第一話

 第二話

 第三話

 第四話

 第五話

 第六話

 第七話

 第八話

 第九話

 第十話

 あとがき



第一話



01.

< 公園 >

ミセ;゚д゚)リ「うひゃぁー、いきなり雨とかないわー」

(;^ω^)「すごい降ってきたお、ずぶ濡れだお」

ξ;゚听)ξ「梅雨なんだから雨ぐらい降るわよ」

ノパ听)ノシ「走って帰るぞー! またなー!」

ミセ*゚ー゚)リノシ「車には気を付けて帰るんだよー。またねー」

(;^ω^)「僕たちも急ぐお!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、前が見えないくらい降ってきたわよ?」

ミセ;゚д゚)リ「これはヤバい!?」

ミセ;゚ー゚)リ「……しょうがない、ブーンちゃん、ツンちゃん、こっちに」

(;^ω^)「お? そっちはおうちと違うお?」

ξ;゚听)ξ「どこ行くの?」

ミセ;゚ー゚)リ「雨宿り。こっちの方が近いからね」

・・・・
・・・


02.

< ミセリ宅 >

(〃^ω^)「おー、広いお部屋だおー」

ξ゚听)ξ「ああ、そうか、ブーンは始めて来るんだっけ」

ミセ*゚ー゚)リ「ほい、タオル」

ミセ*゚ー゚)リ「私はちょっとシャワー浴びてくるから、適当に座っててよ」

ξ゚听)ξ「お構いなく。風邪引くから早く温まって来なさいよ」

(〃^ω^)「テレビもおっきいお!」

ξ゚听)ξ「こら、他人様の部屋では大人しくしなさい」

( ^ω^)「お? ミセリは他人じゃないお? お友達だお?」

ξ゚听)ξ「そうだけど、そういう意味じゃなくて……」

ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃんはホント礼儀正しいな」

ξ;゚听)ξ「早! もうシャワー浴びて来たの?」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、招待主がお客を放っておくわけにもいかないからね」


03.

ミセ*゚ー゚)リ「ああブーンちゃん、部屋は見たかったら好きに見ていいからね」

ヾ(〃^ω^)ノシ「お! 見たいお! ベッドもぽよんぽよんだお!」

ξ;゚听)ξ「コラ、跳ねるな、跳ねるな」

ミセ*゚ー゚)リ「フフフ、気に入ったんなら好きなだけ泊まってってもいいぜ?」

ミセ*゚ー゚)リb「何ならうちの子になるかい?」

(〃^ω^)「お! じゃあ、今度トソンといっしょに泊まりに来るお!」

ミセ;゚ー゚)リ「うん、まあ、やっぱりそういう発想になるよね」

ξ゚听)ξ「当たり前じゃないの、こいつがトソンから離れるわけないでしょ」

ミセ*-д-)リ「まあ、わかってるけどね……」

ξ゚听)ξ「……まだ探してるの?」

ミセ*゚ー゚)リ「ん? 何を?」

ξ゚听)ξ「夢見よ」


04.

ミセ*-へ-)リヾ「ああ……まあ、時々ね……」

ミセ*-へ-)リ「時々町をうろついて、色んなとこを探してはみたけどね」

ミセ*-ー-)リ「出会えないねー」

ミセ*-ー-)リ「この町で行ったことない場所はないくらいに歩いたんだけどね」

ξ゚听)ξ「……別に、夢見はあんたは避けてるわけじゃないわよ?」

ミセ*゚ー゚)リ「わかってる」

ミセ*゚ー゚)リ「トソンがブーンちゃんに出会ったのも偶然」

ミセ*゚ー゚)リ「デレがツンちゃんに出会ったのも偶然」

ミセ*゚ー゚)リ「貞ちゃんがヒーちゃんに出会ったのも偶然」

ミセ*゚ー゚)リ「そして私が誰とも出会えないのも偶然」

┐ミセ*-ー-)リ┌「でしょ?」

ξ゚听)ξ「ええ」


05.

ミセ*゚ー゚)リ「わかってるって、たまたまなだけだよね」

ミセ*゚ー゚)リ「気にしてないよ、全然」

ξ゚听)ξ「そう……」

( ^ω^)「おー? この紙なんだお? “ふか”って書いてあるお?」

ミセ;゚д゚)リ「ブーンちゃん!? どっからそれを!?」

( ^ω^)「ふかってなんだお?」

ミセ;´ー`)リ「不可ってのはねー、これじゃダメってことなんだねー」

ミセ;´ー`)リ「ああ、そう言えばレポートの再提出今週中だった……」

( ^ω^)「おー? ミセリは不可なのかお?」

ミセ;゚ー゚)リ「その言い方だと私自身がダメみたいだからやめて」

ξ゚听)ξ「……」

・・・・
・・・


06.

< 2人帰宅後 ミセリ宅 >

ミセ*-へ-)リ「んー……筆が進まないねー」

ミセ*-へ-)リ「トソンもレポートぐらい手伝ってくれればいいのに」

ミセ*-へ-)リ「ブーンちゃん達迎えに来てそのまま帰るんだもんなー」

ミ(゚、゚セリ「自分の力でやってこそ、後々の自分の為になるのですよ」

ミセ*゚д゚)リ「なんて正論ぶってさー」

ミセ*゚ぺ)リ「大体、興味ない法政のレポートなんだから」

ミセ*゚ぺ)リ「将来そんな職に就く気ないし、役に立たないっての」

ミセ*-へ-)リ「んむー……」

ミセ*゚−゚)リ「将来か……」

ミセ*゚−゚)リ「どうなるんだろな……」


07.

私は経済的には恵まれた暮らしをしている。
親がそれなりに業績を上げている会社の社長なのだ。
この部屋を見てもわかるように、物的面からは何不自由のない暮らしをしてきた。

ミセ*゚−゚)リ「でも……」

お世辞にも、家族仲は良いとは言えない。
お父さんは仕事一辺倒で、家庭の事をそう構ってくれる人ではなかった。
悪い人ではないし、お母さんが亡くなった悲しみを紛らす為に仕事に打ち込んでた所もあるから、仕方ないと言えば仕方のない事でもある。

ミセ*゚−゚)リ「最後にいっしょに出かけたの、いつだっけな……」

お義母さんは私とはあんまり上手くいってないけど、この人も悪い人ではないのだ。
ただ私が無邪気な子供を演じるには少し歳を取り過ぎていたのと、お義母さんが少し子供っぽかっただけだ。
忙しいお父さんに迷惑がかからないよう、物分りの良いいい子を演じていた私が、まだ学校にも行ってない子供しか知らないお義母さんから見れば気味が悪かったのかもしれない。

ミセ*゚−゚)リ「……今なら随分と冷静に分析出来るな」

当時の私はどうすれば良いか本当に何もわからなかった。
お父さんが元気になればと思って諸手をあげて賛成した再婚。
お義母さんは綺麗な人で、私と一回りぐらいしか歳も離れていない。


08.

色々あったらしいけど、お父さんが選んだ人だ、きっといい人なんだと思ってた。
事実、客観的に見ると自分の子供への接し方や生活態度など真面目な人だった。
急にお金持ちなって、羽振りが良くなり浪費するなんて事もなく、自分で家事もしていた。

ミセ*゚−゚)リ「ちょっと真面目過ぎたのかもね……」

多分不器用な人だった。
時に自分の子供に厳し過ぎたりで、そのせいであの子達は私の方に懐いたりもしたんじゃないだろうか。

子供は無邪気だ。でも、よく見ている。

時々あの子達の愚痴も聞いてあげて、お義母さんを嫌わない様になだめすかしたこともあった。

ミセ*゚−゚)リ「まあ、私も一応子供だったんだけどね……」

その頃から周りを極度に気にする子供になっていた様な気がする。
元々空気を読むのは割と得意ではあったけど、お母さんが亡くなったことが私にとって大きな転機になった様だ。
当然と言えば当然ではあるが。

悲しみの反動から仕事に打ち込んでいるお父さんの邪魔にならない様、気を使わせない様に振舞った。
急に大きな子供を抱えたお義母さんの負担にならない様、物分りのいい子を演じた。


09.

ミセ*゚−゚)リ「でも、たらればの話はよく考えたよね……」

再婚したお父さんが、もっと家庭を顧みる様に変わっていれば。
お義母さんが娘とまではいかずとも、妹ぐらいの親しさで接してくれていれば。
私がもっとわがままに振舞えていれば。

誰が悪かったわけでもないはずなのだ。

でも、やはり後悔はある。

私はもっと子供らしくあるべきだったのではないかと思う。
私はもっと泣いて喚いて、子供の特権を振りかざすべきだったのではないかと思う。
私はもっと私らしくいるべきだったのだと。

ミセ*゚−゚)リ「誰かにわかってもらう事を期待していたのかな……」

お父さん、お義母さん、誰かがもっと私を見ていてくれたら、なんて当時は考えていたのだろうか。
あの頃の私は、演じる事に精一杯で、自分の気持ちとか考えていなかった気もする。

ミセ*゚−゚)リ「やっぱり、お義母さんに気付いて欲しかったのかな……」

気付いて、認めて欲しかったのかもしれない。
自分の子供に向けるような視線を、私にも向けて欲しかったのかもしれない。


10.

私はそれを、直接言葉にすべきだったのかもしれない。
お義母さんは、ちょっと不器用な人だったのだから。

ミセ*゚ー゚)リ「真面目で不器用なとこは誰かに似てるな……」

ふとよく見知った顔が思い浮かんだ。
そういえば少し似ているかもしれない。
真面目なとこ、不器用なとこ、厳しいとこ、人間関係においては誤解を受け、損をしそうな性格だ。

でも……

ミセ*゚ー゚)リ「あいつはなー……遠慮がないからなー」

あいつがお義母さんと大きく違うのとこは、遠慮なく物を言うとこだ。
本人曰く、空気は読んでいるらしいが、私から見れば時に無遠慮過ぎる。
相手に理解がなければケンカになっても不思議はないくらいだ。

しかし、そうはならない。
私達はケンカすることなく、毎日馬鹿やっている。


11.

それはあいつが自分が正しいと思って行動しているから。
そしてそれが、本気でその人の事を思ってそうしているからだ。
要するにあいつは極度のお節介だ。

私達皆、それをよく知っている。

【】<PiPiPi

ミセ*゚ー゚)リ「お? 電話?」

ミセ*゚ー゚)リ】「もしもし? ああ、うん、レポートね」

ミセ*゚ー゚)リ】「ええっと半分の半分の半分ぐらいは出来たかな?」

ミセ*゚ぺ)リ】「しょうがないじゃんか、法政嫌いなんだもん」

ミセ*゚ー゚)リ】「ああ、あそこね、うん、そこ読めばいいのね」

ミセ*゚ー゚)リ】「わかった、サンキュー」

ミセ*゚ー゚)リ】「今度プリンでも買ってくよ」

ミセ*゚д゚)リ】「あんみつがいい? 注文の多いやつめ」

ミセ*゚ー゚)リ】「オッケー、そんじゃまた明日ね、バイバーイ」


12.

ホントお節介だ。

ミセ*゚ー゚)リ

わざわざ心配で電話かけてくるぐらいなら、最初っから手伝ってくれれば良いものを。
最初っから手伝うと私の為にならないとか本気で考えてる。

真面目で不器用でお節介で、本当にいいやつだ。

ミセ*゚ー゚)リ「さて、真面目にレポート仕上げないとね」

これで私がレポートを書き上げてなかったりしたら、烈火のごとく怒るだろうな。
そんでちょっと後悔する。
ちゃんと自分が手伝うべきだったんじゃないかと。

そんな義理も責任もないのに。
私自身の問題で、私自身の怠慢なだけなのに。
あいつはそういうやつなのだ。

だから、このレポートを仕上げないわけにはいかない。
何とも回りくどい脅迫をかけられたものだ。

友達の顔を曇らせない為に、私はこのレポートを仕上げなければならないのだ。


13.

【】<PiPiPi

ミセ*゚ー゚)リ「お? また電話?」

ミセ*゚ー゚)リ】「もしもし? うん、ちゃんとやってるって」

ミセ*゚ー゚)リ】「大丈夫、大丈夫」

ミセ;゚ー゚)リ】「いや、わざわざ出前とかいいから」

ミセ*゚ー゚)リ】「夜道の1人歩きは危険だぜ? 雨も降ってるしね」

ミセ*゚ー゚)リ】「ありがとう、うん、じゃあ、また明日ね」

【】<PiPiPi

ミセ;゚ー゚)リ「また?」

ミセ*゚ー゚)リ】「もしもし? いや、お前もじゃね?」

ミセ*゚ー゚)リ】「どんだけ進んだ?」

ミセ*゚ー゚)リ】「いや、それ全然書けてないから」


14.

ミセ*゚ー゚)リ】「ああ、トソンの家からは叩き出されてるのね」

ミセ*゚ー゚)リ】「ヒントは聞いた?」

ミセ;゚ー゚)リ】「いや、寝るなよ。諦めんなよ」

ミセ;゚ー゚)リ】「お!? デレ? どうし──ああ、ツンちゃん?」

ミセ*゚ー゚)リ】「ちゃんとデレ見ててやってね」

ミセ*゚ー゚)リ】「こっちは大丈夫だって、ちゃんとやるから」

ミセ*゚ー゚)リ】「今度あんみつ買ってく約束だからツンちゃんの分も買ってくね」

ミセ*゚ー゚)リ】「んじゃ、また、デレをよろしくねー」

ミセ*-ー-)リ「全く……揃いも揃ってお節介共め……」


15.

ミセ*゚ー゚)リ「えっと、48ページからだっけ……?」

ミセ;゚ー゚)リ「うぇ……面倒なとこだな……」

ミセ*゚ぺ)リヾ「まあ、読まないわけにもいかないか」

ミセ*゚ー゚)リ「何々、えっと……とある社会においては……」

やれやれ、今日は完徹かもな。
それで仕上がればいいけど。
まあ、どうせ寝過ごしても、どっちかがモーニングコールかけてくるだろうしね。

何とも有難い事だ。

私は、そんな有り難い友達に、ちゃんと恩を返せているだろうか。

……止めとこう。
今はそんな事を考えている場合でもない。
このレポートを仕上げる事に全力を尽くそう。

ミセ*゚ー゚)リ「さて、がんばりますか」

今はそれが、私の大切なお節介共に対する最大の恩返しだ。



 〜 第一話 おしまい 〜

    − つづく…………かも? −   


第二話



01.

< トソン宅 >

ミセ*゚ー゚)リ「ほれ、あんみつ」

(゚、゚トソン「……急にどうしました?」

ミセ*゚ー゚)リ「急にって、こないだレポートの時約束したじゃんか?」

(゚、゚トソン「ああ、そう言えば……。しかし──」

(-、-トソン「あれは冗談ですよ? そのくらいで代価を取るつもりは……」

ミセ*゚д゚)リ「お前の冗談はわかり辛いんだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、冗談かどうかはさて置き、感謝はしてるからさ」

ミセ*゚ー゚)リb「受け取ってよ」

(゚、゚トソン「あんみつ……ガサガサ」

(゚、゚*トソン「これは……新作ですね」

ミセ*゚ー゚)リ「おう。丁度試作品が出来たとこだった」


02.

(゚、゚*トソン「お茶でも淹れましょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「よろしくー」

・・・・
・・・

(゚、゚トソン「少し甘めでしたが、流石はショボンさんですね」

ミセ*゚ー゚)リ「美味かったなー。あの人こういうのを優先的に作って欲しいね」

(゚、゚トソン「残りも頂いていいのですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「もちろん。ブーンちゃんとツンちゃんにあげてくれれば問題なし」

(゚、゚トソン「有り難く受け取っておきます」

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンちゃんは外だっけ?」

(゚、゚トソン「ええ、でも雨になりそうだからそろそろ迎えに行こうかと」

ミセ*゚ー゚)リ「梅雨だしね。私が行ってこようか?」


03.

(゚、゚トソン「代わりに私は晩ご飯の支度をしろと?」

ミセ*>ー<)リb「いぇーす、わかってんじゃん」

(゚、゚トソン「……まあ、いいでしょう。今日はあんみつの分もありますし」

ミセ*゚ヮ゚)リ「おお、話わかるじゃん」

(゚、゚トソン「何かリクエストはありますか?」

ミセ*゚ー゚)リ「んーっとね……」

ミセ*゚ー゚)リ「コロッケ、ジャガイモのやつ」

(゚、゚トソン「わかりました」

(゚、゚トソン「それではブーンはよろしくお願いします」

ミセ*゚ー゚)リb「オッケー、晩ご飯期待してる」

・・・・
・・・


04.

ミセ*゚∀゚)リ「コロッケ、めっちゃウマー!」

(゚、゚トソン「そんな大袈裟な……。いつも通りですよ?」

ヾ(〃^ω^)ノシ「トソンのコロッケはすっごく美味しいお!」」

ζ(゚ー゚*ζ「美味しいね、これならいっぱい食べられるよ」

ξ゚听)ξ「謙遜しなくていいわよ。これは本当に美味しいから」

(゚、゚*トソン「何ですか、皆して?こんな簡単なのでそこまで褒めなくても……」

ミセ*゚ー゚)リb「このシンプルさがいいんじゃないか」

ミセ*゚ー゚)リ「ジャガイモとちょっとのひき肉のバランスが絶妙だよ」

(〃^ω^)「コロッケは作るのも楽しいお! コネコネだお!」

ζ(゚ー゚*ζ「これはブーンちゃんが丸めたやつかな?」

ヾ(〃^ω^)ノシ「お! そうだお! これは僕だお!」

ξ゚听)ξ「道理で他より歪んでるわけね」


05.

(゚、゚トソン「ブーンがお手伝いしてくれるので助かりますよ」

(〃^ω^)「お料理楽しいお! もっといろいろ覚えるお!」

ζ(゚ー゚*ζ「エライなーブーンちゃんは」

ξ゚听)ξ「料理と言えば、あんたはどうなの?」

ミセ;゚ー゚)リ「え、私? えーっとねー」

(゚、゚トソン「大方、あの金平で満足して何もやってないんでしょうね」

ミセ;゚ー゚)リ「い、いや、やってないわけじゃないよーな、あるよーな」

ξ゚听)ξ「ああいうのは続けなきゃ意味がないんだけどね」

(゚、゚トソン「レパートリーは増えましたか?」

ミセ;゚ー゚)リ「え、その、金平とか」

ξ゚听)ξ「とか?」


06.

ミセ;゚ー゚)リ「……金平とか」

┐ξ--)ξ┌ ハァ ┐(-、-トソン┌

ζ(´ー`*ζ「ダメだなー、ミセリちゃんは」

ミセ;゚ー゚)リ「いや、デレに言われたかねーよ」

ζ(゚ー゚*ζ「私は最近がんばってるよ?」

ミセ;゚ー゚)リ「え、ウソ?」

ξ;゚听)ξ「まあ、がんばってると言えばがんばってるかな……」

(゚、゚;トソン「時に被害を拡大させつつ」

(;^ω^)「まっ黒なハンバーグはもういやだお」

ζ(´д`*ζ「あれはイカ墨なんだってばー」

(゚、゚トソン「半分イカ墨、半分ケシ墨でしたね」


07.

ζ(´ー`;ζ「ま、まあ、兎に角、私はちゃんと料理してるよ」

ミセ;゚ー゚)リ「少々引っかかるけど、確かにがんばってるみたいだね」

ミセ*゚ー゚)リ「何でまた? どういう風の吹き回し」

ζ(゚、゚*ζ「うーん……それは……」

ξ゚听)ξ ζ(゚、゚*ζ チラッ

ζ(゚ー゚*ζ「ちょっと思うところがあってね」

ミセ*゚ー゚)リ「思う所?」

(゚、゚トソン「デレも考えたりするんですね」

ζ(´д`;ζ「するよ!?」

ξ゚听)ξ「意外だったわ」

ζ(´д`;ζ「ツンちゃんまで!?」


08.

ζ(´へ`;ζ ショボーン

     ヨシヨシ
( ^ω^)つζ(´へ`;ζ

ξ゚听)ξ「冗談よ、バーカ」

ξ゚听)ξ「まあ、何にせよ、最低でも週に1回は料理しようとしている姿勢は
      褒めてあげるわよ」

ζ(´ー`*ζ「わーい、ありがとう、ツンちゃん」

(゚、゚トソン「今度もっと作りやすいレシピを用意しますよ」

ζ(´ー`*ζ「トソンちゃんもありがとー」

( ^ω^)「僕が味見してあげるお!」

ζ(´ー`*ζ「よろしくね、ブーンちゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「……」


09.

ζ(´ー`*ζ「……」

ミセ;゚ー゚)リ「何?」

ζ(゚ー゚*ζ「ミセリちゃんは?」

ミセ;゚ー゚)リ「何か手伝えと?」

ζ(゚ー゚*ζ「そうじゃなくて、ミセリちゃんはもう作らないのかなって」

ミセ;゚ー゚)リ「私?」

ミセ*゚ー゚)リ「うーん……今は目標もないしなー」

(゚、゚トソン「日常生活で当然やるべき事に目標も何もないでしょう」

ξ゚听)ξ「私が鍛えてあげよっか?」

ミセ;゚ー゚)リ「いえ、結構です。自分でがんばります」

・・・・
・・・


10.

< ミセリ宅 >

ミセ*゚−゚)リ「ハァ……」

ミセ*゚−゚)リ「料理か……」

ミセ*-へ-)リ「確かに金平で満足しちゃって、あれからやってないな……」

料理を始めたきっかけは、貞ちゃんへの感謝の気持ちからだった。
それとトソンにも。

それと同時に歩み寄りたいという事もあった。

ミセ*゚−゚)リ「自分の知らない世界……」

そんな大袈裟なものでもないけど、いつもトソンや貞ちゃんはいとも簡単に料理を作っている。
とても楽しそうに作っている。

貞ちゃんに聞いたら、料理自体が好きなのと、皆が美味しいという言葉と笑顔を見せてくれるのが嬉しいのだと言う。
トソンもまあ、似た様なものだった。
それプラス、外食よりは家計に優しいからという、なんともらしい答えが返って来た。


11.

私も、笑顔が見たくて料理を始めてみた。
そしてそれは、貞ちゃんの誕生日に叶える事が出来た。

私はそれで、満足してしまった。

さっきの話を後でデレに聞いた所、デレの思う所はツンちゃん絡みだった。

理由は私と似たようなものだったが、私とデレには決定的な違いがある。
それはツンちゃんがいる事。

常に喜んで欲しい人が、いつもそばにいる事だ。

デレはツンちゃんが好きなものを、いつでも作ってあげられるようになるため、料理をがんばっているらしい。
もっとも、私と違って前から多少、料理はしていたようだが。

ミセ*-ー-)リ「出来は微妙だったもんね……」

私が言えた話ではないのだが。


12.

ミセ*゚ぺ)リ「しかし、何で急に……」

以前は、自分が作るよりトソンや貞ちゃんが作る方が美味しいからと割り切っていたはずだった。
それが何故自分で作ることにこだわり始めたのか……

ミセ*゚−゚)リ「……そうか」

わかってしまった。
ああ見えてデレはいつもちゃんと考えている。
周りをちゃんと見ているのだ。

デレが自分で作ることにこだわるわけ、それは……

ミセ* − )リ「私達、ずっといっしょにいられるってわけでもないからね」

大学を卒業したら、皆どこへ行くのだろう?

トソンは先生になるんだから地元に帰るのかな?
それとも大学がらみのつてで、この辺で働くのかもね。


13.

デレは、実家に帰りそうだな。
と言うか、帰らされそうだ。
頻繁に実家から荷物やら電話やら来るし、色々と過保護だ。

でも、デレ自身はやりたい事を見つけて就職するみたいな事も言ってたな。

貞ちゃんは、実家の料理屋を継ぐみたいな話もしてたけど、その前に他のお店で修行もしたいって言ってたな。
料理関係の仕事に就くことは決めたみたいだから、卒業後に料理学校に行ったりもするのかも。

やはり皆、進む道は違う。
卒業したら2度と会わないなんてことは絶対ないけど、今より会える頻度が下がるのは確実だ。

そして──

ミセ* − )リ「私は……どうしたいのだろう」

決めていない。
前は適当にお父さんの仕事でも手伝うかとも考えていたけど、今は全くの白紙だ。

大学に来て色々と思う所があった。
私は色々と思い知らされた。


14.

いや、そうじゃない……

ミセ* ー )リ「皆が、教えてくれたんだよね……」

狭かった私の世界は、大きく広がった。
笑って、泣いて、また笑って、怒って、やっぱり笑って。

ミセ*゚ー゚)リ「笑ってばっかりだったよね……」

私達はいつも笑っていた。
ここでであいつらと出会えた事は、あいつらと友達になれた事は、私の一生の宝物だ。

ミセ*゚−゚)リ「……」

大学を卒業しても、その宝物がなくなるわけではない。
でも、やはり会えなくなるのはとても寂しいのだ。

それは皆もきっと同じだろう。

でも……


15.

ミセ*゚−゚)リ「トソンにはブーンちゃんがいつもいっしょにいてくれる」

ミセ*゚−゚)リ「デレにはツンちゃんがいつもいっしょにいてくれる」

ミセ*゚−゚)リ「貞ちゃんにはヒーちゃんがいつもいっしょにいてくれる」

そして私には……

ミセ*゚ー゚)リ「……そういうの考えるのは止めよう」

そうじゃなきゃ、私はあいつらを妬んでしまう。

止めよう。

私は皆が好きだ。

私はただちょっと、皆より運が悪かっただけ。

でも、世間一般の人よりは運が良いはずだ。

ミセ*-ー-)リ「あんな愉快なやつらと、友達になれたんだからね」

私は恵まれているのだ。
私はそれでいいのだ。



 〜 第二話 おしまい 〜

    − つづく…………といいね −   


第三話


01.


ミ*・д・)リ「おかーしゃん、おかーしゃん」

「あら、どうしたの──ちゃん」

ミ*・д・)リ「おなかしゅいた」

「あらあら、晩ご飯はまだですよ?」

ミ*-д-)リ「えー」

「フフフ、──ちゃんは食いしん坊さんね」

ミ*-3-)リ「ぶー」

「もう少し我慢出来たら、今日は──ちゃんの好きなものを作ってあげますよ」

ミ*・д・)リ「ホント!?」

「ええ、我慢出来たらですけど」

ミ*・д・)リ「じゃあ、あたちがまんする!」

「フフフ、お利口さんね、──ちゃん」


02.

「それじゃあ──ちゃんは何が食べたいのかな?」

ミ*・д・)リ「おかーしゃん、あたち、コロッケがたべたい!」

「あら、コロッケでいいの?」

ミ*・д・)リ「うん、じゃがいものやつ!」

「はいはい。──ちゃんはコロッケが好きですね」

ミ*・∀・)リ「うん、あたち、おかーしゃんのコロッケだいしゅき!」

・・・・
・・・

ミセ*うд-)リ「……んあ?」

ミセ*う、゚)リ「……」

ミセ*゚−゚)リ「夢……か……」

随分と懐かしい夢を見た気がする。
目覚めた途端、大半が霧散してしまったけど、とても懐かしい夢だ。


03.

ミセ*゚−゚)リ「夢って、どこかに記録しておいて、
      後から再生できたりするといいのにね」

そんな機械が出来たらバカ売れするかもしれない。
少なくとも私は欲しい。

ミセ*゚−゚)リ「何の夢だっけ……?」

懐かしい夢。
そして大切な夢。

そんな気がした。

そして、その2つの言葉から真っ先に連想される事。

ミセ*゚−゚)リ「もっと見ていたかったな……

見て、そして覚えていたかった。
たとえ夢だとしても。

あの人の姿を、あの頃の幸せな時を。


04.

ミセ*゚ー゚)リ「今日はえっと……授業は午前中だけか」

思考の海に沈みそうな頭を強く振り、枕元の手帳に手を伸ばし、講義の予定を確認する。
教養の授業がない分、コマ数自体がかなり減った。
幸いな事に、ここまで単位はちゃんと取得出来ている。

偏に周りの、特に几帳面な鬼軍曹のお陰だろう。

ミセ*゚ー゚)リ「おっと、あんまりのんびりもしてられないか」

少ないとは言え朝一からの授業はそれなりに早起きをしなければならない。
なかなか厳しい授業だし、遅れるのはよろしくないだろう。

これ以上のんびりと、先程の夢を思い返している時間はなさそうだ。

ミセ*゚ー゚)リ「いってきまーす」

・・・・
・・・


05.

川д川「じゃあ、午後からもがんばってね」

(゚、゚トソン「ええ、がんばりますよ」

川д川「ブーンちゃんは迎えに行っとく?」

(゚、゚トソン「今日は家にいるはずですから、私がそのまま寄っても問題ないかと」

ミセ*゚ー゚)リ「あれ? 今日は曇りだし、お外じゃないの?」

(゚、゚トソン「午後からは雨ですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「だとしても、雨降るまではお外行ってそうだけど」

ζ(゚ー゚*ζ「ああ、それならこないだの件でかな?」

ミセ*゚д゚)リ「こないだの件?」

ζ(´ー`*ζ「ブーンちゃん、雨の中走り回って泥だらけで帰ってきたの」

ζ(´ー`*ζ「そんで、そのままお家入って、絨毯の上で転んじゃってー……」

ミセ;゚ー゚)リ「トソンの雷が落ちたと」


06.

(゚、゚;トソン「そんなに厳しく叱ったつもりはないのですが……」

ζ(´ー`*ζ「ツンちゃんにも叱られてたからねー」

ミセ*゚ー゚)リ「しばらくは反省中か」

(゚、゚トソン「汚しても洗えばいいのですから、別にいいんですけどね」

(゚、゚トソン「ただ、雨の日は普段より危ない事も多いですから……」

ミセ*゚ー゚)リ「わかってるわかってる」

ミセ*゚ー゚)リb「今度雨の日にいっしょに散歩に行って、その辺話しとくよ」

(゚、゚トソン「ええ、よろしくお願いします」

ζ(゚ー゚*ζ「あれ? どしたの、貞ちゃん?」

川;д川「あ、いや、今日は雨だったんだなーって」

(゚、゚トソン「天気予報では80%以上ですね」



07.

川;д川「じゃあ、急いで帰らないと」

ζ(゚ー゚*ζ「なんかあったの?」

川;д川「洗濯物が……」

(゚、゚;トソン「ああ、それは……」

川;д川「ヒートちゃんも多分お外だなぁ……」

ミセ*゚ー゚)リb「んじゃ、貞ちゃんは急いで帰る!」

ミセ*゚ー゚)リb「トソンも、そろそろ行かないと授業でしょ?」

ミセ*゚ー゚)リb「んで、ヒーちゃんは私が迎えに、と」

ζ(´ー`*ζ「私はフリーダムー」

川д川「うん、そうする」

川д川「ヒートちゃんはお願いしてもいいかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「もっちろん」


08.

(゚、゚トソン「代わりに晩ご飯、ですか」

ミセ*゚д゚)リ「いいから、お前は授業に行けよ」

川ー川「まあまあ、今日は皆最初っから私の家の予定だよね」

ζ(´ー`*ζ「ゴチになります」

ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、また後で」

川ー川「うん、後でね」

(゚、゚トソン「お疲れ様です」

ヾζ(´ー`*ζ「バイバーイ」

・・・・
・・・


09.

ミセ;゚д゚)リ「ああ、公園着く前に降り出しちゃったよ」

暦は6月、梅雨真っ盛り。
雨の降らない日が珍しいくらい、今年の梅雨は雨が多い。
こんな微妙な天気の日に、貞ちゃんが洗濯物を外に干してきたのもそのせいだろう。

雨はあまり好きではない。
どちらかと言えば、メンタル的な話ではなく、実用的な部分でだ。
雨の日は色々と面倒が増える。

まず傘やレインコート、長靴など雨避けの対策が必要になる。
服が濡れたりすると肌に張り付いて気持ち悪いし。

ミセ;゚ー゚)リ「ヒーちゃんはもう帰っちゃったかもな……」

洗濯物はまあ、乾燥機あるけど、やっぱりお日様の光で乾かした服の方が何か気持ちが良い気はする。
それに何より──

ミセ*゚ー゚)リ「雨だとヒーちゃん達とここで遊べないもんなー」

やはりヒーちゃんは見当たらない。
それなりに強い雨だ。
流石にこの雨じゃお外では遊べない。


10.

ミセ*゚ぺ)リ「あ、一応、あそこも見ておくか……」

私は公園の奥、滑り台の方へ向かった。
このドーム状になった滑り台は、これまでもよく雨宿りに使わせてもらった。

ミセ*゚ー゚)リ「お?」

ノパ听)「おー?」

ミセ*゚ー゚)リ「ヒーちゃん見っけ」

ノパ听)「こんにちはー、ミセリー」

見に来て正解だった。
ヒーちゃんは滑り台の奥にちょこんと膝を抱えて座っていた。

いつも元気なヒーちゃんからすれば珍しい姿だが、突然の雨で修行も出来ずにしょんぼりしてるのだろう。

ミセ*゚ー゚)リ「お迎えに来たよ。傘ないんでしょ?」

ノパ听)「おー。わざわざありがとー」


11.

ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、帰る?」

ノパ听)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「ん?」

やはりヒーちゃんが少しいつもと違う気がする。
どことなく元気がないというか……

ミセ*゚ー゚)リ「よっと」

私は傘を閉じ、ドームの中に入り、ヒーちゃんの横にぺたんと腰を下ろす。
ヒーちゃんはちょっと首を傾げてこちらを見た。

ミセ*゚ー゚)リ「折角だから帰る前にちょっとお話しよっか」

ノパ听)「うん」

ミセ*゚ー゚)リ「今日は1人だったの?」

ノパ听)「そうだぞー。今日はブーン達来なかったー」


12.

ミセ*゚ー゚)リ「午後から雨って言ってたからね」

ノパ听)「そうだったのかー?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん。貞ちゃんも知らなかったみたいだったね」

ノパ听)「貞子も知らなかったのかー」

ミセ*゚ー゚)リ「貞ちゃんなら、知ってたら教えてくれるでしょ」

ノパ听)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「……貞ちゃんとケンカでもしちゃった?」

ノパ听)「してないぞー。貞子はいつも優しいんだー」

ミセ*゚ー゚)リ「そうだね、貞ちゃんは優しいから怒らないもんねー」

ノパ听)「ホントに悪い事した時しか怒らないぞー」

ミセ*゚ー゚)リ「それにヒーちゃんはいい子だから、あんまり怒られないもんね」

ノパ听)「悪い事はダメなんだぞー」


13.

ミセ*゚ー゚)リ「うんうん」

ノパ听)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「……何か貞ちゃんが困ったりしてるのかな?」

ノパ听) フルフル

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ、ヒーちゃんが困ってる?」

ノパ听)

ノパ听) フル……

ミセ*-ー-)リ「……貞ちゃんはね、困った事や悩んでる事があったら
      私達に相談してくれるんだ」

ノパ听)

ミセ*-ー-)リ「私達は友達だから」

ミセ*゚ー゚)リ「1人で考えるより、皆で考えた方がいい答えが
      見付かったりするからね」

ノパ听)


14.

ミセ*゚ー゚)リ「ねえ、ヒーちゃん」

ノパ听)

ミセ*゚ー゚)リ「私とヒーちゃんは何だっけ?」

ノパ听)「ミセリはお友達だぞー。私の大事な友達だー」

ミセ*゚ー゚)リ「私もヒーちゃんは大事な友達だよ」

ミセ*゚ー゚)リ「だから……」

ノパ听)

ミセ*^ー^)リ「ね?」

ノパー゚) コクッ

・・・・
・・・


15.

いつも元気いっぱいのヒーちゃん。
悩みとは無縁の様に見えても、やはり時として何かしら思う事もあるのだろう。
子供は子供なりに悩むものなのだ。

出来ればそれは、周りの大人が気付いてあげて欲しいと思う。

上手く伝え切れない、伝える手段を知らない子供もいるのだ。
何も言えず、自分の中に押し込めてしまう子供も。

昔の誰かさんの様に……。


私は、ヒーちゃんを抱き上げ、脚の上に乗せた。
少々お行儀が悪いが、固いコンクリートの上なので胡坐なのは大目に見て欲しい。

私は、ヒーちゃんからその悩みを聞き出す事にしたのだが……

ノパ听)「貞子は私より大切な人がいるんだよな?」

ミセ;゚ー゚)リ「え? それはどういう……」

思ったより、複雑なお話になりそうだ。



 〜 第三話 おしまい 〜

    − つづく…………のかなぁ −   


第四話



01.

ノパ听)

ミセ;゚ー゚)リ

ざあざあと強い雨音が響き渡る。
ドーム状の滑り台の中は、雨避けとしてはかなり優秀で、中に水が染みて来る事もない。

私達2人は、その中に無言で座っている。
私の腿の上にヒーちゃんを乗せた格好だ。

突然ヒーちゃんから告げられた言葉の真意を探るべく、首を傾けそのあどけない表情を伺うも、これといった答えは思い浮かばない。
仕方がないので、言葉の続きを待っているのだが、こちらから具体的に質問をしていった方がいいのだろうか。

ミセ;゚ー゚)リ「それは貞ちゃんが言ってたの?」

ノパ听) フルフル

ミセ;゚ー゚)リ「じゃあ、ヒーちゃんは何でそう思っちゃったのかな?」

ノパ听)「貞子、すっごく楽しそうに電話してたぞー」

ミセ;゚ー゚)リ「電話?」


02.

ヒーちゃんが言うには、ここ最近貞ちゃんはよく長い時間電話してるらしい。
それで自分が構って貰えないからそう思ったみたいだ。

ノハ´兪)

しかし電話か……
相手次第ではこれは由々しき事態ですな。

ミセ − )リ「抜け駆けだと……?」

これはじっくりと話を伺わねばなりませんな……

ミセ ^ー^)リ「それで、ヒーちゃん、貞ちゃんは誰と電話してたのかなぁー?」

ノパ听)「おかーさんだー」

ミセ*゚ー゚)リ「おかあ……さん……?」

おかあさん、おかあさん、おかあさん……
いや、おかあさんと言えばお母さんだろう、普通に。

少々身構えてしまったが、蓋を開けてみればごく普通の事なので安心してしまった。


03.

ノハ´兪)「そーだぞー。最近ずっとおかーさんとばっかりお話してるぞー」

ミセ*゚ー゚)リ「何だ、貞ちゃんお母さんと電話してたのか」

ミセ*゚ー゚)リb「ヒーちゃん、それは普通の事だよ?」

ミセ*゚ー゚)リb「お母さんもヒーちゃんと同じ、貞ちゃんの家族なんだから」

ノハ´兪)「家族……」

私は、ヒーちゃんにお母さんの事を説明してあげた。
お母さんという言葉自体はヒーちゃんも知っている。
どういう風に大切なのか、あんまり考えた事がなかっただけみたいだ。

ミセ*゚ー゚)リ「それに、貞ちゃんはこれからの事もあるからね」

ミセ*゚ー゚)リ「大学卒業後の相談とかしてるんじゃないかな?」

ミセ*゚ー゚)リ「だから、普通の事だよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ヒーちゃんの事を嫌いになったわけじゃないの」

ノハ´兪)「ホントかー?」


04.

ミセ*゚ー゚)リb「ただ、ほんのちょっと忙しかっただけだよ」

ノハ´兪)「貞子、忙しかったのかー」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそう。まあ、それに、誰だってお母さんは大切だからね」

ミセ*゚ー゚)リ「ヒーちゃんだって、お母さん、貞ちゃんは大切でしょ?」

ミセ*゚ー゚)リ「前にお話したよね」

ミセ*゚ー゚)リ「ヒーちゃんのお母さんは貞ちゃんみたいなもんだって」

ノハ´兪)「……」

ノハ*゚听)「そうだったぁぁぁぁ!」

ノハ*゚听)「私も貞子がお母さんだぁぁぁぁ!」

ミセ*゚ー゚)リ「そうそう」

ノハ*゚听)「大切な家族なんだぁぁぁぁ!」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、それにね、家族は1人じゃないんだよ」


05.

ミセ*゚ー゚)リb「だから、貞ちゃんのお母さんも、
      ヒーちゃんにとって大切な家族なんだよ」

ノハ*゚ー゚)「うん、そうだなー」

ようやくヒーちゃんに笑顔が戻った。
やれやれ、仕方がないこととは言え、貞ちゃんもちゃんとヒーちゃんに説明しなきゃダメだぜ?

まあ、そういういちいち断るような遠慮が必要なくなるのも家族の良いとこなんだけどさ。
ヒーちゃんはまだ、色々とかまって欲しい年頃だ。
よくわからない事でも、話して上げさえすれば安心するのに。

貞ちゃんには厳重注意かな。
悪気があったわけじゃないだろうけど、その辺を少々不精してしまうとこが貞ちゃんには時々あったりする。

まあ、トソンみたいにいちいちブーンちゃんに話すのもどうかと思うけど。
あいつらは、ちとべったり過ぎる。

「──なのかー?」

ミセ;゚ー゚)リ「え?」


06.

ノパ听)「お? 聞こえなかったか?」

ミセ;゚ー゚)リ「ああ、ごめん、ちょっと別の事考えてた」

ノパ听)「そっかー。あのな、ミセリもおかーさんは大事なのかって聞いたんだぞ?」

ミセ;゚ー゚)リ「え? あ……」

おかあさんは……?

ノパ听)「?」

ミセ;゚ー゚)リ「そ、そりゃ大事だよ……お母さんは」

ノハ*゚听)「そっかー。やっぱりそうだよなー」

ミセ; ー )リ「うん……大事……」

お母さんは。


07.

ノハ*゚ー゚)「そうだよなー。ミセリもおかーさん大事にしろよー」

ミセ; ー )リ「うん……大事だもんね……」

お母さん。

・・・・
・・・

ミ*;д;)リ「おかーしゃん、おかーしゃん」

「あらあら、どうしたの、──ちゃん?」

ミ*;д;)リ「あたちね、あたちね」

「泣かないで、──ちゃん。何があったのか、お母さんにお話してみて」

ミ*うд;)リ「あのね、あのね」

「ゆっくりでいいからね、ほら、これで拭いてあげるから」

ミ*うд;)リ「あたち、すっごくこわい夢を見たの」


08.

「夢?」

ミ*うд;)リ「うん。夢の中でね、おかーしゃんがね、どっか行っちゃったの」

ミ*うд;)リ「あたちがね、おかーしゃん、おかーしゃんって呼んでも、
      お返事なかったの」

「そっかー、それは怖かったねー」

ミ*うд;)リ「うう……」

「でも、大丈夫よ、──ちゃん。お母さんはここにいますからね」

「ちゃんと──ちゃんのそばに」

「ちゃんと──ちゃんに聞こえるように名前を呼んであげますからね」

「ミセリちゃんって」

・・・・
・・・


09.

「──ちゃん」

ミセ*-、-)リ

「──ちゃん」

ミセ*-、-)リ ンム?

ζ(゚ー゚*ζ「ミセリちゃんってば!」

ミセ*う、-)リ「んあ?」

ミセ*う、゚)リ「デレ?」

ζ(゚ー゚*ζ「そーですよー、デレですよー?」

ミセ;゚ー゚)リ「ありゃ、私、寝てた?」

ζ(゚ー゚*ζ「それはもう、ぐっすりと」

ミセ;゚ー゚)リ「あらら、授業どうなった? てか、起こしてよ」


10.

ζ(´ー`*ζ「知らなーい。私も寝てたもん」

ミセ;゚ー゚)リ「ああ、そう……」

やれやれ、どうやら授業の大半を寝てすごしてしまったらしい。
今日はこの午後の授業だけだというのに我ながら何とも間抜けなお話だ。

最初に出席を取るけど、以降は緩い授業なので大丈夫ではあるのだけど、流石にどちらも寝てたのではノート、引いてはテストに影響が。
トソンと貞ちゃんは別の授業だし、ここは私らで何とかしなきゃならなかったのだが……

ミセ*-ー-)リ「まあ、いっか。帰ろうぜ、デレ?」

ζ(゚ー゚*ζ「そだね、帰ろっか」

デレと二人連れ立って講義室を出る。
今日も外は雨だ。

ミセ*゚ー゚)リ「今日の予定はどうすんの?」

ζ(゚ー゚*ζ「今日はお料理チャレンジの日かな」

ミセ*゚ー゚)リ「あらま、じゃあ、貞ちゃんのとこでも行くかな……」


11.

講義棟を出て、傘を広げる。
強めの雨が傘を叩き、軽い音を響かせる。

これは傘を差してても、家に辿りつくまでに結構濡れるだろうな。

ζ(´ー`*ζ「ざーんねーん、今日は貞ちゃんもトソンちゃんも私の家だよー」

ミセ;゚ー゚)リ「うえ? あいつらチャレンジャーだな」

となれば私も強制的にデレ宅で晩ご飯となるのだろう。
ならばこのままデレといっしょに帰るか。

ミセ;゚ー゚)リ「しっかし、ひどい雨だねー」

ζ(゚ー゚*ζ「季節柄、しょうがないんじゃないかな」

こういう時、車でもあれば便利だと思うが、私を始め4人とも免許は取っていない。
何となく、タイプ的に私が取るべき位置付けなような気もするから、取ろうかとは考え中。
私達の中では一番車にも詳しいだろうし、嫌いじゃない。


12.

ミセ*゚ー゚)リ「麗しき乙女2人、雨の中とぼとぼと歩いて帰ってるってのに、
      車で送ってくれるようなジェントルメンはいないものかね」

ζ(゚ー゚*ζ「タクシーでも拾う?」

ミセ*゚д゚)リ「そういう話じゃねーよ」

デレは誰といてもマイペースだ。
常に自然体とも言える。

ブーンちゃんやヒーちゃんといる時でもボケなのはどうかと思わなくもないが、それはそれで羨ましいと思う。
それでいてちゃんとツンちゃんの事も考えてるし、なんだかんだでしっかり、もしくはちゃっかりしているのかもしれない。

ζ(゚ー゚*ζ「今日は公園には誰もいないかな」

ミセ*゚ー゚)リ「朝から雨だったから流石にいないんじゃない?」

私達は公園には寄らず、そのまま坂を降って行った。
帰る前に買い物をすると言うデレに付き合い、商店街へ足を伸ばす。


13.

ζ(゚ー゚*ζ「これと、これと……あと、これもかな」

ミセ*゚ー゚)リ「結構買うのね。何作んの?」

ζ(゚ー゚*ζ「……何だっけ?」

ミセ;゚д゚)リ「うぉい!?」

ζ(^ー^*ζ「冗談だよ、冗談」

ミセ;゚ー゚)リ「デレが言うと冗談に聞こえないんだよ……」

ζ(゚ー゚*ζ「流石にちゃんと考えてるよ」

ミセ*゚ー゚)リ「んで、何作んの?」

ζ(´ー`*ζ「今日はデレスペシャルパート5(ファイブ)」

ミセ;゚д゚)リ「だからそれは何の料理だよ!」

dζ(´ー`*ζ「最初からクライマックスだよ」

ミセ;゚д゚)リ「意味わかんねーよ」

(;-_-)(うるさい客だなぁ……)

・・・・
・・・


14.

ミセ*゚ー゚)リ「ほれ、1つ渡しなよ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい」

ミセ;゚ー゚)リ「さり気なく両方渡そうとすんなよ」

買い物を終え、私達は帰路につく。
歩き慣れた道を、デレの部屋、マンション・ホワイトVIPを目指して歩き出す。

ミセ*゚ー゚)リ

何でもない道行が、私にとっては何気ない幸せなんだなとしみじみと思う。
この時は永遠じゃないけど、私らの仲は永遠だと信じたい。

ζ(゚ー゚*ζ「どしたの、ニヤニヤして?」

ミセ*-ー-)リ「べーつにぃ? 何となく、人生に感謝してたとこ」

ζ(゚ー゚*ζ「ふーん……」

   プニ
ミセ*゚ー゚((゚ー゚*ζ「えい!」


15.

ミセ;゚ー゚)リ「突然何? つーか雨で濡れるでしょうが」

ζ(-、-*ζ「べーつにぃ? 何となく、人生に感謝してみました」

ミセ;゚ー゚)リ「なんじゃそりゃ?」

ζ(^ー^*ζ「さあ? なんだろね?」

ミセ*゚ー゚)リ「……フフ」

ζ(^ー^*ζ「アハハハハ」

デレの行動は時々よくわからない。
でもきっと、デレも私と同じなのかなって思う。

きっと今が幸せで、今に感謝してるのだろう。
私と同じように。

ここで今、皆といっしょに毎日を送れている事に。


 〜 第四話 おしまい 〜

    − つづく…………べし? −   


第五話



01.

今日も雨。

ミセ*゚−゚)リ

つゆは梅雨とも黴雨とも書くらしいが、どちらかと言えば後者の方が意味合い的にはしっくり来る。
前者のようなすっきり爽やかな感じはしない。

梅がすっきり爽やかかどうかは置いといて。
でも、梅のサワーは割りとすっきりしてるから、イメージ的には正しいかとも思う。

今日は日曜、全国的に休日だ。
折角の休みも、こんな雨じゃどこにも出かける気はしない。

ミセ*゚−゚)リ

以前はこの部屋にいるのが苦痛で仕方なかった

借り物の、作り物の、知らない誰かの部屋。
そんな風にしか感じられなかった。

誰の為に、誰が用意した部屋だったのだろう。


02.

答えは知っているのに、その答えが間違っている気がしてならなかった。

強いて言うなら、1人暮らしを始めた大学生の為に親が用意した部屋。
そのモデルケースだ。

私の為に用意されたのではなく、用意したのも私の親ではない。
事実としては間違っているのだけど、答えとしては正しいと思っていた。

でもそれも、色々あってわかった事がある。
私自身も間違っていたのだと。

ミセ*゚ー゚)リ

1つは、私自身が何も言わなかった事。
もう少し、わがままとまではいかずとも、ちゃんと自分の考えを言うべきだったのだ。

少なくとも、いらないものはいらないと言った方が良かったと思う。
使うに当たっても邪魔だし、経済的な面からも使わないのに買うのはもったいない。


03.

もう1つは、入れ物は所詮入れ物だと言う事だ。
この部屋が誰かに用意された部屋であっても、使うのは私自身なのだ。

私がこの部屋を変えていけばよかったのだ。

もっと早くにあいつらを呼んで、もっと早く自分を知ってもらって……。

ミセ*-ー-)リ

私は、何に遠慮してたのだろうか。
私が何であれ、あいつらはあいつらだった。
もっとちゃんと、私は私のままでいて良かったのに。

あいつらを信じて。

私は、あいつらに申し訳ない事をしてたのだなと思う。

ミセ*-ー-)リ「……ごめんね」

面と向かって謝ったら、逆に怒られるだろう。
謝るような事じゃないとか。
謝るわけがわからんとか。

色々と、理由つけて怒られる。


04.

そんな風に色々あって、今はこの部屋も嫌いではなくなった。
時には誰かが訪れるくらいの、ごく普通の部屋になってきたと思う。

ミセ*゚ー゚)リ「ここが私の部屋」

胸を張ってそう言えるくらい、少しずつ私の匂いが染み付いてきた。
私がここにいる事に違和感がなくなって来たと思う。

そして

ミセ*-ー-)リ「ここが私の居場所」

私はここで、皆といっしょに生きているのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「……雨、止まないな」

ミセ*゚ー゚)リ グゥー

ミセ*゚ぺ)リ「お腹空いた……」

ミセ*゚ー゚)リ「もうすぐお昼か」


05.

ミセ*゚ー゚)リ「よし、お昼にしよう」

ミセ*゚ー゚)リ
 つ】 サッ

ミセ*゚ー゚)リ】「……」

ミセ*゚∀゚)リ】「お昼ご飯!」

ミセ*゚ー゚)リ】ブチッ

ミセ;゚д゚)リ】「速攻切りやがった!?」

ミセ*゚д゚)リ「あの野郎」
 つ】 ピッ、ピッ、ピッ

ミセ;゚д゚)リ】「もしもし、何でいきなり切るの!?」

ミセ;゚ー゚)リ】「いや、それは冗談だって。食べるけども」

ミセ;゚д゚)リ】「だからー……ああ、はいはい、あ、今日バイトだっけ?」

ミセ*゚ー゚)リ】「ブーンちゃんは? お留守番?」


06.

ミセ*゚ー゚)リ】「じゃあさ、こないだの件」

ミセ*゚ー゚)リ】「そうそう、それ。連れてってもいいかな?」

ミセ*゚ー゚)リ】「うん、わかった、サンキュー」

ミセ*゚ー゚)リ】「いや、いいって、私も楽しみなんだし。調子狂うから止め止め」

ミセ*゚ー゚)リ】「30分以内に行くからよろしくー」

ミセ*゚ー゚)リ】「んじゃ、また後でねー」

ミセ*゚ー゚)リ
 つ】 ピッ

ミセ*゚∀゚)リ「よし、お昼ご飯確保!」

ミセ*゚ー゚)リ「さて、出掛けますか」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、一応私の分もあれ持っていくかな……」

・・・・
・・・


07.

( ^ω^)「おー……何かごわごわするお」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと窮屈だったかな?」

( ^ω^)「窮屈じゃないお。でも、ちょっと変な感じがするお」

ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃんが来てたのは見てるよね」

ヽ( ^ω^)ノ「お! 知ってるお、これ、合羽っていうんだおね?」

ミセ*゚ー゚)リ「そう、合羽。レインコートとかも言ったりするよ」

( ^ω^)「オレンジ色のお洋服だお」

ヽミセ*゚ー゚)リノ「お揃いだね」

ミセ*゚ー゚)リ「本来こういうのは、視界の悪い時でも視認しやすいように
      明るめの色の方が良かったりするからね」

ミセ;゚ー゚)リ(まあ、ブーンちゃん達にはあんまり意味がないんだけど)


08.

ヽ( ^ω^)ノ「これなら傘がなくても大丈夫だお」

(;^ω^)「でも、ちょっと暑いお」

ミセ*゚ー゚)リ「うーん……夏場はちょっと鬱陶しいかもね」

トソンの家での昼食後、ビロード君の家庭教師に向かったトソンの了承を得、ブーンちゃんと雨の中の散歩に出かけた。
いつもは傘しか差してなかったブーンちゃんに合羽と長靴を着せ、のんびりと2人並んで歩く。

一応は雨の日の危険性とかをちゃんと話すつもりで連れ出したんだけど、その事自体はブーンちゃんもわかってはいるみたいだ。
ただ単に、外で遊びたい欲求が抑えられないだけなのかもしれない。

そうなってくると、私からはトソンが心配するから気を付けてぐらいしか言う事がなくなる。
実際、数日前の話にあった怒られて以降はちゃんと気を付けているみたいだ。

早々に目的を果たしてしまったので、仕方がないと言うか幸いと言うか、ただの散歩に切り替えこの時間を楽しむ事にする。

(〃^ω^)「アジサイさんがいっぱい咲いてるお!」

ミセ*゚ー゚)リ「雨にはアジサイってイメージがあるよね。梅雨と言えばこれって」

(〃^ω^)「いろんな色のアジサイさんがあるお!」


09.

( ^ω^)「お?」

ミセ*゚ー゚)リ「ん? どした?」

ヾ(〃^ω^)ノシ「カタツムリさんがいたお!」

ミセ*゚ー゚)リ「おお、ホントだ。意外と大きいな」
     ソッ…
( ^ω^)つ「お……」

(〃^ω^)つ「お! 引っ込んじゃったお! 面白いお!」

ミセ*゚ー゚)リ「でんでん虫だねー」

( ^ω^)「お? でんでん虫ってなんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「カタツムリの事をでんでん虫って呼んだりするんだよ」

( ^ω^)「おー。何ででんでん虫なんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「それはねー」


10.

dミ(゚、゚セリ「こうやって殻に入るから、そこから出よ出よ虫という事で
      でんでん虫って呼ばれるようになったのですよ」

(;^ω^)「それ、トソンの真似かお?」

ミセ*゚ー゚)リ「正解。よくわかったねー」

( ^ω^)「ちょっと似てたお」

ミセ*^ー^)リ「そりゃ嬉しい。まあ、いつも見てるからね」

トソンと違って結構適当なんだけどね。
大筋は間違ってないとは思うけど。

(〃^ω^)「お! また出て来たお!」

何にでも素直に反応するブーンちゃんにウソを教えるのはまずいので、その辺は一応気をつけている。
誰も訂正する人がいない時は冗談は自重する。

(〃^ω^)「これ、お目めなのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「確かそうだったはず。あんまり自信ないから、後で調べよっか」


11.

わからない事はわからないと言う。
最初は、保護者としてそれはどうなのかなってトソンに言った覚えあるが、トソンが言うには、私達だってブーンちゃん達と同じで、まだ勉強中なのだからと返された。

(〃^ω^)「お! わかったお」

ミセ*゚ー゚)リ「虫さんの図鑑ってあったっけ?」

トソンの答えは、トソンの性格を考えれば少し意外にも思えた。
でも多分、今のトソンらしい答えなんだろう事も理解出来た。

あいつはあいつで、出会った頃からだいぶ性格というか考え方は変化してきてる。
堅苦しさが緩和され、ちょっぴりいい加減な方向に。

誰の影響は言わずもがな。
一番はブーンちゃんだろうけど、それ以外にもきっと私ら全員のせいで。
以前よりは遊び心やら余裕やらが増えて、かなり取っ付きやすくなってる。

相変わらず冗談はわかり難いけども。

(〃^ω^)「あるお! 動物さんとお花さんとお魚さんと虫さん、
       それとお空とお天気のはあるお!」

ミセ*゚ー゚)リ「結構増えたねー。後ないものってなんだろ?」


12.

( ^ω^)「おー? うーんとだお……」

あいつは幸せだな。

そんな妬みに近い気持ちも、時々浮かぶ事がある。
一生懸命考え込むブーンちゃんの横顔を見ていると、やっぱり羨ましく思う。

私にないもの。
あいつにあるもの。

私とあいつ、どこに差があった、何て言うまでもなく、人に差なんて山ほどある。
上とか下ではなく、単純に違うものが。

当然、私にあるもので、あいつにないものだってあるのだ。

でも私は、あいつを羨ましいと思っている。
その気持ちは、ずっと消えないと思う。

同時に、感謝もしているが。

出会えた事に。
あの時、話を聞いてくれた事に。
あの時、言ってくれた言葉に。

そしてずっと、友達でいられる事に。


13.

(〃^ω^)「お星さまのがないお! 図書館で見たお!」

ミセ*゚ー゚)リ「天体図鑑かー。そう言えばないね」

思わず買ってあげようと言いたくなるけど、そんな簡単に買ってあげたらトソンに怒られるだろう。
何かしら、ブーンちゃんが良い事をした時や記念日とかでないと。

(〃^ω^)「トソンが今の漢字と算数のドリル終わったら
       ご本1冊買ってくれるって言ってたお」

ミセ*゚ー゚)リ「おー、もう約束済みか。しっかりしてるなー」

(〃^ω^)「おっおっお。お勉強がんばるおー」

ミセ*゚ー゚)リ「まあでも、お勉強はご褒美のためじゃなくて、
      自分のためにやんなきゃダメなんだぜ?」

(;^ω^)「お……、それ、トソンにも言われたお」

( ^ω^)「ちゃんと漢字覚えてるお。ご褒美は今回だけだお!」

ミセ*゚ー゚)リ「それなら良し」


14.

ミセ*゚ー゚)リb「まあ、今後もちゃんとがんばったら私からも何か
      プレゼントしてあげようじゃないか」

(〃^ω^)「ホントかお!?」

ミセ*゚ー゚)リ「トソンに怒られない範囲でね」

ミセ*゚ー゚)リ「本とかならトソンもうるさく言わないでしょ」

ヾ(〃^ω^)ノシ「お! ちゃんとお勉強がんばるお!」

喜んで飛び跳ねるブーンちゃん。
こらこら、雨の日はあんまり飛び跳ねたりしちゃダメだって教えたばっかだよ?

私はブーンちゃんに軽く突っ込み、また雨の中を歩き出す。
2人並んで、いつもはトソンがいるこの位置で。

ミセ*゚ー゚)リつ「さ、行こうか」

(〃^ω^)つ「お!」

私の差し出した手を、受け入れてくれるブーンちゃん。
手を出したのが私であろうがデレであろうが貞ちゃんであろうが、ブーンちゃんは握り返してくれるだろう。

それでもきっと、私はこの位置に憧れている。


15.

ミセ*゚ー゚)リ「でーんでん虫 むっし かーたつーむりー♪」

(〃^ω^)「それ、何のお歌だお?」

ミセ*゚ー゚)リ「カタツムリの歌だよ、知らない?」

私は、ブーンちゃんに歌の歌詞を教える。
トソンももうちょい子供向けの歌を聞いたりすればいいのにとは思うけど、その辺までは気が回らないのかもしれない。

まあ、あいつはあいつで自分が子供としての経験が不足しているとこもあるみたいだしね。
仕方ない部分もある。

(〃^ω^)「でーんでん虫 むっし かーたつーむりー♪」

ミセ*゚ー゚)リ「おー前の めーだまは どこにあるー♪」

(〃^ω^)ミセ*゚∀゚)リ「「つの出せ やり出せ あたまー出せー♪」」

私とブーンちゃんの歌声は、雨音にかき消される事なく私の中に響き渡った。


 〜 第五話 おしまい 〜

    − つづく…………てか話の帰結が見えない −   


第六話



01.

< ミセリ宅 >

(゚、゚トソン「それで、何を悩んでいるのですか?」

ミセ;゚д゚)リ「へ?」

これといって予定のない昼下がり。
外はまだ雨が降り続いている。

出歩くのも億劫だが、晩ご飯の確保には出なきゃダメかと考えてる所にトソンはやって来た。

ミセ;゚ー゚)リ「何の話?」

脈絡のない質問に慌てるのは自然な事だ。
だから、多少は狼狽して見えても不自然ではない。

たとえ私が実際に動揺してたとしても。

(゚、゚トソン「ブーンから聞きました」

ミセ;゚ー゚)リ「ブ、ブーンちゃんから?」

何だろう?
当然、あの雨の散歩の時だろうけど、ブーンちゃんに悟られるようなヘマしたっけ?


02.

確かに子供を鋭いとこあるけど、私はそんな心配させるような素振りは見せてないはずだが。
あの日は雨の日がいつもより危ないって事話して、アジサイ見て、お饅頭食べて、色々歩いたぐらいだよね。

私、どんな顔してたんだろ?

ミセ;゚ー゚)リ「えーっと……ブーンちゃんは何て?」

(゚、゚トソン「……」

ミセ;゚ー゚)リ「トソン?」

(゚、゚;トソン「あ、いや、その……ちょっと鎌をかけてみただけなのですが……」

ミセ;゚ー゚)リ「へ?」

(゚、゚;トソン「いえ、あまり自信なかったのですが、
      その……普段と少し違うような気がしたので……」

ミセ;゚ー゚)リ「!」


03.

ミセ;゚д゚)リ「ウソ?」

(゚、゚;トソン「ええ、ブーンは何も」

ミセ;-д-)リ「お前は……」

やりやがった、チクショー。
私とした事が、こうも簡単に引っ掛けられるとは……。

トソンは申し訳なさそうにこちらの様子を伺う。
自分で引っ掛けたくせに意外そうな顔をするなと言いたい。

(゚、゚トソン「何かあるような気もしたのですが、
     私の勘だけでは皆納得しないでしょう?」

トソンは直接聞かなかったわけをそう説明した。
ブーンちゃんを出汁にするのはどうかと思うが、確かにそちらの方が信憑性は沸く。

しかし……

ミセ;゚ー゚)リ「まあ、それは否定しないけどさ……」


04.

ミセ;゚ー゚)リ「でも、流石に付き合い長いんだし、トソンが気付いたとしても
      不思議はないんだからそういう引っ掛けるようなのは止めてね」

まあ、そう聞かれて根拠が勘のみなら多分誤魔化すだろうけど。
それでも、そうやって心配してもらえて、気付いてもらえるのは嬉しい。

ただ、あまり余計な心配はかけたくないし、自分でも他人に話せるほど整理が付いていないからまだ話したくなかっただけなのだ。

そんな事を言うと、トソンはきっと友達を心配するのは余計な事ではないとか、誰かに話す事で整理が付くとか言ってくるのだろう。

d(゚、゚トソン

案の定、畳み掛けるように相談の正当性を主張して来た。
私が正論でこいつに勝てるとは思えない。
屁理屈も込みで。

ミセ;-へ-)リ「いや、だからね、もうちょい待ってくれって言ってんの」

(゚、゚トソン「あなた1人で考えても、ろくな事にならないのは
     わかってるでしょう?」

ミセ;゚ぺ)リ「失礼な。ちゃんと考えられるさ」


05.

(゚、゚トソン「……ご家族の事ですか?」

ミセ*゚−゚)リ「……ん、まあ、それもある」

でも、それだけじゃない。
家族の事、そして将来の事。
皆の進む道の事、私自身が進む道の事、そして……離れ離れになる事。

私が……また独りになる事。

(゚、゚トソン「……」

ミセ*゚−゚)リ「……」

、(-、-トソン ハァ……

(゚、゚トソン「わかりました。今は深く詮索しません」

ミセ*゚−゚)リ「うん、ありがと」

(゚、゚トソン「でも、どうしようもなくなったら……」


06.

(゚、゚トソン「いえ、どうしようもなくなる前に私達に相談してくださいね」

ミセ*゚−゚)リ「うん……」

ミセ*゚ー゚)リ「わかってるよ、相談する。きっと。絶対」

(゚ー゚トソン「それならいいのですよ」

トソンがようやく口元を緩めてくれた。
これで今日の所はこの話をお仕舞にしてくれるのだろう。

全くもってお節介だな、トソンは。
いつもいつも……有難い。

そう、有難いのだ。

私は、ずっとこうやって誰かに構って欲しかったのだ。
最近やっと、それがわかった。

あの日からずっと、私は独りだったから。

あの日……お母さんが亡くなった日……

・・・・
・・・


07.

< 庶凡屋 >

(´・ω・`)「雨だとね、移動販売に行けないんだよ」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、そうでしょうね」

(´・ω・`)「いや、行けない事もないんだけど、行った所でお客さんがいないんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「あまり出歩かないし、屋根のないとこで買い物もなんですからね」

(´・ω・`)「訪問販売は流石に出来ないからね」

ミセ*゚ー゚)リ「お得意さんに納品するみたいな感じならありそうですが」

今日も雨。
私とデレだけが先に授業が終わり、デレは部屋に、と言うかツンちゃんのとこに戻ったので私はショボンさんのお店まで足を伸ばしていた。

これといって用事があったわけじゃないけど、ちょっと小腹が空いたのと、トソンの家を訪問する前に手土産でも仕入れようかと思ったからだ。

(´・ω・`)「なるほど。薬みたいに常備してくれるご家庭とかあれば……」

ミセ;゚ー゚)リ「流石にそんなに日持ちがしないものですから、それは……」


08.

(´・ω・`)「となると、日持ちのするショボン饅頭を作ればあるいは……」

ミセ;゚ー゚)リ「生物ですよね?」

相変わらず飛躍的に斜め上の発想をするショボンさん。
こと饅頭にかけては、あらゆる可能性を追求し、貪欲にひた向きに改良を重ねる。

対象はともかく、物事に向かうその姿は見習うべきものかもしれない。

(´・ω・`)「フリーズドライショボン饅頭とかどうだろう?」

ミセ;゚ー゚)リ「お湯で戻すんですか?」

まあ、方向性があれなんで、どう考えても憧れたりとかは出来ない。
この人は本当に饅頭の事ばかりだ。

ある意味仕事中毒なのだろう。

この人に子供が出来たら、どんな親になるのだろうか。

子供を顧みない親になるのかな。

あの人みたいに……


09.

(´・ω・`)「うーん……流石に厳しいね」

ミセ*゚ー゚)リ「一旦乾燥させちゃったら、色んなものがなくなりそうですよ」

(´・ω・`)「そうだね。こちらとしても、わが子同然のショボン饅頭は
      一番美味しい食べ方で食べて欲しいしね」

いや、この人はきっと子煩悩なお父さんになりそうだ。
いつもいつも、饅頭を我が子のように愛情たっぷりに扱っている。

普段のショボンさんを見ていれば、それはよくわかる。

ミセ*゚ー゚)リ「ショボンさんは、ご結婚とかされないのですか?」

(;´・ω・`)「え? 何、突然?」

ミセ*゚ー゚)リ「いえ、特に深い意味はないんですが、
      大体の女の子はこういう話が好きなんですよ」

(;´・ω・`)「うん、まあ、するしないの前に相手がいる話だからね」


10.

ミセ*゚ー゚)リ「ペニサスさんですか?」
    ブフーッ!
(;´゚ω゚`) .・。 ’

ミセ;゚д゚)リ「うぉ!?」

(;´・ω・`)「え!? いや、え? その、何で……」

ミセ;゚ー゚)リ「何でって……そんなの見てればわかりますよ」

(;´・ω・`)「そ、そうなの? 勘がいいね、ミセリちゃんは……」

ショボンさんはそう言うが、この件に関してはあのトソンですら気付いてるくらいだ。
傍から見ればバレバレだ。

しかし、バレても誤魔化そうとしない辺りは男らしい人だな、ショボンさん。

折角だから、どういった経緯でそうなったのかとか聞いてみたいと思う。
乙女の好奇心の赴くままに。

(;´・ω・`)「まあね、昔馴染みでね、気付いたらいつの間にか……ってパターンかな」


11.

年齢よりだいぶ落ち着いた印象を受けるショボンさんと、年甲斐なくはっちゃけるペニサスさん。
性格からすれば正反対だが、見た感じ仲は良い。

どちらかと言えば兄妹か、悪友のそれだけど。

(;´・ω・`)「ああ、確かにね。妹みたいに思える時があるね」

ミセ*゚ー゚)リ「時々ショボンさんの方が弟に見える時もありますけどね」

(´・ω・`)「ハハハ、まあ、ぺ二ちゃんはああいう性格だからね」

ペニサスさんは姐御肌で世話焼きなとこがある。
対して、同じ世話焼きでも一歩引いて陰ながらフォローしてくるようなタイプのショボンさん。

時にしっかりものの姉と、おっとりした弟に見える場合がある。

ミセ*゚ー゚)リ「んで、アタックとかされないんですか?」

(;´・ω・`)「え、いや、その、そういうのは、その」

ヾミセ*>ヮ<)リノシ「そこんとこどうなんですか? どうなんですか?」


12.

(;´・ω・`)「え……いや、その、僕はあんまりそういったタイプじゃ……」

ミセ*゚3゚)リ「えー? タイプとかそういう話じゃないでしょー?」

(;´・ω・`)「それに、その……」

(´・ω・`)「あの時、僕は彼女の何の力にもなってあげられなかったからね」

ミセ*゚−゚)リ「あの時……ドクオさんの?」

(´・ω・`)「うん……」

ミセ*゚−゚)リ「……そうでしたか」

少しはしゃぎ過ぎたかもしれない。
女の子にとって、他人のコイバナは大好物だからしょうがないと言えばしょうがないが、ショボンさんの事情は多少複雑だったようだ。

でも……


13.

ミセ*゚ー゚)リ「でも、それなら、ペニサスさんがまたドクオさんを
      見えるようになればいいんですよね?」

(;´・ω・`)「え……いや、まあ、そんな簡単な話じゃないけど……でも……」

(´・ω・`)「そうだね、そうなったら、少しは昔の様に話せるかもしれない」

傍目に仲が良いように見えるが、それでも昔よりぎこちないらしい。
ドクオさんの事が片付けば、昔の事も自然に話せるようになって、そのぎこちなさもなくなるのだろう。

ミセ*゚ー゚)リ「だったら、早いとこドクオさんの事を片付けなきゃですね」

(´・ω・`)「うん、そうだね。僕もちょっとドクオ君と話してみるかな」

これは2人の問題だからと、ペニサスさんともドクオさんともこの2人の話をすることは避けていたらしい。
そういうとこは男としてはダメな気がするが、心を入れ替えたなら突っつく必要もないかな。

好きな人の為には、そういう物分りの良い態度だけでなく、時に形振り構わず突っ走って欲しいと思う。
まあ、ショボンさんは恋愛偏差値低そうだからしょうがないだろうけどね。

じゃあ、お前はどうなんだとか言わないように。


14.

(´・ω・`)「でも、どうするかな……どうやったら片付けられるんだろ」

ミセ*゚ー゚)リb「粗大ゴミシール貼って決められた日に出すとか」

(;´・ω・`)「そういう片付け方じゃないからね」

ミセ*゚ー゚)リ「冗談ですよ」

話を振っておいてなんだけど、ドクオさんの事に関してはあんまり心配していない。
多分そう遠くない内に、解決するんじゃないかと思う。

あの2人は、互いに歩み寄っている。
私はそれをずっと見て来た。

最初はお互い意地を張っていたけどね。

元々、お互いを大切に思っている2人だ。
自分に正直になれれば、きっといつか見えるはず。

そしてショボンさん。
今、自分から関わっておかないと、これからもずっと後悔すると思う。

昔、力になれなかった事を後悔しているのなら、今が取り戻すチャンスだ。


15.

ミセ*゚ー゚)リ「取り敢えず、あの試作品の甘さを緩和出来ればドクオさんから
      感謝されると思いますよ」

(;´・ω・`)「がんばってるんだけどね……」

(;´・ω・`)「僕がうるさいのと、ドクオ君が感想を伝えないのとで、
      未だ試作品止まりだってぼやかれてるよ」

ミセ*゚ー゚)リb「じゃあ、それを完成させましょうか」

ミセ*゚ー゚)リ「ドクオさんから感想聞いて、改良案をそれとなく示唆」

(´・ω・`)「なるほど、良いかもね」

雨の午後、私とショボンさんは色々とアイデアを出し合って話し合った。
これからの、ショボンさん達の未来の事を。

希望に溢れる、私よりもずっと大人の人達の未来を。

未来が過去を拭える事を願って。


 〜 第六話 おしまい 〜

    − つづく …………線路はどこまでも脱線 −   


第七話



01.

< 貞子宅 >

ミセ*゚∀゚)リ「おかわり!」

ノハ*゚听)「私もおかわりだぁぁぁぁ!」

川ー川「はいはい、ちょっと待ってね」

貞ちゃんは私とヒーちゃんの茶碗を受け取り、ご飯をこんもりとよそう。
私とヒーちゃんのキャパをよく理解しているようだ。

まあ、ここでこうやって食事するのも数えられないくらい多いしね。

ミセ*゚ー゚)リ「この鶏天ぷら、美味いねー」

私はそう言いながら、差し出された茶碗を受け取る。
鶏の胸肉に大葉を巻いた天ぷら。
一見さっぱりして見えるが、中には少々工夫が凝らされていた。

川д川「ちょっと色々巻いてみたんだけど、どうだった?」

ノハ*゚听)「チーズのやつが美味かったぞー!」

ミセ*゚ー゚)リ「私は梅かな。ほど良いアクセントだった」


02.

まあ、どれも美味しいんだけど、と言葉を続けると、ヒーちゃんも大きく頷く。
それを見た貞ちゃんは、満面の笑顔を浮かべ、ありがとうと言ってきた。

礼を言うのはこちらの方なんだけどね。
こんな美味しいものを食べさせてくれて。

川ー川「自分が作った料理を美味しいと言ってもらえる事は
    すごく嬉しいからね。お礼も言いたくなるんだよ」

ノハ*゚听)「貞子の料理はいつも美味しいぞー」

川*ー川「ありがとう、ヒートちゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「しっかし、貞ちゃんはすごいよね」

川д川「え? 何が?」

ミセ*゚ー゚)リ「料理。これ、普通にお金取れる出来だよ」

川*д川「そ、そんな事ないよ。流石にこれじゃまだまだダメだよ」

貞ちゃんは焦ったように否定するが、味だけを見れば多分商売になる出来だ。
商売にするには手間やコストなど、色々考えなければならない点は多々あるから、そう簡単にはいかないだろうけど。


03.

川д川「うん、そうだよね。お店をやるんだったら、
    そういうのも色々考えなきゃダメなんだよね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、でも、まずは料理自体の腕がなきゃ、だからね」

そういった点から見れば、やはり貞ちゃんの将来は安泰な気がする。

川*д川「そうかな? そう言われるとお世辞でも少し嬉しい」

ミセ*゚ー゚)リ「私がお世辞でそんなこと言うわけないのはわかってるでしょ?」

私達の中では一番早くから未来設計図を描いていた貞ちゃん。
料理屋をやっているご両親の仕事を間近で見てきて料理に興味を持ったと言う。

貞ちゃんは両親が大好きで、とても尊敬しているみたいだ。
それはこれまでの付き合いでよくわかった。

何と言うか、羨ましい。
両親の事、家庭の事、色んな事が私には羨ましい。


04.

ノハ*゚听)「貞子がお店をやるなら私も手伝うぞー」

ミセ*゚∀゚)リ「お、早くも従業員ゲット。こりゃ幸先いいね」

川ー川「ありがとう、ヒートちゃん」

川ー川「もしそんな日が来たら、いっしょにがんばろうね」

ノハ*゚ー゚)「おー! いっしょにがんばるぞー!」

ミセ*゚ー゚)リb「じゃあ、今の内からお手伝いの練習しとかなきゃね」

ノハ*゚听)「そーだなー。毎日お皿洗うぞー!」

川ー川「よろしくね、ヒートちゃん」

ノハ*゚ー゚)「任せろー、貞子ー。これも修行の一環だー!」

ミセ*゚ー゚)リ

2人の未来は、ちゃんと道が出来ているんだと改めて思う。
私にはまだ見つけられていないそれを。

・・・・
・・・


05.

< ミセリ宅 >

( ^ω^)「おー……」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

( ^ω^)つ ソッ

ミセ*゚д゚)リ「まだだよ、ブーンちゃん」

ミセ*゚ー゚)リ「時計見て。ほら、あと1分」

( ^ω^)「お、10分からだったおね、ごめんお」

ミセ*゚ー゚)リ「もうちょいもうちょい……」

( ^ω^)「おー……」

ミセ*゚ー゚)リ「10、9、8、7……」

( ^ω^)「6、5、4……」

ミセ*゚ー゚)リ「3、2、1、はい!」


06.

( ^ω^)つ「お!」

ミセ*゚ー゚)リ「いよっし、ざるに上げるよ!」

( ^ω^)「お、湯気がすごいお!」

ミセ*゚ー゚)リ「んーっと、堅さはどうかなー?」

( ^ω^)「柔らかいお」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、アルデンテ!」

ヾ(〃^ω^)ノシ「あるでんてだお!」

(〃^ω^)「あるでんてってなんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「パスタの丁度良い茹で加減って事だよ」

ヾ(〃^ω^)ノシ「おー! あるでんて出来たお!」

ミセ*゚ー゚)リ「これを、作っておいたミートソースに絡めて……」

・・・・
・・・


07.

ミセ*゚ー゚)リ(〃^ω^)「「「いっただっきまーす(お)」」」(゚、゚トソン

ミセ*゚ー゚)リ「さ、食べてみてよ」

(〃^ω^)「食べてみてお!」

(゚、゚トソン「ええ、頂きますね」

(゚〜゚トソン ツルツル

(゚、゚トソン

(゚ー゚トソン「美味しいですね」

ミセ*゚∀゚)リ(〃^ω^)

(゚、゚トソン「初めてにしては中々のものですね」

ミセ*゚ー゚)リ「へっへーん、私にかかればパスタぐらいちょちょいのちょいだよ」

ヾ(〃^ω^)ノシ「ちょいちょいだお!」


08.

(゚、゚トソン「まあ、誰でも出来る料理ですけどね」

ミセ*゚д゚)リ「んなこと言うなよ。折角私とブーンちゃんががんばったのに」

( ^ω^)「がんばったお」

今年の梅雨は本当に雨が多い。今日も外は雨だ。
例によってトソンは家庭教師で、私が時間に余裕があったから、今日は家で晩ご飯を作る事にして2人を招待してみた。
まあ、でも、何を作るか迷っている内に2人が来ちゃったんで、トソン先生に指導を仰ぎながらブーンちゃんと2人でパスタを作る事になった。

本当は私1人だったんだけど、折角だからブーンちゃんも誘ってみた。
私の部屋の方がキッチンも広いし、いっしょに作業するには向いている。

トソンは少し驚いた様子でブーンちゃん次第だと言ったが、ブーンちゃんは快く引き受けてくれた。
トソンもまだブーンちゃんに火のそばでの作業とかはやらせた事なかったみたいで、随分と心配して背後をうろうろしてたけど、そんな危険な事はさせないっての。
ブーンちゃんはそんなトソンの心配は余所に、おっかなびっくりながらもお湯にパスタを入れたり作業をちゃんとこなしてくれた。

うん、やっぱり1人で作業するよりは楽しかった。

(゚、゚トソン「……」


09.

ミセ*゚ー゚)リ「?」

ふと気付くと、何か言いた気なトソンの視線を感じた。
まあ、大体言いたい事はわかる。

何で私が珍しく料理を作る気になったか。
何でブーンちゃんに手伝わせたか。
そんなとこだろう。

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンちゃん、自分で作ったパスタの味はどうかな?」

(〃^ω^)「美味しいお! いっぱい食べられるお!」

(゚ー゚トソン「ブーンにはいい経験になりましたね。ありがとう、ミセリ」

ミセ*゚д゚)リ「礼を言うような事じゃないでしょうが」

ミセ*゚ー゚)リ「私が手伝ってもらったブーンちゃんにならともかく」

いちいち細かいと言うか、几帳面と言うか。
私が何かしら自分の都合でブーンちゃんに手伝ってもらった事はトソンも気付いてはいるのだろう。
それでもこいつは礼を言う。そういうやつだから。

私を信用してくれているから。

・・・・
・・・


10.

食事が終わり、後片付けも済んだ頃、トソンはブーンちゃんに聞こえないぐらいの声量で私に聞いてくる。

(゚、゚トソン「それで、今日は?」

ミセ*゚ー゚)リ「特に意味はないようなあるような」

(゚、゚トソン「何ですか、それは?」

厳密に言えば意味はない。
何となく、気まぐれに近いものがある。

いつも通りの話だ。
1人は寂しい、ただそれだけの事なのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「トソンはさ、大学卒業したらどうすんの?」
つ^ω^) オッ?

私は、内緒話を打ち切るようにブーンちゃんを捕まえて膝の上に乗せる。
そしていつかは聞いておきたかった質問をぶつけてみた。

(゚、゚トソン「卒業後ですか? そりゃまあ、先生を目指しますけど……」

ミセ*゚ー゚)リ「具体的にはどこで?」


11.

(゚、゚トソン「場所ですか? 正直な話をすれば、全くの未定ですね」

未定とは言え、やはり現実的になれそうなのは地元かこの辺りの2択のようだ。

(゚、゚トソン「少子化や不況などの影響もあり、中々狭き門になってますからね」

ミセ*゚ー゚)リ「確かに大変そうだね」

ミセ*゚ー゚)リ「でも、そんなの関係なしに目指すんでしょ、先生?」

(゚ー゚トソン「ええ、それが私の夢ですからね」

(〃^ω^)「大丈夫だお! トソンは絶対先生になれるお!」

私の膝の上で大人しく話を聞いていたブーンちゃんは、トソンの言葉に弾かれたように立ち上がり、トソンのそばへトテトテと走っていった。

夢見。

その言葉の意味は、トソンやペニサスさんから聞いた。
ハローさんも独自にその起源を調査したりもしているらしい。


12.

言葉の意味はさて置き、ブーンちゃんは夢という言葉に強く反応する。
元々の性質に加え、トソンから夢を叶える事の素晴らしさを教えてもらい、後押ししてもらって夢を叶えて来た経験がある。

そして今度は、ブーンちゃんは新しい夢を叶えると共に、トソンの夢を全力で応援している。
それは見ていてとても微笑ましい姿で、同時にすごく羨ましい。

夢を応援してもらえるトソンが。
夢があるトソンが。

(〃^ω^)(゚ー゚トソン

私にも夢はあるし、なりたいものもいくつか考えている。
でも、何になるかは決めかねているし、夢の方はこのままでは叶わない気がしてる。

このまま、何の心の整理もつかないまま、独りになってしまったら。

きっとずっと、幸せな未来は作れない。

ミセ*゚−゚)リ


13.

(゚、゚トソン「あなたはどうするのですか? やはりご実家の……」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、あれは止めた」

(゚、゚トソン「そうなのですか? 何故──」

ミセ*゚ー゚)リ「あれはただの妥協だからね」

ミセ*゚ー゚)リ「考えるのを避けた結果に過ぎなかったの」

(゚、゚トソン「ですが、同じ会社にいれば多少は……」

ああ、そういう気の回し方するのか。
まあ、確かに、お父さんの会社に入れば少しは会話の機会も増え、関係もちょっとは改善されるかもってのは考えた。

でも、そんな理由で将来を決めていいのかなって思ってしまったのだ。
皆といっしょに毎日を過ごしていて、皆の姿を見ていて。

嬉しそうに皆の為に料理を作る貞ちゃん。

先生になる為、毎日沢山の授業に出てがんばってるトソン。

デレは……何やってたっけ? 兎に角毎日楽しそうなデレ。


14.

家族の仲を良くしたいってのは大前提にある。

でも、それは私自身がやりたい事、この場合は仕事としてのだが、それとは違う。

私は、私自身のやりたい事を見つけて、自分を確立したいのだ。

ミセ*゚−゚)リ(……ああ、そういう事か)

私はようやくそれに気付いた。

私が羨んでいたのは、トソン達にだけブーンちゃん達がいることだけではない。
ブーンちゃん達といっしょに、自分の夢を、将来なりたいものを見つけられた事を羨んでいたのだ。

ノミセ*>д<)リヾ「ああ、もう!」

私は自分の両頬をパァンと勢いよく叩いた。

(゚、゚;トソン「ど、どうしました、突然?」

(;^ω^)「どうしたんだお?」

ミセ#゚ぺ#リ「虫がいた」


15.

(゚、゚;トソン「いや、虫って……」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、それはいいから」

ミセ*゚ー゚)リ「それよっかさ、就職ガイダンスっていつあるか知らない?」

(゚、゚;トソン「それもまた突然ですね」

( ^ω^)「おー? がいだんすってなんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「ダンス、踊りだよ」

ヾミセ*゚ー゚)リノシ「こんな感じで」

(゚、゚;トソン「ミセリ、ウソは……って踊り出さないでください」

ヾ(〃^ω^)ノシ「おー! 楽しそうな踊りだお!」

まずは動こう。柄にもなく、悩み過ぎた。
私は私の何かを、私の道を見つけなければならない。
がんばってる皆に、負けないように。

ヾミセ*゚ヮ゚)リノシ「「レッツ、ダンシング!」」ヾ(〃^ω^)ノシ

(゚、゚;トソン「わ、私は踊りませんからね?」


 〜 第七話 おしまい 〜

    − つづく …………何とか十話以内に −   


第八話



01.

< 大学からの帰り道 >


ミセ*゚ー゚)リ「あーいあいがさのところ♪」

(゚、゚;トソン

ミセ*゚ー゚)リ「みぎかさにだれがやどる♪」

(゚、゚;トソン

ミセ*゚ー゚)リ「あなたであるようにのぞみたくして♪」

(゚、゚;トソン

ミセ*゚ー゚)リ「ん? どしたの? 苦虫噛み潰したような顔して?」

(-、-;トソン「あなたのはしゃぎっぷりについていけなかっただけですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「雨なんだから、ちょっとは明るくしてないと気が滅入るっしょ?」

(゚、゚トソン「だからといって、歌いながら傘を振り回す必要はないでしょう?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ? 濡れちゃった? ごめんね」


02.

相も変わらず雨。
この長雨はいつ晴れる事やら。

今日は珍しく、完璧超人のトソンが傘を忘れて大学に来るという珍事があったので、1つの傘でいっしょに帰ってる最中だ。
午前中は降っていなかったとは言え、ホントに珍しい。
そんなに強い降りではないものの、流石に大学からトソンの部屋まで傘を差さずに帰ったらずぶ濡れだろう。

ちなみにデレはツンちゃんとの約束で図書館へ行っている。

(-、-トソン「どうせ帰るだけですから、濡れるのは構わないんですけどね」

本人曰く、風邪は引きたくないらしい。
まあ、そりゃそうだ。

ちょっと含みのある発言だったような気もするけど、気にしないでおこう。

ミセ*゚ー゚)リ「どうすんの? 買い物していくの?」

(゚、゚トソン「私の家で晩ご飯食べる気満々ですよね?」

dミセ*>ヮ<)リb「そりゃ、もちろん!」


03.

(゚、゚トソン「……まあ、今日は文句を言える立場でもないですが」

と言いながら文句を言うトソン。
どんな立場だろうが文句言うよね、トソンは。

でも、文句を言いつつもどんな立場だろうが色々取り計らってくれもする。

ミセ*゚ー゚)リ「よし、じゃあ、商店街へゴー!」

(゚、゚トソン「その前に1度部屋に寄って傘を取って来たいのですが」

ミセ*゚ぺ)リ「えー? 別にいじゃん、これで」

わたしはそう言ってわざとらしく頬を寄せる。

ミセ*゚ー゚)リ)゚、゚トソン

トソンはこの手のスキンシップはどちらかと言えば苦手な方だ。
何とも居心地の悪い表情を浮かべるのが面白い。
それでも、出会った当初よりはだいぶマシになったんだけどね。

ブーンちゃん達には自分から行ったりするし。


04.

(゚、゚トソン「必要以上に密接しないでください」

(゚、゚トソン「我々が必要以上に寄ると、ある種風当たりが強くなるのですよ?」

ミセ;゚д゚)リ「何の話!?」

ここはブログだから別にいいのでしょうがと続けるトソン。
時々こいつは私のわからない次元の話をする事がある。

わかってる時もたまにあるけど。

ミセ*゚ー゚)リ「で、どうすんの?」

(゚、゚トソン「まあ、大して長い時間でもないですから」

私達は2人は1つの傘の中、肩を並べて商店街へ向かう。

歩き慣れた道を、2人で。

・・・・
・・・


05.

< スーパー・小森 >

(゚、゚トソン「ジャガイモはこれでいいですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「ピーマンは止めといてあげようぜ?」

(゚、゚トソン「子供にはこの苦味の良さはまだ早いですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「トソンだって子供の頃はピーマン嫌いじゃなかった?」

(゚、゚トソン「これといって苦手意識はなかったですね」

ミセ*゚ー゚)リ「ありゃま」

ミセ*゚ぺ)リ「私はちょっと苦手だったなー」

(゚、゚トソン「そうなのですか?」

(゚、゚トソン「てっきり小さい頃から好き嫌いはないものかと」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、小さい頃は色々苦手なものあったよ」


06.

ミセ;゚ー゚)リ「苦かったり、酸っぱかったりは苦手だったなー」

ミセ*-ー-)リ「まあ、でも、中学ぐらいには大体食べられるようになったよ」

(゚、゚トソン「そうですか……」

気付いたのかな、こいつは?
それっきり沈黙を保つトソン。

どっちだろう?

年をとるにつれて、苦手なものが食べられるようになるなんて話は普通のごく事だ。
私に限った事ではない。

時には、ずっと苦手なものも残るだろうけど。
トソンの牛乳みたいに。

私は、何も残らなかった。
残せなかったのかな。

好き嫌いさえ、言うのを遠慮する内に、何でも食べられるようになったみたいだ。


07.

(゚、゚トソン「魚がいいですかね?」

ミセ*゚ー゚)リ「この季節にしては安いね。塩焼きに大根おろしとか良くない?」

(゚、゚トソン「いいですね。大根はありましたかね」

ミセ*゚ー゚)リ「大根も安かったよ。それ見ての提案だし」

(゚、゚トソン「目敏いですね。では、ちょっと持ってきてもらえますか?」

ミセ*゚ー゚)リb「オッケー」

(゚、゚トソン「それと、ついでに話したいことがあるなら話してください」

ミセ*゚ー゚)リ「……え?」

(゚、゚トソン「この後でいいですから」

ああ、やっぱり気付いてたのか。
うん、そう。
話したいことがあったから、付きまとってみたんだ。

時々妙に鋭いよね、普段はこういうの鈍いくせに。
時々、家族や友達の事には妙に。

でも……


08.

ミセ*゚ー゚)リ「……大根のついでってのはないんじゃない?」

(゚、゚トソン「美味しいですよ、大根」

(゚、゚トソン「焼き魚に大根おろしは重要なファクターです」

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*-ー-)リ プッ

ミセ*゚ー゚)リ「そりゃ確かに」

ミセ*゚ー゚)リ「とっても大切な事だわ」

(゚、゚トソン「それじゃあ、お願いしますね」

ミセ*゚ー゚)リノ「あいよ」

大事な事で、些細な事。
ごく当たり前の事なのだ。

友達が友達に相談する事なんて。


09.

ミセ*゚ー゚)リ「ほい、大根」

(゚、゚トソン「ありがとう」

(゚、゚トソン「後は……甘味ですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「いいねぇ」

・・・・
・・・

< 庶凡屋 >

|ω・`)

(゚、゚トソン「それで、今日は何ですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、まあ、この間言い掛けた事」

正確には、トソンに引っ掛けられてバラしそうになった事だ。


10.

私達は、買い物を終え、ショボンさんのお店に来ていた。
ちょっと真面目な話があるから、2人だけにして欲しいと断り、奥のスペースに座った。

隅の方に見切れてる人がいるけど、小声で話しているのであそこまでは聞こえないだろう。
ショボンさんも心配してくれているのだろうから、好きにさせておこう。

(゚、゚トソン「ご家族の事と……それと……」

ミセ*゚ー゚)リ「恋愛相談」

(゚、゚トソン「──は、ないとして」

ミセ*゚д゚)リ「失礼だな」

他人のことは言えないくせに失礼なやつだ。
まあ、私もトソンも、どっちかと言えば今の皆でわいわいやるので満足してるから、そういうのは割とどうでもいいんだけどね。

いや、ホントに。言い訳じゃなくてだね。

(゚、゚トソン「それで……」


11.

ミセ*゚ー゚)リ「進路相談、かな?」

私は、トソンや貞ちゃん達皆が、ちゃんと自分の進むべき道を見つけられているのに自分だけまだ見つかっていない事を話した。
自分が何になりたいのか、漠然としか見えず、そのどれも違うような気がしている事も。

(゚、゚トソン「……それだけではありませんよね?」

ミセ*゚−゚)リ「どうしてそう思うのかな?」

(-、-トソン「それだけなら、相談するのに悩まないでしょ?」

ご家族の事はともかくと、トソンは言葉を続ける。
うん、やっぱり気付かれたか。

ミセ*゚−゚)リ

私はまだ、あの事を話していいのか迷っている。
黙っている方が後から怒られるのはわかっているけど、話した所でどうしようもない話なのだ。

それどころか、話す事で皆に負担をかける可能性もある。
もちろん、そんな事は口にしないだろうけど、皆、心のどこかで気にしてしまうだろう。

私は──


12.

(゚、゚トソン「同じ事を何度も言うつもりはありませんが……」

ミセ*゚−゚)リ「うん、ごめん、まだちょっと迷っててね……」

(-、-トソン「私でダメなら、デレや貞子、話して気が紛れるならブーン達でも
     いいですから、あまり1人で考え込み過ぎないでください」

ミセ*゚−゚)リ「いや、話すなら多分、トソンが一番適任だよ」

ううん、違う。

ミセ*゚ー゚)リ「トソンに聞いて欲しい」

性格とかそういうんじゃなく、私がトソンに聞いて欲しいのだ。

友達として。

そして──


13.

(゚、゚トソン「わかりました」

(゚、゚トソン「ですが、これだけは言っておきます」

(゚、゚トソン「私達は何であれ、あなたがどうであろうと──」

ミセ*゚ー゚)リ「友達、だよね」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、わかってる」

(゚ー゚トソン

私達は、顔を見合わせて微笑んだ。
トソンはほんのちょっと口の端を緩めただけだったけど、笑っていたのはわかっている。

私は、1つ息を吐き、アイスグリーンティーに刺さっているストローを銜えた。
ストローを、深い緑色の線が上っていく。

|ω・`)

(゚、゚トソン「すみません、おかわりもらえますか?」

ミセ*゚ー゚)リ「あ、私も」

|ω・`) !


14.

未だこちらに心配そうな視線を向けるショボンさんに、お茶のおかわりを注文する。
てか、心配してもらっていてなんだが、そんなに暇なのだろうか?
外は雨だし、客足は落ちるのだろうが、買い物帰りの客が寄っていってもおかしくない時間帯だ。

私達は売り上げに貢献すべく、甘味ももう1つ頼む事にする。
トソンは水羊羹、私は水饅頭を頼んだ。

ちょっと時期は早めかもだけど、じめじめしたこんな日には、清涼感溢れる和菓子がいいね。

ミセ*゚〜゚)リ「うむ、ほど良い甘さがいと美味し」

(゚〜゚トソン「夏場はこういう水気のある和菓子が良いですね」

(´・ω・`)「うん、やはり夏場はそういう物の売り上げがいいね」

ミセ*゚ー゚)リ「今年はその路線で攻めてみますか、ショボン饅頭?」

(´・ω・`)「特製ショボン水饅頭とかどうだろう」

(゚、゚;トソン「半透明状のショボン饅頭ですか……」


15.

なんだかんだで味はいいのだ。
見た目はなんだが、食べるのは楽しみであったりする。

トソンはともかく、ブーンちゃんは大喜びだろう。

(゚、゚トソン「さて……ショボンさん」

(´・ω・`) !

|ω・`)

再びショボンさんが店の隅に引っ込んだ所で、トソンが居住まいを正した。
あんまり堅苦しく身構えて欲しくないけど、トソンらしいと言えばらしいので仕方がない。

ミセ*゚ー゚)リ「……私はさ」

(゚、゚トソン

ミセ*゚ー゚)リ「やっぱり寂しいんだ」

私は、これまで隠してきた胸の内をトソンに向けて少しずつ、曝け出した。
不思議と、ずっと笑顔のままで言葉が溢れ出していた。


 〜 第八話 おしまい 〜

    − つづく …………十話最終予定 −   


第九話



01.

ミセ*゚ー゚)リ「独りになるのが寂しい」

ずっと言えなかった事。
まだ先の事。
でも、いつかは来てしまうその時の事。

そんな事を、一旦考え出したら止まらなくなって、寂しさを堪え切れなくなった。

私は、この雨の季節にずっと考えていた事を全てトソンに話した。

(゚、゚トソン

トソンは黙って聞いている。
時折見せる相槌と、まじめな面持ちから真剣に聞いてくれているのが伝わる。

ミセ*゚ー゚)リ「トソンにはブーンちゃんがいて」

いつもそばに。

ミセ*゚ー゚)リ「皆にもそれぞれいっしょにいてくれる人がいる」

いつもいっしょに。


02.

ミセ*゚ー゚)リ「でも、私にはいないんだ」

誰もいない。

ミセ*゚ー゚)リ

何故か私の笑顔は崩れず、瞳が潤む事もなかった。
どうしてなのかわからない。

とても悲しいのに。

とても寂しいのに。

どうしてだろう。

(゚、゚トソン

ねえ、どうしてかな?


03.

どうして何も言わないの?

いつもみたいにバカにしてよ。

散々バカにして、それで最後に呆れたように答えを教えてよ。

(゚、゚トソン

ねえ……

(-、-トソン「そうですね」

ミセ*゚ー゚)リ

(゚、゚トソン「確かに、我々は大学を出たら今までの様にはいかないでしょうね」

物理的な距離が皆を分かち、束縛される時間がそれを許さない。
でも、私達はいっしょで、離れていても友達だ。

いつかのあの夕焼けの下、ブーンちゃんに告げた同じ言葉。


04.

うん、トソンの答えはわかってた。
そんな答えを出せたから、ブーンちゃんを笑って送り出せたのだ。

トソンは強い子で、自分がやるべき事をわかっている。

でも、私は……

ミセ* ー )リ「私は……」

(-、-トソン「でも、まあ、寂しい物は寂しいですね」

ミセ*゚−゚)リ「え?」

(-、-トソン「ブーンの時は絶対帰ってくると信じてましたが、
     今回のはそういう話ではないですからね」

明確な意思を持って離れる。
自分の目的、夢の為、叶える為にそれぞれの道を行く。

トソンはそう言葉を続ける。


05.

ミセ*゚−゚)リ「トソンは平気じゃないの?」

ブーンちゃんがいるから、寂しさも紛らわせると思ってた。

(-、-トソン「寂しいに決まってるじゃないですか」

(-、-トソン「貞子のご飯が食べられなくなるし」

それは私にとっても死活問題だ。

(-、-トソン「ヒートちゃんといっしょに走ったり出来なくなるし」

いや、お前いつも付いて行けなかったじゃん。

(-、-トソン「デレの奇行も楽しめなくなりますし」

あれ、楽しんでたんだ。困らせられてるとばかり思ってた。

(-、-トソン「ツンちゃんに助けてもらえなくなるし」

なんだかんだで一番気がつく子だよね、ツンちゃん。

(-、-トソン「そして──」

そして?


06.

(゚、゚トソン「あなたとバカやって笑いあう事も出来なくなりますしね」

ミセ*゚−゚)リ

(゚、゚トソン「友達と離れるのは皆辛いのですよ」

私に限らず、デレ達皆も。
トソンはそう言ってまた目を閉じた。

ミセ*゚−゚)リ

ああ……。

やっぱり私はバカだな。

比較論で語って、自分だけが不幸みたいに思い込んで。

皆だって寂しい。

それが当たり前なのだ。

皆、友達だから。

私達は皆、いっしょだったから。


07.

ミセ* − )リ「……ご」

(-、-トソン「──ご?」

搾り出した私の言葉を、すぐさまトソンは遮る。
どうにも見透かされているようだ。

ああ、そうだったね。

ごめん。

謝るのは心の中だけにしとくよ。

謝るような話じゃないんだよね。

私が、いつものようにバカやっただけ。

ミセ*゚ー゚)リ「ご冗談を」

(゚、゚トソン「何がですか?」

ミセ*゚ー゚)リ「トソンはバカやんないじゃんか」


08.

ミセ*-ー-)リ「私やデレがバカやるのをいっつも呆れて眺めてるだけ」

ミセ*゚ー゚)リ「ノリ悪いんだよ」

(゚、゚トソン「私までバカやったら誰が収拾つけるんですか」

ミセ*゚ー゚)リ「ツンちゃんかな?」

(゚、゚トソン「……確かにまあ、ノリは悪いかもしれませんが」

ミセ*゚ー゚)リ「悪いね」

(-、-トソン「私も一応、楽しんでいるのですよ」

あなたやデレ、みんなといっしょに騒ぐ事を。
バカやって、怒って、でも、笑って。

トソンはそう言って、口の端を緩めた。

(゚ー゚トソン


09.

ミセ*゚ー゚)リ「ハハ……」

(゚、゚トソン「あなたの悩んでた事はわかりました」

気付いてあげられずすまなかったとトソンは言う。
私がこういった話で謝ると怒るくせに、自分はさっさと謝っちゃうもんな、トソンは。
ずるいと言うか、そういうのがトソンなんだって納得してしまう。

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、わかりきってた事を今更悩んでるのがあれなんだけどね」

(゚、゚トソン「確かに、寂しい話ではありますが……」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、わかってる」

ミセ*-ー-)リ「未来に潰されて、今を楽しめないんじゃ意味ないもんね」

そう、楽しい今を。
皆がいて、私がいて、輝いている今を。

皆で笑いあえる大切な今を。

(゚ー゚トソン「そうですね……」


10.

ミセ*゚ー゚)リ「よし、話したら何かすっきりした」

ミセ*゚∀゚)リ「私も色々見つけよう!」

(゚、゚トソン「夢を探す手伝いなら、私や皆も──」

ミセ*゚ー゚)リ「あったり前じゃん。最初っから当てにしてるよ」

ミセ*-ー-)リ「面白そうな話あったらじゃんじゃん持ってきてくれたまえ」

(゚、゚トソン「全く……調子のいい事ですね」

ミセ*゚ー゚)リb「それが私だもん。でしょ?」

そう言って私はトソンに親指を立てて笑いかけた。
トソンはいつもの呆れたような、でも私にはわかる笑みで返してくれる。

(゚ー゚トソン「まあ、ミセリはミセリですからね」

それがあなたなのだと。

うん、それが私なんだ。


11.

ミセ*゚ー゚)リ「うん、そんなとこで私の話はおしまい」

(゚、゚トソン「実質は何も解決していないのですけどね」

ミセ*゚ぺ)リ「蒸し返すなよ」

確かに何も解決していない。
状況的には、何も変わっていないのだ。

でも……

ミセ*゚ー゚)リ「私の中ではちょっぴり整理がついたんだよ」

(゚、゚トソン「……それならばいいのですよ」

話を聞いた甲斐があったとトソンは言う。

もちろん、聞いてもらって私は助かったんだ。
甲斐どころじゃないと思って欲しい。


12.

ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、まあ、もう1つ甘味でも」

(゚、゚トソン「まだ食べるのですか? 太りますよ?」

ヽミセ*゚ー゚)リノ「ちょっとくらい肉ついても大丈夫だと思わない?」

(゚、゚トソン「晩ご飯が入らなくなりますよ?」

ミセ*゚ヮ゚)リ「甘い物は別腹ですよ」

とは言え、そろそろトソンも帰りたいだろう。
何はなくともブーンちゃんの所へ。

それを察せられないほど無粋ではない私は、場所を借りたショボンさんへのお礼と、トソンを借りたブーンちゃんへのお礼に大量の饅頭を買って帰る事にした。

(´・ω・`)「毎度あり。お礼とか気にしなくていいのに」

□ミセ*゚ー゚)リ□「私が食べたいってのもあるんですよ」

□ミセ*゚ー゚)リ□「ブーンちゃんへのお土産も」


13.

(゚、゚;トソン「……にしても多すぎでしょう。外は雨なんですし」

(´・ω・`)「あ……それなら……」

ミセ*゚ー゚)リb「チッチッチ。こういう時はね──」

私は指を振り、庶凡屋の入り口の勢いよく開けた。

(゚、゚トソン「ああ……」

ミセ*゚∀゚)リ「雨は上がってるものと相場は決まってるのだよ」

私の心の雨と共に。

空はまだ雲に覆われている。

でも、雨は止んでいた。

長い雨もきっといつかは止んでくれるのだ。

・・・・
・・・


14.

□ヽミセ*゚∀゚)リノ□「たっだいまー!」

(〃^ω^)「おかえりーだお!」

(゚、゚;トソン「自分の家の如く……ただいま、ブーン」

(〃^ω^)「おかえりだお、トソン!」

ミセ*゚ー゚)リ「まあまあ、細かい事はいいじゃん」

ミセ*゚ー゚)リつ□「はい、ブーンちゃんお土産」

ヾ(〃^ω^)ノシ「おー! おまんじゅういっぱいだおー!」

(゚、゚トソン「すぐご飯にしますから、1つだけにしましょうね」

(〃^ω^)「わかったお。どれにしようかおー?」

ミセ*゚ー゚)リ「やっぱりショボまん? 個人的にはこれもお勧めだけど」

(〃^ω^)「おー、もなかだお。サクサクしてておいしいおね」

(゚、゚トソン「色々買いましたね」

ミセ*゚ー゚)リ「トソンにも、ほれ」

(゚、゚トソン「餡蜜ですか? 有難いですが晩御飯前ですから、後で頂きますよ」


15.

(〃^ω^)「僕はもなかにするお! おいしいお!」

ミセ*゚ー゚)リ「おうおう、食べなせえ、食べなせえ」

嬉しそうに最中を頬張るブーンちゃん。
それをいとおしげに見守るトソン。

いつもの2人を見る事が、何だか少し嬉しかった。

時間は止まらない。
限られた時間の中で、私は皆と過ごすしかないのだけど、今はとても幸せなのだ。

刹那的に考えるわけじゃないけど、今は今で楽しみながら、私は私の道を探そう。
進むべき道を、そして私の……

(゚、゚トソン「机の上は片付けておいてくださいね」

ミセ*゚ー゚)リ(〃^ω^)「「はーい(だお)」」

(〃^ω^)「ミセリは自分の席のとこ片付けてお」

ミセ*゚ー゚)リ「オッケー。ブーンちゃんはそっちね」

私の席、私の居場所。

道と共に、私は私の居場所を見つけよう。


 〜 第九話 おしまい 〜

    − つづく …………次回ラスト……? −   


第十話



01.

「私達は友達です」

「うん」

「でも、あなたは私達をそれ以上に見ていたのかもしれませんね」

「え?」

「私がブーンをそう見ているように」

「……私は」

「でも、あなたにも、そういう人はいるのでしょう?」

「……」

「そばにいてくれる人、共に生きる人。過去はどうあれ、今のあなたなら……」

「今の……私……」

「あなたなら……」

「私なら……」

・・・・
・・・


2.

ミセ*・д・)リ「ねえ、おかーさん、宿題手伝って?

「あらあら、宿題は自分でやらなきゃ意味がないんですよ?」

ミセ*・3・)リ「えー、だって面倒なんだもん」

「ちゃんと1人で宿題終わらせたら、今日はミセリちゃんの
 好きなご飯を作ってあげますよ」

ミセ*・д・)リ「もー、私もそんな小さい子じゃないんだから、
      晩ご飯ぐらいじゃ釣られないよー?」

「あら、そうなの? じゃあ、今日は予定通りピーマンの肉詰めに……」

ミセ*・д・)リ「コロッケがいい!」

「じゃあ、宿題」

ミセ*・へ・)リ「はーい」

「フフフ、ミセリちゃんはやれば出来る子なんだから、面倒がらずに、ね?」


3.

ミセ*・д・)リ「うーん……、そんなちゃんと私に出来るかな?」

「出来ますよ。ミセリちゃんはとっても良い子なんですもの」

ミセ*・д・)リ「でも、算数とか難しいよ?」

「そういう時は、お友達や先生に聞いたりして、教えてもらえば大丈夫ですよ」

ミセ*・д・)リ「あれ? 自分でやらなきゃダメなんじゃないの?」

「ええ、そうですよ」

「でも、自分でやった結果、それがわからないって事が
 自分でわかったら、自分がわかるための方法として、
 誰かに聞いて教わって、少しずつわかるようになっていけばいいんですよ」

ミセ*・へ・)リ「うーん、よくわかんない」

「ごめんなさい。まだちょっと難しかったかな?」

「でもね、ミセリちゃん。誰かに頼る事は恥ずかしい事じゃないの」

「自分に頼れる誰かがいる事は、喜んでいい事なのですよ」


4.

ミセ*・д・)リ「おとーさん、おかーさんがいる!」

「ええ、いますよ。ミセリちゃんには私達がいます」

「ミセリちゃんも、誰かに頼ってもらえるような人になってくださいね」

ミセ*・ー・)リ「うん、なる! 私、おとーさんとおかーさんに頼ってもらう!」

「ええ、そうですね。家族は皆で助け合って、頼り合うものですからね」

ミセ*・д・)リ「家族ってみんな仲良しなんだよね」

「そうですよ、仲良しですよ」

「でもね、ミセリちゃん、家族も時々ケンカしたりする事もあるんですよ」

ミセ*・д・)リ「うん、時々おとーさん、顔に引っかき傷だらけー」

「……それは置いといて」

「そんな時はね、ミセリちゃん、あなたがその笑顔で家族を
 仲直りさせてあげてください」

ミセ*・д・)リ「笑顔?」


5.

「ええ、笑顔です。あなたの笑顔は皆を幸せにしてあげられます」

「家族に限らず、友達も、あなたが笑顔でいれば皆も笑顔になってくれます」

「だからね、ミセリちゃん、あなたはいつも笑っていられるような
 幸せな子でいてください」

「あなたが幸せなら、私もお父さんも、家族はみんな幸せなのですから」

ミセ*・ヮ・)リ「うん、私、いっつも笑顔いでいる!」

ミセ*・ヮ・)リ「おとーさんとおかーさん、それにお友達もみんな幸せにする!」

「良く出来ました」

ミセ*・ヮ・)リ「エヘヘヘヘ」

「これからもずっと、皆に、そして私にその笑顔を見せてくださいね」

ミセ*・ヮ・)リ「うん!」

・・・・
・・・


6.

< トソン宅 >

ミセ*゚ー゚)リb「どれがいいと思う?」

( ^ω^)「おー、すごくいっぱいあるおー」

ノパ听)「何がどうなのか全然わからんぞー」

ξ゚听)ξ「どれがいいかと言われてもね……」

3人はそれぞれ違った反応を見せる。
目の前に広げられたパンフや本、色んな資料の山を興味深げに覗き込みながら。

(゚、゚;トソン「そんなに広いわけでもないのですから……」

ζ(゚ー゚*ζ「ミセリちゃんか貞ちゃんの部屋の方が良かったかもね」

川д川「よくこれだけ集めたねー」

その相方もそれぞれの感想を述べてくる。
まあ、確かに、ここよりは私の部屋の方が良かった気もするけど、私にとってはこっちの部屋の方が何となく居心地はいいのだ。
向こうも少しはマシになったとは言え、やっぱりこっちの方が落ち着く。


7.

ミセ*゚ー゚)リb「まあ、これ見てもわかんないんだったら、
      何が私に合いそうかだけでもいいよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンちゃん達の知ってる範囲でいいからさ」

( ^ω^)ノパ听)「「おー」」

ξ--)ξ「あんたに合いそうなものねぇ……」

呆れたように首を振るツンちゃんだが、色んな資料を見てはしゃぐブーンちゃん達に引きずられるよういっしょに騒ぎ出す。
いつの間にかデレや貞子もそれに加わり、トソンはどうやらお茶の準備をしているようだ。

(〃^ω^)「これとかどうだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「どれどれ……ハンバーガー屋さんかー」

ミセ*゚ー゚)リ「うーん、飲食店も中々楽しそうだよねー」

(〃^ω^)「ハンバーガー食べたいお!」

ミセ*゚ー゚)リ「あはは、私がお店を始めたら、いつでも食べに来てもいいよ」


8.

ノハ*゚听)「これはどうだー?」

ミセ*゚ー゚)リ「何々……ステーキ屋さんね」

ミセ*゚ー゚)リ「ああ、鉄板で調理するパフォーマンスとかいいよね」

ノハ*゚听)「肉美味いぞー!」

その後も2人は色々なお店を勧めてくれる。
そのどれもが、食べ物のお店ばっかりだったけど。

ミセ;゚ー゚)リ「ひょっとして2人共、自分が食べたいものの
      お店ばっかり探してないかな?」

ノハ;゚听)(;^ω^)「「そ、そんなことないぞ(お)?」」

ξ゚听)ξ「あんたらは……」

図星だったのか、ちょっと慌てる2人を制し、ツンちゃんが一枚のパンフを私に手渡す。

ξ゚听)ξ「こういうのとか良くない?」


9.

ミセ*゚ー゚)リ「あー、ケーキ屋さんかー。女の子らしくていいね」

ξ*゚听)ξ「でしょ? あんた甘いもの好きだし、
      アドバイスしてくれそうな人もいるし」

なるほど、随分と理にかなった解説だ。
でも、私は知っている。
ツンちゃんの提案もブーンちゃん達と大差ないことに。

ミセ*゚ー゚)リ「中々いいね。候補の1つに考えとくよ」

ミセ*゚ー゚)リb「もしお店を開く事が出来たら、いつでも食べに来ていいからね」

ξ*゚听)ξ「が、がんばんなさいよ。応援してあげるからね」

嬉しそうにこぶしを握り発破をかけてくれるツンちゃん。
その期待には応えたい所だが、まだ決定ではないんだよね、ごめんね。

ζ(´ー`*ζ「海産物の輸入代行とかどうかな?」

ミセ;゚ー゚)リ「随分とピンポイントで来たね」


10.

ζ(´ー`*ζ「サクラ田麩専門の」

ミセ;゚д゚)リ「ピンポイント過ぎんだろ!?」

川д川「会社勤めとかは考えてないの?」

ミセ*゚ー゚)リ「それも考えてるよ」

考えてはいるが、まずは自分の興味とか向いてるものとかをはっきりさせたいのだ。
ブーンちゃん達があげたお店だって、別に自分で開く事前提ってわけでもない。
それだって会社勤めのようなものだろう。

(゚、゚トソン「難しいですね」

本来なら、自分の興味が一番の決定動機なんなのだろうがとトソンは言う。
全く持ってその通りだが、たまには客観的に見たいと言うか、皆がどう見てくれてるのかも気になったりするのだ。

(゚、゚トソン「あなたも低学年なら先生に向いてそうですが……」

嬉しい事を言ってくれるトソンだが、履修とかの兼ね合いで今からは辛いね。
幼稚園の先生とかは自分でもやってみたくもあった。


11.

ヾ(〃^ω^)ノシ「お歌とか踊りの先生がいいお!」

ノハ*゚听)「ミセリ、歌上手いぞー」

ξ゚听)ξ「ああ、そう言えばその辺は意外と見れるわよね」

ミセ*゚∀゚)リ「おお、良いとこ突いてきたね」

時々公園や散歩の途中で子供向けの歌を教えてあげて、いっしょに歌ったりはしていたけど、それが好評のようで嬉しい限りだ。
そういう方向は考えてなかったけど、それも意外と楽しいかもしれない。

川д川「そうだね、普通にカラオケとか上手いもんね」

ζ(゚ー゚*ζ「踊りもすぐ覚えちゃうしね」

(゚、゚トソン「運動神経は悪くないですよね」

ミセ*-ー-)リ「まあねー」

ミセ*゚∀゚)リb「よし、それじゃいっそのことアイドル目指しちゃおうか」
      キラッ
oミセ*^ヮ^)リゝ☆彡「歌って踊れるらぶりんアイドル・ミセリちゃん!」


12.

川−川ξ゚−゚)ξζ(゚−゚ ζ(゚−゚トソン

ミセ;゚−゚)リ「……うん、ごめん、調子に乗り過ぎました」

いや、流石に冗談だけどね。年とかあるし。

・・・・
・・・

そんなこんなで、皆に色々なアイデアを出してもらって、自分でも考えてみたけど、未だ決定には至らずにいる。
そんな簡単に決められるとは思ってなかったし、客観的に見て自分がどうなのかとか少しわかった気がして有意義な時間ではあった。

(゚、゚トソン「ブーン達にも仕事について知る良い機会でしたね」

私は晩ご飯の用意をしているトソンのそばに来ていた。
ブーンちゃん達はまだ仕事のパンフなどを興味深げに眺めては、時々私に提案してくれる。

ミセ*゚ー゚)リ「集めてみて思ったけど、自分が知ってた以上に
      色んな仕事があるよね」

(゚、゚トソン「私も夢が見つかってなければ、今頃大いに悩んでたでしょうね」

それはどうかなとちょっと思う。
生真面目なトソンの事だ。
私が始めるよりはもっと前から探し始めてて、もう既に見つけてそうな気がする。

そんなことを話すと、トソンは大根を切る小気味良い音を立てながら少し笑う。
生真面目というより心配性なのだろうと。


13.

ミセ*゚ー゚)リ「それだと私が全然心配してない楽天家みたいだよね」

(゚、゚トソン「その通りですよ……と言いたい所ですが……」

トソンはそこで言葉を切り、手を止めて私の方へ向き直る。

(゚、゚トソン「あなたも今回の事では随分悩んだみたいですからね」

(゚、゚トソン「でも、それが普通なのだと思いますよ」

(゚、゚トソン「あなたも、ごく普通の大学生なのですから」

ミセ*゚ー゚)リ「……」

(゚、゚トソン「悩む事は悪い事ではないと思います」

(゚、゚トソン「それだけそのことに向き合った証なのでしょうから」

(゚、゚トソン「結果がどうであれ、自分で考え、他人に意見を仰ぎ、
     ちゃんと自分と向き合えたのですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「……うん」

トソンの言葉は何となく、昔聞いた事がある話に似ている気がした。
トソンはどこか、あの人に似ているのだろうという結論には達している。
比べると若干どころじゃなく厳しめだけど。


14.

(゚、゚トソン「まあ、でも、我々もまだ社会に出た事のない人間です」

(゚、゚トソン「具体的な話は出来ませんし、
     あまり役には立たなかったかもしれませんね」

ミセ*゚ー゚)リ「そんなことないよ」

少なくとも悩みを話せて、色んな意見を聞けて、私の心はだいぶ軽くなった。
それは皆のお陰だ。

(゚、゚トソン「そう言ってもらえるとありがたいですけどね」

ミセ*゚ー゚)リ「感謝してるよ」

頼れる皆がいる事に、私は本当に感謝している。

(゚、゚トソン「それなら尚更、ちゃんとしたアドバイスを
     してあげたいとも思うのですよ」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、これから先生になるお勉強をしていく上で
      何か私に役立ちそうな事あったら教えてよ」

トソンは1つ頷き、料理に戻ろうとした。
しかし、何かを思い出したのか、また私の方を振り返る。


15.

(゚、゚トソン「やっぱり言っておくべきですかね」

ミセ*゚ー゚)リ「何を?」

(゚、゚トソン「話を聞く相手は、私達だけじゃないという事ですよ」

私達よりも人生の先輩に話を聞けばいいと。
具体的には……

ミセ;゚ー゚)リ「ヘリカル先輩達?」

(゚、゚;トソン「露骨に嫌そうな顔をしない。まあ、そこもですが他にも……」

ショボンさんやペニサスさん、ハローさん、それに一応ミルナ先生もかな。
でぃさんの話は聞いてみたいな。
今年の夏もるん雲行って聞いて来ようか。

シャキンさんは……まあ、どうでもいいか。

(゚、゚トソン「そうですね、あの方々や……それと」

ミセ*゚ー゚)リ「それと?」


16.

(゚、゚トソン「……あなたの身近な大人の方々」

ミセ*゚−゚)リ「……と言うと?」

(゚、゚トソン「あなたのご両親です」

ミセ*゚−゚)リ

わかってはいた。
途中で気付いてはいたんだ。
トソンが何を言いたいのか。
私が何を言われようとしているのか。

トソンの意見は正しい。

そういうのは、両親に相談して然るべきだ。

お父さんは会社の社長で、それなりに人生経験は豊富で、多くの人を見てきたはずだ。
相談役としては適任だ。


17.

そしてお義母さん。

普通に大学を出て、普通にお父さんの会社に入った。
それはつまり、今私がやっているような事を経て、就職活動を乗り切ったという事だ。
経験談を聞くには打って付けの相手だ。
そんな大昔の話でもないのだし。

でも……

(゚、゚トソン「……聞けませんか?」

ミセ*゚−゚)リ「……聞け……」

(゚、゚トソン「……」

ミセ*゚−゚)リ「……」

(゚ー゚トソン「……ゆっくりでいいのですよ」

それ以上何も言えない私に、トソンは穏やかな笑みを浮かべて私の肩をポンと1つ叩いた。


18.

ミセ*゚−゚)リ「……トソン」

(゚ー゚トソン

ミセ*゚д゚)リ「大根臭い」

(゚ー゚トソン

(^ー^#トソン

全く、冗談のわからんやつめ。
大根の匂いは好きだっつーの。

ミセ;メдメ)リ

・・・・
・・・

< ミセリ宅 >

ミセ*゚−゚)リ「ふう……」

今日は泊まるつもりだったけど、何となく帰ってきてしまった。


19.

理由は言わずもがな。

ミセ*゚ぺ)リ 【】

かれこれどのくらいの時間こうやって携帯とにらめっこしてるのだろうか。
我ながら情けないというか、何というかだ。

ミセ*゚ぺ)リ「……あんまり遅くなると迷惑だろうしな」

悩んでいられる時間はもうない。
別に明日以降に延ばしてもいいのだけど。

ミセ*゚−゚)リ「でもなー……」

ここで先延ばしにしてしまったら、また踏ん切りがつくまで時間がかかりそうだ。

ミセ*゚−゚)リ 【】

大した話じゃない。
ただ電話して、ほんのちょっと昔の話を聞くだけだ。

家族なら、ごく普通の事だ。


20.

ミセ*゚−゚)リ「家族なら……」

家族。

私の家族。

今の私に、家族と呼べる存在はいるのだろうか。

ミセ*゚ー゚)リ「……いるよね」

いけないいけない、ここでまた迷ったらこれまで考えてきた事、トソン達に背中を押してもらった事が無駄になる。

確かにこれまで、お世辞にも仲の良い家族だとは言えなかった。
それは事実だ。

それが誰の所為だったのか。
それは──

ミセ*゚ー゚)リ「どうでもいい」

今となってはどうでもいいのだ。
今までがそうであっただけの事。
今までがそうであったから、これまでもそうでなければならないわけじゃない。


21.

それが嫌なら、どうにかすれば良いだけの事。
私自身が、どうにかすれば良いだけの事。

私が──

ミセ*゚ヮ゚)リ「笑顔で何とかする!」

だったよね、お母さん。

何で忘れてたんだろうか。

私が私である事を忘れていたのは何故だったのか。

色々な理由は思い当たるが、それも過ぎ去った昔の事。
考えすぎた私は、誰かに頼る事を忘れ、誰にも聞けずに答えのわからない宿題に悩み続けていたのだ。

でも、私はここに来て、あいつらと出会って私自身を思い出した。

だったら私がやる事は1つしかない。

私にしか出来ない事。

家族の皆を笑顔で幸せにする事。

私が家族の、皆が頼れる私である事。

ミセ*゚ー゚)リ「それが私なんだ」
 つ】 ピッ


22.

「あ、もしもし……うん、こんばんは……です」

「あ、いや、お父さんじゃ……ではなくてその……お義母さんに」

「いやいやいや、そうじゃなくてその……進路の……」

「うん、それ……です、進路相談」

「……え、いや、まあ、何て言う……言いますかOG的な、大学は違うけど」

「うん、そう……です」

「……え? そ、そうです……いや、そうだね」

「それでその、今度の連休にでも……その、都合は……」

「そう? 良かった」

「あ、それと、その、私も直したんで、その……」

「“さん”は止めて欲しいかなーなんて……」

「いや、そっちじゃなくて呼び捨てか……その……」


23.

「……うん、それでよろしく」

「それじゃ、また今度、うん、おやすみなさい」

「ありがとう、お義母さん」


ミセ;-ー-)リ「ふぃーっ……」
 つ】 ピッ

ああ、何か妙に緊張した。
笑顔で何とかすると言いながら、引きつりまくりだし、そもそも電話じゃ笑顔は見えないし。

しかし、まあ、何とか第一歩は踏み出せたと思う。
ほんのちょっとだけど前進した。

後は追々がんばろう。
焦らず、ゆっくりと……そして

ミセ*゚ー゚)リ「笑顔でね」

私はベッドに勢いよく体を倒した。
手足を大きく伸ばすと緊張していた身体がほぐれて心地良い。


24.

私は仰向けの体勢から身体を横に向け、テレビのリモコンに手を伸ばした。

ミセ*゚ー゚)リつ

箪笥|、゚トソン
箪笥|ω^)

ミセ*゚ー゚)リ

冷蔵庫|д川
冷蔵庫|パ-⊂

ミセ*゚−゚)リ

テーーーーーーーーブル
|ξ゚听)ξζ(´ー`*ζ|

ミセ;゚−゚)リ


ミセ;゚д゚)リ「お前らなにやっとんじゃぁー!!!」


25.

(゚、゚トソン「ようやくバレましたね」

( ^ω^)「おー」

ミセ;゚д゚)リ「バレましたねじゃねーだろ。何でここにいんのさ?」

川д川「尾行てきたからかな?」

ノパ听)「全然気付かれなかったぞー」

ミセ;゚д゚)リ「いや、尾行て来たって……」

ξ゚听)ξ「鍵は受け取ってるしね」

ζ(´ー`*ζ「ツンちゃんが」

ミセ;゚д゚)リ「いや、え……いや、え?」

(゚、゚トソン「こちらが言うのもなんですが、気付かなさ過ぎというか」

ξ゚听)ξ「無用心過ぎるわね」


26.

やりやがったこいつら。
私が悩んでる隙にこっそり入り込みやがった。

いや、気付かない私もなんだけど、それだけ集中してたんだし、これは仕方なくね?

てか、いつの間にか下の受付も顔パスになってるし。

ミセ;゚ー゚)リ「何しに来やがったのさ?」

川д川「それは……」

言われずともわかってる。
心配だから、それだけの話なのだろう。

帰り際の私の様子、今思えばこれからの事を考えてて少しばかり思い詰めたような顔をしていたかもだ。
それを目敏く見つけた誰かが、いや、ひょっとしたら皆が気付いたのかもしれない。

ミセ;-д-)リ「ああ、もういいよ。取り敢えず何でもないから帰りたまえ」

( ^ω^)「お? 今日はミセリのお家にお泊りだお?」

ミセ;゚ー゚)リ「うぇ? いつそんな話に?」


27.

(〃^ω^)「好きなだけ泊まっていいって言ったお!」

ξ゚听)ξ「言ったわね」

ミセ;゚ー゚)リ「うん、言ったね」

私はトソンの方に視線を向ける。
トソンはそ知らぬ顔でそっぽを向く。

いや、お前の差し金なのはわかってるっての。
何も知らないブーンちゃんを利用しやがって。

まあ、別に来ちゃダメとは言ってないし、意図もわかるけどさ、その……

ミセ//へ/)リ「んで、お前らいつからいたの?」

ノパ听)「ミセリが帰ってからす──」

川д川「ついさっきだよ」
ノパ-⊂ モガ

ミセ//、/)リ「あっそ……」


28.

あーあ、電話の中身は全部聞かれただろうな。
全く、プライバシーの侵害だろうが、チクショーめ。
そんな長い時間、ヒーちゃん達を静かにさせとくの大変だっただろうに。

揃いもそろってお節介なんだから。

ミセ*゚ー゚)リ「……んで、お菓子は?」

(゚、゚トソン「何ですか、お菓子って?」

ミセ*゚ー゚)リ「遊びに来るやつが持って来いっていつもトソンは言うじゃんか?」

ミセ*゚ー゚)リ「遊びに来たならお菓子の1つや2つ──」

ξ゚听)ξつ晶⊂ζ(゚ー゚*ζ(〃^ω^)つ品⊂(゚、゚トソンノパ听)つ□□⊂川д川

ミセ*゚ー゚)リ「……上出来だ」

そこからはいつものようにたわいもない話で盛り上がり、お菓子食べてジュース飲んで、明日は平日だってのに夜遅くまで馬鹿騒ぎ。
素面で何てテンションだよ。

あいつらは聞いたはずの電話の話は何もしてこなかった。
寝る間際、トソンがボソッと“がんばりましたね”なんてお母さんみたいなことを言ってきたぐらいで。


29.

布団を敷き、7人で雑魚寝。
幾度となく、こうやって並んで夜を越したが、この部屋でこうするのは初めてだ。

また少し、この部屋が好きになれそうだ。

ミセ*゚ー゚)リ「んじゃ、電気消すよ」

    「「「「「「おやすみー(だお)」」」」」」
川д川ノパ听)ξ゚听)ξζ(゚ー゚*ζ(^ω^ )(゚、゚トソン

ミセ*-ー-)リ「おやすみ」

私は目を閉じ、眠りにつく。
色々考える事はある。
色々言いたい事もある。

でも、今は眠ってしまおうと思う。
今言いたい事、お礼なんて口にした日にはきっと私は泣いてしまう。

ミセ*-ー-)リ

私は、上手く皆に頼れたのだと思う。
皆がここに来てくれた事が、それを証明してくれる。


30.

今は眠ってしまって、明日からまた私は私で、いつもの私で笑っていよう。
皆が頼ってくれるような、いつも笑顔の私で。

ミセ*-ー-)リ「……フフ」

まあ、意識するまでもなく、こいつらといると自然に笑顔になれるんだけどね。

川ー川ノハ--)ξ-、-)ξζ(-д-*ζ(-ω- )(-、-トソン

おやすみ、私の大切な──

そして──


ミセ*-ー-)リ「あ……」

ミセ*-、-)リガト

ミセ*-ー-)リ「……明日はきっと晴れかな」

私の世界にはずっと雨の日が続いていた。

でも、そんな雨もいつしか上がり、夏の夜空には満天の星が煌くのだ。



 〜 ミセ*゚ー゚)リある雨の日のようです おしまい 〜



あとがき



予定は2話30レス程度。
相変わらずのノープロットなんで、どう考えても終わらせられそうにない展開でした。

結果10話で160レス程度。
どうみても番外編として3回ぐらいスレ立てられる長さです。

今日も適当人生。


中身については、本来、本編でやるはずだった部分の半分ぐらい(ミセリ進度的に)のとこに、その後の皆の様子をプラスです。
元々は、1年生時にもう少し家族仲の和解をやるはずだったのですが、とっかかりなく、ほぼ手付かずでした。
父親出てきて、関係が多少改善されるとこまでが本編での予定でしたので。

あんまり明るい気分じゃない時に書くと、どうにも話が暗い方向にシフトしてダメですな。
何かあったとかいうのではなく、単に夏が苦手なだけですが。

まあ、取り敢えず補足的に番外編という形で。


この続きのるん雲編、冬に言った“夏に書きたかった”編を考えてはいましたが未定というか、今は書かないかな。
これがまたミセ*゚ー゚)リ編で、夢見編の予定でした。
主人公は(゚、゚トソンですが、メインはミセ*゚ー゚)リのお話。

ただ、考えてた設定がものすごい某作品と被ってどうしようかとw


まあ、また気が向いたら。

読んで頂いてありがとうございました。

こんなとこまで読んでる人は少数でしょうがw


では、また。

ヾ(゚、゚トソ








































おまけ.

ミセ*゚∀゚)リ「読んで頂いて感謝感謝!」

ミセ*゚ー゚)リb「というわけで、ある意味恒例となってる投下後の出戻りタイム」

(゚、゚;トソン「短編の時でも戻ってくるみたいな事言われてましたからね……」

ミセ*゚ー゚)リ「まあ、サービス精神の表れだと思いましょうや」

(゚、゚トソン「しかし、これといってネタがないのですよね」

ζ(゚ー゚*ζ「お題も募集してないしね」

川д川「元々、これ自体がおまけみたいな話でしたからね」

ミセ*゚ー゚)リ「予想外に長引いたのは、偏に主人公の魅力の表れだね」

(゚、゚トソン「それはさて置き」

ζ(゚ー゚*ζ「何もなかったんでさっき急遽考えて」

川д川「集計取った適当企画」

ミセ;゚д゚)リ「総スルーかよ!?」

(゚、゚トソン「キャラ人気投票(絵準拠)を発表したいと思います」

ζ(´ー`*ζ ヒューヒュー

川д川「簡単に言うと、頂いた絵の中に出て来た回数で順位を付けるという
    超他力本願企画です」

ミセ;゚ー゚)リ「うん、すっごい他人まかせだね」

(゚、゚トソン「ありがたい事に、結構な枚数の絵を頂きましたので
     ちょっとやってみました」

(゚、゚トソン「ちなみに、1位から7位は順当にメイン7人が占めて一安心でした」

ミセ*゚ー゚)リ「1人だけ圏外だったらちょっと微妙な空気になりそうだったね」

川;д川「何でこっち見るのかな?」

ζ(´ー`*ζ「んじゃまず1位から」


第1位 ( ^ω^) 24回


(゚、゚トソン「はい、これはもう、本命中の本命が順当に票を稼ぎました」

ミセ*゚ー゚)リ「これはまあ、仕方ないというか何というかだね」

川д川「描きやすいのもあったのかもしれないですね」

ζ(´ー`*ζ「次に2位」


第2位 (゚、゚トソン 21回


(゚、゚トソン「まあ、主役ですし、登場の長さからすれば
     ブーンと比べるとこの位はいっておかないと寂しいですよね」

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンちゃんとの2ショットが今回頂いたものの
      構図としては一番多かったね」

川д川「主人公が1、2フィニッシュは収まりがいいですね」

ζ(´ー`*ζ「次に3位」


第3位 ξ゚听)ξ 10回


(゚、゚トソン「本編での反応からすればちょっと意外かもですが、
     外見的な特徴からか、絵人気は高かったようです」

ミセ*゚ー゚)リ「うさ耳!」

川д川「2位と3位の間がだいぶ空いたね」

ζ(´ー`*ζ「次に4位……と言いたいとこだけど」

ミセ*゚ー゚)リ「ど?」

ζ(´ー`*ζ「4位は3人同率です」

ミセ;゚ー゚)リ「なんですと!?」

(゚、゚トソン「……という事は、1人だけ」

ミセ*゚ー゚)リ「7位という残酷な運命が……」

川;д川「だから、何でこっち見るのかな?」

ζ(´ー`*ζ「そんじゃ、まとめて4位の発表だー」


第4位 ζ(゚ー゚*ζ 7回
第4位 川д川 7回
第4位 ノパ听)  7回


ミセ*゚ー゚)リ

ミセ*゚ー゚)リ

ミセ ゚−゚)リ

(゚、゚トソン「ああ……」

川д川「うん……」

ζ(´ー`*ζウヘヘヘヘ

ミセ ゚−゚)リ「……あのさ、描くのは自由だと思うんだ」

ミセ ゚−゚)リ「ましてや、描いて頂いたものに、文句つけるなんて
      おこがましい事は絶対しないけどさ……」

ミセ;゚д゚)リ「これって、私が主役の番外編のおまけだよね!?」

ミセ;゚д゚)リ「何、この非情な結果は?」

(゚、゚トソン「ぶっちゃけると、こういう結果になるとは思ってませんでした」

川д川「良かれと思ってやってみたら」

ζ(´ー`*ζ「見事に裏目ー」

ミセ;゚д゚)リ「ドチクショォォォォ!!!」

ζ(゚ー゚*ζ「ちなみに」


第7位 ミセ*゚ー゚)リ 6回
第7位 ( ФωФ) 6回


ミセ;゚д゚)リ「ほとんど出番ねぇ似非ペンギンと同率だと!?」

(゚、゚トソン「あれに関しては、最終章でイワトビどうのと発言したせいかなと」

川д川「そこで得票数を稼ぎました」

ミセ;゚ー゚)リ「切実にへこむ結果だな……

(゚、゚トソン「明らかに間違ったAAミセリ*゚ー゚)もカウントしてこの結果ですよ?」

ミセ;´ー`)リ「うん、もう私のライフ0だから止めて」

川;д川「私が言うのもなんだけど、ドンマイ!」

ミセ;´ー`)リ「……ええ」

(゚、゚トソン「構図として2ショットは偉大というとこですかね」



(゚、゚トソン「……といった所でおまけはおしまいです」

(゚ー゚トソン「中々面白い結果になりましたね」

ミセ;´ー`)リ「面白くねーよ、この野郎……」

川*д川「うん、面白かった」

ζ(´ー`*ζ「そんじゃ最後に、残りをまとめてどうぞ」


('A`) 5回
( <●><●>) 2回
(饅・ω・`) 2回
(*゚ー゚) 1回
(*゚∀゚) 1回
( ・∀・) 1回
(,,゚Д゚)  1回


ヾ(゚、゚トソン「では」

ヾ川д川「また会う日まで」

ヾζ(゚ー゚*ζ「御機嫌よう」

ヾミセ;´ー`)リノシ「ばいばーい…………ハァ」

























(´・ω・`)「……」


(饅・ω・`) 2回


(´・ω・`)「……」


(´・ω・`) 0回


(´・ω・`)「……」


(饅・ω・`) 2回
(´・ω・`) 0回


(´・ω・`)「……」


(´゚ω゚`)


 − おまけ おしまい −             (`゚ω゚´) 0回



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