- 669 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:36:07.35 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)がおじさんにさよならするようです
(;^ω^)「おじしゃん!」
('A`)「・・・何も心配することは何も無いんだよ、ブーン」
秋も終わりに近づき、木枯しも吹き終えた頃。
病室から見える木に葉は一枚もついていなかった。
('A`)「・・・そんなに泣くな、おじさんはそんなに悪い病気じゃないんだから」
( ;ω;)「嘘なんかつかないでくれお!」
- 670 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:36:31.43 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・何が嘘なもんか、こんなに元気じゃないか」
痩せ細った手を振ってみせた。
( ;ω;)「じゃあその腕はなんだお!」
('A`)「・・・」
( ;ω;)「・・・僕が欲しいのは言葉なんかじゃないお」
大好きなおじさん。
半年前から急に体が悪くなった。
おじさんとの出会いはゲームショップでだった。
- 671 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:37:05.59 ID:d5im6ue10
- 店員「ちょ、ちょっと、その子を止めてください!!!1」
('A`)「・・・え?」
(;^ω^)「じゃ、邪魔だお!!」
ドンと肩からぶつかり、押し倒した、
かった。
(;^ω^)「な、なんなんだお!離せお!!」
('A`)「・・・ダメだろ?こんなことしちゃ」
昔の僕は荒んでいた。
(;^ω^)「べ、べべ、別にあんたなんかに関係ないお!」
('A`)「それを貸しなさい」
- 672 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:38:01.96 ID:d5im6ue10
- ('A`)「貸しなさい!!!」
(;^ω^)「・・・」
右手に持っているゲームソフトをおじさんに渡した。
( ;ω;)「・・・」
万引きを繰り返してきた。
見つからない。
今までの経験が少しの油断を生んだんだろう。
- 673 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:38:18.33 ID:d5im6ue10
- ( つω;)「・・・ぐ」
僕には親がいない。
叔父や叔母を頼り転々としてきたが、
誰一人として人間として見てはくれなかった。
( ;ω;)「・・・ひっぐ」
楽になりたかった。
学校には行っていないし、行く意味もなかった。
一人で生きてきた。
- 674 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:41:31.06 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「・・・ひぃん・・ぐす」
バイトなんか出来る歳じゃないし、気力なんかもない。
最後に飛び出してきた叔母の家から毎月一万円、
その前に飛び出した叔父の家から二万円、
そして、最初に飛び出した叔父の家から二万円。
今住んでいるアパートは叔母の名義で借りている。
- 675 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:42:06.87 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「・・・ひぃぃぃん・・・」
生活費は足りなかった。
だから、ストレス発散も兼ねて、万引きを繰り返しては売って生活費にしていた。
『ウィーン』
涙で前が見えなかった。
涙なんか最近流してなかった。
親の葬式の時でさえ泣かなかった。
- 677 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:42:41.01 ID:d5im6ue10
- ぽつりぽつりと、
溜めに溜めた涙が零れ落ちていた。
( ;ω;)「・・・ふぇぇぇん・・ひぐっひぐ・・・」
('A`)「・・・」
今日は息子の大好きだったゲームの発売日だった。
- 678 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:43:14.07 ID:d5im6ue10
- ('∀`)「おとうさん、おとうさん!」
('A`)「・・・お?」
('∀`)「これ見て!!」
皺くちゃになったゲームショップの広告。
('A`)「これが、どうした?」
('∀`)「えへへへへぇ」
('A`)「ちゃんと言いなさい」
('∀`)「これ、新しいの出たんだ」
('A`)「・・・ふーん」
('∀`)「買ってほしいなぁって・・・」
- 679 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:43:41.49 ID:d5im6ue10
- シリーズ物の最新作だった。
('A`)「・・・前のはちゃんとクリアしたのか?」
('∀`)「終わったよ!」
('A`)「・・・じゃあ、お父さん明日早めに帰ってくるからちゃんと家にいるんだぞ」
('∀`)「やったぁ!!おとうさんありがとう!!!」
('A`)「・・・」
('A`)「・・・・・ふふ」
- 681 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:44:02.60 ID:d5im6ue10
- 本当によろこんでいた。
たった6、7000円の物でこんな笑顔が見れるなんて安い買い物だ、と思った。
本当に安い買い物、だと。
('∀`)「おとうさん、見て!こんなに綺麗な絵だよ!!!」
('A`)「はは・・・そうだな」
- 682 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:44:39.19 ID:d5im6ue10
- ('A`)「ほら、顔上げなさい。」
( ;ω;)「・・・っぐ、ひっぐ・・・」
右手を掴まれ、強引に何かの袋を持たされた。
('A`)「・・・じゃあね、これからはこんなことしちゃダメだ」
ポツポツとおじさんは歩いていった。
( ;ω;)「・・・これ、」
- 683 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:45:01.37 ID:d5im6ue10
- 中身はゲームソフトだった。
さっきまで右手に持っていたゲームだった。
それと、もう一本ゲームが入っていた。
( ;ω;)「・・・」
ブーンは走り出した。
⊂ニニニ( ;ω;)ニニ⊃ ブーン
ブーンのいたところには大きな染みがアスファルトに広がっていた。
- 684 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:45:29.38 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「お、おじさん!!」
ポツポツ歩くおじさんに追いつくには時間はいらなかった。
('A`)「・・・お?」
( ;ω;)「こ、これ・・・」
('A`)「・・・あぁ、一緒に袋に入れちゃってたのか」
('A`)「ありがとう」
おじさんはヒラヒラと手を振りながらまた家路についた。
- 685 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:45:55.01 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「あ、ああ、あ、あの・・・」
声がかすれる。
( ;ω;)「・・・あ、あ」
涙がまた出てきた。
( ;ω;)「あ、あの!!!」
('A`)「・・・なんだい?」
トコトコとおじさんの近くに歩み寄る。
- 686 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:46:14.47 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「ぼ、僕、も、もう二度と」
('A`)「・・・」
( ;ω;)「に、二度と万引きなんかしませんお!」
('A`)「・・・」
('A`)「・・・いいよ」
( ;ω;)「・・・え」
('A`)「わかってくれてるならいいんだ」
- 687 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:46:31.63 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「お、お金だってなんとかして払いますお!」
('A`)「・・・もういい」
ギュ。
( ;ω;)「・・・・・・・・・・」
もさっとしてて、少し肌触りの悪いセーターだった。
でも暖かかった。
( ;ω;)「うわああああああああああああああああああああああん!!!!!」
- 688 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:46:55.12 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・」
・・・あいつも生きてたらこんな歳なんだよな。
おじさんは、優しかった。
僕は優しくなかったのに。
('A`)「・・・寒いだろ、鍋、食うか?」
( ;ω;)「うわあああああああああああああん!!!!!」
('A`)「・・・・・・よしよし」
- 689 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:47:15.56 ID:d5im6ue10
- ('A`)「そこのお玉取ってくれ」
( ;ω;)「・・・はいだお」
('A`)「ほら、海老食いな」
( ;ω;)「・・・ありがとう」
おじさんの家に来た。
一人暮らしにはでかすぎる家だし、キレイと言える家ではなかった。
('A`)「いっぱい食えよ」
( ;ω;)「・・・・・・ハムハフ」
暖かい。
- 690 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:47:42.18 ID:d5im6ue10
- ('A`)「名前は?」
( ;ω;)「・・・ブーン」
('A`)「いい加減無くのやめれ」
( ;ω;)「・・・」
('A`)「・・・ほら、風呂できたからゆっくり浸かってこい」
( ;ω;)「・・・ありがとうだお」
ふらふらとした足取りで風呂場まで歩いていった。
脱衣所にはバスタオルが山積みになっていた。
- 691 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:48:03.64 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「・・・なんで、」
( ;ω;)「・・・なんで、僕は泣いているお?」
鏡からは答えは返ってこない。
( ;ω;)「・・・・・・」
バシャバシャと顔を勢い良く洗った。
よくもまぁ、ろくに飲み食いしてないくせにいつまでも出てるお。
風呂から出ると、大きめのパンツと部屋着が置いてあった。
- 692 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:48:28.78 ID:d5im6ue10
- ('A`)「ブーン、親に電話しなくっていいのか?」
( ^ω^)「・・・いいお」
('A`)「・・・心配させちゃいけないぞ」
( ^ω^)「・・・僕には親なんていないお」
('A`)「・・・そんなこと言うもんじゃないぞ」
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「・・・僕の両親はもうこの世にはいないんだお」
('A`)「・・・すまなかったな」
- 693 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:48:55.43 ID:d5im6ue10
- 煙草に火をつけた。
( ^ω^)「いいお、もう気にしてないお」
おじさんは大きく息を吸い込んで、紫煙を吐いた。
('A`)「・・・いくつの時の話だ?」
( ^ω^)「去年だから13の時だお」
('A`)「じゃあ今は14なんだな」
棚の上の写真の視線が自分に向けられている気がしてならなかった。
- 694 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:49:20.02 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・なぁ」
ブーンは手の爪をいじくっていた視線をおじさんに向けた。
('A`)「・・・一緒にすまないか?」
(;^ω^)「・・・え?」
('A`)「学校にも行けないし、家に帰っても一人」
( ^ω^)「・・・」
('A`)「俺は働いてるし、今はこうやって一人身だ」
('A`)「今よりいい生活ができるんだ」
( ^ω^)「・・・でも」
( ^ω^)「悪いお・・・」
- 695 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:49:53.59 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・子供にこんな気を使わせる時代って悲しいな」
('A`)「俺は、ブーンと一緒に住みたいんだよ」
( ^ω^)「・・・・・おじさん」
ああ、おばさんにも最初こう言われた。
( ^ω^)「・・・僕、」
おばさんは僕を外には出してくれなかった。
( ^ω^)「・・・」
おばさんはお風呂に入ることも衣類を洗濯することさえも許してくれなかった。
- 696 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:50:59.32 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・」
('A`)「ブーン、」
('A`)「俺はお前を捨てないし、壊さないし、縛りはしない」
('A`)「・・・ダメかな?」
目の前に理想郷があった。
まるで天国のように煌々と光を放っているように見えた。
- 697 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:51:22.21 ID:d5im6ue10
- そして、
いつの間にかにまた泣いていた。
( ;ω;)「・・・よ、よろしくお願いしますだお」
ここからおじさんとの生活が始まった。
- 698 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:51:47.56 ID:d5im6ue10
- 今まで仕送りをしてもらっていた叔父、叔母に事情を説明し、仕送りをストップした。
住んでいた部屋も早々に引き払い、新生活の場へと移住した。
('A`)「ここがブーンの部屋だよ」
( ^ω^)「・・・気持ちいいお」
おじさんは頭にタオルを巻いて半袖を着ていた。
- 699 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:52:09.15 ID:d5im6ue10
- 部屋の隅にはバケツと雑巾が置かれ、
窓から風がばぁっと吹き、カーテンをゆらゆらと揺らしていた。
大きな窓が二つあるせいかすごく明るい部屋だった。
壁紙には大きな空を飛ぶ飛行機がポップに描かれている。
('A`)「なんかあったら遠慮なく言えよ。後で買い物行くから一緒に行くぞ」
( ^ω^)「わかったお!!」
僕はドキドキしていた。
心配じゃない。
期待のせいでドキドキしていた。
- 700 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:52:57.76 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・ふふ」
おじさんは階段をテンポ良く駆け下りて行った。
新生活と共に学校生活が始まった。
( ^ω^)(緊張するお・・・)
先生「内藤君、入ってー」
( ^ω^)「は、はい!」
- 702 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:53:56.30 ID:d5im6ue10
- 二年生なのにピカピカの制服にピカピカの鞄、ピカピカの上履きを身につけて教室に入った。
三週間後には既に最初の光沢のある制服ではなくなっていたのだが。
(´・ω・`)
「じゃあな、ブーン」
ξ゚听)ξ「また、明日ね。あ、勘違いしないでよ。」
( ゚∀゚)「貸したビデオそろそろ返せよー」
( ^ω^)「みんなまた明日だおー!」
見えなくなるまでバイバイを言い合った。
- 703 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:54:47.15 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)(今日は何にするかお)
スーパーで買い物をすると、表に売っていた今川焼きを買って笑顔で家路についた。
('A`)「・・・ただいまー」
( ^ω^)「おじさんおかえりだお!ご飯出来てるお!!」
('A`)「すごいじゃないか、うまくなったんだな」
( ^ω^)「あ・・・忘れてるみたいだお」
('A`)「・・・?」
- 704 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:55:18.23 ID:d5im6ue10
( ^ω^)「座って待っててだお」
おじさんがコートを掛けて椅子に座るのを確認すると足早に台所に走った。
('A`)(何?)
( ^ω^)「おじさーん!!目を閉じて待ってるお!!!」
('A`)「・・・?」
目を閉じた。
考えても考えても何の事かよくわからない。
- 705 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:55:51.56 ID:d5im6ue10
- すぐにブーンが椅子に座る気配を感じた。
('A`)「・・・なぁ、まだか?」
( ^ω^)「あ!もうちょっと待ってるお!!!」
電気が消された。
( ^ω^)「おじさん、目を開けていいお」
('A`)「・・・ブーン」
目の前にはロウソクが不器用に何本も差されたケーキがあった。
- 706 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:56:19.68 ID:d5im6ue10
- 『おじさんおたんじょうびおめでとう!』
ケーキの上のチョコレートにそう書かれていた。
( ^ω^)「ハッピーバースデイだお!ロウソクを吹き消すんだお!」
ふー、と勢い良く息を出し、吹き消すとブーンが電気をつけに行った。
('A`)「・・・ありがとう」
右手で顔を隠そうとする。
( ^ω^)「まだ泣くのは早いお!」
ブーンの手にはキレイに包装してあるプレゼントがあった。
差し出されると、おじさんはオドオドと受け取った。
- 707 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:56:46.18 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「ネクタイだお!この前友達と一緒に選びに行ったんだお!!」
ニコニコと笑顔を向けるブーンを見ることが出来ずに泣き崩れた。
こんな時に息子の顔が浮かぶ俺は愚か者なのだろう。
( ^ω^)「つけてみるんだお!!」
もったいないほどキレイな包装のリボンを外すと、中の箱を取り出し、ネクタイを手に取った。
( ^ω^)「派手なのもあったけど、僕はそれが気に入ったんだお!」
- 708 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:57:12.74 ID:d5im6ue10
- アニメのキャラクターがいっぱい描かれたネクタイだった。
紺のネクタイにさりげなくキャラクターが見えた。
('A`)「・・・・・・ブーン」
今つけているネクタイを外して、ブーンのネクタイをつけてみる。
( ^ω^)「似合うお!!!1凄くいいお!!!!!」
もう、自分の姿なんか見えなかった。
ありがとう・・・・ブーン。
- 709 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:57:41.82 ID:d5im6ue10
- 幸せが暖かい。
暖かいんだ。
居心地が良くて寝てしまいそうで。
( ;ω;)「おじさん!!!!!」
- 710 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:58:05.98 ID:d5im6ue10
- 僕は高校生になった。
必死こいてみんなと同じ高校に行ける様にがんばった。
勉強は中学に入ってからはほとんどしてなかった。
だけど、新しい学校に入ってからは笑えるほど勉強がおもしろかった。
( ^ω^)「おじさん!」
('A`)「ああ、どうした?」
('A`)「あぁ・・・、そこだな」
おじさんは最近肩がよく凝るらしい。
- 711 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:58:44.31 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「土日だけバイトしていいかお?」
('A`)「・・・どうして?」
( ^ω^)「少しだけでも、自分でお金を稼ぎたいんだお!もうお小遣い貰う歳でもないお!」
('A`)「あ、そこ違う」
( ^ω^)「はいはい」
( ^ω^)「・・・ダメかお?」
('A`)「・・・自分でやりたいと思うのはいいことだ。よし、履歴書の書き方を教えてやろう。」
( ^ω^)「やったおー!」
- 712 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:59:09.45 ID:d5im6ue10
- ブーンは飲食店でバイトを始めた。
初めての給料で二人で外食した。
( ^ω^)「おつかれさまでしたおー」
バイト仲間「気をつけて帰れよー」
( ^ω^)「ありがとうございました」
バイトに慣れた頃はおじさんと出会った三回目の秋だった。
- 713 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 02:59:44.67 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「ただいまだおー」
('A`)「おお、おかえり」
( ^ω^)「熱は下がったかお?」
('A`)「うーん、大分下がったはずなんだけど、まだフラフラするんだよな」
( ^ω^)「じゃあ今おかゆ作るから待ってるお」
すっかり慣れたこの台所。
管理しているのは僕だから全ての物を把握している。
- 714 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:00:21.32 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「梅干しと塩持ってかなきゃ」
お盆におかゆを乗せると慎重におじさんが寝てる部屋まで歩いていった。
( ^ω^)「おじさーん」
( ^ω^)「あれ、寝てるお」
起こすのはかわいそうだと思ったが、薬も飲んでいない。
( ^ω^)「おじさーん」
('A`)「・・・あぁ、すまない、寝てしまったか」
( ^ω^)「いいお、食べるお」
- 715 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:00:57.93 ID:d5im6ue10
- ('A`)「はい、はい、その件につきましては・・・」
おじさんはおもちゃの卸業社に勤めてた。
最近はとても忙しいみたいで、家に帰ってきても大分遅い時間だった。
('A`)「もしもし?」
( ^ω^)「おじさん、どうしたお?」
ブーンは自分で携帯電話を買っていた。
('A`)「ごめんなぁ・・・、今日は帰れないよ」
( ^ω^)「うん、わかったお」
('A`)「・・・じゃあ」
- 716 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:01:31.23 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「あ!おじさん・・・」
('A`)「ん?」
( ^ω^)「仕事がんばってだお!」
('A`)「おぉ、がんばるぞ!明日は夕食期待してるからな!」
( ^ω^)「わかったお!とびっきりのスタミナメニューにするお!!」
ブーンは一人の時は卵をご飯にかけてさっと夕食を済ませていた。
翌日、家中にファブリーズが撒かれた。
- 717 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:02:11.68 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・ブ・・・・・ン・・・・・」
('A`)「ただいまー」
ブーンの声は返ってこない。
('A`)「おーい、帰ってきたぞー」
ブーンは自分の部屋で勉強を黙々としていた。
- 718 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:02:44.11 ID:d5im6ue10
( ^ω^)「あ!ごめんだお!勉強してたら時間見るの忘れてたお・・・」
('A`)「いいよいいよ、これにしよ」
おじさんの手には宅配ピザのチラシを持っていた。
('A`)「明日、丸く納まるように、な」
( ^ω^)「じゃあおじさん、僕が払うお!」
('A`)「じゃあ割り勘だな」
Lサイズのピザは物足りなかった。
- 719 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:03:19.34 ID:d5im6ue10
- ( ^ω^)「おじさん!!!」
('A`)「どうだった!!?」
( ^ω^)「受かったおー!!!!!!!!!!!!!!!」
('A`)「はは・・・本当に受かったんだ・・・」
最初の志望校よりも三つも上のランクの大学を受験した。
- 720 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:04:00.93 ID:d5im6ue10
- ブーンは実力で受かった。
('A`)「今日は外食だ!!!!」
( ^ω^)「僕着替えてくるお!!!」
大人になりかけたブーンを、少し背伸びしたバーに連れてった。
- 721 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:04:32.12 ID:d5im6ue10
- ・・・さ・・・・・ん・・
・・じ・・・さ・・・・・ん・・・
( ;ω;)「おじさん!!!!!」
看護婦「心肺復活しました!!!」
酷く唇が乾燥していた。
( ;ω;)「おじさん!!死んだらダメだお!!!」
- 722 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:05:01.89 ID:d5im6ue10
- ('A`)「・・・ブ・・・・ン・・」
おじさんは痩せ細った腕でブーンの手を掴んだ。
( ;ω;)「・・・何だお?」
('A`)「・・・ひ・・きだ・・・・・し・・・」
ブーンはおじさんが手を離さないように引き出しを開けると、封筒が出てきた。
('A`)「・・・よ・・・・・ん・・で・・・」
封筒を開けると、よれよれの字が並んでいた。
- 723 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:05:24.87 ID:d5im6ue10
- 『ブーンへ』
『初めて手紙をブーンに書いている』
『最後にはなりたくないが、多分そうなるだろうと思う』
『まず、謝りたい』
『俺は約束をしたはずだった』
『お前を捨てないってな』
『俺はまだ諦めてはいない』
『でも、もしかしたら、』
おじさんの手に僕の涙が落ちた。
- 724 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:05:54.63 ID:d5im6ue10
- 『もしかしたら、約束を守れないかもしれない』
『ごめんな、ブーン』
手紙を持つ手が震える。
『本当にブーンが来てから楽しかった』
『暖かかった』
『ありがとう、ブーン』
『頼みたいことが1つある』
- 726 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:06:28.68 ID:d5im6ue10
- ( ;ω;)「・・・お、」
涙が溢れるのを堪えながら。
( ;ω;)「おとうさん!!!!!!!!!!」
『いい加減お父さんと呼んでくれないか?』
- 727 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:07:02.72 ID:d5im6ue10
- おとうさんの葬儀で僕は泣くことができた。
おとうさんの遺骨を前に僕は大泣きできた。
僕におとうさんは暖かさをくれた。
('A`)「・・・あ・・・・り・・・が・・・・・と・・・」
おとうさんの死に顔は笑顔だった。
- 728 :( ^ω^)がおじさんにさよならをするようです:2006/02/14(火) 03:07:38.53 ID:d5im6ue10
- 僕は今日も線香を五本刺して仕事に出かける。
( ^ω^)「おとうさん、おとうさんの奥さんに息子さん」
( ^ω^)「お父さん、お母さん」
( ^ω^)「行ってくるお!!!」
今日はおもちゃの展示会で忙しいようだ。
おとうさんのセーターはちょうどいいサイズだった。
戻る