1 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:12:49.26 ID:Uod5F6Xa0
あの男が憎い
悔しかった 優しいあの目が嫌いだった
あの目が、怖かった
あの優しい目が、私に哀れみを掛けているように思えた
だから傷つけたのだ
もう、優しい目を出来ないようにしてやった
それでも彼は私を擁護する 一緒にいるのが苦痛になった
だから、逃げた

悪いのは、全て私なのに

3 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:20:57.23 ID:Uod5F6Xa0


( ^ω^)「通り魔事件?」

不意のことだった
ただでさえ、事件に巻き込まれてから世の中の人間に不信感を抱いているのに
通り魔 見知らぬ人間を快楽のために傷つける
そんなことをする人間に良い人間なんていないだろう

('A`)「ああ、通り魔事件だ これは我が「ミステリーサークル」に打ってつけの事件だろう?」

彼―毒島 幸男(ぶすじま ゆきお)は嬉々としていた
どこかの馬鹿が、ある事件をきっかけに興味本位で勝手に作り、私を含む友人3名が勝手に入部させられたサークル
身近な事件を取り扱います、などと銘打って探偵まがいの事を始めたのだが、
来るのは、財布をなくしただの、ペットがいなくなっただの、小さい事件ばかり
当たり前と言えば当たり前なのだが

('A`)「コレは、暇をつぶすのに丁度いいんじゃないか?」

4 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:26:54.02 ID:Uod5F6Xa0
( ^ω^)「大体、通り魔事件なんて、どこから嗅ぎ付けたんだお?」
('A`)「お前、ニュースを見ていないのか?今大変な騒ぎになっているんだぞ?
この大学の生徒が、もう2人も殺されているんだ」

知らなかった こんな大きな事件が起きているなんて

('A`)「しかも、被害者の全員が『爪を全て剥がれている』らしいんだ」

爪を剥ぐ?想像して自分の指を見た 爪を剥がれると言うのはどのような感覚なのだろうか
痛み、そんなものをとうに通り越す、想像するに耐えない
何故、爪を剥ぐのだろう
快楽、それしか考えられなかった

('A`)「そこでだ、この事件、俺たちで解決しないか?」

5 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:36:07.91 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「君は馬鹿じゃないのか?」

尚武 達摩(そうぶ たつま)がそう冷たく突き放す
食堂にいた尚武に、例の「通り魔事件」の話を持ちかけてみたが、あっさり断られた
確かにそうだ 馬鹿馬鹿しいにも程があるだろう
彼とは、小学の頃からの付き合いだ こう返されるは解りきっていたことだ
尚武は、世間一般から見ればこの上ない常識人なのだろう
ただ、私には只の本好きな変人としか取れない

( ^ω^)「そんなこと言ったって、毒島が乗り気なんだお」
(´・ω・`)「君達だけで勝手にやっていれば良い 僕は面倒に首を突っ込むのはゴメンだ」
( ^ω^)「そんな事言わずに 同じサークルの一員だお?」

僕は入った覚えはないよ―そう言うとスタスタと食堂を出て行ってしまった
確かに、そうなのだ 私とて入りたくて入ったわけではない
あの馬鹿―長岡 譲司(ながおか じょうじ)に無理やり、いやいつの間にか加入させられたのだ
当の本人は、一度にかサークルに来ず、何時も私と毒島の二人で小説を読むだけのサークルになっていた

6 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:43:30.68 ID:Uod5F6Xa0
部室に戻り、毒島に先ほどの話をする

('A`)「やっぱり駄目だったか とりあえず、暇だし僕ら二人だけでも活動するかい?」
( ^ω^)「面倒なことになるのだけは嫌だお」
('A`)「俺だって同じさ でもな、二人でじっと小説を読むだけのサークルなんて陰気臭くて溜まったものじゃない」
( ^ω^)「そうだなお」

大体、何故私達は律儀にここに集まっているのだろうか
別に、来たくなければ来なければいいだけの話である
しかし、私も毒島も暇を持て余しているのだ
家に帰っても何もすることがない それを考えた私達は結局ここに集ってまう
尚武は、一度だけここに立ち寄ったことがあるのだが、何をするでもなくすぐに立ち去ってしまった
結局、私が選べる選択肢は一つしかないことに気がついた

( ^ω^)「で、とりあえず、何を調べようかお」

7 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:50:18.75 ID:Uod5F6Xa0
二人で、新聞の記事を持ち寄り眺めてみる

「犯人は、異常者?女子大生が全ての爪を剥がれ殺害!」

「又も被害者!犯人の足取りは未だつかめず!」

どうやら、警察も苦戦を強いられているようだった
被害者の名前に目をやる
中村 藍子 大学3年
畑中 理恵 大学1年
ぱっと見た感じの被害者の共通点と言えば、
女性であること、そして、この大学に在学していることであろうか
他に目ぼしい共通点などはなさそうだ
住んでいる場所、出身地、全て異なっている
やはり、ただの通り魔なのだろう

( ^ω^)「コレ以上調べようがないお」
('A`)「そうだね、取りあえず被害者の知人にでも当たってみようか
確か、僕の友人が知り合いだったはず」

8 : 閉鎖まであと 5日と 0時間: 2007/01/18(木) 20:59:19.43 ID:Uod5F6Xa0
「どうしたんだい?毒島」

彼は、僕のほうをちらと見ると軽く会釈をし、
小田 雅也(おだ まさや)です 初めまして―と挨拶をした
身長180といったところであろうか
身長の高さに少し萎縮してしまいそうなものだが意外と威圧感はない
彼の温和な雰囲気に隠れてしまっているのだろう
短髪にジーパン、中々整った顔立ちである
彼の第一印象を悪く言う人間は、まずいないであろう

小田「通り魔か 悔しいな 僕の中学からの友人が殺されたんだ
早く警察には捕まえて欲しいよ」
('A`)「殺された二人に共通点とかはないの?」
小田「共通点?んー、二人ともファッションに凝っていたくらいかな
よく授業中とか、爪の手入れをしていたよ」

そういうと、昔を思い出してなのか小田の表情が曇る

('A`)「ああ、そうなのか 有り難う」

ああ、そう言って小田が作り笑いで僕らを見送る

9 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:08:24.91 ID:Uod5F6Xa0
('A`)「どうやら、二人のもう一つの共通点は『爪に気を使っている』だな
もしかすると、爪に気を使っている女が狙われているんじゃないか?」
( ^ω^)「でも、それが何で殺される理由になるんだお?」

別に爪に気を使っていたからって殺害する理由にはならないであろう

('A`)「じゃあ、なんで殺されたって言うんだ?」
( ^ω^)「うーん・・・」

今回の事件の問題は、そこだろう 何故殺されたのか
通り魔がいちいち爪を剥ぐだろうか
それに、この大学の人間が狙われている
計画的な犯行なのではないだろうか
考えれば考えるほどわからなくなってきた

11 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:14:11.85 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「理由?君はまだ下らないことをしていたのか」

駄目もとで尚武に疑問を投げかけてみたが反応は冷たい

( ^ω^)「お願いだお 成り行きだろうがこのサークルに入ったんだお
少しでも、事件について知りたいんだお」
(´・ω・`)「君は真相を知ってどうするつもりなんだい? 警察は取り合ってはくれないよ
だから、僕らは待つしかなんだ」
( ^ω^)「それでも知りたいお」

(´・ω・`)「じゃあ、仮に君が通り魔だとしよう」

13 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:24:19.10 ID:Uod5F6Xa0
面倒くさそうな表情で、尚武は話を続けた

(´・ω・`)「通り魔の君は、今、標的を狙い定めた 静かに近づき、標的を殴り殺す
そして君は爪を剥いだ さて、何故君は標的を一つに絞れたと思う?」

( ^ω^)「標的は僕が殺したいと思う人間に似ていたからかお?でも、殺された人は皆ばらばらだし・・・
ああ、人を殺すのが好きだったからかな でも、それなら2週間で2人なんていうペースかなあ
もしかしたら殺したい人間だったのかもしれない いや、それだと通り魔じゃなくて計画殺人だ あれ?
訳がわからないお」

(´・ω・`)「全部、偶々なんだよ」

尚武は立ち上がり、外を見た

(´・ω・`)「これ以上、被害者が出なければいいんだけれどね」

尚武は、もう何かわかっているんじゃないだろうか
でも、僕には聞けなかった

14 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:31:04.30 ID:Uod5F6Xa0
('A`)「なんか、わかったかい?」

僕は尚武から聞いたことを説明した

('A`)「じゃあ、コレは全部不慮の事故だっていうのか 馬鹿馬鹿しい
尚武にはあきれるね」
( ^ω^)「じゃあ、毒島はわかるのかお?」
('A`)「それはだなあ・・・うーん」
( ^ω^)「僕は君にあきれたよ」
('A`)「うるさい」

どういう意味だったのだろうか 全て偶然?
殺人が偶然だなんて有り得るのだろうか
毒島が横で手を拱いている
僕は考えた 何かの要素が重なり合って出来た偶然の殺人?
それがあったとしたならば、加害者も被害者も不運だったのかもしれない

15 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:34:38.88 ID:Uod5F6Xa0


ああ、何故なの
どうしてどこまでも追ってくるの
嫌だ
嫌だ
嫌だ
嫌だ

耐えられない

罪悪感が押し寄せてくる

もう、許して

17 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:42:17.77 ID:Uod5F6Xa0


あのおぞましい光景を見てからというもの、人間が信じられなくなってしまった
それでも、友人との関係を取り持つためにも、私は笑顔で振舞わなければいけない
この生活が、苦痛だ

長い講義を終えて、食堂へ向かう

前までは、隣にいた友人も今はいない
唯一無二の友人が通り魔に殺されてしまった
あの日以来、気落ちしていた私を唯一支えてくれた友人
それを、殺した通り魔を許せなかった

はやく、通り魔の顔が見たい そして、殺しに行きたい
あのおぞましい母親と共に殺してやりたい

19 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:47:35.71 ID:Uod5F6Xa0
何時も通り実験室へ向かう

始めは単位のための同好会だった
けれど、この部屋のにおいを嗅ぐと落ち着く体になってしまった
薬品の臭い 少し中毒性がある様な臭いがたまらなく好きになってしまった
深呼吸を1つ、2つする

今日はどうやら私しか来ないらしい
薬品庫を開け、幾つかのビンを取り出す
実験器具をテーブルに持ってくる
ぶつかり合ってカチャカチャと音を立てるのも好きだった
少し心が弾む

20 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:51:01.43 ID:Uod5F6Xa0
実験をしていると、いつの間にか時間が過ぎていた

もう、帰らなくては
器具をしまい、ビンを戻す
少し憂鬱になる

後でドアが開くがした
振り返る

「あら、なにをしにきたの?」

21 : 閉鎖まであと 4日と 23時間: 2007/01/18(木) 21:54:37.36 ID:Uod5F6Xa0


少し寝坊をしてしまった 講義に遅れてしまう
昨日、尚武に言われたことを夜中まで考えていた
何も思い浮かばなかったわけだが

門のあたりにつくと、騒がしいのに気がついた

( ^ω^)「あれ?今日、なんかあったかお?」

毒島が走ってきた
なにか深刻そうな顔をしている

( ^ω^)「あ、おはよう なんかあったのかお?」
('A`)「大変だ!殺人事件がおきた!」


22 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:00:30.14 ID:Uod5F6Xa0
('A`)「殺されたのは、どうやら1年の林田らしい」

林田 優(はやしだ ゆう)とは何度か話をしたことがあった
とても気さくな良い娘だったはず
でも、ある時から突然、周りの人間と話をしなくなっていたようだ
でも、何故あの娘が殺されたのだろう

('A`)「しかも、手の指の爪が剥がれていたらしい」
( ^ω^)「じゃあ、通り魔かお?」
('A`)「警察はその点で調べてるらしいけど、でも、殺されたのは実験室だぜ?
通り魔がこんなところに来るだろうか」
( ^ω^)「じゃあ、通り魔は通り魔じゃなかったってことかお?」
('A`)「多分な」
( ^ω^)「取りあえず、現場に行ってみるかお まだ、人が沢山居そうだけど」

23 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:06:09.51 ID:Uod5F6Xa0
凄い人だかりだ
警察が、離れろと叫んでいる

( ^ω^)「すごいお」

人を掻き分けて入り口付近までたどりつく
毒島がなにかを見つけたようだ

('A`)「なあ、あれってもしかして爪じゃないか? 本当に引っぺがされたんだな」

実験室の中に爪が落ちているようだった

( ^ω^)「ん?アレは付け爪じゃないかお?」
('A`)「お前、良くわかるな でも、何で付け爪なんだ?伸ばせばいいのに」
( ^ω^)「林田は実験が好きだったみたいだお 多分実験に邪魔臭いからじゃないかお」
('A`)「なるほど」

人だかりを見るとどこかで見たことのある人が立っていた 林田の母だ

24 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:17:20.09 ID:Uod5F6Xa0
( ^ω^)「お母さん、お久しぶりです 本当に残念です」

林田の母には会ったことがある
たしか、大雨で帰るのに困っていた僕を
林田と共に車に乗せてくれたのだ
下の名前は、奈津(なつ)だった気がする
まだ、40にはなっていないはずだ
幾分、顔がやつれている様にも見える
1時間ほどでもコレほどまでに人は変わるのだろうか

林田「ああ、内藤君 お久しぶりね・・・ あの子、本当に殺されてしまったの?
違う人の可能性はないの?」

声のトーンが暗い 当たり前であろう
娘を殺されてしまったのだから

( ^ω^)「優に、間違いなかったです・・・」

奈津は泣き崩れた

25 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:27:10.34 ID:Uod5F6Xa0
部室に行く
もう、習慣になってしまったらしい

('A`)「全部、通り魔の犯行なのかな?そうだとしたら、コレはもう通り魔事件じゃないぞ」
( ^ω^)「でも、爪が剥がされてたんだから、それしか考えられないお」

(´・ω・`)「もう、関わらなくていいよ 今回の事件の犯人はすぐにつかまるよ」

尚武が立っていた

( ^ω^)「今回の事件?通り魔が捕まるのかお?」
(´・ω・`)「君らは勘違いをしているようだが、今回の事件と通り魔事件は関係がないよ」
( ^ω^)「何でわかるんだお?」
(´・ω・`)「爪さ 付け爪だったみたいだから」
( ^ω^)「何でそれが?」
(´・ω・`)「気にしなくて良い とにかく、君らはおとなしくしていろ」

尚武は、部室から出て行った

26 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:36:40.96 ID:Uod5F6Xa0


大学に来れば何か変わると思っていたが、どうやらそうではないらしい
友人は増えたが、連絡を取る友人は減った
結局、高校の時と何も変わらない
でも、それで良かった 十分だった

学校に来るとなにやら騒がしい
殺人事件があったらしい
林田、顔を見たことはあるが、話したことはない
彼女には有人も沢山居たようだし、羨ましかった
人に恨みを買われる様な人だったかな
考えたが、面倒になってやめた

27 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:41:05.00 ID:Uod5F6Xa0
つまらない講義を聞いていると自然と欠伸が漏れる
それを、友人が茶化してきた

「朱美(あけみ)、あの爺に見つかるとどやされるわよ」

篠崎 唯(しのざき ゆい)、私が小学校の頃、この街に越してきてから
今までずっと一緒に居る

和久「わかってるわよ 唯も集中しなよ」

講義が終わり唯と共に食堂へ向かう

28 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:46:03.82 ID:Uod5F6Xa0
篠崎「通り魔の仕業かな?だとしたら、私達も狙われるかもね」

唯が、私を驚かそうとする

和久「止めてよ 私、事件があった道を何時も通るんだから」
篠崎「冗談よ 今日は、帰りどっか寄っていく?」
和久「ごめん、今日用事あるんだ」
篠崎「なんだ、つまらない」

唯が口を尖らせる

和久「あ、そろそろ次の講義が始まるわよ」

29 : 閉鎖まであと 4日と 22時間: 2007/01/18(木) 22:48:41.65 ID:Uod5F6Xa0
講義がやっと終わった
急がなければ間に合わない
今日は、家族で外食へ出かけるのだ

駆け足で角を曲がると、誰かとぶつかった

和久「あ、すみません」

その影は、なにかを振り下ろした

30 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:01:02.59 ID:Uod5F6Xa0


('A`)「また、被害者が出たらしいな これ以上、人が殺されたらどうするつもりなんだ警察は」
( ^ω^)「かなり深刻になってきたお」
('A`)「あの馬鹿、今回は何も首を突っ込んでこないな」
( ^ω^)「長岡のことかお?あいつ、今、家の仕事だかなんだかで忙しいらしいお」
('A`)「ふーん」
( ^ω^)「殺されたのは誰なんだお?」
('A`)「又この学校の人間らしいな たしか、和久って言ったかな」
( ^ω^)「和久か・・・」

見かけたことはあるのかもしれないが、わからなかった
取りあえず、この状況を打破する方法はないのだろうか
4人もの人間が殺されて、大人しくしていられる方がおかしい
妙な正義感が沸々と沸いてくる

31 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:08:20.76 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「君達も強情だな」
( ^ω^)「でも!だまって見てるわけには行かないお!」

悔しかった 自分の周りの人間が殺されているのに指を咥えているだけの現状が
いくら、顔見知り程度の中だろうと、悔しかった
尚武は落ち着いた顔で僕を見ている

(´・ω・`)「まあ、聞けよ 僕も動かなければならなくなった 君らも手伝えよ」
( ^ω^)「え?」

(´・ω・`)「小田が捕まった」

32 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:15:17.83 ID:Uod5F6Xa0


偽装が裏目にでた
通り魔の所為にしようってのが間違いだった
その所為で、他の事件も俺の所為にされてしまう

「他の事件に君は関与しているのかい?」
小田「違います 確かに私は、林田を殺しました でも、他の事件は違うのです
私は、通り魔の犯行に見せたかっただけなのです」

目の前の警察がため息をつく

拘置所へ連れて行かれる
このままだと、全て俺の所為にされてしまう 何とかしなくては
これは、殺人を犯した報いなのか 全て衝動的なものだったのに

「面会だ」

少し、希望が湧いた

33 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:18:26.79 ID:Uod5F6Xa0


(´・ω・`)「内藤、話は全部聞いてきたかい?」
( ^ω^)「ばっちりだお」

僕が拘置所で小田に聞かされたこと全てを尚武に話した
どうやら、尚武は全てを悟ったらしい

(´・ω・`)「よし、それじゃあ行こうか」
('A`)「ああ、とりあえず着いていくよ」

小田から聞いた話 それが本当だとして、何故犯人がわかったのか
僕にはさっぱりだった

34 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:23:29.80 ID:Uod5F6Xa0
呼び鈴を鳴らす
静かに扉が開き、林田 奈津が顔を出す

林田「はい、なんのようでしょうか・・・ あら、内藤君」

僕らは中へすごすごと入ってゆく
2階建ての一軒家 広い家だが、何故か閑としている
ここには、もう奈津しか居ないのだろう
リビングのソファに腰掛ける
四角いテーブルに僕らと、奈津が顔を向かい合わせる形になった

(´・ω・`)「林田さん 僕はあなたに何も用はなかったのですが
友人が無実の罪を背負わされそうなのです なので、私はここへ来ました」

はあ、と気の抜けた返事を奈津は返す

35 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:29:41.46 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「まず、一つお聞きしたいのですが、あなたは『先端恐怖症』ではないでしょうか」
( ^ω^)「先端恐怖症ってあの?」

確か、尖った物に対して恐怖を覚え、精神が不安定になる
トラウマから来るものであろう
尖ったもの・・・爪か

奈津「はい、確かにそうです」

(´・ω・`)「わかりました これで全てわかりました 通り魔事件の犯人はあなたですね?」

ああ、やはりそうなのか 奈津が犯人 何故だろう

36 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:39:16.81 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「あなたは、あるコトをきっかけに、先端恐怖症になった それも、特殊な症状だ
それ以来、長い爪に対し異常な反応を示すようになった」
('A`)「やっぱり爪がポイントだったのか・・・」
(´・ω・`)「あなたは、道端で何度も若い女性にぶつかっていますね?
この辺の路地は特に多いでしょう」

確かにここらの道は入り組んでおり、人とぶつかってしまいそうだった
奈津は黙っている

(´・ω・`)「そしてそれが偶々、あなたの娘さんと同じ年頃だった
あなたは、娘さんに家庭内暴力を受けていましたね?
恐らくそれがきっかけで、先端恐怖症になった 娘さんがつけていた爪に恐怖を覚えた
娘さんと同じ年頃の女性が、長い爪で、あなたに手を差し伸べてくる
あなたは、パニックになり、そして殺害した」

偶然の意味がわかった
娘と同じくらいの年頃で爪の長い女性が、この入り組んだ道でぶつかって
奈津に手を伸ばす
全て偶然だったのだろうが、奈津にとっては家庭内暴力の記憶が蘇る
その結果が、通り魔事件か

37 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:43:37.30 ID:Uod5F6Xa0
(´・ω・`)「あなたは、自分にとって恐怖であった爪を本能で全て剥がし、そこでやっと平静を取り戻す
なんのことかわからなかったのでしょう 目の前で、人が死んでいる
あなたは、混乱していた時の記憶が一切ないはずだ」

奈津「はい・・・ 目が覚めると、目の前には人が倒れていました
何がなんだかわからなかった」

全ては、偶然だった それで片付けるには痛ましい

( ^ω^)「なんで、家庭内暴力を受けていたんだお?」
(´・ω・`)「それはね、僕からは話せないよ」

奈津「私が話します」

奈津が口を開く

38 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:50:15.15 ID:Uod5F6Xa0
奈津「私は、娘の彼氏、小田君と肉体関係を持ってしまったのです
それが、娘に露見し、夫へ伝わりました
娘の暴力は日に日に増していきました けれど、私がいけないのだから抵抗はしませんでした
夫は、私を庇うのです 全て私が悪いのに
その夫の哀れみが嫌になり、家から出ようとしましたが
先に夫が出て行きました 女一人では辛いだろうから家を明け渡すといって
娘は夫について行きました
私は、ろくでもない人間なのです」

奈津は疲れ果てたようにふらりと立ち上がった

奈津「警察へ行きます、もう、誰も殺したくはないので着いてきてください」

奈津は自首をした

39 : 閉鎖まであと 4日と 21時間: 2007/01/18(木) 23:56:35.86 ID:Uod5F6Xa0


小田は、林田優に金を脅し取られていたそうだ
恋人の母親との関係などを友人に知られるわけには行かない
それで、殺害を決意したらしい
皮肉なものだ 結局残ったのは父親だけ
その父親はいったいどこに居るのだろうか
優は父親と一緒に出て入ったが、同じ場所に住んだわけではなかったらしい
一つ聞いた話によれば、奈津は夫の右目を切り付けたことがあるらしい
哀れみの目が怖かったのだろう
それでも、妻を愛した夫とというのは、どのような人なのだろうか

( ^ω^)「これで、平和になったんだお」
('A`)「一件落着だな」
( ^ω^)「久しぶりに買い物でも行くかお」
('A`)「俺は、パスだ ちょっくら用事がある」


40 : 閉鎖まであと 4日と 20時間 : 2007/01/19(金) 00:01:32.99 ID:g+S8CaUx0
街の人だかりに飲まれると、不思議な感覚になる
まるで、ここに居る全員がこの街の一部のような感覚
沢山の人間の中に居て少し自分は何なのかを考えてみる
くだらない、尚武に言われそうだ

多きな交差点 沢山の人が行き交う中、一人の男が目に付いた

( ^ω^)「右目に傷?」

人ごみの中で考える
世界が広いのか、自分が小さいのか
偶然が幾重にも重なる世の中だ
きっと、世界はとても狭いのだろう

(了)


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