2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:06:26.04 ID:Ow7/Ac0yO
 
 ダイ10ワ ミズ ノ イロ ハ セカイ ノ ニジミ
 
 
( ゚_ゝ゚)「いってえぇぇぇぇ!?」
 
川;゚ -゚) 「あ、踏んだ? 何か、ごめん?」
 
水の感触とも違う、柔らかな踏み応えのある何かを思いっきり踏んでしまった。
この痛がり様から、この生物の顔か何かだろうが、先の説明からしてみると不自然ではある。
川そのものならば踏み様がないと言うか、ここまでずっと踏みながら歩いて来ているはずだ。
今更痛がられる理由がわからない。
 
私は、ひとまずこの生き物を放置し、急ぎ川を上がることにした。
 
川;゚ -゚) 「何だあれは?」
 
岸に駆け上がり、背後を伺う。
しかし、そこには何も見当たらない……と思ったら、少し下流、湖の方に何かがバシャバシャと
音を立てながら流れて行くのが見えた。
  _,
川 ゚ -゚) 「なるほど……川そのものはウソか……」
 

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:08:44.50 ID:Ow7/Ac0yO
 
先程の長面の言葉はどうやら偽りだった様だ。
明らかに川とは別に1個の生命体がいる。
 
川 ゚ -゚) (こちらを謀ったという事は、敵意があると見なすべきか……)
 
その割には、あの位置をキープしておきながら害を及ぼすような動きは見られなかったが。
両脚を確認してみても、何らかの傷ないし、変化も見られない。
あの感触だと、ゼリー状の何かが付着していても不思議は無いが、そういったものも見受けられない。
 
もっともそれは、水中を走った際に水に洗い落とされた可能性もある。
どっちにしろ、スプラッタな映像を観るのは避けられた様だ。
 
私は、未だ水飛沫を上げている長面を視界に入れながら警戒しつつマシンの元へ急ぐ。
 
川 ゚ -゚) (一先ず逃げるべきか……それとも……)
 
マシンに辿り着き、湖の様子を伺うが、まだ向こうは水飛沫を上げているだけで何かを仕掛けてくる様子は見られない。
立場上、友好関係を結びに着ているのだし、ここで放置して逃げるのもどうか躊躇われる。
相手がどう動くかによって対応を変えるべきかと思い、そのままの位置で湖を見詰めていた。
 
川 ゚ -゚) (……さて、どう出るか)
 

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:10:27.20 ID:Ow7/Ac0yO
 
(;´_ゝ`) 「いやー、流石にちょっと驚いたな」
 
川;゚ -゚) 「!」
 
いつの間にか私の左手に先程の長面が立っていた。
私は思わず右前方に転がり込み、距離を空ける。
 
(;´_ゝ`) 「え? そんな派手に避けられるの?」
 
川;゚ -゚) 「お前、どこから──!」
 
立ち上がり、長面を見据える。
少々間の抜けた風貌や口調から、敵意は感じ取れないが、それよりも気になることが1つ。
背後からは未だ水飛沫の音が聞こえて来る。
 
川;゚ -゚) 「……お前は何だ?」
 
(;´_ゝ`) 「何だと言われても、川の精的なラブリーな生き物としか」
 
川;゚ -゚) 「さっきは川そのものと言わなかったか?」
 
( ´_ゝ`) 「それはまあ、言葉の綾風の何かだよ、お嬢さん」
 

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:13:28.93 ID:Ow7/Ac0yO
 
いきなり襲い掛かってくるといった風な攻撃性は持ち合わせてはいない様だが、油断は出来ない。
見た目、半透明の、喩えるなら人型の生き物で、顔や手足は確認出来る。
しかし内臓や骨格などは半透明にもかかわらず、何1つ確認出来ず背後の草原が透けて見える。
先程踏み抜いたのは、やはりこいつの身体かもしれないが、そういった傷跡の様なものは一切見られない。
 
川;゚ -゚) 「……じゃあ、向こうの水飛沫は何だ?」
 
( ´_ゝ`) 「ああ、あれは…………俺?」
  _,
川 ゚ -゚) 「いや、お前は目の前にいるだろうが……」
 
あの水飛沫に目が行っていた所為で、こいつの接近に気付く事が出来なかった。
これといって特殊な手段を用いて接近したわけでなく、単に私が気付けなかっただけの様だ。
問題は向こうの水飛沫だろう。
 
( ´_ゝ`) 「ああ、まあ、そうなんだが……あれも俺だとしか……」
 
悪びれた様子も無く、先程と同じく意味不明な事を呟く長面。
だが、意味不明だと感じるのは自分だけで、実際はこいつがこの世界としては当たり前の事を言っている可能性もある。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:16:32.23 ID:Ow7/Ac0yO

私はその言葉の真意を探るべく、質問を重ねようとしたがそれより先に向こうが動いた。
 
(;´_ゝ`) 「つーか溺れ過ぎだろ、俺のくせに。あ、ちょっと待っててね」
 
そう言って長面は湖の方へ歩いて行く。
四肢は飾りのゼリー状の生き物かと判断していたが、ちゃんと人間と同じ様に2本の足で歩けるようだ。
 
( ´_ゝ`) 「おーい、そこ、足着くぞ?」
 
そして水飛沫に向かい、間延びした声で話し掛ける。
程なくして水飛沫は収まり、湖面に人影が立ち上がった。
 
(;´_ゝ`) 「全く、それを早く言ってくれよ」
 
( ´_ゝ`) 「どれだけここに住んでるんだ。言われずともわかるだろう?」
 
(;´_ゝ`) 「いやいや、いきなり顔面を踏み抜かれたんだ、ちょっとは焦るって」
 
( ´_ゝ`) 「まあ、それには同意しなくも無いが、大した事じゃないだろ?」
 
(;´_ゝ`) 「ああ、むしろ美人に踏まれたんだ、逆の意味で大した事だ」
 
( ´_ゝ`) 「うむ、良い感触だったな」
.  _,
川;゚ -゚) 「おい、お前らちょっと待て」
 

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:19:08.42 ID:Ow7/Ac0yO
 
湖面に現れた人影は、先程まで会話をしていた長面と瓜二つだった。
と言うより、大きさ、形、声とどこからどう見ても同じだ。
 
( ´_ゝ`) 「何かな、お嬢さん?」
( ´_ゝ`) 「何かな、お嬢さん?」
.  _,
川;゚ -゚) 「色々と言いたい事はあるが、取り敢えず左側の方、こっちに来い。もう1人はそこにいてくれ。ややこしいから会話にも加わるな」
 
( ´_ゝ`) 「まあ、言いたい事はわかるよ、こいつの方がキモいもんな」
(;´_ゝ`) 「いや、同じだろうが。俺がキモいならお前もキモいよ」
 
(;´_ゝ`) 「いやいや、お前の方がキモいだろ、主に顔」
(;´_ゝ`) 「いやいやいや、お前の方がキモいって、主に顔」
 
全く同じ者同士、不毛な言い争いを始める。
しばらく言い争いは続いたが、最終的には私の言葉通り、片方だけがこちらに来る様だ。
争いの最中、目まぐるしく位置が変わったので、私の指定した方かは判断つかないが。
 
まあ、この場合どちらが来ても問題はないのだが。
言い争いの最中に私は、ある1つの仮説を立て、こいつらの存在について考えてみた。
 
川 ゚ -゚) (単細胞生物……)
 

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:24:06.83 ID:Ow7/Ac0yO
 
こいつらの話から推測すると、やはりこいつを私が踏み抜いた様だ。
その結果、こいつは分裂し、2人になった。
単細胞生物の定義などを考えると、色々と矛盾点はあるが、私の知っている知識の中からはそれが1番近い概念の様に思える。
 
体の構造も、微生物等のそれに近いと言えば近い。微では無いが。
恐らく、顔がコアなのかもしれない。
 
不明な点も多々あるが、一先ずはこれに敵意はないのだろう。
話の通じる相手ではある様だ。
 
川 ゚ -゚) 「まずは自己紹介だ。私はクーという。違う世界から来た……この辺りの話は知っているか?」
 
( ´_ゝ`) 「俺は……そうだな……モノと名乗っておこう」
 
川 ゚ -゚) 「名乗っておこう……偽名か?」
 
( ´_ゝ`) 「ああ、そういうのじゃなく、何と言うか名前とかそういうのないんだ」
 
モノが説明するには、どうやら彼は完全に単体の生物のようだ。
自分しかいない所で、名前は意味がないと彼は言う。
彼の説明にある言葉を、モノ、単1のという意味で、この翻訳機がそう翻訳したのだろう。
 

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:27:08.99 ID:Ow7/Ac0yO
 
川 ゚ -゚) 「なるほどな……増え方もあれだしな、全く同じ者が増えていくわけか」
 
( ´_ゝ`) 「まあね。……でも、自分と全く同じ存在って、いたらどう思う?」
 
1つトーンを落とした、意味ありげな口調でモノは私に尋ねる。
全く同じ姿、同じ考え方、同じ記憶を持つもう1人の自分。
そんな人間が目の前にいたら、どう思うだろうか。
 
川 ゚ -゚) 「……相容れんかもな」
 
私はナルシストではないし、ナルシストだとしても、それは私であって私ではない。
分かれた瞬間から、私ではなくなる私。
そこに比較の要素が生まれる。
 
その差は主に内面から始まり、それに様々な要素が絡み合い、同じ事をしたとしても同じ結果を生まない可能性が高い。
上手く相容れる事が出来る者もいるだろう。
だが、私は我が強い方だ。恐らくは無理だろう。
 
( ´_ゝ`) 「俺もそう思う」
 
そう言うとモノは、もう1人のモノの方へ向かい歩いて行く。
もう1人のモノも、それに気付くと1つ頷き、歩み寄ってくる。
 

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:30:20.04 ID:Ow7/Ac0yO
 
そして2人は両手を挙げ、お互いの手の平を合わせた。
 
( ´_ゝ`) 「じゃあ……」
( ´_ゝ`) 「ああ……」
 
川 ゚ -゚) 「何を──」
 
( ´_ゝ}{ゝ`)
 
ずぶりという鈍い音がし、どちらともなくお互いが混ざり合う。
.  _,
川;゚ -゚) 「う……」
 
( ´_ゝ`) 「……よし、と」
 
わずか数分で、2人は完全に混ざり合い、再び1個の人型を作り出した。
そこには、先程と全く同じ姿形のモノが1人立っている。
.  _,
川;゚ -゚) 「今のは……?」
 
( ´_ゝ`) 「ん? ああ、吸収したというとこかな? ……全く同じ俺は1人でいいんだよ」
 

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:34:12.23 ID:Ow7/Ac0yO
 
今この場にいるモノが、先ほど話していた方だとか湖のそばにいた方だとか、そういった区別はないらしい。
モノはモノだ。彼はそう言った。
 
( ´_ゝ`) 「まあ、俺の事はいいんだ。それより、違う世界だって? それはどういう事だい?」
.  _,
川;゚ -゚) 「ああ、そうだな……」
 
眼前で起った光景に度肝を抜かれてたが、ここが異世界だと自分に言い聞かせ、心を落ち着けた。
確かに2個あった生命を1つにする事を簡単には割り切れないが、彼の気持ちもわからないわけではない。
私だって、自分と同じ存在は相容れないと思ったのだ。今は置いておく事にする。
 
川 ゚ -゚) 「次元の裂け目、または星の傷を知っているか?」
 
・・・・
・・・
 
今回の外交、私がここに来た経緯や現在行っている調査、過去に来ていたじいちゃんの事、色々な事をモノに説明した。
彼は、じいちゃんが来ていた事は知っていたが、話してはいないという。
じいちゃんに限らず、他の誰とも積極的には接触を図ってはいないらしい。
次元の裂け目に付いては、触れた事もあるので理解しているとの事だ。
 
モノは見た目とは裏腹に、かなり知能レベルは高い。

こちらで会ったも者の中では、彼女に次ぐのではなかろうか。


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:38:04.03 ID:Ow7/Ac0yO
 
( ´_ゝ`) 「なるほどね。わざわざご苦労様です」
 
川 ゚ -゚) 「こちらの世界も影響を受けているからな。主に自分たちの都合だ、大層がられるものでもない」
 
当然と言うべきか、モノは次元の狭間の発生原因を知らなかった。
この世界の状況全般にあまり興味がないらしい。
静かに暮らせればよいと思っている節がある。
それとなく聞いてみたが、この星のやはり原生生物ではないらしい。
 
川 ゚ -゚) 「状況を知らないなら知らないなりに、何か心当たりは無いか?」
 
( ´_ゝ`) 「うーん……、基本的に俺はこの湖から動かないしな……」
 
水中にも次元の裂け目は出来ているらしいが、元々それほど強烈なダメージを負う様な力場でもないし、
モノはコア以外は痛覚もない様なので、これといって困ってないので気にしてなかったらしい。
 
川 ゚ -゚) 「ずっと湖にいるのは……」
 
( ´_ゝ`) 「うん、こういう身体だし、水は必須だね」
 
ゼリー状で瑞々しい身体のモノは、長時間水から上がっている事は出来ないらしい。
見た目通り身体の大半は水分で構成され、乾燥に弱いという。
ならばこうして話しているのもまずいかと思い、湖に戻ることを勧めるが、この程度の時間なら大丈夫の様だ。
 

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:42:18.42 ID:Ow7/Ac0yO
 
川 ゚ -゚) 「ふむ、では、他の者と接触しないのは……そう言えばモノはツンと会ったのか?」
 
私はツンの外見を説明し、ツンがこの湖で誰か見かけた様な話をしていた事を説明した。
臆病がどうのこうのの件は省いて。
 
(;´_ゝ`) 「ああ、あの幼女ね……会ったと言うか、その……いきなり踏まれて大変なことに……」
 
ツンは幼女というほど幼くはないだろうが、身長はモノに比べるとだいぶ小さくはある。
モノが私より少し高いぐらいだが、ツンはその半分もない。
 
モノが言うには、挨拶をしようと湖面から顔を出したらいきなり踏まれてバラバラになって大変だったらしい。
 
(;´_ゝ`) 「うん、それで水中に潜って吸収してた」
 
川;゚ -゚) 「まあ、何と言うかタイミングが悪かったな……」
 
お気の毒としか言い様のない状況だが、多少気になる点がある。
モノは他者との接触は極力避けていると言っていたが、何故ツン、そして私には接触を図ろうとしたのだろうか。
 
( ´_ゝ`) 「そりゃあ、そこに美女がいるからじゃないか」
  _,
川 ゚ -゚) 「お前……」
 

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:46:23.25 ID:Ow7/Ac0yO
 
見る目がある事は褒めてやってもいいが、何ともふざけた理由だ。
大体、単一生物のモノは雌雄同体と言うか区別がない気もするのだが、その辺は本人曰く、古から遺伝子に刻まれている本能だそうだ。
残念ながら私はこちらの世界でも変態と縁があるらしい。
 
(*´_ゝ`) 「素敵なおみ足でした」
  _,
川 ゚ -゚) 「死ねばいいのに……」
 
迂闊に川に入ったのは失敗だったかもしれない。
実害はなく、新たな情報も得られはしたが精神的には不快だ。
これも仕事と割り切るべきであろうか。
 
川 ゚ -゚) 「まあいい、参考にはなったよ。礼を言う」
 
(*´_ゝ`) 「こちらこそ、お近づきになれて光栄ですよ、クーちゃん。礼は結構。しかし、どうしてもと仰るなら……」
 
川 ゚ -゚) 「なら?」
 
(*´_ゝ`) 「またその美脚で踏んでもらえませんかね?」
 
川 ゚ -゚)
 

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:50:16.82 ID:Ow7/Ac0yO
 
(*´_ゝ`) フヒヒ
 
川 ゚ー゚)
 
私は無言でモノの顔面目掛けてハイキックを放った。
 
’´。・_ゝ。 `’ オブッ!?
 
モノの顔面が甲高い音を立てて弾け飛ぶ。
倒れ込むとかせず、その場で弾けるとは意外と外部衝撃に弱く、脆い様だ。
そしてグロいと言うよりはゼリーか何かをぶつけたような、割と綺麗な弾け方で爆散した。
  _,
川 ゚ -゚) 「ッ!?」
 
蹴りがモノを捉えた瞬間、何か足に違和感があった。
モノ自体ではなく、少し大きめの次元の裂け目がモノの顔付近にあった様で、それに触れたらしい。
 
(;´_ゝ`) 「ちょ、ひど!? バラバラじゃん? 何人になった?」
 
川 ゚ -゚) 「お前がキモいからだ」
 
すぐさま再生して元の形が復元されたモノが私に抗議するが、それは自業自得というやつだ。
セクハラによる精神的苦痛に対して慰謝料を請求しないだけマシだと思え。
 

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:54:07.81 ID:Ow7/Ac0yO
 
(;´_ゝ`) 「ああ、2桁越えてるよ……」
 
( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_>}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`)
( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`)( ´_>}{ゝ`)
 
( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_ゝ}{ゝ`)( ´_>}{ゝ`)
 
モノはぼやきながらも次々と吸収を繰り返し、その数を減らしていく。
見ててあまり気持ちの良い光景でもないが、物珍しさも相俟って、私はその成り行きから目を離せないでいる。
 
川 ゚ -゚) (顔がもうちょっと良かったらマシなのかもな……)
 
(;´_ゝ}{ゝ`) 「何か言った?」(;´_ゝ}{ゝ`) 「何か言った?」( ´_>}{ゝ`)
 
川 ゚ -゚) 「何も。いいから気にせず合体しとけ」
 
意外と勘は良い様だ。
知能も高く、話術も長け、話し易く面白い相手ではあるが、性格に少々難があるのが惜しまれる。
 

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/25(月) 23:58:06.98 ID:Ow7/Ac0yO
 
( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_>}{ゝ`)
  _,
川 ゚ -゚) 「……ん?」
 
吸収を繰り返しその数を減らすモノだが、先程から何か違和感がある。
数が減るにつれ、次第にその違和感の元がはっきりと目に付くようになって来た。
 
( ´_ゝ`) ( ´_ゝ`) ( ´_>`)
.  _,
川;゚ -゚) 「……吸収失敗してないか?」
 
明らかに左端の2体が融合しようとして弾かれた。
モノはその事に気付いているのか気付いていないのか、残りを順調に吸収していく。
 
( ´_ゝ}{ゝ`) ( ´_>`)
 
( ´_ゝ`) ( ´_>`)
 
( ´_ゝ}{>`)
 
( ´_ゝ`) ( ´_>`)
 


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:00:14.12 ID:K4HYRbgdO
.  _,
川;゚ -゚) 「おい、やはり吸収出来てないぞ?」
 
( ´_ゝ`) 「あれ?」 ( ´_>`)
 
( ´_ゝ}{>`)
 
( ´_ゝ`) ( ´_>`)
 
モノは再度吸収を試みるが失敗した。
何度試そうが最後の1対が吸収出来ずにいる。
 
(;´_ゝ`) 「え? どういう事?」
.  _,
川;゚ -゚) 「そんなもの私が知るか。どうしたんだ、いったい?」
 
( ´_>`) 「……」
 
不可測の事態に焦るモノだが、私に聞かれた所で答えられるものでもない。
見たまま、吸収に失敗しているとしか言い様がない。
 
(;´_ゝ`) 「ねえ、ちょっと、そこの俺、どういう事?」
 

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:04:11.89 ID:K4HYRbgdO
 
( ´_>`) 「……」
 
(;´_ゝ`) 「ねえってば、俺──」
 
( ´_>`) 「……違う」
 
(;´_ゝ`) 「……え?」
 
それまで沈黙を保っていたもう1人のモノが口を開いた。
その声はやはり、他のモノと同じ声にしか聞こえない。
 
(´<_` ) 「……俺はお前じゃない」
 
(;´_ゝ`) 「え……、いや、俺は俺じゃん? 同じ──」
 
(´<_` ) 「同じじゃない」
.  _,
川;゚ -゚) 「いや、同じにしか見えないぞ?」
 
口を挟むべきか迷ったが、事の発端を作ったのは明らかに私のハイキックである事は間違いないので見たままの感想を述べる。
形状、顔立ち、大きさ、色、声、どれをとっても同じにしか──
 

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:06:02.27 ID:K4HYRbgdO
 
(´<_` ) 「違う」
 
(;´_ゝ`) 「いや、一緒だよ。俺は俺じゃん」
 
(´<_`#) 「俺はこんなキモくない!」
 
(;´_ゝ`) 「ええー!? いや、うん、キモくないよ、俺? 俺キモくないから、お前もキモくないよ?」
 
川 ゚ -゚) 「いや、キモいだろ」
 
(;´_ゝ`) 「ちょ、そこは否定してよ!?」
 
(´<_`#) 「俺はこいつみたいに1日中、女の子に告白された時の返事リストを考えてるようなキモい奴じゃない!」
 
(;´_ゝ`) 「え? 何暴露しちゃってんの? いや、男なら誰しも考えるよ、ねえ?」
 
川 ゚ -゚) 「それはキモいな……」
 
(;´_ゝ`) 「え? キモいの?」
 

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:10:18.89 ID:K4HYRbgdO

(´<_`#) 「さらに、告白され過ぎた時の相手を傷付けないお断りの言葉リストを一晩中考えてる様なキモい奴と一緒にされたくない!」
 
(;´_ゝ`) 「やっぱ俺じゃん? 俺の記憶持ってんじゃん? いや、だから男なら誰しも──」
  _,
川 ゚ -゚) 「それは完膚なきまでにキモいな。使う機会来ねーよ」
 
(;´_ゝ`) 「え、キモいかな? いや、機会来るよ? 俺長生きだし、生涯1度くらい来るんじゃないかな、うん」
 
もう1人のモノは、数々のキモいモノ前歴を暴露する。
聞いているのが居たたまれない、かわいそうな妄想。
確実に私の中でモノを見る目が変わった。
  _,
川 ゚ -゚) 「こいつ相当キモいわ……」
 
(;´_ゝ`) 「ああ、何かその汚いものを見る眼がちょっとゾクゾクするけど、俺、そんなにキモくないって!」
 
(´<_`#) 「もう沢山だ! 俺は俺だ! お前と一緒になんかなれるか!」
 
(;´_ゝ`) 「え、ちょ、待っ──」
 
そう宣言すると、もう1人のモノは湖とは反対の草原に向かい駆け出した。
突然の事に反応出来ない私とモノを置いて、あっという間に見えなくなってしまった。
 

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:14:08.29 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「見ための割には足速いな……」
 
(;´_ゝ`) 「何悠長に見送ってんの!? 捕まえてよ!?」
 
捕まえろと言われても、急な事で反応出来なかったし、あの速さでは走っても追い付けない。
 
川 ゚ -゚) 「別にいいんじゃないか? 自分自身が違う個体だと主張してるんだし、そもそも捕まえても吸収出来ないんだろ?」
 
簡単には割り切れないだろうが、明らかにあちらの反応はおかしかった。
ここにいるモノと同じモノではないと思える。
今思えば、顔の造りがほんのわずか異なっていた様にも感じられた。
 
私は、起きた現象を自分なりに分析した結果をモノに説明する。
足にあった違和感、恐らく次元の裂け目が影響したのではないかという事を。
 
川 ゚ -゚) 「顔の造りは誤差範囲だが、明らかに反応が異なっていたしな」
 
(;´_ゝ`) 「その誤差範囲すら今まではなかったのだがな。……原因はわかったってか、クーちゃんが原因じゃん? 何でそんな落ち着いてんの?」
  _,
川 ゚ -゚) 「踏めといったのはお前じゃないか、他人の所為にするのか? 元はと言えばお前がキモい所為だろ?」
 
(;´_ゝ`) 「またキモい!?」
 

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:17:11.67 ID:K4HYRbgdO
 
そうは言ったものの、流石に責任はひしひしと感じている。
踏めという言葉に従っただけだが、明らかに私の行動の結果が引き起こしたものだ。
だから真面目に考え分析している。
 
その結果、もう1人のモノが逃亡した所でここにいるモノに何ら影響を与えないと結論付けた。
 
(;´_ゝ`) 「確かにそうかもしれないが、あいつは湖とは反対に行ったんだ」
 
川 ゚ -゚) 「それがどうした? こちら側にはお前がいたから、反対に行くしかなかっただけじゃ──」
 
そこまで言った所で、モノがどんな体質だったかを思い出した。
 
川 ゚ -゚) 「水か……」
 
(;´_ゝ`) 「ああ。そして俺は再生時に水を消費して身体を復元させるんだ」
 
モノは先程の復元でかなり水を消費しているのだろう。
つまり、あのままもう1人のモノが草原をさ迷い続けていれば、そう長くない時間でその生命が危険になるという事か。
 
しかし、それなら死ぬのも吸収するのも同じ結果ではないのかと思う。
死んでもいいと言うのは、少々所ではなく残酷な話だし、初めて見る特異な生命体を前に、考え方が少しおかしくなっている気はするが。
 
私が首を捻りながらそう述べると、モノは複雑な表情を見せ、重々しく首を振った。
 

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:20:08.10 ID:K4HYRbgdO
 
(;´_ゝ`) 「あれが俺ならそれでも良かったかもしれないが、あれは俺じゃない」
 
川 ゚ -゚) 「さっきまではお前自身が自分だと主張していたじゃないか?」
 
(;´_ゝ`) 「ああ、だが見ただろう? あれは俺じゃないんだ。
 
もう1人のモノは頑なにそう主張していた。
理由がいささかキモいものだが、実際キモいのだからもう1人のモノの気持ちもよくわかる。
 
川 ゚ -゚) 「……ああ」
 
( ´_ゝ`) 「俺が俺を拒絶するのは初めてなんだ。あれは俺であって俺じゃない。俺と同質の存在でありながら、俺とは違う方を向いた俺なんだ」
 
違う方向、別れた道を別の方へ歩いたもう1人の自分。モノはそう言った。
分化、いや進化だったのかもしれない。
もう1人のモノは、ここにいるモノから生まれた別のモノなのだと。
 
( ´_ゝ`) 「俺は、ずっと1人だった。元の星でも1人、自分1人で生きていけた」
 
戯れに別れてみても、外的要因の加わらない自分1人の世界では、変化のし様もなく、同じ自分のままだった。
話しても返る言葉は予測出来、考える事も同じ。
何の変化もない、自分1人の世界にずっといた。
 

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:24:03.19 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「……お前が変化を望んでいたなら、何故この星に来た時に他者と接触をしなかったんだ?」
 
別れた状態で、別々に違う人間と行動を共にすれば、その2人は違う考え方を育むに至ったかもしれない。
それでなくても他者と一緒なら、話し相手にもなるし1人でいなくて済むだろう。
 
( ´_ゝ`) 「……俺は誰かに受け入れてもらえたのかな」
 
川 ゚ -゚) 「……なるほど、怖かったというわけか」
 
これまでずっと1人でいたモノだ、他者と接触を図ることに躊躇しても不思議はない。
なまじ知性が高い分、自分が他と比べてかなり特殊な生命体だという自覚もあったのかもしれない。
 
ただ、私から見ればこの世界の住人は皆十分特殊に感じるし、大差ない。
モノは話術にも長けているし、普通に受け入れられたのではと推測される。
結局はツンの見立て通り、臆病なだけだったのかもしれない。
 
しかしそういう葛藤を乗り越えて、私やツンには接触を図ろうとしたのだから、何ともまあ──
  _,
川 ゚ -゚) 「キモいな」
 
(;´_ゝ`) 「え? 唐突に何なの?」
 

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:27:07.39 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「まあいい」
 
(;´_ゝ`) 「いや、俺はあんまりよくないけどね」
 
私は話を切り、マシンの方へ向かい歩き出す。
モノは見捨てられたと思ったのか、慌てた様に呼び掛けて来る。
 
川 ゚ -゚) 「いいからお前は水に浸かってろ。お前自身もだいぶ水は減ってるんだろ?」
 
(;´_ゝ`) 「そうなんだが、あいつを追わないと──」
 
川 ゚ -゚) 「心配するな。私が捕まえて来てやる」
 
(;´_ゝ`) 「え? な、なんでクーちゃんが……?」
 
川 ゚ -゚) 「まあ、大本の原因はお前がキモい所為だとはいえ、私にも責任の一旦はあるからな」
 
私は草原に横倒しにしていたマシンを手に取り、スイッチを入れる。
マシンは快調に空気を噴出し、機体を浮かせる。
 
川 ゚ー゚)b 「私が何とかしてやるから、お前は大船に乗った気でそこで待ってろ」
 

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:30:15.88 ID:K4HYRbgdO
 
私は、マシンに跨り、モノの方へそう宣言した。
このマシンならもう1人のモノに追い付けるだろう。
 
( ´_ゝ`) 「クーちゃん……」
 
川 ゚ー゚)
 
(;´_ゝ`) 「……それ、ちょっとダサくね?」
 
川 ゚ー゚)
 
(;´_ゝ`)
 
川#゚ー゚)
 
・・・・
・・・
 
再びモノを爆散させ、私はマシンを南の方向へ走らせる。
湖のそばだし、干上がる事もないだろう。
 
もう1人のモノはこの方角へ逃げたはずだが、そのまままっすぐ行ったとは限らない。
幸い、この辺りはそこらより背の高い草の生い茂った地帯なので、今の所追跡は容易ではある。
 

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:33:03.91 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「時間的にそろそろ追い付いてもいい頃合だが……」
 
依然としてして草は倒れ、踏み荒らした跡はあるが、もう1人のモノの姿は見当たらない。
リミットは3時間ほど。
モノはそう言ったが、この辺りの草はまだ多少水分を保っていたので、ここから水分を吸収出来ていたら多少は時間が延びるかもしれない。
 
とは言え、生命に関わる問題だ。
甘い見立てはするつもりは無い。
早い所見つけなければならない。
 
川 ゚ -゚) 「どこまで走ったんだ?」
 
湖から南の方へ一直線に草の跡は続く。
元のモノより運動能力も進化したりしているのだろうか。
 
川 ゚ -゚) 「流石にそれはないか……」
 
積み重ねの過程をすっ飛ばして、生き物が急激に進化するのは虚構の世界だけだろう。
進化は必要に応じて、徐々にそれに適応して行くことだ。
であるなら、モノ自身も高い運動能力を有しているのかもしれない。
 
キモさはさて置き、生物としては高い次元の存在だと言える。
 

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:36:05.46 ID:K4HYRbgdO
 
川 - -) (この件が片付いたら、次元の裂け目の発生原因究明に協力を要請してみるか……)
 
もし協力してもらえるなら、心強い存在かもしれない。
キモさは別にして、その知能なら私だけでは思い付かない事も考え付く可能性もある。
単純に人手という意味でも、頼んでみる価値はあるかもしれない。
 
川 ゚ -゚) 「それにはまず、もう1人を見つけ──」( ´_>`)
 
川;゚ -゚) 「あ!?」「!」(´<_` )
 
注意・運転中に目を瞑るのは危険ですから絶対止めましょう。
 
・・・・
・・・
 
川;゚ -゚) 「ああ、その何だ、スマン」
 
(´<_`;) 「うん、流石にね、目は開けて運転しような?」
 
幸いな事に、もう1人のモノはぶつかる寸前に身をかわしてくれたので衝突は免れた。
彼が言う様に考え事をしながらの運転はまずかったと反省しかない。
 

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:38:17.97 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「それでだ、まずは湖に一旦戻ろう。話はその後だ」
 
私は、彼が置かれている状況を説明する。
このままだと数時後には干からびてしまう事を。
しかし彼はそれを拒絶する。
 
(´<_` ) 「断る。あんなキモい奴の所へなど戻れるか」
 
川 ゚ -゚) 「気持ちはよくわかるが、そうしないとお前が死ぬんだぞ?」
 
あの湖でなくてもいいから、兎に角水のある所へ移動する事を主張したが、彼はそれも拒む。
 
(´<_` ) 「それなら好都合だ。あんなのと元が同じだなんて耐えられない」
 
川 ゚ -゚) 「生命は粗末にするなよ」
 
話を続けても、一向に聞く耳を持たない彼だが、やはりモノから受ける印象と多少異なる点がある。
怒っている事を差し引いても、モノよりはだいぶ真面目な考え方で静かな雰囲気を感じさせる。
 
川 ゚ -゚) 「これは私の個人的な印象だが、お前はモノとは別の人間だと思うよ」
 
(´<_` ) 「……俺の事を認めてくれるのか?」
 

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:41:28.91 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「ああ、別に連れ戻して無理矢理合体させようと思っているわけじゃないさ。それに……」
 
(´<_` ) 「それに?」
 
川 ゚ -゚) 「お前はモノの記憶を持っている。モノがお前に対して何を求めているか、気付いているんじゃないか?」
 
(´<_` ) 「俺に……何を……」
 
モノから別れたもう1人のモノ。
別れた時点で物の考え方に差異が出来たとしても記憶は同じだ。
過去にモノがどんな事を考えてきたか、彼もわかっているはずだろう。
 
自分と同じ考え方をしない、自分と似た存在を目にしたモノが、彼に何を求めているか。
いわば双子の兄弟の様な感覚を、彼に覚えたのかもしれない。
 
川 ゚ -゚) 「もちろん、それはモノの考え方であって、お前の考え方ではない」
 
(´<_` ) 「……」
 
川 ゚ -゚) 「だから、話してみて、お前がモノとは合わないと思ったらそれはそれでもいい」
 
(´<_` ) 「……」
 

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:44:04.09 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「戻ろう。モノはキモいがお前の事は本気で心配していた」
 
(´<_` ) 「……あいつが……俺を……」
 
彼は俯き、考え込む。
私は黙ってそれを見守っていたが、そう長くはない時間で彼は答えを告げた。
 
(´<_` ) 「……わかった。一度戻る事には同意しよう」
 
川 ゚ -゚) 「そうか」
 
(´<_` ) 「だが俺は、あいつを認めたわけじゃないからな?」
 
川 ゚ -゚) 「ああ、わかってる。私もあいつはキモいと思うし」
 
(´<_`;) 「あんた、さっきからあいつの事キモいって言い過ぎじゃね?」
 
川 ゚ -゚) 「いや、キモいだろ?」
 
(´<_`;) 「そうかもしれんが、そこまで強調してやることはないだろ?」
 
私はそれには答えずマシンに跨る。
彼は自然とモノを擁護している自分に気付いているのだろうか。
 

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/05/26(火) 00:46:05.25 ID:K4HYRbgdO
 
川 ゚ -゚) 「では、戻ろうか」
 
(´<_`;) 「あんた……それ……」
  _,
川 ゚ -゚) 「皆まで言うな。これは移動手段と割り切っているんだ」
 
マシンに跨る私を見て、彼は人間でいう所の眉を潜めた様な顔を見せた。
いい加減慣れては来たが、やはり恥ずかしい乗り物だ。
 
(´<_`*) 「カッコイイな……」
.  _,
川;゚ -゚) 「ええー!?」
 
私は危うくマシンからずり落ちそうになるが、何とか踏み止まった。
.  _,
川;゚ -゚) 「いや、これ、ダサいだろ?」
 
(´<_`*) 「え? カッコイイよ、それ? 俺にも乗せてくんない?」
 
どうやらもう1人のモノは、だいぶ趣味が悪いらしかった。
 
 
 第10話 了 〜 1つの存在、2つの心 〜
 

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