- 821 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:45:39.93 ID:HR79LI760
「素直クーは静かに熱暴走を起こすようです」
小さな喫茶店で、女たちの嬌声が響いていた。
話し好きの女が数人集まれば、話題には事欠かない。
その中で、先ほどからじっと黙っている女がいた。
彼女はこの喫茶店に入ったときから、何か思い悩んだ表情で、何も喋っていなかった。
ξ゚听)ξ「ねえクー。どうしたの? 今日はいつも以上に無口ね」
心配になった女の一人が、彼女に声をかけた。
クーと呼ばれた女は、無表情な顔をかしげ、声をかけてきた女に返事をする。
- 822 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:46:04.41 ID:HR79LI760
川 ゚ -゚)「別に……どうもしないが」
ζ(゚ー゚*ζ「嘘。”私悩んでます”って顔してるわ」
声をかけた女とは別の女が、すかさず反論した。
クーは小さなため息をつくと、観念したかのように話し始めた。
川 ゚ -゚)「その……彼氏とな、最近してないんだ」
恋愛絡みの話題は、女たちの好物の一つだ。
スマブラに群がるニートたちのように、女たちはその話題に食いついた。
ξ゚听)ξ「あら。悪い兆候ね」
从'ー'从「倦怠期〜?」
从 ゚∀从「してないって、何を?」
- 826 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:46:44.99 ID:HR79LI760
ζ(゚ー゚*ζ「全くごぶさたって訳?」
川 ゚ -゚)「うむ……」
从 ゚∀从「? ごぶさたって何をだ?」
川 ゚ -゚)「私に魅力が無いからかな……」
クーはおせじ無しに美人である。
プロポーションも抜群で、仕事の出来そうなお姉系愛されガールだ。
美人であることが彼女のアイデンティティと言って過言ではない。
想像しにくい人は、自分の一番好きなアイドルを思い浮かべ、自慰に浸るのがいいだろう。
- 828 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:47:46.46 ID:HR79LI760
ζ(゚ー゚*ζ「あ、じゃあさ。いつもと雰囲気変えてみたら?」
川 ゚ -゚)「雰囲気?」
ζ(゚ー゚*ζ「下着の趣味を変えてみたりとか」
ξ゚听)ξ「こっちから誘うのもありじゃない?
コンドームの箱をわざと見せたりさ」
从'ー'从「犯しちゃえ犯しちゃえ〜」
从 ゚∀从「? さっきから何を言ってるんだ? こんどおむって何だ?」
川 ゚ -゚)「ふむ……やってみるか」
その後、話題はツンの彼氏に移る。
あのにやけ面がたまらなく可愛いと言うツンに、一斉の抗議が起こったり。
クーは再び黙り込み、頭の中で作戦を立て始めた。
- 831 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:48:41.62 ID:HR79LI760
〜アパート〜
川 ゚ -゚)「ふむ……雰囲気を変えて……こちらから誘う、だな」
狭いアパートの一室で、クーは一人、彼氏の帰りを待っていた。
今日聞いたアドバイスを思いだしつつ、準備に余念が無い。
彼女の彼氏が帰ってきたのは、夜の十時をまわった頃だった。
クーはその時、ドアの前で正座して待っていた。
_
(;゚∀゚)「あ……ただいま」
川 ゚ -゚)「おかえり」
_
( ゚∀゚)「ひょっとしてずっと待ってた? ごめんごめん。
バイトが長引いちゃって」
- 832 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:49:39.63 ID:HR79LI760
川 ゚ -゚)「黒」
_
( ゚∀゚)「え?」
川 ゚ -゚)「黒の下着にしてみた」
部屋にしばしの沈黙が流れる。
_
(;゚∀゚)「……へえ……そうなんだ」
川 ゚ -゚)「欲情したか?」
_
(;゚∀゚)「い、いや……別に……」
ジョルジュは怪訝そうな顔をしつつ、ひとまず部屋の中へ入る。
居間のテーブルの上を見て、言葉を無くした。
_
( ゚∀゚)「こ……これは……!」
- 836 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:51:38.67 ID:HR79LI760
テーブルの上に山積みになったコンドームの箱がある。
乗り切らなかった箱の一部は、下に崩れ落ちていた。
川 ゚ -゚)「おっと。隠していたのに見つかってしまったか」
_
(;゚∀゚)「隠しててこの有様って……」
川 ゚ -゚)「欲情したか?」
_
( ゚∀゚)「いや……特に……」
川 ゚ -゚)「むう……」
その日はそれで終わってしまった。
- 840 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:52:37.18 ID:HR79LI760
後日、いつもの喫茶店で、いつものメンバーが集まっていた。
その中で、クーはやはり喋っていなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、そういえばさ、彼氏はどうなったの?」
ふと思いだしたように、一人の女が言った。
クーは首を横に振って”駄目だった”というジェスチャーをする。
川 ゚ -゚)「言われたとおり、下着の趣味を変えてコンドームを見せつけたが、失敗した」
ξ゚听)ξ「中々手強いわね……」
从'ー'从「レイプしろレイプ〜」
ζ(゚ー゚*ζ「何かいい方法無いかしら」
(`・ω・´)「私に考えがありますよ」
- 842 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:53:21.41 ID:HR79LI760
彼女たちの話を聞いていたマスターが、勝手に話に割り込んできた。
ξ゚听)ξ「いい方法って?」
(`・ω・´)「ずばり、コスチュームプレイです」
ζ(゚ー゚*ζ「帰れ変態」
从 ゚∀从「消え去れ」
ξ゚听)ξ「消滅しろ」
(´・ω・`)ショボーン
一斉の抗議をうけたマスターは、顔をションボリとさせる。
とぼとぼとカウンターに帰って行く姿は、哀愁たっぷりだ。
- 843 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:54:49.43 ID:HR79LI760
- 川 ゚ -゚)「興味深い。話を聞かせてくれ」
しかしクーだけはそれに食いついた。
マスターは嬉しそうに席に戻ってくると、クーの隣に腰を下ろした。
(`・ω・´)「いいでしょう。少し長くなりますが……」
クーは、この人の口って、ち○○みたいだなと思った。
〜アパート〜
ジョルジュは背中を曲げて、アパートの階段をゆっくりと上がっていた、。
バイトの疲れが心身に残っていて、歩くのすら億劫そうだ。
今日はすぐに寝よう。そりゃあもう親の敵のように寝よう。
そんなことを考えながら、ジョルジュはアパートの自室のドアを開けた。
_
( ゚∀゚)「ただい……」
川 ゚ -゚)「お帰りなさいませ。ご主人様」
何かメイドがいた。
- 845 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:55:43.39 ID:HR79LI760
川 ゚ -゚)「私になさいますか? 私になさいますか? それとも……わ・た・し?」
_
(;゚∀゚)「ちょ、ちょっと何やって……選択権ありそうで無い!」
メイドでは無く新婚さんじゃないか! という突っ込みはしなかった。
川 ゚ -゚)「ご飯が出来てるから、食べてくれ」
_
( ゚∀゚)「あ、うん……ありがとう」
反応に困っていたジョルジュに、いつもの調子で声をかけるクー。
安っぽいアパートの一室で、クーはフリフリがついたスカートを翻しながら言う。
川 ゚ -゚)「あー暑いなー」
_
( ゚∀゚)「今2月だけど……」
川 ゚ -゚)「脱いでしまおう。うんそうしよう」
- 847 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:56:28.81 ID:HR79LI760
- すぐに脱ぐのなら、何故そんなものを着たのだろう。
ジョルジュは不思議に思いつつ、ハムスターが入れられているケージに近づいていった。
_
( ゚∀゚)「ハムたん。今餌あげるよ」
(ФωФ)「みゅう……」
_
( ゚∀゚)「可愛いなあいつ見ても」
ハムスターに構っている間に、クーの着替えは終わっていた。
台所からかちゃかちゃと食器を漁る音が聞こえてくる。
直後に、料理の入った皿を持ったクーが、台所からやってきた。
_
( ゚∀゚)「さて、今日の料理は何……」
川 ゚ -゚)
_
( ゚∀゚)
おわかりいただけただろうか?
- 850 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 01:57:43.47 ID:HR79LI760
Replay
_
( ゚∀゚)「さ〜て〜きょ〜のりょ〜りは〜な〜に……」
川 ゚ -゚)
_
( ゚∀゚)
メイドだったクーは、十数秒間目を離しただけで、セーラースク水少女になっていた。
これは、セーラースク水を着たまま死んだ、悪霊の怨念、とでも言うのだろうか。
- 854 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:00:16.76 ID:HR79LI760
- _
(;゚∀゚)「あの……あ、あの……」
川 ゚ -゚)「こういうのが好きなんだろう。このドスケベが」
_
(;゚∀゚)「いや好きじゃないよ! 好きな男もいるかもしれないけど!」
_
( ゚∀゚)「えっと……ごめん、料理はラップしといて。明日の朝食べるから」
川 ゚ -゚)「え」
_
( ゚∀゚)「バイトで疲れたから、もう寝るよ」
川;゚ -゚)「むうう」
- 855 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:01:43.37 ID:HR79LI760
〜後日・喫茶店〜
(`・ω・´)「彼氏とは、うまくいったかい?」
川 ゚ -゚)「爆死しろ豚野郎」
(´・ω・`)「ああ……駄目だったんだ」
(`・ω・´)「でも大丈夫。私のとっておきを教えてあげよう。全ての男を魅了するテクさ」
川 ゚ -゚)「もはや貴様には何の期待もしていない」
(´・ω・`)ショボーン
ξ゚听)ξ「まあまあ。
いつも五人でコーヒー一杯しか頼んでないんだから、恩返しのつもりで聞いてあげましょうよ」
- 858 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:02:22.97 ID:HR79LI760
ζ(゚ー゚*ζ「仕方ないわね。手短に話なさいよ」
从 ゚∀从「よ」
从'ー'从「よ〜」
(´・ω・`)「扱い酷い……」
(`・ω・´)「だが気にしない。いいかい? 外見だけでは駄目なんだ。中身を変える必要がある。
というのはね……」
マスターの話は一時間にも及び、クー以外途中から聞いていなかった。
しかしクーは熱心に話を聞いていて、話が終わる頃には、マスターのことを神と呼んで崇拝していた。
川 ゚ -゚)「ありがとう神よ。早速今日実行してみるよ」
(`・ω・´)b「頑張って」
川 ゚ -゚)v「ぶい」
- 859 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:03:08.84 ID:HR79LI760
〜アパート〜
_
( ゚∀゚)「ハームハムハムハームた〜ん」
自作した歌を歌いつつ、ジョルジュはアパートの階段を上っていた。
部屋の前まで来て、ドアノブに手を伸ばす。
_
( ゚∀゚)(……今日も何かあるのだろうか)
連日のようにおかしな言動をする恋人に、ジョルジュは恐怖を抱き始めていた。
ドアノブを掴んだまま、開けるのをためらっている。
_
( ゚∀゚)(えーいままよ!)
覚悟を決めたジョルジュは、ドアを勢いよく開けた。
川 ゚ -゚)「おかえり」
_
( ゚∀゚)「あ、ただいま」
- 860 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:04:29.94 ID:HR79LI760
- 出迎えてくれたクーは、いつもの格好、いつもの調子で、おかしなところは何もない。
ようやく元に戻ってくれた。
安堵した顔で、ジョルジュは部屋に上がる。
_
( ゚∀゚)「ハムた〜ん」
川 ゚ -゚)「餌ならもうやったぞ」
_
( ゚∀゚)「ほんと? ありがとう」
ジョルジュがお礼を言うと、クーは体をよじらせて、頬を赤らめつつ、かつ怒ったような顔で言った。
川*゚ -゚)「あ、あんたの為にやったんじゃないからねっ」
_
( ゚∀゚)
川 ゚ -゚)
_
(;゚∀゚)「ああ……うん、そうだよね。ハムたんの為だよね」
それだけ言うのが、精一杯だった。
- 863 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:06:21.71 ID:HR79LI760
今の何だろう。
ツンデレだろうか。
ツンデレと認めていいのだろうか。
ジョルジュは訳も分からず苦悩する。
川 ゚ -゚)「ご飯が残ってるぞ。おかずはすぐに作れるから、食べたいなら作るが」
_
( ゚∀゚)「じゃあお願いしようかな」
川*゚ -゚)「べ、別にあんたに食べて欲しいって訳じゃないからねっ」
_
( ゚∀゚)
川 ゚ -゚)
_
( ゚∀゚)
川 ゚ -゚)
- 864 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:07:05.33 ID:HR79LI760
痛い沈黙が流れる。
ジョルジュは疲れ切った顔で口を開いた。
_
( ゚∀゚)「……あのさ」
川 ゚ -゚)「ついに欲情したかド変態め」
_
(;゚∀゚)「しないよ! 何に欲情したらいいんだよ!」
そうじゃなくて、とジョルジュは訂正する。
_
( ゚∀゚)「どうしたの? この前から何か変だよ。何か悩み事でもあるの?
相談ならいくらでも乗るからさ、ちゃんと言って欲しいよ」
お前のことだよ、とはクーは言わなかった。
その代わり、手で顔を覆い、肩を震わせ始める。
- 865 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:07:57.55 ID:HR79LI760
- 川 - )「……」
_
(;゚∀゚)「……ど、どうしたの? 何かあったの?」
川 ; -;)「うあああああ! やっぱり魅力が無いんだな! もう私の体じゃ勃たないんだな!」
_
(;゚∀゚)「何の話ですかあああ!?」
川 ; -;)「もういいよ! 別れたいならはっきりと言えばいいだろう!
そしたら私は死ぬ気で抵抗するから……」
_
(;゚∀゚)「抵抗するのかよ! いや言わないけどさそんなこと!」
_
( ゚∀゚)「……もしかして、僕が構ってあげなかったから……」
クーはこくりと頷いた。
_
( ゚∀゚)「……ごめんね。バイトで疲れてて、構ってあげられなかったんだ」
ジョルジュは泣きじゃくるクーを抱きしめ、子供をあやすように優しく言った。
- 868 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/06(水) 02:09:51.66 ID:HR79LI760
- _
( ゚∀゚)「落ち着いた?」
川 ゚ -゚)「……うん」
_
( ゚∀゚)「……お風呂入ろうか。一緒に」
川*゚ー゚)「うん!」
何の事はない、口で言えばすぐに解決することだった。
何故ならジョルジュはおっぱい星人だから。
彼女のEカップさえあれば、世界が滅んでもいいと思っている男なのだから。
愛に装飾はいらない。
おっぱいにプラジャーはいらない。
ただそこに、存在するだけでいいのだ。
お風呂の窓から彼らを覗きつつ、マスターはそんな事を思っていた――。
完
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