8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:12:57.66 ID:tWdycVWe0


 (私は誰だろう)

 (ここは何処だろう)



 (なんでこんなに、心が空っぽなんだろう)



 (誰か教えて)

 (私がここに存在する理由)



 (一番怖いのは、嘘?真実?)


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:14:45.01 ID:tWdycVWe0


 「だーかーらー!」



 ( ^ω^)音楽が世界を救うようです




 第九話「初陣」



 「俺は父ちゃんのドレイじゃないっつーの!」



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:17:57.91 ID:tWdycVWe0

爪;'ー`)y‐「ねえわかる!?俺の熱くたぎったソウルが!」

(・(エ)・)「そりゃあ、わからなくはないですけど」

▼・ェ・▼「魔王様の言いつけであるのなら守らなくては」


ここは魔族のアジトの一室である。

クマのような魔族と犬のような魔族を従えた、長髪の魔族がいた。
長髪の魔族は、肌の色以外はかなり人間に近い姿であった。


爪'ー`)y‐「魔王魔王って、そんなに魔王が大事かよ!」

▼・ェ・▼「そりゃねぇーボスですしねー」

爪;'ー`)y‐「俺だって魔王に匹敵するパワーを持ってんだぜ!なにせ俺はやつの息子だ!」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:21:25.66 ID:tWdycVWe0

▼・ェ・▼「ですが王子一人で人間と闘うのは流石に、その」

(・(エ)・)「アホでは…」

▼・ェ・▼「オブラートに包むとそうなります」

爪;'ー`)y‐「包めれてないぞ!」

▼・ェ・▼「包み違えました」


爪'ー`)y‐「へっへっへ、なぁに、俺に策がある。任せておけ」

(;・(エ)・)「嫌な予感しかしないんですけど」

▼;・ェ・▼「王子の策って、どうせ僕らを囮にして〜とかでしょ?」

爪;'ー`)y‐「えぇ〜当てるんじゃねぇよ」

▼;・ェ・▼「当たってんじゃねぇよ…」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:25:52.01 ID:tWdycVWe0

爪'ー`)y‐「でも俺たちでやつら―――“神器を操る四人”を倒せば大出世だぞ!」

▼・ェ・▼「あなたは何もしなくてもいずれは魔王ですよ」

(・(エ)・)「そうそう。時間は夢を裏切らない」

▼・ェ・▼「夢は時間を裏切らないんです」

爪;'ー`)y‐「どうして急に槇原敬之を…」


爪'ー`)y‐「確かに俺はいずれは魔王だ。でもな、親の七光りってのは気にくわねえ。
       だからでっけえ功績を上げるのさ。おまえらも手伝え!」

▼;・ェ・▼(;・(エ)・)「えぇ〜」

(;・(エ)・)「じゃあもっと強そうな魔族を誘ってくださいよ」

▼;・ェ・▼「どうして僕らなんですかぁ」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:28:44.91 ID:tWdycVWe0

爪'ー`)y‐「馬鹿やろう!」

(・(エ)・)「わっ」▼・ェ・▼

爪'ー`)y‐「おまえら以外に友達がいたら、俺もそっちに頼んでるさ…」


爪'ー`)y‐   ((エ)・(・ェ・▼


(・(エ)・)「……ああ」

▼・ェ・▼「……そう、ですか…………」


 ・
 ・
 ・
 ・
 ・


( *^ω^)「ぶはー!仕事のあとのビールはうまいお!」

( *・∀・)「今日の魔族は数が多くてだるかったぜー」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:31:18.04 ID:tWdycVWe0

(#<●><●>)


本部のソファーにだらしなく乗り上げ、酒盛りをしているのは、
今や世界の命運を託されたロックバンドだった。


(゚、゚*トソン「デミタスちゃーん!お酒追加ー!」

( ・∀・)「つまみも頼むぜー!」

(´・_ゝ・`)「うむ。わかった」

(;<●><●>)「長官!どうしてパシリにされてるんですか!」

(´・_ゝ・`)「む、そういえばそうか」

(#<●><●>)「おまえらー!職場に酒を持ち込むんじゃないわよ!」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:34:22.86 ID:tWdycVWe0

( ・∀・)「少しくらいいいじゃねえか。毎日命賭けて魔族と闘ってんだからよ」

(^、^トソン「僕なんて<治癒>で街の人を助けたら天使扱いされちゃったっ」

( ・∀・)(堕天してんだろうけどな…)

( ゚∀゚)「ぽーにょぽーにょぽにょ刺身盛り〜モグモグ」

( *^ω^)「ウィスキーもイケるお」



( <●><●>)「長官のせいだ……長官が甘やかすから……長官が叱らないから……」

(´・_ゝ・`)「すまないな。そういうのは苦手でね」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:37:46.10 ID:tWdycVWe0

(#<●><●>)「奥さんに言いつけてやりますよ!」

(´・_ゝ・`)「それだけは勘弁してくれ。殺される。
      そうだ、忘れない内に虚人に関してのリポートを伝えておくよ」

(;<●><●>)「こんなタイミングで!?」



( ゚〜゚)モシャモシャ

(´・_ゝ・`)「食べるのをやめて少し話を聞いてくれ」

( ゚∀゚)「アヒャ?」

( ・∀・)「あんだよ」

( ^ω^)「ブーンのギターを修理してくれる店が見つかったのかお!?」

(´・_ゝ・`)「あ……うん、それも含めて報告だ」


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:44:05.41 ID:tWdycVWe0

デミタス長官は、何枚かの資料を見ながら、内容を要約していった。


(´・_ゝ・`)「<虚人>に関しての報告だ。
      まず理論的な部分だが、どうやら以前と違って、彼らはある日ある瞬間に突然生まれるらしい。
      時空に圧力が加わった瞬間、歪んだ超平面が重なることによってある特異点が生まれる。
      その特異点こそが<虚人>だ。以前よりわかりやすい説明になったかな?」

( ゚∀゚)「マジ日本語でおk」

( ・∀・)「アヒャおまえ、最近きてんじゃん!」

(´・_ゝ・`)「つまりあのー、別の時空にいるはずの存在が、この時空に現れてしまったってことだ。
      うーんこの説明は正解じゃないんだが、イメージとしては大体そんな感じだ」

( ^ω^)「わかったのはそれだけかお?」

(´・_ゝ・`)「理論より重要な報告もあるよ。虚人の目撃証言だ」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:48:35.74 ID:tWdycVWe0

(゚、゚;トソン「黒頭巾みたいなのがまだいるの?ぶぇぇぇ」

その場にいた全員が苦虫を噛み潰したような表情になる。
黒頭巾と戦い、全滅しかけた嫌な思い出がよみがえった。


(´・_ゝ・`)「そんなに嫌な顔をするな。もう虚人とは闘わなくていいんだ」

( ・∀・)「本当か?」

(´・_ゝ・`)「ああ。虚人には物理的攻撃が訊くことがわかった。
      実証は無く理論上の話になるがな。続けていいか?」

( ^ω^)「どうぞどうぞ」


一度咳払いをしてからデミタスは続けた。


30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:55:11.16 ID:tWdycVWe0

(´・_ゝ・`)「君たちの敵はあくまで魔族だ。
      だがまあ、驚異的な存在には違いない。一応、頭に入れておいてくれ。



 まずは最も最初に発見された虚人。
 通称は<黒頭巾ちゃん>。


 从 ー 从


 身長はおよそ140〜150センチ。
 見た目は女性でいつも雨のときに現れる。
 実は先日、軍隊で狩りを行ったんだが、一個小隊を丸々全滅させられた。

 タイプは<攻撃型>。
 視認できないほどのスピードと、素手による強烈な手刀、引っ掻きが攻撃方法だ。

 気まぐれな性格なのか、攻撃できるときでも攻撃しない場合がある。
 また動かない相手には消極的になる。
 戦闘能力でいえば、見つかっている虚人の中でトップだ。


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 19:59:55.48 ID:tWdycVWe0


 次に発見された虚人も見た目はただの女性だった。
 通称は<貞子さん>。


 川д川


 黒頭巾の仕業だとされている事件の半分はおそらくこいつだ。
 見た目は白いワンピースを着た女だが、中身はモンスターそのものだ。

 タイプは<追跡型>。
 決して真っ向からは来ないのがいやらしいな。

 包丁のような凶器を手に持っている。
 また黒頭巾とは異なる移動法を持ち、こいつ相手に逃げるのは至難の業であるとされる。
 何人もの民間人、軍隊がやられている。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 20:05:46.09 ID:tWdycVWe0

 つい最近発見された虚人もいる。
 実は噂そのものは黒頭巾よりも前にあったらしいのだが、犠牲者の数が少なかったからか、
 大きくは広まっていなかった。だから発見が遅れた。


 通称<サイレント>。


 ( − )


 見た目は大男だ。身長はゆうに2メートルを超えるらしい。

 体から常に“黒いもや”が出ている。
 そのもやに飲まれると、音や光などを失うらしい。
 つまり急に真っ暗でなにも聞こえない空間に取り込まれるイメージだ。

 ずっとその状態でいると死に至るらしい。
 研究チームでは、彼が発する“闇”はエネルギーを吸い取るブラックホールに
 近い性質があるのじゃないかと言われている。


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 20:14:40.98 ID:tWdycVWe0

 とまあ、現在見つかっている虚人は以上の三人だ」


(´・_ゝ・`)「どうです。ワクワクしてくるでしょう?」

( <●><●>)「長官はどうしてそう、絶妙なネタを振ってくるのですか…」

(´・_ゝ・`)「家だと無視されるから職場でいっとこうと思って」


    川 ゚ -゚) ――あなたのネタはわからないわ
    ハソ ゚−゚リ ――お父さん気持ち悪い


(´・_ゝ・`)「虚人はまだいるかもしれない。
      今のところラッキーなのは、虚人たちは知能が高くないということだ。
      対策を練れば何とかなるだろう」


( *^ω^)「ウィ〜」   ヒック(゚、゚*トソン   ( ・∀・)「つまみがねーぞー」 ( ゚∀゚)「zzz…」



(´・_ゝ・`)「うーん」

( <●><●>)「長官のせいだ……長官がナメられまくってるからだ……」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 20:20:44.67 ID:tWdycVWe0

(´・_ゝ・`)「まあいい。今のうちにうんと夢を見させておこう」

( <●><●>)「やはり軍部は?」

(´・_ゝ・`)「虚人に関しては諦めている。今の技術ではやつらを倒せない。被害を抑えるので精一杯だ。
      つまり古代兵器の力が必要になる」

( <●><●>)「今のところ覚醒しているのはトソンだけ……。
         間に合いますかね」

(´・_ゝ・`)「間に合わせねば、滅びが始まるだけだ」


ひとときの夢に酔うことが、どれだけ平和なことなのか。
これから激戦化していく戦いの中で、彼らは悟ることになる。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/09(火) 20:23:02.48 ID:tWdycVWe0


ちなみに、


爪;'ー`)y‐「だから向こうがペット可愛いですねって言って油断して
       近寄ってきたところをズドンとやればいいじゃねえか!!」

▼;・ェ・▼「人間よりでかいペット連れて歩いてたらまず通報されますよ!!」

(;・(エ)・)「僕とかまずマタギが出てきますよ!」

爪;'ー`)y‐「ペット役ぐらいやれよてめぇーらぁー!!」

▼;・ェ・);・(エ))「んな無茶なー!!」


王子、初陣ならず!!



第九話「初陣」 終われ


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