227 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/09(金) 23:58:21 ID:q0sVNBII0

< ピンポーン♪

( ^ω^)「お? 誰か来たのかお?」

< ピンポピンポピンポーン♪

( ^ω^)「……あいつかお」

僕には多くの友人がいる。
そう発言すると、良き人生を送ってきた結果だと、人は羨むのだろう。

< ピンポピンポピンポピンポピンポピンポーン♪

(#^ω^)「うるせえお! 少しは待ちやがれお」

ガチャリ

(*´・ω・`)「やあ、ブーン。早速だけどこれを見てもらえるかな? これはねえ、ある都市に伝わる──」

( ^ω^)「わかったから帰れお」

しかしその友人の多くが変わった人間である事を知れば、人はどういった言葉を僕にかけてくれるだろうか。


   ( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです

228 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:01:09 ID:sR2jCKPc0

( ^ω^)「で、今日は何の用だお?」

(´・ω・`)「何の用って、さっきも言ったじゃないか」

麗らかな午後の一時を切り裂き、何の前触れもなく我が家を訪れたこの男の名前はショボン。
誠に遺憾ながら僕の友人の一人である。

( ^ω^)「聞いてなかったお」

正確には聞く気がなかったのだが。
僕は視線を読んでいた文庫本に戻し、興味がない事をアピールする。

しかし、このショボンという男は僕の友人の例のご多分に漏れず、変わった男だ。
この程度でめげる事もなければ、空気を読む事もしない。

(´・ω・`)「何だ、聞こえてなかったのか。じゃあ、もう一度説明するね」

( ^ω^)「しなくていいから帰れお」

(´・ω・`)「こないだ僕が山陰の方に旅行に行ったの知ってるよね」

( ^ω^)「聞いちゃいねえし」

229 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:03:50 ID:sR2jCKPc0

ショボンは僕の制止を全く受け入れる気はないようで、つらつらと先日行って来たという旅行の話をし出す。
旅行の話自体はそれなりに面白く、ショボン自体も話し下手ではないので聞いていてつまらなくはないのだが、
恐らくは話のオチに出て来るのであろう物を考えると陰鬱な気分になる。

(´・ω・`)「で、その旧家を探索した時に出て来たのがこれさ!」

( ^ω^)「……」

宣言する様に高らかと右手を挙げるショボン。
その手に光るのは銀色の円盤。

(´・ω・`)「あれ? 無反応?」

( ^ω^)「……お前さ、山陰に旅行行ったんだおね?」

(´・ω・`)「うん、そうだよ」

( ^ω^)「風光明媚な各所を巡り、季節のグルメも堪能して来た」

(´・ω・`)「残暑とは無縁の涼しくていい場所だったよ。君も来れば良かったのに」

( ^ω^)「生憎、仕事があってね」

231 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:06:49 ID:sR2jCKPc0

(´・ω・`)「そりゃ残念」

( ^ω^)「……で、だ。今の季節、山陰といえば秋の味覚が食べ頃。お土産にフルーツとか最適だおね」

(´・ω・`)「梨が美味しかったよ」

( ^ω^)「それ買って来いお。何で旅の土産がCDなんだお」

(´・ω・`)「チッチッチ。これはCDじゃなくてGDさ」

( ^ω^)「GD? 何だっけ……てか、どっちでも一緒だお。何でそんなものを土産に持って来たんだお」

(´・ω・`)「フフフ、これをただのGDと思ってもらっちゃあ困るね」

( ^ω^)「……ただのGDでいいから帰れお」

(´・ω・`)「山陰といえばかの有名なロードがあるくらい、恐ろしく怪奇的な所なんだ」

( ^ω^)「聞く耳持てよ。つーか失礼な事言うなお。山陰は普通に穏やかな所だからな?」

(´・ω・`)「当然これも、そんな山陰に伝わる逸品がこちら」

232 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:09:39 ID:sR2jCKPc0

(´・ω・`)「その名も呪いのGD-ROMさ!」

( ^ω^)「ふーん……」

立ち上がり、僕に円盤を突きつけ勝ち誇ったように言い放つショボン。
対照的に僕は、乾いた返事をするだけだった。

(´・ω・`)「何、その淡白さ。折角君を驚かそうとわざわざいわく付きの品を探し出して持って来たのに」

( ^ω^)「いや、大体読めてたし」

先に述べた様に、僕にはこのオチが読めていた。
どうせまた得体の知れない変な物を持ち込んで来たのだろうと。

(;´・ω・`)「僕がGDを持って来るのをかい? まさか君、千里眼に目覚めたとか……」

( ^ω^)「GDかどうかはわからんが、どうせくだらないものを持って来たのだろうと」

(´・ω・`)「くだらないとはなんだい? これはね、さる旧家に何百年も前から伝わるいわく付きの逸品でだね」

233 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:11:33 ID:sR2jCKPc0

( ^ω^)「数々の不幸を呼び、度重なる火災の際にも焼けずに残った怪しげなものなんだお? さっき聞いたお」

(*´・ω・`)「だったらこれのすごさがわかるだろ? この世に二つとない、貴重なものだという事が!」

頬を染め、興奮気味のショボンに気付かれないように僕は深いため息をついた。
僕の友人であるショボンの変わった所、それは重度のオカルトマニアであるという事だ。

こうやって、事あるごとに僕の所に怪しい品を持ち込んでくる。

(*´・ω・`)「見てみなよ、この光沢。とても何百年も経たとは思えない逸品だよ」

等というショボンではあるが、GDがここ十年ぐらいの間に作られたゲーム機のメディアである事に気付いているのだろうか。
GDが何なのかは僕もさっき思い出したのだが、少なくとも百年以上も前ならGDどころかCDすらない時代だ。

またいつもの様に騙されたのだろうと僕は呆れるしかなかった。

(*´・ω・`)「というわけで、早速これを動かしてみようと思うんだが」

( ^ω^)「どうやって?」

234 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:14:05 ID:sR2jCKPc0

(´・ω・`)「え?」

( ^ω^)「そのGDをどうやって動かすんだお?」

(´・ω・`)「そりゃ、そこのCDコンポに入れて……あれ?」

ようやくショボンも僕が言わんとせん事に気付いたのか、黙り込んで何事かを考え始めた。

(´・ω・`)「……GDって、どうやって動かすの?」

( ^ω^)「いくつかあるだろうけど、僕が知っているのはドリームキャストというゲームのソフトとして使われてたお」

ようやく捻り出した結論が他力本願とはどうしようもないが、僕は努めて事務的に回答を示す。

(´・ω・`)「ああ、ゲームの。じゃあ……」

( ^ω^)「けれどそれは一世代前のハードで、現在は生産中止。当然、僕も持ってないお」

遠回しに諦めろという意味合いを込めて、僕は淡々と事実を伝える。

235 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:16:30 ID:sR2jCKPc0

(´・ω・`)「生産中止……」

再び考え込むショボンを放置し、僕は再び文庫本を読み始める。

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)

それからしばらくの後、ショボンは唐突にまた来るという言葉を残し、部屋から去っていった。

たまの休日で、特に用事もないという麗らかな午後の時間を、僕はようやく取り戻せたようだ。

しかしそれは……

( ^ω^)「これで諦めてくれれば御の字だけど……」

多分一時的なものなのだろうなと、僕はまた大きなため息をついた。

236 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:20:37 ID:sR2jCKPc0

(*´・ω・`)「見つけて来たよ! 呪いのドリームキャスト!」

( ^ω^)「予想外です」

それから一週間後、ある意味予想通りの展開でショボンが再び僕の部屋を訪れて来た。
どうにかしてハードを探し出してくるのだろうなとは予想していたが、
まさかハードの方もいわく付きの物を見つけて来るとは。

ショボンは呪いのドリームキャストを入手するまで冒険譚を存分に語った後、
早速呪いのGDを呪いのドリームキャストに嵌め込んだ。

(*´・ω・`)「いよいよだよ、wktkするね」

( ^ω^)「……これって、実際に呪いが起きたとしてもどっちのかわからんおね」

どうせ何も起こるはずはないと高を括っている僕は、適当に相槌を返す。

(*´・ω・`)「そんなの起こってみればわかるさ。スイッチオン!」

シュゴーという独特のやかましい排気音がする。
どうやら起動には成功したようだ。

237 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:24:47 ID:sR2jCKPc0

ショボンの話を鵜呑みにすると、どちらも数百年前からある品という事だから、
相当丈夫なんだなというどうでもいい感想を抱く。

( ^ω^)「……真っ暗だおね」

(*´・ω・`)「ここからここから」

起動には成功したが、画面は真っ暗なままだ。
メーカーのロゴすら出て来ないところを見ると、恐らく壊れているのだろう。
やはり偽物を掴まされたのに違いない。

ただでさえ、向こうとネタのかぶっているこの話を引っ張る意義はないのだ。
この辺で話を締めてしまおう。

(*´・ω・`)「あ! キタ────!!!」

( ^ω^)「マジかお……」

メタ的な思いに身を馳せていると、まさかの出来事が起こる。
真っ暗だった画面が怪しく揺れ動き始めた。

238 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:27:19 ID:sR2jCKPc0

( ^ω^)「で、どっちがどういう呪いなんだお?」

(*´・ω・`)「えっと、確かね……」

嬉しそうなショボンだが、これから呪われるという事を自覚しているのだろうか。
かく言う僕自身も、未だ眉唾物で信じられず、どこか楽観的な気持ちもあった。

(*´・ω・`)「GDの方が、見たら十三日後に死ぬ呪いで」

( ^ω^)「へヴィな呪いだおね」

(*´・ω・`)「ドリームキャストの方は不明」

( ^ω^)「さいですか」

どちらにしろ、あまり好ましくない展開になりそうだ。
その間にも段々と画面の揺れは大きくなり、いかにも準備万端という様なタイミングで唐突に揺れはピタリと止まった。

( ^ω^)「不発……じゃねえおね、流れ的に」

(*´・ω・`)「さあ、どっちが出てくるのかな?」

239 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:29:38 ID:sR2jCKPc0

じっと画面を見詰める僕とショボン。

そして、真っ暗な画面に映し出される二つの人影。


||        川д川        (゜д゜@        ||


( ^ω^)「え?」

(´・ω・`)「あれ?」

ぽかんとした顔で画面を見詰めていたショボンが、僕の方へ顔を向けた。
見返す僕の顔も似たような顔をしていたと思われる。

(´・ω・`)「どういう事?」

( ^ω^)「どうもこうも、多分、二つとも呪いが発動したんじゃないかお?」

不明であるドリームキャストの呪いが、二人を呼び出す物かも知れないが、僕の見立てではそれはない気がする。

240 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:31:04 ID:sR2jCKPc0

( ^ω^)「多分左がGDで、右がドリームキャストだお」

(´・ω・`)「どうしてわかるの?」

( ^ω^)「右側の渦巻き模様に見覚えがあるお」

そういって僕は、ドリームキャストの本体を指差す。
そこにはオレンジの渦巻きが中央に描かれている。

(´・ω・`)「なるほど」


   ウァー ボァー   セガター サンシロー セガター サンシロー
||     川д川        (゜д゜@      ||


そんな事を話している内にも、人影はどちらもこちらに近付いて来る。

低い唸り声を上げる左側の人影に対し、右側のは何だか歌声にも聞こえた。

241 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:33:10 ID:sR2jCKPc0

         グォォォォ セガナンテダセーヨナー
      ||   川д川  (゜д゜@     ||


( ^ω^)(´・ω・`)

           ウォ…オ?  タッキー…?
            ||川д川(゜д゜@||


( ^ω^)(´・ω・`)

ほとんど同じ速度で画面の奥から近付いて来た二人は、画面から出て来る直前で鉢合わせした様だ。
そこまで気付かなかったのもあれだが、向こうもまさか二体同時に呼び出されるのは想定外だったのかもしれない。


             ギャォー!? セーガー!?
            ||川#д川(゜д゚#@||

242 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:34:51 ID:sR2jCKPc0

(´・ω・`)「何かケンカしてない?」

( ^ω^)「……みたいだおね」

             ノロマース!! イサオー!!
            ||川#д川(゜д゚#@||


( ^ω^)「……取り敢えず、電源切っていいかお?」

(´・ω・`)「うん、いいんじゃない?」

僕はドリームキャストの電源を切った。
ひょっとしたら電源が切れないかもしれないと思いはしたが、やけにあっさりと消せてしまった。
ケンカに夢中でそれ所じゃなかったのかもしれない、

人影は二体とも跡形もなく消え去った。



 .

243 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:36:27 ID:sR2jCKPc0

───────────
─────



( ^ω^)「……てな事がこないだあったんだお」

ξ゚听)ξ「ふーん……」

それから数日後、僕の部屋には友人の一人であるツンが訪れていた。
彼女は僕の友人の中では数少ない、比較的まともな人間である。

( ^ω^)「ショボンは相変わらず変なやつだお」

ξ゚听)ξ「それで、ひょっとしてここにおいてあるのがそのゲーム機なの?」

( ^ω^)「そうだお。割と面白かったから置いてるお」

その後、再びドリームキャストを起動させると、またあの二人の人影が出現し、
近付いてはケンカするという事が繰り返された。

244 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:39:02 ID:sR2jCKPc0

見た感じ、GD側の人影の方が強そうに見えたのだが、流石に二人とも呪いの体現者だけはあり、その力は互角。
手に汗握る激しい戦いっぷりは見ていて飽きない。

ドリームキャスト側が崩撃雲身双虎掌を決めた時には思わず歓声を上げていた。

たまに点けてみて、その戦いを堪能し、勝負がつく前に電源を切ると言う事を繰り返している。

ショボンは心霊現象が実際起こった事に満足し、この二品を快く僕に譲ってくれた。
今頃はまた違ういわく付きの品を捜し求めているのだろう。

( ^ω^)「全く、よく飽きないもんだおね。ショボンの変な趣味には付き合いきれんお」

( ^ω^)「どうして僕の周りには変人ばっか集まるんだろうおね? いや、ツンは例外だけどさ」

そう大袈裟に嘆いてみせる僕に、ツンは神妙な顔付きで口を開く。

ξ゚听)ξ「……こんな言葉知ってる?」

( ^ω^)「?」

245 :( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです:2011/09/10(土) 00:40:21 ID:sR2jCKPc0

ξ゚听)ξ「類は友を呼ぶ」

( ^ω^)「……僕は普通だお」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「違うお、全然違うお」

僕はじっと僕を見詰めるツンから視線を逸らし、窓の外を眺めた。
そんはずはないと自分に言い聞かせて。

彼らは僕が好んで招き入れたわけじゃない。

僕が生来の聞き上手なだけで、気付いたらいつの間にかショボンのような変な友人達が、
僕の部屋を訪れるようになっていただけだ

きっと違うはずだと。

< ピンポーン♪

(#^ω^)「だー! 今度は誰だお! いちいち僕を巻き込むなお!」

そしてまた訪れる、変わった友人達。
僕は律儀にそれを迎え入れ、今日もまたおかしな出来事に付き合わされる事になるのだ。



   ( ^ω^)ブーンと変わった友人達のようです おしまい


あとがき


246 :名も無きAAのようです:2011/09/10(土) 00:42:12 ID:sR2jCKPc0

お題
 GD-ROM

 あとがき 前回もらった三つのお題のうち、真っ先に思い浮かんだのが呪いのGD-ROMネタで
       書き始めてたんだけど、本編の方まで呪いのゲーム方向に流れてまさかのネタかぶり。
       引き出しの無さを嘆くばかり。
       やっつけ感満載の仕上がりです。
       まあ、GD-ROMで話作ろうとしたら、他に思い付かなかったんだけども。
       ドリキャスって@だったよなーと(゜д゜@出したら、実は渦巻きだったという。




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