- 3 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:30:45.73 ID:gfAafa5n0
- あらすじ
ドクとブーンは晴れて正規ダイバーとして初フライトに出た。
回収に選んだ地域は、政府で危険地域に認定されている場所であったが、
経験の無さを補って余る技量でなんとか回収品をGET!
だが、回収品を接続して大きくなった機体。
この状態で帰還する、これこそが最大の難関だった。
- 4 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:31:44.08 ID:gfAafa5n0
- ( ^ω^)のMemories
第27話
減速、加速、急旋回。
息の間を付かずに迫り来る隕石。
次々と要求される操作に、二人は段々と余裕を無くしていった。
ξ゚听)ξ「障害物、約50接近」
(;'A`)「わ、分かった」
(;^ω^)「把握したお」
全神経を使って船の操縦に専念する。
- 5 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:33:38.46 ID:gfAafa5n0
ダイバーの心得として、
【いつ、いかなるときも冷静に状況を把握すべし】
という教訓がある。
だが経験の浅い二人には、その余裕は無かった。
致命的なミスに気付かず・・・
- 7 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:34:27.55 ID:gfAafa5n0
ξ゚听)ξ「現在座標γ6825,12774」
('A`)「よし、もうちょいだ。
頑張ろうぜブーン」
( ^ω^)「了解」
2人はあらかた隕石が密集した危険地域を抜け、
目的の安全地帯まで、後少しのところまで来ていた。
が、その時。目の前で隕石同士が衝突し、
進路を変え、こちらに向かってくるのが見えた。
- 8 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:35:17.25 ID:gfAafa5n0
ξ;゚听)ξ「ッ!進行方向に障害物急接近!」
(;'A`)「しまった!ツン、エンジン逆噴射!
緊急停止だ」
ξ;゚听)ξ「了解!」
完全に油断した。
目的地が近づき一瞬気が緩んだ。
眼前に巨大な隕石が迫ってくる。
もう今更ハンドルを切っても間に合わないだろう。
激突する前に止まるしか道はない。
(; ゚ω゚)「間に合ってくれおぉぉぉ!」
(;゚A゚)「うおぉぉぉ!」
- 9:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:36:08.63 ID:gfAafa5n0
ゆっくりと機体をかすって、目の前を隕石が通りすぎていった
(;゚A゚)「ま、間に合った・・・」
( ゚ω゚)「死んだと思ったお・・・」
ξ゚听)ξ「停船完了」
- 10 前:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:36:49.91 ID:gfAafa5n0
(;'A`)「一瞬でも気を抜いちゃダメだな、うん」
(;^ω^)「まだ心臓がバクバク言ってるお」
ξ゚听)ξ「私に傷でも付いたらどうしてくれるのよ!」
('A`)「あぁ、すまんすまん。マジでびびったぜ」
( ^ω^)「でも本当にあとちょっとだお!」
('A`)「さ、行こうか。ツン、エンジン起動だ」
ξ゚听)ξ「了解」
カスン
- 12 前:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:37:33.88 ID:gfAafa5n0
('A`)「・・・」
ξ゚听)ξ「・・・」
(;^ω^)「ツン?」
カスン
(;^ω^)「・・・」
ξ゚听)ξ「エンジン起動不可能、燃料が確認できません」
( ^ω^ )「・・・」( 'A` )
ΩΩ< なんだってー
- 13 前:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:38:05.99 ID:gfAafa5n0
ξ゚听)ξ「コッチミンナ」
(;^ω^)「ちょ、ちょ、どう言う事だお?」
(;'A`)「そうだ、計算では後丸一日分以上は残ってるはずだ」
ξ゚听)ξ「ワタシキカイ、ワカリマセーン」
(;'A`)「ちょ・・・あ、本当に燃料空だ」
ドクが燃料のメーターを指差して言う。
ξ;凵G)ξ「なによぅ!そうよ、私のミスよ!
マザー失格だわ、廃棄なり壊すなり好きになさいよ!」
(;'A`)「おいおい・・・」
(;^ω^)「廃棄というかそれ以前に・・・帰れないお」
ξ;凵G)ξ「わあぁぁあん」
- 14 前:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:38:56.21 ID:gfAafa5n0
そう、初心者ダイバーにある過ち。
ペース配分ができないのだ。
発進や停止、旋回を繰り返すと、
当然の如くエンジンに付加がかかり、燃費は悪くなる。
普通に飛んで5日分の燃料が、
4日や3日で無くなるのはよくある事なのだ。
(;'A`)「迂濶だった・・・すっかり見落としてたぜ」
ξ;凵G)ξ「うっ、うっ、ごめんなさい」
(;^ω^)「ツンだけの責任じゃないお、見落としてたボクたちにも非はあるお」
ξ;凵G)ξ「でも・・・どうするのよ?」
('A`)「仕方ない、これはやりたくなかったけど・・・」
ξ;凵G)ξ「?」
('A`)「ツン、救難信号を発信してくれ」
- 15 前:◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:40:02.12 ID:gfAafa5n0
救難信号は広域にSOS信号を発信すると共に、
コロニーのダイバーセンターに直通で送信される。
そして、センターから委託された業者やダイバーが、有料で回収に来る。
ただ、めちゃくちゃ料金が高額な上、
回収者が回収される側になるため、生き恥を晒すも同然だった。
ξ;凵G)ξ「救難信号発信」
('A`)「まぁ、やっちまった事はしょうがねぇ。
ゆっくり待とうぜ」
( ^ω^)「そうだお、くよくよするのは性に合わないお」
レオパルトは沈黙したまま無限なる宇宙を漂う事となった。
- 16 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:40:55.57 ID:gfAafa5n0
〜その頃〜
マザー「進路異常無し」
( ,,゚Д゚)「よし、このままこの星雲を抜けるぞ」
(*゚ー゚)「今回も順調だったわね」
ビーッビーッビーッ
突如けたたましいアラームが鳴り出す
- 17 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:41:37.94 ID:gfAafa5n0
マザー「SOS、救難信号受信」
( ,,゚Д゚)「かぁ〜誰だよ、こんなとこで遭難する奴ぁ」
(*゚ー゚)「どうする?無視する?」
( ,,゚Д゚)「規定もあるし、一応確認しとくか」
(*゚ー゚)「了解、マザー目標を信号発信源に変更」
マザー「了解、発信源特定。到着予定時刻は5分」
( ,,゚Д゚)「ったくよ…マザー、発信源に無線繋げるか?」
マザー「無線発信、応答有。回線27000に接続」
- 18 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:42:47.23 ID:gfAafa5n0
)─wwヘ√レvv〜─!
ξ゚听)ξ「あ、返信来たわ」
('A`)「お、協会か?対応早いな」
『あーあー、聞こえるか?』
('A`)「はい、聞こえてます」
『救難信号を受信した者だ、ダイバー登録番号と機体名を言え、照会する』
('A`)(協会じゃないのか)
「機体名レオパルトU、ダイバーNoは27000です」
『!!』
- 21 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:43:42.78 ID:gfAafa5n0
( ^ω^)「同じく、ダイバーNo27001ですお」
『……』
('A`)「すみません、助かりました」
『…お前ら…』
('A`)「はい?」
『何で、ここを危険地域に規定されてるのか分かってるのか?』
(; ^ω^)「え…と、隕石群が密集してて、危険だから?」
『はん、この程度の隕石群で危険だと?』
(;'A`)「この…声は…」
通信先から、今度は女の声が聞こえてくる
{ ここはね、コロニーからの無線通信の圏外地域なのよ }
- 22 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:44:43.68 ID:gfAafa5n0
(;'A`)「なっ!」
『要するにだ、こんなとこでSOS発信しても意味ねーんだよ』
{ そうそう、ここで頓挫したら運よく誰かが通らないと、一環の終わりって事ね }
確かに、新人ダイバーにしては並外れた技術がある2人とは言え、
ベテランすら迂闊に近づかない地域を易々と乗り越えられるはずが無い。
何かしら、他の危険があると考えるべきであった。
(;'A`)「そうだったんですか…でもギコさんが通りかかってくれて本当に助かりました」
{ はて?この船にギコなんて人乗ってたっけー? }
- 24 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:47:46.05 ID:gfAafa5n0
(;'A`)「んなっ!しぃさん!」
『……』
{ 成績を引き継いで現在TOPのドク君。
私たちもTOPになりたいから居なくなってくれると助かるよねー }
(; ^ω^)「そんな…成績だとかTOPだとか…命が掛かってるんだお!
それにダイバー規定に大きく違反するお」
(;'A`)「そ、そうだ。権利剥奪レベルの違反ですよ」
SOS信号を無視した場合、発信者がどうなろうと大きな罰則が科せられる。
だがそれは、あくまで協会が確認可能な場合にのみ。
{ さて、さっきも言ったよね?ここは通信圏外地域。
この後誰かが君たちを見つけてくれるのかなー? }
『……』
ξ;゚听)ξ「ちょ…」
(;'A`)「ギコさん…なんとか言ってください」
- 25 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:49:10.98 ID:gfAafa5n0
『…ドク』
(;'A`)「……」
その先には、信じられない一言が待っていた。
『 こ こ で 、 ダ イ バ ー 権 利 を 放 棄 す る な ら 助 け て や る 』
(;'A`)「馬鹿な…」
- 27 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:50:23.89 ID:gfAafa5n0
父ちゃんに憧れて、父ちゃんみたいになりたくて
恥と知りながらも、父ちゃんの意思を継いで
今 更 船 か ら 降 り る?
('A`)「…分かりました」
『……』
- 28 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:51:24.31 ID:gfAafa5n0
('A`)「このSOS信号は受信しなかった事にしてください」
ξ;゚听)ξ「ッ!」
('A`)「俺は…俺たちはドクオ・ニートの誇りを背負って飛んでます。
誇りを捨てるくらいなら俺は…覚悟はできてます」
『そうか…幸運を祈る』
(; ^ω^)「待っ…」
ξ゚听)ξ「回線切断…されたわ」
窓から白い光が一直線に遠ざかるのが見えた。
('A`)「すまない。俺の意地で…」
- 29 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:53:11.43 ID:gfAafa5n0
ξ;゚听)ξ「な、何言ってんのよ、艦長の判断でしょ!
自信を持ちなさい」
(; ^ω^)「そ、そうだお。食料も後2日分は残ってるお。
その間に誰かが通りかかるかもしれないお」
('A`)「そう祈るしかない…か」
ドクには譲れない物があった。
父の口癖だった言葉
『俺には俺の道がある』
知らず知らずのうちに、その思考はドクへと受け継がれ浸透していた。
だが、少なからず己の信念に基づき行動した場合、
その結果の全責任を自らが背負う。
今回は、他人の命まで…。
('A`)(父ちゃん…俺の信念…間違ってる?
教えてよ…)
- 30 :◆3m0SptlYn6:2007/04/03(火) 22:54:33.34 ID:gfAafa5n0
〜〜〜〜〜
(*゚ー゚)「これで、予定通り私たちがTOPね」
( ,,゚Д゚)「…あぁ」
(*゚ー゚)「一時はどうなるかと思ったけど、思ったより早くケリがついて良かったわ」
( ,, Д )「そうだな」
(*゚ー゚)「ギコ…私たちにも信じる道があるのよ」
( ,, Д )「分かってる…マザー帰還する」
マザー「座標をコロニーに設定、到着予定時間は8時間」
〜〜〜〜〜
そして2日が…過ぎた
第27話 〜完〜
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