1 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:07:52.23 ID:0x16R7AV0

 
 
 
 
          ───2006年 11月21日
 
 
 
 

4 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:35:30.62 ID:gciNmAoy0

 
"………のVIP地方は朝方から降り続く雪の影響で、午後には多い所で100cm以上の積雪になるところがあr………" 
 
 
 
布団の中に潜り込んでいるのに、鼻の穴に冷気が入ってくるのがわかるくらい寒い。 
  
眠気眼でテレビのリモコンを探し当て、テレビをつけると、お天気お姉さんがそう伝えていた。 
 
雪か………。 
 
こんな早い時期に………それも積雪になる程の雪なんてVIP地方では珍しい。 
 
 
 
"………VIP地方で今日のような早い時期での降雪は、15年前の1991年11月21日以来2度目で、山間部では雪崩n………" 
 

5 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:36:09.71 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
       ( ^ω^)ブーンが雪を降らせるようです。
 
 
 
 

6 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:36:46.01 ID:gciNmAoy0

 
部屋………それも布団の中でこの寒さなんだから、きっと外はもっと寒いんだろう。
 
窓の外を見ると、分厚い灰色の空から粉雪が降っていて、それは見るからに寒そうな光景だった。  
 
午後から積もるのか………。
 
しかも、この日に雪が積もるなんて………。 
 
 
 
携帯を確認してみると、メールが1件………予想通りドクオからだった。
 
『おっす!!去年と同じように、正午にラウンジ駅に集合な!!』
 
 
 
時計を見ると11時40分………ちょっと急いだ方がよさそうだ。
 

7 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:37:23.42 ID:gciNmAoy0

 
洗面所で顔を洗い、着替えを済ませると、もう11時50分を過ぎていた。
 
これはもう間に合わんかもしれんね………。
 
寝癖を整える時間なんて無いから、ニット帽で髪の毛を隠し、玄関へと向かった。
 
 
 
( ^ω^)「母ちゃん、行ってくるおーwww」
 
 
 
母ちゃんのいつもの笑顔で見送られ、僕は急いで外へと飛び出した。
 

9 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:38:00.10 ID:gciNmAoy0

 
家の前の道路はすでに薄っすらと雪化粧をしていた。
 
道行く車のほとんどが、タイヤにチェーンを巻いていて、いつもとは違う異様な音を放っていた。 
 
時計を見ると、もうすぐで12時になるところで………。
 
僕は走ってラウンジ駅へと向かった。 
 
 
 
すれ違う人々が身に纏っていている厚いコートが、雪のせいで薄っすらと白く染まっていて、少し早い冬が訪れたということを教えてくれた。 
 
僕の少しだけ防虫剤臭いコートにも薄っすらと積もり始めていて………。 
 

10 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:38:41.26 ID:gciNmAoy0

 
ラウンジ駅前の交差点で赤信号に捕まった。
  
止まると余計に寒い。 
 
寒いの一言に尽きる。 
 
白い息は灰色の雲に吸い込まれるように高く空へと舞っていて………。
 
 
 
信号が青になった方の横断歩道では、サラリーマンが寒そうにオフィス街へと急いで渡って行った。
 
それを見て思ったことは、大学生とは何て自由な生き物なんだと。 
 
でも、こんな自由な時間も残り数ヶ月を切っているんだなと。
 
優越感と名残惜しさが頭の中で混ざり合って、複雑な色合いをかもし出していた。 
 

11 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:39:20.95 ID:gciNmAoy0

 
信号が青に変わる頃、すでにドクオがラウンジ駅の前にいることがわかった。
 
時計を見ると12時10分………。
 
ショボンはまだ来てないから、まぁいいか。
 
黒いコートを身に纏ったドクオは、いつものようにタバコをふかしているようで。
 
 
 
僕はドクオの元へ走った。
 

13 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:39:59.59 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「おいすーwwwwwドクオーwwwwwww待ったかおー?wwwwww」
 
(#'A`)「遅ぇーよ!!寒ぃーよ!!バカ!!」
 
( ^ω^)「11時30分まで暖かお布団の中で夢見てたおwwwww」
 
(#'A`)「あ、さらにムカついてきた………」
 
( ^ω^)「そんなことより、ショボンはどうしたんだお?」
 
('A`)「あぁ、ショボンなら車で来るんだってよ。きっと今ごろチェーン巻くのにてこずってるんだろーよ」
 
( ^ω^)「車ってwwwwww雪のせいで車で帰れなくなったらどうするんだお?wwwww」
 
('A`)「さぁ………車だけ、いつもの空き地に置いて帰るんじゃね?どうせ家も近くなんだし」
 

14 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:41:20.58 ID:gciNmAoy0

 
ドクオの足元にはタバコの吸殻がいくつも落ちてあった。
 
きっと早くから待っていたんだろう。
 
雪が積もる日を楽しみにしてたってことが、すぐに分かった。 
 
 
 
('A`)「それにしても………あれからちょうど15年だぜ?早いよなぁ………」
 
( ^ω^)「おっ………今年で15回目かお………」
 
('A`)「しかも11月21日………今日みたいに早く雪が降った日だぜ?何か………なぁ?」
 
( ^ω^)「それだけ僕たちの絆は強いってことなんだおwwwww」
 
('∀`)「お前、ピザのくせにいいこと言うじゃねーかwwwwwよし、あとでラードをやろうwwwwww」
 
(#^ω^)「テメwwwwバーローwwwwwwww」
 

15 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:41:57.28 ID:gciNmAoy0

 
もう15年か………。
 
大人になるにつれて、時が過ぎるのを早く感じるんだなぁって………今になって実感した。
 

17 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:42:56.53 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───1991年 11月1日
 
 
 
 

18 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:43:33.43 ID:gciNmAoy0

 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目の個室………。
 
僕たちは放課後になると病院へ直行していた。
 
黒いランドセル3つ、白衣の合間を抜け、いつもの病室へ。
 
病院だってことも忘れて廊下を走ってたから、何度も看護婦さんに怒られてたっけ。
 
 
 
いつもの病室のドアを開く。
 
そういえば、このためだけに学校に行ってたような気がする。 
 
 
 
(*^ω^)「ツン!!wwwwきたお!!wwwwww」
 
ξ*゚听)ξ「あ、ブーン」 
  

19 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:44:11.24 ID:gciNmAoy0

 
(*^ω^)「今日のちょうしはどうだお?wwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、今日はとっても楽だよw」
 
(*'∀`)「今日のね、しゅくだいのね、プリントをね、もってきたよ」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、いつもアリガトねw」
  
(*´・ω・)「ねぇねぇ、リンゴ食べていい?リンゴ食べていい?」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、いいよw」
 
 
 
僕たち4人は幼稚園からの親友だった。
 
幼稚園の頃から何をするときも、ずっと一緒で……… 
 

20 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:44:50.91 ID:gciNmAoy0

 
いつからだっただろうか、ツンが入院したのは………。
 
いつの間にかツンの体調が悪くなって学校を休みがちになり。
 
いつの間にかツンが入院しなきゃいけないまで容態が悪化して。
 
いつも4人一緒だったのが、3人でいるときの時間の方がが多くなった。
 
 
 
『すぐに退院して、また4人で遊べるんだ!』
 
その頃の僕は、そんな幼稚な願いが難病という大きな壁によって押し潰されているということを知る由も無かった。
 
『いつになったら、また4人で遊ぶことができるんだろう………』
 
そんな不安は少しはあったが、寝たきりの白くて小さい雪のような女神の笑顔が、そんな感情を吹き飛ばしてくれた。
 

21 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:45:36.31 ID:gciNmAoy0

 
(*^ω^)「つぎのつぎのつぎの火よう日にクラス会があるんだおwwwwwだから、それまでにちゃんとなおすんだおwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、ツンがんばるw」
 
(*'∀`)「ぼくね、こんどはね、王子さまやくだからね、かっこいいでしょ?」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、ドクオ、かっこいいよw」
 
(*´・ω・)「ねぇねぇ、バナナ食べていい?バナナ食べていい?」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、いいよw」
 
 
 
いつものように楽しい時間は過ぎていった。
 
どうして楽しい時間って早く過ぎてしまうんだろう………そんなことを小さな頭の中で一生懸命考えてたっけ………。
 

22 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:46:14.60 ID:gciNmAoy0

 
ξ*^ー^)ξ「ねぇ、ブーン、大すきだよwwwチュッw」
 
(*^ω^)「うはwwwwwwチューwwwwww僕も大すきだおwwwww」
 
(*'∀`)「チューしたwwブーンとツンがチューしたww」
 
(*´・ω・)「ねぇねぇ、オレンジ食べていい?オレンジ食べていい?」
 
 
 
僕はこの白くて小さい雪のようなツンに恋をしていた。 
 

23 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:46:51.39 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───2006年 11月21日
 
 
 
 

24 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:47:27.90 ID:gciNmAoy0

 
2人の白い息、それにドクオのタバコの煙が灰色の空へと舞っていた。 
 
 
 
( ^ω^)「15年………時間というのは何だか残酷だお」
 
('∀`)「言っている意味はよくわからんが、今日はやけに文学的だなwwwwwこのダブルチーズピザwwwwwww」
  
(#^ω^)「コノヤロ………」
 
('∀`)「ハハハwwwwwムキになんなよwwwwwそれにしてもショボンの奴、遅ぇーなwwwwww」
 
( ^ω^)「遅すぎだお!wwwwもう20分だおwwwwww」
 
('A`)「ウボー………寒ぃ………」
 
 
 
時間だ経つにつれて風が強くなってきて、雪も段々と激しく降ってきていて………。
 
ドクオの頭に雪が数cmばかり積もっていた。
 

25 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:48:28.88 ID:gciNmAoy0

 
('A`)「それにしても………お前たちと大学まで一緒になるなんてなぁ………」
 
( ^ω^)「これにツンもいれば………」
 
('A`)「あぁ………そうだな………」
 
 
 
僕の一言のせいで、2人の間に少しばかり沈黙が生じた。
 
どんな時だってくだらない話で盛り上がる仲なんだけど、今はそうはいかない雰囲気のようで………。
 
風が妙に冷たく感じて………。
 
しばらくして、向こうの方から見覚えのある車が走って来た。
 
 
 
('A`)「お、やっと来やがったな………」
 
(#^ω^)「30分遅刻だお!!wwwwそりゃピザもキンキンに冷えるお!!wwwww」
 
('∀`)「ハハハwwwwwお前が言うなよwwwwwww」
 

27 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:49:11.41 ID:gciNmAoy0

 
ショボンの軽自動車が僕たちの前へと止まった。
 
車体が黒いせいか、ボンネットや天井に雪が積もってるのが余計に目立つ。
 
エンジンを掛けたまま、ショボンは車を降りた。 
 
 
 
(´・ω・`)「いやー、待たせてごめんよ。チェーンを巻くのに手間取っちゃって」
 
(#'A`)「遅すぎだよ!!ほら、見てみろ!!ピザがカチンコチンに冷え切ってるだろうが!!」
 
(´・ω・`)「あ、本当だ。冷やしピザだ」
 
(#^ω^)「お前らブッ殺す………」
 

29 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:49:57.95 ID:gciNmAoy0

 
('A`)「ん、そういえば、お前の車………何で右側しかチェーン巻きつけてないんだ?」
 
( ^ω^)「おっおっwwww本当だおwwwww左側はどうしたんだお?wwwwwww」
 
(´・ω・`)「面倒臭k………いや、左側のタイヤには僕の気持ちが巻き付いている」
 
(;^ω^)「ちょwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwww」
 
(´・ω・`)「心配はないよ。ちゃんと僕のチンコを左向きにして調整してるから」
 
(;'A`)「うっわー………乗りたくねぇ………」
 
(´・ω・`)「さぁ、さっさと出発しようか」
 
 
 
僕たちは車に乗り込んだ。
 

30 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:50:45.03 ID:gciNmAoy0

 
いつものように僕が助手席に座って、ドクオが後部座席に座って………。
 
ラジオからは、DJが次に流れる人気歌手の新曲のクリスマスソングの紹介をしていたんだけど………。
 
ショボンがラジオのボリュームを0近くまで下げた。
 
かすかにDJの陽気な声が聞こえてくる程度で………。 
 
 
 
(´・ω・`)「さぁぁあっ!!今年もやってまいりました!!雪だるまツアー!!!司会はワタクシ、ショボンがお送りいたしまぁーす!!!」
 
( ^ω^)「テンション高っ!wwwww」
 
('A`)「なんだよ………ラジオ聴きたかったのに………」
 
(´・ω・`)「それでは出ぱぁぁぁぁぁぁぁあああああああっつ!!!!!!」
 

31 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:51:29.85 ID:gciNmAoy0

 
(´・ω・`)「ま、思い出話をしながら行くのも、たまにはいいんじゃないかなって思って」
 
('A`)「ん………まぁ、そうだな」
 
( ^ω^)「おっおっwwwwwいつものテンションが戻ってきたおwwwww」
 
(´・ω・`)「っと、その前にコンビニに寄らないかい?」
 
('A`)「おぉ、俺もちょうどタバコ切らしたとこだったし」
 
( ^ω^)「お腹減ったおwwwwww」
 
(´・ω・`)「うん、空き地で車止めて、車の中でお昼にしようか」
 
 
 
車は見慣れた街の中を走って行く。
 
雪はどんどん強くなってきていて、歩道は完全に雪に埋まっていて………。
 
外の人はとても寒そうに歩いていた。 
 

33 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:52:09.51 ID:gciNmAoy0

 
(´・ω・`)「そういえば………今年はやけに雪が降るのが早いね」
 
('A`)「あぁ、しかもタイミングよく11月21日………」
 
(´・ω・`)「そうだね。ブーンが毎日、空に向かってハァハァしてたからなのかもね」
 
( ^ω^)「毎日ハァハァしてないおwwwww………本当はやってたお………www」
 
(´・ω・`)「ま、そういう僕も毎日ハァハァしてたけどね」
 
('A`)「あの………恥ずかしながらワタクシも………」
 
( ^ω^)「みんな考えることは一緒だおwwwwwwwwwww」
 
 
 
しばらくすると、目的のコンビニが見えてきた。 
 

34 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:53:05.34 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───1991年 11月5日
 
 
 
 

35 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:53:43.93 ID:gciNmAoy0

 
確かその日の放課後は珍しく、僕1人で病院へと走った。 
 
ドクオは飼育係の仕事、ショボンは図書委員の集まりで遅くなるからだそうだ。
 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目のいつもの病室へ………。
 
途中、廊下で看護婦さんから『今日は1人で珍しいわね』って。 
 
返事もそこそこに、急いで白くて小さい雪のような女神のもとへ。 
 
 
 
いつもの病室のドアを開く。
 
 
 
(*^ω^)「ツン!!wwwwきたお!!wwwwww」
 
ξ*゚听)ξ「あ、ブーン」 
 

38 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:55:22.90 ID:gciNmAoy0

 
ξ*^ー^)ξ「今日は1人なの?」
 
(*^ω^)「そうだおwwwwwドクオはしいく係でショボンは
としょいいんだおwwwwはい、これ、今日のしゅくだいのプリントだおwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、いつもアリガトねw」
 
(*^ω^)「今日のちょうしはどうだお?wwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、今日はとっても楽だよw」
 
(*^ω^)「それはよかったおwwwwwwwwww」
 
 
 
今日はこの白くて小さい雪のような女神の笑顔を独り占めできる。
 
そんな単純なことに喜んでいたっけ………。
 
僕たちは久しぶりに再会したカップルのようにベッドの上に
肩を寄せ合って座った。 
 
幸せだった………。 
 

44 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:02:39.20 ID:gciNmAoy0

 
ξ*^ー^)ξ「ねぇ、ブーンw」
 
(*^ω^)「なんだお?wwwwwwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「ツンね、ゆきがみたいのw」
 
(*^ω^)「ゆきは12月にならないとふらないおwwwww」
 
ξ(゚、゚*ξ「でもツン………ゆきがみたいの………」
 
 
 
白くて小さい雪のような女神のわがままな注文だった。 
 
ツンの笑顔を見たい、ツンに喜んでもらいたい。
 
子供ながらにそう思ってたっけ………。
 

45 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:03:15.57 ID:gciNmAoy0

 
(*^ω^)「この前、せんせいが言ってたおwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「なぁに?w」
 
(*^ω^)「おそらにあるくもと、さむいときに出る白いいきは同じものなんだおwwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うんw」
 
(*^ω^)「だから、いっぱいおそらにむかってハァハァしたら、
くもができて、ゆきがふるんだおwwwwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「ほんとに?w」
 
(*^ω^)「ほんとだおwwwwww
これはツンとぼくだけのひみつだおwwwwwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「うん、ひみつw」
 
(*^ω^)「今日からツンのためにおそらにむかって、いっぱいいっぱい
ハァハァするおwwww
すぐにゆきをふらせてみせるおwwwwww」
 
ξ*^ー^)ξ「やったwツン、うれしい」
 

46 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:03:58.63 ID:gciNmAoy0

 
僕とツンだけの秘密………。
 
そんな小さなことでも、僕にとっては大きな幸せだった。 
 
しかし、今思えば何て非科学的なんだろうと、理系学生の僕としては少しだけ恥ずかしくなってしまう。 
 
でも、それだけツンのことを思っていたからこそ、できたことなんだなぁって………。 
 
その日の帰り道、僕は必死になって晴れ渡った夕焼けの空に向かって
白い息を吐き続けた。
 
頭がクラクラしてもなお、ツンのために必死になって………。 
 
白くて小さい雪のような女神のわがままなんて、苦にはならなかった。 
 

47 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:04:36.34 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───2006年 11月21日
 
 
 
 

48 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:05:12.78 ID:gciNmAoy0

 
コンビニの駐車場に車を止め、僕たちは車を降りた。 
 
足が地面につくと、ザクッザクッと雪の音がして………。
 
言葉を発するたびに白い息が分厚い灰色の雲へと吸い込まれていった。
 
 
 
(´・ω・`)「うぅ………寒い………さっさと中に入ろうよ………」
 
('A`)「おぉぉぉぉ………寒いぃぃぃぃぃ………」
 
 
 
店内は外とは違い暖かく、まるで天国に来たような気がした。
 

49 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:05:50.61 ID:gciNmAoy0

 
(´・ω・`)「あ、ブーンがたくさんいる」
 
('A`)「あ、本当だ。おい、ブーン、見てみろ。
お前の仲間がたくさんいるぞ。助けてやんなくていいのか?」
 
(#^ω^)「それはピザまんだお!!wwwww
テメーら直腸引っ張り出すお!!!wwwww」
 
(´・ω・`)「ウホッ」
 
 
 
店員に白い目で見られながら、僕たちは店内を物色し始めた。
 
お昼ご飯食べてなかったから、ちょっと多めに買おうかな………。
 

50 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:06:27.70 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「フヒヒ………ツナマヨツナマヨ………」
 
('A`)「お前、またツナマヨかよ………よく飽きずに食えるな………」
 
( ^ω^)「フヒヒ………サーセンwwwwww」
 
(´・ω・`)「だから君はピザになるんだよ。あ、お昼ご飯の他に
雪だるまの顔のパーツとか買わなくちゃ………」
 
('A`)「あぁ、そうだな……目は去年みたいに少し大きめの飴玉とかでいいかな?」
 
( ^ω^)「飴玉はコーラ味にするおwwwwwあの茶色がツンの目の色にそっくりだおwwwwww」
 
(´・ω・`)「フフフ、そうだね。後は………口は何がいいかな?
去年は枝で間に合わせちゃったけど………」
 
('A`)「うーん………枝じゃなぁ………お、バナナwww」
 
(´・ω・`)「ウホッ………じゃなかった。よし、それ決定」
 

51 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:07:05.09 ID:gciNmAoy0

 
僕たちは適当にお昼ご飯や飲み物、それに雪だるまの顔のパーツを買いあさり、店を後にした。
 
暖かい店内にしばらくいたせいか、外がすごく寒く感じて………。
 
急いで車に乗り込んだ。
 
 
 
(´・ω・`)「さ、空き地へ出発しようか」
 
( ^ω^)「おっおっおっwwwwwwww」
 
 
 
車はまた、見慣れた街の中を走って行く。
 
雪は止むことを知らないみたいに、降り続いていた。 
 

52 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:07:54.39 ID:gciNmAoy0

 
('A`)「なぁ………来年もこんなのってできるのかな………」
 
( ^ω^)「おっおっwwwwwどういうことだお?wwwwww」
 
('A`)「今まで俺ら、自由の利く学生だったから雪が積もった日に
空き地で雪だるまを作れたけどさ………」
 
(´・ω・`)「卒業してから………か」
 
( ^ω^)「3人とも就職決まってないから別に気にしなくていいんじゃねwwwwww」
 
(´・ω・`)「このダメ理系どもが」
 
('A`)「ま、どうせ来年からニートだしなwww深くは考えないでおこうかwwwwww」
 
 
 
今までは何年も先のことを考えずに、毎年初めて雪が積もった日に、いつもの空き地で
雪だるまを作ってたんだけど………。
 
それが僕たちの中で義務化されてたというか、暗黙の了解っていうか………、。
 
就職は決まってないけど、来年からは一応社会人………もしかしたら
今まで見たいに自由が利かないかもしれない………。
 
そんなことを考えるようになってきたってことは、少しは大人になってきたって
ことなのかもしれないなぁって………。
 

53 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:08:38.28 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「4人の絆はとっても強いおwwww!!だから、もし就職して仕事が忙しくても、
絶対に雪だるまをみんなで作るんだお!!wwwww」
 
(´・ω・`)「フフフ………4人………か」
 
('∀`)「お前、今日はいいことばっかり言うなぁーwwwww
よし、後でチャーシューの脂身をやろうwwwww」
 
( ^ω^)「あ………ラードでお願いしますお」
 
 
 
4人の絆………。
 
現実的には3人なんだろうけど、僕は4人の絆を信じる。 
 
 
 
車はいつもの空き地を目指し、普段とは違う表情を見せる銀色の街中を走る。
 

54 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:09:16.20 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───1991年 11月12日
 
 
 
 

55 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:09:59.65 ID:gciNmAoy0

 
確かこの頃だっただろうか、ツンの容態が急に悪化していったのは………。
 
元々、細くて白い今にも折れそうな腕だったのに、それ以上に
短期間で細くなっていってしまっているのが僕たちから見てもわかった。 
 
ツンの表情も日が経つにつれて苦しそうになっていって………。 
 
それでも、白くて小さい雪のような女神の笑顔は絶えなかった。
 
今思えば、ツン、無理してたんだろうなぁって………、 
 
 
 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目の個室………。
  
いつものように黒いランドセル3つ、白衣の合間をいつもの病室へ向けて駆け抜けた。 
 

56 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:12:35.83 ID:gciNmAoy0

 
(*^ω^)「ツン!!wwwwきたお!!wwwwww」
 
ξ*´凵M)ξ「あ………、ブーン………」 
 
(*^ω^)「今日のちょうしはどうだお?wwwwww」
 
ξ*´ー`)ξ「う………ん、ツンは………だいじょうぶだよ………w」
 
(*'A`)「今日のね、しゅくだいのね、プリントをね、もってきたよ」
 
ξ*´ー`)ξ「うん………、いつも………アリガト………ね………w」
  
(*´・ω・)「ねぇ、ツン?だいじょうぶなの?ねぇ、だいじょうぶなの?」
 
ξ*´ー`)ξ「う………ん、ツン………だいじょうぶだから………w」
 
 
 
小学生から見ても、ツンの容態は悪いってことはわかっていた。
 
でも、白くて小さい雪のような女神の笑顔を見たい………
いや、絶やしたくなかったから、僕たちは毎日、訪れた。
 
励まされるため、励ますために………。 
 

57 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:13:53.95 ID:gciNmAoy0

 
ξ*´ー`)ξ「ツンね………ツンね………w」
 
(*^ω^)「どうしたんだお?wwwwなにか食べたいものあるのかお?」
 
ξ*´ー`)ξ「元気に………なったらね………みんなでゆきだるま………作りたい………w」
 
(*^ω^)「きっとすぐに元気になるお!!wwwwwだからみんなでゆきだるま作るお!!wwwww」
 
ξ*´ー`)ξ「うん………ツン………がんば………る………」
  
(*'A`)「ぼくね、ツンがね、はやくね、元気にね、なってほしいの!」
 
ξ*´ー`)ξ「うん………ツンも………はやく………元気に………なりたい………」
 
(*´;ω;)「ねぇ、ツン?だいじょうぶなの?ねぇ、だいじょうぶなの?」
 
ξ*´ー`)ξ「う………ん、ツン………だいじょうぶだから………w」
 

58 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:14:32.35 ID:gciNmAoy0

 
早く雪を降らせなければ………。
 
子供のちっぽけな感情が焦燥感によって染まっていった。 
 
その日の帰り道、僕は2人に気付かれないよう、真っ赤に染まった雲1つない空に向かって、
僕とツンとの秘密の雪を降らす方法をしながら家路に着いた。 
 

59 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:15:16.89 ID:gciNmAoy0

 
大学の図書館にある医学書を読んで、最近になってわかったことがあった。
 
見たことも聞いたことも無いカタカナの病気が、白くて小さい雪のような女神の体を蝕んでいたことを。
 
その本によると、この頃のツンは末期状態だったらしい。 
 
恐らく喋るのもやっとだったんだろうなぁって………。
 

61 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:15:54.71 ID:gciNmAoy0

 
そういえば最近、この時期のことをよく思い出す。
 
その思い出が、まぶたの裏のスクリーンに映し出されて思うことは山ほどある。
 
毎日来てしまっったことが、ツンの体に負担にはなっていたんじゃないだろうか。
 
僕たちが学校で勉強している時間帯は、ツンにとって苦痛じゃなかったんだろうか。
 
もっとそばにいてあげれる時間を作れたんじゃないだろうか。 
 
もっとツンにしてあげることはなかったんだろうか。 
 
幸せだったんだろうか。 
 
 
 
どれも後悔と等価値になってしまうようなことばかりだが………。
 

62 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:16:35.85 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───2006年 11月21日
 
 
 
 

63 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:17:24.40 ID:gciNmAoy0

 
僕たちを乗せた車は近所の………といっても、家から歩いて30分のところにある空き地へと着いた。
 
恐らく去年に雪だるまを作った以来だろう………ここに訪れたのは。
 
3人ともレポートやら卒業研究なんかで忙しくて、この周辺を通ることもあまりなかった。 
 
10m四方ほどの空き地の入り口に近い端っこの方に、エンジンをつけたまま車を止めた。 
 
空き地にはすでに20cmほど雪が積もっていて………。
 
 
 
( ^ω^)「おっおっwwwwwもう雪だるま作れるくらい雪積もってね?wwwwww」
 
(´・ω・`)「そうだね。ま、せっかくお昼買っちゃったから、食べてからにでもしようよ」
 
('A`)「そうだな。まだ昼過ぎなんだし」
 

64 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:18:54.73 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「うはwwwwwツナマヨツナマヨwwwwww」
 
(´・ω・`)「おにぎりの海苔のクズこぼしたらブチ殺すからな」
 
( ^ω^)「おkおkwwwwっうぇうぇwwwwww」
 
('A`)「俺もタバコ吸おっと………」
 
(´・ω・`)「タバコに火ぃつけた時点でブチ殺すからな」
 
('A`)「なんだよー1本くらいいいじゃんかよー減るもんじゃなしに」
 
(´・ω・`)「それ以上言い訳したらフィストファックをブチかますからな」
 
('A`)「チッ………わかったよーもう………」
 

65 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:19:34.30 ID:gciNmAoy0

 
暖かな車内から見えるのは、銀色に染まった空き地だけ。
 
風も強くなってきて、まるでテレビで出てくるような雪山の吹雪の中にいるようだった。 
 
今年は去年よりも大きな雪だるまを作ろうか………。
 
そんなこと考えながらお昼ご飯を食べていた。
 
 
 
('A`)「しっかし、よくふるなぁー。こりゃ、車はここでお泊りかもしれんね」
 
(´・ω・`)「ま、そのつもりだけどね。そういえば、15年前もこんな感じだったよね?」
 
( ^ω^)「そういえば確か………あの日に少しだけ降ってくれて、夜にはかなり積もったんだお」
 

66 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:20:45.83 ID:gciNmAoy0

 
('A`)「なつかしいなぁ………あれから15年か………」
 
(´・ω・`)「もう15年だよ………時が経つのって早いね」
 
( ^ω^)「15年………」
 
 
 
車内はラジオのDJの陽気な声がかすかに聴こえてくるだけで………。
 
外は相変わらず吹雪いていた。 
 

67 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:21:32.30 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───1991年 11月21日
 
 
 
 

69 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:22:45.37 ID:gciNmAoy0

 
その日のことはよく覚えている。
 
たまに夢に出てきたりもする。
 
僕の心に大きく刻み込んだ出来事があった。
 
 
 
その日は僕1人だった。
 
例によってドクオは飼育係の仕事、ショボンは図書委員の集まりとのことで。
 
ほんの少しだけ遅れて来るとのことだった。
 
ほんの少しだけど、2人の世界が待っている………。 
 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目のいつもの病室へ………。
 

70 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:24:04.39 ID:gciNmAoy0

 
階段を駆け上がり、白くて小さい雪のような女神が待つ部屋の方を向く。
 
そこは、いつもとは違う雰囲気の廊下だった。
 
廊下を走ると注意してくる看護婦さんが、今日は慌しく走っている。
 
複雑そうな機械や点滴なんかを奥の方へと急いで運んでいて。
 
真っ白の長い白衣を身にまとったお医者さんが何人も、奥の方へと走って行く。
  
そんな異様な光景を見て、子供ながらに邪魔になってはいけないと思い、廊下の端っこの方を
静かに歩いて、いつもの病室へと向かった。
 
お医者さんや看護婦さんが僕を追い抜いて奥の方へと走って行く。
 

71 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:24:43.83 ID:gciNmAoy0

 
奥から5番目の病室の前に差し掛かったところで、お医者さんや看護婦さんが
どの病室に向かっているのかがわかった。
 
ツンの部屋………。
 
 
 
(;*゚ω゚)「ツ、ツン………?」
 
 
 
僕はツンに何が起こっているのか、その目で確かめるために病室の前へ走った。
 

72 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:25:22.45 ID:gciNmAoy0

 
ツンのベッドの周りには、たくさんのお医者さんや看護婦さん、それにツンの両親もいた。
 
おばさんは泣きながらツンのことを呼んでいて、おじさんは涙ぐみながら
ツンの手を強く握り締めていて………。
 
看護婦さんからは病室には入っちゃダメだと優しく言われ、僕もそれに従うしかなかった。
 
白衣の間から時々見えるのは、たくさんの点滴や機械、それに人工呼吸器が
無機的に付けられた、白くて小さい雪のような女神の変わり果てた姿で………。
 
ツンが命の危険にさらされているのは、子供の僕にでも簡単に理解できた。
 
 
 
(;*゚ω゚)「ツン………ツン!!!!」
 
 
 
今でも、ツンに何もできなかった自分の無力さに、苛立ちを感じている。
 

73 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:26:03.05 ID:gciNmAoy0

 
(;*゚ω゚)「ツン!!!!ツン!!!!!」
 
ξ*´凵M)ξ「………」
 
 
 
僕の呼びかけに答えるかのように、人工呼吸器のマスクを付けたツンの顔が、僕のいる
廊下の方を向いた。
 
白くて小さい雪のような女神の笑顔は、そこには無かった。
 
 
 
ξ*´凵M)ξ「ブ………ン………ゆ………き………」
 
 
 
お医者さんや看護婦さんとのやり取り、それにおばさんの泣く声に紛れて、かすかに
ツンの声が聞こえた。 
 
僕には確かにそう言っているように聞こえた。
 

74 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:26:41.30 ID:gciNmAoy0

 
(;*゚ω゚)「ツン!!ゆきかお!!!今すぐふらせるから、それまでまってるお!!!!」
 
 
 
僕は屋上へと繋がる階段へと走った。
 
白くて小さい雪のような女神に笑顔が戻るために………僕は走った。
 
階段の前の廊下で、奥の様子を伺っているドクオとショボンの2人がいた。
 
 
 
(*'A`)「あっ、ブーン。ツンのね、へやでね、なにがあったの?」
 
(;*゚ω゚)「ツンが!!!ツンがしんじゃいそうなんだお!!!!!」
 
(;*'A`)「えっ!?」
 
(*´;ω;)「ツンしんじゃうの!?しんじゃうの!?」
 
(;*゚ω゚)「とにかく、おくじょうに行くお!!いそぐお!!!」
 

75 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:27:27.01 ID:gciNmAoy0

 
ドクオとショボンは言われるがままに、僕の後を追った。
 
黒いランドセル3つは屋上へ続く階段を駆け上がる。
 
 
 
(;*'A`)「ブーン!なんでね、おくじょうにね、いくの!?」
 
(;*゚ω゚)「ゆきをふらせるんだお!!!」
 
(*´;ω;)「なんでゆきなの!?なんでゆきなの!?」
 
(;*゚ω゚)「さっきツンは、ぼくにむかって、ゆきって言ったお!ツンはゆきを見たがっていたお!
だからだお!」
 
 
 
ドクオとショボンの質問に答えながら屋上へ続く階段をひたすら駆け上がる。 
 

76 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:28:08.58 ID:gciNmAoy0

 
3階分の階段を駆け上がったところで、屋上へのドアが僕たちの前に現れた。
 
ドアを開けると、薄い灰色の雲が広がっていて、それはどう見ても雪の降りそうにない雲だった。 
 
 
 
(;*゚ω゚)「今からおそらにむかって、ハァハァするんだお!!」
 
(;*'A`)「ハァハァ?」
 
(*´;ω;)「なんでハァハァするの!?なんでハァハァするの!?」
 
(;*゚ω゚)「この前、せんせいが言ってたお!!おそらにあるくもと、さむいときに出る白いいきは
同じものなんだお!!!」
 
(;*'A`)「うん!」
 
(*´;ω;)「ズビッ」
 
(;*゚ω゚)「だから、いっぱいおそらにむかってハァハァしたら、くもができて、ゆきがふるんだお!!!!」
 

77 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:28:46.67 ID:gciNmAoy0

 
(;*'A`)「それじゃ、僕はね、おそらにむかってね、ハァハァすればね、ゆきがふってね、ツンが元気になるの!?」
 
(;*゚ω゚)「そうだお!!!だからいそぐお!!!!」
 
(*´;ω;)「ハァハァするよ!僕、ハァハァするよ!!」
 
 
 
僕たちは、屋上に設置してある金網フェンスによじ登り、薄い灰色の
雲に向かって白い息を吐き続けた。
 
少しでも早く空に吸い込まれるように、少しでも多くの白い息が吸い込まれるように、
強く白い息を吐き出して………。
 
今思えば、明らかに無意味なことだった。
 
でも、小学生の僕らにできることなんて、こんなことぐらいだったんだろうなぁって………。
 

79 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:29:45.58 ID:gciNmAoy0

 
(*;A;)「ハァハァ!ハァハァハァハァ!!」
 
(*´;ω;)「ハァハァ!ズビッ!!ハァハァハァハァ!!!」
 
(*;ω;)「ハァハァ!!ハァハァ!!ハァハァ!!!!」
 
 
 
半ベソになりながら、必死に白い息を吐き続けて………。 
 
僕たちの熱い思いがこもった白い息は、薄い灰色の雲へと吸い込まれていく。
 
30分ほど経ったくらいだったか、雲がだんだんと分厚い灰色へと成長していき、
いつ雪が降ってもおかしくはない感じになっていった。
 

82 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:30:35.40 ID:gciNmAoy0

 
(*;ω;)「あとちょっとだお!!!ハァハァ!!ハァハァ!!!」 
 
(*;A;)「ハァハァ!ハァハァハァハァ!!」
 
(*´;ω;)「ズビッ!!ぼくがんばるよ!ハァハァ!!!」
 
 
 
11月の後半………それもこの地方で雪が降るだなんて、下手な
天気予報士だってそんな予報はしないだろう。
 
それでも僕たちは雪が降ることを信じて、分厚い灰色の雲へと息を吐き続ける。
 

83 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:31:19.23 ID:gciNmAoy0

 
白い息を吐き続けて1時間くらい経った頃だろうか………。
 
奇跡が起きた。
 
ほんの少しだけ………数えことができる程度ではあったが、ふわふわと綿雪が空から降ってきた。 
 
積もりそうもないほどのだったけど、確かに雪は分厚い灰色の雲から舞い降りてきた。
 
 
 
(*;ω;)「やったお!!!ツン!!!ゆきがふってきたお!!!!見てるかお!!!!!」 
 
(*;A;)「ふった!!!ゆきがふったよ!!!!」
 
(*´;ω;)「元気になるよね!?ツン、元気になるよね!?」
 
 
 
僕たちの願いが叶ったのか、それとも単なる異常気象のせいなのか。
 
純粋にツンに元気になってほしい………それが僕たちの原動力だったんだろうなぁって………。 
 

85 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:32:00.82 ID:gciNmAoy0

 
僕たちはツンの様子が心配になり、急いで病室へと走った。
 
雪が降ったんだ、ということも報告したくって………。
 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目のいつもの病室。
 
そこはさっきみたいに慌しくはなく、いつものように静かだった。
 
『きっとツンは雪を見れて元気になったんだ!』
 
僕だけでなく、ドクオとショボンもそう思っていたに違いない。
 
僕たちは走った。
 
白くて小さい雪のような女神が待っている病室へ………。
 

86 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:32:44.86 ID:gciNmAoy0

 
病室に入ると、泣き崩れているツンの両親と、立ちすくむお医者さんと看護婦さん………。
 
それに、ベッドの上で微動だにしない、安らかな顔で眠っている
白くて小さい雪のような女神が………。
 
僕たちが病室に来る数分前………ちょうど雪が降り始めた頃だろうか………
ツンは天国へと旅立ったらしい………。
 
 
 
ちゃんと雪を見てくれたんだろうか………。
 
いまだに、そんな考えが頭を過ぎってしまう………。
 

87 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:33:21.85 ID:gciNmAoy0

 
雪は綿雪から粉雪へとかわり、夜のうちに街を銀色の世界に変えてしまった。
 
この地方でこんな早い時期に、それも雪が積もるほどの降雪は史上初めてのことらしく、朝のニュースは気象情報や交通情報でもちきりだった事を覚えている。 
 
 
 
ツンが死んだ次の日、クラスのみんなで斎場へと足を運んだ。
 
みんな泣いてたなぁ………。
 
僕は葬式の間、涙を零すことはなかった。
 
前の日に病院で、そして帰ってからも号泣したからか、涙は枯れていたようだ。 
 
 
 
葬式の帰り、学校でクラスのみんなと解散し、いつもの3人で家路に着いた。
 
VIP病院の2号棟、3階にある奥から2番目の個室………そこへは今日からは行かなくていい。
 
大切なものを失ったというか、心に大きな穴がぽっかりと開いた気がした。
 

88 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:34:40.17 ID:gciNmAoy0

 
家路に着く頃には、すでに50cmくらい雪が積もっていて、今まで生まれ育ったこの街の
こんな姿を見るのは初めてだった。 
 
風はあまり吹いてはなかったけど、雪は遠くの山が見えないくらい降り続いていて………。 
 
3人とも無言のまま家路へと進んでたっけ………。
 
途中、いつも病院の帰りに3人で遊んでいく空き地の前に差し掛かった。
 
僕はそこに立ち止まり、泣きじゃくりながらドクオとショボンに言った。
 

89 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:35:17.68 ID:gciNmAoy0

 
(*;ω;)「いまからここで、ゆきだるまを作るお!!!!!!」
 
(*'A`)「えっ?」
 
(*;ω;)「ツン、言ってたお!!!元気になったら、みんなでゆきだるまつくりたいって!!!!」
 
(*´;ω;)「ズビッ………うん………ツン、言ってたよ………」
 
(*;ω;)「だから作るんだお!!!てんごくにいるツンに見えるくらい
大きなゆきだるまを作るんだお!!!!」
 
(*;A;)「うん!!ぼくもね、大きいの作る!!!」
 
(*´;ω;)「ぼくも作るよ!!大きいの作るよ!!!!」
 

90 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:35:56.10 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───2006年 11月21日
 
 
 
 

96 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:44:14.36 ID:gciNmAoy0

 
その日から僕たちは毎年、初めて雪が積もった日にこの空き地で、天国にいる
ツンに見えるくらいの大きな大きな雪だるまを作った。 
 
それから15年………少し早いけど、僕たちは今年もいつもの空き地で雪だるまを作る。
 
そして、これからもずっと………。
 
天国にいるツンに見えるくらい、大きな大きな雪だるまを………。 
 

97 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:44:54.47 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「1つだけ………とっても後悔してることがあるお………」
 
(´・ω・`)「なんだい?」
 
( ^ω^)「ツンの葬式の最後で、ツンの棺おけに1人ずつ花を入れて、
最後のお別れしたのを覚えてるかお?」
 
('A`)「あぁ、覚えてるよ」
 
( ^ω^)「あの時………僕はツンの顔を見らずに………最後のお別れも言わずに、
花を棺おけの中に入れて自分の席に着いたお」
 
(´・ω・`)「………」
 
( ^ω^)「なんていうか………ツンの変わり果てた姿を見たくないというか………
現実を受け止めたくないというか………」
 

98 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:45:33.05 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「勇気を振り絞ってツンの顔を見たとしても、多分また号泣してしまって、
涙でよく見れなかったと思うお………」
 
('A`)「………そっか………」
 
( ^ω^)「最後のお別れできなかった自分にすごく腹立たしいし………
それに、なによりツンに申し訳なくって………」
 
(´・ω・`)「そんなことないよ」
 
( ^ω^)「………おっ?」
 
(´・ω・`)「だって毎年、天国のツンに見えるくらい大きな雪だるまを作ってるじゃないか」
 
( ^ω^)「………おっおっ」
 
(´・ω・`)「ツンに見えるように大きな雪だるまを作っている………
きっとツンも見ていてくれているはずだからさ」
 
('A`)「うん、あれが最後のお別れなんかじゃない」
 


111 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:21:10.49 ID:gciNmAoy0

 
(´・ω・`)「それに、あのときに雪を降らせたのはブーンじゃないか。
きっとツンも、そのことを知ってると思うよ」
 
('A`)「あぁ、だからツンもお前のことを絶対に悪く思っちゃいねーよ」
 
( ぅω^)「………おっおっ」
 
('A`)「………っと、雪、止んだみたいだな」
 
 
 
窓の外を見ると、さっきから降り続いていた雪はいつのまにか止んでいた。
 
見えるのはいつもの空き地に広がる一面の銀世界………。
 


114 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:22:08.27 ID:gciNmAoy0

 
(´・ω・`)「お、止んでるね。もう作るかい?」 
 
('A`)「あぁ!それじゃ、いくか!!!」
 
( ^ω^)「おっおっwwwwww今年もでっかい雪だるま作るおwwwww」
 
(´・ω・`)「ちょっと待った」
 
 
 
そう言うとショボンは、さっき下げたラジオのボリュームを少しうるさいくらいに上げ、運転席の窓を開けた。
 
スピーカーからはラジオのDJの陽気な声が聴こえてきた。
 

116 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:23:31.03 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「おぉぉぉ………外の風は冷たいお………」
 
('A`)「寒ぃぃぃ………どうしたんだよ、急に」
 
(´・ω・`)「なぁに、ちょっとしんみりしてきちゃったからさ、ラジオ聴きながら
陽気にいこうかなって思って」
 
( ^ω^)「おっおっwwwwなるほどwwwwww」
 
(´・ω・`)「しんみりした感じで雪だるま作ったって、ツンもきっと喜ばないだろうしさ」
 
('∀`)「ヘヘヘwwwそりゃそうだなwwwww」
 
( ^ω^)「おっおっwwwおkwwwwそれじゃ、やるお!!wwwwww」
 
 
 
僕たちは車を降り、いつもの空き地へと出た。 
 

117 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:24:09.58 ID:gciNmAoy0

 
1歩、銀色の地面に足を入れると、一気にひざの少し上まで沈んだ。
 
相当積もったんだなぁって………。
 
これなら今年も大きな雪だるまが作れる………。 
 
 
 
( ^ω^)「うはwwwwwすっごい積もってるおwwwwっうぇwっうぇwww」
 
('∀`)「こりゃ、いつも以上にでっかい雪だるまができそうだな!!www」
 
(´・ω・`)「すごいね、短時間でこんなに積もっちゃうなんて。さ、作ろうか!」
 

118 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:24:48.64 ID:gciNmAoy0

 
今年も、いつものように胴体から作って、次に頭、最後に顔のパーツをくっ付ける手順で行った。
 
今年はいつも以上に積もっていたせいか、例年にない大きな雪だるまができた。
 
胴体の直径が僕の胸の辺りまであって、それに似合うような頭もかなりの大きさになった。
 
頭を胴体につける作業がいつも以上に大変で………。 
 
3時間くらいして、やっと胴体と頭が完成した。
 
あとは顔のパーツだけ………。 
 
車からラジオのDJの陽気な声が聴こえていて………。 
 

119 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:25:25.37 ID:gciNmAoy0

 
(;^ω^)「うはwwwwwできたおwwwwwwwwww」
 
(;'∀`)「こりゃ、今までで1番でっかいかもしれないな!!!wwwww」
 
(;´・ω・)「フーッ………頭、重かったね。さ、顔のパーツを付けようか」
 
 
 
ショボンが車の中から、顔のパーツの入ったコンビニの袋を取り出した。
 

120 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:25:58.89 ID:gciNmAoy0

 
('∀`)「目をつけて………よいしょっと!」
 
(´・ω・`)「バナナの口をつけて………」
 
( ^ω^)「おっwwwwwそうだwwwwwww帽子も被せてやるおwwwwwww」
 
 
 
寝癖を隠すために被っていたニット帽を雪だるまの頭に被せてやった。
 
かなりの時間被っていたせいか、寝癖もなおっていて、冷気が頭皮を刺激した。 
 
 
 
 ^ω^)'∀`)´・ω・)「完せぇぇぇぇーい!!!wwwwwwwww」
 

130 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:32:44.65 ID:gciNmAoy0

 
( ^ω^)「うはwwwwwwwwでっかいのできたおwwwwwwwww」
 
('∀`)「いやぁー、今年は大変だったな!wwww」
 
(´・ω・`)「そうだね。きっとツンもこんな大きな雪だるまを見て驚いているだろうね。」
 
 
 
ちょっと不格好だけど、僕たちよりも背の高い雪だるまは、堂々としていて………。
 
ちょっとやそっとの熱では溶けないような、そんな雪だるまのようで………。 
 
 
 
( ^ω^)「ツン………ちゃんと見てるかお………」
 
('∀`)「大丈夫だって!wwwきっと見てるって!!www」
 
(´・ω・`)「こんなに大きいんだ。すぐに見つけてくれるよ」
 

131 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:33:23.15 ID:gciNmAoy0

 
分厚い灰色の雲の隙間から、まっすぐな光の線が僕たちのいる空き地に差し込んできた。
 
きっと、あの雲の隙間からツンが見ててくれてるんだろうなぁって………。
 
ツン………見てるかい?
 
今年もツンのために………大きい雪だるま、作ったよ! 
 
 
 
車のスピーカーから流れえるラジオは、陽気なDJに代わり、真面目そうな声が
今日の天気予報を伝えていた。
 
 
 
"………VIP地方で今日のような早い時期での降雪は、15年前の1991年11月21日以来2度目で、山間部では雪崩n………" 
 

132 :1 ◆Joy86y.LIU:佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 04:34:04.93 ID:gciNmAoy0

 
 
 
 
          ───fin.
 
 
 
 
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