- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:09:52.69 ID:ysQVAGKYO
-
ダイ14ワ シルコト ヲ エラビ シルコト デ マヨウ セカイ
ξ゚听)ξ 「この先よ」
川 ゚ -゚) 「ありがとう」
前を歩くツンが立ち止まり、前方を指差す。
鬱蒼と茂る木が濃い影を落とし、昼間でもだいぶ暗い様だ。
山の反対側の方が全体的に未開と言うか、草木の成長が著しく、踏み入れ辛くなっている。
川 ゚ -゚) 「ん? ツンは来ないのか?」
ξ゚听)ξ 「ええ、行かない」
この先にいる人物、岩猫がツンは苦手だと言う。
川 ゚ -゚) 「わかった。じゃあちょっと行って来るよ」
ξ゚听)ξ 「私はあの場所に戻ってるから」
そう言うやいないや、ツンは来た道を跳ねながら戻っていった。
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:11:56.86 ID:ysQVAGKYO
-
川 ゚ -゚) 「さてと……」
結局、これといった妙案が思い付かなかった私達は、花のことは一先ず置いておいて、
この山で所在のわかっている人物、岩猫に会いに行く事にした。
川 ゚ -゚) 「危険はないらしいのだが……」
苦手な理由は、その岩猫とやらが陰気な性格で、話していても気が滅入るだけだとツンは言った。
確かにこの場所はどこか重い空気の立ち込めている。
本人の纏う空気の所為で、とまでは言わないが、こんな場所に好んで住んでいるくらいだ。
ツンの感想は概ね正しいのかもしれない。
私は、草を掻き分け、奥に進んだ。
しばらく進むと、また草が低くなり、少し開けた場所に出た。
しかし、先ほどのそれとは違い、花の一輪も咲いていない。
草原と、その先にごつごつとした荒い目の岩場があるだけだ。
川 ゚ -゚) 「失礼する。岩猫と仰る方はこちらに?」
ツンに教わった辺りにたどり着いた私は、前方の岩場に向かい声を掛けた。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:14:27.39 ID:ysQVAGKYO
-
姿は見えないが岩猫というぐらいだ。
この岩場に住んでいるのだろう。
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川 ゚ -゚) 「……いないのか?」
ツンの話では確実にいるし、すぐわかるという話ではあったが、辺りからは何の返事もない。
しかし、ツンがウソをつく必要もないだろうから、もう1度声を掛けてみる事にした。
川 ゚ -゚) 「こんにちは、岩猫と仰る方はこちらにおられますか」
川 ゚ -゚) 「私は、地球から来ました外務省特務大使の素直クールと申します」
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:16:58.17 ID:ysQVAGKYO
-
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川 ゚ -゚) 「む……」
岩肌が揺れ、1つの顔が浮かび上がった。
聞くまでもなく、彼が岩猫だろう。
岩場に住んでいるからではなく、岩そのものだとは思わなかったが。
川 ゚ -゚) 「岩猫さんですね? 私は──」
(,,゚Д゚) 「聞こえてた。だから出て来たんだ」
川 ゚ -゚) 「そうですか。では、いくつかお聞きしたい事があるんですが」
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:19:32.27 ID:ysQVAGKYO
-
(,,゚Д゚) 「次元の裂け目の話か」
川 ゚ -゚) 「……ご存知でしたか」
それならば話が早い。
私は、早速話を聞こうとしたが、その前に堅苦しい口調は止めてくれと頼まれたので、
なるべく普段通りに接する事にした。
川 ゚ -゚) 「どこまで知ってるんだ?」
(,,゚Д゚) 「お前さんの前任、ロマネスクが知ってる事なら大体といったとこか」
川 ゚ -゚) 「じいちゃんを知っているのか」
(,,゚Д゚) 「じいちゃん? ……お前さん、あいつの──」
川 ゚ -゚) 「ああ、孫だ。じいちゃんが世話になった様だな、感謝する」
(,,゚Д゚) 「そうか……お前さんが……」
そう呟くなり、岩猫は黙り込んでしまった。
どことなく、声を掛け辛い雰囲気にどうするべきか迷ったが、意外に早く岩猫の方から話し掛けて来た。
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:22:50.59 ID:ysQVAGKYO
-
(,,゚Д゚) 「わざわざご苦労だったな。こっちに来るのは大変だっただろう?」
川 ゚ -゚) 「いや、まあ、大変と言うか、飛び込んで落ちて来ただけだしな」
(,,゚Д゚) 「そうか? ロマネスクは随分ボロボロになったと聞いていたが」
川;゚ -゚) 「あの人みたいに生身で飛び込んだりすればそうなるかと」
話し始めれば向こうも存外フランクで、じいちゃんの話で盛り上がった。
本人の言葉通り、次元の裂け目や私、地球の事情等、一通りの事は理解している様だ。
川 ゚ -゚) 「岩猫さんは──」
(,,゚Д゚) 「ギコでいいよ。それが俺の名だ」
川 ゚ -゚) 「失礼、ギコは次元の裂け目の発生原因も知っているのか?」
どうやら岩猫、ギコはちゃんと個別の名前を持った種族らしい。
ブーンやツンと同じ様に、星が滅んで自分だけここに辿り着いた口なのだろうか。
(,,゚Д゚) 「……知っている」
川 ゚ -゚) 「ああ、知っているの──」
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:25:13.89 ID:ysQVAGKYO
- . _,
川;゚ -゚) 「え……知っている……のか?」
話の流れに沿い、いつも通り聞いた定型の質問。
答えは予測済みで、否定の言葉を受け取る準備をしていたが、ギコは肯定の答えを返して来た。
知っている、と。
今まで誰一人、この答えを知っている人はいなかった。
じいちゃんの事を知っていたブーンやツン、ワタナベもだ。
だがギコは知っているという。
(,,゚Д゚) 「ああ……」
川;゚ -゚) 「それは、じいちゃんから……?」
(,,゚Д゚) 「……半分はそうかな」
川 ゚ -゚) 「半分?」
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:28:19.35 ID:ysQVAGKYO
-
(,,゚Д゚) 「俺も発生原因だ」
. _,
川;゚ -゚) 「な……」
ギコが言うには、自分の中にある何かしら違和感みたいなものは感じていたという。
その正体が掴めぬまま、日々を過ごしていたが、ある日じいちゃんと会い、調査の話を聞く内に
その答えに辿り着いたらしい。
(,,゚Д゚) 「ロマネスクもその時に知ったからな。だから半分だ」
それだと答えを見つけたのはギコで、じいちゃんは教わっただけのような気もするが、
わざわざ訂正する様な話でもないので、そのまま流しておく。
ギコは、私がじいちゃんからそこの答えを聞いたわけではない事を知ると、
驚くと同時に納得した様な顔を見せ、褒めてくれた。
川;゚ -゚) 「いつからだ?」
(,,゚Д゚) 「多分、この星に着いてすぐだな」
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:31:13.58 ID:ysQVAGKYO
-
少なくとも10年以上は前の事らしい。
驚くと同時に多少の安堵が生まれた。
タイムリミットはそのくらい長い場合もあるらしい。
私は、ギコが感じている違和感についてさらに詳しく聞いてみたが、違和感としか説明のしようもない
という回答に、残念ながら他者への判別の転用は難しいと判断した。
川 ゚ -゚) 「その解消方法は知っているのか?」
(,,゚Д゚) 「一応な」
川 ゚ -゚) 「ならば何故、10年間も放っておいたのだ?」
(,,゚Д゚) 「……お前も解消方法は知っているんだろ?」
川 ゚ -゚) 「む……」
解消方法、それは心的要因からなる問題の解決だ。
つまりは原因となっている悩みを失くせばいいのだが、よくよく考えれば、当人が1人で解決出来る様な
話ではないかもしれない。
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:34:08.68 ID:ysQVAGKYO
-
1人で簡単に解決出来るなら、そもそもそんなに悩まないだろう。
しかし……
川 ゚ -゚) 「10年経っても解消できない悩みなのか?」
(,,゚Д゚) 「……多分、一生無理だろうな」
_,
川 ゚ -゚) 「それでは困るのだがな……」
解消しない、イコール次元の裂け目の発生原因を止められないという事だ。
そのままにされてしまっても困る。
(,,゚Д゚) 「……時が来れば何とかなるさ」
川 ゚ -゚) 「それは例の解放というやつか?」
ギコは無言で頷く。
どうやらそこまで知っているらしい。
ならば……
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:36:22.19 ID:ysQVAGKYO
-
川 ゚ -゚) 「解放されるとどうなるんだ?」
私の質問に黙り込むギコ。
視線を私ずっと私に固定されたままだ。
(,,゚Д゚) 「……知らないのか?」
程なくして沈黙は破られ、探るような声音でギコは言う。
川 ゚ -゚) 「ああ、聞いていないな。地震が起きることは知っているが」
(,,゚Д゚) 「そうか……。俺もそれ以上は知らん」
川 ゚ -゚) 「そう……か……」
恐らくウソだろう。
これまでの話でわかったが、彼はどちらかと言えば正直で実直なタイプの様だ。
沈黙、目線、声音、全てが物語っている。
彼はウソが下手だ。
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:38:27.31 ID:ysQVAGKYO
-
川 ゚ -゚) 「残念だ」
その彼が、ウソをつく理由。
私に知らせたくない事。
想像すればするほど、宜しくない結果しか思い浮かばない。
(,,゚Д゚) 「役に立てなくてすまんな」
川 ゚ -゚) 「いや、いいさ。それは知らなくてもいい事なんだ」
リミットが来る前に、問題を解決させればいい。
それだけの事だ。
何が起こるかは、知る必要がないのだ。
川 ゚ -゚) 「というわけで、お前の悩みを聞かせてくれるか?」
(,,゚Д゚) 「……他人に話すような事じゃないさ」
_,
川 ゚ -゚) 「おいおい、私の役目を知っているのだろう?」
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:41:10.89 ID:ysQVAGKYO
-
(,,゚Д゚) 「ああ、知っている」
だが、話すまでもない事だとギコは言う。
自分1人の問題だから、と。
川 ゚ -゚) 「じいちゃんには話したのだろう?」
(,,゚Д゚) 「……まあな」
川 ゚ -゚) 「……」
(,,゚Д゚) 「……」
再び訪れる沈黙。
睨み合いにも似たこの状況は、きっと今の私では動かす事は出来ないのだろう。
川 ゚ -゚) 「オーケー、わかった。今は置いておくよ」
(,,゚Д゚) 「すまない」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:43:54.63 ID:ysQVAGKYO
-
私は話を変え、他の発生原因の心当たりや、特定の方法など思いつく限りの事を聞いたが、
ずっとここから動いてないらしいギコからは、これといって有益な話は聞けなかった。
川 ゚ -゚) 「ずっとここに?」
(,,゚Д゚) 「ああ、ずっとだ」
ギコはこの星に辿り着いてからずっと、動かずにここにいるという。
川 ゚ -゚) 「食事などはどうしてるんだ?」
(,,゚Д゚) 「取っていない」
川;゚ -゚) 「おいおい、それでお前は大丈夫なのか?」
(,,゚Д゚) 「俺達は丈夫で長命なのが取り柄なんだ」
その言葉自体にはウソはないのかもしれない。
しかし、物には限度があるだろう。
いつかはその時が訪れるはずだ。
ギコにあるはずのリミット同様に。
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:46:52.23 ID:ysQVAGKYO
-
川 ゚ -゚) 「お前は……」
その先を言うべきか迷ったが、私はそのまま口をつぐんでしまった。
じいちゃんは聞いたのだろうな。
ギコがここにいる理由。
恐らく、彼の悩みがここにいる理由であろう事は想像に難くない。
川 ゚ -゚) (私ではまだ、じいちゃんの様にはいかないという事か……)
(,,゚Д゚) 「どうした? 話しはそれだけか?」
川 ゚ -゚) 「ああ、すまない。そうだな、取り敢えずはそんなとこだな」
私は、勤めて平静に振舞い、ひとまず話を終えた。
どの道聞き出さねばならない相手だが、今は引いて置く事にする。
(,,゚Д゚) 「大して役に立てず、すまなかったな」
川 ゚ -゚) 「そう思うんだったら、情報の出し惜しみは止めて欲しいとこなんだがな」
川 - -) 「全く……どいつもこいつも」
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:49:08.13 ID:ysQVAGKYO
-
示し合わせたかの様に、肝心なとこには口が堅い。
割り切ったつもりではあったが、やはり腹が立つことには変わりがない。
(,,゚Д゚) 「何も聞かされずに来たんだったな」
川 ゚ -゚) 「最低限の情報だけだ」
川 ゚ -゚) 「こちらに来たら来たで案内役も同じだ」
(,,゚Д゚) 「案内役……ワタナベとか言ったかな?」
川 ゚ -゚) 「……まあ、一応そうなるのかな」
多少、御幣があるのだが、その辺りのニュアンスの違いは説明する必要はないだろう。
この場合、案内役が情報に制限をかけている事を愚痴っているのだから。
(,,゚Д゚) 「……こちらの事情はわからんが、ロマネスクの意図なら何となくわかるぞ?」
川 ゚ -゚) 「じいちゃんの意図?」
じいちゃんの意図、私が何も聞かされずこちらに来た事、そして日記で具体的なヒントが何1つ
記されてない事だろうか。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:50:44.99 ID:ysQVAGKYO
-
(,,゚Д゚) 「自分で問題を見つけないと、答えを見つけられない」
そんなとこじゃないかとギコは言う。
ロマネスクはそういうやつだったと。
川 ゚ -゚) 「……なるほどな」
じいちゃんらしいといえばらしいが、非常時にそれは悠長な話ではないのかとも思う。
問題をあらかじめ知らされていても、答えを見つけられないのなら意味がないのもわかるが。
それにしても……
川 ゚ -゚) 「それならそう言えばいいだろうに……」
言ってくれればそういう方向で努力する。
文句も言わず問題を探していたはずなのに。
(,,゚Д゚) 「……言わずとも、気付くとわかってたんじゃないかな?」
川 ゚ -゚) 「……私がここに来るとは限らなかったんだぞ?」
若干不貞腐れ気味でギコに言葉を投げつける。
この件に関しては、ギコに罪はないのだからいい迷惑だろう。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:53:13.17 ID:ysQVAGKYO
-
しかしギコは、変わらぬ表情のまま、淡々と口にする。
(,,゚Д゚) 「それも、わかってたのかもしれない」
川 ゚ -゚) 「……」
ギコは随分とじいちゃんを気に入っているようだ。
淡々とし過ぎて、ほとんど感情の起伏を感じさせないギコだが、じいちゃんの話をする時だけは
わずかながら嬉しそうな雰囲気を感じられる。
そしてじいちゃんの事をよく理解している。
川 ゚ー゚) 「そういう事にしておこうか」
私はギコに軽く笑顔を向け、ここを辞する事にした。
1度戻ってツンと少し相談しようかと思う。
動くにはもう少し情報が欲しい。
川 ゚ -゚) 「……邪魔したな。色々聞けて助かっ──」
その刹那、頭上から何かが飛来した。
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:55:15.47 ID:ysQVAGKYO
-
川;゚ -゚) 「な──!?」
 ̄\,/\ ,/ ̄\/,\ ,,/\/~ ̄ヽ
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_,
川 ゚ -゚) 「……って、花火か。脅かすなよ」
岩場の上から降ってきたのはあの花火だった。
飛び降りてきた花火はこちらに目もくれず、一目散に走り去っていった。
方角からすると、先ほどの花畑の方角の様だ。
(,,゚Д゚) 「花火? オワタの事か?」
川 ゚ -゚) 「オワタ?」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:57:41.85 ID:ysQVAGKYO
-
ギコの話によると、あの花火はオワタという名前らしい。
正確には、個人名ではなく種族名の様だ。
さらに驚くべき事に、あれは花火の様に弾けても別に死んだりとかしてるわけじゃないとの事だ。
(,,゚Д゚) 「粒子状になってまた再構成されるんだ」
川;゚ -゚) 「そうなのか? しかし、何でまた……」
どうやら、この岩場の上で再構成して、またあの場所まで走り、そしてまた弾ける工程を繰り返しているらしい。
その意図は全くわからないが、ギコが言うには生存本能的な何かじゃないかという話だ。
(,,゚Д゚) 「一説には求愛行動とも言われているが、あれが複数で行動してるのは目撃された事はない」
_,
川 ゚ -゚) 「あれは宇宙では一般的な生き物なのか?」
それなりに研究された生物らしいが、それほどメジャな生物でもない様だ。
しかし、ギコがそれを知っているという事は、1つの推測が浮かび上がる。
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/02(木) 23:59:03.53 ID:ysQVAGKYO
-
川 ゚ -゚) 「詳しいな。研究職でもやってたのか?」
(,,゚Д゚) 「……まあな」
それっきり、会話は続かず、私は今度こそ、ギコの前を辞した。
去り際に、花火……オワタの走行ルートには気をつけろとの助言を残して、ギコはまた、岩の中に潜っていた。
・・・・
・・・
ξ゚听)ξ 「おかえり」
(*゚ー゚) 「おかえり、クー、おかえり」
川 ゚ -゚) 「ただいま」
花畑に戻ると、ツンが花のそばに座って2人で出迎えてくれた。
ツンと花はどうやら仲良くなったらしい。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:01:25.91 ID:nd/NtjuXO
-
ξ゚听)ξ 「どうだった?」
川 ゚ -゚) 「まあ、ぼちぼちかな……」
ツンには次元の裂け目の発生原因の話はまだしていない。
ツン自身が発生原因の可能性もあるからだ。
本人に告げる事が、どういった影響を及ぼすかわからない今、無闇に話すのは控えている。
恐慌や自棄等、危険な反応を示さないとは限らない。
今の所、話しているのは確実に解放された事がわかっている兄者達だけだ。
そういった経緯で、ギコが発生原因の1つである事は伏せ、じいちゃんの話やオワタの話などいくつか得られた
情報をツンに説明した。
ξ゚听)ξ 「へー、あれ、オワタっていうんだ」
┗(^o^ )┓
┏┗
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:03:15.01 ID:nd/NtjuXO
-
ツンの台詞に呼応するかの様なタイミングで駆けて来たオワタは、再び青空に舞い上がり、弾け飛んだ。
ティウン ティウン
◎
◎ ◎
◎ ◎ ◎
◎ ◎
◎
(*゚ー゚) 「花火、オワタ、綺麗」
川 ゚ -゚) 「本能で行動しているらしいから、あいつの前に立つとぶつかって危ないらしいから気を付けろよ」
ξ゚听)ξ 「そんなヘマしないわよ」
花は走行ルートから外れている様だから、何らかの原因でオワタの走行ルートが変わらない限りは大丈夫だろう。
私は、花火が掻き消えた空を眺める花を横目に、ツンに話しかける。
川 ゚ -゚) 「それで、あのギコだが、何であんなとこに引き篭もってるのか知らないか?」
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:06:07.09 ID:nd/NtjuXO
-
ξ゚听)ξ 「さあねぇ……。興味ないから知らないわ」
ツンは話しかけたりコミュニケーションを図る努力はしてみたらしいが、どうにもギコの反応が重く、辛気臭いので
近寄らなくなったらしい。
1人にして欲しい節も見られたので、放っておく事にしたと。
川 ゚ -゚) 「まあ、わからんでもないが」
ただ、ギコはじいちゃんとは仲が良かった様だ。
人間嫌いというわけではないと思う。
じいちゃんの目的を知ったからなのかもしれないが。
現にじいちゃんの様にまでは行かずとも、私にもそれなりに反応は返してくれた。
ξ゚听)ξ 「ロマね……」
ツンは考え込む様に腕を組み、目を閉じる。
風に全くそよがない髪が、普通のそれではない事を思い出させる。
ξ゚听)ξ 「普通に考えれば、この世界の問題を解決しに来てくれたんだから、協力はするわよね」
川 ゚ -゚) 「よっぽどの面倒くさがりでもなければ、皆概ね反応は好意的だな」
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:09:05.38 ID:nd/NtjuXO
-
ξ゚听)ξ 「私の受けた印象では、あれは面倒くさがりというよりは、色々諦めちゃってる感じよね」
川 ゚ -゚) 「うん……それは私も少し……」
世捨て人、そういった表現が1番しっくり来る。
ξ゚听)ξ 「となると、この世界がどうなろうと知ったこっちゃないんじゃないの?」
川 ゚ -゚) 「だが、私にはそれなりに好意的に接してくれたぞ?」
そこに矛盾が生じる。
どうでもいいなら、最初から出て来なくてもいいわけだ。
ξ゚听)ξ 「そこでロマよ」
川 ゚ -゚) 「じいちゃん?」
ツンの推察では、ギコが私に協力したのはじいちゃんへの義理立てからではないかという事だ。
確かに、そんな感じもしなくはなかったが、それにしたって、まずそのじいちゃんとの接点が問題だ。
この世界がどうでもいいのであれば、じいちゃんにも協力しなかっただろう。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:12:09.76 ID:nd/NtjuXO
-
ξ゚听)ξ 「だから、その接点よ」
ξ゚听)ξ 「ロマとギコの接点がわかれば、ギコがあの場所にいる理由も少しはわかるんじゃないの?」
川 ゚ -゚) 「なるほど……」
ツンの推論は頷ける話ではある。
その線から考えてみる価値はありそうだ。
じいちゃんとの接点、じいちゃんの側から調べてみるか。
川 ゚ -゚) 「ありがとう、助かったよ」
ξ゚听)ξ 「別に大したことはしてないわよ」
川 ゚ -゚) 「やはり時には、誰かしらと話して情報を整理することも必要だな」
また頼む、とツンに軽く頭を下げると、ツンは少し照れたように手を振ってそれを遮った。
ξ*--)ξ 「こ、この世界に住む者の義務として協力してるだけよ」
川 ゚ -゚) 「それでも助かってるからな。感謝してるよ」
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:15:30.23 ID:nd/NtjuXO
-
尚も照れるツンに少し微笑ましい気持ちになり、視線を花の方に向けた。
花もこちらをじっと見ている。
柔らかい笑顔を湛えて。
川 ゚ -゚) 「よし、じゃあ、私は一旦家に戻るよ。調べたいことが出来たんでな」
ξ゚听)ξ 「あらそう? 気をつけて帰りなさいよ」
またいつでも来いとツンは言う。
願わくば、彼女が発生原因でないことを祈りたい。
(*´へ`) 「クー、行っちゃう? クー、いない、寂しい」
川 ゚ -゚) 「そう言われるとすまない気もするが、私もやる事があるのでな……」
そう長い時間話したわけでもないのだが、いつの間にか私は花に気に入ってもらえていたらしい。
人に、と言うか花にだが、好かれる事は悪い気はしない。
花というのも味気ないので、本人が望むなら何か名前を考えてやるか。
ξ゚听)ξ 「クーはお仕事なのよ。無理言わないの」
(*゚ー゚) 「私、ついて行く、私、お仕事、手伝う」
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:17:56.45 ID:nd/NtjuXO
-
ξ゚听)ξ 「あんたは動けないでしょうが……」
呆れた様に言うツンに、少し膨れたように見える顔をみせた花は、しきりに頭を振り、動こうとしている様だ。
川;゚ -゚) 「あんまりやると折れるんじゃないか? その辺にしておけ」
(*´へ`) 「むー……」
ξ゚听)ξ 「全く……私がここにいるから、私で我慢しなさい。クーもまた来てくれるから」
川 ゚ -゚) 「すまないな。きっとまた来るから」
(*゚ー゚) 「わかった、クー、待ってる。ツン、ありがとう」
川 ゚ -゚) 「それじゃあ、またな。ツン、色々助かったよ」
ξ゚听)ξ 「気にしなさんな。またね」
(*^ー^) 「またね、クー、またね」
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:20:29.31 ID:nd/NtjuXO
-
私はツンと花に見送られ、山を後にした。
取り敢えずの指針が定まった事により、足取りは軽い。
麓に放置していたマシンはそのまま横たえられていた。
今思うと無用心かもしれなかったが、人気のない場所だ。
これに接触してきてくれる何かがいた方が話しは早いかもしれない。
川 ゚ -゚) 「さて、戻ってじいちゃんの……」
ヽ(><)
. ( )⊃
. ∪∪
川 ゚ -゚) 「……」
( ><)「……」
遠目からは気付かなかったが、マシンのそばにそれはいた。
それと言うか、明らかにあれだが。
川 ゚ -゚) 「いや、今更看板のフリは……ってか、今日はちっさいな」
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/07/03(金) 00:24:23.11 ID:nd/NtjuXO
-
(;><)「ち、ちっさいってなんですか!?」
いつものトーテムポール三人組のビロードだけがそこにいた。
三人揃っているとそれなりに高いが、1人だけだとかなり小さい。
毎回看板のフリをする意味がわからんが、それよりも何故単体でいるかが問題だ。
川 ゚ -゚) 「今日は1人なのか? 他の2人はどうした?」
( ><)「……」
川 ゚ -゚) 「……ん? どうした? 何かあったのか?」
( ><)「……クーも僕はあの2人とセットに見てるんですか?」
川;゚ -゚) 「突然どうした? いや、お前ら仲良しだって自分で……」
><;)三 「な、何でもないんです!」
川;゚ -゚) 「お、おい!?」
ビロードは突然の叫びと共に草原の方へ走り出した。
第14話 了 〜 ただそこで、待つのは終わりかそれとも 〜
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