- 3 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:24:34.65 ID:TtF/c2Tj0
- 〜第11話〜
( ^ω^)「おあようだお」
('A`)「ブーンおあようww」
ノノ'A`)「おはよう だ2人とも」
あれから1週間、ブーンは凄まじい早さで成長していた。
ドクには『父親を亡くした記憶喪失の少年』と説明し、
ドク本人もまるで弟ができたかのように、ブーンの世話をしている。
ドクオはと言うと、ここ最近はフライトの期間を空け
ブーンの教育時間を割いていた。
- 4 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:27:31.04 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'A`)「ドク、今日もショボンの所へ行くのか?」
('A`)「うん!今日は機体の設計を教えて貰いに行くんだ!」
ノノ'A`)「もう設計まで学んでるのか…随分と早いな」
(*'A`)「えへへwwダイバーになる日も近いよww」
( ^ω^)「だいヴぁー」
ノノ'A`)「…」
ドクオはもう、ドクのダイバーへの道を止められないでいた。
今まで自由奔放に育てて来たが、ダイバーの勉強だけはさせないでいた。
しかし、ドクはもう自分で歩き始めている。
- 5 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:28:53.66 ID:TtF/c2Tj0
(*'A`)「申請の時は父ちゃん、後見人になってよねww」
ノノ'A`)「むぅ…」
( ^ω^)「ぶーんもだいヴぁー」
('A`)「お前はまだ早いッ!」
( ;ω;)「お…」
ノノ;'A`)「それは俺の台詞なんだが…まぁいい。
ドク、今日はショボンの所へ、ブーンも連れて行きなさい」
- 7 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:31:27.74 ID:TtF/c2Tj0
(;'A`)「えー、でも…」
ノノ'A`)「今日はヤボ用があってな、出かけなきゃならん」
( ^ω^)「おっおっどくとあそぶお!」
(;'A`)「遊びじゃないんだがなぁ…」
ノノ'A`)「そういう訳だ、頼んだぞ」
ドクは渋々了承し、ブーンを連れてショボンの家へ行く。
ブーンはまるでお兄ちゃんに遊んでもらえる子供のようにはしゃいでいた。
- 8 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:34:15.45 ID:TtF/c2Tj0
('A`)「いいか、ショボンさんは俺の師匠だ、失礼のないようにな?」
( ^ω^)「おっおっ、ししょー?」
('A`)「そうだ、俺の先生ってとこだな」
( ^ω^)「おーーい」
コンコンと扉を叩き、返事も確認せずにドクはショボンの家に入り込む。
('A`)「こんにちは〜」
( ^ω^)「こんこん〜」
(;´・ω・`)「やぁ、いらっしゃい・・・来るのは解ってたが、チャイムくらい押そうね」
- 9 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:36:04.27 ID:TtF/c2Tj0
('A`)「俺とショボンさんの仲じゃないですか〜」
(´・ω・`)「ま、いいけどさ・・・・で彼は?」
( ^ω^)「こんこん〜」
('A`)「あ、うちに居候してるブーンです」
(´・ω・`)「居候ねぇ・・・今日は彼も勉強に?」
('A`)(あ、いえ。ブーンは記憶喪失で、幼児退行してるんです。
今日はお守りで・・・)
ドクがブーンに聞こえないようにボソボソと耳打ちで話す。
- 11 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:39:39.84 ID:TtF/c2Tj0
( ^ω^)「?」
(´・ω・`)「わかったよ、危ない機械がいっぱいあるから大人しくね」
('A`)「はい、邪魔はさせないようにします」
_
( ゚∀゚)「おっ、ドク来たか。早速でわりぃがコーヒー淹れてくれ」
('A`)「了解っす」
( ^ω^)「おっ」
_
Σ( ゚∀゚)「っ、なんだそのニコニコした奴は」
(´・ω・`)「ドクの弟みたいな人らしいよ」
_
( ゚∀゚)「弟かぁ・・・ドクオさんの隠し子ね」
(;´・ω・`)「言葉理解しろよ・・・」
- 12 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:43:02.15 ID:TtF/c2Tj0
- _
( ゚∀゚)「まぁいいや、よろしくな!俺はジョルジュだ」
(´・ω・`)「そう言えば僕も紹介がまだだったね、ショボンだよろしくね」
( ^ω^)「しょぼ〜ん、じょじょ!よろしくだお」
_
(; ゚∀゚)「じょじょ・・・」
ドクがいい香りのコーヒーを3つ持ってくる。
ブーンにはホットミルクだ。
(´・ω・`)「よし、一息入れたら始めようか」
(*'A`)「はい、お願いします」
ドクはショボンとジョルジュから機体の組み立て方、
設計まで実機と図面を見ながら、事細かに教えてもらっていた。
ブーンもドクに「邪魔するなよ?」と言われていたことから
黙って一緒に説明を聞いていたのだった。
- 13 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:45:06.59 ID:TtF/c2Tj0
|
|
BAR 【VIP】
|
|
カランコロン
鈴の音が心地よく響き、一人の男が入ってくる。
ミ,,゚Д゚彡「やぁ、いらっしゃい。久しぶりだね」
髭を蓄えた、ガタイのいい男がコップを拭きながら言う。
- 14 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:45:42.68 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'A`)「あぁ、1年振り位か」
ミ,,゚Д゚彡「ドクも君も相変わらず元気かい?」
ノノ'A`)「あぁ、何の変わりもないよ」
軽い挨拶を交わしながら、ドクオはカウンターに腰掛ける。
店内に客は誰もいない。
ノノ'A`)「お前も相変わらずだな」
ミ,,゚Д゚彡「まぁね、趣味でやってるようなもんだしね」
ノノ'A`)「そうか、ウィスキーをくれ。ロックでな」
ミ,,゚Д゚彡「へぇ・・・ドクオ今日は飲むんだ?なんかあった?」
ノノ'ー`)「何もないさ、たまには酒もいい」
ミ,,゚Д゚彡「ふ〜ん」
- 15 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:46:53.74 ID:TtF/c2Tj0
マスターらしき男は右手一本、手馴れた様子でグラスをカウンターに置く。
ノノ'A`)「まだ付けてないのか」
ミ,,゚Д゚彡「うん、僕には必要ないよ」
髭の男は左腕が無かった。
服も左腕の部分は、力なく垂れ下がっている。
ノノ'A`)「いい技師紹介するぞ?」
ミ,,゚Д゚彡「いいんだ、これは自分への戒めだ」
この時代、機械の腕は勿論ある。
脳波や、腕の付け根の微妙な筋肉の動きを感知し、
ほぼ思い通りに動いてくれる代物。
腕や、足が機械の義手、義足をはめている者は決して少なくなかった。
- 16 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:48:02.66 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'A`)「そうか。ところでフサ」
ミ,,゚Д゚彡「ん?なんだい」
フサと呼ばれた男。本名をフサギコと言う。
古いダイバーであれば殆どの者が知っているであろう。
ノノ'A`)「まだ、地球・・・VIPにいた頃に居た、ブーンを覚えてるか?」
ミ,,゚Д゚彡「ブーン・・・・?」
フサギコは少々考え込み、すぐに手のひらをポンッと打った。
ミ,,゚Д゚彡「あぁ、内藤かぁ!覚えてる、覚えてるよ」
ノノ'A`)「・・・」
- 17 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:50:32.63 ID:TtF/c2Tj0
ミ,,゚Д゚彡「なんにしろあいつはVIP時代はNo1だったからな・・・」
その台詞を吐いたとき、フサギコはハッとした顔で言いなおす。
ミ;,゚Д゚彡「い、いや。一番は君・・・ドクオだったか」
ドクオはフフと笑い言い返す。
ノノ'A`)「いや、No1はあいつだったよ」
ミ;,゚Д゚彡「・・・・」
ノノ'A`)「俺はVIP時代、がむしゃらに勉強した。
恐らく同期の中では一番勉強しただろうな」
- 18 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:52:03.88 ID:TtF/c2Tj0
ドクオはウィスキーを一口飲み、さらに続ける。
ノノ'A`)「その結果の成績TOPだったんだろうよ。
だが、ブーンは違った。あいつは同期の中でも、勉強は一番してない」
ミ,,゚Д゚彡(そういや、見た事ないかも)
ノノ'A`)「だが、それでも成績は常にNo2、実技に至っては他を圧倒してた。
総合成績では俺が1番だったが、才能と応用力は比じゃなかった」
ミ,,゚Д゚彡「・・・」
ノノ'A`)「誰も、俺をNo1とは思ってなかったろうな、自分を含めて・・・な」
ミ,,゚Д゚彡「嫉妬・・・か?」
- 19 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:53:18.44 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'∀`)「はは、あいつに嫉妬した事は一度もないよ。
おれ自身認めていたし、なにより・・・親友だった」
ミ,,゚Д゚彡「そうか・・・確か内藤は、同期で最初にフライトしたんだっけな」
ノノ'A`)「あぁ、そして・・・戻っては来なかった・・・」
ミ,,゚Д゚彡「・・・」
しばしの静寂がバーを包む。
- 21 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:55:45.95 ID:TtF/c2Tj0
ミ,,゚Д゚彡「俺は万年3位だったがな」
フサギコがまるで自虐するかのように言う。
それはドクオ・ブーンと比較するからこその自虐であり、
実際には、相当優秀であったろう。
ノノ'A`)「はは、今じゃガラガラのバーのマスターだがな」
ミ,,゚Д゚彡「ふふ、そこに来る君もまともじゃないけどね」
ドクオはウィスキーを飲み干し、カタンとカウンターに置いた。
- 22 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:57:44.90 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'A`)「邪魔・・・したな」
ミ,,゚Д゚彡「いや、構わないよ。だけど、最後にひとつだけいいかい?」
ノノ'A`)「・・・なんだ?」
ミ,,゚Д゚彡「なんでまたVIPの頃の話なんか?
その手の話は君は一番嫌ってたはずだと思ってたけど」
ノノ'A`)「・・・今」
ミ,,゚Д゚彡「今?」
- 23 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 19:59:37.38 ID:TtF/c2Tj0
ノノ'A`)「今もし仮に、ブーンが生きていたとしたら
どうなってたのか・・・なんてな」
ミ,,゚Д゚彡「・・・その過程で話したとしても、君らは親友だったんじゃないか?
そして、君も相変わらずNo1を守っていたろう」
ノノ'A`)「今でも・・・親友・・・か」
ミ,,゚Д゚彡「・・・いつまで『飛び』続けるんだい?No1じゃなくなるまでかい?」
ノノ'A`)「・・・別に・・・回収ランキングだとか、No1ダイバーなんてどうでもいいんだ。
だが・・・俺は飛ばなきゃならん・・・理由がある」
ミ,,゚Д゚彡「・・・何のために飛ぶ・・・か」
ノノ'A`)「お前は降りて・・・正解だったと思うよ。
降りた奴、全員に言える事だがな」
ミ,,゚Д゚彡「・・・」
ノノ'A`)「俺のように・・・ならないうちに・・・な」
ドクオの言葉がどこか悲しくそして寂しく、フサギコには聞こえた。
- 24 :◆3m0SptlYn6:2007/01/14(日) 20:01:06.83 ID:TtF/c2Tj0
ミ,,゚Д゚彡「同期の生き残りも僕ら2人だけだ、また来てくれよ」
ノノ'A`)「あぁ、また・・・・な」
カランカラン
入ってきた時と同じ音ではあったが、
空しく鈴が鳴った。
第11話 〜完〜
次へ/
戻る