5 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:11:42.34 ID:QjwL5P3k0

ドクオのMemories







そいつは唐突に現れた。


2018年、生命の存在を許さなくなった地球から、
避難してきて約2年。

俺はvipを抜けダイバーになっていた。

6 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:12:23.19 ID:QjwL5P3k0


川 ゚ -゚)「お前が元vipのドクオか?」

('A`)「ん?わりーな人違いだ。そんな奴は知らん」


俺は去年までvipの統括部に属していた。
そんな立場で、厄介事に巻き込まれる事も度々あったため、
自らは本名を名乗らない癖がついていた。


('A`)(よくみりゃ相当な美人だな)

川 ゚ -゚)「む?それはおかしいな。
       彼が、あなたがドクオだと教えてくれたんだが?」

('A`)「彼?」



7 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:13:34.95 ID:QjwL5P3k0


女の指差す方を見やると、俺と同じくしてvipを抜けて
ダイバーに転向した同期が、壁から半身を出し覗いていた。


(#'A`)「あの馬鹿が・・・」

川 ゚ -゚)「その流れからして、貴方がドクオで間違いないな?」


もう言い逃れはできまい。


('A`)「あぁ、そうだ」


川 ゚ -゚)「そうか、私はクー。先々月ダイバーに登録したばかりだ」

('A`)「で、その新米ダイバーが何のようだ?」

8 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:14:32.46 ID:QjwL5P3k0


その時、自分の耳を疑ったが、女ははっきりとこう言った。




『貴方をぶっ潰す』


と。


(;'A`)「はぁ?なんでいきなり初対面のネーちゃんに、
        ぶっ潰されなきゃいけないんだ?」

川 ゚ -゚)「現在ナンバーワンの貴方に勝てば、私が一番だろう?」

(;'A`)「それはそうかもしれんが・・・」


10 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:15:35.52 ID:QjwL5P3k0


正直、今まで恨まれる事や狙われる事は多々あった。
ただ、初対面でしかも女性に言われたのは初めてだった。


川 ゚ -゚)「私は一番にならなければならない訳がある。
        貴方には恨みは無いが覚悟してくれ」


覚悟?

命を賭ける覚悟ならしてやってもいいが、
No1ダイバーの名を譲る覚悟?


('A`)「ははっ、ダイバーなんて遊びだぜ?
         いつでも持っていけよ」


遊び

そう思ってたのは事実だ。
鬱陶しい政府の仕事より、自分がやりたい事をやっているだけ。


11 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:16:19.28 ID:QjwL5P3k0


川 ゚ -゚)「では遠慮なく」


だがその言葉に少々カチンと来た。


('A`)「やれるもんならな。
     昨日今日飛んだばかりの小娘にやれるとは思えんが」




川 ゚ -゚)「私は今、ランキング五位だがな」

('A`)「・・・・・・・・・え?」

川 ゚ -゚)「外で会ったら獲物は譲ってくれよ?それじゃ」


そう言い残し、女はスタスタと歩き去って行った。


12 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:17:33.72 ID:QjwL5P3k0

('A`)「・・・・・・・・・」


俺は表情を変えず、隠れて様子を伺っていた奴に向かっていく。




('A`)「よぉ」

ミ;,゚Д゚彡「や、やぁ奇遇だね」

('A`)「なぁ、お前今ランキング何位だ?」

ミ;,゚Д゚彡「ろ、6位」

(#'A`)「あぁ?6位だと?どうなってんだ?
      ダイバー発案者にして登録No1のフサギコさんよぉ?」

ミ*,゚Д゚彡「えへへ、あの娘可愛いだろ?」

('A`)「氏ね」

ミ;,゚Д゚彡「ひどい・・・。でもあの娘、大物狙いなんだよ」

13 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:18:33.49 ID:QjwL5P3k0


俺は気ままに飛び、その場の勘で回収している。

だが大抵のダイバーは、船の座礁し易そうな区域を調べ、
計算しながらやっている。

普通の座礁船なんかはレアでもない限り、高値は付きづらいが、
政府直営の船は違う。

機体の報酬だけではなく、政府の船を回収すると、
恩赦金が多額配当される。

要するに一発逆転の要素が高い。


しかし、政府の船が座礁するような場所は、
危険地帯な事が多く、自らも危険に晒される事になる。


14 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:19:30.20 ID:QjwL5P3k0


('A`)「あの女・・・長生きできんぞ」

ミ,,゚Д゚彡「勿体ないなぁ、可愛いのに」


だが、その後もクーは順調にランキングを上げていった。

その顔の可愛さとは裏腹に、クーの操縦練度はすばらしかった。
危険地帯からも毎回生還を果たしていたし、機体の整備も一流だった。




だが俺はランキング1位をキープし続けた。



一度言われた事がある。


15 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:20:38.13 ID:QjwL5P3k0


川; ゚ -゚)「何故・・・危険地帯にすら行かないのに、
                そんなに回収できるんだ?」

('A`)「結果や成績にこだわってたら一生俺には勝てねぇよ」

川; ゚ -゚)「では、どうすれば・・・」

('A`)「簡単だ。俺より楽しんで飛べばいい」


川; ゚ -゚)「楽しんで・・・?」


彼女は頭の上に「?」マークが浮き出ているかのような顔で問う。


16 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:22:14.67 ID:QjwL5P3k0


('A`)「楽しめよ。この無限な宇宙は全部俺らの物なんだぜ?」

川; ゚ -゚)「・・・・・・」


それからクーは、俺に付きまとうようになった。

フライトの日程や方位まで合わせてくる始末。


だが俺は悪い気はしていなかった。

少しずつではあるが、彼女に惹かれていることに気が付いていた。


17 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:23:41.96 ID:QjwL5P3k0



でも・・・あいつもいなくなった。


宝物を1つ残して。


何故だ・・・俺の大切なものはいつも離れて行ってしまう。

ブーンもクーも・・・。


ドクは、ドクだけは失いたくなかった。

クーに未練を残しつつも、ドクにだけは危険な事はさせないようにした。



21 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:25:19.19 ID:QjwL5P3k0


ノノ'A`)「お前だけは失いたくないんだ」




ドク!



('A`)「父ちゃん!俺は大丈夫!
     だって父ちゃんと母ちゃんの子なんだぜ?」


ノノ'A`)「・・・・・・」


('A`)「一人でも大丈夫さ!心配すんなよ」


ノノ'A`)「ドク・・・」



22 :◆3m0SptlYn6:2007/02/07(水) 23:27:18.39 ID:QjwL5P3k0

( ^ω^)「ドクオ!僕に任せてくれお!
            ドクは・・・僕が守るお!」


ノノ'A`)「ブーン・・・」



急に目の前が真っ白になっていく。




あれ・・・俺は・・・



何を・・・




眠い・・・



ドクオのMemories

〜完〜

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