7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 22:52:29.07 ID:FCZ3j7YC0


 「ねえ、ニュース見た?」  「何の?」 
      「アレでしょ?」 「え?」  「なにーそれ?」



       「黒頭巾ちゃん」



 「知ってる!」 「アニメ?」 「ニュース!」
  「みのが出てるやつで見た」
 「連続殺人犯だよ」     「うわ、それ系なんだ」

 「なんか雨合羽みたいなの被ってるけど、それが返り血で真っ黒になってるんだってさ」

   「どうせなら赤頭巾ちゃんだったらいいのに」   「カワイイよね、そっちのが」
 「黒頭巾ちゃんも可愛いかも」   「なんで?」



   「その子、ごめんなさいって泣きながら人を殺すんだってさ」



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 22:54:17.61 ID:FCZ3j7YC0





 「ごめんなさい、ごめんなさい…」



 ( ^ω^)音楽が世界を救うようです




 第五話「泣鬼」




 「許して…許して…」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 22:56:45.73 ID:FCZ3j7YC0


( ;・∀・)「うわあああああああああああ!!!!!!」

(゚、゚;トソン「キャ!なによ急に!」


ここはトソンの住んでいるアパートである。
トソン、ブーン、モララーが、部屋を真っ暗にして、怪談話に興じていた。


( ;・∀・)「俺駄目なんだってソレ系はー!」

( ^ω^)「情けないお。ブーンにみたいに静かに漏らすのが男ってもんだお」

(゚、゚;トソン「ぎゃああああああああああああなにしてんだテメェ!?」


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:01:56.98 ID:FCZ3j7YC0


三人は酒を飲んでいたのだが、ひょんなことから怪談の話題になり、
トソンが最近流行っている「黒頭巾ちゃん」の話をしたら、この有様だ。


( ;・∀・)「だってよぉ、実際に人が死んでんだろ?」

(゚、゚トソン「うん。正確な数はもうわからないんだってさ。百人以上は死んでるっぽい」

( ;・∀・)「こえぇよぉーこえぇよぉー。魔族なら何とかなるけど、人間相手だとどうしようもねえぞ」



( <●><●>)「そう、魔族なら何とかなるのね」



( ゚ω゚);・∀・)(゚_ ゚トソン「わああああああああ!!!!!!!」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:06:12.30 ID:FCZ3j7YC0


( <●><●>)「ごめんなさい。驚かせちゃったようね」

( ;・∀・)「いきなり出てくるんじゃねえよぉーマジで!瞳孔開きすぎなんだよ!」

( ゚ω゚)「急に部屋に入ってくるなんて心臓に悪いお!おっぱい揉ませろ!」

(゚、゚;トソン「僕の家なんだからずかずか入ってこないでよー!」

( <●><●>)「早急にあなたたちに動いてもらわないといけない用事が出来たのよ。誰が揉ませるか死ね」

( ・∀・)「なんだよ、魔族か?」

( <●><●>)「おそらく」


ワカッテマスは鞄からいくつかの資料を取りだし、ビールの缶が散らばる部屋に広げた。

最も場所を取ったのは、この街の地図だった。


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:14:16.60 ID:FCZ3j7YC0

( <●><●>)「黒頭巾ちゃんって知ってる?」

( ;・∀・)「うわあああああああああああ!!!!!」

( ^ω^)ジョバババババババ

( <●><●>)「知ってるようね。複数の都市で通り魔殺人を行う存在、その呼称のことね。
        数少ない目撃情報と特捜の情報から、殺人を行う者の特徴が分かってきたわ。
        @格好は一貫して黒い雨ガッパ
        A女性である可能性が高い
        B凶器は鋭利な刃物
        C数十分の間に200q離れた都市へ移動を行える
        D犯行は決まって雨の日」

(゚、゚トソン「Cってなんで?」

( <●><●>)「同じ日に事件が起こったのよ」

(゚、゚トソン「あー…そゆこと」
        

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:17:51.34 ID:FCZ3j7YC0

( ・∀・)「車を使ったんじゃねえの?車ってスゲーはえーんだろ?」

( <●><●>)「車でも無理よ。車よりも速い乗り物なんて無いしね」

(゚、゚トソン「魔族が復活したんだから、ヒコーキってやつも復活したんじゃない?」

( <●><●>)「飛行機?まあ、古代技術は着々と再現されてるけど、飛行機はまだ無理よ。
        第一飛行機なんて使ったら目撃情報の数が絶えないわ」

( ^ω^)「鋭利な刃物ってなんだお?」

( <●><●>)「わからない。
        しかも興味深いことにね、被害者は生きたまま数十回全身を斬られてるの」

(゚、゚;トソン「無理くね?」

( <●><●>)「無理よ。でも傷口を調べたらそうだったの」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:20:51.54 ID:FCZ3j7YC0

( ^ω^)「つまり黒頭巾ちゃんっていうのは、人間の規格外を越えた存在…ってことだお?」

( <●><●>)「そう!物わかりがいいわね」

(゚、゚トソン「つまり」

( ^ω^)「和田アキ子」

( ・∀・)「…ってことか」

( <●><●>)「違うわ。いや違わないかもしれないけど違うわ。おそらく魔族よ」

( ^ω^)「知ってますけど?」

( <●><●>)「マジむかつく死ね」

( ^ω^)「死にませんけど?」

( <●><●>)「死ね」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:24:16.54 ID:FCZ3j7YC0

(゚、゚;トソン「警察に任せるってのは無し?」

( ・∀・)「そうだぜ。今回はなんかマジなやつっぽいじゃん?
      俺たちじゃアレじゃん?」

( <●><●>)「アンタたち以外で魔族と戦える人間はいないのよ。
         給料出してんだからちゃんと戦いなさい」

( ・∀・)「やなこった。そんなアブねーやつと戦うくらいなら漏らすね」

( ・∀・)ジョバババババババ

( ^ω^)「実はさっきから漏らしてた」

( ^ω^)ジンワリ

(゚、゚トソン「オマエラ 噛ミコロス」

( ;<●><●>)「こんなんが勇者なんだっていうから笑っちゃうわほんと」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:28:00.82 ID:FCZ3j7YC0

そのときワカッテマスの通信機に連絡が入ってきた。


( <●><●>)「はい、ええ。…そうですか、すぐに向かいます」

( <●><●>)「黒頭巾ちゃんが出たらしいわよ」

( ・∀・)「……マジに行くの?」

( <●><●>)「マジ!私らはね、あんたらに命預けてんのよ」


スーツ姿のワカッテマスが立ち上がる。


( <●><●>)「さあ、狩りにいきましょオオカミさんたち」


(゚、゚トソン「おばあさん、股間が塗れてるのはどうして?」

( ・∀・)「それはね赤頭巾や、武者震いだよ」

( ^ω^)「そんじゃ…行きますかお」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:31:08.73 ID:FCZ3j7YC0

( <●><●>)「ていうか、アヒャはどこ?」

( ^ω^)「あ」(゚、゚トソン

( ・∀・)「とりま、迎えにいきますかぁ」



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俺の朝は早い。
タモリさんの陽気な声に合わせて、布団からはい出る。

朝日がまぶしいぜ。
とりあえず寝起きの静脈注射を済ませ、コカイン入りのコーンポタージュで喉を潤した。

( ゚∀゚)「ふっ、グレイトな朝だぜ」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:35:27.44 ID:FCZ3j7YC0

部屋と体中をはい回る無数のクモを踏みつぶし、空を舞うドーナッツの一つを手に取る。

甘く香ばしい匂いが鼻をくすぐる。

巨大なゴキブリの形をしたセバスチャンが朝食の準備を済ましてダイニングで待っていた。

( ゚∀゚)「すまないな、少し遅れたかい?」

せばすちゃん「いえお坊ちゃま、今日も完璧な寝起きでございま(゚、゚;トソン「なにやっとんじゃ!」


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( ゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャヒャ!どうした頼子さん、パッド入れ忘れた?」

( ;・∀・)「部屋ん中くっせー!理科室の十倍くらい化学薬品の臭いがする!」
  _,、_
( ^ω^)「変なお香だと思ったらアヘン炊いてある!息を吸っちゃ駄目だお!」

( <●><●>)「世界で一番駄目な人間の部屋はここね」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:39:01.66 ID:FCZ3j7YC0

( ・∀・)「ほら、行くぞ!」

( ゚∀゚)「まだご飯食べてない!」

( ;・∀・)「ご飯っておまえこれ、腐った弁当じゃねえか!いつ買ったんだこれ!?」

(゚、゚;トソン「同じメンバーながら情けなくなる」

( ^ω^)「実家暮らし大勝利だお」

(#<●><●>)「めんどくさいから早く連れ出しなさい!」

(゚、゚トソン「最近あんた怒りっぽいわね」


嫌がるアヒャを車に乗せて、五人は黒頭巾ちゃんが現れたとされる場所へ急ぐ。



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:40:59.86 ID:FCZ3j7YC0

( ・∀・)「どうせ黒頭巾はもう帰ってるよ」

( <●><●>)「いつもならね。でも魔族側の一番の標的はあんたたちよ。
         あんたたちが行けばきっと向こうも出迎えてくれるわ」

(゚、゚トソン「それなら個別に狙わない?」

( <●><●>)「それもそうね…」

( ^ω^)「本当に」


窓の外を見ながら、ブーンが呟く。


( ^ω^)「本当に魔族の仕業なのかお?」

(゚、゚トソン「え?それってどういう…」


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:44:17.58 ID:FCZ3j7YC0

ブーンは何も答えなかった。

代わりに大粒の雨が車のボンネットを激しく叩く音が響いた。




車が止まったのは人気の少ない路地だった。

( ^ω^)「廃墟になってるお」

( <●><●>)「この街にも何体かの魔族が来たらしいからね。
        復興してないところは廃墟になってるわ」

(゚、゚トソン「黒頭巾の情報って何なの?」

( <●><●>)「街中に散らばらせた監視員の一人が、
       この廃墟に向かっていく雨ガッパの女を見たって連絡をよこしたわ」



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:47:20.67 ID:FCZ3j7YC0

( ・∀・)「とりあえず外に出るか」

( ゚∀゚)「アヒャヒャヒャ!雨あめ降れふれマダッファッカー!」

(゚、゚トソン「楽しそうで何より」


車に置いてあった傘を差して、五人は路地に出て雨に打たれる。

静まりかえった街は不気味な雰囲気であった。

人の気配だけを残し、人の存在を消し去った街。


どこか奇妙な感じのする空間だった。



( ^ω^)「あっ」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:51:01.75 ID:FCZ3j7YC0

最初に気がついたのはブーンだった。
彼はソレを見たとき、「あっ、人がいる」と喋ろうとした。

しかし声は続かなかった。
すぐ側で何かが倒れる音がし、そしてソレはもう視界から消えていたのだ。



ブーンが後ろを振り返ったとき、モララーが首からおびただしい量の血を流し、地面に倒れていた。

飛び散った血にまみれた、真っ青な顔をのぞき込んだとき、モララーと目が合った。

  「にげろ」

彼の目はそう言っていた。



( ゚ω゚)「モララぁぁぁぁああああああ!!!!!!」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:53:08.93 ID:FCZ3j7YC0

( ;<●><●>)「何が起こった!?」

(゚、゚;トソン「モララー!ちょっと何よこれぇ!?」




目の前で血だまりに伏せたモララーの姿が、ブーンの中でショボーンの最期と重なった。



( ゚ω゚)「ああぁぁあぁぁぁああぁあぁあああぁああああああ!!!!!!」




 「…ごめんなさい」



36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/04(木) 23:56:54.15 ID:FCZ3j7YC0


 「ごめんなさい…」
        「ごめんなさい…」


 「ごめんなさい…」   「ごめんなさい…」


  「ごめんなさい…」
              「ごめんなさい…」
     「ごめんなさい…」
          「ごめんなさい…」



从;ー;从「出会ってしまって、ごめんなさい」



黒い雨ガッパを着た、まだ成人すらしていないだろう少女の手は、

雨でも流せないほどのどす黒い血に染まっていた。



第五話「泣鬼」 終


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