1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:16:42.72 ID:yA5ifqC40
( ^ω^)「お月見するお!!」

学校のお昼休み。
教室内で昼食をとり終えたブーンは力強く言った。
彼と一緒に昼食をとっていた友人達は呆気に取られた。

( ^ω^)「団子とススキを用意して皆でお月見するお!」

ξ゚听)ξ「いきなりどうしたのよ。何かあったの?」

箸を止め、ツンは興奮しているブーンに訊ねた。
彼は顔だけを彼女に向けると、口元に人差し指を当てる。

( ^ω^)「禁則事項です♪」

ξ゚听)ξ「あっそ」

川 ゚ -゚)「理由を話せ理由を」

('A`)「突然言われても困る」

(´・ω・`)「そういえば、今週は十五夜があるね」

言って、ショボンはパンを一口かじった。


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:17:10.48 ID:yA5ifqC40
ブーンがショボンに人差し指を向け、笑顔でウィンクをした。
ショボンは迷惑そうな顔をしてパンを咀嚼する。

( ^ω^)「……right、その通り、よく気付いたお。
      だから、土曜日にお月見するお!楽しむお!」

('A`)「って言われてもなぁ……」

川 ゚ -゚)「来週は中間考査だぞ?」

ξ゚听)ξ「その試験の次の日は模試だしね」

(´・ω・`)「流石に勉強しないとまずいんじゃないかな?かな?」

そう口々に言われ、ブーンはたじろぐ。
しかし彼はそう簡単に凹むような男ではなかった。
というよりも、おそらくこのように言われることは想定の範囲内だったのだろう。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:19:22.19 ID:yA5ifqC40
彼は気を取り直すと、咳払いを一つ。
そして大きく息を吸い込むと、まくし立てる様に言った。


(#^ω^)「僕らは高二!遊ぶならもうこの時期しかないんだお!
       それに、最近は勉強ばかりだから息抜きが必要だお!
       丸い月を眺めて感傷に浸り、心をスッキリさせるお!
       皆で団子を作って、それを食べるのもアリなんだお!」ハァハァ


川 ゚ -゚)「夏に皆で海に行っただろう」

ξ゚听)ξ「アンタは息抜きばっかりでしょ」

('A`)「俺はパソコンの画面を眺めるだけで十分だ」

(´・ω・`)「結局は団子を食べたいだけじゃないの?」




彼は涙目になった。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:21:42.55 ID:yA5ifqC40
(;^ω^)「そ、そんなこと言わずにお願いだお」

(;´・ω・`)「顔、摺り寄せないでよ」

ブーンは、ショボンに顔を擦り付けながら懇願した。
ショボンは迷惑そうな表情で、ブーンを引き離そうとする。

('A`)「でもなぁ……」

(;^ω^)「いいじゃないかお。きっと楽しいお!」

ξ゚听)ξ「そりゃ楽しいと思うわよ。でも試験が近いでしょ?」

(´・ω・`)「今回の試験で赤点取ったらマズイんじゃなかったっけ?」

彼らの様子から、お月見にはあまり乗り気でないとブーンは悟った。
すると彼は先程の熱意はどこへやら、
お月見開催は無理なのかと挫けそうになる。

ところが。



川 ゚ -゚)「まぁ……私は別に構わないが」

それまで何かを思案していたクーが口を開いた。
事実上、参加宣言だった。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:23:22.62 ID:yA5ifqC40
('A`)「え?クーはしたいのか?なにゆえ?」

川 ゚ -゚)「そういう理由で集まるのもいいと思ったんだ。
     それに試験のことなら心配ないしな」

ξ゚听)ξ「羨ましいなぁ。余裕のある人っていいなぁ」

それに比べて私は……と、
ツンは胸に手を当て、俯きがちに溜め息を吐いた。
彼女のその仕草に、クーは少々困ったような顔をする。

川 ゚ -゚)「おいおい。ツンだってあるだろう?」

ξ゚听)ξ「全国100位以内の人には敵いませんー」

(´・ω・`)「え?なにが?何の話?」

ツンは口を尖らせた。
ショボンは彼女達の話が把握出来ないのか、
キョトンとした顔をして間に入っていった。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:25:01.70 ID:yA5ifqC40
( ^ω^)「そんなん決まってるお」

だが答えたのはツンやクーではなくブーンだった。
彼のその言い草に、ツンはムッとする。

ξ゚听)ξ「なによ、言ってみなさいよ」

多少、苛立った口調で彼女は言った。



( ^ω^)「乙πの大きさだお」



('A`)「ブハッ」

(´・ω・`)「なるほど」

ドクオが食べていたおにぎりのご飯粒を吹きだし、
ショボンが女子二人を見比べて納得したように頷く。
ツンは体をワナワナと震わせていた。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:27:02.92 ID:yA5ifqC40
ξ#゚听)ξ「前回の模試よ、模試!模試のは・な・し!」

(#)ω・`)「ああ、あれか。そうだったんだ。クー凄いね」

(#)A`)「ゴッフ、ガハ、ゲホゲホ」(なんで俺まで……)

顔を少し腫らしたショボンが納得したように頷き、
とばっちりを受けたドクオはご飯粒が気管にでも入ったのかむせていた。
その彼の背中をクーが擦る。

ξ#゚听)ξ「加えて校内1位ってなんなの!?天才なの!?」

川;゚ -゚)「そんなこと言われても、特別なことはしていないのだがな」

(#)A`)「グフン え……俺校内300人中210位だったんだけど……」

ドクオもクーの結果は初耳だったらしく、
自分の成績との差にショックを受けたようだ。
そんな打ちひしがれた様子の彼の肩に、ブーンの手が置かれる。

(##メメ)ω(メメ)b「ドンマイ」

(#)A`)「校内278位のくせに……」

(##メメ)ω(メメ)「フヒヒwwwサーセンwwwww」

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:29:24.95 ID:yA5ifqC40
ξ゚听)ξ「278位ね……アンタ、本当に試験大丈夫なの?」

(;^ω^)「な、なんとかなるお!」

('A`)「それでなんとかなった例があったっけか」

(;^ω^)「ぜ、絶対大丈夫だお!!今回は絶対赤点は取らないお!」

ジトッとした目を向けるドクオとツンに、
ブーンは引きつった笑顔を返して親指を立てる。

そこに、ショボンがよし、と言って膝をぽんっと叩いた。

(´・ω・`)「ブーンもここまで言ってるんだ。皆でお月見しようじゃないか」

(* ^ω^)「しょ、ショボン!」

ブーンがショボンに抱きつく。
ショボンは肘をブーンの腹に打ち込んだ。

(;´・ω・`)「それでさ、
       もしブーンが赤点取ったらペナルティを課せば良いだけだし」

(メメメ^ω^)「え゛」

肘鉄を叩き込まれた箇所を押さえながら、
うずくまっていたブーンが顔を上げる。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:30:51.49 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「それは名案だ。一人一つずつ、ブーンにペナルティを考えるとするか」

(^ω^)

どうだ?と言って、彼女はドクオとツンを見た。
お茶を飲んでいたドクオは、容器から口を離すと口元を拭った。

('A`)「あー……。まぁ、それなら俺もおkかな。ツンは?」

(^ω^)

ξ゚听)ξ「私?うーん……」

(^ω^)

ツンは悩んだ。
しかし、チラッとブーンを見たと思うと数秒もしない内にうん、と頷く。

ξ゚ー゚)ξ「そうね、それで良いかもね!」

(;^ω^)「マイガー」

こうしてブーンの要望通り、お月見が行われることになった。
しかし、彼は自分お月見がしたいと言ったことを少し後悔していた。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:33:05.08 ID:yA5ifqC40
('A`)「ところでさ。何処でお月見するんだ?」

( ^ω^)「お?」

('A`)「決まってるんだろ?」

しかし、ブーンは首を横に振った。

( ^ω^)「まだだお」

('A`)「へ?」

ドクオは思わず間の抜けた声を出す。

( ^ω^)「場所はまだ決めてないお」

(;'A`)「あれだけ言うんだからてっきり決まってるものかと……」

ξ゚听)ξ「んじゃ、中止ね」

( ^ω^)「それはひどい」

ξ゚听)ξ「自分が悪いんでしょうが」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:35:29.72 ID:yA5ifqC40
( ^ω^)「うーん……それじゃ……」

と彼は考えてみるが、まったくと言っていいほど思いつかない。
仕方がないので、ブーンは四人にも聞いてみることにした。

( ^ω^)「四人とも、どこか良い場所ないかお?」

('A`)「ない」

ξ゚听)ξ「ないわね」

川 ゚ -゚)「ないな」

(´・ω・`)「ないよ」

( ^ω^)「ワーオ」

( ^ωキーンコーンカーンコーン  お?」

昼休みの終了を知らせるチャイムが教室中に響いた。

( ^ω^)「ありゃ、昼休み終わったお」

(´・ω・`)「それじゃ、放課後にでもまた話し合おうか。
      各自ブーンの尻拭いとして、会場の候補を考えること」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:37:27.89 ID:yA5ifqC40
('A`)「マジッすか」

(´・ω・`)「マジッす」

ξ゚听)ξ「面倒ね」

川 ゚ -゚)「おい、ブーン」

( ^ω^)「なんだお?」

川 ゚ -゚)「ちゃんと考えておけよ」

(* ^ω^)「ブッヒヒwwwwwwww任せるおwwwwwwwwww」

ξ゚听)ξ「考えておかなかったらジャンボパフェ(¥12,000)奢りね」

(;^ω^)「マジッすか」

ξ゚听)ξ「マジッす」

ガラガラと音を立てて教師が入ってくる。
彼らは急いで自席に戻った。

/ ,' 3「席着けよー。授業の始まりだ!!」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:39:18.82 ID:yA5ifqC40
【放課後・教室】

(´・ω・`)「で、考えた?」

(ヽ^ω^)「バッチリだお。授業そっちのけで考えてたお」

('A`)「ノートをたかりに来るなよ」

(ヽ^ω^)「ドクオ、後でノート貸してくれお」

('A`)「人の話聞けよ」

その間、クーはジロジロとブーンの顔を見ていた。
彼はその視線に気づく。

(ヽ^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「少し……頬がこけたな」

(ヽ^ω^)「考えておかないと、諭吉と式部がトんでくから必死だったお」

ξ゚听)ξ「殊勝な心構えね」

(ヽ^ω^)「恐れ入り益男」

それじゃ、と言ってブーンは一枚の紙をツンに渡す。
彼女はそれを受け取ると、他の三人にも見えるように持った。
ブーンを除く四人がまじまじとブーンの差し出した紙を見つめる。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:41:00.20 ID:yA5ifqC40
・どっかの野原
・どっかの海
・どっかの川
・どっかの公民館
・どっかの児童会館
・どっかの公園
・どっかの道端
・どっかの屋上
・ブーンの家←でも僕の家は無理だお
・ツンの家←僕限定
・ドクオの(ry ←掃除しろお
・クー(ry ←気になるお
・ショボン(ry ←アッー
・適当なグラウンド
・高校
・中学校
・小学校
・富士山
・山奥の展望台

( ^ω^)「どうかお?」

('A`)「これはひどい」

川 ゚ -゚)「なんという」

ξ゚听)ξ「手当たり次第に書いてるだけじゃないの?」

( ^ω^)「下手な鉄砲数打ちゃ当たるお」

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:42:19.57 ID:yA5ifqC40
(#)ω(#)「ブルータス……お前もか……」

ξ゚听)ξ「……で、どうする?」

ブーンが自分を抱きしめるようにして床に倒れていた。
ツンは拳を優しく摩りながら言う。

('A`)「俺も考えてみたが、目ぼしい場所は思いつかなかったな」

(´・ω・`)「それじゃ、僕の兄さんがアテになりそうだから相談してみるよ」

ξ゚听)ξ「本当!?助かるわ〜」

(´・ω・`)「んじゃ早速……」

ショボンが携帯電話をポケットから取り出し、電話を掛け始めた。


ξ゚听)ξ「……ここで掛けるんだ」

('A`)「校内での携帯電話のご使用は、固く禁止されていますのでご遠慮ください」

川 ゚ -゚)「いーけないんだ、いっけないんだ。せ−んせいに言ってやろー」

(;´・ω・`)「静かにしてよ」



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:43:17.77 ID:yA5ifqC40


(´・ω・`)「……うん、うん。じゃ」

ショボンは電話を切り、携帯電話をしまった。
ブーンが少々緊張した面持ちで結果を訊ねる。

( ^ω^)「ど、どうだったかお?」

(´・ω・`)「実は僕の兄さん、バーボンハウスっていう酒場を経営してるんだ」

('A`)「ふむ」

(´・ω・`)「で、今度の土曜日の午後5時以降なら、そこを貸してあげられるって」

( ^ω^)「ktkr!」

ブーンが右手を突き上げて跳び上がる。
しかし勢いが強かったのか天井に手をぶつけ、呻いた。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:44:34.84 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「本当か?」

(´・ω・`)「うん。土曜日を休みにしてくれるらしいよ」

('A`)「わざわざ!?なんか……申し訳ないな」

(´・ω・`)「気にしなくていいんじゃない?なんか鼻息荒くしてたし」

( ^ω^)「ありがとうだおショボン!」

ブーンは赤くなった手でショボンの手を握り、お礼を言う。

(´・ω・`)「うん、でもそれは兄さんに言ってね」

しかし、そう言いながら、
ショボンはまんざらでもない様子だった。

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:46:02.98 ID:yA5ifqC40
('A`)「しっかし、まさかクーが最初におkをだすとはねぇ」

川 ゚ -゚)「そんなに変なことか?」

ドクオの言葉に、クーは怪訝な顔をした。
うーん、とツンは首を傾げる。

ξ゚听)ξ「変って言うよりビックリしちゃったって感じかな」

( ^ω^)「おっお。実際のところ、
      クーの目的は月見というより団子なんだおね?おね?」

ξ゚听)ξ「アンタと一緒にすんな」

(´・ω・`)「それは君だろ」

( ^ω^)「うはwwwww辛口wwwwwwww」

クーは考え込む仕草をすると、ドクオを一瞥して口を開いた。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:47:07.13 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「いや……」

川 ゚ -゚)「そうかもしれないな」

ξ゚听)ξ「え、そうなの?」

('A`)「ん?俺の顔に何か付いてた?」

ドクオは先程のクーの視線に気付いたのか、彼女に尋ねた。
しかし彼女は、なんでもないの一言。
ドクオは特にそれ以上の関心を示さず、ふーん?とだけ言った。

そんな彼らのやり取りを意に介さないブーンは、
ウンウンと頷きながら、どこか楽しそうに言う。

( ^ω^)「やっぱりクーは素直だお!僕のお腹並に素直だお!」

グギュルルル

そうブーンが言った瞬間、彼の腹から音が鳴った。

(´・ω・`)「本当に素直だね」

(; ^ω^)「ち、違うお……コレは肛門という活火山から噴火する前の合図だお……」

('A`)「ウンウン頷いてただけに、てか。いいから早くトイレ池」


ワイワイと騒ぐ四人を他所に、クーは一人考え事をしていた。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:48:39.30 ID:yA5ifqC40
それからというものの。
彼らはお月見パーティーのことで何度も話し合った。
用意するものや、正確な集合時間、宿泊の有無などなど。

侃侃諤諤とも表現できる話し合いは、パーティー前日まで行われた。


(#^ω^)「団子は持ち込みかお!?それともショボン兄'sバーで作るのかお!?」

(´・ω・`)「僕はどっちでもいいよ」

('A`)「俺はその場で作りたいな(家で作ると面倒だし)」

川 ゚ -゚)「そうだな。私も皆と作りたいな。きっと楽しいぞ」

ξ゚听)ξ「そうね。ショボン、お兄さんに頼んでみてくれる?」

(´・ω・`)「いいよ。結果は今日、メールで知らせたげるね」


('A`)(あれ?俺だけ理由が不純じゃね?)

ξ゚听)ξ(一人で作るのも大変だし、団子が硬くなっちゃうし)

川 ゚ -゚)(色々と……楽しみだな)

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:53:29.49 ID:yA5ifqC40
(#^ω^)「……これで全てのことは決定したお!あとは明日を待つだけだお!」

('A`)「おっと、アカテンブーン号が入れ込んでいますね」

(´・ω・`)「そうですね。ツンデレ騎手がなだめられるかどうかですが……」

('A`)「では現場のクールさんに話を聞いてみましょう。クールさーん」

川 ゚ -゚)「はい。現在、アカテンブーン号をなだめようとツンデレ騎手が奮闘中です」

ξ#゚听)ξ「あぁ……、もう……!ウルサーイ!」

(#)ω(#)「(´・ω・`)」

('A`)「おぉ、一撃でしたね」

(´・ω・`)「そうですね。ツンデレ騎手の豪腕っぷりが遺憾なく発揮されましたね」

(#)ω・`)「ごめんなさい」




そんなこんなで時間が過ぎていき、

パーティー当日となった。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:55:14.02 ID:yA5ifqC40
〜当日 午後六時〜

五人は会場であるバーボンハウス内に集まっていた。
店内には彼ら以外の姿は無い。

彼らがパーティーにwktkしながら談笑していると、
店の奥から一人の男性が姿を現した。

(`・ω・´)「やぁ、いらっしゃい。
       ショボンの兄で、ここのマスターのシャキンだ」

( ^ω^)「こんばんはですお!」

ブーンが挨拶をする。
続いてショボンを除く三人が挨拶を行った。

ξ゚听)ξ「場所を提供してくださって有難う御座います」

(`・ω・´)「ん?いやぁ、なぁに気にしない気にしない!
       楽しいパーティーにしようじゃないか!」

シャキンは笑いながらそう言った。
五人も自然と笑顔になる。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:56:26.91 ID:yA5ifqC40
(´・ω・`)「それじゃ、早速団子でも作ろうよ」

(`・ω・´)「あぁ、そうだな!皆、料理の準備をしてくれい!
       ショボン、皆の準備が出来たら教えてくれ。俺は厨房で準備してくるから」

分かったとショボンは頷き、ブーン達に準備を促した。
シャキンは奥へと消えていく。

ξ゚听)ξ「どこで手を洗えばいいの?」

(´・ω・`)「その水使わない消毒液を使って」

('A`)「えっと、持ってきた粉とボウルを出して……」

(´・ω・`)「手を消毒したら持参したものをテーブルに広げて待機ねー」

川 ゚ -゚)「把握した……お、雲が少し出てきたな」

( ^ω^)「あらー、本当だお」

クーが窓から空の様子を見ながら言った。
その言葉に、ブーンも窓から空を眺める。
空には雲が広がっていた。




28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:57:07.40 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「お、全員の準備が出来たようだね!」

シャキンが店の奥からやってきた。
フリフリのエプロンと三角巾という完全装備だ。

(´・ω・`)「兄さん、まだ呼んでないよ。
      ってかその格好止めて。恥ずかしいから。フリフリは止めて」

(`・ω・´)「何、気にすることは無い。
       こっちは準備がほとんど出来たから来たんだ」

(´・ω・`)「準備出来たの。まぁ、それはそれとしてその格好……」

(`・ω・´)「これが俺のポリシーだ。それじゃ、早速作ろうか!」

(* ^ω^)「オォー!!」

('A`)(テンション高いなぁ……)

ξ゚听)ξ(元気良いわねぇ、何を考えてるのかしら)

川 ゚ -゚)「おー」

(´・ω・`)「ポリシーって……」

それから彼らは店内のテーブルに新聞紙を敷き、
その上で団子を作り始めることにした。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 00:58:53.59 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「まず、はじめにだんご粉に水を入れてこねるんだ」

('A`)「あの……俺の粉は上新粉って書いてあるんですけど……」

(`・ω・´)「上新粉なら熱湯を入れるんだ。少し待ってて」

( ^ω^)「腰を落として……」

( ゚ω゚)「突く!突く!突く!」

(´・ω・`)「おわっ水が!粉が!」

ξ゚听)ξ「ちょっと止めてよね」

川 ゚ -゚)「水が回りに飛び散ってるぞ、落ち着け」

( ^ω^)「ゴメンだお……反省はするけど後悔はしないお」

(´・ω・`)「出来れば後悔もして欲しいところだけどね」

( ^ω^)「おっ?ショボン、エプロンがベチャベチャだお?」

(´・ω・`)「原因は君だよ」

(`・ω・´)「お湯持って来たよ」

('A`)「ありがとうございます。っし、俺もこねるぜ!」

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:00:54.27 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「こね終わったら、適当な大きさで作ってくれ」

('A`)「……おし、生地がまとまってきた」

(´・ω・`)「一つ丸めちゃ皆のため、二つちぎれば自分のため……」

( ゚ω゚)「フォオオオオオオオオ!正拳突き!正拳突き!」

('∀`)「ちょwwwww揺れるからwwwwwwwww」

ξ゚听)ξ「……アンタ反省したんじゃないの?」

( ^ω^)「今回はちゃんと形になったものを突いてるから大丈夫だお」

川 ゚ -゚)「そういう問題じゃないぞ、と。机の振動がすごいから落ち着け」

( ^ω^)「これはスマンこ」

(´゚ω゚`)「九つ切ってはピザのため、十握ればピザのため」

( ^ω^)「さっきからピザピザうるせーお」

(´・ω・`)「僕は別に君のことをピザだって言ってないよ」

( ^ω^)「僕も別に自分のことを指してるなんて思ってなかったお」

(´・ω・`)「これはスマンこ」

(*`・ω・´)(〜♪隠し味〜♪)

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:01:49.74 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「よし、最後に二、三分茹でれば完成だ!……という訳で逝って来る」

シャキンはそう言うと、
全員が作った団子を持って店の奥へと消えていった。

(´・ω・`)「それじゃ、茹でてる間に後片付けでもするかい」

('A`)「だな。……かなり粉が飛び散ってるな」

ドクオの言うとおり、テーブルに広げられた新聞紙上は勿論のこと、
床にも粉が積っている、というような状況だった。
流石のショボンもこの光景には戸惑いの色を見せた。

(;´・ω・`)「おぉう……」

( ^ω^)「はっは」

川 ゚ -゚)「原因は言わずもがな、だな」

クーはブーンを横目で見る。
彼は斜め上を向き、目を細め、口を半開きにしていた。
アホ面というやつだ。

その様子に、クーはふーと溜め息混じりに息を吐いた。

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:03:21.62 ID:yA5ifqC40
( ^ω^)「はっはっは」

ξ゚听)ξ「ブーン?どうしたの?」

そんなブーンに気が付いたツンは彼に声をかけた。

その瞬間、



( ^ω^)「ハァァァァァックショォォォォォン!   まもの」



ブワァ

ブーンが半径1kmにまで響き渡るようなクシャミをした。
当然ながら、新聞紙の上に積っていた粉が舞う。
他の四人を巻き込んで。

( A )(´ ω `)ξ )ξ川  - )

( ^ω^)「あ゛ー、さっきから鼻がムズムズしてたお……お?
      いつの間に皆、粉を被ったお?粉だらけで真っ白だお」


プチン×4


ヌワー

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:05:20.03 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「おーい、茹で上がっt……ぬぉわ!?」

茹で上がった団子を持ってきたシャキンは、
ボロボロの状態で、地面に仰向けで倒れているブーンを見て驚いた。
その拍子に、危うく団子を落としそうになる。

(;`・ω・´)「ブ、ブーン君?大丈夫かい!?」

(##)ω(#)「マンマミーヤ」

(´・ω・`)「気にしなくてもいいよ兄さん」

('A`)「そいつなら心配ありませんよ」

(;`・ω・´)「え?そ、そうなの?」

シャキンはブーンと他の四人を何度も見比べる。
しかし、至って普段と変わりの無い四人の様子に、
彼は戸惑いながらも、一先ず団子を置くためにテーブルに移動した。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:06:58.07 ID:yA5ifqC40
(;`・ω・´)「ま、まぁとりあえず、団子が出来たぞ、と」

と言って、綺麗に片付けられたテーブルの上に団子を置いた。
一同は感嘆の声をあげる。

('A`)「おぉ!団子だ!」

川 ゚ -゚)「そうだな、美味しそうに出来たな」

ξ゚听)ξ「こうして見ると達成感があるわね〜」

(* ^ω^)「美味そうだお!団子のバーゲンセールだお!」

(´・ω・`)「それは違う……てかもう復活したの」

(* ^ω^)b

(´・ω・`)(すごい嬉しそう……)

(* ^ω^)「さぁ!早くススキを飾ってお月見するお!」





ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア



振り向くと、外は大雨でした。  byブーン

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:09:10.76 ID:yA5ifqC40
ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア



川 ゚ -゚)「しかし、よく降るな」


団子が完成してから一時間が経過した。
降り始めた雨は一向に止む気配を見せない。
それどころか、益々雨足を強めているようだった。

('A`)「雨ウザス」

(´・ω・`)「天気予報が外れたね」

( ^ω^)「せっかくお月見が出来ると思ったのに残念だお」

ブーンはがっくりと肩を落とす。
その様子に、何言ってるのよとツンが口を開いた。

ξ゚听)ξ「アンタは月じゃなくて、団子が目当てなんだから関係ないじゃない」

(;^ω^)「あぅあぅ……」


店内に笑い声が響いた。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:10:33.08 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「このままでは月は見れない。……ふむ、団子でもヤケ食いするか」

(´・ω・`)「そうだね。せっかく作ったんだし。食べようか」

その言葉にブーンが興奮し、
グッと小さくガッツポーズをとった。

(* ^ω^)「ハイパーお団子タイムキタ━━━━━━(^ω^)━━━━━━!!!!!」

ξ゚听)ξ「やっぱり……」

その彼のはしゃぎっぷりに、ツンは溜め息を吐く。

(;^ω^)「ちょwwwやっぱりってなんなんだお!!」

ξ゚听)ξ「別に〜」

(;^ω^)「べべべ別にってなんだお!?
       僕は純粋に月を眺めて、その美しさを鑑賞するために……」

ξ゚听)ξ「へぇ〜」

(;^ω^)「ななななんだお!?その生返事は!?
       だから、その満月を見て勉強に疲れた心を癒すために……」

ξ゚听)ξ「嘘くさ。大体アンタ言うほど勉強してないじゃない」

ブーンは必死に弁明した。
しかしどれも胡散臭く、ツンにはまったく信じられていなかった。

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:11:30.74 ID:yA5ifqC40
そして二人のやり取りを黙って見つめる三人。
はっきり言って蚊帳の外である。

('A`)(ホ泉さん!カポ-の閉鎖空間が発生しました!)

(´・ω・`)(誰がホ泉だ。ぶち殺すぞ)

川 ゚ -゚)「……」

(*`・ω・´)「む、いいねぇ!どんどんやってくれたまえ!」

(;'A`)「OFO!?」

(;´・ω・`)「に、兄さん!?」

いつの間にかショボンの隣にシャキンがいた。
シャキンの顔が少し赤い。
ブーンとツンはハッとして、ショボン達の方を振り返る。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:13:11.51 ID:yA5ifqC40
(*`・ω・´)「甘酸っぱい青春大いに結構!
       今は秋なのに春とな!?これは一本取られたな!」

言って、笑うシャキンにブーン達五人は呆気に取られていた。
シャキンは彼らの様子に気が付くと、自分の頭を軽く叩いた。

(*`・ω・´)「おぉ、スマンね!私らのことは気にせずに!さぁさぁ!」

ブーンとツンは互いに顔を見合わせる。
途端に二人は顔を赤くさせ、シャキンに詰め寄った。

ξ;゚听)ξ「ち、違うんです!これは……その……」

(;^ω^)「そうですお!僕達はただ話してただけですお!」

シャキンは、はっはっはと笑うと、ブーンの肩に手を置いた。

(*`・ω・´)「青い春と書いて青春と読む!少年よ大志を抱け!」

(´・ω・`)「兄さんがいると話がややこしくなるからちょっと自重して?」

もう酔ってるの?とブツブツ言いながら、
ショボンはブーン達からシャキンを引き離すと、
ソレをカウンター席まで引きずっていった。

ブーンとツンは顔が依然として赤いまま俯いている。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:14:36.55 ID:yA5ifqC40
('A`)「おーおー、おアツいこって。なぁクー」

川 ゚ -゚)「……」

しかし反応が無い。
クーはずっとブーン達を見つめていた。
もう一度、とドクオは声をかける。

('A`)「な、クー」

川 ゚ -゚)「あぁ、全くだ」

('A`)「なんだよ、聞こえてるじゃないか」

川 ゚ -゚)「何で二度も呼ぶんだ?」

('A`)「……?」

川 ゚ -゚)「当たり前だろう。しっかり聞こえているさ」

(;'A`)「……!?」

川 ゚ -゚)「……」

クーは一呼吸遅れて返事をしていた。
その様子にドクオは首を傾げる。

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:16:46.38 ID:yA5ifqC40
(;'A`)(どうしたんだ?)

しかし、ドクオにはクーの様子に心当たりは無く、
皆目見当がつかなかった。

(;'A`)(……ちょっと聞いてみるか)

('A`)「なぁ、k(;^ω^)「そうだお!みんな、お団子食べようお!」

ドクオはクーに訊ねようとしたが、ブーンの声に遮られた。

('A`)「……」

('A`)「なぁ、k ξ;゚听)ξ「そうね!皆で作ったんだしね!」

今度はツンの声にかき消される。

('A`)「……」

('A`)「なぁ、k(´・ω・`)「それじゃ、小皿でも持って来ようか」

神の見えざる手が発動しているようだ。
どうしても質問させたくないらしい。
ドクオはそう解釈すると、小さく溜め息を吐いた。

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:18:11.21 ID:yA5ifqC40
店内に設置されているテーブル。
その内の一台に大量の団子が置かれた。
瞬間、ブーンが一番乗りに手を出す。

( ^ω^)「ハムッハフハフ、ハフッ!!」

('∀`)「きめえwwwwwww」

ξ゚听)ξ「ちょっとアンタ、その食べ方止めてって言ったじゃない」

(´・ω・`)「フライングってレベルじゃねーぞ。困ったもんだね、君も」

川 ゚ -゚)「団子はたくさんあるんだから、そうがっつくな」

(* ^ω^)「ごめんだおハフハフ美味しくてついホフホフ手が止まらないんだおクチャクチャ」

(´・ω・`)「いや、だからさぁ……」

(* ^ω^)「めんごめんごニチャニチャだおw」

(´・ω・`)「……」



(#´・ω・`)

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:20:02.80 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「お、落ち着け!マジ落ち着け!」

(#´・ω・`)「ドクオ離して!そいつ殴れない!」

(* ^ω^)「ぷるぷるwww僕はwww悪いwwwスライムwwwwうぇwwwww」

(#´゚ω゚`)「ふぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ブーンが両手を顔の横辺りまで持ってくると、
人差し指の先を上に向け、円を描くようにして指を回した。
その行動と態度に、ショボンが更に腹を立てる。

(;'A`)「ショボン静まれ!ブーンも煽るな!!」

(* ^ω^)「あーいとぅいまてぇーんwwwww」

(#´・ω・`)「ヤロー……。ツンも何か言ってやってよ!
       ちゃんと彼氏を躾けるのが彼女の役目でしょ」

ξ;゚听)ξ「え?わ、私!?」

突然ショボンに話を振られ、ツンは戸惑う。
それを見て、ドクオはショボンから離れると、
静かにクーの元へ移動した。

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:22:24.90 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「ツカレタ……」

川 ゚ -゚)「お疲れさん」

そう言って、お茶の入った紙コップをドクオに手渡す。
彼はクーにお礼を言うと、コップに口をつけた。
今の彼女は先程と違い、正常なようだ。

(;'A`)「ふぅ〜、あいつらも困ったもんだな」

視線の先では、ツンとショボンが言い争っている。
ブーンは眼中にないといった感じで団子を食べていた。

川 ゚ -゚)「まったくだ。ほら、団子だぞ」

('A`)「お、サンキュ」

渡された団子をドクオは口に運ぶ。
ほんのり口の中に広がる甘み。
硬すぎず軟らかすぎず丁度良い歯応え。

咀嚼していた物を飲み込み、お茶を啜って一息吐いた。

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:23:53.55 ID:yA5ifqC40
('A`)「ウマー」

川 ゚ -゚)「それは良かった」

('A`)「これ誰が作ったんだ?」

川 ゚ -゚)「私だ」

('A`)「ふーん、いや……美味しかったぜ」

川 ゚ -゚)「そう言ってくれると作った甲斐があるよ」

もう一個どうだ、とクーが団子を差し出した。
ドクオは一つ手に取り、口に運ぶ。
二人の間にはゆったりとした時間が流れていた。




ξ゚听)ξ「ほらブーン、いい加減にしなさいよ」

(* ^ω^)「でもwwwそんなのwww関係ねぇwwwwwクチャクチャ」

      メメタァ
コノバカチンガ!ξ#゚听)ξ三○)ω゚)アバゥツ! 

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:25:19.23 ID:yA5ifqC40
('A`)「……何してるんだあいつらは」

川 ゚ -゚)「なぁ」

('A`)「……ん?」

クーに話しかけられて、
ドクオはゆっくりとした動きで彼女の方を向く。
クーは彼を見つめていた。




(#)ω^)「何するんだおwwwイテテダオ-wwwww」

ξ#゚听)ξ「いい加減にしろっての!」

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:26:21.17 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「ドクオ、知ってるか?」

('A`)「何が?」

ドクオは団子を口に運ぶ。
彼は咀嚼しながらクーの言葉を待った。

川  - )「……」

(;'A`)「……お、おい?」

ところがクーは俯いたかと思うと、
そのまま何も言わず黙ったままになった。

ドクオは団子を飲み込むと、沈黙状態の彼女にドクオは声をかけた。

少し離れた場所ではツンの怒気を含んだ声が聞こえる。





(´・ω・`)「……何かブーンの様子がいつもよりおかしいね」

(*`・ω・´)「おぅショボン!月は見えないが月見酒でもするぞ!」

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:27:29.97 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「いや、すまない」

('A`)「……へ?」

クーは顔を上げると、開口一番に謝罪の言葉を言った。
予想していなかった言葉に、ドクオは間の抜けた声を出した。

川 ゚ -゚)「なんでもないんだ。変に声をかけてすまなかった」

(;'A`)「?」

唐突にクーから話を打ち切られる。
あまりにも突然だったために、
ドクオは不思議に思うばかりだった。




(* ^ω^)「まぁまぁ。ほら、ツンも団子を食べるお」

ξ;゚听)ξ「え?いや!ちょっと!口に無理矢理いれnムグッモゴッ」


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:30:17.39 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「いやいや、本当にどうした?」

川 ゚ -゚)「いや、本当になんでもないんだ」

('A`)「そうなのか?」

川 ゚ -゚)「そうだ」

('A`)「そうか?」

川 ゚ -゚)「ああ。しつこい男は嫌われるぞ?」

('A`)「……そうか」

その言葉にショックを受けたのか、
ドクオはぐぅと呻くと、
項垂れてブツブツと何かを呟き始めた。

負のオーラを垂れ流しながら。




(´・ω・`)「兄さん、僕たち未成年だよ?」

(*`・ω・´)「なに、男は度胸!女も度胸!何でもためしてみるのさ」

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:31:41.43 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「どうした?」

('A`)「……なんでもない」

川 ゚ -゚)「そう、か」

('A`)「ヴァー」

ドクオは椅子の背凭れに、だらしなく寄り掛かる。
その体勢をしばらく保っていたかと思うと、
彼は再び俯き、ブツブツと独り言を言い始めた。

なんとも近付き難いその雰囲気に、
流石のクーも声をかけるのを躊躇う。




(*`・ω・´)「それに、もう団子の方に酒を混ぜたしな。
       月見団子と月見酒を一度に楽しめる!まさに一石二鳥だ!」

(´・ω・`)「……何だって?お酒を混ぜた?」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:32:49.13 ID:yA5ifqC40
「ドークオ♪」

('A`)「……あ?」

そこに陽気な声でドクオを呼ぶ奴がいた。

名前を呼ばれ、億劫そうにドクオは顔を上げる。
すると、いきなり彼の口に何かが押し込まれた。

(;'A`)「ムグッ!?」

(* ^ω^)「辛気臭い顔すんなおwww友から団子のプレゼントだおwwwww」

顔全体を赤くしたブーンが、笑いながらドクオの前に立っていた。
ドクオは団子を飲み込むと、ブーンに対していきり立つ。




(´・ω・`)「……もしかして」

(*`・ω・´)「……お?酒入り団子だけが無くなってるぞ?誰か食ったのか?」

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:34:45.72 ID:yA5ifqC40
(#'A`)「な、何をする!?」

ドクオはブーンに迫った。
しかしそんなことを意に介さず、
ブーンはヘラヘラと笑いながら言った。

(* ^ω^)「おいしい団子をお裾分けだお〜ゲェェップ」

(;'A`)「汚いz……う、酒臭い」

ドクオは思わず鼻を押さえる。
ニヤニヤしながらブーンはドクオに顔を近づけた。

(* ^ω^)「ウヒヒwwwwwもっと食べるおwwwww」

(;'A`)「ちょ、お前酔ってrオグッ」

ブーンに手に持っていた団子をドクオの口に押し込む。
ドクオは必死に抵抗するも、彼の力ではブーンの前に為す術もなかった。




(´・ω・`)「兄さん、あなたが原因か」

(*`・ω・´)「あの団子って二、三個食べるだけでかなり酔えるんだがなぁ……。
       度数の高い酒を混ぜまくったし。誰だ食ったの」

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:36:02.19 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「おいブーン。悪ふざけが度を超しているぞ」

(* ^ω^)「お?クーも食べたいのかお?ヒヒヒwwwwwww」

クーは暴走するブーンを注意する。
しかし効果は無く、ブーンの標的をドクオから自分自身に変更させただけだった。

川 ゚ -゚)「!?な、なにを……」

ブーンが片手でクーの肩を掴む。
彼のもう片方の手には酒混入団子。

(* ^ω^)「クーにもプレゼントだおwwwほら口開けるおwwwww」

川;゚ -゚)「くっ!?は、離せ!そんなもの要らん!」




(´・ω・`)「なんてことしてくれたんだ。お陰でブーンがおかしくなったよ」

(*`・ω・´)「あぁ、ブーン君が食べたのか。彼は大丈夫なのか?」

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:38:32.72 ID:yA5ifqC40
一般的に、男性の力に女性が敵うことはほとんど無い。
この場合も例外ではなく、ブーンの力にクーは押さえ込まれてしまった。

(* ^ω^)「ほらあーんだおwwwあーんwwwww」

川;゚ -゚)「や、やめ……」

(* ^ω^)「今なら僕の唾液もプレゼントだおwwwwwテラエロスwwwww」

団子とブーンの顔が、クーの目の前まで迫っていた。
彼女はその気持ち悪さから身震いをし、
最後の手段だと口をぎゅっと固く結んだ。




(´・ω・`)「あれ見てよ、あれ」

(*`・ω・´)「どれ?」

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:40:16.43 ID:yA5ifqC40
(* ^ω^)「フヒヒヒwwwww頑固な子でちゅね〜wwwwwww」

川;゚ -゚)「ンッ!?」

ブーンがクーの鼻を摘まむ。
彼女が息苦しくなって、口から呼吸するときを狙う作戦に出たようだ。
酔っている状態でこのようなことを思いつくのは、彼の妄想の賜物だろう。

(* ^ω^)「ほ〜ら☆ 団子なようだお〜wwwwwwwテライミフwwwww」

川;゚ -゚)「ンー!ン゛ー!!」

ブーンを押し退けようとするが、一向に彼の力が弱まる気配がない。
クーは悪戯に己の体力を消費するだけだった。




(´・ω・`)「兄さん、クーを早く助けないと」

(;`・ω・´)「……スルーおk?」

(´・ω・`)「ノーに決まってるでしょ。ぶち殺すぞ」

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:41:54.46 ID:yA5ifqC40
川;゚ -゚)(変態!変態!変態!変態!)

心の中で叫んでも効果は無い。
そうこうしている内にクーの体内の酸素が足りなくなり始め、
彼女自身、苦しくなっていった。

川;゚ -゚)(く、少し苦しくなってきたな……)

このままでは危ない、今すぐにでも新鮮な酸素を取り入れなければ。
しかし口で呼吸をしようものなら、それこそこの酔っ払いの思う壷。
どちらの選択肢を選んでもハッピーエンドにはならない。

そう考え、クーは悩む。

川  - )(……死ぬか生きるか、それが問題だ)

眼前に迫る変態な酔っ払いに汚されるくらいならいっそ……。
クーは目をきつく閉じた。



その時だ。

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:43:36.48 ID:yA5ifqC40
(#'A`)「ブゥゥゥゥゥゥゥン!!」

(#)ω゚)「ブピョ-」

クーが目を開けると、そこには
彼女の前に立つドクオと、床に倒れているブーンの姿があった。

ブーンが離れたことで、ギリギリのところでクーは新鮮な空気を吸い込んだ。
何度も何度も呼吸を繰り返し、なんとか息を落ち着かせた。

川 ゚ -゚)「……ドク、オ?」

クーはドクオの名前を呟く。
彼はそれに反応し、彼女の方を振り向いた。

('A`)「クー……」

ドクオはクーを見つめる。
何かを決意した、そう瞳が訴えているようだった。

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:45:28.36 ID:yA5ifqC40
('A`)「俺、気づいたんだ……」

ドクオはゆっくりと口を開いて言った。
多少、芝居がかっているように見える。
しかし、クーの関心は別の部分にあった。

川 ゚ -゚)「何に、だ?」

胸に手を当て、未だ活発な心臓の動きを感じながら訊ねた。
ドクン。ドクン。と音がする。

('A`)「自分の気持ちに、だ」

その言葉を聞いて、彼女の胸の鼓動は一層激しくなった。
脈打つ音が大きく耳に残る。

('A`)「俺は……俺は……!」

ドクオは真剣な表情で、クーを見る。
彼女は、唾を飲み込んだ。





63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:47:00.51 ID:yA5ifqC40
(*'∀`)「海賊王に俺はなる!!」



















ξ#゚听)ξ「ブーン!何してるのよ!」

(#)ω^)「お?wwwwwマイスィートハニーどうしたお?wwwww」

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:49:15.82 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「……」

クーにはドクオの言葉は、あまりにも想定外すぎた。
そのためか、彼女の思考は停止状態に陥る。

しかし、ドクオはそんなクーをお構いなしに、
握り拳を突き上げて声を高らかにして言った。

(*'∀`)「俺より強いやつに会いに行くぜ!いやっほうぅぅっぅぅぅぅぅ!!」

ドクオはそう言うなり、ショボンやシャキンの居る方へと走り出していく。
何がなんだか分からない。
クーは呆然と、ドクオの後姿を見送った。




ξ#゚听)ξ「クーと二人でじゃれあって!もう知らないんだから!」

(* ^ω^)「おっおwwwww焼きもちかおwwwwwwww」

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:51:31.47 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「……ふぅ」

自分が密かに期待していた言葉とは180度違う内容だった。
クーは溜め息混じりに一息吐くと、お茶を一口飲む。
先ほどよりも、心臓の動きは穏やかだった。

川 ゚ -゚)「……今のドクオにそれを求めるのは無理か」

クーから少し離れたところでは、ドクオがショボンと闘っている。
彼女は、その様子を眺めながら、もう一度お茶を啜った。

(`・ω・´)「やぁ、クーちゃん」

その時、横からシャキンがクーに話しかけた。
彼女は彼の方を向き、名前を呼ぶ。

川 ゚ -゚)「シャキンさん、どうかしましたか?」

(`・ω・´)「いやぁ、謝ることがあってね」




ξ*゚听)ξ「別にそんなんじゃ……」

(* ^ω^)「僕は一万年と二千年前からツン一筋だおwwwww」

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:52:48.73 ID:yA5ifqC40
クーは怪訝な顔で、シャキンを見る。
シャキンは少しバツが悪そうに頭をかいて言った。

(`・ω・´)「どこから話した方がいいのかな?」

川 ゚ -゚)「分かりません」

(;`・ω・´)「そうだよね。いや、さっきブーン君が持っていた団子があったろう?」

クーが頷く。

(`・ω・´)「あれさ、酒入り団子なんだよね。
       ちょっぴりの好奇心で団子にお酒を混ぜてしまってね。
       勢い任せなような感じで、なんとかなるかと思っていたんだけど……」

川 ゚ -゚)「酒……ですか」




ξ*゚听)ξ「う、嘘よ!そんな昔から愛してるワケ……」

(* ^ω^)「愛してたお。そして、今も愛してるお……」

ξ*゚听)ξ「ブーン……」

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:54:30.66 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「うん。すっごくアルコール度数が高いのを、ね」

クーから目を逸らし、頬をポリポリとかきながらシャキンは答えた。

川 ゚ -゚)「なるほど、それが原因だと」

(`・ω・´)「うん。ごめんね。クーちゃんに一番迷惑をかけちゃったよ」

川 ゚ -゚)「謝らないでください。悪いのは……」チラッ


ξ*゚听)ξ「でも……」

(* ^ω^)「僕を疑うのかお?可愛い子猫チャン……」

ξ*゚听)ξ「あ……」


川 ゚ -゚)「あのピザですから」

(;`・ω・´)「そ、そう……」

クーはブーンをチラッと一目見てから言う。

そのブーンはといえば、
ツンの顎を人差し指で軽く持ち上げ、見つめ合っていた。

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:56:30.47 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「……まぁ、そういうワケで何かお詫びをと思ってね」

川 ゚ -゚)「そういうワケには……」

(`・ω・´)「いいから、何か出来ることはないかい?」

川 ゚ -゚)「いえ、でも……」

と、そこでクーはふと思いつく。
外は依然として雨が降り続いていた。

川 ゚ -゚)「せっかくのお月見ですし、月を見えるようにしてください」

(`・ω・´)「月?」

川 ゚ -゚)「……すみません、冗談です」

シャキンが首を傾げる。
我ながら馬鹿げたことを言ったものだ。
そう思いながら彼女自身、自分らしくない言葉に、
心の中でフッと自嘲するように笑った。

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:58:20.64 ID:yA5ifqC40
(`・ω・´)「いや、やってみよう!任せなさい!」

川;゚ -゚)「え?」

ところが、意外にもシャキンからの返答はイエスだった。
クーは思わず聞き返す。

(`・ω・´)「どっかの国みたく化学物質を振り撒くようなことは出来ないが、
       おまじないチックなことは出来るんだよ。我が家の一子相伝の技でね」

よくマラソン大会のときは晴れにしたものだった、
と言いながらシャキンは手を合わせる。
力を入れているのか、小刻みに震えていた。

(`・ω・´)「はにゃはにゃほにゃら〜ほおおおほっほっほおおおおお……」

(`゚ω゚´)クワッ!

(`゚ω゚´)「びっくりするほどユートピア!びっくりするほどユートピア!」

(`゚ω゚´)「きえええええええええええええ!!雨雲退散!雨雲退散!ッポゥ!」

シャキンは何かを呟いたかと思うと、
目を見開き、突然叫びだした。

川;゚ -゚)(なんというおまじない……これは間違いなく呪術)

こいつ……どうにかしないと……。
その様子に、クーは若干引き気味になりながら、
万が一のことを考え、どのようにしてコレを止めるかを思案し始めた。

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 01:59:05.51 ID:yA5ifqC40
……


(`゚ω゚´)「……ふんばらっばっば!!オッポレポレポレ!!そおぉい!!!」

(`・ω・´)シュンッ

(`・ω・´)「ふぅー。クーちゃん、終わったよ」

川;゚ -゚)「あ、ありがとうございます」

しばらくしてシャキンが正常になり、おまじない(らしきもの)を終えた。
額を拭う仕草をしながら、シャキンはクーに終了の報告をする。

(`・ω・´)「いやいや、他にもなにか出来ることがあれば協力するからね」

そう言ってシャキンは、未だに戦闘中のショボンとドクオの元へ戻っていった。

川;゚ -゚)(効果はあるのだろうか……)

窓から、空を見上げる。
空は曇り、月は見えず。
また、雨の勢いはそのままだった。

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:01:18.11 ID:yA5ifqC40
深夜。


バーボンハウスは暗闇と静寂に包まれていた。
そんな中、席に座って突っ伏していたドクオは、
体を身震いさせ、小さくクシャミをする。

('A`)「あ゛ー……ん……ん?」

それまで眠っていたのだろう。
ドクオは目をこすり、欠伸を一つした。
しょぼしょぼとした目を、何とか開けようと努力した。

('A`)(トイレ行きたい……頭痛い……)

顔を顰めながら、おもむろに立ち上がろうとする。
その時、腕や肩に暖かさを感じて、ドクオの動きが止まった。

('A`)(なんか温かいな……)

('A`)(それに良い匂い……)

彼はその暖かさと匂いの元を確認しようと、
ゆっくりと自分の腕付近に目をやった。

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:03:10.61 ID:yA5ifqC40
川* - -) zzz

('A`)

川* - -) ムニャ

(*'A`)

川* - -) zzz

(;'A`)

川* > <) ヘクチッ











(゚A゚)

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:04:09.17 ID:yA5ifqC40
(゚A゚)(オオオオオオオオオオオオオチツケ!モチツケオレ!!)

温もりの正体はクーだった。
彼女が、ドクオにもたれかかって眠っているのだ。

(゚A゚)(ソスウ!ソスウヲカゾエルンダ!! 123456789……)

正体が分かると、ドクオは激しく動揺した。
何故クーが隣で寝ているのか。何故クーが自分にもたれているのか。
妄想と勘違いが彼の頭の中で交錯する。
彼は歯をカチカチと震わせながら、次に自分は何をすべきかを考えた。

(゚A゚)(ドウスレバイイ!?ドウスレバイイ!?)

ドクオは考える。必死で考える。クーを見ながら考える。
彼は彼女を見つめている間、とあるところに視線がいった。

(゚A゚)(オ、オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ)

現在、ドクオはクーを上から覗き込む、という格好となっている。
その位置関係から、ドクオの視線は自然と

(゚A゚)(オ、オオ、オオオッパ、オッ、オッパアアアア、アアアアア!!!タニマ!)

クーの胸元に釘付けとなる。

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:05:45.54 ID:yA5ifqC40
ドクオにとって間近でみるメロン(+谷間)は、少々刺激が強すぎた。
いくら画面越しにメロンを見慣れていたとしても、
それとは全く状況が異なっている。まず次元が違う。

彼は未知の領域である生メロンを自らの脳内HDDに記憶させようと、
ひたすらソレを凝視した。

不必要に強調している異性のソレ。
ドクオは息を荒くさせ、血走った目をこれでもかと見開いていた。

男としての本能。
見ないようにと心掛けても逆らえない。
人間として、動物としての抗えない強固なもの。

加えて、友人のソレを見ているという、
一種の背徳感が彼を襲っていた。

(゚A゚)(キザムゾオッパイノビート!!!オッキオッキオッキィィィィィィィ!!!)

この瞬間、もしもクーが目を覚ましたなら、
辺りに血の雨が降ることは確実だ。

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:07:29.41 ID:yA5ifqC40
だが結局、何も起こらなかった。
クーはそのまま起きる気配もなく、
ドクオもすぐに意識を取り戻して見るのを止めた。

(;'A`)(あっと、トイレに行きたいのを忘れてた)

ドクオはそっとクーから離れると、忍び足でトイレへと向かう。
途中、床に何も敷かず寝そべっている者が何人もいた。





川* - -) zzz

川* - -) zz……

川* - -)

川 ゚ -゚) パチッ

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:09:00.15 ID:yA5ifqC40
ジャアアアアアアアアアアアアア
ギィィィ パタン
カチッ

('A`)(あースッキリした)

彼はトイレに向かうときよりも、
ゆったりとリラックスした歩調で、自分のいた場所に戻っていった。

('A`)(さて、どこで寝ようかね)

自分が寝ていた場所にはクーもいた。
再びそこで寝るなんて、どーてーでチキンな自分には耐えられそうもない……
あ、おっきした。

などとドクオは色々と思案しながら、席の付近まで来た。

('A`)(……あれ)

寝ているハズのクーがそこにはいない。
ドクオは辺りを見回すが、そこには床に寝ている奴らだけだった。

('A`)(お!?)

ふっと目に入った窓の外。
ドクオからは後姿しか見えないが、確かに見覚えのある人影。
それは上を向き、何かを見ているようだった。




79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:11:48.37 ID:yA5ifqC40
降っていた雨が止んでいた。
それどころか、雲が風によって流されていたのだろう。
雲一つない夜空だった。

川 ゚ -゚)(月が綺麗だな)

クーは黄色く丸い月を眺めていた。
月の周りには幾つかの星が点在している。

川 ゚ -゚)(しかし、本当に晴れたな。シャキンさんって何者なのだろうか)

彼女は、夜空にシャキンの得意げな顔が、
浮かび上がったように思えた。

川 ゚ -゚)(にしても……ふむ)

彼女は頭を横に軽く振ると、
手を後ろで組んだり、顎に手を当てたり。
クーは落ち着かない様子で月を見る。

川 ゚ -゚)(ふぅー……タイミングが中々掴めないな)

腰に手を当てたり、髪をいじったり。
考え事をしているのか、難しい顔をしていた。

(;'A`)「な、なにしてるんだ?」

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:13:12.01 ID:yA5ifqC40
クーは体を強張らせると、後ろを振り向むく。
そこには、少し前屈みになっているドクオがいた。

川 ゚ -゚)「ドクオか、脅かすな」

(;'A`)「え?あ、す、スマン」

ドクオはクーの隣まで歩く。
その動きは少々ぎこちなかった。
そのためか、地面に転がっていた空き缶に、思わず躓きそうになる。

(;'A`)「つ、月でも見てたのか?」

川 ゚ -゚)「あぁ。ウサギでもいないかと思ってな」

(;'A`)「う、ウサギ?い、意外と、ろ、ロマンチックだな」

川 ゚ -゚)「意外、とは失礼だな。私だってそれぐらい思ったりもするさ」

今日は十五夜だしな、とクーは付け加える。
ドクオはクーの胸を覗いたという後ろめたさからか、
普段よりも言葉の歯切れが悪い。

(;'A`)「そ、そうなのか」

川 ゚ -゚)「ああ」

それっきり、二人は黙り込んでしまった。

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:14:41.53 ID:yA5ifqC40
(;'A`)(もっと気が利いたことを言えんのか俺は)

ドクオは自分に絶望していた。
気の利いた返事が出来ない自分に腹を立てていた。
そして先程の自分の言ったことを後悔した。
ムスコの情けなさにも嘆いた。

('A`)(あぁー嫌になる。ウツダ)

しかし、そのようなことを思っていても仕方がなかった。

(;'A`)(しかし、空気が重い)

ドクオ、クー共に喋らず沈黙状態。
この状況を打開するために、ドクオは話題を探す。
しかし、こういうときに限って話す話題が見つからない。

('A`)(は、早く、なんか当たり障りの無い話題でも探さないと…)

('A`)(ん?そう言えば、ブーンに団子食わされてから記憶が無いな)

('A`)「な、なぁクー」

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:16:08.62 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「なんだ?」

('A`)「俺がさ、ブーンに団子を食わされてたの見てただろ?」

川 ゚ -゚)「あぁ、見てた」

('A`)「それから記憶がないんだが、俺なんかしてた?」

川 ゚ -゚)「してたな」

さらっと彼女は言い放った。
予想外の返答にドクオは驚く。

('A`)「え?マジッすか?マジッすか?」

川 ゚ -゚)「マジッす」

(;'A`)「ど、どんなことしてた?」

川 ゚ -゚)「例えばだな……」

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:18:11.79 ID:yA5ifqC40
(*'∀`)『ショボーン!』

(´・ω・`)『あ、ドクオ。大丈夫だt』

(*'∀`)『そぉい!!』

(;´・ω・`)『うわっ』

(*'∀`)『避けたな……俺のライダーキックを避けたな』

(;´・ω・`)『な、何をするのさ!』

(*'∀`)『俺より強そうなやつに所構わず喧嘩を売る!それが俺の正義!』

(;´・ω・`)(げ、こいつも酔ってるのか)

(*'∀`)『くらえ!タイガーアッパカッ!!』

(;´・ω・`)『わ!』

(*'∀`)『またしても……これは最終奥義を使わねばなるまいな……』

(;´・ω・`)『厨くさ(#'A`)『なんだと!?だったらこの技を避けて見やがれ!!必殺



川 ゚ -゚)「とか」

(;'A`)「ねぇ!?必殺の後は何て言ったの!?ねぇ!」

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:20:43.06 ID:yA5ifqC40
(#)∀`)『久しぶりに良い戦いだったぜ……』

(#)A`)『ぬっ!?』


ξ*゚听)ξ『ウサギだって寂しいとしんじゃうんだよ?』

(* ^ω^)『ウサギは寂しくてもしなないお。しぬのは人間だけだお』

ξ*゚听)ξ『そう……なの?』

(* ^ω^)『でも、だからこそツンには僕がついているんだお……。
       僕にはツンがついているように』

ξ*゚听)ξ『ブーン……』


(#'A`)『見せ付けてんじゃねえぞあいつら……』

(#'A`)『おぅおぅテメェら!アツいじゃねーか!えぇ!?』

ξ#゚听)ξ『うるせぇ!!』

(##)A`)アパム



川 ゚ -゚)「……とか」

(;'A`)(/('A`)\)

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:23:08.62 ID:yA5ifqC40
(##)A`)『ヒドイ目に遭ってきたわー』

川 ゚ -゚)『自業自得だ。このおおうつけめ。てか酒臭いな』

(#)A`)『ふぁあ……なんか眠いな……』

川 ゚ -゚)『それなら、そこで寝たらどうだ?』

(*'A`)『いや……ここでいいや』

川 ゚ -゚)『おいおい、そんなに私の隣で寝たいのか』

(*'A`)『おやすみ〜』

川; ゚ -゚)『お、おい!こら!ドクオ!』

(*-A-)グオォォォォォォォ

川; ゚ -゚)『……本当に寝た』



川 ゚ -゚)「とかな」

(;'A`)(おおおおおおおい!!何してんだよオレェェェェェ!!)

ドクオは頭を抱える。
彼がいくら酔っていたとはいえ、
クーに迷惑をかけてしまったことには変わりなかった。
消すことの出来ない事実である。

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:24:17.58 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「本当にゴメン!!」

瞬間、ドクオは土下座する。
一秒も経たない速さで地べたに這い蹲る。

川 ゚ -゚)「気にするな」

(;'A`)「だ、だって」

川 ゚ -゚)「移動しようと思えば移動出来たんだしな。
     好きで私はそのままいたんだ。気にすることはない」

川 ゚ -゚)「それに、謝るなら私の胸を見ていたことに謝って欲しいがな」

(;'A`)「!?」

ドクオは言葉を失った。
そんな馬鹿な!分かるはずがない!
彼は戸惑っていると、クーがやれやれといった感じで首を横に振った。

川 ゚ -゚)「隣にいるんだぞ?感じた視線と荒い息遣いで大体の予想はしていたが……、
     今の反応で確信した。見ていたな」

(゚A゚)

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:25:21.64 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「なぁドk」

(;'A`)「いや、マジで!ゴメンなさい!!許して下さい!
    オパーイを見たのは単なる出来心ってやつで!本当!本当に!
    そうだ!ブーンだ!ブーンが悪いんだ!元は酔わせたブーンが悪いんだ!
    だから俺は悪くねぇ!!俺は悪くねぇ!!」

川 ゚ -゚)「いや、少しからかっただけだ。私は別にきn」

(;'A`)「ひいいいいいい!?
    せめて、せめてK察だけは勘弁してくれぇ!
    お願いだからお願いだからお願いだから!」


       パーン
川 ゚ -゚)
   ⊂彡☆))A`)



川 ゚ -゚)「落ち着け」

(#)A`)「スマソ」

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:26:42.98 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「で、だ」

ドクオは体を強張らせた後、クーに哀願し始めた。

(;'A`)「クーや、許しておくれ……」

川 ゚ -゚)「気にするなと何度言えば分かる。だから、あまりしつこいと嫌われるぞ」

このままでは堂々巡りだ、ドクオスパイラルだ。
とクーは考え、「この話はこれで終わりだ」と話を打ち切った。
彼女は続けて言う。

川 ゚ -゚)「君に質問があるんだ。いいか?」

(;'A`)「お、おう」

ドクオはゴクリと唾を飲む。

どんな質問をなげ掛けられるのだろうか。
気にするなと言われたって、そんなもの社交辞令だ。嘘っぱちだ。

覗きを皆に密告していいか?と言われるのか、
それともセクハラで精神的苦痛を受けたから訴えていいか?と宣告されるのか。

どちらにしろ人生コナタ\(=ω=.)/

ドクオの思考回路はショート寸前だった。

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:27:53.06 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「……と思うか?」

ドクオはハッとして、意識を頭の中から引き戻した。
クーが何を言っていたのか、彼は全く聞いていなかった。

(;'A`)「お、おう?」

川 ゚ -゚)「……だから、ドクオは月にウサギがいると思うか
     と聞いてるんだ」

え、と間の抜けた声を、間の抜けた表情でドクオは出す。
頭の隅にもなかった質問内容に、慌てて返答した。

(;'A`)「い、いや、居ないんじゃねーかな?
   月でそういう目撃情報なんて聞いたことないしな」

川 ゚ -゚)「目撃情報……。君は実に夢が無いな」

(;'A`)「ほ、ほっとけ」

川 ゚ -゚)「そうか、ドクオは居ないと思うのか……。
     ドクオらしいけどな」

('A`)「そ、そう?」

ドクオは後頭部を軽く掻く。

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:29:03.55 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「ウサギと言えば、だ。知ってるか?」

('A`)「
    はい
   ニアいいえ
       」

川 ゚ -゚)「ウサギは寂しくても死なないらしいぞ」

('A`)「ん?それってブーンが言ってたやつか」

そうだ、とクーは頷いた。

川 ゚ -゚)「寂しくて死ぬのは人間だけらしい」

('A`)「だから、俺にはクーがいるし、クーには俺が付いてるんだな」



川 ゚ -゚)「……何を言っているんだ君は」

クーが返す。

(;'A`)「じょ、冗談だよマイハニー。い、いや、調子に乗って本当にゴメンなさい」

川 ゚ -゚)「……ドクオ。君に言っておきたい事がある」

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:29:59.45 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「え?いいいや、ママママジで冗談言ってゴゴゴゴメンなさい!!」

川 ゚ -゚)「真剣な話なんだ」

強い意志が宿ったかのようなクーの瞳。
それに気圧され、ドクオは黙り、
唾を飲み込むと彼女の言葉を待った。

川 ゚ -゚)「今日ようやく手に入れた機会だ。是非聞いてほしい」

(;'A`)「お、おぅ……」

一言、その返事をするだけでドクオは精一杯だった。
クーは一呼吸置いて口を開いた。


94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:31:07.02 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「ドクオ」







川 ゚ -゚)「私は君が好きだ」







95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:32:01.41 ID:yA5ifqC40
('A`)

私は君が好きだ

君が好きだ

好きだ

……

わわわわたしししききききききみみみすすすすすきききききだ


きききききみみみみみすすすすすすききききだだだ



す      き       だ



('A`)

( 'A` )

(  '  A  `  )


(  )  ゚      A    ゚  ポーン

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:33:14.01 ID:yA5ifqC40
ドクオは目を丸くした。

川 ゚ -゚)「不器用だが優しいところが好きだ」

思いがけない言葉。

川 ゚ -゚)「嫌々言いながら、それでも物事をやり通すところが好きだ」

万が一も無いと考えていた状況。

川 ゚ -゚)「友達想いなところが好きだ」

自分には縁の無いと思っていたシチュエーション。

川 ゚ -゚)「私は君の全てを知っているわけじゃない」



川 ゚ -゚)「でも、私は君が好きなんだ」



彼は目を丸くした。

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:34:27.71 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「おっ、おおお、おおおぉぉぉぉおお!?!」

彼は動揺した。
人生の中で一番の動揺。

ドクオは信じられないといった表情で、
自らを指し、クーに訊ねる。

(;'A`)「俺が!?」

川 ゚ -゚)「そう、俺が」コクン

(;'A`)「すすすすすすすすスキ!?」

川 ゚ -゚)「好き」コクリ

クーが答えるたびに頷く。

川 ゚ -゚)「付き合ってくれないか」

言って、彼女が手を差し出した。

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:35:42.26 ID:yA5ifqC40
inドクオ脳内

待て俺。落ち着け、落ち着け。
これは現実だ。空想・妄想、ましてやエロゲの話でもない。

あのクーからの告白。
愛の告白だ!

なんだこの興奮は、胸の高鳴りは!
ヤバイヤバイヤバイ、マジでパネェ。

これまで全く無かった展開だ。
ようやく俺にも春が来たんだな。
苦節17年、長かった、長かった……!

これでブーンを僻まなくて済む!
カポーに嫉妬しなくても済む!
俺もこれで完璧なリア充だ!

これは即おkするしかないだろう、常識的に考えなくても!






ただ、


なんだこの不安感は。


101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:36:54.28 ID:yA5ifqC40
(;'A`)

ドクオはクーの顔を、意識して見つめた。

彼女の表情は、いたって何時も通りに見えるのだが、
彼にはクーが不安そうな顔をしているように感じられた。
状況が状況だけに、当然だといえば当然なのだろう。


川 ゚ -゚)

クーはドクオを見つめ返す。

彼女の体は震えていた。
本人だけが分かる程度に震えていた。
平静を装っては見たものの、
どうしてもそれを完全に抑え込むことができなかったようだ。


102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:38:09.44 ID:yA5ifqC40
彼はゴクリと唾を飲み込む。

彼女はコクリと唾を飲み込む。


二人には数秒が、数分、数十分、数時間……と感じられた。

彼らの間に不思議な静けさが満ちていた。




そんな中、彼は動き出した。

傍目には緩慢な動作に見えたが、
その動きは彼にとって精一杯の速い動作だった。

103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:39:19.99 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「ゴメン……  なさい(ボソ」


川 ゚ -゚)


ドクオは頭を下げた。
クーの表情が強張る。
彼女は差し出していた手を引くと、震える声で彼に訊ねた。

川  - )「何故だ……?」

(;'A`)「……あのさ」

ドクオはポツリポツリと話し始める。


105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:43:28.62 ID:yA5ifqC40

(;'A`)「ゴメン……  なさい(ボソ」


川 ゚ -゚)


ドクオは頭を下げた。
クーの表情が強張る。
彼女は差し出していた手を引くと、震える声で彼に訊ねた。

川  - )「何故だ……?」

(;'A`)「……あのさ」

ドクオはポツリポツリと話し始める。


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:45:14.91 ID:yA5ifqC40
(;'A`)「俺さ、自信が無いんだよ」

川  - )「自信……?」

(;'A`)「お、おう。自信が」

(;'A`)「俺はさ、見たとおり冴えないし、頭だって良いわけでもないだろ?」

(;'A`)「それに身長だって高くないし、強くもないし。……童貞だし(ボソボソ」

(;'A`)「と、とにかくさ。俺自身、他人に誇れるものが何一つ無いんだよ」

(;'A`)「コンプレックスか?他人に対して、どうしても劣等感を覚えるんだ」

川  - )「……私は別にそういったところは気にしてないんだぞ?」

(;'A`)「でも、俺は……気になるんだよ」

(;'A`)「正直、俺がクーみたいな才色兼備つったら、まぁそうなんだけど、
    釣り合わないと思う。クーも俺なんかと付き合っていたら変に思われるし……」


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:46:22.19 ID:yA5ifqC40
川  - )「私が……」

(;'A`)「?」

川  - )「私がさっき言ったことを覚えているか?」

川  - )「私は不器用でも優しくて、友達想いで……そんな君が好きだと言ったんだ」

川  - )「決して、私は……」

(;'A`)「……」

(;'A`)「ありがとう。そう言ってくれて、俺はすごく嬉しい」

(;'A`)「……でも、やっぱり、これだけは……」

重苦しい雰囲気が、二人を包み込む。
肌寒い風邪が吹き抜けていった。

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:47:27.45 ID:yA5ifqC40
川  - )「ドクオ……」

川  - )「その劣等感は」

川  - )「私も一緒に、協力して拭うことは……出来ないのか?」

(;'A`)

('A`)

(゚A゚)


そ の 手 が あ っ た か !

ドクオは後悔した。
生まれて初めて告白され、
それによって初めて感じた不安、焦り。

早計に結論を出し、他の答えを導き出さなかった自分に彼は絶望した。

(;'A`)(ソーローってレベルじゃねーぞ!)

しかし、ドクオはもう後には引けなかった。
彼の小さな自尊心がそれを許さなかった。

111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:48:26.77 ID:yA5ifqC40
また、プライド云々を除いたとしても、
彼が吐露した言葉は、そう簡単に覆すことが出来るものでもなかった。

(;'A`)「……ゴメン」

クーは「そうか……」と言うと、ドクオに背を向けた。
彼女は何かがこみ上げてくるのを感じながら。

クーは月を見上げて呟いた。

川  - )「私は団子を手に入れ損ねた、か……」

(;'A`)「……え」

川  - )「ドクオ」

(;'A`)「……え?」

川  - )「突然、済まなかった」

(;'A`)「あ、え、いや」

川  - )「先に戻ってる」

そう言って、クーはバーボンハウスに入っていった。

ドクオは呆然と、一人その場に立ち尽くしていた。

113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:49:53.89 ID:yA5ifqC40
翌朝@バーボンハウス



チュンチュン




*'``・* 。
|     `*。
       ,。∩      *   みんな朝だよー
      + (´・ω・`) *。+゚
      `*。 ヽ、  つ *゚*     起きてー
       `・+。*・' ゚⊃ +゚
       ☆   ∪~ 。*゚    起きろー
        `・+。*・ ゚
       起きんかコラー




115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:51:10.79 ID:yA5ifqC40
(´・ω・`)「ほらほら!朝だよ朝!早く起きて40秒で支度しな!」

(; ^ω^)「ウッ……頭に響くから、大声は止めてくれお……」

ξ;--)ξ「う〜、頭がガンガンするよぅ」

(;`×ω×´)「しょ、ショボン。水、クレ……」

三人がそれぞれ頭を押さえながら、
机や壁に寄りかかりながらよろよろと立ち上がる。

(´・ω・`)「この酔っ払いどもめ。……おや?」

(´・ω・`)「ドクオとクーは?」

ショボンは辺りを見回しながら言った。

(; ^ω^)「そんなことよりみ、水くれだお〜」

ξ;--)ξ「ショボンお願い〜」

(;`゚ω゚´)「あぁぁぁあ゛あ゛あ゛」

(´・ω・`)「この酔っ払いどもめ」

ショボンは溜め息を吐き、水を取りに行こうとした。
その時、トイレのある方向からクーが現れた。

116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:52:15.76 ID:yA5ifqC40
川 う-゚)「お早う……」

(´・ω・`)「あ、おはよう」

クーは眠たそうな声で挨拶をしながら目を擦る。
ショボンは彼女の小さな異変に気付いた。

(´・ω・`)「クー、目が赤いね」

川 ゚ -゚)「昨晩は途中で目を覚ましてしまってね。寝不足かな」

ショボンはふぅんと相槌を打った。

(´・ω・`)「あ、ちょっと水取ってくるから酔っ払いを宜しく」

川 ゚ -゚)「酔っ払い?」

(´・ω・`)「あれあれ」

ショボンが後方を指差す。
その先にはグロッキーな状態の人間が三人いた。

117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:53:04.28 ID:yA5ifqC40
川 ゚ -゚)「あー……把握した」

それじゃ、と立ち去ろうとしたショボンは、
ハッとして足を止めるとクーに訊ねた。

(´・ω・`)「あ、あとドクオ知らない?見つからなくてさ」

川 ゚ -゚)「い、いや。知らないな」

(´・ω・`)「そう、ありがとう」

ショボンは厨房に水を取りに、
クーは酔っ払い達のいるところへ行った。

川 ゚ -゚)「……」

ショボンにドクオのことを聞かれて彼女は焦った。
昨晩の出来事がクーの中で蘇ってくる。

川 ゚ -゚)「……ふぅ」


(; ゚ω゚)「あばばばb何か冷えた飲み物をををををを」

ξ;--)ξ「うぅー痛いよー」

(;`。ω。´)「あなななんあななななんあななn」


川 ゚ -゚)「……ふぅ」

119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:54:19.54 ID:yA5ifqC40
その後、クーが三人の看病をしているとショボンが水を運んできた。
彼の歩く速さはやたらスローペースである。

(´・ω・`)「おまたー。水持って来たよ」

(; ゚ω゚)「たたたたたすかったべやーはやくくだされ!」

ξ;--)ξ「アリガトー」

(` ω ´)「悟りとは無我の境地のことです」

それから、三人が復活したのを見届けてから、
ショボンは軽く息を吐き、ポンッと両手を叩いた。

(´・ω・`)「ふぅ。それじゃ昨晩の後片付けを……アレ?ドクオマダー?」

川 ゚ -゚)「みたい……だな」

(´・ω・`)「散歩でも行ったのかな?」

クーが返事をしようとした時、店内の入り口のドアが開いた。

('A`)「おはよ……ッ!」

(´・ω・`)「おはよう。外はすっかり晴れてるみたいだね」

(;'A`)「あ、あぁ」

(´・ω・`)「?」

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:55:58.94 ID:yA5ifqC40
店に入ってきた途端、ドクオが挙動不審になったのを、
ショボンは不思議に思ったが、彼はあまり気にしないことにしたらしい。


(´・ω・`)「ドクオ、パーティーの後片付けしたあと朝食ね」

(;'A`)「お、おぅ」

それでもショボンは首を傾げながら、ブーン達の元へと歩いていった。
その背中を見送ったあと、ドクオはクーに恐る恐る向かい合った。

(;'A`)「お、おお、おおおお、おおは、おはおは……よう」

川 ゚ -゚)「……」

緊張で吃りながらも、彼はクーに挨拶をした。
しかし、彼女はドクオを見つめたまま黙っていた。

(;'A`)「え、あ、その」

彼はどうすればいいのか分からず戸惑うばかりであった。
ドクオは彼女から目を逸らしたい衝動に駆られるが必死に耐える。
逸らしてしまったら、きっと後悔する。
彼はそう感じていた。




121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:57:04.97 ID:yA5ifqC40
フッ




不意にクーは口元に笑みを浮かべると、
ドクオに近づいていった。

驚くドクオを尻目に、彼の耳元で囁く。


川 ゚ー゚)「私は諦めていないからな?」


(;'A`)「!?」

ドクオは目を丸くし、勢いよく彼女の方を振り向いた。
クーは不敵な笑みを見せる。



川 ゚ー゚)「おはよう、ドクオ」



ドクオは呆然と、その場に立ち尽くしていた。

122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/09(水) 02:58:20.89 ID:yA5ifqC40
後日。

ブーン達の通う高校で中間考査が行われた。

パーティーを行う代わりに、ブーンに課せられた条件。

【赤点を取ったら一人一つずつ、ブーンにペナルティを考える】

ブーンは必死になって勉強した。

今まで以上に努力をした。

彼は友人達のためにも、徹夜で励んだ。

( ^ω^)

(^ω^)

(;^ω^)








( ゚ω゚)

END



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