1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 20:55:06.72 ID:K9hxe0va0
(* ´∀`)「ふんふんふーん」

学校の教室。
帰りの挨拶を終え、当番班による掃除の時間。
そんな中、陽気に鼻歌交じりで掃除を行う少年がいた。

(* ´∀`)(明日はとうとう土曜日!)

土曜日に一体何が行われるというのだろう。
そんな浮かれている少年の背後から、忍び寄る影が一つあった。

「ていや!」

(;´∀`)「オウフ!?」

突然、”それ”は少年の後頭部をチョップした。
彼は叩かれた勢いで、持っていた箒にまで額をぶつける。
運が無い。

(#´∀`)(この声……それにこんな事するのは)

彼は額を手で押さえながら、しかめっ面で後ろを振り向いた。

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 20:56:31.28 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「あれ、顔が歪んでるぞー」

ケタケタと無邪気に笑う少女がそこにいた。
少年は溜め息を吐く。

(;´∀`)「つーちゃん……」

(*゚∀゚)「やぁやぁモナー君!君は何でそんなに浮かれてるのかなー?」

つーと呼ばれた少女はモナーと呼んだ少年に、
先程とは一転して意地の悪そうな笑みを浮かべて訊ねた。

(;´∀`)「え?いや、その、別に何でも……」

(*゚∀゚)「へぇ〜」

モナーは歯切れの悪い言葉で返す。
その様子に、つーはただただニヤニヤするだけだった。


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 20:57:43.33 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)(う……完全に嘘だとバレてるモナ)

冷や汗をかき、焦るモナー。
目の前にはアンタの事はお見通しさ、とでも言わんばかりの少女。

どうにかして対策を立てなければ、と考えても、
思いつく案は役に立たないものばかり。

(;´∀`)「……」

(*゚∀゚)「(・∀・)ニヤニヤ」

どうやらつーは、モナーの言葉待ちのようだ。
彼は今すぐにでも、この場から逃げ出したい衝動に駆られる。

(;´∀`)(どうするモナ?どうするモナ!僕!)

このまま何もわからないフリを続けるのも、
正直な性格のモナーには無理というものだ。

(;´∀`)(ここは白状するしかないモナか?)

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 20:59:26.10 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「話した方が楽になるよ〜」

(;´∀`)「い、いやでも…」

(*゚∀゚)「そこまで隠す程のモノなんだねぇ?」

つーがじりじりとモナーとの距離を詰める。
彼もそれに合わせて差を詰められないようにする。
その繰り返しだった。

そしてとうとう、彼は教室の隅にへと追いやられた。


(;´∀`)「しまった……」

(*゚∀゚)「ほらほら、言っちゃいなよ、ってか言え」

と、つーがモナーの制服を掴み、ぐいっと自分の方へと引き寄せた。
彼は多少体勢を崩しながらも、体が倒れるのを何とか堪える。

(*゚∀゚)「観念して白状しな」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:01:37.67 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「そ、それだけはご勘弁を……」

(*゚∀゚)「良いではないか良いではないか」

(;´∀`)「ちょwwwマジで止めてwwwwwズボン脱がさないでー!!」


モナーが必死の抵抗を試みているその時だった。


(#・∀・)「なにやってんの二人とも」

二人の元に、塵取りを持った少年がやってきた。
額に青筋を立てて。


心なしか、彼が握っている塵取りの柄の部分が、潰れているように見える。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:03:18.71 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「あ、モララー」

(*゚∀゚)「おいっす」

(#・∀・)「やぁ。ところでモナー……掃除は?」

モナーはうっ、と声を出し、少しばかり後退りした。
右手に持っている箒を見て、再び冷や汗をかく。

(;´∀`)「あ、いや、ちょっと……」

(#・∀・)「なんだい?」

(*゚∀゚)「ほら、モナー。サボってないでちゃっちゃと仕事しなwww」

つーの言ったことに、モナーはムッとした。
しかし、彼女に逆らったら最後、10倍になって返ってくることを彼は知っている。

彼はグッと堪え、モララーに謝った。

(;´∀`)「ごめんモナ。今すぐ掃除するモナ」

(*゚∀゚)「プーwwwクスクスwwwww」

(#´∀`)(腹立つモナー)

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:05:25.14 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「うん、よろしくね」

(*゚∀゚)「ほら早く掃除しなさいってwww」

(;´∀`)(ハァ……)

( ・∀・)「つーちゃんも、当番じゃないんだから廊下に出てね。ほらほら」

(*;゚∀゚)「え?ちょ、ちょっと!?押さないでよ!」

モララーがつーを教室から追い出していく。
モナーが呆然とその光景を眺めていると、
途中、モララーは彼を振り返って軽くウィンクした。


( ´∀`)(……持つべきものは友達だモナー)


彼は友人に感謝しつつ、再び掃除をし始めた。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:07:22.47 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「……ゴミも捨て終わったし、今日の掃除は終わりだね」

「んじゃ、帰ろ〜」「この後どうすんのー?」「制服が埃まみれで俺涙目www」

集まっていた当番班のメンバーが、モララーの一言で散らばっていった。
その中で、モナーはモララーに声をかけた。

( ´∀`)「さっきはありがとうモナ」

( ・∀・)「さて、なんのことかな」

しかしモララーはしらを切る。
友人のそんな素振りに、モナーの顔には自然と笑みが浮かんだ。

( ´∀`)「ふふw」

(;・∀・)「なんだよ、気持ち悪い声なんか出して」

( ´∀`)「別に〜」

モララーは怪訝な顔をしながら「変なヤツ」と呟いた。
傍から見ると、微笑ましいかもしれない光景である。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:09:01.62 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「やぁやぁ掃除乙カレ〜」

掃除が終わったと判断したのだろう、つーが教室へと入ってきた。
彼女は廊下へと出された後、一度も教室内に足を踏み入れていない。
何だかんだで律儀な性格である。

彼女はモナーの近くまで行くと制服の端を掴み、彼を見つめた。

(*゚∀゚)「で、さっきの隠し事の件について白状してもらおうかな?かな?」


うっ


一瞬、モナーはたじろいだ。
しかし彼は観念したらしく、首を左右に振った。
これまでの経験から、隠し続けるのは無理と悟ったのだろう。

(;´∀`)「わ、分かったモナ。でも、話すから制服掴まないで……」

(*゚∀゚)「逃げられたら困るジャン」


ごもっとも。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:10:30.78 ID:K9hxe0va0


(*゚∀゚)「「ミュージカル?」」(・∀・ )


二人が声を揃えた。
モナーは頷く。

(*゚∀゚)「明日、ミュージカルがあるってコト?」

( ´∀`)「モナ」

( ・∀・)「へぇ、それは一体どういう内容なんだい?」

( ´∀`)「筋肉
       ほとばしる汗
       出演者は老若男女問わず」

(;・∀・)「……そう」

(*゚∀゚)「それならそうとハッキリ言えばイーじゃん。
     私はてっきり美味いものでも食べに行くのかと」

(;´∀`)「もし、そうだったら?」

(*゚∀゚)「勿論ついていくに決まってるっさ」

(;´∀`)「やっぱり……」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:11:49.73 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「でも、君がミュージカルだなんて似合わないね」

(#´∀`)「余計なお世話モナ」

(*゚∀゚)「本当にねwww」

彼女はケラケラ笑いながら相槌を打つ。
オマイラいつも一言多いモナ、とモナーは心の中で呟いた。

(#´∀`)「実は、こういうのに前々から興味はあったんだモナ。
       でもこういうのって席代が高すぎるから足踏みしていたんだモナ」

( ・∀・)「まぁそうだよね」

( ´∀`)「でも、先週辺りだモナ。
       親の知り合いから、これのチケットが送られてきて……」

(*゚∀゚)「あぁ!それで行けるようになった、ってワケだね」

( ´∀`)「その通りモナ」

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:14:58.55 ID:K9hxe0va0
( ´∀`)「でも……」

( ・∀・)「どうかしたの?」

( ´∀`)「明日は親の都合が悪くて、僕一人で観に行くんだモナ」

( ・∀・)「あら」

( ´∀`)「まぁ、さほど遠くないから大丈夫なn……」

(*゚∀゚)「チケットって何枚送られてきたんだい?」

( ´∀`)「え?家族全員分だから三枚……」

(*゚∀゚)「ちょーどいージャン!!私らも連れてってよ!」

彼女は彼の制服を引っ張りながら、瞳を輝かせて言った。
思い掛けない彼女の言葉に、モナーの顔が一瞬だけ間の抜けた顔になった。

(*゚∀゚)「アンタの親は行けないんでしょ?だったら私らを連れてってよ!」

(;´∀`)「おうおうおうおう!?」

イイでしょー?ねー、と彼女は何度もモナーを揺さぶった。
彼の体が前後左右に激しく揺れ動く。

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:17:02.12 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「でも……つーちゃん?私”ら”ってつーちゃん以外に誰が行くの?」

瞬間、ピタッっとつーが、モナーを揺さぶるのを止める。
彼女に掴まれたまま、モナーは青い顔をしてぐったりとしていた。

(*゚∀゚)「決まってるジャン」

( ・∀・)「?」

(*゚∀゚)「アンタだよ」

(;・∀・)「ホワイ!?」

(*゚∀゚)「私一人が一緒に行ったらさ、コイツの体力が持たないジャン」

(;・∀・)「つーちゃん……」

モララーは彼女が掴んでいるソレに目をやった。
なるほど、確かにそうかもしれない。
彼は不思議に納得してしまうのであった。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:18:15.73 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「それにさー……」

つーは目を伏せると、ボソッと呟いた。

( ・∀・)「つーちゃん?」

その様子に不思議に思ったのか、モララーは彼女の名前を呼ぶ。
しかし彼女は考え事をしているの為か声に気付かない。

(;・∀・)「……つーちゃん?」

モララーは再び声をかける。
つーはハッとすると、慌てて顔を上げた。
彼女の前方には、少し引きつった顔がある。

(*゚∀゚)「え?な、何?異論は認めないよ?」

彼女の言葉が少しどもる。
しかし、モララーはそのことには触れず、つーの手元を指差した。

(;・∀・)「……いや、そろそろ手を離してあげて?」

(*゚∀゚)「え?」



(*゚∀゚)「あ」

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:20:24.06 ID:K9hxe0va0
…………
……



(;´∀`)「それじゃ、そういうことでまた明日モナ オェ」

( ・∀・)ノシ「また明日〜」

(*゚∀゚)ノシ「しっかり休みなよ〜w」

帰り道、三人は途中の道で別れてそれぞれ帰路に就いた。

モナーが解放(介抱)された後、
彼等は翌日のことについて話し合った。
時間、場所、持ち物、食事処etcetc

それらを決め終わったのは日が沈みかけた辺りだった。
彼等は明日に備える為、早めに解散したのである。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:22:08.01 ID:K9hxe0va0
夜 @モナー家・モナーの部屋


( ´∀`)「これは予想GUYの展開モナ」

彼はベッドの上で寝転がりながら今日のことを考えていた。

( ´∀`)「まさか、あの二人と行くことになるとは思わなかったモナ」

顎に手を当て、考え込む仕草をする。

( ´∀`)(つーちゃんは『お芝居はじっとしなきゃいけないから嫌いだ』
       って言ってたから、てっきり知っても行かないと思ってたのに)

つーの場合だと彼女の性格からして、
自分の興味の無いものには、絶対に首を突っ込まないハズだった。
だから、もし万が一、彼女にミュージカルのことがバレてもきっと大丈夫だ。

と彼は思っていた。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:24:09.16 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「ううう、筋肉って部分にソソられるものがあったモナか?」

(;´∀`)「バレることはとりあえず想定内だったモナが……」

(;´∀`)「あぁー!!行ったが最後、確実に飯を奢らされるモナー!!」

だから嫌だったんだモナー!!と、彼は頭を抱えて転げまわる。

( ´∀`)「昔から一緒に遊びに行くと我侭言い放題で……」

つーとの過去を思い出し、ブツブと呟き始める。
ふと、彼は明日のことを考えた。

( ´∀`)「……」

(;´∀`)「ハァ……」

(;´∀`)「せめて去年みたいな特大ジャンボパフェみたいなのは勘弁モナ……」

切実な願いである。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:26:08.89 ID:K9hxe0va0
( ´∀`)「加えて、モララーまで来るのもこれまた想定外モナ」

モララーはあまり人のプライベートに立ち入らない男であった。
そのため、こちらから誘わない限り「一緒に行っても良い?」なんて聞かない。
モナーはそう思い込んでいたのだが。

( ´∀`)「今日のモララーは積極的だったモナ」

言って、彼はその場面の回想に入る。

〜回想〜

(*゚∀(;・∀・)『ねねねねぇモナー?ボボボ僕も一緒にいい行ってもイイカイ?』

(;´∀`)『?勿論モナ。ウェ つーちゃんだけおkなんてありえないモナ オェップ』

〜回想終〜

( ´∀`)「珍しいモナ。思い込みだけで人を判断しちゃいけないってことモナね」

( ´∀`)「……そう言えば、モララーの後ろにつーちゃんがいた様な……」


トカチツクチテアルハレタコンブダシ〜♪


(;´∀`)「ヒッ!?」

モナーは身を強張らせる。
どうやらメールを着信したようだった。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:27:37.03 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「ビックリしたモナー。
       つーちゃんのことを噂するといつも背後が怖いモナ」

と呟きながらモナーは携帯電話を手に取った。

( ´∀`)「ったく、誰モナ。僕を驚かすヤツは……」

少々苛立ちながら、メールの送り主を確認する。


□明日のコトで
 08/10 つーちゃん


(;´∀`)「……」

彼は恐る恐る、メールの内容を確認してみた。
因みに、彼女には五分以内に返信しないとヒドイらしい。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:29:10.62 ID:K9hxe0va0

時 07/08/10 23:16
主 つーちゃん
題 明日のコトで
――――――――――――
確認だよ!
お金っていくらあれば足り
るんだい?
忘れちったwww

ところでアンタさぁ、私の
噂……した?クシャミを三
回もしたじゃないか!明日
覚えてなよ!

あともう一つ質問!おやつ
にバナナって入るの?

   −END−


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:31:09.59 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「……なんという」

彼は嘆息すると、素早くメールを打ち始める。
途中、彼も三回クシャミをしたが、
そのことを、つーにはメールで知らせなかった。

(;´∀`)「そんなこと送ったら『真似スンナ!』とか言われて、
       奢らされる口実を作られてしまうモナ……」

彼は何とか五分以内に、つーへとメールを返信した。
その後、彼は彼女とのやり取りを終えると、
明日に備えて布団に入っていった。




チャラララチャララ〜♪





そして土曜日の朝がきた。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:32:49.08 ID:K9hxe0va0
「モナー起きなさい……私の可愛いモナー」

( ´∀`)「ん……」

小鳥のさえずり。カーテンの隙間から漏れる光。
モナーは目元を何度も擦ると、ようやくの思いで重たい瞼をこじ開けた。






J( ´ー`)し「お・は・よ・う(はぁと」






目を開けると、眼前には母がいました。 byモナー

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:34:26.95 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「ヒッ!?」

彼は勢いよく体を起こした。
そんな息子の様子が可笑しいのか、彼の母親は笑いながら時計を指差した。

J( ´ー`)し「ほら、アラームが鳴る前に起こしに来たわよ〜」

そう言われ、彼も時計に目をやった。
昨日の夜に設定したアラームの時間よりも確かに早い。
一分だけ。

(;´∀`)「どうして僕の部屋に入って……それよりも、
       何であんなに顔を近付けてたモナ!?」

J( ´ー`)し「禁則事項です(はぁと」



その後、彼の姿を見た者は誰もいなかった。



J(#´ー`)し「失礼ね!そんなことはどうでもいいから
       さっさと起きて仕度しな!!」


解除し忘れていたアラームが部屋中に鳴り響いた。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:36:05.29 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「よし、ジャスト五分前だ」

モララーは腕時計を見ながら呟いた。
腕時計の針は、集合時間の五分前を指している。

( ・∀・)「これならちゃんと間に合うな」

顔を腕時計から上げると、集合場所が見えた。

( ・∀・)「誰かいるのかな……ん?」

(*゚∀゚)

( ・∀・)「つーちゃんがいるじゃないの」

( ・∀・)「……何か妙にソワソワしてるね」

つーのそんな様子に疑問を持ちながら、
彼は彼女の元へと駆け寄った。

( ・∀・)「つーちゃ〜ん」

(*;゚∀゚)「ひゃあ!?」

モララーがつーの後ろから声をかける。
彼女はその声にビクッと体を震わせると、素早く後ろを振り向いた。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:37:39.04 ID:K9hxe0va0
(*;゚∀゚)「お、驚かすなよ!バカァ!!」

(#)∀・)「うん、ごめんね」

彼は叩かれた部位を擦りながら謝罪した。

(#)∀・)「でもさ、どうしてそんなに驚いたの?
       声をかけただけなのに」

(*゚∀゚)「後ろからいきなり声をかけられたら驚くっての。
     アレ風に言えば、私の背後に立つなってことだよ」

(#)∀・)(ソレって何か違うんじゃ……)

しかし口には出さない。
何故ならつーが相手だからだ。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:39:19.11 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「そういえば、つーちゃんの服って可愛いね」

(*゚∀゚)「あ、気付いた?母さんに半強制的に着せられたんだけどね」

えへへ、と彼女は頬を掻きながら照れた。
彼女の格好は可愛らしいピンクのツインニットと白のプリーツスカート。
胸元には小さなボウタイ(蝶ネクタイ)が付いている。

(*゚∀゚)「いつもはもっとラフな格好するんだけど……」

( ・∀・)「ジーパンにTシャツとか?」

(*゚∀゚)「何で分かるの?」

(;・∀・)「え?そうなの?当たるとは思わなかったよ」


それから、二人はモナーが来るまで談笑をした。

その最中に、時々つーは落ち着かない様子で辺りを見回していた。
モララーはそのことについて何度も訊ねたが、彼女は「なんでもないよ」の一点張り。
ついには彼のしつこさから、彼女は怒ってしまったが。

そんなことをしながらマターリ過ごしていると、
20分遅れでモナーがやって来た。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:41:28.11 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「ハァハァ、遅れて、ごめ、ん、モナ」

全力疾走をしてきたのであろう。
モナーは激しく呼吸を乱しながら、途切れ途切れに言葉を出して謝った。

(*#゚∀゚)「全く!こんなに遅れるなんて死刑!に値するよ!」

( ・∀・)「まぁまぁ、でもどうして遅れたの?」

(;´∀`)「お母さんが、あれこれう、五月蝿くて、フウフウ」

(*#゚∀゚)「人のせいにスンナ!!」

(;´∀`)「ほほほ本当、に、ごめんモナー!……モナ?」

モナーは突然動きを止めると、つーを凝視した。

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:43:57.41 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「な、何さ」

つーは怪訝な顔をする。

( ´∀`)「その服装……」

(*;゚∀゚)「え、あ、これは」

慌ててこの服装にした経緯を話そうとした。
しかし上手く言葉が出てこないようだ。

つーが話し始めるより早く、モナーが言った。


( ´∀`)「意外だモナー。
       つーちゃんがそういう格好するとは思わなかったモナ」


(*゚∀゚)「あ、そ」

モナーの言葉が期待外れだったのか、彼女は素っ気無く言葉を返す。
ここでモララーの目が妖しく光った(ように見えた)

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:46:00.32 ID:K9hxe0va0
( ・∀・)「で、モナーはつーちゃんを見てどう思った?」

(*;゚∀゚)「い!?ちょ、ちょっと……」

モララーのまさかの発言に、再び焦り始める。
モナーはキョトンとしていたが、つーに目をやると一言。

( ´∀`)「可愛いモナ」

(*゚∀゚)「……」

( ´∀`)「つーちゃん?」

(*゚∀゚)「そ、そんなこと言ったって何もでないんだからな!
     それよりも早く劇場に行くよ!」

と言ってさっさと歩き始めた。
モナーは訳が分からないという感じで、急いで彼女を追いかける。

その光景をモララーはニヤニヤしながら見ていた。

( ・∀・)「若いって良いねぇ」

彼は後姿のつーから見え隠れする耳が、赤くなっていたのを見逃さなかった。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:47:26.64 ID:K9hxe0va0
@オワタ劇場

( ´∀`)「ここモナね」

(*゚∀゚)「おぅおぅ、大きいねぇ〜」

目の前にどっしりと大きく構える劇場をつーは見上げた。
どこか古めかしい雰囲気があり、しかし堂々とその場に建つ姿に、
つーは感心した。

無論、男二人もその例外ではなかった。

( ・∀・)「これは良い劇場」

( ´∀`)「釈然としない感情の昂り……これが興奮?」

(*゚∀゚)「さて、早速中に入りますか〜」

言うや否や、つーはさっさと建物の中に入っていく。
モナーとモララーはそれに気が付くと、慌てて彼女を追いかけた。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:49:13.73 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「ふぇ〜、人大杉だ〜」

それは建物内に入ってすぐの光景だった。
彼女はその目の前に広がる人の波に、呆気にとられていた。

(;´∀`)「置いてかないでモナー」

(;・∀・)「うーん、凄い人の数だ」

中で立ち止まっているつーに、追い付いた二人もまた、
人ばかりの光景に目を丸くした。

(*゚∀゚)「ほらほら、早く奥に行こうよ!」

待ちきれないという風に、つーがモナーとモララーの手を引っ張った。
そんな彼女に、二人は顔を見合わせると、頷き、笑った。



その後、三人は指定された席へと座った。
wktkしながら開演するその時を待つ。

次第に観客が増え始める。

とうとう時は満ち

そして

ミュージカルが始まった。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:51:25.12 ID:K9hxe0va0
( ´∀`)「おお!!」

鍛え抜かれた肉体が宙を舞う。

(;・∀・)「すごい……」

観客席にまで飛び散る汗が臭う。

(*-∀-)「ZZZ」

何よりも

( ´∀`)「爺ちゃんSUGEEEEEEE!!」

( ・∀・)「あそこのょぅι゛ょも凄くない!?」

(*-∀-)「ムニャムニャ」

劇場全体に響き渡る、多種多様の歌声が、観客の心を躍らせた。


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:53:31.56 ID:K9hxe0va0
やがてミュージカルが終了した。
その場に居合わせた人々は、感動の涙を流しながら劇場を後にした。
無論、彼等も例外ではなかった。

( T∀T)「感動したモナー」

( ;∀;)「最後の拍手に何故か僕まで感動したよ」

(*゚∀゚)「あーよく寝た!」

失礼。
一人だけ例外がいるようだ。

(;´∀`)「興味ないとは言え、つーちゃんは寝すぎモナー」

(*゚∀゚)「いやいや。あーいうのは、やっぱ自分が演る方じゃないと駄目だね〜私は」

腕を組み、うんうんと頷く。
モナーとモララーは呆れ、心の中で溜め息を吐いた。

(;・∀・)「出演者の人達、つーちゃんの方をチラチラ見てたよ」

(*゚∀゚)「あらら、寝たのはまずかったね。
     今度からは早寝を心がけることにするよ」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:55:17.71 ID:K9hxe0va0
その言葉にモナーが反応した。

( ´∀`)「昨日は寝れなかったモナ?」

(*゚∀゚)「ま、まぁね」

( ´∀`)「これまた意外モナね〜。この前は
      『早く寝ないとお化けが出るぅぅぅ〜』
       って言ってたのにモナー」

(*;゚∀゚)「なっ!?うっさい!さすぞゴルァ!!」

(* ´∀`)「何をさすの〜?優しくし・て・ね(はぁと」

(*゚∀゚)「良い度胸だ小僧」


( ・∀・)「やれやれ……」

二人のじゃれ合いを生暖かい目で見守るモララー。
そして呟いた。


( ;∀;)「青春ってイイナー」


……。

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 21:57:52.36 ID:K9hxe0va0

(メ ´∀`)「今日は楽しかったモナー」

(*゚∀゚)「まぁね〜」

二人は並んで道を歩いていた。
空は暗くなっており、月が顔を出していた。

彼等三人はミュージカルが終わった後、
食事を終えて家路に就いたのだった。

( ´∀`)「モララーも帰り道は同じなのに、一緒に帰れないのは残念モナ」

(*゚∀゚)「ま、仕方ないさ」

モララーは共に食事を終えた後、
「この後、用事あるから先に帰ってて」
と言って二人と別れた。

そのモララー、現在は何をしているのかといえば。


( ・∀│電柱│「中々良い雰囲気じゃないの」


二人の後をつけていた。
どう見てもストーカーです。本当に(ry

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:01:21.62 ID:K9hxe0va0
何故、別れたはずのモララーが二人の後をつけているのだろうか。


答えは単純なものだった。


彼は二人……というかつーに気を遣ったのだ。

というのも、つーがモナーに好意があるのは今までの流れからして明白。
モララーはそのことに気が付いていたため、二人きりにしてあげようとしたのだ。
そして彼はそれを見守る為に別れたフリして尾行中、という訳である。

( ・∀│電柱│(その通り。差し詰め、僕は愛のキューピットってトコかなー)

( ・∀│電柱│(ま、あの二人が僕の意図には気付いていないみたいだけどね)

ストーカーするような輩が愛のキューピットを自称するとは片腹痛い。

( ・∀│電柱│(外野自重汁……あ、二人を見失っちゃうよ!)


│電柱│   三( ・∀・)     │電柱│


(;・∀│電柱│(ふぅ、意外と疲れるもんだね。尾行ってのは)

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:03:27.95 ID:K9hxe0va0

ところ変わってつーとモナー。
モララーに見張られているとも知らずに、
二人は世間話をしながら夜道を歩いていた。

( ´∀`)「って臭いモナね〜」

(*゚∀゚)「確かにw」

二人の会話が弾む。

モナーは話しながら、一方で考え事をしていた。

( ´∀`)(食事の時に奢らされなくて良かったモナー)

彼の心配事はどうやら杞憂のようだった。

( ´∀`)(それもこれもつーちゃんの機嫌が良かったからモナ)

そこで彼は疑問に思う。

( ´∀`)(はて、何で機嫌が良かったモナ?)

彼はつーを見た。
楽しそうに喋っている彼女。
その横顔は、電灯あるいは周辺の家からもれる光によって照らされていた。

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:06:15.95 ID:K9hxe0va0
( ´∀`)(……)

つーの横顔を見つめる。

(*^∀)〜♪

モナーの思考が一時的に停止したが、
自分がつーを見続けていたことに気が付いて、慌てて視線を前に戻した。

(;´∀`)(な、なにしてるモナ、僕)

何故に彼女の機嫌が良かったのかは、彼自身見当がつかなかった。

( ´∀`)(何かあったモナ?)

考えても考えても、彼の中で答えは出てこなかった。

(;´∀`)(うーん……)

腕を組みながら更に考え込む。
その時。

(*゚∀゚)「ねぇ」

その声にモナーはハッとして、意識を思考から引き戻した。

つーが立ち止まって彼を不思議そうに覗き込んでいた。

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:07:29.80 ID:K9hxe0va0
(;´∀`)「!?」


モナーは目を見開いた。
彼は驚いて後ずさりをする。

(*゚∀゚)「どうしたのさ、突然歩くのやめちゃって。ってか驚きすぎwww」

(;´∀`)「あ、え、いや……な、なんでもないモナよ?」

(*゚∀゚)「ふぅん?……ま、良いけどさ」

と言ってつーは再び歩き始めた。
モナーも彼女に合わせて歩く。

(;´∀`)(今のは……何だったモナ?)

それは青天の霹靂とでも言うべきか。
あまりに突然のことだった。
そのため、彼は自分の感覚がおかしくなったのかと思うほどだった。

(;´∀`)(信じられんモナ、つーちゃんって……)


(;´∀`)(あんなに可愛かったっけ?)


彼の中で恐怖の対象でしかなかった女の子が

初めて別の対象になった瞬間だった

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:11:12.22 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)(ったく、コイツは……)

つーはちらりとモナーを見た。
彼は先程のように何かを考えているようだった。

(*゚∀゚)(人の話ぐらい聞けっての)

彼女は少し不満そうに小さく溜め息を吐くと、
道端に転がっている小石に八つ当たりをした。

(*゚∀゚)(『可愛い』か)

と、つーは集合場所でモナーの言葉を思い出す。

(*゚∀゚)(初めてあいつから言われたよ、こんな言葉)

へへっ、と頬をポリポリと掻く仕草をする。
どうやら、これが機嫌の良かった要因のようだ。

(*゚∀゚)(今までが今までだけにねぇ……)

これまで彼女の、モナーに対する接し方は冒頭部分のようなものであった。
そのためモナーからは怖がられていた、ということを彼女は分かっていた。

何故そのような接し方をしていたのかと言えば、
よくある話で、
【好きな子にはつい悪戯をしてしまう】
といったような感じのものである。

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:13:31.41 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)(でも好きって訳じゃないんだけどな……)

しかしモナーと一緒にいると心地が良い。
彼を見ていると胸がドキドキする。

つーはそのことを親友に話した。すると、
「それはね!ズバリ恋よ恋!!あんたはモナー君に恋してるのよ!!」
と彼女は言われた。

好きという訳じゃない。
彼女は親友にそう説明しても、
「それでも!あんたがモナー君を意識してるのは事実!ここは押せ押せで行くのよ!」
と好きだという事前提に煽られた。

(*゚∀゚)(うー、そうなのかなぁ?)

もう一度、つーはモナーを見た。
彼はモナァァァ!?と歩きながら頭を抱えている。

(*゚∀゚)「……ハァ」

つーは、今のモナーに何を言っても駄目だと悟ると、
彼女自身も彼同様に考え込み始めた。

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:15:55.08 ID:K9hxe0va0
二人は黙って思考を巡らしていた。
そうなると、二人とも行動を起こさないために、
面白くないと思い始める輩がいる。

( ・∀│電柱│「あの二人……急に静かになったな」

( ・∀│電柱│「これじゃスネークしてる意味が無いじゃないか」

モララーは依然として、二人の後をつけていた。

彼は二人と帰り道は同じ方向だ。
だから実質的に彼も帰宅している格好になってはいる。
しかし実際はただのストーカー行為をしているに他ならない。

( ・∀│電柱│「うーん、小声で喋ってるのかな?」

二人に近付こうと、彼が次の電信柱へ移動しようとした。

そ・の・時!!

(警><)「こら!!そこの怪しいヤツ!何してるんです!?」

モララーが急いで後ろを振り返ると、
自転車に乗った警察官がモララーを睨み付けていた。

(;・∀・)「あ」

(警><)「ちょっと職務質問なんです!!」

キャー

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:18:45.70 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)(にしても、お母さんの言うとおりにこの服着てきて良かった……)

つーは自分の着ている服を見つめた。
この服を着る様に言ったのは彼女の母親だが、
選び、購入したのは彼女自身であった。

しかし、いざ着用するときになってつーは、
慣れない服装をすることに恥ずかしくなった。
そんな彼女に助言したのが母親であった。

(*゚∀゚)(モナーに会うまで落ち着かなかったし)

(*゚∀゚)(コイツがコレ見てどんな反応するかドキドキだったもんなー)

集合場所でソワソワしていたのはそういった理由から、らしい。

(*゚∀゚)(可愛いのは服を指していて、私のコトじゃなかったかも)

(*-∀-)(それでも……嬉しかったナー)

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:21:48.28 ID:K9hxe0va0
その時の嬉しさが、つーの中でフラッシュバックのように甦って来た。
彼女がその余韻に浸っている最中にハっと思う。

(*゚∀゚)(あれ?)

(*;゚∀゚)(ってことはやっぱり私はコイツのことが好きなの!?)

(*;゚∀゚)(そんなことは……でも、でも)

( ´∀`)「つ、つーちゃん」

(*;゚∀゚)「ひゃいぃ!?」

突如として上から降って沸いた声に驚き、つーは背筋をピンッと伸ばす。

(;´∀`)「驚き過ぎモナー」

(*#゚∀゚)「と、突然声をかけるからじゃないかー!なんだよ!」

(;´∀`)「いや、ここでお別れモナね?」

そう言われてつーは周りを見渡した。
そこは昨日、下校時に別れた場所だった。

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:24:02.03 ID:K9hxe0va0
(*゚∀゚)「あ、そう……だね」

もうお別れか。
寂しさが突如つーの中で生まれる。

( ´∀`)「うーん。それじゃ、僕はこっちだから」

モナーは指で道を示す。

(*゚∀゚)「お、おう」

彼女の心に寂しさが急速に募っていく。

( ´∀`)「今日は楽しかったモナ!またどっかに行こうモナ」

モナーが笑顔で言った。普段の何処か遠慮のある笑顔ではなかった。

(*゚∀゚)「う、うん。私も楽しかったさ」

彼の笑顔が余計に彼女を離れたく無くさせる。

( ´∀`)「うんうん。んじゃまた学校で〜」

モナーが手を振った。
つーも力無く手を振り返す。

そうしてモナーは、家に帰るために歩き始めた。
少しずつ、遠くなっていく彼の姿。

つーは限界だった。

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:27:04.84 ID:K9hxe0va0
夜の道。
電灯に照らされたモナーの体から影が伸びる。
彼は夜空を見ながら歩いていた。

( ´∀`)「?」

不意に、モナーは後ろから誰かに引き止められた。
誰モナかと言いながら後ろを振り返る。
そこにはつーが、服の端を持ったまま俯いていた。

( ´∀`)「つーちゃん?」

しかしつーは顔を上げない。
彼は不思議に思い、彼女に声をかけようとした。

(* ∀ )「あ、あのさ……」

しかし、彼が声をかける前につーは口を開いた。
その声にいつものような元気さが無く、消え入りそうな声だった。
尚且つ、それからは緊張していることが感じ取れた。

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:28:42.20 ID:K9hxe0va0
( ´∀`)「?」

(* ∀ )「わ、私とさ……」

( ´∀`)「??」

(* ∀ )「ももも、もう少し、だけ……」

(;´∀`)「???」

(*//∀/)「一緒に、いて……ください」

( ´∀`)

モナーは我が耳を疑った。
つーちゃんが?あのつーちゃんが!?
驚きのあまり、彼は声を出せなかった。

つーは未だに俯いたままである。
どうやらモナーの返事を待っているらしい。
彼は何とか振り絞って、返事を口に出した。


(´∀`)<sneg?


(*#゚∀゚)≡つ)∀`)メメタァ

つーのメガトンパンチ!
モナーは吹っ飛んだ!

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:31:20.40 ID:K9hxe0va0
(*#゚∀゚)「ふっざけんな!!バカ!!どんだけ私が勇気を出して言ったと!!」

つーは仁王立ちしながら、尻餅をついているモナーを威圧感たっぷりに見下ろす。

(#)∀`)「正直スマンかったモナ」

(*#゚∀゚)「本当か!?本当にそう思っとるんかゴルァ!!」

(#)∀`)「お、思ってるモナ。だから……」

モナーは彼女の剣幕に気圧されそうになりながら言葉を返す。
彼はゆっくり立ち上がると、怒り狂うつーに近付いていく。

(*゚∀゚)「な、何さ!」

しかしモナーはそれに答えず、彼女のすぐ傍まで行くと


ギュッ


そのまま彼女を優しく抱きしめた。

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:33:45.09 ID:K9hxe0va0
(* ∀ )「あ……?」

体と体が密着する。
つーは思わず声を出した。

(#)∀`)「これで勘弁して欲しいモナ」

(* ∀ )「モナー……」

つーは自分を抱きしめている男の名前を口にした。
彼女は男の腕の中で大人しくなる。

(#)∀`)(あー、つーちゃん柔らかいモナ……)

(#)∀`)(まさかつーちゃんでこんな気持ちになるとは思わんかったモナ)

モナーはつーに夢中で気付いていないようだが、
つーは体を震わせていた。

(((* ∀ )))「こ……」




(*#゚∀゚)「この勘違い野郎!!」

つーはモナーにボディーブローを決めた。
彼はお腹を押さえてうずくまる。

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:35:12.18 ID:K9hxe0va0
(##)∀`)「オフッ。え?ち、違うモナか?」

(*#゚∀゚)「私は一緒にいたかっただけだよ!誰が抱きしめろと!?」

(##)∀`)「そんなぁ……」

地面に膝を着けて、ガックリとうな垂れるモナー。

(*#゚∀゚)

(*゚∀゚)プッ

その滑稽な姿に、つーは思わず吹き出してしまった。

(*゚∀゚)「wwwwwww
     ま、いっか!結局は一緒にいてくれるってんだろ?ならヨシ!」

(*゚∀゚)「それに」

(##)∀`)「?」

(*゚∀゚)「抱きしめてくれたのだって嬉しかったし……ゴニョゴニョ」

(##)∀`)「へ?何?」

(*゚∀゚)「へへん、何でもないよ!ほら、モナー!立って立って!」

つーはモナーの腕を持ち、彼を立ち上がらせようとする。
そんな彼女の顔は、いつも以上に輝いていた。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/29(水) 22:38:19.19 ID:K9hxe0va0
その後、二人はしばらく語り合うと、
別れを惜しみながらそれぞれの家に帰っていったそうな。

聞くところによるとその時はキスもセクースも無かったとか。
そこまで一気に進展しなかったのも、彼ららしいと言えばその通りだ。

この日二人が気付いた自分の気持ち。
それはとても小さいモノだけれども、最初の一歩には違いない。

だからと言って、今後この男女がどうなっていくのかは当然ながら分からない。
進展するか、壊れてしまうか、それともこのまま維持していくのか。

それを見届けていかなければならない。
友人として、何より愛のキューピットとして。
僕は友人達のためなら警察にも捕まってみせる。



( ・∀・)「そう僕は誓ったんです!!」

(警#><)「……で。これで僕に補導されるのは何回目か覚えてるんですか?」

(;・∀・)「えっと……六回目ですか?」

(警;><)「……もう少し自重しなさいなんです」

( ・∀・)「しーましぇーん」


          〜FIN〜



お題
・便乗する二人
・ミュージカル
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