5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:21:27.42 ID:mjMLpNWGO
【第五話 奇襲】


(;^ω^)「おっ?」

津出の屋敷まであと少しという所で内藤は足を止めた。
前方に数人の男が固まって歩いている。
提灯も持たず頭に頭巾を被り、しきりに辺りを気にしている男達。
内藤はすぐに気が付くと草むらに身を潜め息を整えた。

(;^ω^)(なんとか間に合ったかお。まずは欝田を待つお・・・)

すぐに欝田が小走りで駆けてくるのが見えた。
内藤は草むらから体を出して手を振り欝田に気付かせようとするが
欝田は走るのに必死で全く気付かない。

( ^ω^)(はっ!)

内藤は得意の素早い足裁きで欝田に近寄ると
欝田の口と体を押さえそのまま自分ごと草むらに飛び込んだ。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:22:24.09 ID:mjMLpNWGO
('A`;)「ぜはぁ、ぜはぁ、何をする!」

内藤は慌ててまた欝田の口を塞ぎ耳元で説明した。
欝田もすぐに理解し息を整え始める。

二人は気付かれないように後をつけながら小声で会話した。

('A`)「どうする?敵は七人はおるぞ」

( ^ω^)「おそらく向こうは津出家に奇襲をかけるつもりだお」

( ^ω^)「屋敷には人は多いが刀を使える者は僅か。
あの人数で奇襲をかけられたらひとたまりも無いお」

( ^ω^)「しかし今はこちらに分があるお。様子を見て逆に奇襲をかけるお」

('A`)「それしか無いか・・・承知した」

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:23:39.70 ID:mjMLpNWGO
集団は屋敷への道を逸れて進んだ。
そのまま進むと屋敷の裏に出る。

その時内藤は音をたてないよう気を配りながら
荒巻の言葉を思い出していた。

( ^ω^)(あの人数相手では峰打ちにする余裕はあるまいお)

( ^ω^)(・・・斬らねばならぬのかお)

このような局面に来て内藤は人を斬る覚悟が未だ決らなかった。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:26:40.04 ID:mjMLpNWGO
( ^ω^)「欝田、人を斬ったことはあるかお?」

('A`)「なんだ急に。お主も知っておろう。無い」

( ^ω^)「では斬れるかお?」

('A`)「・・・斬らねばならぬならな」

( ^ω^)「怖くはないのかお?」

('A`)「・・・。」

内藤の問いに欝田は振り返り内藤の目を見て言った。

('A`)「内藤。お主何の為に刀を握る?何の為に道場へ通う?ただ強くなる為か?」

( ^ω^)「・・・」

( ^ω^)「拙者は・・・」

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:27:33.04 ID:mjMLpNWGO
内藤の頭にツンが浮かんだ。
そして家の者。
道場の仲間。





( ^ω^)(そうだお。拙者は・・・!)


( ^ω^)「すまなかったお欝田。腹は決まったお!」

内藤の迷いは晴れた。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:28:43.77 ID:mjMLpNWGO
('A`;)「声が大きいぞ。それよりあれを見ろ」

屋敷は高い塀で囲まれている。
そのため裏から入り込むのは不可能なはずだが
集団はそこで止まった。
男の一人が何かを取り出し塀に撒き始めた。

('A`)「あれは・・・油か!!」

( ^ω^)「どうやら裏に火をつけ混乱に乗じて襲うつもりだお」

( ^ω^)「ここで止めねばならぬお。まず拙者が不意を突いて斬り込むお」

( ^ω^)「注意は拙者に向くはず。欝田はそこで更に奇襲するお」

('A`)「・・・分かった。ぬかるなよ。内藤」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:30:38.12 ID:mjMLpNWGO
内藤が機をうかがう。
男達は火を着けるのに苦戦しているようで
見張りの男の他は隙だらけであった。

( ^ω^)(・・・よし!)

内藤は頭の中で動きを決めると刀を抜き
音をたてずに飛び出した。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:35:35.57 ID:mjMLpNWGO
壁を向いている男を背中から斬った。
返す刀でもう一人。

刀を抜かせるどころか悲鳴さえあげさせない速さだった。

すぐに見張りの男が怒号と共に斬り掛かってくるが受けずに躱し
未だ刀すら抜けてない男を斬った。

残りの男がようやく刀を抜き内藤に向ける時には既に四人。

内藤は素早く塀を背にして距離を置く。

内藤を中心に扇状に広がった男達は一斉にかかろうとするが
中心の男が前のめりに倒れる。欝田である。

欝田の方を振り向いた隙に内藤がまた一人斬った。

息もつかぬ間にニ対ニになった時、残った男は刀を投げ命乞いをした。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:36:50.68 ID:mjMLpNWGO
('A`)「内藤。怪我は無いか?」

( ^ω^)「大丈夫だお・・・ん?」

こちらに向かって駆けてくる複数の灯りが見えた。

一瞬敵の増援かと体が強ばったが
すぐに津出家の人間だと分かった。

集団の中に津出がいたからである。

津出は刀を抜き駆け寄ったが辺りを見渡し状況を理解したようであった。

(,,゚Д゚)「どうやらもう終わったようだな。しかし二人でこの数を討つとは」

( ^ω^)「それより津出どの。倒れている者を医者へ運んでくだされお。
急所は外しておりますお」

内藤は人を斬ることにもはや戸惑いは無かったが
それでもやはりできる限り命を奪いたくは無いと考えていた。

欝田は内藤を優しげな目で見つめた。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:38:04.39 ID:mjMLpNWGO
(,,゚Д゚)「分かった。しかしまずは経緯を語れ。こやつ等は刺客か?」

( ^ω^)「そうですお。火を放とうとしてましたお」

内藤は順を追って説明した。津出はすぐに家来に指示を出し男達を運ばせた。

(,,゚Д゚)「ひさしいの。欝田。お主のおかげで助かったぞ」

('A`)「いえ。内藤の力でござる」

(,,゚Д゚)「そう謙遜するでない。お主にも褒美を取らせねばならぬな」

(,,゚Д゚)「ん?」

ふと津出が命乞いをし家来に捕らえられた男の一人を見つめた。

(,,゚Д゚)「こいつは・・・おい、頭巾を剥がせ」

男は頭巾を剥がされると津出から顔をそらした。

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/13(木) 00:39:09.63 ID:mjMLpNWGO
(,,゚Д゚)「くくく・・・あーはっはっは!弍田め、墓穴を掘りおった!」

(,,゚Д゚)「内藤!欝田!またしても手柄じゃぞ!」

津出の突然の言葉に二人は訳が分からず
ただ顔を見合わせるばかりだった。



続く




('A`)「刀・・・欠けてしまった」
('A`)「しかし嫁。俺はやったぞ!」

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