4 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:16:16.72 ID:xJFHykxJ0
1/6


「こちらチャーリー。前方、異常なし」

川 ゚ -゚)「こちらブラボー。後方、異常なし」


機械的なやり取りのあと、私は静かに無線を切る。

急速に流れていく景色。
どこまでも広がる蒼。

機体の奏でる振動が心地よい。

目標地点まではまだしばらく時間がある。
私は操縦をオートパイロットに切り替えると、背もたれに寄りかかり空を見上げた。

キャノピー越しに見える空は、薄い蒼。
蒼穹の色。

私の一番好きな色。
私の一番好きな場所。


5 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:22:35.07 ID:xJFHykxJ0
「……ザザ……前方に敵機、迎撃する」

川 ゚ -゚)「了解」


無線が入ると同時に、操縦モードを手動に切り替える。

敵機を目視。
前方に2機。

まだ距離がある。
敵の動きをじっと待つ。

片方が右へ。
もう一方は上昇。
前方の僚機が右へ進路をとる。

やれやれ。
難しい敵を押し付けて。

私は上昇した敵に向かい進路をとる。
体にかかるGが心地よい。


6 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:24:10.59 ID:xJFHykxJ0
上昇した敵機が、上昇中のこちらに向けて下降する。
距離が縮まる。

敵機の機首から閃光。
撃ってきた。

しかし、遠い。
そんな距離ではあたらない。

私はフラップを踏み、減速。
機首を下に向け、被弾した振りをして、きりもみしながら落ちていく。

視界が回る。
世界が回る。

そこで機首を持ち上げ、上昇。
急激な高度変化に、機体が悲鳴を上げる。

いい子だから我慢して。



7 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:25:28.37 ID:xJFHykxJ0
機体の悲鳴が止まる。
いい子だ。

きりもみしながら上昇。
周囲を索敵。

いた。
右下方。

私の僚機の方へ向かっている。

馬鹿な奴だ。
私は落ちてなどいない。

フラップを立て続けに踏み、急減速。

機首を下へ。
そのまま、敵機に向かって急降下。

距離が縮まったところでトリガーを数度引く。
私の愛機から出た火線がまっすぐに敵機へ。

命中。

敵機は煙を出して落ちていく。


8 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:27:36.53 ID:xJFHykxJ0
「……ザザ……ブラボー……応援を……」

川 ゚ -゚)「了解。すぐに行く」

「はや……う……ガガ………ピ――――――」


視界の先で、僚機が爆発。

すまない。
一足遅かった。

それにしても、あいつを落とすとはなかなかだ。
久しぶりに歯ごたえのありそうな相手。

そう思った矢先、敵機は旋回して空域を離脱していく。


川 ゚ -゚)「たいした引き際だ。やるな」


敵機が地平線の先に消えた。

私は背面飛行し、地上に堕ちた僚機の残骸を見つめながら帰路についた。


9 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:35:25.29 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「クー少尉、帰還した」


規定のセリフをつぶやいて、私は愛機を降りた。
足には、滑走路の硬い地面の感触。

この感触を味わうたびに、地上に戻ってきたことを後悔する。

大地から伝わる重力。
地上に私を縛り付ける呪縛。



10 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:36:48.36 ID:xJFHykxJ0
( ´ー`)「お帰り。今回も一人かい?」

川 ゚ -゚)「……僚機は名誉の戦死を遂げられた」

( ´ー`)「お前が殺したんだろ?」

川 ゚ -゚)「……」

( ´ー`)「やだねぇ……冗談だよ」

川 ゚ -゚)「……」


私は彼に背を向けて、基地本部へ報告に向かう。


( ´ー`)「おー、やだやだ。これだから『パロン』は……」


同僚のいやみを聞き流し、私は滑走路を進む。


12 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[]:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:38:55.79 ID:xJFHykxJ0
ミ,,゚Д゚彡「うむ。ご苦労」

川 ゚ -゚)「それでは失礼します」


本部で上官に規定通りの簡単な報告を済まして、私は格納庫へ向かう。
本部の閑散とした廊下を抜け、外に出る。
格納庫は、本部棟から目と鼻の先。

  _
( ゚∀゚)「よう!今日も派手に使ってくれたね!」


格納庫内では、愛機が整備兵に点検を受けていた。
にこやかな顔をした整備兵が私に話しかける。


川 ゚ -゚)「……すまん」
  _
( ゚∀゚)「いいってことよ!これが俺の仕事!」


そう言って、彼はまた整備に没頭する。
私は格納庫の床に座り、静かにその様子を眺め続けた。


13 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:39:42.45 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「今月の撃墜数12!この基地じゃ独壇場だな!」

川 ゚ -゚)「……」


整備が終わったらしく、後片付けしながら彼は言う。

  _
( ゚∀゚)「この調子じゃ、VIPに配属されるのも時間の問題だな!」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「そん時は俺も連れってってくれよ!お前の機体、気に入ってんだからさ!」


一人でべらべらとまくし立てて、彼は格納庫の外に消えた。

楽な奴でいい。
私はそう思った。


16 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:46:38.27 ID:xJFHykxJ0
ミ,,゚Д゚彡「クー少尉、貴官の『VIP』への配属が決定した!」

川 ゚ -゚)「……はっ」

ミ,,゚Д゚彡「整備兵の長岡とともに、明後日に移動だ。おめでとう!以上」

川 ゚ -゚)「……失礼します」


私は受け取った辞令を手に、上官室を出た。
同僚の冷たい視線をから逃げるように格納庫へ向かう。

格納庫内では、いつものようにあいつが私の愛機の整備をしていた。

  _
( ゚∀゚)「よう!『VIP』への配属おめでとう!って言っても俺もだけど!あははは!」

川 ゚ -゚)「……」


相変わらず一人でしゃべるしゃべる。
私にとっても、それが楽でいいのだが。


18 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 11:52:46.45 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「ニーソク社私設軍エリート飛行部隊『VIP』!
    いいね!いいね!!
    『VIP』は最前線基地に配備されているから、お前の撃墜数はもっと上がるぜ!」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「飛行機械もいっぱいあるんだろ!?楽しみだ!!」

川 ゚ -゚)「……」

彼のようにまっすぐに感情を表に出せたら。
私はつくづくそう思う。

19 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:00:02.88 ID:xJFHykxJ0
2/6


( ^ω^)「僕はVIPの隊長のブーンだお!」


明後日、私は最前線基地にあるVIPに配属された。


川 ゚ -゚)「……今日付けでVIPに配属された、クー少尉です」
  _
( ゚∀゚)「俺、長岡!俺、長岡!!よろしく頼む!」

( ^ω^)「よろしくだお!それにしても『パロン』が配属されるなんて初めてだお!」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「でも、VIPは実力がすべて。『パロン』だろうパンツだろうと差別はしないお!」

川 ゚ -゚)「……」

( ^ω^)「ま、そんなとこだお。呼び出しが来るまで好きにしてていいお」

川 ゚ -゚)「……はっ」


20 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:15:17.92 ID:xJFHykxJ0
気だるい挨拶を済ますと、私は愛機のもとへ向かう。

そこだけが、私の場所。
地上で唯一安らげる、私の居場所。

  _
( ゚∀゚)「また愛機のところに行くのか!?俺も行く!!」

川 ゚ -゚)「……」


後ろからは、長岡の声。

  _
( ゚∀゚)「ほんと『パロン』って人種は変わってるな!
    俺も変わってるって言われるけど!あははは!」

川 ゚ -゚)「……」


うるさい長岡を無視して、私は格納庫に到着した。


22 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:18:29.55 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「うお!すげえ!最新型の『VIP774』だ!」


格納庫に到着するや否や、長岡はそこに格納されている機体を見てはしゃぎだした。


『VIP774』
ニーソク社が開発した最新鋭飛行機械。
機体の後部に水冷式プロペラエンジンが設置された単葉機。
まだ生産が追いついておらず、エース部隊である「VIP」にのみ優先的に配備されているようだ。


一方で私の愛機は『VIP773』
基本性能は『VIP774』と同じだが旧式。
『VIP774』と比べ、急速上昇時のエンジンの息継ぎの有無やエンジンの冷却性能に差がある。

23 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:20:47.05 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「すげえ!すげえ!早くイジりたい!」


最新鋭機を目の前にして、長岡はしきりにはしゃぐ。
そんな長岡をよそに私は愛機のもとへと向かう。

すると、私の愛機の横には珍しい機体があった。

  _
( ゚∀゚)「なんじゃこりゃ!ずいぶんと旧式だ!!」


いつの間にか後ろにいた長岡が声を上げる。

私の愛機の隣にあったのは『VIP771』
前方にプロペラエンジンが搭載されており、そのため機銃が機首にではなく両翼についた単葉機。

スピード、旋回性能ともに後部プロペラエンジンタイプの『VIP773』『VIP774』には劣り、
機首にプロペラがついているためにプロペラによる気流をモロに受けるため、
飛行に癖があり、一部の古参のベテラン兵しか使っていない旧式の飛行機械。


24 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:22:36.42 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「誰だ!こんな旧式使う物好きは!!」


どたばたと機体の周りを飛び回る長岡を無視し、私はこの旧式を観察する。
すると、尾翼に見たことのあるマークを発見する。

タバコを人差し指と中指ではさんだ右手を表したマーク。


川 ゚ -゚)「……このマークは……」


そのマークを眺めていると、操縦席からのそりと起き上がる男の姿。


25 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:23:57.50 ID:xJFHykxJ0
('A`)「………」
  _
( ゚∀゚)「あ!あんたがこの旧式のパイロット!?俺、長岡!お前は!!」

('A`)「……ドクオ」


その名を聞いて、私は確信した。

ニーソク社私設軍、伝説のパイロット、ドクオ。
いくつもの死戦をくぐり抜けてきた歴戦のパイロット。

私の大好きな空を知り尽くした男。
私の目標とする男。


26 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:24:50.13 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「この旧式いいな!俺に整備させて!」

('A`)「……帰れ」
  _
( ゚∀゚)「いいじゃんか〜!頼む!頼む!!」

('A`)「……帰れ!」
  _
( ゚∀゚)「う〜ん!ケチ〜!」


そうぼやきながら、長岡はしぶしぶ格納庫から出て行く。
そんな彼を一瞥した後、私はドクオの姿を見つめた。


27 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:25:51.22 ID:xJFHykxJ0
('A`)「……新人か?」

川 ゚ -゚)「……」


彼は操縦席から私を見下ろして言う。


('A`)「……お前も帰れ。邪魔だ」

川 ゚ -゚)「……」


私はくるりと振り返ると、そのまま格納庫の出口へ向かう。

ドクオ。
私の目標。

彼と話をしたかったが、私にはその方法がわからなかった。


28 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:27:44.79 ID:xJFHykxJ0
チャンスは思いがけずやってきた。

VIPでの初任務のパートナーがドクオだった。
任務は敵基地の詮索。

空は快晴。
軽やかに滑走から飛び立つと、私たちは安定飛行に入る。

操縦を、オートパイロットに切り替える。
私はキャノピー越しに空を眺める。

右前方には、ドクオの機体『VIP771』

きれいな飛行姿勢。
風の流れに逆らわず、風の隙間を縫うように進んでいく。

オートパイロットではこうは行かない。
きっとドクオは手動で操縦している。

私も負けじと操縦を手動に切り替える。


29 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:30:18.72 ID:xJFHykxJ0
('A`)「……ザザ……まもなく敵基地守備空域に入る。以後、無線での連絡は禁止」

川 ゚ -゚)「……了解」


敵基地は目視できない。
しかし、彼にはここからが敵基地の空域だとわかるようだ。

これがベテランのパイロット。
これが空を知り尽くした男。

私は右前方を飛行する彼の機体を見つめていた。
すると、彼の機体が急上昇する。

あわてて前方を見ると、3機の飛行編隊。
あの形状は、敵であるメンヘラ社私設軍のスタンダード飛行機械『ラウンジ443』

性能は私の愛機『VIP773』と何の遜色もない。
そして2対3。

伝説のパイロットのお手並み拝見だ。


30 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:33:24.31 ID:xJFHykxJ0
ドクオに合わせて私も上昇。
敵機も上昇してくる。

敵機のうち、二機が右へ。
一機はそのまま突っ込んでくる。

ドクオは右の二機のほうへ。
私は突っ込んできた一機の方へまっすぐ向かう。

距離が急速に縮む。

まだ……まだだ。



31 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:36:02.37 ID:xJFHykxJ0

今だ。

私は羽根を地面に垂直に立て、そのまま右方向へ旋回。
そのコンマ数秒前に敵機が放った機銃が、私がいたはずの場所をすり抜けていく。

羽根を垂直に立てたまま、右旋回を続行。
ちょうど機首が180度反対を向いたところで、敵機と平行飛行に入る。

羽根を垂直に立てたまま、機首を敵機の方へ。
そして、トリガーを引く。

火線が敵機に向けて放たれる。
敵機の尾翼に命中。

敵機はそのまま下降しながら旋回。
基地のほうへ戻っていく。


32 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:43:25.37 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……深追いはまずいな」

そう判断した私は、ドクオと交戦中の二機を探す。
上には、いない。

背面飛行で下を目視。
……いない。

すると、禁止されているはずの無線から低い声。

('A`)「任務完了。帰還する」

川 ゚ -゚)「……敵機は?」

('A`)「撃墜した。迎撃してきた機体数で敵基地の大方の戦力状況も推測できる。詮索任務完了」

川 ゚ -゚)「……了解」

いつの間にかドクオは私の隣を飛行していた。
私が一機を迎撃している間に、ドクオは二機を軽々と撃墜。

悔しいが、実力はドクオが相当上。
現実を目の当たりにして、私は初任務を終えた。


33 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:46:49.64 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「おっおっお。ご苦労さんだお。ゆっくり休むお」

川 ゚ -゚) ('A`)「……了解」


隊長に報告を済ませ、私たちは部屋から出る。

今回の索敵で、敵基地の現状が大方把握できた。
残り数回の調査の後、敵基地への『VIP』による大規模攻撃が始まるそうだ。

そんなことはどうでもいい。
私はもっと空を飛びたかった。

地上の風は気持ち悪い。

地上はしがらみで溢れている。
重力、人間……すべてが私を束縛する。

空を飛ぶことだけが、私をそれから解放してくれる。


34 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:49:51.97 ID:xJFHykxJ0
('A`)「……おい、新人」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「お前は敵機にぎりぎりまで近づき、紙一重で交わしてカウンターをかましていたな。
    ……あんな戦闘の仕方だと、近いうちに必ず死ぬぞ」

川 ゚ -゚)「……」


思いがけず、ドクオに話しかけられる。

私は何も言えない。
私は表情を変えられない。

言わないのではなく、言えない。
変えないのではなく、変えられない。

だって私は『パロン』だから。
その中でも、失敗作だから。

うれしくても
悲しくても
何も反応できない。

まるで、無機質な人形のよう。

35 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 12:55:32.51 ID:xJFHykxJ0
3/6


首都「ニチャン」
ここにあるとある高層ビルのとある部屋で、ある会合が開かれていた。


(´・ω・`)「いや〜お待たせ。ニーソク社社長、ショボンです」

 (`・ω・´)「遅いよ。メンヘラ社社長、シャキンです」

/ ,' 3「さて、ニーソク社社長、そしてメンヘラ社社長、両陣営ともに揃ったようじゃの」

(´・ω・`)「はい。お待たせしてすみません」

/ ,' 3「なんの。社長ともなれば忙しいにきまっとるさ」

(´・ω・`)「この国の首相である荒巻殿に比べれば私など……」

/ ,' 3「ほっほっほ。よいよい」

 (`・ω・´)「すみませんが、早速本題に入らせていただきます。
      議題は、両陣営の軍事バランスについてです」

/ ,' 3「ふむ。続けよ」


36 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:02:07.27 ID:xJFHykxJ0
(`・ω・´)「ご存知の通り、先の世界大戦の後、この世に残った国家はわが国だけになりました。
     そして、世界大戦の結果国内の人口は減り、大地は腐り、作物は育たなくなりました」

/ ,' 3「そのために、作物を機械で作らざるを得なくなった。
   そして、その技術を持っていたのはニーソク社とメンヘラ社であった、じゃろ?」
 
(`・ω・´)「その通りです。そのため、一時的に人口は増加し、この国は再び豊かになったかに見えました。
      しかし、人口が増えすぎ、雇用に対し人口の比率があまりに高くなりすぎた。
     その結果、町には浮浪者がはびこり、治安は急激に悪化、この国は荒れに荒れました」
 

37 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:03:45.20 ID:xJFHykxJ0
(`・ω・´)「ここで通常なら他国に戦争もしくは輸出入を仕掛け、 
     新たな市場を開拓するのが筋なのでしょう。
    
     しかし、先の世界大戦で我々以外の国は崩壊しました。
    
     そのために我々が行った苦肉の策が、我々完璧な人種『パロン』による民衆の支配、
     そしてニーソク社、メンヘラ社間における仕組まれた国内戦争です。
    
     永久に終わらない国内戦争を起こす。
     
     これにより軍事産業が恒久的に存続し、工場や兵士としての雇用が拡大、安定され続けます。
     また、戦争による犠牲者により人口減少効果も出ました。

     『パロン』第一世代による統治も淀みなく進みました。
   
     雇用も拡大。治安も安定。人口も減少。すべてが我々の策略どおりでした」



38 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:05:49.39 ID:xJFHykxJ0
/ ,' 3「それならよいではないか。なんの問題がある?」
 
(`・ω・´)「ところが、大きな問題が発生しました。
     ニーソク、メンヘラ両社間の軍事力のバランスシートが崩れてきているのです。
     
     ニーソク社の軍事力、具体的には兵力の増大が著しい。
     特にニーソク社の空軍エリート部隊『VIP』の兵力があまりに強すぎる」

(´・ω・`)「飛行機械数、兵数ともにそちらのエリート部隊とはなんら変わりないはずだが?」

(`・ω・´)「数字上はその通りです。しかし、『VIP』はパイロットの質があまりにも高すぎる」

(´・ω・`)「そっちの思い込みなんじゃない?」

(`・ω・´)「まさか。特に、ドクオ、ブーン、モナー、ギコとやらの撃墜数はすさまじい。
     この中でもさらに、ドクオとやらの撃墜数は群を抜いて高い」


39 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:08:54.29 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「だから何さ?」
 
(`・ω・´)「ドクオ君をメンヘラ社にくれないか?」

(´・ω・`)「うほっ。それは無茶な注文だ」
 
(`・ω・´)「なぜです?そうすれば軍事力のバランスシートはある程度まで戻ります。
     あなたの権力を使えば造作もないことでしょう?」

(´・ω・`)「簡単に言うがね、それはいくらなんでも怪しまれる」
 
(`・ω・´)「……まあ、いいでしょう。それともう一つ」

(´・ω・`)「まだあるの?」

(`・ω・´)「『VIP』に『パロン』が入隊したようだね?」

(´・ω・`)「え、そうなの?」
 
(`・ω・´)「とぼけないで頂きたい。完璧な人種『パロン』を『VIP』に入れるとは何事です?
     兵士は常人のみ。我々『パロン』は統治者としての仕事に限定されているはずだ」


40 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:14:00.27 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「『パロン』といっても彼女は失敗作だ。アカデミーからの報告書は君も見ただろう?」
 
(`・ω・´)「ええ、見ましたとも。統治者として彼女は確かに『失敗作』でした。
    しかし腐っても『パロン』。その潜在能力は常人をはるかに超越しています」

(´・ω・`)「んな、大げさな」
 
(`・ω・´)「事実です。その証拠に、半年前に行われたメンヘラ基地への『VIP』の大規模攻撃後、
     彼女の撃墜数はうなぎのぼりに上がっている。
     まもなくブーンやドクオ等『VIP』幹部にも匹敵するパイロットとなるのは目に見えている」


42 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:17:29.19 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「ふーん。で、僕に何をしろと?」
 
(`・ω・´)「彼女の抹殺。そして、ドクオの引渡しに応じてもらいたい」

(´・ω・`)「だが断る」
 
(`・ω・´)「んなむちゃくちゃな……」

/ ,' 3「まあ、よいではないか。この件ついてはもう少し様子を見ることにしよう」

(´・ω・`)「さすがは荒巻殿。いよっ!大統領!!」

/ ,' 3「ほっほっほ。わしはこの後予定が入っているので失礼するよ。では、またのぅ」 

(´・ω・`)ノ「はいは〜い、バイブー」

(`・ω・´)「………」


44 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:24:40.41 ID:xJFHykxJ0
数時間後。


首都「ニチャン」から東へ数百キロ離れたところにあるニーソク本社。
その社長室の席に着いた彼は、秘書官に出された茶を飲んで一息入れた。


(´・ω・`)「やれやれ。メンヘラ社社長に怪しまれてしまったよ」

ξ゚△゚)ξ「そうですか」

(´・ω・`)「これは早急に作戦を実行に移さねばなるまいね」

ξ゚△゚)ξ「そのように手配いたします」

(´・ω・`)「ん。頼んだよ」

ξ゚△゚)ξ「では、失礼いたします」


45 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:25:23.54 ID:xJFHykxJ0
秘書官の出て行った社長室で一人、彼は窓の下に広がる世界を見下ろした。

腐った大地。
腐った人間。

腐った国。
腐った世界。


(´・ω・`)「……『自然の理に反する者達』はこの世界から消えるべきだよね」


そうつぶやいて、彼はカーテンを閉めた。

47 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:45:08.10 ID:xJFHykxJ0
4/6


( ^ω^)「どうだったかお?今回の任務は」

( ,,゚Д゚)「敵機が4機出てきたときは終わったかと思ったぞゴルァ!
    でもすげーぜこいつ!すんなり2機を撃墜しやがったぞゴルァ!」

川 ゚ -゚)「……」

( ,,゚Д゚)「さすがは『パロン』ってとこかゴルァ?」

川 ゚ -゚)「……」

( ,,゚Д゚)「何とか言いやがれゴルァ!」

( ^ω^)「まあまあ、落ち着くおギコ。クーはこういう奴だお」

( ,,゚Д゚)「そうだったなゴルァ!」

川 ゚ -゚)「……失礼してもよろしいでしょうか?」

( ^ω^)「おっおっお。ごくろうさんだお。ゆっくり休むお」


48 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:48:44.90 ID:xJFHykxJ0
上官室を出て、格納庫へと向かう。

もうすっかり歩きなれたこの廊下。

VIPに配属されて半年。
今までの基地とは比べ物にならないほどに頻繁な出撃命令。

そのたびに私は空へと飛び立った。

空を飛ぶ時間が増えた。
地上の束縛から解放される時間が増えた。

だけど、それにつれて、地上での時間が億劫になった。
開放される時間が増えるたび、束縛の時間がつらくなる。

ずっと空にいられたら。

近頃の私は、そんなことばかり考えている。


49 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:50:40.58 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「よ!お疲れさん!」

川 ゚ -゚)「……」


格納庫では、いつものこの男。

  _
( ゚∀゚)「この一ヶ月の撃墜数15!もうブーン隊長やギコ達幹部とも引けを取らないんじゃない!?」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「ちゃっかり新型の『VIP774』ももらっちゃってさ!
   すんごい!すんごい!おかげで俺も、整備が楽しいぜ!!」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「このシリンダー3ミリ溶接していいか?いいよな!サンキュー!!」

川 ゚ -゚)「……」



50 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:51:30.37 ID:xJFHykxJ0
こいつはいつも、楽しそう。
ひとりでいつも、ニコニコしている。

こいつは私と少し似ている。
誰にも相手をされないで、私とこいつはいつも一人。

だけど、こいつは楽しそう。
いつもひとりで、ニコニコしている。

こいつと私の違いは何?

こいつはなんで、私に話しかけてくる?



51 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:52:52.80 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……なあ」
  _
( ゚∀゚)「ん?何!何!!」

川 ゚ -゚)「……おまえ、何でいつも笑っている?」
  _
( ゚∀゚)「楽しいから!」

川 ゚ -゚)「……誰からも、相手をされていないようだが?」
  _
( ゚∀゚)「飛行機械が相手してくれる!お前が相手してくれる!」

川 ゚ -゚)「……私は……」
  _
( ゚∀゚)「みんな俺のこと馬鹿にする!俺のこと、馬鹿だって言って笑う!
    だけどお前と飛行機械は黙って話を聞いてくれる!だから楽しい!」

川 ゚ -゚)「……」


52 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 13:54:11.86 ID:xJFHykxJ0
私は彼に背を向けて、格納庫から出る。
 
  _
( ゚∀゚)「またな!またな!!」


後ろから聞こえる叫び声。

私は今、うれしいのだろう。

だけど、反応の仕方がわからない。
表情の出し方がわからない。

あいつのように笑おうとしても、私の頬はピクリとも動かない。

私はパロン。
私は欠陥品。

私は人形。
私は……失敗作。


54 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:04:14.89 ID:xJFHykxJ0
('A`)「以上、首都『ニチャン』周辺のメンヘラ軍基地の偵察任務、遂行しました」

( ^ω^)「おっおっお。ご苦労様だお。今日は休むお」

('A`)川 ゚ -゚)「……はっ」


その日はドクオと組んでの首都周辺の偵察任務だった。

首都「ニチャン」は海のすぐそばにあるこの国最大の都市。
中央政府のみが置かれているその場所には、戦争中であるニーソク社もメンヘラ社も支社を置いていない。

ニーソク社はこの国の東の端、メンへラ社は西の端に本社を置いており、
この二社の国内戦争はこの国を西と東に分ける機能も担っている。

自然、その中間である首都近郊が戦争の最前線となる。

我々「VIP」の配備されているのも最前線である首都「ニチャン」近郊であり、
ニーソク、メンヘラ両社はその周辺の軍備を拡大している。


55 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:05:51.98 ID:xJFHykxJ0
首都「ニチャン」はこの国のちょうど中心に位置し、
そこには完璧な人種「パロン」しかいない。

「常人」はニーソク社、メンへラ社のいずれかに属し、
下っ端として軍務や作物の育成といった仕事をしている。

「パロン」がホワイトカラー的な仕事を
「常人」がブルーカラー的な仕事に従事し、それが逆転することは極めて稀だ。


そう。


「パロン」である私が飛行機械のパイロットをしていることは、極めて「稀」なことなのだ。


56 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:06:59.59 ID:xJFHykxJ0
('A`)「……おい」

川 ゚ -゚)「……」


そんなことを考えていると、ドクオが話しかけてきた。

珍しい。

しかし、悪い気はしない。


57 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:09:41.93 ID:xJFHykxJ0
('A`)「今日の任務、ご苦労だった。
  お前とは、『VIP』の中で一番作戦を遂行できる」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「たいしたもんだ。ここに来て一気に腕をあげたな」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「お前にはブーン隊長でもかなわんだろう。お前がここのエースだ」

川 ゚ -゚)「……何を言う」

('A`)「ん?」

川 ゚ -゚)「……私は、あなたに遠く及ばない」


誰もいない、閑散とした基地の廊下。

私は、ドクオを見つめた。


58 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:11:00.42 ID:xJFHykxJ0
('A`)「そんなことはない。俺はお前を同格に見ている」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「お前は『パロン』だ。
   たかが常人の俺なんぞ、もうすぐ簡単に超えるだろう」


ドクオが静かに私を見返す。
その瞳は、ギラリと輝いている。

獲物を見つけて喜ぶ獅子の瞳。

彼の瞳の輝きを、私はそう理解した。


59 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:13:17.68 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……私は……失敗作だ」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……『パロン』として造られた私は、アカデミーで『統治者』としての教育を受けた。
    『常人』を従え、この国を繁栄させるための頭脳として、私はひたすらに教育を受け続けた」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……私たち『パロン』は完璧な人間。『常人』はただ戸惑えるだけの群れ。
    その群れを完璧な我々『パロン』が統治する。これぞ民主主義の究極だ、と」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……だけど、私はそれを理解できなかった。
    ほかの『パロン』と違い、私には表情が無い『欠陥品』だった。
   
    造られた我々が、なぜ完璧なのか? 
    表情の無い私が、なぜ完璧なのか?

    私はそれを、アカデミーの教授に問うた。
    その結果、私は『失敗作』としての烙印を押された」


60 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:15:58.96 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……同胞である他の『パロン』は私を『失敗作』だとののしった。
    
    『近寄るな』
    『欠陥が移る』
    『出来損ない』

    仕舞いには私はアカデミーを追われた。
    親も親戚も無い『パロン』である私は、地上に一人で放り出された」

('A`)「……」



61 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:16:59.21 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……幸いにも、私は軍に拾われた。
    しかし、表情の無い『パロン』である私が『常人』になじめるはずは無かった。
  
    いつでも私はののしられた。
    いつでも私は一人だった。
   
    そんな声から私を解放してくれる唯一の場所が『空』だった」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……その空を一番知っている男があなただ、ドクオ。
   私はあなたを尊敬している。どうか、私に空のすべてを教えてくれないだろうか?」


閑散とした基地の廊下に、私の声が響いた。


62 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:19:27.01 ID:xJFHykxJ0
('A`)「『自然の理に反する者達 … People Against a Law Of Nature』
   
   略して『PALON』。
   
   遺伝子操作で完璧を目指し造られた人間。
   お前さんたちも大変だな」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「だが、お前は何か勘違いしている。
   俺は空のすべてなど知りはしない。
   知っていることといえば、空で生き延びる方法。ただそれだけだ」
 
川 ゚ -゚)「……」

('A`)「それにお前は俺を尊敬していると言ったな。それこそ大きな勘違いだ。
   俺は尊敬に足る人間ではない。お前と一緒で地上では喜びを見出せない、欠陥品だ」

川 ゚ -゚)「……」


64 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:20:45.22 ID:xJFHykxJ0
('A`)「俺がこれから何をしようとしているか、わかるか?」

川 ゚ -゚)「……いや」

('A`)「町に女を買いに行くんだよ」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「俺はそんな下賎な人間だ。じゃあな」


そう言って、ドクオは私から離れていく。

私はそんなドクオの手を握った。


65 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:21:54.80 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……それなら私を抱け」

('A`)「……はあ?」

川 ゚ -゚)「……あなたに抱かれれば、あなたのすべてがわかるかもしれない」

('A`)「……んなわけねーだろう…」


ドクオは呆れた声を出す。

ドクオは私の手を振り解くと、私をにらみつけた。


66 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:23:00.54 ID:xJFHykxJ0
('A`)「……」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「……どうしてもって言うならついてこい。基地で抱くわけにはいかん」

川 ゚ -゚)「……ああ」


そして、私たちは軍用車で町へと向かった。

軍用車は、風を切って進む。

やっぱり、地上の風は気持ちが悪い。


67 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:24:16.81 ID:xJFHykxJ0
翌日


湿っぽい、寂れたホテルの一室。
私はそこのベッドの上で眼を覚ます。


ドクオはそこにいなかった。


そして、基地にもドクオはいなかった。

69 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 14:32:32.41 ID:xJFHykxJ0
5/6

( ^ω^)「それではミーティングを始めるお」

( ´∀`)「了解モナー」

( ,,゚Д゚)「早く始めろゴルァ!」

川 ゚ -゚)「……」


基地のミーティング室。

そこにいるのはVIPの幹部。
そして、なぜか私。

あの夜以来、ついにドクオは帰ってこなかった。


76 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:24:18.61 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「今日はお客様がいるお!」

( ,,゚Д゚)「もったいぶるなゴルァ!」

( ´∀`)「早く紹介するモナー」

川 ゚ -゚)「……」


場違いの空気。

私は、早くここから出たかった。


77 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:24:57.89 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「お客様はこの方だお!」

(´・ω・`)ノ「やあ」

( ,,゚Д゚)「ついに来たかゴルァ!」

( ´∀`)「ニーソク社社長だモナー」

川 ゚ -゚)「……」


どういうことだ?

なぜニーソク社社長がここにいる?


78 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:25:31.41 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「少々状況が悪くてね。早急に作戦を実行する」

( ´∀`)「ついにこの時が来たモナー」

( ,,゚Д゚)「燃えるぞゴルァ!」

川 ゚ -゚)「……」


どういうことだ?

話がまったく読めない。


79 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:26:35.24 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「初めての人間もいるから、一から説明するお」

ξ゚△゚)ξ「ブーンさん。ここは私から」

( ^ω^)「お。頼むお」


巻き毛の少女が隊長の傍らに立つ。
そして、背後のホワイトボードを使い、事の真相を話し始める。


ξ゚△゚)ξ「私とショボン社長、そしてクー少尉が『パロン』であることは周知の事実であります。
     遺伝子を操作され、完璧を目指し人工的に造られた人間。それが我々『パロン』です」

( ^ω^)( ´∀`) ( ,,゚Д゚) 川 ゚ -゚)「……」


80 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:28:23.13 ID:xJFHykxJ0
ξ゚△゚)ξ「『パロン』はニーソク社やメンヘラ社といった大企業の幹部や
      政界人、行政の役人として『常人』であるあなた方を『統治』するために生まれました。
      
      その結果できたのが、今の国家です」

ξ゚△゚)ξ「『国民が自分で考え、国家を国民が選んだ人物によって統治させる』

      そんな辞書的な意味である民主主義ではなく

      『国民を政治的、統治的舞台にかかわらせず、情報を一部の知識階級のみに限定する。
      そして、その知識階級が国民をあるべき方向へと導いていく』

      そんな20世紀の民主主義の実情を、我々『パロン』は理想としています。
   
      完璧な人間『パロン』が、あなた方『常人』を支配、統治する。
      これがこの国の実情です」


81 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:30:06.84 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「ありがとう。ここからは僕が」


そう言って、社長は秘書官の話を引き継ぐ。


(´・ω・`)「我々『パロン』は遺伝子操作で人工的に造られる。

     親を持たず、人工的な機械により造り出されることから、
     我々は君たち『常人』から『自然の断りに反する者達』と揶揄されている。

     その頭文字をとったものが、『パロン』という名称だ。

     『People Against a Law Of Nature − PALON』

     我々はこの名称を甘んじて受けている。事実だからね」


82 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:30:57.81 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「しかし、先に述べた『パロン』の民主主義思想は危険だ。
     20世紀の2度目の世界大戦で現れた第三帝国の『ファシズム』につながる恐れがある。
    
     その結果、起きるのはこの世の地獄。
    
     それを防ぐためには、我々『パロン』は消えるべきである」

( ^ω^)「その通りだお!」

( ,,゚Д゚)「よく言ったぞゴルァ!」

( ´∀`)「よ!社長!!」


83 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:31:46.41 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……」


彼は何を言っているのだろう?

ショボン。
ニーソク社社長。

彼も、紛れも無い『パロン』

彼は自分の存在を否定して、何をするつもりなのだろうか?


85 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:45:33.44 ID:xJFHykxJ0
ミーティング室から移動した我々は、
見慣れたいつもの格納庫へと連れてこられた。

そこにあるのは、『VIP774』の半分の大きさはありそうな大型のミサイル。


(´・ω・`)「さて、ここに用意したのはニーソク社最新のミサイル『タシロ』です」

( ,,゚Д゚)「でっかいぞゴルァ!」

( ´∀`)「これはすごいモナー」

川 ゚ -゚)「……」


こんなものを搭載したら、機体の運動性能は大幅に落ちる。

彼等はいったい何を考えているのだろう?


86 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:46:25.48 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「これで首都『ニチャン』を攻撃する」

( ^ω^)「これだけのミサイルなら、首都陥落も容易だお!」

ξ゚△゚)ξ「作戦決行は明後日。飛行機械の編成は以前に伝えたとおりです」

( ´∀`)「オッケーだモナー」

( ,,゚Д゚)「腕がなるぜゴルァ!」

(´・ω・`)「クー少尉には伝えていなかったね。
     内容を伝えるから、僕について来たまえ」

川 ゚ -゚)「……」


そして私は、基地内にある応接室へと通された。


87 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:47:32.94 ID:xJFHykxJ0
ξ゚△゚)ξ「あなた方にはミサイルを搭載した飛行機械で首都を攻撃していただきます。
    これは作戦の要であるので、『VIP』幹部とエースであるあなたにお願いします。
    他の『VIP』隊員には、ミサイル搭載機の護衛を任せてあります」

(´・ω・`)「なにか聞きたいことはあるかい?」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「無いみたいだね。そんじゃ、話はおしまい。帰っていいよ」


私の背後で、巻き毛の秘書官が部屋のドアを開ける。

しかし、私は立ち上がらない。

聞きたいことがあるからだ。


88 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:48:52.09 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……なぜ、そんなことをする?」

(´・ω・`)「やっぱりそうなるよね」

川 ゚ -゚)「……『パロン』であるあなたが、なぜ同胞を滅ぼすようなことをする?」

(´・ω・`)「支配欲」

川 ゚ -゚)「……?」

(´・ω・`)「行過ぎた支配欲は、私のような人間を生み出す。

     富・権力・名声・女。
     すべてをわが手におさめたい。
     
     私はこの支配欲に支配されている。
     じきに、『パロン』は私のような人間ばかりになるだろう」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「それならば、私は私という存在、そして同胞の『パロン』をすべて消そうと思う」


89 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:51:36.05 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……狂っている」

(´・ω・`)「そう。狂っている。それが『パロン』だ。
    自然の理に反し生まれた我々が、正常なはずが無い」

川 ゚ -゚)「……お前が死んでどうする?
    死んだらお前の望むものは得られんぞ?」

(´・ω・`)「生きていても得られんさ。私と同じくらい優秀な『パロン』はいくらでもいる。
    すぐに私の社長の任期は終わる。そして代わりの社長が来る。
    その後私は、歴史に数多いる『元ニーソク社長』の一人に落ちぶれるのだ」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「それならば、私は同胞である『パロン』を滅ぼして、後の世に永久に名を残そうと思う。
     
     悪から世界を救った男『ショボン』。
    
     そして私の名は永遠に語り継がれる」


90 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:54:48.37 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……どうせ満たされない支配欲なら、せめて名声だけでも残そう、ということか」

(´・ω・`)「さすがは『パロン』。他の連中と違って優秀だ」

川 ゚ -゚)「……私がこのことを他の『パロン』に報告するとは考えないのか?」

(´・ω・`)「おもしろいこと言うね、君。
    でもさ、アカデミーで君、言っていただろう?
    
    『造られた私たちが、なぜ完璧なのか?』って。
    
    その結果、君はアカデミーを追放された。
    だから君は『パロン』を憎んでいる。

    そんな君が、僕の邪魔をするはずは無い」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「それにさ、君は『失敗作』だ。
    失敗作は失敗作らしく、僕に従っていればいい。
    そうすれば、君も英雄として歴史に名が残る」


92 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:56:12.77 ID:xJFHykxJ0
目の前のテーブルに、茶が置かれる。
彼はそれに口を含んだ。


(´・ω・`)「うん。うまい」

ξ゚△゚)ξ「ありがとうございます」

(´・ω・`)「で、聞きたいことはもう無いのかな?」


コップをテーブルに置くと、彼は私をにらみつけた。


93 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 15:57:48.09 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……二つほど」

(´・ω・`)「続けて」

川 ゚ -゚)「……一つは作戦について。
    あんな大型のミサイルを搭載するとなると、機体の運動性は格段に落ちます。
    もし敵に強襲を受けた場合、勝ち目は無い」

(´・ω・`)「で?」

川 ゚ -゚)「……それならば、『VIP』幹部を護衛にして、他の隊員にミサイルを運ばせるべきです。
    そのほうが、より確実に首都を落とせます」

(´・ω・`)「ふーん。失敗作が僕に意見するの?」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「僕のほうが優秀なんだから、君は僕の作戦に従っていればいいんだよ」


95 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:16:27.98 ID:xJFHykxJ0
思い出した。
『パロン』はこんな奴ばかりなのだ。

自らを完璧だと信じて疑わない彼等は、他人の意見など聞きはしない。
自分の知識に縛られ、実際に現場で動いている人間の意見など見向きもしない。

そんな人間が『完璧』であるはずが無い。


(´・ω・`)「で、もう一つは?」

川 ゚ -゚)「……ドクオ」

(´・ω・`)「ん?」

川 ゚ -゚)「……ドクオがいなくなったのは、お前の仕業か?」


96 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:17:18.67 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「それは否だ。
    彼の行方はついにわからなかった。
    
    惜しいことをした。
    彼は『常人』にしては優秀な腕を持ったパイロットだったのにね」

川 ゚ -゚)「……」

(´・ω・`)「以上だね?帰っていいよ」

川 ゚ -゚)「……」


そして私は立ち上がる。

秘書官が開けた扉から、私は静かに外に出た。


98 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:19:30.23 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「おかえり!遅かったな!!」


格納庫に行くと、長岡がミサイルを見てはしゃいでいた。

  _
( ゚∀゚)「これすごいな!次の作戦はすごいのか!?」

川 ゚ -゚)「……ああ」
  _
( ゚∀゚)「おおおおお!腕が鳴るぜ!!
    安心ろ!お前の愛機は俺が完璧にする!!」


99 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:21:09.88 ID:xJFHykxJ0
そう言って、長岡は私の機体の整備を始める。
そして私は格納庫から出て、空を見上げた。

長岡は言った。
私の愛機を完璧にしておくと。

だけど、この世に完璧などあるはずが無い。

長岡は馬鹿と呼ばれているらしい。
ブーン隊長達はショボンの口車に踊らされている。

彼等『常人』は、完璧から程遠い。

では、私たち『パロン』はどうだろう。

自らの優秀さを信じて疑わない、利己的な人間の集まり。
支配欲により狂った男。

そして、私。

私たち『パロン』が、完璧であるはずなど無い。


100 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:22:55.71 ID:xJFHykxJ0
私は空を見続ける。

はるか彼方まで広がる空。
蒼穹の色をした、美しい空。

白い雲が、その空間をゆったりと流れていく。
渡り鳥が、はるか彼方を夢見て渡っていく。

空には、自由がある。
誰にも罵られず、自分らしく生きられる。

私も空で生きたい。
そして、空で死にたい。

私は、永遠に空の中にいたい。

だけど、私は人間。
醜い失敗作。

私は地上に縛られている。
重力という名の呪縛が、私にそれを許さない。

この地上で、私は何をすればいい?


101 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:24:35.55 ID:xJFHykxJ0
  _
( ゚∀゚)「どうしたクー!どうした!?」


いつの間にか後ろにいた長岡が、レンチを片手に騒ぎ立てる。


川 ゚ -゚)「……何でもない。空を見ていただけ」
  _
( ゚∀゚)「そっか!クーはホントに空が好きだな!!」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「俺は飛行機械が好き!お前も好き!!だからおあいこだ!!」


何がおあいこなのだろうか?
だけど、本当にこいつは楽しそう。
もしかしたら、彼は完璧な人間なのかもしれない。

いつでも笑っていて、いつでも楽しそう。

完璧という概念を省みたとき、私には彼が一番それに近いように思える。


102 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:26:17.01 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……なあ」
  _
( ゚∀゚)「なんだ!なんだ!!」

川 ゚ -゚)「……どうしたら、空で生きられるかな?」
  _
( ゚∀゚)「死ねばいい!死ねばいい!!」

川 ゚ -゚)「……むちゃ言うな」
  _
( ゚∀゚)「俺の母ちゃんが言ってた!人は死んだら星になるって!」

川 ゚ -゚)「……」
  _
( ゚∀゚)「星は空にある!だから、星になればいい!」


そんな話、聞いたこともなかった。
きっと、母親という存在が付いたウソだろう。

私たち『パロン』は、そんなウソなど見向きもしない。

だけど、なんと暖かで、優しさに包まれたウソだろうか。
心が満たされ、あたたかくなるウソ。

こんな私の心でも、ぬくもりで満たしてくれる。

104 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 16:27:02.74 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……ふ。そうか、星になればいいのか」
  _
( ゚∀゚)「そうだ!星になれ!だけど死ぬな!!」

川 ゚ -゚)「……どっちだ」
  _
( ゚∀゚)「どっちだ!どっちだ!!」


騒ぎ立てる長岡を背に、私は再び空を見上げた。

東の空に、ポツリと一つ、一番星が輝いていた。

121 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:01:42.57 ID:xJFHykxJ0
6/6


目の前には滑走路。
私は、愛機のコックピット内にいた。


( ^ω^)「『VIP』総員!これは最重要任務だお!絶対にしくじるなお!」

( ´∀`)「わかってるモナー」

( ,,゚Д゚)「早く飛ぶぞゴルァ!『パロン』の奴等をギャフンといわせてやるぞゴルァ!」

川 ゚ -゚)「……」


そして、私は飛び立った。

滑走路の端で、両手を振っている長岡が見えた。




122 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:04:15.37 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……」


飛び立って数十分。
いつもの飛行とは明らかに違っていた。

機体が重い。
反応が鈍い。
いつもと異なる機体の振動。

空を、無理やり引き裂きながら飛んでいるようだ。

私はオートパイロットに切り替える。
そして、いつものように空を見る。

空は晴れ。
多少雲があるが、その白さがアクセントとなり、空はかなり蒼い。

これまでの飛行で一番の蒼。
そして、下方には蒼い海。


世界のすべてが、蒼に染まっているみたいだ。



123 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:05:47.66 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「まもなく首都『ニチャン』空域だお!」

( ´∀`)「護衛部隊、しくじるなだモナー」

( ,,゚Д゚)「おらおら!ぶっ飛ばすぞゴラァ!!」

川 ゚ -゚)「……」


皆、いきり立っている。
いくらすべてが蒼くても、こんなうるさい空はいやだ。

私たちは進む。
ひたすらに進む。

やがて、はるか右下方に陸地が見えてきた。
灰色の、幾何学的な建物。

間違いない。


あれは、首都「ニチャン」



124 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:06:58.54 ID:xJFHykxJ0
( ^ω^)「目標発見!総員、準備はいいかお!?」

( ´∀`)「オッケーだモナー」

( ,,゚Д゚)「よっしゃこいだゴラァ!!」


そのときだった。
前方の空に浮かぶ、大量の赤い点。


(;´∀`)「すごい数だモナー!」

( ,,゚Д゚)「ブーン、どういうことだゴラァ!?
    メンヘラのこの近辺の基地にはあんな大量な飛行機械は配備されていないはずだゴラァ!!」

(;^ω^)「知らないお!
     今までの偵察任務でも、あんな大量の飛行機械は確認されていないお!」

(;´∀`)「もしかして、社長にはめられたモナー?」

(;^ω^)「ととととにかく、護衛部隊は総員戦闘準備だお!
      ミサイルの射程圏まで、僕達を死守するんだお!!」



134 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:46:04.23 ID:xJFHykxJ0
やがて、首都「ニチャン」の周辺海域上空で、
ニーソク軍とメンヘラ軍の今までに類を見ない大規模衝突が始まった。

数ではメンヘラが圧倒的に有利。
しかし、こちらは質で圧倒するニーソク『VIP』

戦力は互角。
そのはずであった。


しかし、誤算が二つ。

一つは、ミサイルを搭載した機体がクーやブーン達『VIP』幹部であったこと。

彼等の機体は、ミサイル搭載状態では運動性能が格段に落ちていた。
そのため、『VIP』の質が格段に低くなっていた。

そしてもう一つ。
それは、メンヘラ軍の中にあった。

空を美しく舞う一機の飛行機械。
それが、次々と『VIP』の護衛部隊を落としていく。



135 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:47:53.26 ID:xJFHykxJ0
( ,,゚Д゚)「あの機体は何者だゴラァ!」

(;´∀`)「見たところ、メンヘラの旧式『ラウンジ441』だモナー」

(;^ω^)「あんな旧式が、何であんな動きを……」

川 ゚ -゚)「……」


メンヘラ軍の標準飛行機械は『ラウンジ443』

我々が対面している部隊も、大部分がそれだった。
その中で『ラウンジ441』という旧式の機体は、間違いなく目立っていた。

我々が上記のような会話を無線から交わしている中、
『ラウンジ441』が私を護衛していた飛行機械を落とした。

その時、私は見た。

『ラウンジ441』の機体に描かれた、
タバコを人差し指と中指ではさんだ右手を表すマークを。



136 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 18:48:50.51 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……あれはまさか……ドクオか」

( ,,゚Д゚)「馬鹿を言うなゴルァ!!」

(;^ω^)「クー!それは確かかお!?」

川 ゚ -゚)「……ああ」

(;´∀`)「『ラウンジ441』はドクオの『VIP771』と同じ前方にエンジンを搭載したタイプだモナー!
    十分にその可能性はあるモナー!」

( ,,゚Д゚)「チクショーだゴルァ!」


無線から聞こえる叫び声とともに、ギコが編隊から離脱。
空を翔る『ラウンジ441』に向けて進み始めた。


(;^ω^)「ちょwwwおまwwwww」

(;´∀`)「ミサイルを搭載した状態でドクオに挑むなんて無茶だモナー!」

( ,,゚Д゚)「ドクオおおおぉぉぉおおおおおぉ!!」



137 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:00:24.23 ID:xJFHykxJ0
ギコが叫び声とともに『ラウンジ441』とすれ違う。
しかし、機体の運動性の違いは明らかだ。

そこで、ギコは雲の中に入る。
雲を隠れ蓑にして奇襲を仕掛けるようだ。

しかし、『ラウンジ441』はこともあろうか同じ雲の中に入る。


(;´∀`)「あいつら、むちゃくちゃだモナー!」



139 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:03:54.43 ID:xJFHykxJ0
それから数分


『VIP』の護衛部隊はほぼ壊滅。

残されたミサイル搭載部隊の我々は、目標を間近にしながら、
敵の攻撃をかわすので精一杯だった。


川 ゚ -゚)「……ちっ」


ミサイルを切り離すか?
ダメだ。
それだと任務遂行できない。

しかし、このままだと堕ちる。
長岡の言っていた星になってしまう。


川 ゚ -゚)「……それも悪くないか」


そう思った矢先だった。



140 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:05:38.26 ID:xJFHykxJ0
(;´∀`)「え!!ウソだモナ……ドク……」


突如入ったモナーからの通信がすぐに途絶えた。
それと同時に、強大な爆発音。


川 ゚ -゚)「……モナーが……やられた?」


爆発した方向を見ると、そのすぐ側を過ぎ去っていく『ラウンジ441』

まさか。
ギコもモナーも落としたのか?

そうなれば、俄然パイロットの可能性は一つに絞られる。


川 ゚ -゚)「……ドクオ……」


『ラウンジ441』が上昇した。
はるか上空まで上昇すると、こちらに向けて一直線に下降してくる。



141 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:07:43.25 ID:xJFHykxJ0
川 ゚ -゚)「……クソッ」


ペダルを思いっきり踏み込む。
機体の速度が上がる。
そのまま右方向に広がる雲の中に突っ込む。

視界が白に染まる。
世界が白に染まる。

その中で体勢を立て直す。
すぐに雲から離脱。

そのまま背面飛行。
下方を確認。

いた。
蒼い海の中にある一つの赤い点。

間違いない。


あれは『ラウンジ441』



142 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:09:41.96 ID:xJFHykxJ0
「……ガガ……ミサイルを……捨てろ」


突如、無線から流れる低い声。
聞き覚えのある低い声。


川 ゚ -゚)「……ドクオ……なのか?」

('A`)「……久しぶりだな」


蒼の中の赤い機体が、太陽の光を反射してきらりと光った。


ドクオに気をとられていると、右上方から敵機。

仕方がない。
敵機から放たれる火線をかわすと、私は機首を首都「ニチャン」に向けた。

頼む。

届いてくれ。


143 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:12:11.48 ID:xJFHykxJ0
そうつぶやいて、ミサイルを発射する。
途端、機体が急激に軽くなった。
発射した反動で、高度が数フィート上昇する。

そのままきりもみしながら上昇。
周囲を確認。

左下方。
ドクオでは無い敵機『ラウンジ443』

フラップを踏んで減速。
そのまま機首を下に向け、一気に下降。

敵機も私に気づく。
スピードを上げて私の斜線上から離脱していく。

やる。
しかし甘い。

下降からフラップを立て続けに数度踏む。
機体が急激に減速。

体が前のめりになる。

それに耐え、機体を海面に水平に。
そのまま離脱した敵機に向かう。


144 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:13:14.31 ID:xJFHykxJ0
後ろを取った。
トリガーを引く。

私の愛機から放たれた火線が、敵機の後部に命中。

エンジンに被弾したのだろう。
強烈な爆風とともに、敵機は空中で爆発した。


('A`)「流石だ!」

川 ゚ -゚)「……」


途端、上空から降下してきたドクオ機が機銃を放つ。
スピードを限界まで上げて加速。

ぎりぎりでかわす。



145 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:14:00.29 ID:xJFHykxJ0
('A`)「やるな!!」

川 ゚ -゚)「……」


ドクオは下降したまま、水平線の彼方へ離脱。
首都「ニチャン」と反対方向だ。


('A`)「付いてこい!サシで勝負だ!」


ドクオが無線で私を誘う。



147 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:20:38.90 ID:xJFHykxJ0
(´・ω・`)「……どういうこと?」


ニーソク社社長、ショボンは首都「ニチャン」の高層ビルの一部屋にいた。


(´・ω・`)「あれほどのメンヘラ飛行機械部隊……
    なぜだ?この近辺の基地には、あれほどの飛行機械は配備されていないはず……」


さては、半年以上の『VIP』によるメンヘラ基地偵察報告が間違っていたのか?


(´・ω・`)「使えない奴らめ」


そうつぶやいたとき、部屋の扉が開いた。



148 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 19:22:40.51 ID:xJFHykxJ0
(`・ω・´)「残念だったね、ショボン」

(´・ω・`)「……シャキン!」


そこにいたのは、メンへラ社社長の姿だった。


(`・ω・´)「君の計画はすべて筒抜けさ。まったく、とんでもないことをしてくれる」

(´・ω・`)「……なぜだ。なぜこの計画に気づいた?」

(`・ω・´)「……入ってきたまえ」

ξ゚△゚)ξ「失礼します」


扉から、一つの影がシャキンの隣に立つ。
そこには、信頼を置いていた秘書の姿があった。


(´・ω・`)「まいったね。僕は君の手のひらで踊らされていたわけか」



157 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:04:40.60 ID:AjWg4u5W0
(`・ω・´)「そういうことだ。さあ、償いをしていただこう」


シャキンは懐から黒鉄色の塊を取り出す。

銃だ。

それが、ショボンに向けて放たれた。
ショボンの胸から、鮮血が飛び散る。


(´・ω・`)「あいたたた。こりゃ死んだね」
 
(`・ω・´)「まったく、心臓を貫いたというのに君は……」

(´・ω・`)「すぐ死ぬさ。そのまえに一つ言っておくことがある」
 
(`・ω・´)「いいだろう。何かな?」

(´・ω・`)「僕たち『パロン』はいずれ滅ぶ。
    われ等の求める完璧さ故。己の傲慢さ故にね。
    時期に、第二の僕が現れて、君たちを殺すだろう」



158 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:06:24.11 ID:AjWg4u5W0
(`・ω・´)「ご忠告、ありがとう。
     だが、君の予言は外れるだろう。なぜなら我々『パロン』は完璧だからだ」

(´・ω・`)「そうかい。なら、あれをみるといい」


そう言ってショボンは窓の外を指差した。
そこには、巨大な飛行機械の姿。
それが、まっすぐこちらに向かってくる。


(;`・ω・´)「そんな……馬鹿な!」

(´・ω・`)「THE END! 安らかに眠ろう」

(;`・ω・´)「うわあああああああああああああああ」


突っ込んできた飛行機械とともに、
彼等の肉体は四散した。



162 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:10:07.18 ID:AjWg4u5W0
その数分前

メンヘラ軍の飛行機械の群れを抜け、ブーンは首都「ニチャン」上空へきていた


(;^ω^)「滅べ!『パロン』!」


ブーンは首都に向けて、ミサイルを放つ。
それは確かに首都に直撃。
しかし、首都を壊滅させるには遠く及ばない。

その発射の反動で、機体の高度が急激に上がる。
姿勢の制御が利かない。

そこを、後方から追ってきたメンヘラ飛行機械に狙撃される。


(;^ω^)「うああああああああああああああああ!!
     ちくしょおおおおおおおおおおおおおお!!」


両翼に被弾。
これ以上の飛行は不可能。

ブーンの機体は、パイロットもろとも下方にあった高層ビルへと突っ込んだ。


164 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:12:24.09 ID:AjWg4u5W0
その同時刻

ドクオと私。
二機の機体は首都「ニチャン」の海域のかなり奥のほうへ進んだ。

360度海しか見えない。
その空間で、私は問う。


川 ゚ -゚)「……なぜだ。なぜ貴様がメンヘラ軍にいる?」

('A`)「簡単だ!俺は『VIP』と……お前と戦いたかった!」

川 ゚ -゚)「……ふざけるな」

('A`)「すこぶる正常だ。強い奴と戦う!それが俺の生き方だ!」


その言葉とともに、前方の下にいるドクオ機が上昇。
私はトリガーを引く。

だめだ。
当たらない。


165 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:14:06.61 ID:AjWg4u5W0
('A`)「クー!お前もそうだろ!?
  空を駆け、空に生きる!それがおまえ生き方のはずだ!」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「俺とお前は同類だ!
   空での戦いの中でしか、己の存在意義を見出せんのだ!」

川 ゚ -゚)「……違う」

('A`)「何が違う!」


上昇中のドクオ機が急減速。
そのまま背面になる。

そして背面飛行。
下方にいるこちらの様子を探っている。

私はそのまま上昇。
ドクオ機の上に付く。


166 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:17:07.72 ID:AjWg4u5W0
川 ゚ -゚)「……私は戦いが好きではない」

('A`)「ウソだ!それならばなぜ敵を撃つ!?
   その手でいくつの命をあやめた!?」

川 ゚ -゚)「……違う!」


違う。

違うんだ。


私は戦いが好きなのでない。
ただ、空が好きなだけなんだ。

だけど、敵を倒さなければ空へは上がれない。

それなら、戦うしか無いだろう?


168 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:19:39.03 ID:AjWg4u5W0
('A`)「さあ、お前の実力を見せてみろ!
   空で生きる俺たち二人で、最高の『ダンス』をしよう!!」

川 ゚ -゚)「……『ダンス』」

('A`)「そうだ!踊れ!舞え!
  お前の愛するこの空で、俺に最高の『ダンス』を見せてくれ!!」


その言葉を最後に、無線が切れた。

その途端、前方下を飛行するドクオ機が旋回。
こちらに機首を向け、そのまま上昇してくる。

距離が近すぎる。

お互い、機銃を使わぬまま、至近距離ですれ違う。

今度は私が下。
ドクオが上。

こちらが不利。
距離をとって高度を同じにする。

しかし、ドクオはそれを許さない。
器用に背面飛行のまま、こちらを見ながら私との高度を保つ。


170 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:21:30.10 ID:AjWg4u5W0
それならば…。

私はフラップを連続で踏む。

機体が急減速。
そのまま機首を真上へ。

そして上昇。
一気にドクオの上に出る。

その後、さらに減速。
機首を今度は下へ。

いた。
右下方。

一気に下降。
そのまま機銃を放つ。

そのときだった。
急減速したドクオ機が、海面と水平のまま横にスライドした。


176 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:35:33.39 ID:AjWg4u5W0
川 ゚ -゚)「……馬鹿な……低速状態でスライドするだと?」


しかし、聞いたことがあった。

前方にエンジンを搭載した機体は前方に設置されたプロペラから風を受けるため、
低速時での機体のコントロールが可能であり、
熟練のパイロットであれば低速時でのスライドも可能であると。


川 ゚ -゚)「……これが……伝説のパイロット」



178 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:40:36.32 ID:AjWg4u5W0
そうつぶやいて、私はドクオ機の下へ。
一方、スライドしたドクオ機は、低速のまま機首を下に向けた。

まったく、たいした腕だ。
しかし、機体の基本性能はこちらが上。

私は海面スレスレまで降下すると、機首を持ち上げ海面と平行飛行。
そのまま一気にスピードを上げる。

ドクオの放つ機銃が後方を通り過ぎる。

機体の性能差を生かして、ドクオとの距離をとる。
ある程度の距離が取れると、旋回。

機首を後方へ向けて、上昇。
上方にいるドクオに、真下から突っ込む。


川 ゚ -゚)「……ドクオ。覚悟」


私はドクオ機の下から機銃を放つ。

勝った。
そう思った。


179 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:43:57.30 ID:AjWg4u5W0
しかし、ドクオ機は急減速。
私の放った機銃は、ドクオ機の前方を通り過ぎた。

ドクオ機そのまま、前方に搭載されたエンジンの重みを活かし、機首を下に向ける。


川 ゚ -゚)「……化け物め」

('A`)「……終わりだ」


ドクオ機の両翼の機銃から放たれた火線が、私の愛機を貫いた。


川 ゚ -゚)「……被弾箇所……機体後部……エンジンか……終わったな」



182 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:48:06.23 ID:AjWg4u5W0
私はそのまま上昇する。
しかし、エンジンの出力が急激に減少。

機体の高度が落ちていく。
下に広がるのは海。

そこには堕ちたくは無い。
地上に縛られるのは、もうたくさんだ。


頼む。


私を空で散らしてくれ。



184 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:52:03.93 ID:AjWg4u5W0
私がそう願うと同時に、エンジンが息を吹き返す。
エンジンに被弾したのに、これはどういうことだ?


「安心ろ!お前の愛機は俺が完璧にする!!」


ふと、長岡の言葉が頭をよぎる。


…ありがとう。
これ以上完璧な機体は無いよ。


そうつぶやいて、私はペダルを踏みつける。
機体が、天に向けてまっすぐに上昇する。

そして、エンジンの音が止まった。




185 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:56:35.93 ID:AjWg4u5W0




川 ゚ -゚)「……美しい」



エンジン音も機体の振動も無い静かなコックピット。
その中で、私は空を見上げた。


どこまでも広がる蒼。
蒼穹の色。

私の愛した空間。
私を呪縛から解き放つ空間。


ああ。
私は、永遠に空へと還るのだ。



187 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 20:59:25.10 ID:AjWg4u5W0

ひたすらに空に向かって上昇する飛行機械。
ドクオはそれを眺めていた。

いったん減速し、下降したそれは、
再び息を吹き返すと、一気に空に向かって駆け上がった。

やがて、はるか上空で上昇をやめたそれは中空で停止。

一瞬、空に浮かんだ。

それはまるで、無重力の中で浮かんでいるかのようだ。
その時、確かにクーは引力から、地上の呪縛から解き放たれていた。



そして、強烈な閃光とともにそれは砕け散った。



('A`)「……素晴らしいダンスだった」


そうつぶやくと、ドクオはその空域を離脱した。


188 :以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/25(佐賀県職員) 21:03:05.57 ID:AjWg4u5W0

  _
( ゚∀゚)「まだかな!みんなまだかな!!」


『VIP』の基地の滑走路で、残されたジョルジュは皆の帰りを待っていた。
太陽は少し前に完全に沈み、夜の帳が下りようとしていた。

  _
( ゚∀゚)「あ!星だ!!」


長岡は西の空、首都「ニチャン」の方角をみた。
そこには、一際輝く一つの星があった。

  _
( ゚∀゚)「みんなが早く帰ってきますように!クーが早く帰ってきますように!!」


長岡の願いにこたえるかのように、その星はきらりと光り輝いた。


おしまい



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