11 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:37:03.36 ID:OnVgoLEl0

30話



翌日、ブーンも薬を貰って退院した。

あれ以来、まだ発作は起きていない。


二人でレオパルトUの整備をしていたが、
ひとつ問題点があった。


( ^ω^)「ツン!応答するお」


そう、ツンが相変わらず出て来ないのだ。



13 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:41:17.33 ID:OnVgoLEl0


('A`)「ツン、俺もブーンも怒っちゃいねーぞ?」

( ^ω^)「むしろ、ツン以外のマザーで、
       フライトなんて行きたくないお」


いくら問掛けても返事は無い。


('A`)「完全にヘソを曲げちまったな」

(;^ω^)「違うお、ツンは…責任を感じてるんだお」

('A`)「でもよ…どうする?」

(;^ω^)「うーん…」


説得しようにも話せないんじゃ意味が無い。


15 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:43:30.03 ID:OnVgoLEl0


( ^ω^)「!そうだお!」

('A`)「ん?」

( ^ω^)「ショボンさんなら何とかしてくれるお!」

(;'A`)「あのなぁ…良く考えてみろ。
     この核は勝手に持ってきた、いわゆる盗品だぜ?」

(;^ω^)「あ…」

('A`)「今更どう説明するんだよ」

(;^ω^)「うー…でもこのままツンと飛べないのは嫌だお!
        他に方法が無いならやるしか無いお」

(;'A`)「でも…なぁ」



17 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:46:04.46 ID:OnVgoLEl0

確にメカニックにたけているショボンさんなら、なんとかなるかもしれない。

だが父の事件以来会っていない気まずさと、
自分の意地が邪魔をして決断を鈍らせていた。


(#^ω^)「ドク!いい加減にするお!
       ショボンさんは何も悪くないお!」

('A`)「ブーン…」

( ^ω^)「もう…家族を失うのは嫌なんだお」


家族という言葉を聞いて、あの時の記憶が沸々と蘇ってくる。


20 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:49:56.01 ID:OnVgoLEl0


('A`)「そう…だよな…家族…だよな」

( ^ω^)「……」

('A`)「俺が悪かった、ショボンさんに…会いに行こう」


意地と意思は違う。


二人はショボンの家へと向かった。


(;'A`)「うー、いざってなると緊張してきた。
     駄目だ、ブーン頼む」

(;^ω^)「やれやれだお」


ピンポーン

ブーンがチャイムを鳴らす。



23 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:52:22.11 ID:OnVgoLEl0


(´・ω・`)「はいはーい」

( ^ω^)「こんにちはですおー」

(´・ω・`)「おや、懐かしい顏だね」

('A`)「あの…その…」

(´・ω・`)「おお、ドクもいらっしゃい。
        まぁ入ってよ」

(;'A`)「あっ、えっ、はい」


重い、気まずい空気になると思っていた。

だけど、あっさりした対応に拍子抜けしてしまう。


27 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:54:10.90 ID:OnVgoLEl0


  _
( ゚∀゚)「おードク!来たんならコーヒー入れてくれ。
       ショボンのは不味くてよぉ」

(;'A`)「あっ、はい」


何が何処にあるのか体が覚えていた。

そして以前と同じ様に接してくれる二人。

背を向けたまま、涙を流した。


('A`)「はい、どうぞ」


テーブルにはいい香りのするコーヒーが4つ。

全員、無言のまま口を付けた。



30 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:57:11.25 ID:OnVgoLEl0


(´・ω・`)「うん、やっぱり美味しいね」

(;^ω^)「苦いお」

  _
( ゚∀゚)「おこちゃまだな、ははは」

(´・ω・`)「さて…」


ショボンが間を置く。


(´・ω・`)「今回は大変だったね」

('A`)「お恥ずかしい限りです」

  _
( ゚∀゚)「同じことを繰り返さなきゃいーのよ」

(´・ω・`)「それで、今日の用事は?
        遊びに来ただけじゃないだろう?」


34 :◆3m0SptlYn6:2007/05/09(水) 23:59:50.74 ID:OnVgoLEl0

('A`)「……ブーン」

( ^ω^)ノ■「これ…の事ですお」

(´・ω・`)「……」

  _
( ゚∀゚)「見た事ねータイプの核だな」

('A`)「ショボンさん……これ……」


盗んだ     とは言い辛い。

が、それも事実。

ドクがゴモゴモしていると、
ショボンが1つ溜息を付き、口を開いた。


(´・ω・`)「知ってたよ」

('A`)「え?」


ショボンは懐かしそうな顏でそれを見つめる。


36 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:01:33.51 ID:0QqgeY5e0


(´・ω・`)「君らが部品を持っていってるのは気付いていたよ」

('A`)「……」

(´・ω・`)「その中に、この核が無かったら怒鳴り付けていたかもしれないね」

( ^ω^)「……」

(´・ω・`)「それで?それがどうしたんだい?」

( ^ω^)「出てきてくれなくなっちゃったんだお」

( ゚∀゚)「??」


その言葉はこのマザーの性質を知らない者には、
全く意味が分からない言葉だった。


37 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:02:42.56 ID:0QqgeY5e0


(´・ω・`)「君達は、このマザーを搭載したまま、これからも飛ぶつもりなのかい?」

( ^ω^)「もちろんですお!」

(´・ω・`)「不良品かもしれないのに?」

('A`)「俺らがフォローします」

(´・ω・`)「そうか……その言葉を聞いて安心したよ」

('A`)「?」


ショボンはブーンから核を受けとると、
モニターに繋ぎ基盤をいじりながらポツポツと語りだした。


(´・ω・`)「これはね、僕が初めて自作したマザーなんだよ」


40 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:04:22.93 ID:0QqgeY5e0

('A`)「……」

( ^ω^)「マザーを自作できるなんて、まるで研究者だお!」

(´・ω・`)「はは、まぁ穴はいっぱいあったんだ…が」


ショボンはコードを繋ぎ終えると、キーボードでなにやら打ち込み始めた。

物凄い手の速さに、ドクとブーンは何が起こってるのかも把握できなかった。


(´・ω・`)「これでよし…っと」


フィィィィィン


モニターが立ち上がり、やがて見慣れた顔が浮かび上がる。


42 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:05:24.48 ID:0QqgeY5e0


ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「!ツン!」

(´・ω・`)「やぁ、久々だね」

ξ )ξ「ショボン……」

('A`)(感動の対面か)




ξ#゚听)ξ「てめぇぇぇぇぇ!っ殺す!」



(;'A`)「えぇぇぇぇ」(^ω^ ;)


言葉使いが悪いのは知っていたが、
いきなり殺す発言に感動の対面はぶち壊された。


45 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:07:09.40 ID:0QqgeY5e0


(´・ω・`)「ははは、母さんそんなに怒らないでよ」

ξ゚听)ξ「うるせぇこの豚!」



( 'A`)(^ω^)



(;'A`)「えぇぇぇぇ」(^ω^;)



今度は母さん発言にぶっ飛んだ。



48 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:08:43.69 ID:0QqgeY5e0


(;'A`)「か…」

(; ^ω^)「母さん?」

(´・ω・`)「うん、このマザーは僕の母さんをモデルに組んだシステムなんだ」

ξ゚听)ξ「こっちには全く関係ない話だけどね」

(´・ω・`)「ご覧の通り、似てるのは見た目だけで
       性格は程遠くなったのさ」

ξ゚听)ξ「…どういう意味よ」

(´・ω・`)「そのまんまの意味さ」


悪びれる様子も無く普通に言い放つショボン。

だが、そのショボンの顔は、今まで見たこともないような
やさしい笑顔になっていた。



49 名前:◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:10:07.03 ID:0QqgeY5e0


( ^ω^)「ツン!」

ξ;゚听)ξ「あ……」

('A`)「っとに振り回しやがって」

( ^ω^)「ツン、明後日にフライトの準備ができてるお」

ξ;゚听)ξ「でも……」

('A`)「すまん、俺らのミスで責任感じちまったんd」

( ^ω^)「気にする事ないお!次に失敗しなきゃいいんだお!」

ξ゚听)ξ「ブーン……」



50 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:10:59.76 ID:0QqgeY5e0


('A`)「ま、今後もよろしく頼むz」

( ^ω^)「また一緒にフライト行くお!」

ξ゚听)ξ「…ブーン…ありがとう」


画面越しに見つめあう2人


('A`)(あれ…俺の存在無視?)

(´・ω・`)(可哀想に)


ξ゚听)ξ「もう1回…頑張ってみる!」



また3人でレオパルトに乗り込める。

ドクもブーンも一時、不安を忘れ心から喜んだ。


54 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:12:43.56 ID:0QqgeY5e0



一方




ミ,,゚Д゚彡「シークレット回線に繋ぐのも久々だな」


フサギコは片腕でパスワードを入力すると、
無線機を耳に当てる。


(???)「何か急用でしょうか?」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ、急用だモララー」

(; ・∀・)「貴方もドクオさんも用心を知らないんですか…?
       この回線で個人名を出さないでと、何度も…」

ミ,,゚Д゚彡「それどころじゃない、聞きたい事がある」

( ・∀・)「聞きたいこと?」


57 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:14:46.17 ID:0QqgeY5e0

ミ,,゚Д゚彡「最近、ダイバーに登録されたブーン・ノーベルという男なんだが」

( ・∀・)「!!」


無線の先からは何の返事も帰ってこない。

明らかに不自然な沈黙。

この瞬間、フサギコの考えは確信に変わった。


ミ,,゚Д゚彡「お前も初めて聞く名前じゃないな?」

( ・∀・)「……」


57 :◆3m0SptlYn6:2007/05/10(木) 00:15:45.87 ID:0QqgeY5e0

ミ,,゚Д゚彡「ドクオが連れていた子だ、しかも僕にも心当たりがある」

( ・∀・)「……」


依然として返事は無い。


ミ,,゚Д゚彡「あいつは…ブーン・ノーベルは」





「内藤ホライゾンだな?」








30話  〜完〜


  次へ戻る inserted by FC2 system