2 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:27:38.73 ID:wWrqVMh70

〜第7話〜



( ,,゚Д゚)「そこはそうじゃねぇって言ってんだろゴルァ」

(;'A`)「はひ、すみません」


ギコによる実地訓練。

これは名ばかりで、実際はギコの作業手伝いだった。
まさにアルバイト。


( ,,゚Д゚)「いいか、ここでレバーを引いちまうと機体が安定しねぇ。
         タイミングは機体が平行になった時だ」

(;'A`)「はひ、了解しました」

3 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:30:05.27 ID:wWrqVMh70

回収品の移送。
各部がレールで繋がっているとは言え、
『外』での活動がまったく無い訳ではない。

特に回収品を集めて、売りに出す『市場』は
レールでの運搬が不可能になっている。

そこへ作業用の機体を使って回収品を納める作業は
ダイバーにとってごく普通の作業だ。

それに加え、ギコのような回収品の多い乗り手だと
何往復もしなければならないため、時間も手間もかかる。

まさにドクはその手伝いをしている状況だった。

5 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:33:19.97 ID:wWrqVMh70

( ,,゚Д゚)「よし、大分慣れてきたな。俺も別機で作業する。
         言った事を復習しながら1人でやってみろ」

(;'A`)「え〜、ギコさんもっと教えてくんないの?」

( ,,゚Д゚)「一通りは教えた。後は慣れが重要だ。
          その先の操作の仕方はこれが終わったら教えてやるよ」

('A`)「はぁ〜い」


ドクも筋がいい。
初めて『外』で機体を操っていたが、
たった1日でコツを掴んでしまった。


( ,,゚Д゚)(流石に飲み込みが早いな、本人は気づいてないみたいだが)

('A`)(ギコさんは教え方も大雑把だからなぁ、まだ不安だ)


ギコも単独で作業するため、もう1台の船に乗り込む。


6 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:37:09.85 ID:wWrqVMh70

( ,,゚Д゚)『ドク、聞こえるか?』

('A`)『はい、聞こえてますよ』

( ,,゚Д゚)『俺が先にやるから、お前も続いてやってみろ。
          それから、この回線は開けたままにしとけ』

('A`)『了解です』


ギコに続き、見よう見まねでドクも運搬業務をこなす。
作業用の船なので、電脳コンピューターは付いてないし

操作も単純で難しい事は無かったが、
ドクにとって、勉強になることは多かった。

そして何より、ちゃんとした船ではないが、『外』で機体を操るということは
今のドクには楽しくてしょうがなかった。

7 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:39:50.94 ID:wWrqVMh70

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2日後
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レオパルト


マザーCP「コロニーに到着、着艦待ちはありません」

ノノ'A`)「良し、直ぐに着艦する。」

マザーCP「着艦申請打診・・・受付完了、No7に着艦します」


ドクオが帰還した。
直ぐにドクにも連絡が入り、ギコとの作業訓練途中だったが
早めに切り上げ、父を迎えに行った。


8 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:41:54.70 ID:wWrqVMh70

('A`)「父ちゃんお帰り!」

ノノ'A`)「おぉ、ドクか。ただいま」

('A`)「4日間なんて随分長いフライトだったけど、なんかいい回収品はあった?」

ノノ'A`)「はは、今回はゼロだ」


ドクはあっけらかんとして言うドクオに
『本当にNo1ダイバーなんだろうかと疑ってしまう』

10 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:44:10.80 ID:wWrqVMh70

(;'A`)「ゼロって父ちゃん・・・」

ノノ'A`)「まぁ、回収品よりも面白いものを拾ってきた」


その言葉にドクが眼を輝かせる。


(*'A`)「面白いもの!?何?何?」

ノノ'A`)「ほら」


ポイッとドクオは懐からベレッタを取り出し、ドクに投げる。


11 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:46:25.86 ID:wWrqVMh70

('A`)「・・・・これは何なの?」

ノノ'A`)「ベレッタって言う、父ちゃんが昔、地球にいた頃に使ってた銃だ」

('A`)「面白いものって・・・これ?」

ノノ'A`)「まぁ・・・そんなとこだな」

('A`)「そう・・・」

ノノ'A`)「・・・」


ドクはショボンの家の回収品や、ギコの手伝いで同じくギコの回収品も見ている。
どう見ても父が持ってきたものは、それ以下・・・というか比べ物にならない物だった。

12 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:48:45.83 ID:wWrqVMh70

('A`)「あ、そうだ。今ギコさんの作業の手伝いをやってるんだ。
        それにショボンさんからも、色々教えてもらってたよ」

ノノ'A`)「そうか、後で2人には俺から礼を言っておく」

('A`)「うん・・・・もう・・・・手伝いに戻らなきゃ」

ノノ'A`)「あぁ、そうしなさい。今日は家に戻ってくるんだぞ?」

('A`)「はい、じゃぁまた後で」


ドクは父にもっと聞いてもらいたい話があった。
そして、色々聞きたいこともあった。

しかし、テンションがガタ落ちしてしまい
聞く気も話す気も失せてしまっていた。

13 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:51:32.67 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「・・・」


一方ドクオは、そんなドクを尻目に荒巻教授の研究所を尋ねた。


ウィィィィ・・・・・イイイン


(`・ω・´)「あっ、ドクオさんお帰りなさい」

ノノ'A`)「やぁシャキン、教授はいるかい?」

(`・ω・´)「はい、奥の部屋で設計図を書いています」

ノノ'A`)「そうか、ありがとう」


14 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:53:41.27 ID:wWrqVMh70

ドクオは奥の部屋へと歩を進める。


ノノ'A`)ノ「やぁ、教授」

/ ,' 3 「お、ドクオ君戻ったかね」

ノノ'A`)「今回も色々済まなかった、礼を言う」

/ ,' 3 「いや、何。ドク君が居てくれたほうが、明るくてこっちまで若返った気分になるよ」

ノノ'A`)「それと、少々お願い事があるんだが?」

/ ,' 3 「ん?新しいパーツの事かね?」

ノノ'A`)「いや・・・その」


15 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:56:36.03 ID:wWrqVMh70

ドクオは間が悪そうにシャキンを見て言った。


ノノ'A`)「シャキン済まない、席を外してくれるか?」

(`・ω・´)「?はい・・・わかりました」


シャキンが不思議そうに部屋から出て行く。


/ ,' 3 「シャキンには聞かせられない内容かね?」

ノノ'A`)「あぁ、教授。あんたを見込んで一つ頼みたい事がある。」


そう言ってドクオはあの『日記』を取り出した。

17 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 18:57:55.71 ID:wWrqVMh70

/ ,' 3 「日記?しかも随分古い物だね」

ノノ'A`)「教授、クローン技術を今回だけ俺のために使ってくれないか?」

/ ,' 3 「!!!!!????」


/ ,' 3 「ク、クローン?何の事かね?」

ノノ'A`)「隠さなくてもいい、教授が表向きはパーツ開発者って事になってるが、
          俺は本業のほうまで知っている。」

/ ,' 3 「一体どこで・・・」

ノノ'A`)「何処だろうとこの際いいだろう。
       金は今まで寄付したものから使ってくれていい」

/ ,' 3 「・・・・」

ノノ'A`)「頼む・・・」


沈黙が流れる。
その間を破ったのは、荒巻の溜息だった。

18 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:02:30.22 ID:wWrqVMh70

/ ,' 3 「やれやれ、確かに僕の本業はクローン技術の開発だ。
         政府の機密保持能力を疑ってしまうね」

ノノ'A`)「やってくれるか?」

/ ,' 3 「個人的には、力になってあげたいが正直に言おう。
          まだクローン技術は完成していない。成功した事がないのだよ」

ノノ'A`)「・・・」

/ ,' 3 「政府にも早く成功させろとうるさく言われてるんだがね」


やれやれと言った様子で荒巻が話す。
しかし、次のドクオの言葉でその表情は厳しいものへと一変する。

19 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:05:07.09 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「この日記に挟まっていた髪の毛。
         これは内藤ホライゾンという男のものだ」

/ ,' 3 「・・・何度も言ったろう、まだせいk」


荒巻の言葉を遮り、ドクオは続ける。


ノノ'A`)「この男は『終わりと始まりの年』に地球には存在していなく、
         且、その当時18歳だった」

/ ,' 3 「!!!!」

ノノ'A`)「当時の宇宙飛行士だよ」

/ ,' 3 「ドクオ・・・・君は何処まで知って・・・」

ノノ'A`)「俺のことなんざどうでもいい。この条件でクローン化できるのか否か」

/ ,' 3 「・・・僕の理論では・・・・可能だ」


ドクオは研究者にとっての探究心・興味を鷲掴みにする一言を放つ。

20 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:08:41.16 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「教授、ギブアンドテイクだ。俺はこの髪の毛のDNAと研究資金を提供する。
      変わりにこの髪の毛の持ち主を再生してやってくれ」

/ ,' 3 「・・・本気・・・かね?」

ノノ'A`)「勿論、データは教授が保管してもらって構わない。
       これによって、教授の研究が大幅に進むんじゃないか?」


荒巻にとって非常に魅力的な提案だった。
例え、例外的な存在であっても、クローン化に成功すれば
今後の大きな参考になる。


/ ,' 3 「いいだろう・・・君の頼み聞き入れよう」

ノノ'A`)「教授・・・一つだけ約束して欲しい」

/ ,' 3 「なんだね?」


22 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:11:42.14 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「こいつを一度クローン化に成功したら、
       2度はしないで、即髪の毛を廃棄してくれ」

/ ,' 3 「2人は再生するな・・・そういうことかね?」

ノノ'A`)「そういうことだ」

/ ,' 3 「・・・了解した。1人でも貴重なデータが採れる。君の言うとおりにしよう」

ノノ'A`)「・・・ありがとう・・・」


ドクオはそれと日記に貼ってあった写真を手渡す。

23 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:13:43.26 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「当時18歳の彼だ。見た目なんかもそのままで頼む」

/ ,' 3 「了解した、整形は問題ない。
       いつでも実験可能な状態にしてあるから今からでも取り掛かろう」

ノノ'A`)「無理を言って・・・すまない」

/ ,' 3 「いや、僕にとっても魅力的な提案だったしね。
        ただ一つだけ教えてくれ」

ノノ'A`)「なんだ?」

/ ,' 3 「僕がクローンの技術開発者だと知った上で、資金を寄付していたね?」

ノノ'A`)「ああ」

/ ,' 3 「本当は・・・何のために僕を『使う』つもりだったんだい?」


24 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:15:23.78 ID:wWrqVMh70
ノノ'A`)「・・・クー・・・いや、失った片翼を取り戻すためさ」

/ ,' 3 「・・・そうか・・・まだ彼女の事を・・・」

ノノ'A`)「っと、ここまでだ。もし成功したとして、いつ頃の予定だ?」

/ ,' 3 「現状況でほぼ理論は完成してるつもりだ、今からやれば明日にでも結果は出るよ」

ノノ'A`)「そうか、明日また来る」

/ ,' 3 「解った」


ドクオはそう言うと振り返らず部屋を後にする。


/ ,' 3 「・・・クー・・・か」


荒巻はそう呟くと、早速実験へと移った。



第7話    〜完〜

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