5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:28:09.47 ID:N13NpvKiO

人間には元来、百八つの煩悩があるとされ、新年を迎えるその夜に百八つ鐘を叩く事でそれを消す。


それがいわゆる除夜の鐘である。


( <●><●>) 「しかし残念ながら、この近くに鐘のあるお寺はありません」

それはつまり、新年を迎えても煩悩だらけで生きろ、という事だ。

(;><) 「い、嫌なんです!」

わかんないですが、本当に嫌そうな素振りを交え言った。

( <●><●>) 「だからといって、どうする術が無いのもわかってます」

わかってますが反対に、諦め切ったように言い返す。
彼が言うのだ。本当にどうしようもない事を、わかんないですは悟った。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:35:02.67 ID:N13NpvKiO

( ><) 「悲しいんです……」

肩も眉もガックリと落とし、わかんないですが言った。
そんな彼を見て、何かを考えるわかってます。

( <●><●>) 「……一つだけ、方法があるかもしれません」

(;><) 「えッ!? なんです!?」

バッと顔を上げ、大きな目を輝かす彼を見た。
暫らく思考を巡らせていたのか無言の後に、言った。

( <●><●>) 「要は108つ、何かをすればいいんです」

( ><) 「108つ……? わかんないんですッ!」

急かすように言うと、わかってますは溜め息一つして続けた。

( <●><●>) 「……ちんぽっぽちゃんのミカンを潰しましょう」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:39:03.45 ID:N13NpvKiO

(;><) 「……」

わかってますは驚いた。ポカーンと開いた口が、何よりそれを証明する。

(;><) 「そ、そんな事したらちんぽっぽちゃんに嫌われちゃうんです!」

( <●><●>) 「噴努する事はわかってます」

やっと出た言葉は、わかってますにあっさりと肯定される。
もうすでに、そんな事はわかってると言いたげだ。

( ><) 「じゃあ……どうするんです?」

( <●><●>) 「とりあえずちんぽっぽちゃんの所に行きましょう。
        話はそれからです」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:44:48.69 ID:N13NpvKiO

(*‘ω‘*) 「ちんぽっぽ! ちんぽっぽ!」

寒空を歩きやってきた2人を、ちんぽっぽはジャンプでもって歓迎した。

その出迎えに、わかってますは心の中でニヤリ、わかんないですはハラハラドキドキ。
三者三様の心持ちだった。

( <●><●>) 「ちんぽっぽちゃん、ちょっとお話いいですか?」

(*‘ω‘*) 「ぽっぽ!」

了承を表すように、ちんぽっぽはビョンビョン跳ねて家の中へと消えていく。
その背中を、震える身体で見るわかんないです。

(;><) 「機嫌いいのが逆に恐いんです……」

( <●><●>) 「さ、お邪魔しましょう」



13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:53:59.95 ID:N13NpvKiO

(*‘ω‘*) 「ちんぽっぽ!」

まぁ座れ、とコタツの中からちんぽっぽは言った。
当たり前のように置かれたミカンが、わかんないですのドキドキを増やす。

( <●><●>) 「では失礼します」

(;><) 「……」

2人が座り入ったのを見ると、コタツの上のミカン籠をアゴを使い引き寄せ、
ピンと立つ耳を用いて籠の中からミカンを3つ転がした。

(*‘ω‘*) 「ぽっぽ!」

( <●><●>) 「ありがとうございます」

コロンと正面に座るわかってますに、黄色い玉が転がる。
同じようにわかんないですにも。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 15:57:39.60 ID:N13NpvKiO

(*‘ω‘*) 「ぽっぽっぽ!」

(;><) 「ひ、ひぃぃィ……」

しかしテンパッてるわかんないですは、恐怖の溜め息を盛らすだけ。

( <●><●>) 「……」

(;><) 「痛ァッ!?」

それが原因で太股をツネられると知ってたら、少しは改善したろうか。

(*‘ω‘*) 「ぽ?」

(;><) 「あ、いやいや。なんでもないんですッ、大丈夫なんです!」

( <●><●>) 「所でちんぽっぽちゃん。除夜の鐘は知っていますか?」

突然切り出した、わかってます。
ちんぽっぽは知らないの意を込め、首を横に振った。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:10:18.45 ID:N13NpvKiO

( <●><●>) 「僕らには大小あれど、煩悩という欲望があるのです」

(*‘ω‘*) 「ぽ〜」

( <●><●>) 「しかもそれが108つも」

(*‘ω‘*) 「ぽぽッ!?」

( <●><●>) 「えぇ、108つもです。嫌ですよねぇ……」

(;><) (う、上手く乗せてるんです!)

その話術に感銘するわかんないですを余所に、話は続く。

( <●><●>) 「だけどですね、ちんぽっぽちゃん。
        諦めちゃいけませんよ?」

(*‘ω‘*) 「ぽ?」

( <●><●>) 「その108つの煩悩を浄化し、気持ちのいいお正月、
        果ては素晴らしい一年を迎える方法があるのです」

(*‘ω‘*) 「ぽぽッ!?」

(;><) (壺でも買わされそうなんです……)

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:14:51.63 ID:N13NpvKiO

全身を乗り出し、わかってますの話に食い付くちんぽっぽ。
わかってますは上がりそうになる口角を必死に押さえながら、それを言った。

( <●><●>) 「煩悩を消す、唯一の方法……」

(*‘ω‘*) ゴクリ

(;><) ゴクリ





( <●><●>) 「ちんぽっぽちゃんのミカンを百八つ叩き潰s」



瞬間、わかってますに頭はちんぽっぽに飲み込まれた。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:20:17.56 ID:N13NpvKiO

(;><) 「アッー! アッ、アッ―――!!」

(♯ ‘ω‘ ♯) 「……」

否、正確には飲み込まれたのでなく、食い付かれた。
まさかわかってますも、自分が食い付かれるとは予測してなかったろう。

「こ……こうなる事はわかってました……」

わかってたらしい。頭半分口中に突っ込みながらも、まだ出ている口が動いた。

(;><) 「ち、ちんぽっぽちゃん! 落ち着いてくださいなんですッ!」

(♯ ‘ω‘ ♯) 「……」

(;><) 「一度! 一度のお情けをぉォォォオ!!」



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:26:10.47 ID:N13NpvKiO




(;<●><●>) 「はァ……はァ……」

(;><) (あ……頭が少し溶けてるんです……)

(♯ ‘ω‘ ♯) 「ぽっぽ!」

籠にあったミカン、2人に渡したミカン。
ちんぽっぽは皮ごと全て、それを頬張っている。

(;<●><●>) 「確かに……ちんぽっぽちゃんにとってミカンは宝物。
        それを潰すなんて、許せない事でしょう……」

(♯ ‘ω‘ ♯) 「ぽっぽ!!」

(;><) 「ひぃぃ……」

いつ自分がバクンといかれるかわからない。
わかんないですは小さな身体を更に小さくし、恐怖に震えた。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:32:00.47 ID:N13NpvKiO

(;<●><●>) 「しかしちんぽっぽちゃん、聞いてください……。
        この儀式をしなければ、ちんぽっぽちゃんはまず不幸になります」

(♯ ‘ω‘ ♯) 「……」

(<●><●>;) 「時に、わかんないです君」

(;><) 「は、はい?」

(<●><●>;) 「あなたはスリムとデブ。どっちが好きですか?」

Σ(*‘ω‘*)

(;><) 「え……? で、でゔ?」

(<●><●> ) 「はい……デブです。
        常に汗をダラダラかき、脂肪で自分の足も見えない。
        そのレベルのおデブです」

(;‘ω‘;) 「……」

(;><) 「……スリムがいいんです」



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:36:58.81 ID:N13NpvKiO

( <●><●>) 「だ、そうですよ? ちんぽっぽちゃん」

(;‘ω‘;;) 「……」

横目でわかんないですを見ながら、ちんぽっぽは昨日の自分を思い出していた。






29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:38:38.92 ID:N13NpvKiO



(*‘ω‘*) 「ちんぽっぽ!」

ミカン32個。




(*‘ω‘*) 「ぽっぽ〜」

ミカン64個。




(*‘ω‘*) 「ぽぽ〜」

ミカン81個。


ちなみに外には出てない。
コタツでぬくぬくとしながら、年末の特番を寝見つつミカンをむしゃむしゃしていた。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:43:44.33 ID:N13NpvKiO

(* ω *) 「ぽ……」

こんな生活を既に2〜3週間、太るのは目に見えている。
それに最近、なんだか身体が重い気がしていた。

ジャンプが上手く跳ねないのだ。
今までが80ちんぽっぽジャンプだとすると、最近は30ちんぽっぽジャンプだ。
駄目駄目だ。

(;><) 「ど、どうしたんです? ちんぽっぽちゃん」

( <●><●>) 「クク……」

明らかに落ち込むちんぽっぽを見て、ほくそ笑むわかってます。
女の子の気持ちを利用した、狡猾な作戦である。

( <●><●>) 「まぁ安心してください。
        さっき僕が言った事、覚えていますか?」



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:49:45.57 ID:N13NpvKiO

(*‘ω‘*) 「ぽ……?」

( <●><●>) 「煩悩とは、それ即ち欲望。つまり言えば、太る原因なのです!」

(;‘ω‘;) 「ぽ、ぽっぽっぽー!?」

ちんぽっぽに電流走る。

( <●><●>) 「ちんぽっぽちゃんが黄色デブになるのは……僕も嫌なんです」

( ><) (黄色デブ……w)

(♯<●><●>) 「だからこそッ! だからこそ煩悩を捻り潰すのですッ!!
        ちんぽっぽちゃんの煩悩の原点、ミカンをッ! 百八つ!!」

(*‘ω‘*) 「……ぽ」



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 16:57:38.90 ID:N13NpvKiO

荒らぶった息を整えながら、わかってますは腰を落とした。
いつのまにか立っていたらしい。

( <●><●>) 「……どうですか? 除夜の蜜柑、やる気になりましたか?」

(;><) (そんな名前だったのは知らなかったんです!)

(*‘ω‘*) 「……」

欲望が消える。確かにそれは素晴らしい。
ミカンが家庭を圧迫していた事は明らかだ。

来年からは、悠々とした生活が出来るだろう。

( <●><●>) 「更に持ちミカンが無くなれば、正月太りの心配もナッスィン!!」

一石二鳥である。

( <●><●>) 「……」

( ><) 「……」

(*‘ω‘*) 「……ちんぽっぽ」

悩んだ挙げ句。
小さくちんぽっぽは、除夜の蜜柑をやる事。それを了承した。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:03:13.20 ID:N13NpvKiO

12月31日 深夜 ちんぽっぽ家


真っ青なブルーシートを敷き詰めた、ちんぽっぽ家の一室。

ミカンと書かれた30個入り段ボール3つ。
残りはバラど18つ。

計百八のミカンが、シートの上にて綺麗に並べられた。


( <●><●>) 「これはもう……壮観ですね」

( ><) (奥にあった大量の段ボールは……見なかった事にするんです)

(*‘ω‘*) 「……ぽ」

さてそれじゃ、やりましょうか。

わかってますが静かに言った。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:07:36.23 ID:N13NpvKiO

(♯ ‘ω‘ ♯) 「ちんぽっぽォォォォォォォオ!!!!11」

メトロノームのように頭を振らし、背を反らし。
勢いのついたそのオデコは、大好きなミカンを叩き潰した。

( ><) 「ゴォーン!」

グチャッという気味悪い音をかき消すような、わかんないですの鐘の音。

( <●><●>) 「あと107。頑張りましょう」

除夜の蜜柑。その全容が明らかになった瞬間である。



40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:15:11.94 ID:N13NpvKiO

その後も除夜の蜜柑は、怒号を交えながら続いた。

稼働式自動ハンマーちんぽっぽは、ミカン汁で顔をべたべたにしながら頭を振るい、
わかんないですはゴォーンが小さいと怒られたので、腹から全力でゴォーンを言った。


(;;ω;;) 「ちんぽっぽ……」

(♯><) 「ゴォーン!!」

( <●><●>) 「はい32ッ! さくさく行こう!!」


悲しくて流れた涙と、悔しくて流れる鼻水。
思わず出た涎と体液を垂れ流しながら、ミカンを潰す、潰す、潰す。

やがてブルーシートは綺麗なオレンジに染まった。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:25:57.14 ID:N13NpvKiO

(;;;ω;;;) 「ぽっぽ……」

(;><) 「ご……ごぉーん……」

( <●><●>) 「はい102!! ラス6ゥー!」

100も越えると、確かな疲れが見て取れた。
そんな2人を励ますのが仕事、と言わんばかりにわかってますのテンションは高い。

(;><) 「す……少し休憩しだいんでず……」

( <●><●>) 「自分に甘えるな!! 頑張れッ!!」

(;;‘ω‘;) 「ぼっ……ぼぉ……」

汁だらけの顔を拭おうともせずに、ちんぽっぽはまた一つミカンを潰した。

( <●><●>) 「ほら鐘ッ!」

(;><) 「ごお゙ーん゙!」

皺枯れた声。それもそのはず、80を越えた時点でわかんないですの喉は枯れていた。
だが休む暇などは貰えず、そら言えそら叩けと怒声が飛ぶ。

部屋は地獄だった。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:34:08.87 ID:N13NpvKiO

そして遂に108つ目。つまり残すは1個となった。


(♯<●><●>) 「はいラストォー!!
        糞ったれだった1年を振り返り、叩き潰せちんぽっぽォー!!」


(♯ ‘ω‘ ♯) 「ちんぽっぽォォォォォォォォォォォオ!!!1!11」


(♯><) 「グォォオオオオオオオオオオオオンッ!!!1!」


わかんないんですの鐘の音は、ちょうど新年を迎えた時間と重なっていた事を、3人は知らない。




48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:41:21.87 ID:N13NpvKiO

(* ω *) 「ぽォ……ぽォ……ぽォ……」

(;><) 「ハァ……ハァ……ハァ……」

(;<●><●>) 「ふゥ……ふゥ……ふゥ……」


終わった。


しかし、まず襲ってきたのは達成感ではなく、
「こんな時間に何やってんだ俺ら……」という虚無感だった。


   ※潰したミカンは、後でスタッフが美味しく頂きました。



54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 17:53:04.81 ID:N13NpvKiO

( ><) 「まぁ……ね。でもこれで、いい新年が迎えられるんです!」

年越しソバをずるずると啜りながら、わかんないですが言う。
もう年など越しているのだが、鐘の代わりにミカンを潰す連中だ。
細かい事は気にしないだろう。

(*‘ω‘*) 「ちんぽっぽ……」

( <●><●>) 「そんなに落ち込まないでください。
        ちんぽっぽちゃんは頑張りましたよ」

(*‘ω‘*) 「ぽ……」

フォローになっているかは知らないが、少しは元気になったらしい。
付け合わせのミカンをペロッと食べた。



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 18:02:27.24 ID:N13NpvKiO

( <●><●>) 「まぁでも……」

蕎麦も食べおわり、3人はまったりとTVを見ていた。
そこでは若手の芸人がアイドル達と何やらキャーキャー騒いでいる。
もう正月気分だ。

( ><) (いまいち世界感が掴めないんです……)

( <●><●>) 「結局あの儀式に意味はあったんでしょうかね?」

( ><) 「…………え?」

( <●><●>) 「いやだって、鐘の代わりにミカンって……。
        そんな事したら、農協に怒られますよ」

( ><) 「……」

(*‘ω‘*) 「……」

( <●><●>) 「大体食べ物を粗末にする奴に、神様が微笑む意味がわかりまs」

バクッ

(♯ ‘ω‘ ♯) 「……」

( ><) 「……もうそいつ、食べちゃっていいんです」



56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/31(月) 18:03:19.79 ID:N13NpvKiO




 (*‘ω‘*) が百八のミカンを叩き潰すようです


おしまい





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