1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 15:43:00.24 ID:HY2MmNMi0
まずタイトルを決めたい。
「>>4は>>7のようです」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 15:44:25.73 ID:+hZZBXlN0
('A`)

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 15:44:50.47 ID:Z0ZT0HtT0
びっくり人間


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 15:47:58.38 ID:HY2MmNMi0
('A`)ドクオはびっくり人間のようです

ジャンルを頼む
>>13


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 15:49:30.85 ID:Z0ZT0HtT0
学園ほのぼのバトル


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:03:27.30 ID:HY2MmNMi0
 びっくり人間って知ってるか?

 たとえば世界一背が高い人。たとえば逆に背が世界一低い人。
 たとえば爪がものすごい長い人だったり、はたまた鞄の中に入れるとか。

 ……最後のはなんか違うか。まあ、一種究極の出オチってやつだ。
 そこにいるだけで人を笑わせたり、そこにいるだけで人を驚かせたり。

 そういったものに、俺はなりたかった。
 子供のころから平凡な人生を送ってきた俺にとって、彼ら彼女らはスーパーマンにも見えたのだ。

 でも、俺は平凡かつ一般的な高校生。
 平均的な成績に平均的な容貌に平均的な性格。どこをとっても異常とかそういうレベルにはいかない。
 でも、だからこそ、俺はびっくり人間になりたい。

 そういった思いは年々強くなり、そして高二の夏、俺は決意した。


('A`)「おい。俺は今日からびっくり人間になるから」


(´・ω・`) 「日本語でおk」


―('A`)ドクオはびっくり人間のようです―

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:15:38.21 ID:HY2MmNMi0
( ^ω^)「暑さできがくるっとるお」

(´・ω・`)「これは学校を訴えるべきだよね。そしてクーラーの使用許可をだしてもらわないといけないよね」

('A`)「いやいやいや、狂ってねーし。よしんば狂ってたとしても友達として心配するべきだろそこは」

(´・ω・`)「この暑さでたわごとを抜かす君が悪い」

 補習――とはいっても、肝心の教師が暑さで職員室に避難したため自習という名の遊び場となった午後の教室。
 まあ確かに暑いが、それよりも。

('A`)「いやさ、俺びっくり人間になることにしたのよ」

( ^ω^)「産業で」

('A`)「子供のころから憧れのびっくり人間
   もう我慢できないので
   びっくり人間と名乗ることにした」

(´・ω・`)「日本語でおk」

('A`)「いやさ、びっくり人間って名乗る人間ってびっくりじゃね?」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:27:32.56 ID:HY2MmNMi0
(´・ω・`)「日本語でおk」

( ^ω^)「産業で」

('A`)「無限ループって怖くね?」

( ^ω^)「そういえばドクオ、『世界不○議発見』好きだったお」

(*'A`)「そうそう、あれは神番組」

( ^ω^)「あれはバーローのおまけだお?」

(´・ω・`)「たけし×所だよね」

 反駁しようとしたところで踏みとどまる。いやいや。月曜のゴールデンの話をしてるんじゃない。

('A`)「まあ、そういうことで俺は今日からびっくり人間だから」

( ^ω^)「そんなことより保健室いくお。暑いお」

(´・ω・`)「ドクオの頭がおかしくなったってことでね」

 そういって立ち上がり教室を出ていく二人。いやいやおかしいだろ。
 なんでだよ。というかお前ら驚けよ。むしろなんで、びっくり人間の俺がなんでびっくりさせられてんだよ。

 そう思いつつも俺は駆け足で二人を追いかけた。



保健室で彼らを待ち受けていたものとは!? >>31


31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:30:02.41 ID:ydkrQDdhO
( ・∀・)


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:31:35.32 ID:HY2MmNMi0
モララー把握。
モララーについての設定>>34-36あたり


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:33:43.11 ID:2sYKM1yI0
ショタ

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:33:43.91 ID:l3fDeHQd0
ロリコン

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:33:48.76 ID:Z0ZT0HtT0
イケメンサッカー部部長でブーンのクラスの委員長
勉強も出来て男女問わずモテモテ



41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 16:52:12.35 ID:HY2MmNMi0
 うだるような暑さから逃げるように保健室の扉をあける。
 
 ――扉を開けると、そこは雪国だった。

 なんてことがあるはずないが気分的にはそんな感じだ。涼しい。
 思わずソファーにダイブしそうになったが、既にそこには先客がいた。

( ・∀・)「ん? 君たちも怪我したの?」

( ^ω^)「お? 委員長?」

 ポスターにうつるアイドルがごとく微笑。俺は僅かにひるんだ。
 勉強もクラスで一番、サッカー部の部長という厨設定。
 しかもそれが男から見ても嫌味にならないというから反則な男。

 俺達のクラスの委員長、モララーだった。

(´・ω・`)「…………」

( ^ω^)「違うお。ドクオの頭がおかしくなったんだお」

('A`)「ちげーよ。びっくり人間だよ」

( ・∀・)「……? よくわからないけど怪我がないならなにより。僕なんてほら」

 といって右足の脛を見せた。すりむいたのか、かなりの血が流れている。

( ・∀・)「もうすぐ試合なのになぁ」

 といってさわやかにほほ笑んだ。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:03:13.55 ID:HY2MmNMi0
(´・ω・`)「ふん……」

('A`)「…………?」

 なんかショボン、刺々しくないか?

( ^ω^)「お? 練習で怪我なんてらしくないお?」

( ・∀・)「はは、実は新入部員が入って1対1をしてたんだけど……そこでドジってしまってね」

('A`)「すごいな、その1年」

 今年のサッカー部は強いよ、とうれしそうに笑うモララーからは怪我をうけた確執など微塵もうかがえない。
 こっちもすげぇな。

( ^ω^)「おっおっおっ、ドクオなんかよりよっぽどびっくりだお」

('A`)「いや。俺の方がびっくりだよ。なんたってびっくり人間だぜ?」

( ^ω^)「ねーよwwwwwwwwwwwww」

( ・∀・)「なんなら運動場にいってみるといい。まだいるはずさ」

 びっくり人間として、ここはじっとしていられない。

('A`)「いくぞ!」

 そういって返事も聞かず駆け出した。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:08:34.62 ID:HY2MmNMi0
(;^ω^)「あついお」

('A`)「我慢だ」

(´・ω・`)「……まあ、あいつと一緒の空間よりは居心地がいいさ」

 ん? モララー嫌いなのかショボン。

(#´・ω・)「あいつ僕のテリトリーを荒らしやがった。VIP幼稚園は先祖代々ショボン家の狩場だぞ!」

('A`)「なんだろう。kwsk聞かないほうがいい気がする」

( ^ω^)「そんなことよりついたお」

運動場で待ち構えていたものとは!? >>49


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:11:33.65 ID:w8ctDhP/O
( ・∀・)


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:25:50.31 ID:HY2MmNMi0
( ・∀・)「よく来たね」

 モララーさんでした。

( ^ω^)「ちょwwwwwwwおまwwwwww」

('A`)「ねーよwwwwwwwwwwwwwwなんでっすかwwwwwww」

( ・∀・)「ヒント・窓」

( ^ω^)「把握wwwwwwww」

('A`)「その発想はなかったわwwwwwwwwwwww」

(#´・ω・)「……なんでこんなくだらないことをしたんだ?」

( ・∀・)「おやおや、なんでそんなに怒ってるんだい?」

 ショボンの怒気をはらんだ声。モララーのひょうひょうとした返事。

(#´・ω・)「決まってる。おまえが大嫌いだからさ」

( ・∀・)「これは奇遇――僕も、君が」

 モララーがゆっくりと手をあげた。

( ・∀・)「大嫌いだよ」

 その言葉と同時に、俺たちを黒ずくめの男たちが取り囲んだ。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:38:25.71 ID:HY2MmNMi0
(;'A`)「――っ!」

 絶句する。
 取り囲んだ男たち、30人を優にこえる人数。
 構えこそ問っていないものの、木刀を握っている姿は威圧感を発していた。

(#´・ω・)「おまえ!」

( ・∀・)「そう怒らないでよ。別に今どうこうするってわけじゃないんだ」

 冷静に、流暢に語られる言葉。表情も変わらない。どこが先ほどと違うか、などとはいえない。
 だが、肌でわかる。明らかにこの場でもっとも脅威なのはモララーだった。

( ・∀・)「もとより暴力でどうこうするつもりはない。そうなったら力の均衡が崩れ、第二次大戦の二の舞だ。
     僕はスマートにいきたい。そこで、君に勝負を申し込む」

(#´・ω・)「勝負だと……!?」

( ・∀・)「僕が勝てば君が。君が勝てば僕がこの町をでていく。そして2度と出会わない」

(;^ω^)「話についていけないお」

 まったくもって同意。
 ショボンが一つ大きく息を吸った。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:47:42.34 ID:HY2MmNMi0
(´・ω・`)「ふぅ……いいだろう」

 そして、次の瞬間にはいつものショボンに戻っていた。わかる。
 はちきれんばかりの怒気を押し込めているのが。

(´・ω・`)「だけど、この二人は解放してもらう。僕は逃げ隠れしない。二人は関係ないはずだ」

( ・∀・)「ふぅん……」

(;^ω^)「ちょっと待つお!」

 二人の会話に、大声でブーンが割り込んだ。膝が震えている。
 声も音をはずしているが、目だけはしっかりとモララーを。そしてショボンを見ていた。

(;^ω^)「ブーンはショボンの友達だお! 一緒に戦うお!」

(;´・ω・)「ブーン!? なにを!」

(;^ω^)「友達の危機を、見逃しすわけにはいかないお!」

 しっかりと、宣言した声に押されて、ショボンが黙り込んだ。
 そこで、決心がついた。

('A`)「おい」


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 17:59:57.09 ID:HY2MmNMi0
( ・∀・)「なんだい?」

 奇異な目でこちらをみてくるモララー、に近づいて行く。
 黒服が前に出て構えようとするのを、モララーが手で制した。
 モララーの眼前まで、近づいた。空気が緊迫している。
 
 ショボン、そしてブーン。彼らの言葉で気づいた。

 俺たちは友達だ。そして俺はびっくり人間だ。ならば、言わなければならないことがある。
 なんとしても。

 体は震えていない。今なら言える。
 
 俺は、先ほどのモララーのようにゆっくりと手を上げた。
 空気がこれまでにないほどに殺気立っている。
 
 俺は笑った。何故かはわからない。ただ、笑うのが当然だと思ったのだ。
 これでいいんだ。

 俺は反転し、ショボンとブーンに指を突きつけた。
 叫ぶ。

('A`)「俺はモララーの側に着くぜ!」




( ゚ω゚)

 (´゚ω゚`)

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 18:16:54.35 ID:HY2MmNMi0
(;・∀・)「え?」

(*'A`)「いやあ、ぜひあなたのもとで戦いたいと! やはりねぇ強い人についていくのが一番ですよ!」

(;・∀・)「いや、え? そこはこう友情をとるべきだと」

(*'A`)「いやいやいや、友を裏切って戦うべきなんですよ! 俺びっくり人間ですから!」

( ゚ω゚)

 (´゚ω゚`)

(;・∀・)「よ、よくわからないけどだめだよ。もとより1対3の不利な立場で完膚なきまでに勝つ予定なんだ」

(*'A`)「そうっすか……残念です。でも、力が必要な時はぜひこのドクオめにお任せを!」

 手を握る。いやぁやわからくて素敵な手だ。

(;・∀・)「ああぁ……うん。わかったからいきなよ」

 大きく一礼してから二人の元に戻った。

('A`)「んーテンション下がったけど頑張ろうぜ。裏切った友がかえって一緒に戦う。考えれば結構ありだな」

( ゚ω゚)

('A`)「ん? あ、びっくりした? でもさぁ俺びっくり人間だしなぁ」

 (´゚ω゚`)

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 18:29:28.59 ID:HY2MmNMi0
('A`)「仕方なくね? ん? っていうか二人とも近いぞ。ただでさえ暑いんだから近寄るなってな、なにをするきさまらー!」






(;;)A(;;)「正直すまんかった」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」

( ^ω^)「裏切るくらいなら死ね」

 裏切りをよしとせず誇りを持って笑って死んだのが他作品の俺なんだよな。
 ここの俺は笑いながら裏切るから困る。

( ・∀・)「そろそろいいか? 勝負をはじめよう」

(´・ω・`)「ふん、いいのか。2対1でお前は怪我をしているんだぞ」

(;;)A(;;)「ん? 3対1だろ?」

( ^ω^)「種目はどうするんだお? まあ、何にせよ僕たち二人には勝てんお」

(;;)A(;;)「ちょwwwww三人だってwwww」

( ・∀・)「ふん考えてあるさ! それは……これだ!」


 俺たちの対決の種目は? >>85


85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 18:33:42.58 ID:ohX45sEZ0
20mシャトルラン


94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 18:53:52.05 ID:HY2MmNMi0
 豪勢なリムジンに乗せられて、やってきた場所はモララー宅。
 学校の体育館では部活動をしていて、待たなければいけないのでモララーの家でやることになった。
 
 家、といっても学校より広い敷地を持った超豪邸なので体育館も設備されていたりする。

('A`)「しかし、モララーも自信たっぷりだな。走ってる途中で交代してもいいなんて。
   それなら俺達三人が圧倒的有利だぜ! この勝負もらった」

(´・ω・`)「僕→ブーン→僕→ブーンの順番で行くよ。たぶんそれだけで勝負はつくさ」

('A`)「ん? 俺は?」

( ^ω^)「てめぇは隅で一円玉ドミノでもしてろお」

('A`)「いや、なにその扱い」

(´・ω・`)「というかなんでお前いるの? 邪魔」

 友達にひどくね? 訴えたら勝てね?

( ・∀・)「準備はいいか!」

(´・ω・`)「いつでも」

( ^ω^)「かかってこいお」

('A`)「あ、モララーさん。一円玉ないっすか」

(;・∀・)「……使用人から貰え。じゃあ、はじめるぞ」

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 19:17:09.88 ID:HY2MmNMi0
 そうして俺は一円玉を黒服さんから貰い、三人の競技がスタートした。

 はじめは歩くような速度で。一分たち、テンポがあがる。
 しかし、それでもスキップすれば楽に間に合う速さだ。
 ショボンの顔にも余裕の色がある。
 
 四十回をこえたところで、ブーンと交代した。

(´・ω・`)「ふぅ」

 そんなに疲れてはいない。まだ体力が残ってる段階での交代だからだ。
 
('A`)「お疲れ」

 一円玉をならべながらねぎらいの言葉をかける。
 まあ、無視されたが。

(´・ω・`)「……勝てるな」
 
 ショボンの独白が聞こえた。


 


 だがしかし。
 それが悪夢の始まりだった。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 19:25:07.84 ID:HY2MmNMi0
 20メートルシャトルラン。往復持久走とも呼ばれるそれは、まさに悪魔の競技。
 はじめは天使のような顔をして安楽を与えながら、徐々に、ゆっくりと綿で首をしめるように苦しみを与える。

 そして、限界は落とし穴のように唐突に訪れるものだ。

(;´・ω・)「くっ!」

( ・∀・)「どうした? もう音を上げるか?」

(;´・ω・)「誰が!」

 叫び、走り出す。しかし無理をしていることは明白だ。  

(;^ω^)「ショボン、交代するお!」

 しかし、ショボンは首を振った。俺にはわかる。ここで交代すれば確実に負ける。
 すでに百二十回は数えていて、一回交代したとはいえショボンは、激しく消耗している。
 
 対照的にモララーの顔には余裕さえ浮かんでいる。
 怪我も、影響ないようだ。家で治療したのかもしれない。

 ブーンも、疲れている。すでに合図音は早鐘のようなテンポ。長くはない。
 ショボンも、倒れそうだ。どたどたと、稚拙な走りをしている。

('A`)「ショボン!」

 俺は思わず叫んだ。

('A`)「一円玉倒れるんでもう少し静かにお願いします」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 19:36:50.73 ID:HY2MmNMi0
(#^ω^)「おめぇはいったい何がしたいんだお」

('A`)「え? 一円玉ドミノだけどってショボン倒れた」

(;^ω^)「ショボン!」

 ブーンは駆け寄ろうとし――すぐに自分がやるべきことに気づいた。
 交代、と叫んでシャトルランに入り走り出す。
 なんとか、間に合ったようだ。

(;´・ω・)「く……」

 黒服に抱えられ、ショボンが倒れこむように帰ってきた。
 息も絶え絶え。死にそうだ。

 だが、その奮戦も報われる気配はない。
 ブーンが必死な様子に対し、モララーはまだ大丈夫だ。

('A`)「このままだと、負けるな」

 ショボンは答えない。答えられないのか、それとも。
 ブーンも限界が来たようだ。流石に百五十回を数えると、往復するのも死に物狂いだ。

('A`)「さて、と」

 立ち上がる。揺れる一円ドミノ。蹴飛ばす。シャトルランに向かう。

('A`)「真打、登場だ」

 交代、と俺は叫んだ。

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 19:47:54.22 ID:HY2MmNMi0
 ブーンは、倒れこむようにして交代した。
 振り返らず、走り出す。

( ・∀・)「いまさら、ご登場か! お前もよくわからない奴だな」

('A`)「ふん……俺はびっくり人間でね」

 モララーが、疑念の表情をした。

('A`)「俺が、ここで勝つとみんなびっくりするだろ! それに」

 にやりと笑う。

('A`)「お前はポーカーフェイスだが、傍目でずっと見てた俺にはわかる。もうそろそろ限界だろう!」

 モララーは刹那、驚愕に目を見開いた後無表情に戻った。
 それが、なによりの証拠だ。

 あと、数回分往復できるかどうかだろう。と俺はあたりをつけた。
 それぐらいならば、俺も十分体力がある。

 本気で。ふざけるつもりはない。ただ、走ればいい。

(#'A`)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 20:00:51.45 ID:HY2MmNMi0
(;・∀・)「ぐ……う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 モララーも、まけじと叫ぶ。これまでにない速度で走りだし、俺と並ぶ。
 だが、それは俺のとは質が違う。あれは、燃え尽きる前の動き。

 勝てる。確信する。

 折り返す。
 モララーはあっというまに前へいくが、焦らない。
 あのままでは、じきに潰れる。

 最後の抵抗を見せる敗者のようで、いっそ滑稽だった。

('A`)「ははははははははははははははははははっ!」

 哄笑する。勝者の身に許される特権を味わった。
 全力で走り、折り返せばもう勝ちだろう。
 
('A`)「ってあれ?」

 折り返す前に合図音が最後までいった。なぜだ?

('A`)「あ、そういや俺足遅いんだった」

 五十メートル十一秒だった。
 体力があっても、間に合わなきゃ負けだよね☆
 
 まあ、無論ショボンとブーンに交代する余力があるはずがなく。
 次も間に合わず俺たちは負けた。

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 20:13:37.60 ID:HY2MmNMi0
('A`)「いやー、予想GUYです」

 全力で走っても間に合わないのは計算外だった。
 とぼとぼと帰ってきた俺を迎えるのは、怒りの視線。

 ――と、思ったのだが。
 
(´・ω・`)「ドクオ、ありがとう」

('A`)「え?」

(´・ω・`)「僕のために、全力で走ってくれた。嬉しかったよ。本当に、ありがとう」

( ^ω^)「ドクオ、感動したお……やっぱり、僕たち友達だお」

 温かい言葉。

(;'A`)「いや、でもあんなかっこいいこと言ったのに負けたし……」

( ^ω^)「それも、ドクオらしくていいお。びっくりしたおw」

(´・ω・`)「期待を裏切らりつつも裏切らないよね」

 なんだそれ。俺たちは顔を見合せ笑った。



(´・ω・`)「…………」

(´;ω;`)ぶわっ

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 20:30:06.67 ID:HY2MmNMi0
(´;ω;`)「ありがとう、二人とも……」

 ショボンが、消え入りそうな声でそういった。
 流れる涙を、拭おうともせず。

(´;ω;`)「もう、会えないかもしれないけど……悔いはないよ。僕は、いい友達を持った」

( ;ω;)「きっと、また会えるお! きっと…………きっと!」

 ブーンも泣いている。わんわんと、声をあげて。

('A`)「…………」

 遠くを、見つめる。
 なあ、ショボン。もう会えないなんて言ってるけどさぁ。別に、死ぬわけじゃない。

 この町から出て行っても。どっか遠くへ行っても。たとえ、外国だって。
 今はいこうと思えばいけるんだ。

 なあ、ショボン。別れが来ても、きっとまた会える。
 それは、もしかして引っ越しした初日かもしれないぜ?



 だって、俺はびっくり人間。人を、驚かすためにいるんだからな。 



 ―('A`)ドクオはびっくり人間のようです― 完


162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/12(日) 20:33:41.24 ID:HY2MmNMi0
(;・∀・)「あー、いや、感動の場面悪いが……」

('A`)「空気嫁」

(;・∀・)「お前だけには言われたくない」

( ;ω;)「もう少し、別れを……惜しませてくれお……」

(;・∀・)「え? いやだからな。あるんだぞ? 二回戦が」

 ――時が、止まった。

(;・∀・)「いや、種目が俺だけ選ぶのも不公平だろ? 説明し忘れたのは謝るが……」

( ;ω;)「お?」

(´;ω;`)「と……いうことは……?」

  ∩∩ ぼ く ら の戦い は こ れ か ら だ !  V∩
  (7ヌ)                              (/ /
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