- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:38:18.93 ID:TDrecNTP0
爪;'ー`)y‐「よ、よし。いっせーのーでで襲うからな」
(・(エ)・)「ちょっと待ってください。いっせーのーでの“で”ですか?
それとも言った後ですか?」
爪'ー`)y‐「だからいっせーのーでの“で”だよ!」
▼・ェ・▼「“で”を言った瞬間なのか、言っている最中かでまたタイミングが…」
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:39:39.64 ID:TDrecNTP0
「つべこべうるせぇえええええ!!!!」
( ^ω^)音楽が世界を救うようです
第十二話「乱戦」
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:43:26.41 ID:TDrecNTP0
( ・∀・)「旅に出るんだ…おいしいものをたくさん食べる旅に…」
ベーシストは地味。
強烈な事実をつきつけられ、傷心のモララーは、虚ろな目で人気のいない丘をさまよっていた。
「いっせーのー…」
( ・∀・)「…?」
爪;'ー`)y‐(・(エ)・)▼・ェ・;▼「でええええ!!!!」
( ;・∀・)「??!?!!!??!?!?」
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:45:20.95 ID:TDrecNTP0
(・(エ)・)「聞いて驚け!」
▼・ェ・▼「見て笑え!」
爪;'ー`)y‐「我らえんま様の…作品が違うわっ!!!
俺は魔族のプリンス、キングフォックス様だ!テメーの命もらいに来たぜ!!」
( ・∀・)「魔族?魔族の…殺し屋が、俺を狙って……?」
( *・∀・)「ま、マジかよお〜〜〜」
嬉しそうだった。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:50:48.04 ID:TDrecNTP0
( *・∀・)「やっぱりアレ?俺ってこう、魔族の間では厄介なやつみたいなことになってんの!?
あのベーシストには気をつけろ!みたいな?」
爪'ー`)y‐「いや全然知らんけど…」
( ・∀・)「しっとけよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
爪;'ー`)y‐「っるせえんだよ!!さあどうするよモルルァ!!
他のメンバーがいなきゃ俺たちには勝てねえんだぜ!!」
( ;・∀・)「そうだった!ロックがなきゃあ魔族は実質無敵!
一体どうすれば…!俺はモララーだファック!!!」
魔族を倒す方法はロックのみ。
ベーシストのモララー一人だけでは、ロックを奏でることは出来ない。
絶体絶命であった。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/13(土) 23:58:17.23 ID:TDrecNTP0
(;・(エ)・)「や、やばい…高まってきた…!
もしかすると僕らが士官になれる可能性だってあるんだね!」
▼;・ェ・▼「いや、もっと凄いかもしれない!
やつを倒せば、僕らは士官になれるかもしれないんだ!」
(;・(エ)・)「そうだね。今僕もその旨を伝えたんだけど…」
爪'ー`)y‐「何はともあれやつを倒してからだな!
いくぜええええモリゾー!!」
( ;・∀・)「モララーだ!!」
(・(エ)・) ▼・ェ・▼
ピキーン
_______∧,、_______
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄'`'` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
爪'ー`)y‐ (・∀・ )
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:04:03.32 ID:5gxoi0c20
爪;'ー`)y‐「!?」
寒気が走った。
(;・(エ)・)「え?」
急速に災いが近づいてくる感覚。
▼;・ェ・▼「?」
例えば絶対に避けられない物体が目の前にゆっくりと近寄ってくるような。
( ;・∀・)「まさか」
リアルな死の予感を覚えた。
モララーは、二度目の体験である。
だからこそ彼は瞬時に身構え、彼女の“初撃”をぎりぎりのタイミングで、躱すことができた。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:07:03.05 ID:5gxoi0c20
(;・(エ)・)「うわああああああ!!」
▼メ・ェ・▼「痛い痛い!!なにかが通り過ぎた!?」
爪;'ー`)y‐「なんだ!?誰だ!どういうことだ!!」
魔族の三人は、体から黒い血を流してのたうち回った。
( ;・∀・)「黒頭巾か!?」
辺りを見回す。
何も遮るものがない丘の上だ。
異様な雰囲気を持つ彼女を見つけるのは簡単だった。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:12:17.81 ID:5gxoi0c20
「誰っていうかなんで誰か教えないといけないっていうか」
「教えたところで無駄だし」「無駄な労力って嫌い」
川д川「私に名前ないし」「無いのよ名前が」「ふざけんな」
「誰も逃げないで」「ていうか逃がさない」「ていうか逃げられない」
爪;'ー`);・(エ)・);・ェ・▼;・∀・)
うわぁ〜〜〜の図。
( ;・∀・)(黒頭巾じゃない…けど、人間でもねえなありゃ)
まるで幽霊のような女、だった。
長い黒髪のせいで表情はよく見えない。
右手の包丁には、魔族の血がべっとりとついていた。
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:18:27.28 ID:5gxoi0c20
爪;'ー`)y‐(デンジャー!!超デンジャーだ!!
魔族じゃねえ、ましてや人間でも絶対にねえ!!
あいつが持ってる武器、あれはこの世のものじゃねえ。
魔族の体に傷を付けるのは神曲以外にありえねえ、はずなんだ!!!!)
(;・(エ)・)「痛いよぉ」
▼;・ェ・▼「いつ攻撃されたんだろう!!」
( ;・∀・)(そうだ。やつはいつの間にか、俺の後ろにいた。
そしていつの間にか消えていた。黒頭巾ってやつは高速で動けるんだったな。
やつもそうなのか?いや、どうだろう。攻撃の瞬間、やつを見ることができた。
高速で移動してる訳ではない?じゃあさっきの攻撃は一体?瞬時に移動できたのはどうやって?)
( ;・∀・)「わからねえええええ!!!!
だって俺そういうキャラじゃねえし!!!」
爪;'ー`)y‐「おいモルダー!!」
( ;・∀・)「モララーだ!!
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:23:02.90 ID:5gxoi0c20
爪;'ー`)y‐「アレなに?」
「何よそんな大勢で」
川д川 ←アレ
「私一人なのに」 「死ねばいいのに」
爪;'ー`)y‐「元カノ?」
( ;・∀・)「あんな地雷と付き合うかボケ!!!たぶん虚人ってやつだぜ」
爪'ー`)y‐「巨人?いうほどデカくねえよ」
(
;・∀・)「それは俺がもう言った!!」
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:30:01.74 ID:5gxoi0c20
( ・∀・)「なんでも、別の時空の存在らしい」
爪'ー`)y‐「別の時空の存在?じゃあなんであんなに人間に似てるんだ?」
( ;・∀・)「知らん!ググレ!」
川д爪;'ー`)y‐「大体、なんで俺たちが狙われなくちゃいけ」
(;・(エ)・)「フォックス様!!うしろうしろー!!」
何の脈絡も無く後ろに現れた女は、フォックスの胸の辺りに包丁を突き刺した。
爪;'ー`)y‐「――っ!!」
無造作に包丁を突き立てられたフォックスは、数歩よろめいて地面に倒れる。
▼;・ェ・▼「うわああ!」
女の姿はもう無かった。
彼女は元の位置に戻って、同じ姿勢でこちらをじっと見ていた。
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:34:36.91 ID:5gxoi0c20
爪; ー )y‐「いってぇ…やべえ、これは結構、ガチでやべえぞ」
(;・(エ)・)「逃げましょう!!」
▼;・ェ・▼「そうです!逃げるが勝ち!」
爪; ー )y‐「そうだな。死ぬよりゃ数倍マシだ。クマ。イヌ。俺を運べるか?」
(・(エ)・)▼・ェ・▼「はい!」
フォックスの両肩を持って、クマたちは慎重に倒れたフォックスを引き上げた。
( ;・∀・)(俺も便乗しよう!)
本来は敵の魔族なのだが、敵の敵は味方という言葉もある。
彼らと一緒に丘を下り、謎の虚人から離れることに専念した。
川д川
見えなくなるまで、彼女は微動だにしなかった。
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:39:49.96 ID:5gxoi0c20
・
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(;・(エ)・)「ここまで来れば」
( ・∀・)「まあ安心だな」
▼・ェ・▼「なんでおまえもいるんだよ」
彼らが逃げてきたのは、雑居ビルが所狭しと並ぶ貧民街だった。
昼間でさえ明かりが届かない場所が多く、街全体がじめじめと湿気った空気である。
無気力な人間、堕落した人間、麻薬中毒者、犯罪者。
この街にはこのような人間であふれかえっていた。
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:48:29.91 ID:5gxoi0c20
爪;'ー`)y‐「この俺様が敵前逃亡。しかも人間の街に身を隠すことになるなんざ…」
( ・∀・)「死にかけてるくせに口だきゃ達者だな」
(;・(エ)・)「僕ら魔族の体に傷を負わせるなんて…。
信じられない。虚人…一体どういう存在なんだ」
( ・∀・)「わからねえ。俺も一度死にかけてる。
…そういえば、考えたことも無かったな。どうして人間に似ているのか…」
▼・ェ・▼「今はそれよりもフォックス様の傷を治すのが最優先だよ」
爪;'ー`)y‐「みくびんじゃねえ。これくらいなら、もうすぐ完治するさ」
( ・∀・)「便利だな…魔族の体ってのは」
爪'ー`)y‐「おうよ。人間よりもよほど頑強で技術力も高い。
この世界を征服するのに、人間よりも相応しい種族だと思わねえか?」
( ・∀・)「アホか」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 00:57:27.28 ID:5gxoi0c20
モララーは口元のピアスを手で確かめた。
彼の唯一の武器だ。
( ・∀・)「いつ人間が、この世界を支配したんだよ」
爪'ー`)y‐「なに?」
( ・∀・)「支配者がいるなら俺がぶっ殺してやる。それがロックだ」
▼;・ェ・▼「勇者のくせにアナーキーなやつだな」
(・(エ)・)「昔の勇者とは大違いだ」
爪;'ー`)y‐「人間ってのはよくわか……来てるぞ!!!」
痛む胸を押さえながら、突如フォックスが叫んだ。
(;・(エ)・)「はい!?」
他の三人は事態が把握できていない。
爪;'ー`)y‐「やつだ!!!一体どうやって!?」
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 01:01:51.04 ID:5gxoi0c20
危機は去ったかと思われた。
川д川
しかし誰もいなかったはずの行き止まりの路地に、先ほどの女が立っているのを見つけた瞬間、
彼らはようやく事の危険性を理解し始めた。
( ;・∀・)「どうやってここに――!!」
現れたのか、わからないまま、彼女をまた見失った。
突然現れ、突然消える。
幽霊のように感じるのは、風貌だけではなかった。
「ぐあああああ!!」
爪;'ー`)y‐「いぬ!?」
すぐ傍から悲鳴が上がった。
▼;・ェ・▼「あっ――!!」
振り返ると、女の包丁が、いぬの腹に深々と突き刺さっていた。
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 01:07:23.80 ID:5gxoi0c20
(;・(エ)・)「うわああああ!!いぬから離れろおおお!!!!」
クマが腕を振り上げ、女に向かって突進した。
振り下ろした爪が女に当たる寸前に、また幽霊のように女が消えてしまった。
( ;・∀・)「…テレポートだ。こいつテレポートできるんだ!!」
爪;'ー`)y‐「あんだと!?」
「毛深くて嫌い」「動物って面倒だし」「手間もかかる」
川д川「キャットフード」「掃除が大変だもん」
「動物好きアピール?死ねばいいのに」「逃がさないから」
消えた女は、また行き止まりの路地の突き当たりに立っていた。
高速移動でなければ、モララー言う通り、テレポート以外考えられない。
(;・(エ)・)「イヌ!大丈夫か!?」
▼;・ェ・▼「ははは。パンツいっちょのアーサーくらいだ」
(;・(エ)・)「死にかけじゃないかー!」
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/14(日) 01:15:29.38 ID:5gxoi0c20
爪;'ー`)y‐「とにかく…逃げるんだ。イヌ、肩を貸すぜ」
▼;・ェ・▼「す、すみません」
(・(エ)・)「そうだ。今は逃げるが勝ちだ!逃げられれば…」
(
;・∀・)(テレポートしてくる奴から、どうやって逃げりゃいいんだ!)
女がぶつぶつと呟いている間に、四人は路地から脱出した。
日の当たらない街を走り抜ける。
薄汚れた通り、地面に転がる人間、むせかえるゴミの匂い。
( ;・∀・)(ここを死に場所にしても、かっこがつかねえな)
死ぬ時は派手に盛大にかっこよく、生きるなら地を這いつくばってでも。
それがモララーの、人生哲学である。
第十二話「乱戦」 終
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