- 3 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:43:28.26 ID:OVvABWnBO
- 何事かも無かったかのように、ジョルジュが店を訪れたあの日から3日が経った。
あの後すぐツンから事務的な挨拶の電話がかかって来たきり、ジョルジュ側からの連絡は無い。
ブーンは取り敢えず落ち着きを取り戻したかの様に、いつも通りの営業をしていた。
( ^ω^)「ミンチカツ定食おまただお」
(´・ω・`)「ありがとう」
ショボンの頭はフル回転だった。
どうにかブーンにとって最良の選択肢は無いものか、この3日間そればかりを考えている。
( ^ω^)「ショボンが普通のメニュー頼むなんて珍しいお」
(´・ω・`)「うん、いつも酔ってるわけにはいかないしね…それにしても…」
それにしても、この店のメニューにはハズレが無い。
- 4 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:44:44.63 ID:OVvABWnBO
- ショボンがカリカリに揚がったミンチカツに箸を入れると、そこから食欲をそそる大量の肉汁が溢れ出て来る。
それを小皿に入ったソースに浸け、まだ熱いうちに口の中に入れればミンチカツの風味がゆっくり溶ける様に口いっぱいに広がっていく。
しかもその大きなミンチカツが2つも付き、ボリュームたっぷりのこの定食の値段はたったの850円だ。これは素直に安いと言える。
この時ばかりはショボンの思考も止まり、食事に夢中になるのだ。
( ^ω^)「それにしても、何だお?」
(´・ω・`)「美味いね、ミンチカツ」
( ^ω^)「人気メニューの一つだおw」
そう言って、ブーンは他の食べ終わった客のお会計を済ませ、テーブルの片付けに回った。
ドクオやショボンがいつも訪れる時間より少し早めの午後1時。
VIP食堂は昼休みの客で慌ただしくも少しずつ客足が落ち着き始めていた。
- 5 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:46:43.35 ID:OVvABWnBO
- ─…
ショボンが定食を綺麗に食べ尽くした頃には、店の中にはブーンとショボンの2人だけになっていた。
食べるのに夢中になっていたショボンはそれに気付くと、
(´・ω・`)「レッツくそm」
( ^ω^)「だが断るwww」
(´・ω・`)「チッ」
ブーンは片付けに取りかかり、ショボンが食後のお茶をすする。
すると、店の扉が開きドクオが入って来た。
('A`)「ヴァー、いつもの」
(*゚ー゚)「こんにちはー」
ドクオの後ろにしぃが入って来るのを怪訝に見ていたショボンが突然目を見開き、席を立ち上がった。
(´・ω・`)「そ、それやー!!ワイの脳内で最後のピースがハマりよったでー!!!11」
('A`)(*゚ー゚)「?」
( ^ω^)「何で関西弁やねん」
- 6 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:48:50.49 ID:OVvABWnBO
- 長岡コンツェルン、東京本社の最上階。
ジョルジュは大きなイスに座り、文章が細かく羅列した書類に目を通していた。
( ゚∀゚)「さぁ…これからが更に忙しくなる…」
気だるそうに吐き出したそのセリフとは裏腹にジョルジュの口元には軽い笑みが零れていた。
その時、机の上で電話が鳴る。
( ゚∀゚)「はい、私だ」
ξ゚听)ξ『会長宛に、先日訪問したVIP食堂の内藤様からお電話がかかっているのですが…どうしても会長に通してくれと仰られておりますので、如何致しましょう?』
( ゚∀゚)(内藤…あぁ、あの食堂の店主でピザ気味の彼か…)
( ゚∀゚)「まぁ今は丁度空き時間だし良いだろう、繋いでくれ」
ξ゚听)ξ『かしこまりました』
- 8 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:50:58.91 ID:OVvABWnBO
- ツンがそう言うと、間も無く電話先がブーン達のものへと繋がれる。
( ゚∀゚)「はい、長岡ですが…」
('A`)『よう長岡さん、俺ドクオ分かるかな?あの時VIP食堂にいた、パンクスの…』
( ゚∀゚)「……あぁ!覚えているとも、彼女と一緒に来てた君か。
でも確か私はブーン君から電話を貰ったはずだが…」
('A`)『悪ィ、アイツの名前じゃなきゃ出てくれない気がしたからよ。
で、早速で悪いけど今日はアンタにお願いがあって電話したんだけどさ』
( ゚∀゚)「…何かな?まぁまずは聞いてみないことには返事はできないが…」
- 9 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:52:33.73 ID:OVvABWnBO
- ('A`)『お宅の秘書だっけ?ツンとかいう人が言ってたんだけどさ、ジョルジュヒリュ…』
( ゚∀゚)「…ジョルジュヒルズ」
('A`)『そうそう、それwww
あん中にさぁ、昭和チックな食堂を建設する計画とか立ってんだって?』
( ゚∀゚)「あぁ、確かにその予定だ。
高級料理店から大衆料理店まで幅広く設けるのが私の理想なんでね」
('A`)『ブーンを食堂で働かせても良い、みたいなことをこの間、秘書の姉ちゃんが言ってたんだけど…』
( ゚∀゚)「…一応、ツン君が話だけ彼に持ちかけてみたんだろうが、まだ採用と決定付けることはできないな。
何せ、まだどういう店を構えるかも具体的に決まってない状態で今も多くの料理人達からひっきり無しに応募の電話がかかって来ているんだ」
- 10 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:54:30.03 ID:OVvABWnBO
- ('A`)『うーん…よく分かんねぇけど、単刀直入に言わせてもらえれば、その大衆料理店ってのVIP食堂にしてもらえ無ぇかな、って話なんだけど』
( ゚∀゚)「…率直に言わせてもらえれば、それは非常に難しい話だな。
VIP食堂は確かに人気店ではあるだろうが、それは一部の話であり、実際の認知度は少ない」
('A`)『まぁそうだろうな。…俺もバカじゃねぇから、それぐらい分かるよ。
…で、実はこっからが本題でさ…ぶっちゃけ言うと…取引しね?』
( ゚∀゚)「…取引…?…一応聞こう…」
('A`)『アンタさっき、昨日俺の隣にいた女が、俺の女みたいな言い方したけど、アレ実は妹でさ。
もしもアンタがある程度考慮してくれるっつーんなら…おっぱい触らせても良いってよ』
(;゚∀゚)「…!!!!」
- 12 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 00:56:28.56 ID:OVvABWnBO
- ジョルジュの目が見開かれる。
ドクンドクンと心臓が高鳴っていくのが感じられる。
その左手はいつの間にか強く握り拳が作られ、小さく降り始められる。
('A`)『悪ぃんだけど、服の上からってことが条件なんだけどさ…』
(;゚∀゚)o「ハハハ…君は私が誰だか分かっているのかい?
仮にも私は長岡コンツェルンの代表だ。私が一人の女性の胸くらいd」
('A`)『…92のFカップ…形は丁度良いお椀型らしいぜ…』
(;゚∀゚)「!!!!!111!!」
ジョルジュは気を失いかけながらも、その左手は先程より力強く、大きく上下に振られていた。
(;゚∀゚)o彡゚(おっぱい…!おっぱい!!)
- 15 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:01:17.01 ID:OVvABWnBO
- 世間を見回せば巨乳が主流になりつつある、現日本。
それは食生活の変化、環境の変化でホルモンバランスが以前とは次第に変わって来ているからであろうと考察できる。
そんな状況にジョルジュは飽き飽きしていた。
巨乳、巨乳と言えど…型くずれしたような巨乳、寄せて無理矢理作った巨乳、服の上から見ても垂れているのが分かる巨乳、多くの偽物が溢れかえる昨今…
ジョルジュの長年追い求めた理想郷…ジョルジュ曰く『バビロン』はむしろ遠退いて行くように感じられていた。
( ゚∀゚)(私ももう良い年だ…バビロン等追い求めずに身を固めた方が良いかもしれんなw)
ふとそう思っていた矢先だった。
つい先日、たまたま訪れた小さな食堂でジョルジュはバビロンを見つけてしまった。
その時、全身の血肉が奮い立つ様な感覚は思い出すだけで、今も身震いが起こる。
- 16 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:03:29.33 ID:OVvABWnBO
- 気を失いかけ、目の前の世界が回り続けているジョルジュはハァハァと荒い息を吐き左手を振り続けている。
電話越しにその様子を感じ取ったドクオは満面の笑みを浮かべ、後ろで不安げに見つめるブーン、ショボン、しぃに親指を立てた拳を出した。
('A`)「おーい、ジョルジュさーん、聞こえてるかー?www」
ややあって、電話の向こう側で咳払いが聞こえると、先程より押し殺したジョルジュの声が返って来る。
(;゚∀゚)o彡°『…ド、ドクオ君……それは真実かな?』
('A`)「あぁ、さっきも言ったけどアンタがそれなりに考慮してくれるってならの話だぜwww」
(;゚∀゚)o彡°『……し、しぃ君は…』
('A`)「納得してるみてーよ?それにアンタのことそんな嫌いじゃない、みたいな言い方してたしw」
(;゚∀゚)o彡°『!!』
ドクオの背中をしぃが軽く殴り付けた。
- 17 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:05:41.70 ID:OVvABWnBO
- また少し間が空くと、
(;゚∀゚)o彡°『少し…時間を貰いたい…こちらから電話するから、待っていてくれないか。
…あぁ…連絡は必ずするから、会社に電話は遠慮してくれ…ではまた』
そうジョルジュは喋り終えると、電話は切れてしまった。
ドクオは携帯を置くと、腹を抱えて笑い始める。
('A`)「ちょwwwwwマジでアイツ巨乳好きwwwwwwwショボンwwwナイスwwwww」
(´・ω・`)「どうやら上手くいった様だね」
(;^ω^)「ホントに良かったのかお…?」
(´・ω・`)「良いんだよ。僕はここが完全に無くなってしまうより、そっちの方が良いと思うから」
(;^ω^)「アウアウ…でもしぃちゃんが…」
(*゚ー゚)「別に直接触られるわけじゃないし…ショボンが渡してくれたコレがあるしね」
しぃの手にはショボンからの秘密兵器が握られていた。
- 18 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:07:18.40 ID:OVvABWnBO
- ( ^ω^)「ショボン…そろそろショボンが何者か教えて欲しいお」
ブーンは以前からショボンという男のことが気になっていた。
ドクオの様に、普段何処で働き何をしているかが全く分からず、ショボン自身に聞いても「秘密」と微笑むだけだった。
何をしているかも分からないのに、店内を荒らされる度に渡される小切手。
そして、今回ジョルジュに鎌を掛けようと提案したのもショボンである。
ショボンは少し唸り頭を掻くと、口を開いた。
(´・ω・`)「うーん…まぁ簡単に言えば何でも屋みたいなもんかな…」
( ^ω^)「何でも屋…?」
(´・ω・`)「まぁ大きく分ければ二つなんだけど…情報屋と探偵がメインだよ」
('A`)「…ウホなんだけど、徒者ではないと思ってたが…」
(*゚ー゚)「何かイマイチ探偵とか情報屋とかピンと来ないけど…」
- 19 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:09:15.35 ID:OVvABWnBO
- (´・ω・`)「まぁ基本情屋も探偵秘密裏に動くから、実際こんなもんだよ」
( ^ω^)「じゃあジョルジュのことも…?」
(´・ω・`)「調べた上での話さ、カナリのおっぱい好きだそうだ。というよりもマニアに近いものがある」
('A`)「で、しぃの胸が…」
(´・ω・`)「皆、彼の話聞くことに集中してて分かんなかったろうけど、カナリちら見してたよ」
(;゚ー゚)「うわ…キモ…」
(´・ω・`)「まぁあんな上手く行くと思わなかったよ。例え彼があの時僕らの話を飲まなかったとしても、別に状況が悪くなるわけじゃないから。
しかし、向こうがどういう条件を出して来るか…」
- 20 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:11:17.87 ID:OVvABWnBO
- ('A`)「何もしないで無くなるよりかは俺は全然良いと思うけどな…けど…」
(´・ω・`)「そうだね、結局はブーンの話だから」
( ^ω^)「お?」
('A`)「何か俺らばっかで話進めて、お前付いて来れてんのかな…って」
( ^ω^)「大丈夫だおwブーンはショボンみたく頭の回転早くないから、ブーン一人じゃきっと向こう側の言われるがまま事を進めてたと思うお」
(´・ω・`)「迷惑だったら言いなよ?」
( ^ω^)「おっおっwwwここまで来たらブーンはショボンに言われた通り悪足掻きすることに決めたんだおw」
('A`)「そうか。
…後はしぃの頑張りだな…すまん…こんな役割」
(*゚ー゚)「大丈夫だよw」
- 21 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:12:48.96 ID:OVvABWnBO
- ジョルジュは悩んでいた。
正直なところ、ヒルズ内に設ける店は大方決定していた。
VIP食堂をヒルズ内に設置するのは不可能というわけではないが、ネームバリュー等を考えた時、他店に比べるとやはり一気に劣ってしまう。
実際、あの食堂のメニューの味も知らない状態で話に乗るのはギャンブルに近いものがある。
( ゚∀゚)(しかし…あのおっぱい…)
そうだ。おっぱいだ。
( ゚∀゚)(どうにか…双方にとって、できれば私に優位であってあのおっぱいを触る方法は…)
高級料亭の一室、今夜この人気料亭の味を実際に知るべく、ジョルジュ自らこの場へ訪れた次第である。
料理を待つ間、ジョルジュの頭の中は冷静と情熱の間を行き来していた。
- 23 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:19:13.93 ID:OVvABWnBO
- 料理が運ばれて来ると、取り敢えずジョルジュは考えるのを止め、食事に集中することにする。
世界レベルで仕事をしているジョルジュの味覚は常人よりは遙かに肥えていた。
今宵訪れたこの店は半世紀続く老舗料亭として有名だ。
完全予約制。多く店を構えず、限られた店舗で独自の営業を行っている。
( ゚∀゚)「…美味い」
味は確かだった。
ジョルジュの箸は全て食べ尽くすまで止まることはなかった。
─…食後、ジョルジュはこの料亭の板前と直接話をする予定である。
( ゚∀゚)(日本食に限らず、あらゆる国の味を己の手にしたと言われる程の男…一体どんな男だ…)
その時、部屋を仕切る襖がゆっくりと開いた。
- 24 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:21:21.93 ID:OVvABWnBO
- < `∀´>「アニy…失礼致します、今夜の御料理を担当しましたニダーと申します。
御味の方は如何だったでしょうか?」
ジョルジュと同い年くらいに見える男は敷居の外で、丁寧な挨拶をしながらジョルジュの顔を覗き込んだ。
( ゚∀゚)「あぁ、どうも初めまして。
御料理の方は非常に美味しかったです。
どうぞ、堅苦しいのは抜きにして入って来て下さい」
< `∀´>「カムサh…有難う御座います。
では御言葉に甘えまして」
ジョルジュは相手に妙な緊張感を与えないように話すのが上手い。
ジョルジュが笑顔で酒を勧めると「では一杯だけ」とニダーは微笑んだ。
( ゚∀゚)「いやー…実に美味しかった。間違い無くヒルズ内でも人気店になるでしょう、お世辞抜きで」
< `∀´>「恐縮です。まさか私の店がジョルジュヒルズに新店舗を構えられるなんて夢物語の様です」
- 25 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:23:54.41 ID:OVvABWnBO
- ( ゚∀゚)「噂ではニダーさんは世界各地で料理修行をなさっていたそうですね」
< `∀´>「はい。先代がまだ亡くなる前の話ですが、私は自身の腕を磨くため武者修行として世界各地を歩き回ってました」
( ゚∀゚)「そうですか、今宵の料理にもソースやスパイスで上手く日本料理以外の調理法が使われていたのが良い発見でした」
< `∀´>「有難う御座います。ここは料亭ですが、私自身は板前ではなく料理人と自覚してますので、日本料理にこだわらない調理法を日々模索中です」
今日の店は間違い無く当たりだ、と思っていたジョルジュの脳内に雷が落ちた。
そこからジョルジュの頭はフル回転で回り出す。
- 26 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/06(土) 01:25:12.32 ID:OVvABWnBO
- ( ゚∀゚)「ニダーさん!!」
<;`∀´>「マ、マンギョンボン!!(驚いた声)」
ジョルジュはいきなり大声を上げニダーに詰め寄ると、
( ゚∀゚)「実は御相談がありまして…」
<;`∀´>「は…はぁ…」
ジョルジュは小声で脳内で導き出した答えをニダーにゆっくりと説明していった…
戻る