741 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:40:22.32 ID:2Ugi5L6XO
( ^ω^)「…………」

時間は夜12時。
ブーンは高層ビルが立ち並ぶ街中を、とぼとぼと歩いている。
前から押し寄せる人波。
それらを目にも留めず前に歩く。
ブーンが見ているのはあの日々の思い出。
愛して病まなかった妻、ツンの事。

( ^ω^)「ツン……僕はどうすれば……」

ブーンとツンは先月結婚式を挙げた。
ジューンブライド、生憎の雨模様だったがツンの表情は晴天その物であった。
綺麗に着飾ったウェディングドレス。
はにかみながら『似合ってる?』と尋ねて来たツンの笑顔。

( ^ω^)「綺麗だったお……ツン」

744 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:41:48.65 ID:2Ugi5L6XO
そして、始まった新婚生活。
仕事に出掛ける前のキス。
仕事で遅くなっても、起きて待っててくれていたツン。
子供は何人が良いかな、なんて二人照れながら話合ったりもした。
甘い甘い日々を二人は過ごした。

( ^ω^)「…………」

しかし、悲劇は唐突に訪れた。
新婚生活が始まり、二週間も経たないあの日。

―――ツンが交通事故に遭った。

会社に警察から電話が入り、おっとり刀でブーンは病院に向かった。
病室に急いで駆け込むとそこには、変わり果てたツンの姿が在った。
泣き崩れ床に膝を着くブーンに、医者から告げられた信じたく無い事実。

『残念ながら、助かる見込みはありません』

745 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:43:28.54 ID:2Ugi5L6XO
数分後、ブーンが来てくれて安心したかのように、ツンは逝ってしまった。
病室に鳴り響く不快な機械音。
ブーンは泣き喚きながら、もう息をしていないツンに呼びかけた。

( ;ω;)『嘘だお!僕は信じないお!』

( ;ω;)『ツンはずっと一緒に居てくれるんだお!?』

ξ--)ξ『…………』

しかし、ツンは目を閉じたまま何も話さない。
諦めずブーンが何度問掛けても、返事する事は無かった。

( ;ω;)『うわああああぁぁぁぁ!!!』

ブーンの嗚咽混じりの叫び声が、病室に響いた。

病室の窓から二人を淡く照らす満月。
彼女はあの月の向こうに行ってしまった。

747 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:44:52.41 ID:2Ugi5L6XO
ツンの葬式の間、ブーンはずっと呆然としていた。
両親、親戚、友達、誰に話し掛けられてもブーンは口を閉じたままだった。
ブーンはツンと死別した事を、信じていなかった。
きっとこれは夢で、その内覚める―――現実逃避。

( ^ω^)(ツンは花がよく似合うお)

菊の花に囲まれたツンの遺影を見て、ブーンはそう思った。
夢だ、夢だから、早く起きよう。

( ^ω^)(起きたらツンに、もっと綺麗な花束をプレゼントするお)

悲しい現実逃避。
ブーンの夢が覚める事は無かった。

749 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:45:41.03 ID:2Ugi5L6XO





(;^ω^)「なーんてNE!」







753 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:47:44.02 ID:2Ugi5L6XO
ブーンは夜の高層ビル街を、とぼとぼと歩く。
悩みの末、先程まで現実逃避をしていた。

(;^ω^)「やばいお!やばいお!どうすれば!?」

ブーンが悩んでいると、ポケットに入れていた携帯が鳴った。
徐に取りだし、恐る恐る着信相手を確認する。

『090-XXXX-XXXX ツン』

(;^ω^)「…………」

覚悟を決め、通話ボタンを押して携帯を耳にあてる。
すると耳をつんざく様な怒鳴り声。

ξ#゚听)ξ『ゴルア!出んの遅いわよ!』

(;^ω^)「すみませんすみません」

ξ#゚听)ξ『で、アンタ頼んでた材料買ったんでしょうね!?』

(;^ω^)「それが、スーパーが見付かりませんで……」

ξ#゚听)ξ『ハァ?買って来るまで帰って来んな!!』

(;^ω^)「でも、もうすぐ終電」

ツーツー……。

756 名前:( ^ω^)が現実逃避するようです:2007/07/06(金) 00:48:58.05 ID:2Ugi5L6XO
(;^ω^)「…………」

一方的に通話を切られ、その場で立ち尽くすブーン。
そう、ブーンは完全にツンの尻に敷かれていた。
結婚したら変わるかな、等と淡い幻想を抱いていたが幻想は幻想だった。

(;^ω^)「さて」

呟くと、ブーンは歩き出した。
カプセルホテルを探す為に。
そしてもう一度、現実逃避し始めた。

( ^ω^)「ツンは優しくて綺麗で……ぶつぶつ」



( ^ω^)は現実逃避するようです

終わり。


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