419 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:32:13.36 ID:pijJQfVd0
('A`)「……で、今から何すんの」

(´・ω・`)「スゴロクだよ、スゴロク」

そう言いながら、親父はテーブルの上に古ぼけた木製の箱を置いた。
その箱は丁度、マグネット式の将棋盤に似た形をしていて、
今にも千切れそうなボロっちい紐で縛られている。

('A`)「これがスゴロク? 蓋に何やら書かれてるみたいだけど」

(´・ω・`)「母さんに雑巾持ってくるよう言ってあるから」

川 ゚〜゚)「ふうん。かなり年代モノのようだな」

姉貴はヨーグルトを口に運びながら箱をチラ見して、また正月番組に釘付けになった。
つーかアンタさっきまでたらふくおせち食ってたのにまだ食うのか。

(´・ω・`)「初詣の帰りにフリーマーケットを見つけてね。
        安かったし面白そうだから買ってみたんだ」

('A`)「正月にスゴロク、ってのは分かる。分かるけどさ、親父よ」

(´・ω・`)「なんだい息子よ」

('A`)「イマドキ家族でやるようなモンじゃなくね? 正直マンドクセ」

420 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:33:20.19 ID:pijJQfVd0
(´・ω・`)「……」
('A`)「?」



(´゚ω゚`)「お前は父さんが折角家族の為にやろうとしている事を馬鹿にするのかーーっ!?」

(;'A`)「その顔キモいからやめろ!」

(((´゚ω゚`)))「父さんはなぁ、父さんはなぁ! 父さんなんだぞ!!」

川 ゚ -゚)「分かったから落ち着け、親父殿。鶴瓶が久々に脱いでフジがてんやわんやなんだ」

(;´・ω・`)「ああ……すまない。おーい、かーさん。雑巾はまだかい」

姉貴に諭され(ただ邪魔だっただけのようだが)親父が平静を取り戻す。
しかしまあ、相変わらず沸点が低い親父だ。

J( 'ー`)し「あらあらホント。すごいホコリだねえ」

台所から戻ってきた母がホコリを雑巾でふき取ると、表面に書かれていた文字が露になった。

(´・ω・`)「売り子の人によるとだね、「寿万事」(じゅまんじ)と呼ばれる、
        それはそれは有難い縁起物のスゴロクらしいんだ」


確かに、箱には「寿万事」と書かれている。


油性ペンで。

422 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:35:30.47 ID:pijJQfVd0
('A`)「ねーパパー」

(´・ω・`)「なんだいマイサン」



(゚A゚)「これのどこが縁起物なんだよ!!!!思いっきり油性ペンで×されて
    下に「呪」とか「卍」とか書かれてんじゃねーか!!!寿万事じゃなくて呪卍だろコレ!?
    どう考えても呪いのアイテムです、本当に有難うございました!!!!」

(´゚ω゚`)「やかましい! ブチ殺すぞ!! やってみなきゃ分からないだろが
       この万年ひきこもりが!! 誰が飯食わせてると思ってんだ!!!」

(((゚A゚)))「き、キーーーーッ!! お、おお俺はやれば出来る子なんだよっ!!」

(((´゚ω゚`)))「ヤったらデキたのがお前かと思うと泣けてくるよ!! 避妊は大事だNE!」 

(((゚A゚)))「だだだだダルビッシュの事かーーーーーーーっっ!!!」

川 ゚〜゚)「やかましいぞ二人とも。もぐもぐ」

J( 'ー`)し「あらあら、武者小路実篤」


数分後。

不毛な言い争いにひとまず幕を下ろし、例の怪しげな箱を開ける事になった。

424 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:38:19.30 ID:pijJQfVd0
('A`)「ったく、どうなっても知らねえからな」

(´・ω・`)「まあとりあえず開いてみようじゃあないか」

親父が紐を解いて蓋を取ったその瞬間、居間が目映い光に包まれた。

(つA`)「うおっまぶしっ」

(´×ω×`)「目が! 目がーーーっ!!」

川 ■-■)「持っててよかったサングラス」

J( ●ー●)し「あらあらクーちゃんたら準備万端」

光が消えた頃合に、目を恐る恐る開く。
恐らく光の直撃を食らったのであろう親父は顔を覆ってのた打ち回っている。
ふふん、いい気味だ。

('A`)「まったく、何だっつーんだ……?」

ほくそ笑みながらスゴロクの方に目をやると。

( ・∀・)「はーいどもー!! 開けましておめっとーござーまーーーす!! 誤字じゃないよ!」

425 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:39:54.77 ID:pijJQfVd0

('A`)(´つω;`)川 ゚ -゚)J( 'ー`)し「……」


( ・∀・)「あれ? 「蓋を開ける」と「年が明ける」をかけた今世紀最強のジョークだったんですけど。あれ?」


('A`)(´・ω・`)川 ゚ -゚)J( 'ー`)し「……」


( ・∀・)「……」


( ・∀・ )「何この空気」


コタツの上に置かれたスゴロク。
その中から現れたのは、親指大の奇妙な人形だった。





         〜('A`)と呪いのスゴロクのようです〜

427 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:42:58.60 ID:pijJQfVd0
('A`)「……何コレ。どうすんの」

(:´・ω・`)「いや、スゴロクのハズなんだけど。っかしいなあ」

親父が何度も首を傾げながら、ベラベラと喋る人形をまじまじと見ている。
あれ程興味薄だった姉貴もこれにはいささか驚いたようで、テレビの電源を切ってコタツに入り込んだ。

( ・∀・)「はいっ! っとゆーワケでですねっ! この呪m……寿万事の司会進行役兼マスコットの
     モララーです、以後よろしくお願いいたします!」

J( 'ー`)し「あらあら可愛らしいオートマタ。うふふ」

('A`)「なんなのお前」

( ・∀・)「今説明しただろキモメン。人の話ちゃんと聞いてろカス」

(#'A`)「キモ……っ!」

m9(´;ω;`)9m「ざまあwwwwwwwwwwww」

(゚A゚)「ブチ殺すぞクソ親父!!!!!!!!!」

とりあえず要点をまとめると、

・スゴロクで一番最初にゴールすると願いが叶う

川 ゚ -゚)「なんだ、たったそれだけか」

( ・∀・)「ぶっちゃけその通りです。それではレッツじゅまーんじ!!」

429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:45:18.20 ID:pijJQfVd0
('A`)「ちょ、待てガラクタ」

( ・∀・)「あ?」

……落ち着け俺。既に非日常に片足突っ込んでるんだからここは一つクールに行こう。

(#'A`)「き、聞きたい事あるんっすけどイイっすかねえ?」

( ・∀・)「何? 早くしてよ」

(#'A`)「ぐ……このスゴロクの盤面ってさ、おかしくない? なんで卍の形してんの?」

そう。

まさにスゴロクの盤面は卍の形になっているのだ。
中央に血のような赤色でおどろおどろしく

「あ が り」

と書かれているので、そこがゴールなのは分かる。

じゃあ、スタート地点はどこだ?


( ・∀・)「そりゃ呪卍……あーあーあー、まあいいじゃないそういう細かいトコは、さ。
     サックリ説明するけど、これスタート地点がみんなバラバラなのね。
     んでサイコロが四面なのはマス数が少ないからなの。分かった?」


('A`)「……把握」

434 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:50:56.98 ID:pijJQfVd0
どうにも釈然としないが、これ以上ツッこむと俺の心が折れそうだったので引く。

図解するとこうだ。ズレてるかもしれない。

        □□□ 
        □
        □  
        □      □
        □      □
□□□□□■□□□□□
□      □
□      □
        □
        □
        □□□


つまりゴールまでたったの8マス。1マス戻るも1回休みもなし。なんだこりゃ。
こんなスゴロク聞いた事ねえよ。こんなんで願いが叶うんだったら、神龍は涙目必至だろうな。

俺たちはそれぞれ自分の位置から近い場所に箱に入っていたコマを置き、
早速スゴロクを始める事にした。

('A`)「まず俺からか。それっ」

三角柱がコロリと転げ、数字が。えーと、数字。あれ? これ、おかしくね?

436 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:52:58.03 ID:pijJQfVd0
('A`)「これどれが出た目なんだよゴミ。三角柱じゃ三面が上に来るじゃねーか」

( ・∀・)「地面に伏せった数字だよボケそれくらい察しろ。書いてる人間も途中で気付いたんだよ」

('A`)「あっそ。そんじゃ……1か」

(´・ω・`)「残念っすねwwwwww出目においても頭においてもwwwwwww」

('A`)「除草剤飲ませんぞこの野郎」

J( 'ー`)し「あらあら千里の道も一歩からよドックン」

川 ゚〜゚)「なあに、七転び八起きすればすぐゴールさ。もぐもぐ」

なんとも応えにくい声援ですこと。それと姉貴よ、そろそろヨーグルト自重しろ。

('A`)「ん? なんだ?」

コマを進めると、置いたマスから淡い光が漏れ出し……文字が空中に舞い上がった。

「と く に な し」

('A`)「?」

( ・∀・)「はーい次いってみよう!」

('A`)「おい、なんだこの無駄にハイテクな「特になし」ってのは」

( ・∀・)「読んで字の如くじゃね? 俺も初めて見たから良くわからん」

439 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:54:48.33 ID:pijJQfVd0
おいおい。司会進行がよくわからんとはどういう了見だ。
そうこうしているウチに母がサイコロを振る。

J( 'ー`)し「あらあら4が出ちゃった。一番乗りも夢じゃないわねえ」

ニコニコしながらコマを進めると、さっきと同じように文字が宙に舞う。

「お か ね が ふ っ て き た」

(´・ω・`)「お、かーさん。なんだかいいマスに止まったんじゃないのかい」

J( 'ー`)し「本当に降ってくれば御の字だけどn」



どさっ



川 ゚ -゚)「ん?」(;'A`)「はあ?」(;´・ω・`)「……なんと」J( 'ー`)し「あらあら」

母の背後から物音が聞こえ、全員でそちらを振り向く。


まごう事なき、札束だった。


( ・∀・)「おめっとーざーーーっす!!!! いやーすごい! なんたる幸運!」

J( 'ー`)し「あらあら大富豪」

441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:56:21.59 ID:pijJQfVd0
母が満面の笑みで一万円札の束を手に取り、ウチワがわりに仰いでいる。
香ばしい新札のニオイ。いやいやそんな問題じゃない。

('A`)「おい。今度こそ真面目に答えろ。何なんだこのスゴロクは」

( ・∀・)「ですから願いが叶うスゴロクですってば。あ、言い忘れてましたけど、
     途中のマスでもボーナスが出ます」


……おかしい。こういう事はあっちゃいけない。
そんな事、箱から光が溢れ出た時点で気が付かないといけない。
なのに、「まあいいんじゃね」と思っている自分がいる。


「し ょ じ き ん が ふ え た ぞ」

川 ゚〜゚)「……?もぐもぐ」

姉貴も姉貴でいいマスに止まったようだ。

「ち ち の い げ ん を と り も ど し た ぞ」

(*´・ω・`*)「ホントかい!? みんなそう思うかい!?」

('A`)川 ゚ -゚)J( 'ー`)し「……」

(´つω;`)「いいよもう……ばかぁ」

親父はどうやらハズレのマスに止まったようだ。

443 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 05:58:37.50 ID:pijJQfVd0
俺はと言えば。

「と く に な し」

ふざけんな。しかもまた1マスしか進めなかったし。
そして、また母がサイコロを振ろうとした時。

( ・∀・)「あー、そうそう。大事な事を言い忘れてました。このスゴロクはですね。
     『マスを戻る』事もできますので。これをどう解釈するかは貴方達次第です」

J( 'ー`)し「……」( ´・ω・`)「……」川 ゚〜゚)「……」('A`;)「……」

家族全員が黙り込み、それぞれに目配せをしている。
なんという家族愛……間違いなくこの三人は無限ループを画策している。

それもそのハズ、俺に対してだけ明らかに「空気嫁」と書かれた目を向けてくるんだもの。

J( 'ー`)し「あらあら、またお金が振ってきたよ」

川 ゚〜゚)「……もぐもぐ」

(;´・ω・`)「もう少し、もう少しで父の威厳が復活するハズなんだ……!」

他の三人が同じ所を行ったり来たりしている間、サイコロ運の悪い俺は1を連発していた。

そして、7巡目。

445 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:00:18.98 ID:pijJQfVd0
('A`)「……」

J( 'ー`)し「あらあらホクホクだねえ」

母は札束の山に埋もれ見た事のないような笑顔を見せている。
……なんだろう。この胸が締め付けられる感じは。

J( 'ー`)し「……なんだい、ドクオ」

(;'A`)「えっ? いや! なんでも? なんでもないよ!」

J( ー )し「……ふう。まったく、仕方ないねえ」

(;'A`)「かーちゃん?」

ぽい、と札束の一つを俺の近くに放り投げる。俺が見た事のないような笑顔で。

J( 'ー`)し「ほら、金が欲しいんだろ?拾え」

(;'A`)「え……」

J( 'ー`)し「まったく、イヤらしい子だよアンタは」


違う。そうじゃない。俺は金を見てたワケじゃない。

446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:01:57.24 ID:pijJQfVd0
J(#'ー`)し「いるのかいらないのかハッキリおし!」

(;'A`)「い、いらねえよ……」

J( 'ー`)し「はん、カッコつけたって何の得にもなりゃしないのにねえ」


かーちゃん……一体どうしちまったんだ……?
それより何より……

(;'A`)「親父……」

(´・ω・`)「んー? なんだあ息子よ!」

    
     「体おかしくね?」


        ( ´・ω・)
    _, ‐'´  \  / `ー、_
   / ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ 
   { 、  ノ、    |  _,,ム,_ ノl
 川 ゚ -゚) ̄ ̄ ̄  ̄ ̄     ̄\ ('A`)
 ( つ□__  J(   )し___\  )
 と  /     │ │       \/
 \/       /⌒ヽ         \
  \(ニニニニニニニニニニニニニ二二)


        「え?」

448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:04:13.50 ID:pijJQfVd0
(;´・ω・`)「なんてこった! いつの間にこんな威厳に満ち満ちたマッスルバディに!?」

(;'A`)「やっぱおかしいよこのスゴロク! かーちゃんも親父もワケわかんねえよ!」

(´゚ω゚`)「父さんの威厳に恐れを成したか馬鹿息子!! わはははは!!!」

川 ゚〜゚)「もぐもぐ」

('A`;)「いつまでヨーグルト食ってんだよバカ姉貴!!」

川 ゚〜゚)「もぐもぐ」


(;'A`)「おい人形! これは一体何なんだ──」

( ・∀・)「ひひ……」

(;'A`)「え、え?」

( ・∀・)「ぼちぼち、ってトコだなあ……」

(;'A`)「お前……」


さっきまで親指サイズだった人形は、いつの間にか俺と同じ位の大きさになっていた。
母は万札の海に溺れて目の焦点は合ってないし、親父もスゴロクそっちのけで鏡に向かってポージング、
姉貴は姉貴でヨーグルトをムシャムシャモリモリ。狂っているとしか思えない。

450 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:06:12.41 ID:pijJQfVd0
( ・∀・)「もうすぐ、もうすぐだ。あと少しで完全に解放される……!」

(;'A`)「解放?」

( ・∀・)「もう一つ言い忘れてた事があったよ。この呪卍はな、人の欲望を引き出す代わりに、
     願った人間をこのスゴロクに封印するんだよ」

(;'A`)「なんだよ、それ」

( ・∀・)「長かったぜ……俺がコイツに封じられて何年、何十年と待ってたんだよ。
     俺の代わりに封じ込められる馬鹿共をなあ! あひゃひゃひゃひゃ!!!!」

(;'A`)「くそ……なんで」

( ・∀・)「そんな単純な事に気が付かなかったのかって? そりゃあそうさ。箱を開けた瞬間に溢れた光……
     あれを食らった時点で、マトモな思考なんて出来なくなるんだからなあ!」

そういう事か。俺が「おかしい」と頭で何度も思いながらも、抗えなかったのは。

( ・∀・)「さあて、お前さんの番だぜ? めでたく1が出れば願いが叶う。
     だが……それ以外が出れば『俺の願いが叶う』」

(;'A`)「……!」

( ・∀・)「もう一押し、もう一押しでお前らは全員仲良く箱の中行きだ……ひひひ」


('A`)「……」

( ・∀・)「どうした? 早く振れよ! さあ早く!!」

451 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:08:23.23 ID:pijJQfVd0
──もし、あの光の文字がその人間の中に潜む欲望の答えだったとするなら。
俺だけが何故、「とくになし」だったんだ?


川 ゚〜゚)「ヨーグルトウマスウマス」

姉貴。

俺と違ってデキがいいから、好きな事をやってほしい。
ただ幸せになってくれればそれでいい。


J( 'ー`)し「金はいい……人の心を潤してくれる……」

かーちゃん。

毎晩家計簿の前で唸っているのを知っている。
俺が高校を卒業してニートでいられるのも、かーちゃんのお陰だ。
かーちゃんにはラクな老後を送って欲しい。


(´゚ω゚`)「見よ……この威厳がそのまま具現化したかのようなこの肉体美……」

親父。
人の良さが災いして万年係長。それでも頑張って働いてくれている。
せめて家ではのんびりと過ごして日頃の疲れを癒して欲しい。

453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:10:35.28 ID:pijJQfVd0
('A`)「そうか……」

(♯・∀・)「早くサイコロ振れよ!」

俺の願い。心の底にこっそり置いていた望み。


俺には何もなくったって構わない。
ただ、みんなが幸せになってくれればそれでいい。



('A`)「俺の、せいか……はは。笑っちまうなこりゃ。俺の願いがみんなをおかしくしてたとは、ね」


(#・∀・)「ガタガタ抜かしてないでさっさとサイコロ振りやがれ!!」

さっきから耳元でうるせえな。やってやる。やってやんよ。
七転び八起きで千里の道も越えてやる。


('A`)「俺は……」


(゚A゚)「やれば出来る子おおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:14:34.18 ID:pijJQfVd0






(;・∀・)「馬鹿な……八回連続……1だと……」


('A`)「……俺の願いはたった一つ。こんな馬鹿げた茶番を終わらせる」

(;・∀・)「やめろ、それだけはやめてくれ……!!」


('A`)「……スゴロクごと消えてなくなれ」

(;・∀・)「うわああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:16:13.26 ID:pijJQfVd0
J( 'ー`)し「う、ううん……? あらあら、なんだか夢幻の如く」

(´゚ω゚`)「M!U!S!C!L!E!マッソ!! ……あれ?」

川 ゚ -゚)「ん? ヨーグルトが空だ」

('A`)「ふう、呪いが消えてみんな元に戻ったか」

みんながみんなして、夢から覚めたかのように辺りをキョロキョロ見回している。
もちろんスゴロクは願いどおり跡形もなく消え去った。

(´・ω・`)「息子よ。あのスゴロクは……」

('A`)「ああ、マジモンの呪いのアイテムだったんだよ」

(´・ω・`)「そうか……」

J( 'ー`)し「かーちゃん、お前に酷い事言っちゃったね。ごめんね」

('A`)「いいよ、元はと言えば俺のせいみたいなモンだしな。それよりさ、俺……」

J( 'ー`)し「ん?」



('A`)「正月明けたら……働き口、探すわ」

J(; 'ー`)し(;´・ω・`)川;゚ -゚)「!!!」

(;'A`)「ちょ、何だよその顔は」

458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:18:12.26 ID:pijJQfVd0
J( ;ー;)し「あらあら……喜ばしい事なのに、年取っちゃうとイヤだね」
     
('A`)「かーちゃん……」

川 ゚ -゚)「ようやくやる気を出す気になったか。まあ無理しないようにな」

('A`)「姉貴」

(´;ω;`)「うおおおおおおーー! 息子よ! やはりお前は俺の子だ!」

(;'A`)「キモいから近寄んな」

J( 'ー`)し「あらあらお父さんたら涙ボロボロ。ついでに玉ねぎ剥いてちょうだいな」

川 ゚ -゚)b「おせちもいいけどカレーもね」

(´;ω;`)b「合点承知!」

親父よ、早速父の威厳なさげだがそれでいいのか。


まあいいさ。妙なスゴロクは無くなったし、これもいい機会だ。
「やれば出来る子」の二つ名は伊達じゃないって所、見せてやる。

……とりあえずアルバイトからお願いします。


('A`)と呪いのスゴロクのようです 

おしまい

463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/11(土) 06:21:08.01 ID:pijJQfVd0
('A`)「ところで気になったんだけどさ」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

('A`)「姉貴の願い……「しょじきんがふえた」って、なんだったのかね」

川 ゚ -゚)「ああ、アレか。それはもう、容器の底からわんさかと湯水の如くヨーグルトが湧いてたんだ」

('A`)「もしかしてずっと食ってたあれは……」

川 ゚ -゚)b「ブルガリアヨーグルトは伊達じゃないさ」

Σ('A`;)「え!? もしかして『所持菌』って言うダジャレ!?」

(´・ω・`)「おーい、また面白いモノ見つけたぞ。「座主裏」というスゴロクでな……」

(゚A゚)「とっとと捨ててこいダメ親父!!」

(´゚ω゚`)「さあ、闇のゲームの始まりだ」

(((゚A゚)))「分かってて買ってくんじゃねーーーーーーーーー!!!!」


ホントにおしまい


お題
・川 ゚ -゚)「ブルガリアヨーグルトは伊達じゃないんだ」
・(・∀・)
・(´・ω・`)「さあ、闇のゲームの始まりだ」
・J( 'ー`)し「ほら、金が欲しいんだろ?拾え」
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