいペンギン見ちゃったしねー」

デレの言う、ひどいペンギンとは恐らくロマネスクさんの事でしょうが、事実とは言え、言い過ぎな気はします。
大体、ロマネスクさんはペンギンではなかったのですからね、幸いなことに。

ミセ*゚ー゚)リ 「まあ、本物はあんな不細工じゃないだろうし、早く見に行こうぜ?」

ξ*゚听)ξ 「そうね、行きましょうか」

ζ(゚ー゚*ζ 「あれ? ツンちゃんいつの間にそんな先に……」

(〃^ω^) 「お! ツン、待ってお! 僕も早く見たいお!」


47 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:24:18.40 ID:CbH9eMmH0

ツンちゃんを先頭に、私達は順路を進み、角を曲がります。
曲がった先の少し開けた青いブースにペンギンがいるようです。

ノハ*゚听)(〃^ω^)ξ*゚听)ξ 「「「ペンギンさーん!」」」

( ФωФ) 「む?」

ノパ听)( ^ω^)ξ゚听)ξ 「「「!!!」」」

( ФωФ) 「おお、お主達──」

ノハ´兪)( ´ω`)ξ´兪)ξ 「「「……」」」

(;ФωФ) 「ぬお!?」

( ´ω`) 「トソーン、本物のペンギンさんもぶちゃいくだおー?」

ノハ´兪) 「またキモいの出たぞー?」

ξ;;)ξ 「これが……ペン……ギン?」


48 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:24:41.64 ID:CbH9eMmH0

(;ФωФ) 「待て待て待て! てか、何だ、その顔は!? いや、その泣かんでも……」

ペンギンブースの前には昨日の不細工なペンギン、いえ、ロマネスクさんがいました。
何故ロマネスクさんがここにいるかは置いておいて、誤解をしているブーン達に話しかけます。

(゚、゚トソン 「そのブ──人はペンギンさんではなくロマネスクさんですよ?」

(;ФωФ) 「ブ!? ブ、何であるか?」

私は、ペンギンさんはその後ろです、とロマネスクさんの後方を指差しました。
ブーン達は私の指の示す先を見ると、パァッと顔が明るくなりました。

(〃^ω^) 「おおー! ペンギンさん、いっぱいいるお! 図鑑とおんなじだお! かわいいお!」

ノハ*゚听) 「おぉぉぉぉ! ちっさいぞぉぉぉぉ!」

ξ*゚听)ξ 「……かわいい」

(;ФωФ) 「うむ、色々と納得いかんが機嫌が直って何よりである」


49 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:25:07.60 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚д゚)リ 「おおー、ちょこまかと動いてるー!」

川*д川 「かわいいねー」

ζ(゚д゚*ζ 「あー、跳ねた跳ねた!」

(゚、゚*トソン 「ヨチヨチ歩きが……」

(;ФωФ) 「ええと、今日は皆で揃って……」

(〃^ω^) 「お! ドボンって飛び込んだお!」

川*д川 「ペンギンは陸では動きが遅い代わりに泳ぐのは早いんだよ」

ξ*゚听)ξ 「へー……」

(゚、゚*トソン 「階下に降りれば水の中の様子も見られるみたいですよ?」

(;ФωФ) 「我輩が何故ここにいるかというと──」


52 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:26:16.64 ID:CbH9eMmH0

ノハ*゚听) 「泳ぎ見たいぞぉぉぉぉ!」

ミセ*゚д゚)リ 「ヒーちゃん、下行こう!」

ζ(゚д゚*ζ 「あ! 私もー!」

(;つωФ) 「……グスン」

私達が、ロマネスクさんが何故ここにいるかの理由を聞いたのは、それから10分以上後の事でした。

・・・・
・・・

(*ФωФ) 「我輩、ペンギンではなかったとはいえ、これまでここの連中の上に君臨し、庇護して来たわけであるからな。
        時にこうやって様子を見に来てるのである」

といった理由らしいです。ロマネスクさんがここにいるのは。
しぃちゃんとつーちゃんはお母さんといっしょに出かけているらしく、その間に1人でここに来られたとの事。
今までも何度も来ており、勝手知った場所みたいですね。


54 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:27:15.08 ID:CbH9eMmH0

( ФωФ) 「どれ、ちょっと顔を見せて来てやるかな」

ロマネスクさんはそう言い、柵を越え、ペンギンの群れの中へずかずかと歩いていかれました。

ノハ*゚听) 「おー……」

川;д川 「ヒートちゃんは行っちゃダメだよ」

( ФωФ) 「おう、久しいな、者共」

(〃^ω^) 「おー! ロマすげーお!」

ξ*゚听)ξ 「へー……」

ブーン達のロマネスクさんを見る目が尊敬の眼差しに変わります。
私も、感心して事の成り行きを見守っていました。

( ФωФ) 「元気だt──いた! いたた! こら、突付くでない。我輩だ、ロマ──いたっ!」

( ^ω^) 「……」

ξ゚听)ξ 「……」

ノパ听) 「……」


55 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:27:41.43 ID:CbH9eMmH0

( ФωФ) 「我輩を忘れ──え? 何しにって様子を──あいた! あ、はい、ご機嫌は如何かと──」

ζ(゚−゚*ζ 「……」

ミセ*゚−゚)リ 「……」

川−川 「……」

(;ФωФ) 「あ、餌ですね。ええ、飼育係さんのとこから──いた! わかりましたから、突付かないで──」

(゚、゚トソン 「……次、行きましょうか」

居たたまれなくなってつぶやいた私の提案に、皆は無言で頷きました。

(;ФωФ) 「あ、そっスね。ちょいとクーラーの効きが弱いかなー──あいた! 蹴らないで──」


 〜 第二話 おしまい 〜

    − つづく −   


61 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:33:03.57 ID:CbH9eMmH0

 〜 第三話 〜


(〃^ω^) 「お腹すいたお!」

ξ゚听)ξ 「この辺でいいんじゃない?」

ノハ*゚听) 「ご飯だぁぁぁぁ!」

順路を一通り回り、昼も回った頃に、併設された公園施設内の芝生で、私達はお弁当を食べる事にしました。
おにぎり中心のコンパクトなお弁当。具が中々凝っており、とても美味しかったです。

(゚、゚トソン 「大体見て回りましたが、どうしますか? また見たい場所があれば各自散開して、後で待ち合わせますか?」

(〃^ω^) 「僕はもう一周するお!」

ζ(゚ー゚;ζ 「一周はきつくないかな?」

(〃^ω^) 「ブーンして行くお!」

川д川 「館内は走ると他の人にぶつかるから危ないよ?」


62 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:34:04.92 ID:CbH9eMmH0

ξ゚听)ξ 「つーか走ったらお魚よく見れないでしょうが」

(;^ω^) 「おー……ダメかお?」

結局、皆で普通に歩いて、見たい所で足を止めてもう一周順路を見て回りました。
途中、ペンギンの所でまだロマネスクさんが踏まれたり蹴られたりしていましたが、私達は笑顔で視界から外しておきました。

(〃^ω^) 「青とかオレンジとかきれいな色だおー!」

(゚、゚トソン 「こういった熱帯魚と呼ばれる暖かい水に住むお魚は、こんな風に色鮮やかなものが多いですね」

川д川 「こういうの見ると、金魚とか飼いたくなるよね」

ノハ*゚听) 「お魚がお家で飼えるのか?」

ζ(゚ー゚*ζ 「小さいのならね、お世話が大変だけどね」

ξ゚听)ξ 「デレじゃ無理よね」

ζ(゚ー゚*ζ 「無理だねー」

(゚、゚;トソン 「否定すらしないんですね」


64 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:35:01.55 ID:CbH9eMmH0
・・・・
・・・

ノハ*゚听) 「亀だ亀だ!」

(゚、゚トソン 「ヒートちゃんぐらいの大きさなら乗れそうですよね」

(〃^ω^) 「うらしま太郎だお!」

ミセ*゚ー゚)リ 「玉手箱は開けちゃダメだぜ?」

(;^ω^) 「おー……、うんお。おじいちゃんにはなりたくないお」

ξ゚听)ξ 「竜宮城は見てみたいけどね」

(゚、゚トソン 「……」

ξ;゚听)ξ 「な、何?」

(゚、゚トソン 「いえ、ツンちゃんはそういった不思議な世界のお話が好きですよね、と思って……」

ξ゚听)ξ 「まあね。“wonderland”は憧れなのよ、多分、私達の」

(゚、゚トソン 「?」


67 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:35:34.27 ID:CbH9eMmH0
(〃^ω^) 「トソーン、あれ、何で青くないのにアオウミガメって言うんだお?」

(゚、゚トソン 「アオウミガメという和名、Green Sea Turtle という英名共に、体の脂肪が緑がかる事から来ており、緑を青というのは──」

(;^ω^) 「おー? おー?」

ミセ;゚д゚)リ 「ストップ! ストーップ! だから詳しすぎんだよ、お前は!」

(゚、゚トソン 「名前付けた人が見たとき青く見えたんですよ」

(〃^ω^) 「おー! なるほどだおー!」

ミセ;゚ー゚)リ 「かと思えばえらい適当だな、おい」

・・・・
・・・

(〃^ω^) 「フニャフニャのふわふわだおー」

川д川 「こんな風に流されてるだけだからね、自分じゃ泳がないんだよ」

ノハ*゚ー゚) 「何か気持ち良さそうだなー」


68 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:37:41.37 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「でも、刺しますよ」

ζ(´д`*ζ 「刺すよねー。いっぱい刺されたなー」

ミセ*゚ー゚)リ 「海にこれが出てくる頃には、海水浴シーズンもおしまいなんだよね」

ξ゚听)ξ 「まあ、こうやって水槽で見れば無害だし優雅なもんよね」

(〃^ω^)ノシ 「クラゲさん、まただお」

・・・・
・・・

そんなこんなで2周目を回り終え、私達は中央ステージへと向かいました。

(〃^ω^) 「おー? 何があるんだお?」

(゚、゚トソン 「アシカのショーがあるみたいですよ。最後にこれを見ていきましょう」

ノパ听) 「あしか?」


70 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:40:40.21 ID:CbH9eMmH0

川д川 「うーん……、ちょっと他の動物には形容し難いから、見た方が早いかな?」

顔にはてなマークを浮かべるヒートちゃんと、アシカを図鑑で知っていてはしゃぐブーン。
なるべく前の方がいいというミセリの主張で、私達は前列の方の席に座ります。
イルカショーとかだと、この辺りは水をかけられそうですが、アシカなら大丈夫でしょう。

ミセ*゚ー゚)リ 「どんな事やんのかな?」

ζ(゚ー゚*ζ 「懐かしいなー。アシカショーはちっちゃい頃に見た以来だよ」

(〃^ω^) 「お! きたお! アシカさんだお!」

ノハ*゚听) 「おー! あれがアシカかー!」

ステージの裏から2頭のずんぐりしたアシカと、1人の女の人が出てこられました。

__   /⌒ヽ
   \/ ・ω・)
∪´∀`)_(ノ_人)
 ̄ ̄ ̄
ショーは定番の輪投げやボール遊びなど、和やかなムードで進みます。


71 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:41:05.05 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「おー! はくしゅすげーお!」

ξ*゚听)ξ 「中々かわいいわね」

ミセ*゚д゚)リ 「おー! あのデカさで意外と素早いな」

川д川 「器用ですよね」

ζ(゚ー゚*ζ 「正面顔がブサかわいいね」

(゚、゚トソン 「……あら?」

私は、ふと違和感を感じ周りを見回しました。

川д川ミセ*゚д゚)リξ*゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(〃^ω^)(゚、゚トソン

(゚、゚トソン 「……ヒートちゃんは?」

川д川 「え? ……あれ?」


74 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:42:48.22 ID:CbH9eMmH0

私の問いかけに、貞子も自分の周りを見回しますが、見当たらないようです。
先ほどまで、貞子の隣にいたと思ったのですが、どこへ行ったのでしょう?

ミセ;゚ー゚)リ 「あれ? さっきまで私の隣で歓声上げてたと思ったけど……」

ζ(゚ー゚;ζ 「あれー? いないねー?」

ミセリやデレも、慌ててヒートちゃんを探します。
しかし、どこにもいないようですね。見つける事が出来ません。

( ^ω^) 「お……」

ξ゚听)ξ 「あ……」

私達が探してる間も、ショーの方から目を離さなかった2人からつぶやき声が漏れました。
ツンちゃんが私の方を見て、それからショーのステージの方を指差します。

(゚、゚トソン 「……あ」

∪´∀`)( ・ω・)ノパ听)


75 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:43:19.64 ID:CbH9eMmH0

川゚д川 「ああああああ!? いつの間に!?」

貞子が驚いて叫び、立ち上がります。
その音量に、付近の観客の注目が集まりますが、貞子は構わず駆け出し、最前列の柵のそばまで行きました。

私達も慌てて後を追います。

(゚、゚トソン 「貞子、取り敢えずしゃがんでください。後ろの人が見えませんので」

川゚д川 「どうしよ? どうしよ? ヒートちゃんが! ヒートちゃんが!」

 グハァッ!
川゚д(#⊂ζ(>д<*ζ 「落ち着けデレチョーップ!」

ミセ;゚д゚)リ 「わ、私の技が!?」

川;д川 「す、すみません、取り乱しました」

何とか貞子を落ち着かせ、しゃがみ込んでステージの様子を伺います。
ヒートちゃんは多分泳いで行ったのでしょうね。全く気付きませんでしたが。


79 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:45:17.20 ID:CbH9eMmH0

幸いにも、ステージ上の女性の方はヒートちゃんは見えて無いようです。
しかし、客席の中の子供達には見えていたりするのでしょうね。

(゚、゚;トソン 「さて、どうしますかね……」

∪´∀`)( ・ω・)ノパ听)ノ

見た所、アシカ達が暴れ出したりしてヒートちゃんが危険な目に会う様なこともなさそうですが、あの巨体です。
万が一、潰される様な事にでもなったら冗談ではありません。

川;д川 「やっぱりここは私が──」

ξ゚听)ξ 「泳いで行く? 係員さんに事情を話す? どっちもアウトでしょ」

貞子が、自分が何とかすると主張しようとしたのでしょうが、ツンちゃんによって遮られます。
残念ながら、私もツンちゃんと同意見です。

川;д川 「じゃあ、どうすれば──」


81 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:46:25.63 ID:CbH9eMmH0

ξ--)ξ 「……ほっときましょ」

川;д川 「え!? そ、そんな──」

ツンちゃんがばっさりと切り捨てたかの様にそう言いました。
当然、貞子は抗議しようとしますが、ツンちゃんは無言で再びステージを指差します。

(〃^ω^) 「おー……」

(゚、゚トソン 「……あ」

   ノパ听)
∪´∀`)( ・ω・)

川д川 「……」

(〃^ω^) 「ヒート、すっごく楽しそうだお。うらやましいおー」

ノパ听)つ⊂(・ω・ )


82 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:46:58.86 ID:CbH9eMmH0

アシカの上に乗るヒートちゃん。アシカと手を合わせるヒートちゃん。アシカの回すボールの上に器用に乗るヒートちゃん。
生き生きと楽しそうに遊んでいます。予定外の動きに翻弄されているステージ上の女性には少し悪いことをしたと思いますが。

川ー川 「……もう」

これには貞子も笑うしかないようでした。

ξ゚听)ξ 「戻ってきたら、ちゃんと叱りなさいよ?」

ミセ*゚ー゚)リ 「ほどほどにね」

川ー川 「うん」

∪´∀`)ヾノパ听)ノシ(・ω・ )

・・・・
・・・



84 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:49:35.08 ID:CbH9eMmH0

ノハ´兪)川д川

ショーが終わり、戻ってきたヒートちゃんは早速貞子に怒られています。
ツンちゃんの予想通り、放っておいても何事も無く終わりました。

もちろん、勝手な事をしましたし、危険も0ではありませんでした。
それに、ショーの邪魔をした部分もあるわけですから、何事も無かったとはいえ、怒る必要はあるでしょうね。

ξ゚听)ξ 「貞子はあんたよりはだいぶ甘いからね」

(゚、゚トソン 「私はそんなに厳しくないですよね?」

( ^ω^) 「……」

(^ω^ ) 「……」

( ^ω^) 「……うんお」

(゚、゚;トソン 「何ですか、今の間は?」

私はそんなに厳しくないですよね?
ブーンに再度にっこりと笑顔で聞いたところ、ゆっくりと視線を外されたので、私はブーンのほっぺをむにーっと掴みました。


88 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:51:08.93 ID:CbH9eMmH0

  (゚ー゚トソン 「私は厳しくないですよね〜?」
つ<;^ω^>⊂ 「おー! うんおっ!」

ミセ;゚ー゚)リ 「もろに脅迫じゃんかよ……」

ノハ´兪)川д川

ミセリの言葉を聞き流し、貞子の方に目をやると。まだお説教の最中です。
時折、ヒートちゃんが弱々しく頷くのがわかります。貞子にしては珍しく長いお説教です。

ξ゚听)ξ 「ま、たまにはちゃんと怒らないと、何かやらかしてからじゃね」

(゚、゚トソン 「そうなんですけどね。でも、ちょっと厳しいんじゃないかなと」

ξ;゚听)ξ 「あんた、他所の子には甘いのね」

(゚、゚;トソン 「そうですか?」

他所の子という言い方は正確ではありませんね。私はヒートちゃん、それにツンちゃんもブーン同様、家族だと思っていますから。
しかし、そう見えているのですかね? ブーンにだけ、特別に厳しくしてしまっているのでしょうか。


90 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:51:35.54 ID:CbH9eMmH0

ξ;゚听)ξ 「つか、そろそろ離してやったら?」

  (゚、゚トソン 「……あ」
つ< ;ω;>⊂ 「おー、ほっぺたのびちゃうおー」

(゚、゚トソン 「ごめんなさい、つい忘れてました」

( ;ω;) 「おー……、やっぱりトソンは厳しいお……」

ミセ*゚ー゚)リ 「まあまあ、お母さんが厳しいのは今日に始まったことじゃないしね」

ζ(´へ`*ζ 「課題とかギリギリまで手伝ってくんないしねー」

ξ゚听)ξ 「それは自分でやるもんでしょうが」

ζ(゚ー゚;ζ 「ええ? 自分1人じゃ無理だよ」

(゚、゚;トソン 「1人で無理な課題は1度も出てないと思いますが……」


92 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:54:07.83 ID:CbH9eMmH0

ζ(゚ー゚;ζ 「そーだっけ?」

ξ--)ξ 「全く、こいつは……」

(゚、゚トソン 「ツンちゃんはもう少し厳しくしても良かったかも知れませんね」

ξ゚听)ξ 「そうね、もうちょいあんたを見習うべきだったわ」

ζ(´ー`*ζ 「この流れの時って、いっつも誰もつっこんでくれないよねー」

ミセ*゚ー゚)リ 「どこか変なとこあった?」

割と真顔でミセリが言ったのを聞いて、デレはしょんぼりとしゃがみ込みました。
それを見たツンちゃんが肩をすくめ、デレのそばに歩み寄ります。
慰めてるように見えて、蹴っているようにも見えますが、それもいつもの姿なので放っておきます。

ノハ*--)⊂川ー川

貞子の方はお説教が終わったみたいです。
ヒートちゃんが貞子に肩を軽く押され、こちらに走ってきました。

ノハ--) 「心配かけてごめんなさい!」


94 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 22:54:31.67 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「どこもケガとかしなくてよかったですよ」

ξ゚听)ξ 「まあ、大体のことは貞子に言われただろうから、今後は気をつけなさいよ?」

ミセ*゚ー゚)リ 「次に何かやる時は、貞子か私らに一声かけてからね?」

(〃^ω^) 「次は僕も連れて行ってお!」
.._, ,_
(゚、゚トソン 「ブーン?」

(;^ω^) 「お……」

ζ(´ー`*ζ 「ヒートちゃんもこっちでいっしょに体育座りしない?」

ノハ*゚听) 「うん、みんなありがとぉぉぉぉ! 体育座りは断るぅぅぅぅ!」

Σζ(´д`*ζ

私達は、楽しかった水族館を後にし、るん雲まで皆で歩いて帰りました。


 〜 第三話 おしまい 〜

    − つづく −   


101 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:04:11.19 ID:CbH9eMmH0

 〜 第四話 〜


ミセ*゚ー゚)リ 「ねートソン、埋まってみない、砂?」

るん雲に戻り、休憩を取る間もなく、早く泳ぎたいというブーン達に引っ張られ、私達は海水浴場に来ていました。
まあ、この海で泳ぐのも今日が最後ですし、なるべく時間を取ってあげたいですからね。

ただ、水族館を2周もしたのでそれなりに疲れてもいます。私やデレ、貞子は海辺で再び休憩タイムを決め込んでいたのですが。

(゚、゚トソン 「埋まるのはデレの役目では?」

ζ(゚д゚;ζ 「え? 何で私確定なの? そんなの誰でもいいじゃん!」

1人元気にブーン達と遊んでいたミセリがこちらに来て、突然訳のわからない事を言い出します。
面倒なので、デレに振ろうとしましたが、すごい勢いで断られました。何か埋められる事にトラウマでもあるのでしょうかね。

川д川 「また砂山作るの? 別に誰も埋まってなくてもいいんじゃない?」

ミセ*゚ー゚)リ 「砂山とかじゃなくて、トソンを埋めてあげたいんだよ」


103 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:05:15.64 ID:CbH9eMmH0

ζ(゚ー゚;ζ 「日頃の恨み?」

(゚、゚トソン 「恨まれる覚えは一切ありませんが」

ミセ*゚ー゚)リ 「いやいや、逆、逆、日頃の感謝を──いや、少しは覚えあるだろ?」

ζ(゚−゚*ζ 「かん……」

川−川 「しゃ……?」

(゚、゚トソン 「どこかで頭でも打ちましたか?」

ミセ;゚д゚)リ 「お前ら普段、私をどういう目で見てる?」

まあ、冗談ですけどね。ミセリは図々しいですが、一応、軽い調子ながらも礼は欠かしませんから。
図々し過ぎて、軽過ぎて、本当に感謝しているのか疑問なだけで。

(゚、゚トソン 「で、何故私を埋めたいと?」

ミセ*゚ー゚)リ 「まあ、一時の夢を見せてあげようかな、と」

(゚、゚トソン 「夢?」


107 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:05:54.01 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚∀゚)リ 「こう、胸の所にね、砂で──」

(^ー^トソン 

・・・・
・・・

(゚、゚トソン 「あ、ブーン、ちょっとこれ埋めるの手伝ってもらえませんか?」

(;^ω^) 「お? これ? これ、ミセリじゃ……」

(゚、゚トソン 「出来ればこの辺りに」

(;^ω^) 「お……、海の中はすぐ埋まっちゃって掘れないお」

(゚、゚トソン 「面倒ですね……。このまま海に還しますか」

ミセメメдメ)リ 「いや、悪かったからさ、マジで沈めるのやめて欲しいなー、なんて……」

(*゚∀゚) 「アヒャヒャ、トソンねーちゃんおっかねーな」

(*゚ー゚) 「ダメだよ、つーちゃん、そんなこと言っちゃ? 明日は我が身だよ?」


108 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:06:37.90 ID:CbH9eMmH0

背後から2つの可愛らしい声が届きます。しぃちゃんとつーちゃん、双子の姉妹が到着したようです。
若干、可愛げのない台詞も聞こえた気がしますが、聞かなかった事にしておきます。2度目はありませんが。

(〃^ω^)ノ 「お、しぃ、つー、おいすー」

(*゚∀゚) 「いよっ! 来たぜー」

(*゚ー゚) 「こんにちは。お話はお聞きでしょうか? 今日はよろしくお願いします」

(゚、゚トソン 「こんにちは、2人とも。ええ、伺ってます。こちらこそよろしく」

ミセ*゚ー゚)リ 「よし、早速遊ぼーぜ?」

ξ゚听)ξ 「そういや、あのブサペンギン見たわよ、水族館で」

(*゚ー゚) 「ロマちゃん? あ、水族館行ったんだ」

(*゚∀゚) 「ロマまだ戻って来てないな。水族館、楽しいよなー」

ノパ听) 「楽しかったぞぉぉぉぉ!」


111 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:08:10.19 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「楽しかったお! でも、ヒートばっかりアシカさん触ってうらやましかったお。僕もお魚さん、触りたかったお」

ノハ*゚听) 「ごめぇぇぇぇん!」

そうですね、さすがに水族館では、動物園の時のような直接触れるような場所はありませんでしたからね。
やはり見てるだけより、触ったり出来た方が楽しいのでしょうね。

コクッ"(*゚∀゚)(゚ー゚*)"コクッ

そんなブーンの話を聞き、しぃちゃんとつーちゃんは顔を見合わせ、2人同時に頷きました。

(*゚∀゚) 「んじゃ、いーとこ案内してやるぜ」

( ^ω^) 「おー? いいとこ?」

(*゚ー゚) 「フフフ……」

・・・・
・・・


113 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:08:57.68 ID:CbH9eMmH0

しぃちゃん達に連れられ、海水浴場から5分ほど南下した辺りで一旦林に入り、そこを抜けると、
目の前にはゴツゴツとした岩場が広がる、おおよそ泳ぐには向かない場所でした。

( ^ω^) 「おー? ここ、なんだお? 泳げないお?」

(*゚∀゚) 「ここはなー、潮だまりっていうんだぜ?」

(*゚ー゚) 「あ、足元気をつけてね」

なるほど、潮だまりですか。話には聞いた事はありましたが、ここがそうですか。
私は、ブーン達に潮だまりが何かを説明しました。

こういう、岩の多い海岸などで潮が引いても海水が残り、水たまりみたいな場所が出来ます。
水が残るということは、そこに住んでいる生き物も残される事があるということです。
この事は貞子と、意外にもデレも知っているようでした。

私の説明を聞き、ブーン達は目を輝かせ言います。

(〃^ω^) 「お! じゃあ、ここにいっぱいお魚さんたちがいるのかお?」

(*゚ー゚) 「小さいけどお魚もいるね。どっちかと言えば、お魚以外が多いかな」

(*゚∀゚) 「カニとかな」


115 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:10:06.56 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「お! トソン!」

(゚ー゚トソン 「ええ、好きな様に遊んできていいですよ。転ばない様にね。それと、棘のあるお魚とかもいますから気をつけて」

(〃^ω^) 「うんお!」

頷くが早いか、ブーンはツンちゃん、ヒートちゃんと共に、手近な一番大きな潮だまりの周りにしゃがみ込みます。
水面に顔を近づけ、何か見つけたのか興奮してはしゃいでいます。

ζ(゚ー゚*ζ 「そういえば潮だまりがあったねー。あの2人に言われるまで忘れてたよ」

(゚、゚トソン 「デレは潮だまりで遊んだ事があったのですか?」

ζ(゚ー゚*ζ 「うん、実家はすごい田舎だからねー」

何でも、潮干狩りでタツノオトシゴが捕れるくらいのとこらしいですが、それが冗談なのか何なのか私には判断が付きませんでした。
デレは、ツンちゃんのとこに行くね、と言い、ツンちゃんのいる潮だまりの方へ歩いていきました。

(^ω^)ノシ

デレが歩いて行った方をそのまま見ていたら、ブーンがこちらに手を振っているのに気付きました。
私は、1つ頷き、ブーンのそばへ行く事にしました。


118 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:11:07.77 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^)つ☆ 「お! ヒトデさん、お星さまみたいだお」

(゚、゚トソン 「ホントですね。漢字で書くと、海の星とも書きますしね」

(〃^ω^) 「おー。そうなのかお」

(〃^ω^)つ△ 「お! ヤドカリさん! 隠れちゃって出てこないお……」

(〃^ω^)つ※ 「おー? このトゲトゲは……、お! そうだお、ウニさんだお!」

(〃^ω^) 「お! イソギンチャクさん取れないお。うは、手触りキモいお」

(〃^ω^)つミ□彡 「お! カニさんだお!」

( ゚ω゚)ノ 「おお! はさまれたお!」

その後も、ブーンは色々な生き物を捕まえては私に見せてくれます。
その1つ1つに様々な反応を見せ、ころころと変わるブーンの表情を見ていると、私は、何とも言い難い幸福感に包まれました。

(゚ー゚トソン 「色んな生き物がいますね」

(〃^ω^) 「うんお! おもしろいお。きれいなお魚さんもいるけど、動きが早くて捕まんないお」


119 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:12:05.18 ID:CbH9eMmH0

川д川 「ねートソンちゃん、これ何かな?」

ノパ听) 「何かブヨブヨしてるぞぉぉぉぉ!」

貞子とヒートちゃんが何やら妙な物体を手に、私の方へやってきます。
ヒートちゃんの手にあるそれは、何やら青だか紫だかの毒々しい色を湛えていますが……。

(゚、゚;トソン 「あまりそういう何だかわからない毒々しい物を掴むのはお勧めしませんが」

( ^ω^) 「おー、なんだお?」

私が、ヒートちゃんの手の中の物体をしげしげと観察していると、興味を持ったブーンも覗き込んできます。

(;^ω^) 「でっかいナメクジさんみたいだお」

(゚、゚トソン 「ナメクジ……ああ、それは恐らくアメフラシですね」

ノパ听) 「あめふらし?」

( ^ω^) 「お! これ、雨降らすのかお?」


120 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:13:10.47 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「アメフラシは、海水中で紫色の液を出し、それが雨のように広がるからとか、雨の時岩場に集まってるのをよく見かけるからとか、
      梅雨時期に産卵でよく磯に現われるからとか名前の由来は諸説ありますね」

川;д川 「どっかにカンペ持ってるの?」

(;^ω^) 「おー?」

(゚、゚トソン 「雨の日にいっぱい見かけたり、身体から雨みたいに水出したりしたからそう呼ばれているのですよ」

ノパ听) 「なるほどー」

やはり皆、馴染みの無い生き物だったみたいですね。かく言う私も実物は初めて見ましたから。
取り敢えず、身体は柔らかいですし、ヒートちゃんが潰してしまうとかわいそうですから、水の中に帰してやる事を提案しました。

ノパ听) 「わかったぞー」

潮だまりに帰ったアメフラシは、ふよふよと揺られて漂います。

(゚、゚トソン 「頭の方に2つの突起がありますから、Sea hare、海の兎とも呼ばれたりしてるんですよ」


123 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:15:05.17 ID:CbH9eMmH0

( ^ω^) 「おー……、あんましかわいくないウサギさんだお」

川д川 「そっかな? 可愛いけどね、アメフラシ」

そう言えば爬虫類好きでしたね、貞子。アメフラシもどこかその手のものに通ずるところがあるのでしょうか。
私は正直なところ、ちょっとご遠慮したい外見だと思いますが。

ノパ听)∩ 「……」

(゚、゚;トソン 「ヒートちゃんは紫でなくても、ブヨブヨしてなくても、今のままで可愛いですよ?」

ノハ*゚听) 「そ、そうか?」

( ^ω^)つ☆ 「お! ヒート」

ノ☆゚听) 「何か変だぞぉぉぉぉ!」

川ー川 「そう? 可愛いわよ?」

ノ☆゚ー゚) 「そうか? へへ……」


124 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:15:25.77 ID:CbH9eMmH0

ξ゚听)ξ 「……」

ζ(゚ー゚*ζ 「どうしたのかなー、ツンちゃん?」
つ゚听)ξ 「べ、別に何でもないわよ」

☆゚听)ξ 「……?」

ζ(^ー^*ζ 「似合う、似合う」

☆゚听)ξ 「バ、バカじゃないの、もう……」


(*゚ー゚)つ※ 「ウニ!」

(*゚∀゚)つ※ 「食らえー!」

ミセ;゚д゚)リ 「くぉらガキ共! ホントに投げんな──あいた! いたた!」

私達はそれぞれに、潮だまりでの一時を楽しく過ごしました。
子供のようにはしゃいでいる内に、いつしか空が茜色に染まり始めました。


 〜 第四話 おしまい 〜

    − つづく −   


127 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:20:38.95 ID:SBlonFQYO

 〜 第五話 〜


(`・ω・´) 「やあ、誰もいないからちょっと焦ったよ」

( ФωФ) 「だから心配せずとも大丈夫と言ったであろう」

潮だまりから戻ると、バーベキューの準備をしているシャキンさんと、
それを器用な手つきで手伝うロマネスクさんの姿がありました。

(゚、゚トソン 「すみません、ご心配をおかけしましたか?」

(*゚∀゚) 「向こうの潮だまりで遊んでたー」

(*゚ー゚) 「ブーン君達、潮だまり知らないみたいだったから」

(`・ω・´) 「ああ、なるほどね。中々いいおもてなしをしてくれたみたいだね、ありがとう、しぃちゃん、つーちゃん」

(*゚ー゚)(*゚∀゚) 「へへーん」

意外に、は失礼かもですが、しぃちゃんとつーちゃんはシャキンさんに懐いているみたいです。
本性を隠しているのか、子供には興味ないのか、その辺りの真実は定かではありませんが、傍目に見ると、仲の良い親子のようですね。


129 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:22:38.68 ID:SBlonFQYO

(;`・ω・´) 「あー、トソンちゃん、さすがに姪っ子には何もしないから、冷たい目でにらむのは勘弁願えるかな?」

(゚、゚トソン 「失礼、つい心配で……」

なるほど、姪っ子だから何もしないわけで、子供だからではないんですね。
ツンちゃんとヒートちゃんは近付けさせないようにしましょう。

( ФωФ) 「シャキンよ、準備は終わったぞ?」

(`・ω・´) 「ああ、ありがとう、ロマ」

(〃^ω^) 「この鉄のアミなんだお?」

(`・ω・´) 「この上にね、肉とか野菜とか魚とか置いて焼くんだよ」

ノハ*゚听) 「おおー!」

川д川 「ヒートちゃん、よだれ拭いて」

後は食材でしょうが、私は、シャキンさんにその辺りの準備の状況を聞き、何も手伝わないのも悪い気がしますので、
旅館まで戻り、でぃさんの手伝いをする事にしました。ミセリは、ちょっと買い物、と言い、どこかへ出て行きました。


130 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:24:12.03 ID:SBlonFQYO

またでぃさんに、真面目すぎるというような事を言われましたが、お腹をすかせた子供達がうるさいので、開始を早めたいだけだと
笑って言い返しておきました。

・・・・
・・・

(`・ω・´) 「よーし、じゃあ、材料を乗せようか」

ミセ*゚∀゚)リ(〃^ω^)ノハ*゚听)(*゚ー゚)(*゚∀゚) 「「「「「おー!」」」」」

シャキンさんの声に、ブーン達は一斉に自分の食べたいものを乗せて行きます。
そしてそのまま、お肉やお魚が焼ける様子を珍しそうに眺めています。

(#゚;;-゚) 「トソンちゃんは自分の好きなもの焼かんでいいの?」

(゚、゚トソン 「ここにあるもので嫌いなものはありませんし、それに多分……」

(#゚;;-゚) 「多分?」

私の好きなものは、ブーンが乗せてくれているでしょうから、と答えると、でぃさんは柔らかな笑みを浮かべ、
私の肩を1つぽんと叩かれました。


131 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:25:32.27 ID:SBlonFQYO

(#^;;-^) 「ホント、仲良くてうらやましいわ」

(゚、゚トソン 「自分で言うのもなんですが、そういうのをこちらが何も言わずともやってくれるのは本当に嬉しいですよ」

(`・ω・´) 「お! この辺はもう焼けたんじゃないかな?」

(〃^ω^) 「お! 僕が乗せたやつだお!」

(`・ω・´) 「ハハハ、自分で取れるかな?」

(〃^ω^) 「うんお!」

ブーンはトングを使い、焼けたお肉を紙皿に乗せます。そしてそのまま、私の方にトテトテと走ってきました。

(〃^ω^)つ 「はい、トソン。どうぞだお!」

(゚ー゚トソン 「ありがとう、ブーン」

私は、ブーンから紙皿を受け取り、ブーンの頭を軽く撫でました。ブーンは嬉しそうに私を見上げます。
後ろで、でぃさんがホントに妬けるわ、と言いながら大爆笑していましたが気にしない事にします。


134 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:27:11.46 ID:SBlonFQYO

(゚、゚トソン 「さあ、ブーンも自分の分を取らないと、ミセリに全部食べられますよ?」

(;^ω^) 「お! それは大変だお!」

ミセ;゚д゚)リ 「おい、こら、ちゃんと取ってあるよ? 私1人がいっぱい食べるわけじゃないし」

(*゚∀゚) 「うめー!」

ノハ*゚听) 「うまいぞぉぉぉぉ!」

ζ(゚д゚*ζ 「デカッ! ほとんど丸ごとだね、このピーマン」

^ω^) 「……」

ζ(^ー^*ζ 「ピーマン苦手だな、ブーンちゃん?」

ξ゚听)ξ 「あんたもじゃないのよ」

(;^ω^)「「だって、ピーマン苦いお(もん)」」ζ(´へ`*ζ

川д川 「その、ほのかな苦味がいいんだけどね」


137 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:29:15.30 ID:SBlonFQYO

(*゚ー゚) 「貞子さん、大人ですね。私も苦いのは少し苦手ですよ。お魚のわたとかダメですね」

川д川 「あれこそ美味しいんだけどねー。でも、しぃちゃんぐらいの年だとそれが普通かな?」

(゚、゚トソン 「帰ったら青椒肉絲でも作りますか」

( ^ω^) 「ちん……? 何だお?」

(#゚;;-゚) 「わかりやすく言ったら、ピーマンと牛肉の炒めものやな」

(;^ω^) 「お……、違うお料理がいいお」

( ФωФ) 「青椒肉絲はピーマンが細切りで、中華ゆえに味付けも濃い。
         ピーマンが苦手でも食べやすいかもしれん料理であるぞ?」

(゚、゚トソン 「苦手なものも、ちょっとずつ食べる練習をしましょうね」

(;^ω^) 「おー……、うんお」

ζ(゚ー゚*ζ 「ブーンちゃん、偉い、偉い」


139 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:30:43.74 ID:SBlonFQYO

ξ゚听)ξ 「あんたもよ。トソン、お願いね」

"(゚、゚トソン コクッ

ζ(´д`;ζ 「えぇー……?」

( ^ω^) 「お! トソンの苦手な食べ物ものって何だお?」

...

(;゚ω゚) 「お? トソン? どこだお?」


(*゚∀゚) 「ロマー、お肉とって」

( ФωФ) 「つーは野菜も食べよ、ほれ」

(*゚3゚) 「ぶー。しぃ、これあげるー」

(#ФωФ) 「こりゃ、つー!」


142 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:32:14.17 ID:SBlonFQYO

(`・ω・´) 「ここで取っておきをドン!」

ノパ听) 「おー! でっかいなー!」

(゚、゚トソン 「伊勢海老ですか……。これはまた豪勢な」

(#゚;;-゚) 「値段の心配とかしたらいかんよ?」

(゚、゚;トソン 「しませんよ」

ミセ*゚ー゚)リ 「お母さん庶民派だからねー」

川д川 「ついでにこれも焼いちゃいましょう」

( ^ω^) 「おー? オニギリ焼くのかお? こげてデレのご飯みたいにならないかお?」

ζ(゚ー゚;ζ 「ブーンちゃん、ブーンちゃん? さすがに私もご飯までは焦がさないよ?」

ξ゚听)ξ 「炊飯器様様よね」


143 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:32:57.65 ID:SBlonFQYO

ミセ;゚ー゚)リ 「でも、最終的に出来上がったやつは何か黒いよね」

ζ(゚ー゚;ζ 「あれはちょぉーっと味付け失敗しただけで……」

川ー川 「焼きオニギリはちゃんとしたお料理だよ。焦がした醤油の匂いがいいんだよ」

(〃^ω^) 「お! ホントだお! いい匂いしてきたお!」

ミセ*゚ー゚)リ 「焦げた醤油ならやっぱりあれでしょ!」

(#゚;;-゚) 「ほい、これやろ?」

ノパ听) 「んー? これ何だー?」

ミセ*゚∀゚)リ 「トウモロコシだよ、トウモロコシ。でぃさん、さすが! 焼きトウモロコシは美味いぞー?」

川д川 「あ、そっか。今までご飯にはほぐしたトウモロコシしか出した事なかったね」

ノハ*゚听) 「トウモロコシは好きだぞぉぉぉぉ!」


145 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:34:19.53 ID:SBlonFQYO

(`・ω・´) 「さあ、伊勢海老も焼けたよー」

(゚、゚トソン 「シャキンさんは召し上がられないので?」

(`・ω・´) 「ハハハ、ぼくは合間にちょこちょことつまんでるよ、ご心配なく」

(#゚;;-゚) 「ほら、ガキ共、いっぱいお食べ」

ミセ*゚∀゚)リξ*゚听)ξ(〃^ω^)ノハ*゚听)(*゚ー゚)(*゚∀゚) 「「「「「「やっほーい!」」」」」」

川ー川(゚ー゚トソンζ(゚ー゚*ζ

私達は、雲井ヶ浜での最後の晩ご飯を思う存分楽しみました。

・・・・
・・・

(-、-トソン 「ふぅ……」


149 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:38:29.23 ID:SBlonFQYO

さすがに食べ過ぎました。次から次にお皿に乗せられるお肉にお魚、お野菜。
焼くのが楽しくなったのか、ブーンが網の前に陣取ってせっせと焼き続け、私にいっぱい取ってくれました。
それを無碍にするわけにも行かず、また、大変美味しいのも相俟って、しばらくは体重計恐怖症にかかりそうです。

ζ(´ー`*ζ 「トソンちゃんが食べ潰れるのは初めて見たよ」

(゚、゚トソン 「自分でもそう思いますよ。ここではホストではなく客ですしね」

いつもは皆の面倒を見る立場ですからね、食事時は。その証拠に、今日は貞子も潰れています。
それこそ、私以上に珍しい姿ですよね。

潰れた貞子のそばにはヒートちゃんが、そして私のそばにはブーンが付き添ってくれています。
ただし、どちらもお腹いっぱいで眠そうですが。

(゚、゚トソン ナデナデ
つ〃´ω`) 「幸せだおー」

眠くなる前に取り敢えずの片付けを済ませましたが、普段お茶を入れる面子が軒並みダウンです。
折角の団欒タイムですから、飲み物の1つも欲しい所ですが。


150 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:38:54.96 ID:CbH9eMmH0

(*゚ー゚)つU 「はい、トソンさん」

(゚、゚トソン 「あ、しぃちゃん。ありがとう」

そう思っていた矢先に、しぃちゃんがアイスコーヒーの入ったコップを渡してくれました。
どうやらでぃさんが旅館に戻り際に、しぃちゃんとつーちゃんの2人に頼んだみたいですね。

(゚、゚トソン 「ご苦労様。しぃちゃんは普段からお手伝いはしてそうですね」

(*゚ー゚) 「ぼちぼちですけどね。今日は珍しくつーちゃんも手伝ってくれてますね」

(〃つω`) 「お……、僕もお手伝いするお」

私としぃちゃんの会話を聞いていたのか、ブーンが眠そうな目をこすりながらそう言います。
普段なら、食後は何かしらお手伝いしていましたからね。この旅行中も、食器を下げたりとかしてもらっていました。
自分が何もしていないせいで、しぃちゃん達に押し付けたと思ってしまったのでしょうか。

(゚、゚トソン 「今日はいいのですよ、ブーン。もう終わりましたしね」

(*゚ー゚) 「ブーン君は普段からお手伝いしてるのかな? えらいなー」

しいちゃんの言葉に少し嬉しそうにブーンは微笑を浮かべて頷きます。
私はそんなブーンの頭をゆっくり撫でていますが、この分ならすぐ眠ってしまいそうですね。


151 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:39:41.78 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚д゚)リ 「寝るなぁー!!!」

(;゚ω゚) 「おぉ!?」

(゚д゚;トソン 「な!?」

どこからともなく現れたミセリが突然大声で叫びます。
驚いたブーンは、寄りかかっていた私から転げ落ちてしまいました。

(゚、゚;トソン 「突然何を? 折角寝てたブーンが起きてしまったじゃないですか」

ミセ;゚ー゚)リ 「起こしたんだよ。てか、驚きついでにアイスコーヒー顔にかけんなよ!」

言われてみれば私の手の中のにあるコップが空になっています。もったいない事をしましたね。
しかし、何故ミセリはブーンを起こしたのでしょうか。場合によっては埋めますが。

ミセ*゚ー゚)リb 「おいおい、忘れてもらっちゃー困るな? 私が夕方、1人で買い物に行ったことを」

(〃つω`) 「おー……? なんだお? 何があったんだお?」

(゚、゚トソン 「ミセリがちょっと錯乱したようですね。埋めますからブーンは寝てて──」


154 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:41:02.11 ID:CbH9eMmH0

ミセ;゚д゚)リ 「人の話聞けよ!」

ミセリはそう怒鳴りながら後ろ手に持っていたビニール袋を私達の眼前に突きつけました。
私とブーンはその袋の中を覗き込みます。

( ^ω^) 「おー? これ何だお?」

(゚、゚トソン 「これは……花火ですか?」

・・・・
・・・

(〃^ω^)つ−※ 「おー! パチパチパチパチすげーお!」

ノハ*゚听)つ−※ 「きれいだぞぉぉぉぉ!」

ξ*゚听)ξつ−※ 「ウフフ……」

弾ける音、輝く光、火薬の匂い、漂う煙。
3人共花火は初めてだったみたいですが、すぐに慣れ、色鮮やかに舞う火花を存分に楽しんでいます。


158 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:42:16.79 ID:CbH9eMmH0

※−⊂(*゚∀゚)つ−※ 「アヒャヒャ、ダブルだぞー」

(;゚ー゚)つ−※ 「ちょっと、つーちゃん、回ったら危ないよ!」

ミセ*゚ー゚)リ 「夏の夜といったらやっぱりこれでしょ」

花火を楽しむ子供達を見て、ミセリが誇らしげに胸を張りながら私に話しかけてきます。
確かにこの件は褒めてあげてもいいかもしれませんが、調子に乗るとウザいので、そうですね、と短く答えておきました。

川д川 「綺麗だねー。夏の夜の風物詩って感じで」

(゚、゚トソン 「花火など、何年振りでしょうね……」

川д川 「毎年やったりしなかった?」

(゚、゚トソン 「私は、1人っ子の上、両親がどちらも仕事で帰りが遅かったですからね」

川д川 「あ、そっか……、ごめん」


160 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:44:04.62 ID:CbH9eMmH0

謝られるような事ではないのですけどね。ただ、そういう事実が過去にあっただけで。

しかし、不思議なものですね。1人暮らしが決まって、そういう事をする機会はこれまで以上に無くなるだろうと思っていたのに。

※        ※      ※        ※
 \ミセ*゚∀゚)リ/  川д;川  \ノハ*゚听)/

私の周りは何故かいつも賑やかで──

ξ*゚听)ξつ−※※−⊂ζ(゚ー゚*ζ

優しさに溢れて──

(〃^ω^)つ−※

幸せな笑顔でいられます。

(゚ー゚トソン

・・・・
・・・


162 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:46:14.74 ID:CbH9eMmH0

ミセ*゚ー゚)リ 「いよーし、打ち上げやるよ、打ち上げ」

( ^ω^) 「おー?」

そう言ってミセリは、打ち上げ花火を3つ、砂浜に設置しました。
ブーン達は不思議そうに首をかしげ、これが何なのかを聞いてきます。

説明しようとした私をミセリは遮り、ブーン達3人に火を点けさせる事を提案してきます。

(〃^ω^) 「お。このヒモに火をつけるんだおね?」

ノハ*゚听) 「よぉぉぉし、やるぞぉぉぉぉ!」

ξ*゚听)ξ 「危ないから倒すんじゃないわよ?」

ミセ*゚ー゚)リ 「点けたらちょっと離れてね。こっちまで来てくれれば大丈夫」

私達はブーン達から数歩下がった位置で見守ります。
3人は元気よく頷き、打ち上げ花火に火を点けます。


164 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:48:53.92 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^) 「お!」

ノハ*゚听) 「ついた!」

ξ*゚听)ξ 「あんたら、こっち、下がりなさい」

シューっと、導火線の焼ける音が響き、ブーン達が走って数歩こちらに下がってきました。
私はブーンを受け止め、くるりと花火の方を向かせます。

(゚、゚トソン
つ〃^ω^) 「おー!」

ζ(゚ー゚*ζ
つ*゚听)ξ 「わー!」

川д川
つハ*゚听) 「おぉぉぉぉ!」

(*゚ー゚)ミセ*゚ー゚)リ(*゚∀゚)


167 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:51:18.77 ID:CbH9eMmH0

夏の夜空に咲く小さな3つの花を、私達は皆で見ました。
ほんの一瞬のだけ咲いた花。わずかな時間の出来事。でも、私達は、皆でいっしょに、同じ瞬間を共有する事が出来ました。

(〃^ω^) 「きれいだおー」

(゚、゚トソン 「そうですね、本当に綺麗です」

( ^ω^) 「でも、花火ってすぐ消えちゃうんだおね。なんか寂しいお」

(゚、゚トソン 「……また、上げればいいのですよ」

(〃^ω^) 「お! そうだおね。またいっしょに花火するお!」

(゚ー゚トソン 「ええ、またここで、花火を上げましょう。皆で、いっしょにね」

(〃^ω^) 「うんお!」

私達は、小さな花が散った夜空をいっしょに眺めていました。
そこには、星という名の無数の光り輝く別の小さな花が咲き乱れています。

私は、きっとこの夏の日の事を一生忘れないでしょう。初めて過ごしたブーンとの、皆との夏の日を。


 〜 第五話 おしまい 〜

    − つづく −   


169 :キャンプファイヤーと流星群 ◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:52:17.15 ID:CbH9eMmH0

川д川 「コンロの火、消しちゃう?」

ミセ*゚ー゚)リ 「もうちょい点けておきたい気がするね。キャンプファイアーが消えたら宴もおしまいみたいで寂しいし」

ζ(゚ー゚*ζ 「キャンプファイアーにしちゃ、ちょっとか細いけどね」

( ^ω^) 「おー? キャンプファイアーってなんだお?」

(゚、゚トソン 「キャンプの時に焚く焚き火ですよ。これは色々と違いますが」

ミセ*゚ー゚)リ 「つーかキャンプ自体わかんなくね?」

ξ゚听)ξ 「キャンプってのは、海とか山とかに旅行に行って、テントを張って泊まることよ」

ノパ听) 「なるほどー」

川д川 「そして、キャンプファイアー点けて、周りで歌ったり踊ったりするんだよ」

(〃^ω^) 「お! たしかに僕たちがやってたのはキャンプファイアーみたいだったお!」

ミセ*゚ー゚)リ 「でしょ? つーわけで、ブーンちゃん、1曲歌えー!」


171 :キャンプファイヤーと流星群 ◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:52:42.75 ID:CbH9eMmH0
・・・・
・・・

(;^ω^) 「おー、ちょっと汗かいちゃったお……」

(゚、゚トソン 「調子に乗って3曲も歌うからですよ」

(〃^ω^) 「お。でも、楽しかったお!」

(゚ー゚トソン 「私も見ていて面白かったですよ」

( ^ω^) 「お! ……おー?」

(゚、゚トソン 「あ、流れ星……」

( ^ω^) 「あれ、お星さまかお? ……おー? 流れ星、なんか聞いたことある気がするお」

(゚、゚トソン 「昔、教えてもらった事があったのかもしれませんね」

( ^ω^) 「おー……」


174 :キャンプファイヤーと流星群 ◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:55:53.92 ID:CbH9eMmH0

(゚、゚トソン 「……」

( ^ω^) 「……」

(゚、゚トソン 「……流れ星は、消える前に3回願い事を言えれば、願いが叶うって言われてるんですよ」

(〃^ω^) 「お! ホントかお? すごいお!」

(゚、゚トソン 「まあ、中々見れないですし、すぐ消えちゃうから難しいんですけどね」

(〃^ω^) 「お! また光ったお! ……おー、ホントにすぐ消えちゃったお。3回は言えないお」

(゚ー゚トソン 「ハンバーグぐらいなら3回言えるんじゃないですか?」

(;^ω^) 「お。僕のお願いはハンバーグじゃないお」

(゚、゚トソン 「そうでしたか?」

(〃^ω^) 「うんお。ハンバーグも食べたいけど……」


175 :キャンプファイヤーと流星群 ◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:56:16.23 ID:SBlonFQYO

(゚、゚トソン 「はいはい、帰ったら作って──え?」

(〃^ω^) 「お?」

(゚、゚トソン 「流れ星が……」

(〃^ω^) 「いっぱいだおー!」

(゚、゚トソン 「これは……ペルセウス座流星群……ですかね」

(〃^ω^) 「お? りゅーせーぐん?」

(゚、゚トソン 「流れ星がいっぱい見える事です」

(〃^ω^) 「お! これならお願い3回言えるお! きっとどれかのお星様がかなえてくれるお!」

(゚、゚トソン 「じゃあ、今のうちにお願いしましょうか」

(〃^ω^) 「うんお!」


177 :キャンプファイヤーと流星群 ◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:57:25.14 ID:SBlonFQYO

「トソンとずっといっしょにいたいお!」

「ブーンとずっといっしょにいられますように」

「トソンとずっといっしょにいたいお!」

「ブーンとずっといっしょにいられますように」

「トソンとずっといっしょにいたいお!」

「ブーンとずっといっしょにいられますように」


(〃^ω^)つ⊂(゚ー゚トソン


それはきっと、2人の願いであり、2人の約束だったんだと思います


 − キャンプファイヤーと流星群 おしまい −


179 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:58:52.41 ID:SBlonFQYO

 〜 第六話 〜


一夜明け翌日、皆前日の疲れも見せず、デレですら少し早めの起床を果たしました。
朝から近辺を散歩し、雲井ヶ浜の空気を最後に堪能し、朝食を頂きました。

(#゚;;-゚) 「随分早起きやね。もうちょい寝てたらいいのに」

(゚、゚トソン 「皆、寝ている時間が惜しい程にはここが名残惜しいのですよ」

(#^;;-^) 「そっか、それは最高の褒め言葉かもしれんね。ありがとう」

ありがとうはこちらの台詞なのですけどね。何度も言う様に。
色んな事に、私達が過ごしやすいように便宜を図ってくれたでぃさん、シャキンさん、旅館の皆さん。
感謝してもし切れないほどです。

(゚、゚トソン 「それででぃさん、最後のお願いというわけでもないのですが……」

(#゚;;-゚) 「んー? なんや? 言うてみ?」

・・・・
・・・


182 :◆iW2kGg44LU:2008/12/12(金) 23:59:21.01 ID:CbH9eMmH0

(〃^ω^)つ□ 「おっおっお」

ミセ*゚ー゚)リ 「お、ブーンちゃん中々窓磨き上手いじゃん?」

(〃^ω^) 「お家でやったことあるお」

(゚、゚トソン 「ミセリは下手ですね。拭き残しがありますよ?」

ミセ*゚д゚)リ 「細かいなー、お母さんは」

ツツー
ヽ(゚、゚トソン 「ほら、ミセリさん、こんなに埃が」

ミセ;゚ー゚)リ 「どこの小姑だよ、チクショー」

・・・・
・・・


184 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:00:29.91 ID:sl8sqwDqO

ξ゚听)ξ 「よっと……。ここはこれでオッケーかな?」

ζ(゚ー゚*ζ 「手際いいね、ツンちゃん」

ξ;゚听)ξ 「あんたが悪すぎんのよ。普段から部屋の掃除サボってるから──」

ζ(゚ー゚;ζ 「うぇ、そうかな? 部屋の掃除もサボってるわけじゃ……、ただ、やる気が……」

ξ#^ー^)ξ 「やる気が何? あんたがやらなきゃ誰がやるって思ってんの?」

ζ(゚ー゚;ζ 「えーっと……、あはははは……」

ξ#゚听)ξ 「笑って誤魔化すな! ほら、雑巾がけダッシュ! あと10本」

ζ(´д`;ζ 「それ、何か趣旨変わってない!?」

・・・・
・・・


187 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:01:59.65 ID:sl8sqwDqO

ノハ*゚听)つ□ ゴシゴシ

(`・ω・´) 「わざわざ悪いね」

川д川 「いえ、私もこの厨房は使わせて頂きましたし、その時にちょっと汚れが気になったり……」

(`・ω・´) 「あはは、気をつけてはいるんだけどね。貞子ちゃんは何と言うか、よく気が付く子だよね」

川д川 「あはは、トソンちゃん達に比べれば鈍い方なんですけどね」

(`・ω・´) 「いいお嫁さんになれるよ。料理も上手いし」

川*д川 「お上手ですね、シャキンさん」

(`・ω・´) 「いやいや、真実だよ。僕はお世辞は言わない。僕が後10歳若かったら──」

(#^;;-^) 「若かったら?」

(;`゚ω゚´) 「今よりもっと働いて、でぃを楽させてあげられるよねー」

(#^;;-^) 「そうか、そうか、ちょっとこっちにいらっしゃい」


188 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:02:24.34 ID:oGtdONPO0

・・・・
・・・

私達は、午前中の数時間、旅館のお手伝いをさせてもらいました。
と言っても、私達に出来るのは簡単なお掃除ぐらいです。こんなことで、恩返しになるかはわかりませんが、せめてもの気持ちです。

私達は、部屋を簡単に掃除して、帰り支度を済ませ、昼食を頂きました。
最後まで、美味しい食事でした。もうこれが食べられないのは少し残念ですが、またいつかここに来て頂くことにしましょう。
お魚の選び方や調理のコツなど、ちょっとしたことも教えてもらいましたし、いくつかの料理は再現出来そうです。

(#゚;;-゚) 「何か逆に悪かったね、とか言うと、また遠慮のし合いになるだろうから、お礼だけ。ありがとう」

(゚、゚トソン 「そのありがとうがこちらの台詞だから、お手伝いさせて頂いたんですけどね。こちらこそ、ありがとうございました」

 「「「「「「「ありがとうございました(お)ー!」」」」」」」
ミセ*゚ー゚)リノハ*゚听)ξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^〃)川д川

(`・ω・´) 「うん、元気のいい子達だ。子供はこうでないとね」


190 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:02:51.04 ID:oGtdONPO0

最後まで、あんたは真面目だったな、とでぃさんは私を笑顔で送り出してくれました。
何かあったら相談して、と小声で一声添えて。
私は無言で頷き、小さく、ありがとうございます、と答えました。

・・・・
・・・

来た時と同じ軽トラックに乗って、来た時と同じ道を逆方向に走ります。
旅行の思い出をわいわいと語っていた皆も、駅が近付くと一様に言葉少なくなっていました。

(`・ω・´) 「さあ、到着だ」

( ´ω`) 「お……」

ノハ´兪) 「よっと……」

(`・ω・´) 「はは、どうしたんだい、しょんぼりした顔して?」

( ´ω`) 「おー……。この電車に乗っちゃうと、もうシャキン達には会えないお?」

ノハ´兪) 「海でも泳げないぞー」


192 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:04:29.19 ID:oGtdONPO0

(`・ω・´) 「また遊びに来てくれればいつでも会えるさ、そうだろ?」

(゚、゚トソン 「ええ、また必ず遊びに来ます。その時も、よろしくお願いしますね」

ミセ*゚∀゚)リ 「来年はもっと長くいようぜ?」

ξ゚听)ξ 「ちょっと、シャキン達の迷惑も考えなさいよ」

(`・ω・´) 「迷惑なんて全くないさ。またぜひ来て欲しい。でぃや旅館の皆も待ってるからね」

ζ(゚ー゚*ζ 「じゃあ、今度はもっと長くバイトもがんばるかな」

川д川 「お手伝いさせてもらいましょうかね」

ミセ*゚∀゚)リ 「来年はあれだ、デレがちょっちきわどい水着で客引きすれば万事解決」

(*`・ω・´) 「素晴らしいアイデアだ!」

川−川ζ(゚−゚ ζ(゚−゚トソン


195 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:05:39.21 ID:oGtdONPO0

(;`・ω・´) 「あ、いや、ゴホン……、うん、まあ、そういうのは気にしないで遊びに来てね、うん」

(゚−゚トソン 「でぃさんに電話しときますね」

ζ(゚−゚ ζ 「よろしく」

(;`゚ω゚´) 「ちょ、待って! それだけは! それだけは、勘弁してー!!!」

・・・・
・・・

川д川 「それでは、これで」

ζ(゚ー゚*ζ 「しぃちゃんやつーちゃんにもよろしくです」

ξ゚听)ξ 「色々ありがとうね」

ノハ*゚听) 「楽しかったぞぉぉぉぉ!」

(〃^ω^) 「ぜったい、ぜーったい、また来るお! ありがとうだお!」


197 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:06:09.06 ID:oGtdONPO0

ミセ*゚ー゚)リ 「んじゃまた」

(゚、゚トソン 「色々とお世話になりました。シャキンさん、それと、るん雲の発展を心から願っております。……帰ってから大変でしょうけど」

(;`・ω・´) 「ハハハ……、本当に電話しちゃうなんて、シャキンちょっとサプライズ」

多少引きつりながらも、シャキンさんは私達を笑顔で送り出してくれました。
私達は、後ろ髪引かれる思いで駅に入り、シャキンさんのご冥福をお祈りしました。

・・・・
・・・

ミセ*゚ー゚)リ 「お、電車来たね」

帰りの電車がホームに入ってきます。
ホームは暑いので、我先にと電車に乗り込みますが、人込みが得意では無い私は、少し間をおくことにしました。
どうせ数分は停車しますし、席が無くなるほど混んでいるわけでもありません。


204 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:10:35.78 ID:oGtdONPO0

「待てい!」

(゚、゚トソン 「?」

(;ФωФ) 「何とか間に合ったか」

突如響いた大音声に、振り向くと果たしてそこには不細工なペン──いや、不細工なロマネスクさんがいました。

(;ФωФ) 「不細工いらなくね?」

おや、失礼。どうやら口に出していたようです。
私は、肩で息をするロマネスクさんに、バッグからペットボトルのお水を取り出して渡しました。

(;ФωФ) 「かたじけない」

(゚、゚トソン 「何の御用です? そんなにお急ぎで」

急ぐのは私達がもう帰るからでしょうが、そんな時に伝えなければならない程の用件とはなんでしょう?
私は、ロマネスクさんの言葉を待ちました。


205 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:11:02.53 ID:oGtdONPO0

(;ФωФ) 「1つ思い出したことが。ブーンはどこに?」

( ^ω^) 「お? いるお? なんだお?」

( ФωФ) 「お前に1つ聞きたい。──荒巻という名に聞き覚えは無いか?」

( ^ω^) 「あら……ま……き……?」

( ^ω^) 「……」

( ^ω^) 「……あらまき?」

ブーンは何度かその言葉を繰り返しています。何時に無く、真剣なその表情を、私は固唾を呑んで見守っていました。
しかし、ブーンが答えを出す前に、電車の発車を告げるベルが鳴り響きます。

ミセ*゚д゚)リ 「おーい、電車出ちゃうよ?」

(゚、゚トソン 「ロマネスクさん、その名前は?」

( ФωФ) 「詳しくはわからん。だが、その名前の人物といっしょに、白い小さな生き物がいたという話を小耳に挟んだ」


208 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:13:50.64 ID:oGtdONPO0

( ^ω^) 「……」

(゚、゚トソン 「そうですか、ありがとうございます。……私達はこれで。またお会いできる日を楽しみにしています」

( ФωФ) 「うむ。あまり役に立てずにすまぬな。息災を祈っておる。ブーン、またな」

( ^ω^) 「……お。ありがとだお、ロマネスク。まただお」

私達はロマネスクさんに別れを告げ、電車に乗り込みます。
皆、ロマネスクさんの用件が気になっているようでしたが、私達の顔見ると口をつぐんでいました。
どんな顔をしていたんでしょうね、私達2人。

・・・・
・・・

ガタンガタンと、規則的な音を奏でる電車に揺られ、私達は帰路に付きました。
ブーンも私も、あれから無言で、でも、いっしょに座っています。

(゚、゚トソン 「ねえ、ブーン……」

( ^ω^) 「わからんお……」


209 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:14:18.47 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚トソン 「……」

( ^ω^) 「わからんけど……どこかで聞いたような気もするお」

(゚、゚トソン 「……そうですか」

やはり、その方がブーンと昔いっしょにいた人なのでしょうか?
私は、この事をもっと深く聞くべきか迷い、ただ前を見つめていました。

( ^ω^) 「お。でも、帰ったら……」

(゚、゚トソン 「帰ったら?」

(〃^ω^) 「帰ったらハンバーグだお」

(゚、゚トソン 「え?」

私は、何の事かわからずに、ブーンの顔を覗き込みました。
そんな私に、ブーンはにっこりと微笑んで一言、

(〃^ω^) 「約束したお」


212 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:15:31.73 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚トソン 「……ええ、約束しましたね」

あの星空の下、私達は約束しました。
帰ったら、ハンバーグを作ってあげる。

(〃^ω^) 「お! いっしょだお」

そしてもう1つ──

(゚ー゚トソン 「ええ、いっしょですよ、ずっとね」

私達は、流れ星に願い、約束をしましたからね。
ずっといっしょにいたい。ずっといっしょにいる。

それが私達、2人の願いであり、約束です。


 〜 第六話 おしまい 〜

    − つづく −   


213 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:16:43.55 ID:sl8sqwDqO

 〜 (゚、゚トソンの日記 〜

久しぶりに帰った我が家は、閉め切られていた独特の臭気と、蒸し暑い空気がミックスした何とも言えない空間でした。

1週間の小旅行。色々な事がありました。
どれもこれも楽しい思い出で、思い返せば自然と顔がほころびます。

それも全て、ブーンや皆がいてくれたからだと思います。

1人の時間が多かったこれまでの人生。大学生になり、大きく変わったことを改めて実感します。
1人でよかったはずの自分は、今はきっと、1人ではいられないと思います。

本当に、ブーン達皆には感謝です。

まあ、この日記は、絶対に皆には見せないからこんなことも書けるんですけどね。

ただ、1つ、新たな事実の発覚と共に、不安に思うことが無いわけでもありません、
新巻という名前。ブーンの、記憶の鍵となる名前。

この名前が、私達の今の幸せを壊さないとも限りません。この名前が何なのか、私にはわかりません。

不安です。不安ですけど、でも──


215 :◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:18:30.64 ID:sl8sqwDqO

When you wish upon a star

Make no difference who you are

Anything your heart desires

Will come to you

私達は星に願いを込めました。2人でいっしょに願いました。
心を込めた願いが、きっと叶うと言うのなら、それは2人の約束です。

あの星空の下で、2人で交わした約束なのです。

だから私は、何も心配していません。きっとブーンは──

(-、-トソン 「ずっと私といっしょにいるんですから」(〃´ω`)


 − 第十五章 花火と私と星に願いを おしまい −


   − 夢は次章へつづきます −   


219 :ビーチバレー ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:19:39.62 ID:oGtdONPO0

< 雲井ヶ浜 海水浴場 >


ζ(゚ー゚*ζ 「ボール遊びでもしよっか」

ξ゚听)ξ 「いいわよ」

(〃^ω^) 「おー!」

ノパ听) 「おー!」

○ パシン!!
 \
  ⊂ζ(゚ー゚*ζ 「はーい、ツンちゃん」

  パシン!! ○
    \/
ξ゚听)ξつ 「よっと」


221 :ビーチバレー ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:20:09.04 ID:oGtdONPO0

○ パシン!!
 \
  ⊂ζ(゚ー゚*ζ 「はい、ブーンちゃん」

  ポヨン! ○
   \/
∩(〃^ω^)∩ 「お!」


○ パシン!!
 \
  ⊂ζ(゚ー゚*ζ 「はい、ヒートちゃん」


  ポヨン! ○
   \/
∩ノパ听)∩ 「おー!」


222 :ビーチバレー ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:20:53.82 ID:oGtdONPO0

ζ(゚ー゚;ζ 「うーん……、やっぱ手が短いと辛いね」

(゚、゚トソン 「ツンちゃんは器用ですが……」

ミセ;゚ー゚)リ 「ビーチバレーと言うよりは」

川д川 「ビーチサッカー?」

  ポヨン! ○
   \/
∩(〃^ω^)∩ 「おっおっお!」

  ポヨン! ○
   \/
∩ノパ听)∩ 「うぉぉぉぉ!」


ζ(^ー^*ζ 「まあ、楽しそうだから、いいか」


 − ビーチバレー おしまい −


224 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:22:52.90 ID:oGtdONPO0

< トソン宅 >

ピンポーン

(゚、゚トソン 「はいはい」

ガチャ

ζ(゚ー゚*ζ 「ういっス」

(゚、゚トソン 「どうしたんですか……その荷物は?」

ζ(゚ー゚*ζ 「上がっていいかな?」

(゚、゚トソン 「ええ」

・・・・
・・・

ζ(´へ`*ζ 「ふいー、重かったぁー」

U⊂(゚、゚トソン 「冷たい物の方がいいですよね」

ζ(´ー`*ζ 「ありがとー」



226 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:24:11.13 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚トソン 「で、あの荷物は何ですか?」

ζ(゚ー゚*ζ 「実家から届いたんだよ」

(゚、゚トソン 「なるほど。わざわざお裾分けに?」

ζ(-へ-*ζ 「お裾分けと言うか、全譲渡と言うか……」

(゚、゚トソン 「……食材ですか?」

ζ(゚ー゚*ζ 「イエス」
 _, ,_
(-、-トソン 「何故、自分で消化出来ない物を送ってもらうので?」

dζ(゚ー゚*ζ 「トソンちゃんと貞ちゃんいるからー」

(゚、゚トソン 「まあ、いいですけど……。で、中身は?」

ζ(´ー`*ζ 「開けてごらーん?」


228 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:26:14.16 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚トソン 「……ええ、開けてみます」

. □⊂(゚、゚トソン

\ / パカッ
. □⊂(゚、゚トソン

\ / 
. □ (゚、゚トソン 「……」

    パタン
. □⊂(゚、゚トソン

ζ(゚ー゚;ζ 「あれ?」

(゚、゚トソン 「持って帰れ」

ζ(゚д゚;ζ 「丁寧語は!?」

(゚、゚;トソン 「こんなものをどうしろと……」


230 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:27:21.44 ID:oGtdONPO0

ζ(゚ー゚*ζ 「え? 普通に調理?」

(゚、゚;トソン 「無理ですよ」

ζ(゚ー゚*ζ 「捌けない?」

(゚、゚;トソン 「生きてますよね?」

dζ(゚ー゚*ζ 「取れたてピチピチー」

(゚、゚;トソン 「しかも大きいし……」

ζ(´ー`*ζ 「大きいねー。久しぶりに見たよ」

(゚、゚;トソン 「何でこんなものをチョイスされたのですか、あなたのご家族は?」

ζ(´ー`*ζ 「何でだろうね? 私が久しぶりに食べたいなーっていったからかな?」

(゚、゚;トソン 「理由はそれで確定でしょうね」

ζ(゚ー゚*ζ 「美味しいよ?」


231 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:28:38.73 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚;トソン 「そうでしょうけど、さすがにこれは無理ですよ。本職に頼むしか無いでしょう」

ζ(-へ-*ζ 「無理かなー? お父さんは普通に捌いてたけどねー」

ピンポーン

(゚、゚トソン 「……はいはい」

ガチャ

川д川 「こんにちは」

ζ(゚ー゚*ζ 「いいところに!」

(゚、゚トソン 「貞子、後はあなたに任せました」

川;д川 「え、いきなり何?」

・・・・
・・・


233 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:30:54.70 ID:sl8sqwDqO

(゚、゚トソン 「これです」

川д川 「なるほどね」

(゚、゚トソン 「さすがに無理でしょ?」

川д川 「うーん確かに無理だねー……ここだと」

(゚、゚トソン 「そうで──ここだと?」

ζ(゚ー゚*ζ 「貞ちゃん家ならオッケー?」

川д川 「うん、そうだね、あっちなら裂き包丁も千枚通しもあるしね」

(゚、゚;トソン 「あるんですね……」

ζ(´ー`*ζ 「よーし、じゃあ、早速貞ちゃん家に……」

(゚、゚トソン 「誰が運ぶんですか?」

ζ(´ー`*ζ 「……」


234 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:31:12.19 ID:oGtdONPO0

川д川 「……」

ζ(´ー`;ζ 「……」

ピンポーン

ガチャ

川д川「「「運べ!!!」」」ζ(゚д゚*ζ(゚д゚トソン

ミセ;゚д゚)リ 「え、何? いきなり何の話?」

・・・・
・・・

< 貞子宅 >

(〃^ω^) 「今日のご飯なんだお? すっごくいい匂いがするお?」

ノパ听) 「どんぶりだー!」

ξ゚听)ξ 「これって、あれ?」


235 :実家から○○が届きました ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:31:31.16 ID:oGtdONPO0

ζ(^ー^*ζ 「ウナギだよー。天然ものの新鮮食材、美味しいよー!」

(゚、゚トソン 「貞子が調理できたからいいものを」

ミセ;゚ー゚)リ 「突然あんなもの担がされた身にもなってみろよ……」

(〃^ω^) 「おお! すっごくおいしいお!」

ノハ*゚听) 「うまいぞぉぉぉぉ!」

ξ*゚听)ξ 「美味しいわねー」

(゚、゚トソン 「まあ……」

ミセ*゚ー゚)リ 「みんな喜んでるしね」

ζ(^ー^*ζ

川ー川 「骨はから揚げにしました」


 − 実家から鰻が届きました おしまい −


237 :中出し義母レイク ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:32:11.42 ID:oGtdONPO0

< デレ宅 >

ζ(゚ー゚*ζ 「……」

ξ゚听)ξ 「……黙ってちゃ、わかんないでしょ? これは何?」

ξ゚听)ξつ【中出し義母レイク】

ζ(゚ー゚*ζ 「……DVDだね」

ξ゚听)ξ 「そうね。で、これどうしたの?」

ζ(゚ー゚*ζ 「……荷物に入ってた」

ξ゚听)ξ 「は?」

ζ(´へ`*ζ 「ウナギといっしょに送られてきたの」

ξ;゚听)ξ 「何で……」

ζ(´へ`*ζ 「知らなーい。知らないけど、多分間違ったんじゃないかな?」


238 :中出し義母レイク ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:32:52.91 ID:oGtdONPO0

ξ;゚听)ξ 「……誰の?」

ζ(´へ`*ζ 「お父さんかなー? お兄ちゃんかなー? あ、おじさんかもなー?」

ξ;゚听)ξ 「……どうすんの、これ?」

ζ(´へ`*ζ 「うーん……、取り敢えず見てみましょ」

ξ;゚听)ξ 「え、見るの? これ?」

ζ(゚ー゚*ζ 「うん、まあ、前に見たしね。このシリーズ」

ξ;゚听)ξ 「シリーズなの?」

ζ(゚ー゚*ζ 「そだよ。じゃあ、早速セット&スタート!」

ξ;゚听)ξ 「はや! ちょ、心の準備が──」

ジャジャーン
< 我々はついにやってきた、この義母湖へ。

ξ;゚听)ξ 「義母湖?」


239 :中出し義母レイク ◆iW2kGg44LU:2008/12/13(土) 00:33:07.39 ID:oGtdONPO0

ζ(゚ー゚*ζ 「うん、実家の山奥にある湖。通称、義母レイク」

ξ;゚听)ξ 「……ふーん。何で通称の方が長くなるのかは聞かないけどね」

< 襲い掛かる巨大ウナギが!

ξ;゚听)ξ 「……ねえ、これ何なの?」

ζ(゚ー゚*ζ 「え? だから中出し──」

ξ;゚听)ξ 「そうじゃなくて、何がしたいの、この映像?」

ζ(゚ー゚*ζ 「えーっと、実録ドキュメンタリー?」

< 危ない、中出氏!

ξ;--)ξ 「あ、もういいわ。オチ見えたから」

ζ(゚ー゚*ζ 「え? そう? ここからが結構燃える展開なんだけどね。中出氏が大ウナギ相手に奮闘──」


 − 中出し義母レイク おしまい −


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