20 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:43:01.41 ID:lpDBgokG0

〜第2話〜


('A`)「ねぇねぇ、シャキンさん。ショボンさんってシャキンさんのお兄さんなんだよね?」

(`・ω・´)「うん、そうだけどそれがどうかしたかい?」

('A`)「いや、シャキンさんは研究者なのに、お兄さんがダイバーなんでしょ?」

(`・ω・´)「・・・あぁ、兄は研究より、『外』を飛ぶ事が好き。それだけの事だよ」

('A`)「ふ〜ん、俺も飛ぶほうがいいなぁww」


シャキンは「その言葉を待ってました」かのように
得意げな顔でドクに返した

21 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:43:53.35 ID:lpDBgokG0

(`・ω・´)「ふふふ、ダイバー達も僕らのような研究者がいなければ外は飛べないよね」

('A`)「そうだよねw研究者さん達は偉いと思いますww」

(`・ω・´)「お、着いたようだね。じゃぁ僕は研究所に戻るから」

('A`)「あれ?お兄さんに会っていかないんですか?」

(`・ω・´)「う・・・うん。僕はいつでも会えるかr」

('A`)「ふ〜ん、よっっと」

ドクがシャキンがしゃべり終える前に、部屋のチャイムを鳴らす。

(`・ω・´)「あ・・・。じゃ、じゃぁまた後でね」

22 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:44:33.97 ID:lpDBgokG0

シャキンがそそくさとその場を立ち退こうとした時
ウィィィ・・・ィィィン
と扉が開き、シャキンそっくりの男が出てくる。


(´・ω・`)「はいはい、どなたかな?」

('A`)「こんにちは〜」

(´・ω・`)「?はいこんにちは君は誰k」

そこまで言ったとき、眼の端に遠ざかる男が写った。

23 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:45:50.47 ID:lpDBgokG0

見間違えるはずも無い、自分に瓜二つなあの後姿。

(´・ω・`)「シャ、シャキン!」

男が大声でそう声を掛けると、シャキンは一瞬ビクッと立ち止まったが、
そのまま振り向かず右手を上げそのまま去っていった。

(´・ω・`)(・・・・シャキン・・・)



('A`)「あの〜・・・」

Σ(´・ω・`)「おぉっと、これは失礼。君は誰かな?」

24 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:48:16.12 ID:lpDBgokG0

('A`)「ドク・ニート、ドクオ・ニートの息子です」

(´・ω・`)「おぉ、君があのドクオさんの・・・確かに似ているね
          僕はショボン・荒巻、まぁ自己紹介は必要なさそうだね入ってよ」

('A`)「失礼しま〜す」

(´・ω・`)「適当に座っててくれ、今コーヒーを淹れてくる」


ドクはソファに座り、周りを見渡す。
部屋一面に所狭しと並ぶ部品、部品、部品の山。
ダイバーを目指す者、『外』を飛ぶものにとっては宝の山に見えた。

25 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:49:05.87 ID:lpDBgokG0

(*'A`)「すっげぇ〜すっげぇ〜!」

興奮を顕にするドク。
それもそうだろう、父の乗っている船の設備しか見たことのない彼にとっては
最新機器、それも山のように積み重なっているものを見れば
このような状態になることは想像するに難しくない。

(´・ω・`)「ふふ、まぁこれの殆どが売り払うものだけどね」

湯気の立ったコーヒーを2つテーブルに置き、
ショボンはドクの向かい側のソファにギシッと腰掛けた。


(*'A`)「すげぇよショボンさん!」

(´・ω・`)「砂糖とミルクは?いるかい?」

(*'A`)「はい!」


26 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:49:43.24 ID:lpDBgokG0

ダイバーとは、『外』の世界で船を操り遭難船や、事故船、
または希少価値の高い隕石などを回収する者達の事である。
ドクは一瞬でこの男に尊敬の念を抱いた。

今まで良く耳にした言葉

「ドクの父ちゃんは凄いダイバーだ」
「ドクオさんを目標に頑張っています」
「ドクオさん!私をパートナーに!」

こういった言葉によりドクは父に対して、
父ちゃんは凄いんだ!と漠然の尊敬を抱いていたのである。

だが、今まで父の船は旧式のボロボロ。
パーツも小さいものしか回収して来なかった。

それが目の前でこれだけの機器を回収している者を見れば、
父より凄い! こう思ってしまうのは仕方の無いことである。

27 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:50:57.56 ID:lpDBgokG0

(´・ω・`)「はいどうぞ」

(*'A`)「あっ、ありがとうございます!」

彼は今まで飲んだどのコーヒーよりも美味いと感じた。


(´・ω・`)「ところで今日はなんの用で来たのかな?」

(*'A`)「はい!荒巻先生から、父ちゃんの仕事を手伝うなら
       ショボンさんから色々教えてもらえって!」

(;´・ω・`)「お、親父からかぁ・・・まいったな」

(*'A`)「でも・・・でも父ちゃんよりショボンさんみたいな
        凄い人の手伝いをしてみたいです!」

28 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:51:51.69 ID:lpDBgokG0

その言葉を聴いた途端、ショボンは噴出した。


(´・ω・`)「バーローwwww」

(;'A`)「???」

(´・ω・`)「僕なんてまだ君のお父さんの足元に追いついた位だ。
           恐れ多いよww」

(;'A`)「え・・・でも・・・うちは貧乏だし、船もオンボロだし、
         父ちゃんの回収品はガラクタばっかりですよ・・・?」

(´・ω・`)「そうか・・・ドクオさんはまだ君には見せてないんだね」

(;'A`)「・・え?」


29 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:52:43.94 ID:lpDBgokG0

そういうとショボンは立ち上がり、工房の机の引き出しからなにやら書類を持ってきた。

バサッとテーブルの上にその書類を乗せる。

(´・ω・`)「これを見てみるといい」

('A`)「・・・・」

その書類には何やらアルファベットと数字が羅列しており、
人の名前も記入されているようだ。

(´・ω・`)「これはダイバーランキングね。
         回収して、売った時の収益がランキング形式で記載されてる」

('A`)「・・・・・」


ドクは下から名前の欄を探していく。


30 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:53:54.90 ID:lpDBgokG0



No5.ショボン・荒巻 (ケーエスエムエス号、パートナー:ジョルジュ・長岡)




No11.ギコ・ハニャーン (トレジャー・キャット号、パートナー:しぃ)




No26392.ニダー・バイショウ (ファビョン号、パートナー:シナー・チャーハン)



31 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:58:10.52 ID:lpDBgokG0

(*'A`)「Sugeeeee!!ショボンさん26392人中5位じゃん!
      あっ、ギコさんが11位だ!」

(´・ω・`)「1位を見てみるといいよ」

('A`)「ん〜と」


あれだけの話を聞いた後だ、
もしかして父ちゃんが・・・と少々期待を持って見た。


No1.クー・ニート


(;'A`)「なーんだ、父ちゃんじゃないのか・・・」

(;´・ω・`)「おいおい、その横を見て見ろよ」

('A`)「横?」

32 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:58:56.07 ID:lpDBgokG0

No1.クー・ニート (レオパルト号、パートナー:ドクオ・ニート)


( ゚A゚)「えぇぇぇぇぇぇ!父ちゃんがパートナー?」

(´・ω・`)「ふふ」

(;'A`)「1位でもかっこ悪ぅぅぅぅ・・・。」

(´・ω・`)「ドク君、君のお父さんが誰と船に乗ってるか知ってる?」

('A`)「誰とって・・・父ちゃんはいつも1人・・・アッーーー」

(´・ω・`)「そう、君のお父さんは1人で船を操ってる
            クー・ニートって言う人は、君の亡くなったお母さんの名前だよ」

(;'A`)「・・・・お母さん?」


35 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 17:59:42.85 ID:lpDBgokG0

ドクは終わりと始まりの年から5年後にコロニーで産まれた。
だが、産まれてこのかた母を写真ですら見たことが無い。

父ちゃんからは『お前が産まれてすぐに死んだ』と聞かされていた。


(´・ω・`)「そう、君のお母さんはドクオさんと並んで凄腕のダイバーだった。
            冷静沈着で判断力もある、すばらしいダイバーだったと聞いている」

('A`)「・・・・。」

産まれて初めて自分の母の話を聞く。
父は語ってくれなかったし、自分も聞こうと思わなかった。

('A`)「・・・どうして・・・死んだんだろう・・・?」

(´・ω・`)「それはドクオさんに聞くべき事だろうね。
         僕もこんな話をしてしまっていいものか分からないけど、
              君は聞く権利があると思うからね」

('A`)「そうですか・・・」

36 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 18:00:40.08 ID:lpDBgokG0

(´・ω・`)「これも言っていいかわからないけど、ドクオさんが稼いだお金は
          生活費を残して、ほぼ全部僕の父の研究費に寄付してるらしい」

('A`)(だから貧乏だったのか)

(´・ω・`)「まぁ、ちょくちょくここに遊びにおいでよ
        整備から操作まで、基本的な事はいつでも教えてあげるよ」

(*'A`)「ありがとうございます!また絶対遊びに来ますね」

(´・ω・`)「うんうん、次来た時は僕の相棒も紹介するよ。
         うるさい奴だけどね」

(*'A`)「よろしくお願いします!」


ドクは深々と頭を下げると、宝物を見つけたかのように
意気揚々と走って行った。

37 :◆3m0SptlYn6:2006/12/31(日) 18:02:15.69 ID:lpDBgokG0

(´・ω・`)(何のために飛ぶ・・・か・・・
          彼は見つけられるだろうか・・・)


ドク17歳、偉大だが貧乏でぶっきらぼうなダイバー、ドクオを父に持つ少年。
終わりと始まりの年から22年、歯車が噛み合いだす。


第2話    〜完〜

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