2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:14:35.57 ID:uacivGMi0


20XX年、アンゴルモアはやってこなかったが、伝承の魔王が密かに


(’e’)「復活した!やったー!」

( ФωФ)「待たせたな。さっそく征服しよう」

(’e’)「ですが魔王様、実は軒並み並ならぬ事態でして」

( ФωФ)「どうした?」

(;’e’)「人間たちのやつら、我々に対する最終兵器を作り出していたのです!」

( ФωФ)「うそぉ〜じゃあやめる!」

(;’e’)「えぇ〜」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:15:59.19 ID:uacivGMi0

( ФωФ)「しないもんはしない。わし征服やめて、喫茶店やる」

(’e’)「疲れたサラリーマンみたいなこと言わないでください。
    私に手がありますので」

( ФωФ)「じゃあやる!」

(’e’)「やったー!」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:17:08.45 ID:uacivGMi0




 ( ^ω^)音楽が世界を救うようです



 第一話「殲滅」



 「やったーーーーーーー!!!!!!」


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:20:09.04 ID:uacivGMi0

( ゚ω゚)「世界最大の音楽の祭典が、とうとう始まるおおおおおおおお!」

J( 'ー`)し「なんだいそれ」

( ゚ω゚)「世界中のロッカーが集まるフェス、『光速ヴァンプ・イングリッド・プッシー』だお!」

J(///)し「ぷ、プッシーだなんて…」

J( 'ー`)し「略すと光速VIPだわね」

( ^ω^)「行きたいおカーチャン!」

J( 'ー`)し「駄目」

( ;^ω^)「えぇ〜」


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:23:16.58 ID:uacivGMi0

J( 'ー`)し「ロックは不良がやるものなのよ。
     パンクもメタルもコアもHIPHOPもレゲエも全部駄目。許しまへんでぇ!」

( ;^ω^)「ごっちゃにし過ぎだお!」

J( 'ー`)し「死んだトーチャンも死ぬまでギター弾いてたし、なにがいいんだか」

( ゚ω゚)「音楽は漢のたしなみだお!これが無いと生きていられないお!」

J( 'ー`)し「駄目なものは駄目よ!」

(。´ω`)「ブヒィ!」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:25:42.70 ID:uacivGMi0


ブーンは幼なじみのショボーンに電話した。


( ^ω^)「助けてくれお!光速VIPに行きたいのにカーチャンが…」

(´・ω・`)『実は僕もなんだ。どうしようかなあ』

( ^ω^)「横断歩道」

(´・ω・`)『二人で渡れば怖くない?』

( ゚ω゚)「家出もそうだお!」

(;´・ω・`)『家出は怖いなあ』


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:27:46.92 ID:uacivGMi0

( ゚ω゚)「今しかないんだお!行かなかったら絶対後悔するお!
     光速VIPがこの国で開催されるなんてもうこの先何十年も無いお!
     絶対行くお!行きたいお!」

(´・ω・`)『僕も行きたいよお』

( +^ω^)「行くお!すぐ行くお!」

(´・ω・`)『じゃあ、いこっかなあ』

( ^ω^)「テンション上がってきた!」


光速VIPは明日の朝からである。
二人は今夜、家を抜け出すことを約束した。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:29:36.42 ID:uacivGMi0




そして夜。
あらかじめ決めていた集合場所で、二人は出会った。


( ^ω^)「大丈夫だったかお?」

(´・ω・`)「うん。お父さんもお母さんもぐっすりだった」

( ^ω^)「よし、じゃあ行「ストップ・ザ・お兄ちゃん!」


( ゚ω゚)「誰だお!」

(´・ω・`)「たぶんうちの妹だろうね」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:32:11.03 ID:uacivGMi0

*(‘‘)*「ふふふ。なにを隠そうその通りよバラすなよ糞兄貴」

(´・ω・`)「もろお兄ちゃんって言ってるし」

*(*‘‘)*「あたしも行きたいあたしも行きたいお祭りだったらあたしも行きたい!」

(´・ω・`)「駄目だよ。ヘリカルはまだ小さいし、ロックなんてわからないだろ?」

( ^ω^)「顔見辛」

*(‘‘)*「わかんないけど、お兄ちゃんだけお祭り行くなんてズルいよ!」

(´・ω・`)「駄目!一応女なんだから、連れてはいけない」


ショボーンはかなり時間をかけて、妹を説得した。
一旦彼女を家まで送っていってから、二人は出発した。


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:34:04.40 ID:uacivGMi0

目指すはトーキョー。
この国で最も栄えている都である。


二人は朝まで歩き通し、山を越え、川を越え、草原を抜け、トーキョーまでやってきた。



(ヽ’ω`)「疲れたお」

(´。ω。`)「やっと着いたね」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:35:59.39 ID:uacivGMi0

(ヽ’ω`)「お」

(´。ω。`)「お」




( ゚ω゚)*´・ω・)「おおおおおおおお!!!!!!!!」



トーキョーはロック一色に染まっていた。

整髪剤で派手に立たせた髪、鮮やかな色、背負っているのはギターかベース。
ドラムと一緒に馬車で移動している者、弾き語り、路上ライブ。

明朝とは思えないほどの活気にトーキョーは沸いていた。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:39:03.38 ID:uacivGMi0

( ゚ω゚)「始まるお!ブーンロードが!」

(´・ω・`)「なにそれ」

( ゚ω゚)「この祭典を通して、ブーンはビッグになるんだお!
     トーキョーにはプロデューサーやスカウトも集まってる!
     俺のギターでやつらを酔わしてレコードデビューだお!」

(´・ω・`)「路上演奏ができていいなあ。僕はドラムだからなあ」

( ;^ω^)「痛っ」


歩きながら話してると、ブーンが男とぶつかった。
肌が露出している部分、ほぼ全てがタトゥーで埋まっている恐ろしい男だった。


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:41:19.26 ID:uacivGMi0

( ゚∀゚)「だぁれだぁ…」

( ;^ω^)「す、すいませんお」

( ゚∀゚)「ごめんで済んだら警察がしょをtkぁをかぁ…!!!!!」

( ゚ω゚)「ブヒィ!」

( ゚∀゚)「あひゃひゃひゃひゃひゃ…気ぃつけなあ…“正常人”」


男はふらふらとした足取りで、人混みの中に消えていった。


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:43:21.85 ID:uacivGMi0

( ;^ω^)「怖かったお」

(´・ω・`)「焦点が合ってなかった。あれはヤク中だろうね」

( ゚ω゚)「しかも背中にギター背負ってたお!同じギタリストとして許せないお!
     これであいつもアコースティックだった日にはもう…」

(´・ω・`)「大丈夫。キャスター付きアンプ引きずってたから、エレキだよ」

( ^ω^)「なら許す」


二人はフェスの会場へ向かいます。


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:47:06.87 ID:uacivGMi0

(´・ω・`)「お、あれは」

( ^ω^)「どうしたんだお?あ、ドラムの音が…」

(*´・ω・)「おおおおおおおおお!こんな速いビートでハシらずモタつかず…。
      レガートもきっちりしてる!ドラムだけなのに主旋律が聞こえてくるみたいだ!」

( ;^ω^)「あんまり喋ると指摘が怖いお」


「あら、ありがとう」


(゚、゚トソン「僕の演奏聞いてくれるなんて。ドラマー?」

(´・ω・`)「はい、そうです!」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:49:24.29 ID:uacivGMi0

( *゚ω゚)「はい僕もそうですライトシンバルとか大好きです!」

(゚、゚;トソン「思いっきりギター背負ってるけど」

(´・ω・`)「凄いですね!今日のフェスには参加しているんですか?」

(゚、゚トソン「しないしない。僕はプロじゃないし、技術だって無いからね」

(´・ω・`)「そんな!凄い技術を持ってるじゃないですか!」

(゚、゚トソン「僕には、致命的な欠点があるんだ」

(´・ω・`)「欠点?」

(゚、゚トソン「ふふふ。じゃあね」


謎のドラマーは、ドラムセットを引きずってどこかに消えてしまった。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:51:08.06 ID:uacivGMi0

( ^ω^)「綺麗な姉ちゃんだったお!あとで見つけてナンパするお!」

(;´・ω・`)「え、無理だよお」

( ^ω^)「大丈夫だお。まだヒロインが出てきてないから、どうにでもなるお!」

(´・ω・`)「ていうか道に迷った?」

( ^ω^)「うん。いつ指摘されるかどうか怖かった」

(;´・ω・`)「気づいてたら言ってよお!」


ブーンは方向音痴だった。
二人は広いトーキョーの真ん中で迷子になってしまった。


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:54:30.84 ID:uacivGMi0

(´・ω・`)「誰かに道を訊こう」

( ^ω^)「“それっぽい人”がいいお。あ…すみませんお!」

( ・∀・)「俺?はい、なんでしょう」


ブーンが引き留めたのは、ケースを担いだ金髪の男だった。
殺意を感じるほど顔が格好いい。


( ゚ω゚)「フェスの会場までの道を教えてくださいお」

( ;・∀・)「うわなんか殺意感じる!
     この道を真っ直ぐ行って突き当たりを左までいけば、会場が見えるよ」

( ゚ω゚)「ありがとうだお」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:56:35.99 ID:uacivGMi0

(´・ω・`)「ギタリストですか?」

( ・∀・)「んーいや、2本足りない。そんじゃねー」


ブーンの視線が気になる男は、そそくさと消えていった。


( ゚ω゚)「イケメンリア充は死滅すればいいんだお。
      そうは思わないかね?」

(´・ω・`)「なんだか遠回しに傷つくよ」


二人は教えてもらった通りに進み、ようやくフェスの会場にたどり着いた。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 21:58:57.87 ID:uacivGMi0

( *゚ω゚)「スゲエ…名だたるロッカーが…そこかしこに…」

(´・ω・`)「凄い熱気だ!ライブ前の緊張感っていいよね」

( *゚ω゚)「サインくれお!ライトダウンユアネームオンディスペイパー!」

「ワッ?」

(´・ω・`)「ほどほどにね」




世界最大のフェス、光速VIP。


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 22:00:57.79 ID:uacivGMi0


「ようおまえらああ!待たせたなああああああああ!」

      ヒュー!    ヒュー!

世界中のロッカーが集まる祭典は



「朝早いけどおおお!最初からクライマックスでいくからああああああ!」




「お、おい、なんだアレ…?」

「流れ星?」

「え、なにあれ?演出?」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 22:03:52.74 ID:uacivGMi0

( ^ω^)「…え?」

(´・ω・`)「なに…あれ…」




周りにいたものたちの鼓膜を一気に狂わせる爆発音で、短く幕を閉じた。


見えたのは空から降ってきた、光の粒。
それが地面にぶつかったときの爆発。

飛び散る人間の肉片。

そして、



( ゚ω゚)「うあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/27(水) 22:07:19.30 ID:uacivGMi0


舞い上がる白煙の向こう側で、






(´;*;;;;;;;;;`)





親友の死体が転がっていた。




第一話「殲滅」 終


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