- 266 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 02:41:25 ID:.egkFbU20
( ^ω^)ブーンは魔王を倒すつもりはなかったようです 第四章
.
1 翌日、ジョルジュからの電話があった。
2 翌日、弟者からの電話があった。
3 翌日、謎の着信があった。 ※書き込みの時間末尾の数値が奇数で『呪い』偶数で『祝い』
4 特に用事もなかったので、外を出歩く事にした。
5 自由記述(行動)
安価
>>267
- 267 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 02:46:23 ID:gnW9ocMI0
- 3だあ!
- 270 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 23:33:05 ID:AqDGUDU.0
翌日、謎の着信があった。
( ^ω^)つ【】「非通知? 誰だお?」
出るべきか少し悩んだが、僕は出た方が良いのだろうなという結論に達していた。
現状を考えれば理由は必然的に付く。
( ^ω^)】「もしもし?」
【】<「──ザザ────ザー──」
相手は電話から離れた位置にいるのか、やけに音が遠い。
電波状況も悪いらしく、ほぼノイズしか聞き取れない。
今の携帯電話の電波事情を考えると、こんな町中でここまで悪い電波状態はそうそうないだろう。
( ^ω^)】「……いたずらかお?」
【】<「──ザ-ザザ────ザザー──も────」
( ^ω^)】「も?」
- 271 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 23:39:46 ID:AqDGUDU.0
諦めて電話を切ろうとした僕の耳に、ようやく聞き取れる言葉が届いた。
ノイズまみれで聞き取り辛いが、誰かが何かをしゃべっているらしい事はわかった。
【】<「──ザ-─も─ザザー──ち────」
( ^ω^)】「……」
【】<「─ザザ-─も─ザザー──ち─ら──ザザー─ザザザ──く─ザ--------」
( ^ω^)】「も・ち・ら・く?」
何とかそれだけ解析したが、それ以上の言葉はノイズがひどすぎてわからない。
それだけしか言っていないのかもしれないが、判断は付かなかった。
僕は諦めて電話を切る。
( ^ω^)「もちらく……」
再度聞き取れた言葉を口にするが、心当たりのある言葉ではない。
念のため、辞書も引いてみたが該当する言葉は見当たらなかった。
- 272 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 23:48:06 ID:AqDGUDU.0
( ^ω^)「何かの呪文かお?」
色々な可能性を想像してみたが、流石にこれだけでは見当のつけようもない。
それに、この言葉以前に考えなければならないこともある。
まず、あの電話が何だったのかという事。
電話の相手にしろ目的にしろ、謎の言葉よりも更に、僕にはわかりようのない話だ。
ただ、多少の思い当たる余地はないでもない。
それが得体の知れない非通知の電話に出た理由でもあるのだが。
( ^ω^)「最近、僕の周りで奇妙な事が起こりすぎてるおね」
同窓会での話した人の名前を覚えていなかったり、呪いのゲームに謎の電話と明らかに不自然だ。
何かしら僕に、もしく僕の周りの誰かに何か異常な事態があったと見るべきなのだろう。
この調子で行けば、また何か奇妙な事が起こる気がする。
予感というよりは、最早確信に近い思いだ。
- 274 :名も無きAAのようです:2011/09/11(日) 23:56:14 ID:AqDGUDU.0
( ^ω^)「……どうするかお」
選択肢はそう多くない。
僕自身の好みから行けば、放置してニート生活を満喫するというのが一番理想だ。
だが、そういう訳にもいかないのだろう。
あのゲームの例を考えれば、事は僕だけの問題ではない。
誰かを巻き込んでしまう可能性がある。
いくら他人との接触は少ない僕とはいえ、ゼロではないのだ。
僕自身はどうでもいいとしても、僕の事を心配してくれたりしているお人好しは巻き込みたくない。
そう考えると、やっぱり弟者の所でゲームを起動しなくて良かったと思う。
差し当たってを考える上で誰かの意見は聞きたくもあるが、深い所で関わらせるのは避けるべきだろう。
( ^ω^)「自力で何とかするお」
僕はそう結論付け、立ち上がる。
- 276 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:04:15 ID:vnoHoJxs0
( ^ω^)「……具体的な案が何もない件」
勢いで立ち上がりはしたが、これから何をするのかは何も決まっていない。
いくつか思い付く事はあるが、それが最善手かどうかはわからない。
( ^ω^)「ま、とにかく思い付く所からしらみ潰しに当たって行くかお」
どうせ気ままなニートの身。
時間だけは存分にあるのだ。
何でもやってみようという結論に達した。
( ^ω^)「……何だかおかしな話だおね」
僕は不意に、笑い出したい気分になっていた。
実際に微笑んでしまっていたかもしれない。
( ^ω^)「全てがどうでもいいって思ってたはずの僕はどこへ行っちゃったんだろうおね」
僕にしては前向きの珍しい考えが湧き出てくる事が不思議でしょうがなかった。
選べる選択肢の中には、自堕落なニート生活を続けるというものもあったというのに。
- 278 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:13:54 ID:vnoHoJxs0
( ^ω^)「ああ、そういえば言われたおね、現状に満足していないって」
同窓会の時、名も知らぬ彼女に言われたこの言葉。
僕の答えはだいぶ茶化したものだったけど、彼女には見透かされていたのかもしれない。
僕が本当はどうしたかったのかを。
心の奥底にある後悔を。
( ^ω^)「あの時の僕がこんな気持ちになれていたなら、今頃僕は……」
ふと僕は、今のヒキニート生活の発端となったあの事を思い出していた。
あの時僕が、などと仮定の話を今さらしてもどうしようもない事だけど。
( ^ω^)「今はその話はいいお。でも……」
この件が終わったら、少しは変われるかもしれない。
漠然とだが、僕はそう感じていた。
- 279 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:26:42 ID:vnoHoJxs0
( ^ω^)「しかし、今度は電話かお」
僕は横道にそれ過ぎていた思考を戻し、さっきの電話について考えていた。
( ^ω^)「あれが呪いのゲームだとすると、さしずめ今度のは呪いの電話というところかお」
呪いのゲーム同様、呪いの電話という響きもありがちなものに聞こえる。
呪いの電話で真っ先に思いつくものといえば、
( ^ω^)「やっぱりメリーさんかおね」
メリーさん。
有名な都市伝説の一つだ。
最初にど電話でこどこにいると居場所を告げて、その後、着信があるたびどんどん近付いて来るあれだ。
ただ僕は、最後にすぐ後ろまで接近された時どうなるのか覚えてない。
色々とギャグにされてたネタの方が面白くて覚えてるくらいなので、あんまり恐怖を感じない。
( ^ω^)「高層マンションで息切れするパターンとか、屋上で外に背を向けて立つやつとか」
( ^ω^)「私メリーさん。今、こやりの上でアルペン踊りを踊ってるの、とか」
余談だが、僕は昔、こやりを子ヤギだと思っていて、メリーさんはなんて鬼畜なのだろうと誤解していた。
アルペン踊りがどんな激しいダンスかは知らないけれど。
- 280 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:40:39 ID:vnoHoJxs0
それはともかく、呪いの電話だが、さっきの感じだとメリーさんっぽくはなかったと思う。
どちらかといえば、ジョルジュに話した呪いのゲームの元ネタの呪いのあれっぽい感じだ。
流石に携帯電話からは出てはこないだろうけども。
( ^ω^)「うーん……、もう少し考えるべき点を絞るかお」
誰が電話をかけてきたのか。
目的は何なのか。
もちらくという謎の言葉は何なのか。
( ^ω^)「先の二つはこれまでの全部の事に当てはまるおね」
呪いのゲームについても、それから彼女の名前を忘れた事についても、理由やその先にいる誰かはわかっていない。
名前忘れた件については、当然彼女の存在がもっとも疑わしいものにはなるのだが、やはり理由、意味がわからない。
( ^ω^)「この謎の言葉が一番具体的な取っ掛かりかもしれんね」
聞き取れた部分だけを解析してみてもいいかもしれない。
辞書には載っていない言葉ではあったが、何かしらの場面で意味を持つ言葉である可能性もある。
- 281 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 00:56:22 ID:vnoHoJxs0
( ^ω^)「ま、とにかく何か試してみるお」
単なる調査や考え事なら誰かに手伝ってもらうのもありかと思うがどうしよう。
そういえば、ジョルジュに同窓会の幹事からの連絡の話もまだどうなったか聞いていない。
先にそっちを聞いてみるのもありかもしれない。
それと、一応弟者に昨日の件を謝罪しておく必要もあるだろうか。
むしろこっちが謝罪して欲しいぐらいの無駄足を踏まされた気もするが、
あの時の弟者が示した考え方自体は念頭に置いておいてもいいかもしれない。
僕は……
1 まずはジョルジュに電話で同窓会の件がどうなった聞いてみる事にした。
2 謎の言葉について考える事にした。
3 ふと思い立って、謎の電話にリダイヤルしてみる事にした。
4 取り敢えず弟者に電話してみた。
5 弟者の話を思い出し、自分自身の番号に電話をかけてみる事にした。
安価
>>282
- 282 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 01:14:48 ID:QsXj5Sus0
- 2
- 283 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 01:32:38 ID:vnoHoJxs0
謎の言葉について考える事にした。
( ^ω^)「一番調べやすそうだしね」
この手の謎の言葉、いわゆる暗号のようなものはある程度決まった考え方がある。
あまり暗号に詳しいわけではないが、何かの法則性に基づいて言葉を置き換えたり、単純に並べ替えたりと、
やれる事は僕の知識でもいくつかは思い付く。
( ^ω^)「もちらく……これをこうすると……」
僕は……
1 謎の言葉を漢字に置き換えてみた。
2 謎の言葉をアルファベットに置き換えてみた。
3 謎の言葉を携帯電話のキーに当てはめてみた。
4 謎の言葉を意味が通るように並べ替えてみた。
5 暗号の基本といえば“たぬき”だ。
安価
>>284
- 284 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 01:54:12 ID:mDM06MPIO
- >>283
4
- 285 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 02:09:47 ID:vnoHoJxs0
謎の言葉を意味が通るように並べ替えてみた。
( ^ω^)「短い言葉だから、まずは全パターン書き出してみるかお」
もちらく もちくら もらちく もらくち もくちら もくらち
ちもらく ちもくら ちらもく ちらくも ちくもら ちくらも
らもちく らもくち らちもく らちくも らくもち らくちも
くもちら くもらち くちもら くちらも くらもち くらちも
( ^ω^)「この二十四パターンだおね」
この中に何かを連想させるような怪しいものはあるだろうか。
1 ○○(※二十四パターンから選択)が○○だ(※理由、または連想させるものを自由記述)
2 これはどうも違うようなので、>>283の○番を選び直す
安価
>>286
- 286 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 02:40:23 ID:mL9D7jo20
- 2
- 287 :名も無きAAのようです:2011/09/12(月) 09:29:19 ID:H7nEL2HYO
- >>286
それだと足りなくないか?
○番まで書かないと
選び直しの番号 3
余計なお世話ならスルーしてくれ
- 304 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 00:03:48 ID:ZXJ63.eA0
( ^ω^)「うーん……これは何か違うかもしれんね」
並べ替えてみた所、いくつか気になる言葉はあったが、どれも決め手にかける。
漢字にすると『地区』や『拉致』、『倉』等、それっぽい言葉も浮かびあがるが、
今回の件でそれらの言葉から連想されるものは今の所なかったのではないだろうか。
『倉持』の様に人名とも取れるものもあるが、これもまた該当者が思い当たらない。
( ^ω^)「この考え方は一度捨てて、別の方向から考えてみるお」
次に僕が着目したのは携帯電話のキーだ。
携帯電話の文字入力は、数字キーを指定回数押す事で入力出来る。
それを逆に考えれば、文字から押した数字のキーの回数がわかるのだ。
( ^ω^)「まず、『も』は『7』を五回だお」
- 305 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 00:11:22 ID:ZXJ63.eA0
同様に考えて
『ち』は『4』を2回。
『ら』は『9』を1回。
『く』は『2』を3回。
( ^ω^)「それを並べると……」
77777449222
( ^ω^)「……」
僕は出来上がった数字をじっと見詰める。
思った以上にわけのわからない数字だというのが素直な感想だ。
( ^ω^)「これも何か違う気がするお」
桁だけ見れば携帯の電話番号と考える事も出来るが、並びがありえないほど変だ。
それとも、何かの暗証番号みたいなものだろうか。
( ^ω^)「うーん……根本的な所で何かおかしい気がするお」
- 306 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 00:17:16 ID:ZXJ63.eA0
そもそも、何故携帯のキーに変換してみようとしたのかを考え直してみる。
答えは簡単で、今時電話をかけるなら携帯からだろうという安易な発想からだ。
しかしこれを呪いの電話だとするなら、向こうは今時もへったくれない悪霊みたいなものなのだ。
携帯電話云々の発想は間違っているかもしれない。
そもそも、音声だった物を文字として解読しようとしているのがおかしいと言われたらそれまでだが。
( ^ω^)「でも、こういう可能性もあるおね」
僕が思う可能性、これが呪いの電話ではないとしたらというものだ。
例えば悪霊などではなく、理性的な人間がこれを行っているとしたら?
掠れた声もひどいノイズも仕組まれたものだとしたら?
やはりあの言葉に何かしらの意味を持たせている事は考えられる。
( ^ω^)「ま、今は暗号の可能性の方を追求してみるかお」
理屈ではない呪いの方は考えた所で答えは出ない可能性が大きいし。
- 307 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 00:25:01 ID:ZXJ63.eA0
( ^ω^)「それでも文字として解読するとしたら、他に考えられるのは……」
仮にキーに変換するという考えを維持するとしたら、次に考慮するのは向こうの端末だ。
しかし、固定電話なら数字しかないのでキーという概念は適用出来ない。
( ^ω^)「これも違ったかもしれんね」
発想の方向はあっている気がしたのだが、解読は出来なかった。
ここは潔く別の方法を試すべきか、それとも……
( ^ω^)「「1 うん、これも間違いだお。別の方法を試すお
2 いや、まだ電話といえばあれがあるお
3 てか、いつから推理ゲームになってたんだお 」
安価
>>308
- 308 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 01:08:32 ID:twF4W7U60
- 2
- 311 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 23:52:43 ID:imGEtJ6g0
( ^ω^)「いや、まだ電話といえばあれがあるお」
昔は電話といえば固定電話しかなかったが、今の時代携帯電話もあるし、他にもかけられる電話がある。
それは……
( ^ω^)「ずばりPCだお」
PCならば暗号をキーに対応させて考えるのは適しているだろう。
僕はPCに向かい、電源を入れてメモ帳を起動する。
そして早速例の言葉を入力してみる事にした。
( ^ω^)「motiraku……うん、ローマ字入力だと変わんないおね」
( ^ω^)「じゃあ、ひらがな入力なら……」
( ^ω^)「『も』は『m』、『ち』は『a』……」
( ^ω^)「『ら』『o』、『く』『h』……これは……」
- 312 :名も無きAAのようです:2011/09/13(火) 23:59:07 ID:imGEtJ6g0
『maoh』
ようやくそれらしい言葉が浮かび上がった。
しかもこの言葉は僕もはっきりと聞き覚えがある。
( ^ω^)「『maoh』、『魔王』って事かお……」
聞き覚えがある所か今回の件の発端とも言える、最初に体験した不思議な事で耳にした言葉だ。
( ^ω^)「偶然……と考えるには出来すぎていると見るべきだおね」
やはり僕は発端を、彼女の名前を思い出さねばならぬようだ。
だいぶ回り道をした気もするが、結局はそこに、彼女に繋がった。
安価と書いて無意識に僕は彼女に繋がる道を避けていたが、本当はわかっていたのかもしれない。
ここ最近の不可解な事が起こり始めた原因が彼女にある事に。
その事に対する得体の知れない思いが、答えから目を逸らさせていたのだ。
( ^ω^)「結局、彼女を探さないと始まらないし終らないという事かおね」
- 313 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:07:53 ID:6lRRTt0Q0
今更ここで引き返すわけにも行かないのだろう。
引き返せば、また先ほどの電話のような不可解な事象が起こり続けるだけだ。
僕はそれを止めねばならない。
( ^ω^)「まずはジョルジュに電話だお」
僕は携帯電話を手に取り、ジョルジュに電話をかけた。
幸い、大学の授業は休み時間だったようで、すぐにジョルジュは電話に出てくれた。
【】<「おう、ブーン、どうした? この時間にお前から電話なんて珍しいじゃねえか」
( ^ω^)】「おいすー。ちょっと聞きたい事があったんだお」
僕は以前連絡を取ってもらった、同窓会の幹事の話がどうなっているか尋ねる。
【】<「今日この後名簿借りられる事になってるから、受け取ったらお前の家に行くわ」
( ^ω^)】「サンクス。頼むお」
【】<「……」
- 314 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:16:45 ID:6lRRTt0Q0
( ^ω^)】「どうしたお?」
【】<「いや、捻りも何もなしに礼を言われると何か調子狂うと言うか……」
( ^ω^)】「ならば礼は言わん。とっとと持って来やがれお」
僕はそう言い放つと電話を一方的に切った。
あまり真面目な態度で接すると逆に心配されそうなので、ジョルジュにはもう少しいい加減に振舞う必要があるだろう。
名簿は持って来てもらうが、それ以降の彼女の事についての相談はどうするべきか。
( ^ω^)「名簿はジョルジュも見るおね、きっと」
本来なら自分だけで何とかしようと思っていたのだが、いっそ全て話して協力を仰いだ方がいい気もする。
勿論、危険のない範囲で。
( ^ω^)「とはいえ、どう考えても僕よりジョルジュの方が荒事向きなんだおね」
僕がこの調査で危険な場面にぶち当たったら、きっとジョルジュは助けてくれるのだろう。
調査の事を話していようがいまいがだ。
ならばちゃんと話しておくのが筋かもしれない。
- 315 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:23:47 ID:6lRRTt0Q0
どうするべきなのか決められないまま時間は過ぎ、大学の授業を終えたジョルジュが家に来た。
_
( ゚∀゚)「よう、久しぶり」
( ^ω^)「数日前に会ったばっかだお」
僕はジョルジュを部屋に招き入れ、早速名簿を受け取った。
_
( ゚∀゚)「飲み物は出ないの?」
( ^ω^)「多分冷蔵庫に何か入ってるお」
_
( ゚∀゚)「セルフサービスだと……?」
( ^ω^)「ついでに僕の分も頼むお」
勝手知ったるなんとやらで、ジョルジュは僕の分の飲み物も手に部屋に戻って来た。
( ^ω^)「麦茶しかなかったのかお?」
_
( ゚∀゚)「それを俺に言うなよ」
- 316 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:33:38 ID:6lRRTt0Q0
ジョルジュが飲み物を取りに行っている間に、名簿をざっと眺めてみたが、何となく見覚えのある名前しかない。
顔はすぐに思い浮かばないが、思い出も何もないのに意外と覚えているものだと妙な部分で感心した。
_
( ゚∀゚)「で、どうよ?」
( ^ω^)「聞くまでもなくわかってるお?」
この名簿の中に彼女の名はない。
それは既に名簿を見たジョルジュもわかっているはずだ。
_
( ゚∀゚)「まあな。そこに乗ってるやつらの顔は全員わかるからな」
( ^ω^)「期待はずれだおね」
_
( ゚∀゚)「当てが外れたな」
簡単にわかるとは思っていなかったが、全くヒントがないというのも想定外だった。
何かしらの痕跡ぐらいはあるとよかったのだが。
_
( ゚∀゚)「ちなみに、会費はちゃんと足りてたそうだ」
- 317 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:40:00 ID:6lRRTt0Q0
( ^ω^)「この名簿分って事かお?」
_
( ゚∀゚)「いや、名簿プラス一だな」
どうやらあの日ちゃんと出席人数を数えてた人間はいたらしい。
名簿の人数ではなく、実際にいた人数で支払いやら何やら対応したようだ。
後日確認した時、名簿の人数が一人少ない事には気付いていたらしいが、
誰かが書き忘れたのだろうとそれほど問題にしなかったという事だ。
( ^ω^)「……って事は、彼女の姿は僕ら以外も見たって事かお」
_
( ゚∀゚)「ああ、それも確認した。お前と話していた女の姿を見たやつはいた」
当然、そいつも彼女の事はわからなかったらしいとジョルジュは続ける。
( ^ω^)「知らない人間がいて気にしなかったのかお」
_
( ゚∀゚)「知らないんじゃなくて、忘れていると判断したんだろうな」
知っている人間と、この場合は僕の事のようだが、自然に話している人間なら同級生なのだろうと判断されたようだ。
- 318 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:50:20 ID:6lRRTt0Q0
( ^ω^)「ったく、適当に判断すんなお」
_
( ゚∀゚)「他人の所為にすんなよ。お前が覚えていれば話は早かったんだから」
ジョルジュはそう言うが、名前だけ覚えていても簡単に探せるとは思えない。
精々知っている人がいないか聞いて回れるぐらいだろう。
( ^ω^)「住所か何かあればよかったのに」
僕はその手にあった名簿をひらひらと振り、ジョルジュに返す。
_
( ゚∀゚)「そうだな。しかし何とも妙な話だ」
( ^ω^)「……まあ、妙なのは最初からだお」
少し言い淀んでしまった僕に、ジョルジュが意味ありげな視線を向けてくる。
多分一度はもういいと投げ出した件を、再び熱心に調べだした事で何かあったのだと察しているのだろう。
妙に積極的に動いたのもまずかった。
_
( ゚∀゚)「……で、あれから何があった?」
( ^ω^)「特に何も……と言っても信用しないおね」
- 319 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 00:58:11 ID:6lRRTt0Q0
- _
( ゚∀゚)「ああ、ウソだろうからな」
そう言い切るジョルジュに、僕はため息で答える。
付き合いが長いというのも考え物だ。
( ^ω^)「その分だと、弟者とも話したのかお?」
_
( ゚∀゚)「向こうから電話あったよ」
弟者に口止めすべきだったかと後悔したが、ああいう別れ方をしたのでは口止めも何もする暇はなかったから仕方がない。
それ以前に一人で行ったのもまた妙に心配させてしまったかもしれない。
一応、心霊現象の話なのでジョルジュを伴わない理由にはなってたと思うが、考えが甘かったか。
( ^ω^)「話すだけは話すお」
どう判断するかは任せると前置きし、僕はあの呪いのゲーム騒動以降にあった事をジョルジュに説明した。
_
(;゚∀゚)「あー、あれやっぱ見間違いじゃなかったのか」
( ^ω^)「正直すまんかった」
- 320 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 01:07:01 ID:6lRRTt0Q0
自分が既に心霊現象に遭遇していた事は、その手の事象が苦手なジョルジュにとってショックは大きかったようだ。
ジョルジュは身震いしをして、その後何かを振り払うように首を大きく振った。
( ^ω^)「それで電話の言葉を解読した結果、彼女の存在に戻って来たって話だお」
_
( ゚∀゚)「なるほどな、それで名簿か」
ジョルジュに全てを話した僕は、少し気分が軽くなった気がした。
何でも話せる人間がいるという事は、きっととても素晴らしい事なんだろうなと不意にそう思った。
_
( ゚∀゚)「んで、どうするつもりなんだ?」
( ^ω^)「んー……、解決しないとのんびりヒキニートの生活には戻れなさそうなんだおね」
_
( ゚∀゚)「そこに戻る必要はねえが、確かにまだまだ何か起きそうな流れだな」
( ^ω^)「というわけで、ジョルジュはしばらくここには来ない方がいいお」
何か起こるとしたら僕の周りであろう。
心霊現象が苦手なジョルジュがわざわざ巻き込まれる必要はない。
- 321 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 01:15:38 ID:6lRRTt0Q0
( ^ω^)「調べ物とかそういうので手伝ってくれお」
_
( ゚∀゚)「だが断る」
僕は半ば予期していたジョルジュの断りの言葉。
僕は上目遣いで両手の肘を曲げ、いわゆるお化けの手の真似をしてジョルジュに言う。
( ^ω^)「……怖い話だお?」
∪ ∪
_
( ゚∀゚)「ああ、怖そうな話だな。……でもな」
_
( ゚∀゚)b「ダチを見捨てて、部屋に閉じ篭って布団被って隠れてるなんて俺には出来ねえよ」
( ^ω^)「ジョルジュ……」
_
(*゚∀゚)「べ、別にあんたの事が心配だとかそういうのじゃないんだからね!」
( ^ω^)「それは色んな意味でないわー」
それからしばらくして、ジョルジュはまた明日も来ると言い残して家に帰った。
結局僕はジョルジュの協力を断り切れなかったが、それを少し嬉しく感じていたのも事実だ。
- 322 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 01:24:47 ID:6lRRTt0Q0
ひとまずジョルジュにはその人脈を生かしてもらって情報を集めてもらおうと思う。
噂の類や彼女自身の情報など、何かわかるかもしれない。
今は些細な事でもいいから情報が欲しい所だ。
( ^ω^)「で、僕自身はどうするべきかおね」
何かしら次の怪異が起こるのを待つべきか。
それとも、自分から動くべきか。
( ^ω^)「その前に考えられる事もいくつかあるおね」
その際たるは僕自身の事で、何故僕がこんな事態に巻き込まれたのかもわかっていない。
僕でなければならなかったのか、それともたまたまなのか。
過去の僕の行動が今回の件をを引き起こしている可能性もあるのだ。
僕は……
1 外に出れば何かヒントにぶち当たるかもしれないと考えた。
2 次の怪異を待つ方が確実だと考えた。
3 過去の僕の行動、漠然とだがそこにヒントがあると考えた。
4 彼女の話のあの点が妙に気になっていた。
5 毒を食らわば皿まで、弟者も巻き込もうと再度出向く事にした。
安価
>>323
- 323 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 02:00:01 ID:iiEaeBloO
- 3で。
- 324 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 23:46:39 ID:8k0o3eok0
過去の僕の行動、漠然とだがそこにヒントがあると考えた。
( ^ω^)「何かしら、僕が選ばれた原因はきっとあるはずだお」
たとえそれが偶然だったとしても、偶然僕が何かをしたからこうなってしまったと考える方が筋が通る。
それと知らず、何かのスイッチを押してしまったという事かもしれない。
(;^ω^)「……と言っても、ヒキニートが自分以外に影響を与える行動って何だお?」
引き篭もって以降の行動を振り返ってみると、驚くほど非生産的な活動しかしていない。
現実から逃げたようなものなのだから、ある意味当然と言えば当然だが。
この時期の出来事がきっかけで何かしようとする人間がいるとしたら、ごく近しい人間しかいないだろう。
親かジョルジュがぐらいまで絞れる。
( ^ω^)「これはあんまり現実的な考えじゃないおね」
理由は思い付かない事もないが、彼らならこんな周りくどい手を取る必要はないと思う。
呪いという柄でもなさそうだし。
となると思い当たるのは、やはり彼女に接触した時だ。
- 325 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 23:49:54 ID:8k0o3eok0
( ^ω^)「あの同窓会の日か、それとももっとずっと昔の小学校の話だおね」
今回の件が彼女に起因するとめぼしを付けて考えている現状、この点を外して考える理由はない。
このどちらかに何らかの原因があるはずだ。
(;^ω^)「でも、彼女は僕の同級生ではないんだおね」
名簿にその名はなく、卒業アルバムにもその姿はない。
そしてあの日彼女を見た誰もが彼女の事は知らなかった。
となるとずっと昔の小学校の事は考えてもわからない可能性が大きい。
( ^ω^)「……ただ、学校以外で会った事があったなら、話は変わってくるんだけど」
同じクラスではなかったが、年齢的には同級なのかも知れない。
それならば、他の同級生が彼女の事を知らず、彼女が僕の事を知っている事も機会的な話では納得がいく。
僕が彼女の事を忘れているのは、よくわからない事だけど。
(;^ω^)「やっぱ色々と不自然だおね」
彼女は昔の僕の事を知っている体で話をしていた。
彼女が語った、昔も退屈だったのかという質問は、昔の僕の姿を見たからこそ出るものだと思う。
- 327 :名も無きAAのようです:2011/09/14(水) 23:59:45 ID:8k0o3eok0
( ^ω^)「そういえば、彼女はジョルジュの事も知っていたお」
すっかり失念していたが、彼女はジョルジュの事も知っている風であった。
しかし、ジョルジュ自身は彼女の事を知らないという。
人付き合いの上手いジョルジュが名前から顔まで忘れているという事は考え難い。
そこから導き出される答えは……
( ^ω^)「僕から聞いた、または僕と一緒にジョルジュの事を見た、とかかお?」
それが現段階では一番しっくり来る答えだ。
僕と同じように何らかの理由で忘れている可能性もあるのだが、可能性を挙げ続けるときりがないので、
今は考え方の方向を浮かんだ物に絞って行く事にする。
それに僕には何となくこの答えが正解な気がしていた。
それはあの同窓会の日、僕自身が感じた事に因る。
( ^ω^)「あの時、遠巻きにジョルジュ達を見ていた感じは覚えがあったお」
賑やかな人の輪を外から眺めていた僕の姿は、よくある日常の一風景だった。
ただ昔、僕は一人でそうしていたはずだったのだが、あの同窓会の時の彼女が側にいた感じはごく自然なものだった。
- 328 :名も無きAAのようです:2011/09/15(木) 00:08:10 ID:17Az48RA0
( ^ω^)「やっぱり僕は彼女を知ってるのかもしれんお」
ならばどうして忘れてしまったのか。
( ω )「そんなの、知らないお……」
力なく呟いた僕を、何とも言えないもどかしい思いがを包む。
いつか感じた喪失感によく似たその思いは、ひどい頭痛を伴って来た。
( ω )「僕が忘れたかったからかお?」
( ω )「それとも、彼女が忘れさせたのかお?」
そう問いかけてみても、答えが返る事はない。
ここは僕の部屋で、今ここには僕しかいない。
誰も答えてくれる人はいないのだから、当たり前の事だ。
( ω )「わけがわからないお……」
僕は目を閉じたまま、ベッドに倒れこんだ。
- 329 :名も無きAAのようです:2011/09/15(木) 00:19:03 ID:17Az48RA0
考え過ぎて知恵熱でも出たのだろうか。
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鈍痛が断続的に僕を襲う。
( ω )「何だか疲れたお……」
本格的に痛み出した頭に、僕はこれ以上考えるのを止める。
そのまま全身の力を抜き、少しでも苦痛から逃れられるよう意識を拡散させた。
やがて僕は、誘われるように深い眠りの底に沈んでいった。
第四章 了
つづく・・・
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