5 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:29:23.33 ID:zNZFp+7t0
31話


( ^ω^)「ツン!エンジン起動だお!」

ξ゚听)ξ「了解」


初フライトの失敗から半年。

ドク達はと当初のリベンジを果たし、
順調に回収していた。


('A`)「さぁ…今期の最終フライトだ」


そう、今月は年間成績の集計する月。

誰もが今年1年の無事を祝い、
フライトの途中で死んでいった者への、祷を捧げる中
ギラギラと目を光らせ機体を駆る者達がいた。



7 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:31:51.13 ID:zNZFp+7t0

(*゚ー゚)「さぁ…行くわよ」

(,,゚Д゚)「あぁ、決着だ」


現時点での総合成績は

僅差でドクがTOPをキープ
次いでギコが迫っている。

少し離れてショボンが3位に付けていた。


(´・ω・`)「…」

  _
( ゚∀゚)「んじゃ、ま。行きますか」

(´・ω・`)「あぁ、生きて帰ろう」




〜( ^ω^)のMemories〜




11 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:33:14.66 ID:zNZFp+7t0


ミ,,゚Д゚彡「ククッ、VIP時代に争ったドクオ・内藤・そして僕。
      そして今はドク・ブーン・そして僕の息子のギコか」


【連鎖】


その言葉しか思い浮かばなかった。

だが、この愉快な気持ちは何なのだろう?
笑わずにはいられなかった。


ミ,,゚Д゚彡「そして、舞台から降板するのも…」






12 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:35:14.97 ID:zNZFp+7t0

〜レオパルトU〜



('A`)「計器異常なし、進路も異常なし」

( ^ω^)「了解だお!」

ξ゚听)ξ「予定時刻より、10分早く到着するわ」

('A`)「了解、ブーン。体調はどうだ?」

( ^ω^)「問題無いお」


あれ以来、ブーンは偶に発作を起こすことがあったが、
薬で制御できている。

ブーンには話してはいないが、
医者の話によると、過去の記憶が絡むと発作が起きるらしい。

俺は極力、昔の話は避けるようになっていた。

何はともあれここまで来れた。
全力でTOPを守るのみ。


('A`)「さぁ、行こうか」


14 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:36:33.90 ID:zNZFp+7t0

〜トレジャーキャット〜



(*゚ー゚)「後が無いわよ」

(,,゚Д゚)「あぁ、分かってる」


少しずつレオパルトとの差は詰めてきたが、
今一歩届かないでいた。

だが、今は殆ど差は無い。

今回、ラストのフライトで十分まくれる。


(*゚ー゚)(今期を逃すわけには…いかない!)

(,,゚Д゚)「……」



15 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:37:50.07 ID:zNZFp+7t0
〜KSMS〜



(´・ω・`)「座標、異常なし」

  _
( ゚∀゚)「他も問題ないぜ」

(´・ω・`)「常にレーダーに気を配れ、油断したら終わりだ」

  _
( ゚∀゚)「わーってるよ」


ドクオ亡き現在、最も有力候補に挙げられていたショボンだが、
父・弟 と続けざまにトラブルがあったためか、成績は伸び悩んでいた。

この最後のフライトに全てを賭ける。


(´・ω・`)(すっかり、僕自身の目的を忘れていたよ)

  _
( ゚∀゚)(金持ちになって、いい女を手に入れる!)


三つ巴の最終フライトが始まった。


18 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:41:17.03 ID:zNZFp+7t0


〜総統室〜



( ・∀・)「内藤…先輩か…」


ドクオから散々話は聞かされていた。

「あいつは凄かった」「親友だった」


ドクオをして、そう言わしめる男。
VIPの先輩にして、もう帰らぬ男。


( ・∀・)「ブーン…」


内藤、もといブーンのクローンが成功して、歯車が狂ったかのように
様々な事件が起きた。

ドクオの死、荒巻教授の死、そしてシャキンの暴挙。

そのブーンという男の存在が危うい物に思えてくる。



21 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:43:38.46 ID:zNZFp+7t0

( ・∀・)「どうしたものかね」


頭のキレる、この男も判断しきれずにいた。


( ・∀・)(もし…ブーン君のクローンが失敗なら、
      人類もこれまで…なのかな)


外野として、もはや結果を見守るしかない。
彼とて介入できない、ダイバー同士のプライドの戦いだった。




最終週、フライトに出たのは3機のみ。

その他の機体は、今期のTOPは絶望的で
この三つ巴を見守る形となった。



22 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:45:30.53 ID:zNZFp+7t0


そして3日後


レオパルトU


( ^ω^)「ツン、着艦準備だお」

ξ゚听)ξ「了解」


そして、トレジャーキャット


( ,,゚Д゚)「マザー、着艦する」


最後にKSMS


(´・ω・`)「着…艦…だ…」


それぞれが、回収品を積み帰還した。


24 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:46:52.83 ID:zNZFp+7t0



('A`)(大丈夫、これならTOPキープできる)



船と回収品をレールで搬送手続きし、
自宅まで歩いて戻る。

既にクタクタだが、休んではいられない。

回収品を解体し、業者に売らなければ成績にはならない。
2日後には最終の統計日になる。

ドクが考えながら歩いていると、正面からギコが歩いて来た。


( ,,゚Д゚)「よぉ」

('A`)「ギコさん…」


26 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:48:49.11 ID:zNZFp+7t0

( ,,゚Д゚)「終わった…な」

('A`)「ええ…」


ふぅ、と溜め息を付くとギコは深々と頭を下げた。


(;'A`)「え?え?」

( ,,゚Д゚)「済まなかった」


予想外の言葉


(;'A`)「ど、どうしたんすか?ギコさん」

( ,,゚Д゚)「俺は、今期限りでトレジャーキャットを降りる」


27 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:51:57.78 ID:zNZFp+7t0

(;'A`)「なん…で」


優秀な腕を持ち、ドクオ…父の弟子に当たるギコ。

突然、船を降りるとの言葉に、ドクは訳もわからず唖然として聞いた。


( ,,゚Д゚)「まぁ、元々そういう契約だからな」

('A`)「契約?」

( ,,゚Д゚)「あぁ、トレジャーの所有者である、しぃとの搭乗契約だ」

('A`)「……」

( ,,゚Д゚)「勘違いすんな、ダイバーを辞める訳じゃねぇ」


その言葉に、少しホッとした。

正直、疑惑のあるしぃとパートナーを組んでいて欲しく無かった。
ただ、純粋にダイバー同士として競い合いたい。

その気持ちが大きかったから。



29 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:54:29.57 ID:zNZFp+7t0

( ,,゚Д゚)「俺は…俺の船を手に入れる」

('A`)「……」

(,,゚Д゚)「俺がお前にした仕打ち、許してもらおうとは思ってねぇ。
     だが、一言謝っておきたくてな」

('A`)「気にしないでください。
    ギコさんにはギコさんの信じる道があったんだと思います」

( ,,゚Д゚)「その言葉…ありがたく受け取っておく。
      それと、今期の成績だが…」


ギコも、最終フライトに出ていたのは知っている。

やはり、成績はドクも気になるところだ。


31 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:56:42.59 ID:zNZFp+7t0

( ,,゚Д゚)「お前らには残念だが、俺らが勝っただろうな」


ギコが回収品を持って、帰還したのはドクも知っている。

恐らくは、ドク達も回収してきているのはギコも知っているのだろう。


('A`)「ギコさん…その予想は外れてますよ」


自分も、今回回収してきた品には自信があった。
TOPをキープできるという自信が。


( ,,゚Д゚)「ふっ、そうだといいがな」


結果は、2日後だ。

まだ、回収品に値すら決まっていない。
お互いに宣言するのはまだ早計と言えるが、それなりの自負はあった。


33 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 00:58:12.91 ID:zNZFp+7t0

そして、打ち解けた今。

どうしても聞きたいことが、喉の手前まで出掛かっていた。


('A`)「ギコさん…その…しぃさんなんですが」

( ,,゚Д゚)「……」

('A`)「その…フサギコさんから…聞いt」

( ,,゚Д゚)「知ってるよ」


ドクの言葉を聞くまでも無く

と、いった感じでギコが発する。


35 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 01:01:46.98 ID:zNZFp+7t0

( ,,゚Д゚)「あいつのやろうとしている事、あいつの立場…すべて知っている」

('A`)「なら…なんで…」

( ,,゚Д゚)「それを分かった上で、俺は…あいつを守りたかった」

(;'A`)「守る…?」

( ,,゚Д゚)「あいつがVIPにされた仕打ち、残された悲しみ。
      すべて消してやりたかった」


人類を救ったとされるVIP宇宙局。

だが、地球が滅びた際に死んだ人間は60億を超える。

その中で助けられなかった者も当然いただろう。
感謝も勿論、恨まれる事もあるはずだ。



38 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 01:04:53.03 ID:zNZFp+7t0


( ,,゚Д゚)「まぁ、今回の成績ですべてが決まるがな」

('A`)「でも…フサギコさんもVIPで…」

( ,,゚Д゚)「関係ない!」


強い口調で反論され、ドクは驚いた。

子は親に憧れるもの。
そう、子供の頃から思っていた。

ドクオという、偉大な父を持つドクはその意識が強かった。


( ,,゚Д゚)「俺は、政府をなんとも思っちゃいない。
      増してや親父も関係ない」

('A`)「……」


ムキになるギコを見て、フサギコとの溝の深さを感じた。


41 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 01:07:08.91 ID:zNZFp+7t0



( ,,゚Д゚)「俺には…俺の道がある」




(´・ω・`)「なんだい…騒々しいね」


ひょっこり現れたのは、たった今帰還したばかりのショボンだった。


('A`)「ショボンさん!」

( ,,゚Д゚)「……」

(´・ω・`)「やぁ…お二方」


凄くやつれて見える。

心なしか、声にも張りがない。



44 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 01:08:31.31 ID:zNZFp+7t0

('A`)「ショボンさん…何かあったんですか?」

(´・ω・`)「いや…疲れた…だけさ」

( ,,゚Д゚)(それだけ過酷なフライトだった、って事か)

(´・ω・`)「まぁ…なんとか帰還できたよ」


あのショボンがここまで消耗している。

ちょっと意外でもあり、心配でもあった。


('A`)「でも、無事でよかったです」

(´・ω・`)「僕は…ね」

(;'A`)「僕…は?」



46 :◆3m0SptlYn6:2007/06/19(火) 01:10:02.79 ID:zNZFp+7t0


僕は無事?





(;'A`)「ジョル…ジュ…さんは?」








(´・ω・`)「さっき…死んだよ」






31話  完




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