- 37 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:25:28.78 ID:+bxalQSW0
('A`)にはノルマがあるようです 最終話『未来の色は何色ですか?』
- 38 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:28:11.01 ID:+bxalQSW0
- あれから僕は、公衆電話を見かけると、ボーッと見ている癖が少しついてしまった。
それも何もかも、僕の親友が置いていった"言葉の手紙"のせい。
勝手に行動した僕への戒めなのだろうか。それとも、家族を守れと脅かされているのか……。
('A`)「ズルいですよね。僕は」
こう言っていると"そんな事ぁねえって!!"と大きな声で、僕の肩を叩く親友が急に現れる気がしてしょうがなかった。
皆は、僕のせいなんかじゃ決して無いと言ってくれる。自分の弱さに吐き気がする。
自分の汚さにも反吐が出る。もう死んでしまいたいとも考える。だけど死ねる気がしない。託されたからだ。
それでも見えないのは、自戒心があるから?tanasinnがいなくなってからの自分は、本当の意味で抜け殻だった。
携帯が震える。
そういえば、親友が先に行ってしまってから、皆に説明をしてから……、僕は一人こうやってブラついていたんだ。
電話に出ようとする。でも、いつも通話ボタンを押すその間際で止めてしまうのだ。
でも、液晶にうつるミセリという名前を見ている内に、そのボタンを押そうという気になった。
- 39 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:30:20.61 ID:+bxalQSW0
- ('A`)「……もしもし」
ミセ;*゚ー゚)リ「ど、ドクオさん?どうして電話に出なかったんですか!?」
('A`)「いえ……。少し疲れていて、ちょっと電話に出れなかったんです」
ミセ;*゚ー゚)リ「ちょっとって……。家にいったっていないし、私達……、私心配してたんですからね!?」
(;'A`)「す、すいません……」
電話越しに、ジョルジュとツン、それにペニサスの声が聞こえた。
ドクオは少し見世物にされてるような気がして恥ずかしくなるが、ミセリの説教は止まることを知らない。
携帯電話を耳に当てたまま、あの頃のようにペコペコと頭を下げる。誰もいないのに。
社会に出ていた頃の癖が、まだ残っているのだ。
いや、まだ残っていたというのか。
ミセ#*゚ー゚)リ「……!!……!!!」
(;'A`)「も、もうそろそろ許してくれませんか」
説教が始まった。
こうやって怒鳴られるのも、生きている実感がしていいもの。
そんな事を言えば、マゾ認定されてしまうのだろう。口が裂けても言えない。
ミセ*゚ー゚)リ「いいえ!今どこにいるんですか!?お兄ちゃんが車出すんでそこで待っ……あ、ちょっと」
( ゚∀゚)「よう。元気してっか?」
強引に電話を変わったのだろう、ジョルジュの声の向こうで声がまだ続いていた。
モララーとは、決して声は似ていない。だが、その影の部分には、少なからずモララーの生きていた、すごしていた影があった。
- 40 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:31:39.13 ID:+bxalQSW0
- ('A`)「はい。死ぬ事は無かったです」
( ゚∀゚)「いや、心配してたんだ。色々とよ。アイツがいなくなって、お前もいなくなったら……。やっぱ寂しいじゃねえか」
('A`)「……それは、モララーさんの悲しさがあるだけですよ。僕の悲しさはそこにはありません」
自虐的に振舞う。
強がろうとしたドクオなりの精一杯とも取れたジョルジュは、一つため息をつく。
( ゚∀゚)「はぁ……。お前、本当にモララーそっくりになってんだな。つまんねぇ事言ってねぇで、早く場所言え。ほら」
('A`)「……、ヤオイ駅です」
( ゚∀゚)「あいよ、待ってな」
色々な謎が解けていった。
それでもわからない事が多すぎて、頭が変になる。考えていると、その考えが無くならなくて、その考えがなくならないうちにまた新しい考えが現れる。
そんなイタチゴッコが頭の中でずっと展開されているんだ。考えることを止めたい。でも、止めてはいけない。
流れていく時間が、それを教えてくれるような気もした。
昼下がりの、ちょっとした賑わいを持つこのヤオイ駅で、そんな事を少し思うドクオ。
時間が過ぎていくうちに、徐々に頭の中に記憶が蘇ってくるのだ。
モララーが身を挺して、もう一つの親のtanasinnを道連れにした事も、あの電話口の男が誰だったかという事も。
tanasinnという媒体が、いなくなってからも情報を与えてくる、そう受け取っていた。それでも自分の口から話すことは、なるべくしたくなかった。
だから故に、こうやって一人で放浪していたんだろう。
- 42 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:33:09.82 ID:+bxalQSW0
- ――――
('、`*川 「体験から導き出した推測は、そういう事なのね?」
('A`)「そうです。あの刑事……クックルさんのtanasinnを喰おうとした時に見えたんです。
一軒の古い納屋のような家が。多分あそこが、全ての元凶なんだと思います」
ξ゚听)ξ「で、そこは思い出せそう?」
そこで、ドクオはふと思い出す。そういえば、タクシーの運転手が言っていたイタコの類の事を。
あの時に見た景色は、少しセピアがかった空が一面を染め上げていたのを覚えている。そして長屋がずらりと並んでいた光景。
('A`)「すいません。このビルの前は、何だったんでしょうか?」
ξ゚听)ξ「この?えっと……何だったかしらね。ここに来てからモララーに見せてもらった事があるのよ。ここの地理年表みたいなの」
('、`*川 「ビルが出来る前は、少し前に話があったとおり、部落関係の集落だったはずよ」
ペニサスがそう言うと、室内に乱雑に散らかされていた分厚目な本を一冊取り出した。
表題には、モテナイ市年度別地図表とある。どうやら3年毎に市が測量して回っていた頃の本であるようだ。
そこにはこの一帯であった場所の家、持ち主の名前が細かく記載されていた。市側からしても、ここはチェックしておかなければいけない危険な地域だったのかもしれない。
現に、こうやって今ちょっとした騒動を巻き起こしているのだから。
('A`)「なら、ここがその元凶があった場所なんじゃないかと思います。多分……ですけど」
('、`*川 「……。どうしてそう思うの?」
('A`)「ペニサスさんは笑うかもしれないんですけど……直感です」
('、`*川 「……クスッ。なるほど、直感ね」
(;'A`)「や、やっぱり笑った」
ξ゚听)ξ「ならさ、ここを調べちゃいましょう。もう時間無いわよ」
ミセ*゚ー゚)リ「ですね。もう今からでも」
- 43 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:34:55.60 ID:+bxalQSW0
- 初耳だった。
警察やマスコミに情報を流したまではいいが、予想以上に特定作業が速く進んでおり、もう今晩にはこのビルまで立ち入り操作を始めるかもしれない、との事だった。
なので、調べ物をするなら今しかなく、もしこの建物が壊されなどしたら、その元凶さえも見つけられなくなるのだ。
その元凶というものに、もう力は無い。だが、確かめておきたいというのが皆の意見であった。
( ゚∀゚)「でよ、それがどこにあるかわかるのか?」
('A`)「……。ここに最初、モララーさんに連れてこられてきた時に感じた事が一つあります」
それは、なぜかあの地下5階より"下"に何かある、そんな感覚。
深い場所から、何かに呼ばれるような気がしたのだ。あの時は、それどころでは無かったので何も言えなかったが、今思えばあれは異質な感覚。
別に敵意も何も無いのだが、こう、手招きをしているようであった。
('A`)「この建物は、地下何階まであるんですか?」
( ゚∀゚)「今いる俺達の場所が、地下2階。ミセリを延命させていたのが地下5階。このビルは地下5階までだ」
('A`)「じゃああの場所が一番下って事ですか……」
ジョルジュがコーヒーを口に少し含む。ソーサーに少し音がする程度に置くと、徐に立ち上がった。
( ゚∀゚)「よし、五階見に行くか!ペニサスさんとノルノさんはここから外見ててくれ。もしかするともしかするかもしれないからな」
('、`*川 「あら、私もそういうの興味あるんだけど、ねぇ?ノルノ」
ノル゚-゚ノ「は、はいそうです」
ξ;゚听)ξ「……何よもう。私が見ててあげるから行きなさいよ!」
('、`*川 「ふふ。ありがとうツンちゃん」
- 44 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:36:41.20 ID:+bxalQSW0
- そういうと、ツンを除く皆が地下へと移動する。
少し惜しい気持ちもあったが、やはり誰かが残らないといけないので、そこは我慢だと言い聞かせた。
すると、携帯電話が鳴る。ツンはディスプレイを見ると、少しバツの悪い顔をした。
相手は、ロマネスク。あの親のtanasinnを持っていた男の部下。そして、いいように扱っていた男。
ξ゚听)ξ「……」
何も言わず、メールボックスを開き、メールを確認する。
するとそこには『真実を知りたい。君が悪い人間だなんて信じたくも無いし、僕は君が好きだから』と、一文が入っていた。
やはり怪しいと思われていたのだろうか?それでも、極力"臭い"も"足跡"も消すように努めてきた。
この男も、ドクオと同じく"直感"で言っているのだろうか?カマをかけているわけでも無さそうだ。何か自分の中で確信があるのだろう。
カチカチと、慣れた手つきで返事を返す。
『何の事でしょうか?メールで告白だなんて、ロマネスクさんらしくないですよ』
すぐに返事が返ってくる。
『今ビルの前にいます。お話をさせてください』
ξ;゚听)ξ「……え?」
すぐに備え付けた監視カメラを見ると、少し悲しげな顔をして、俯いているロマネスクがいた。
それほど寒くないというのに、コートを羽織り、じっとその場に立っている。
ツンは歯軋りをした。ただのボンボンじゃ無かったという事に、今気づかされたのだ。
すぐさま、ジョルジュに連絡を入れようと……したが、今見たところ一人、周りにパトカーは無い。別に、自分達が悪いことをしているという事は無いのだが、
難癖、不法侵入などで別件逮捕。そして莫大な時間をとられるという事は回避したかった。
少し震える指で『わかりました。少しお待ちください』とメールを打つと、静かで暗いコンクリートのビルの階段を、一人上がっていった。
入り口の、大き目のガラス扉を開くと、そこには、さっき見た男がこちらを向いていた。
- 46 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:38:39.41 ID:+bxalQSW0
- ( ФωФ)「――ツンさん」
ξ゚听)ξ「……」
ゆっくりこちらへと近づいてくるロマネスク。
( ФωФ)「僕の言うことに、答えてください」
ξ゚听)ξ「……ええ」
落ち着いた声で、淡々と話していく男にペースを握られているような気がして、少し苛立った。
相手も警察。なめてかかった訳では無かったというのに。
ロマネスクが質問を始める。
( ФωФ)「……ツンさん。あなたが……あなたが、したんですか」
ξ゚听)ξ「違うわ。私はそんな事しない」
(#ФωФ)「ならなぜ!なぜ私の身辺を調べていたんですか!!なぜ……、なぜ今ここにいるんですか……」
風が一つ、強めに吹く。
金髪が靡き、ツンの顔が幾分か隠れた。ロマネスクは、そのツンを見つめ、怒り、泣いていた。
そのロマネスクを見て、ツンは少し心が痛んだ。だが、しょうがないとすぐに割り切る。
ξ゚听)ξ「私は、家族が大事なの。何よりもね。だから……って言っても、答えにはならないかしら」
( ω )「……。犯罪仲間が、僕よりもですか……?」
初めてだった。
自分を見てくれていると、言い切れた女性は。
金目当てで、寄ってくる女はいくらでもいた。今でもいる。電話やメールが頻繁に来る。
そんな奴らには見向きもしなかった。連れて行かれた、あのうんざりとする輝く空間で出会った君は、僕だけを見ているような気がした。
たとえ水商売をしているとしても、人間としての本質に、ピンと筋が一本入っている君に惹かれていた。
だから僕は、君に好かれようと努力したんだ。
- 47 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:39:41.29 ID:+bxalQSW0
- ξ゚听)ξ「ええ……。あなたよりも、家族が大事」
( ФωФ)「……フラれてしまったんですね」
ξ゚听)ξ「そうね。また会えれば、その時考えさせて。
今まで見てきたあなたの中の私は、私じゃないもの」
( ФωФ)「……じゃあ、帰ります。夕方にはここにも手が伸びるはずです。
それまでに離れてください。私は、あなたを信じますから……」
そう言って、ロマネスクは一つ頭を下げて、ツンの元から離れようとした。
なぜか、そのコートを着た背中を見ていると、少しだけ切ない気分になった。
ξ゚听)ξ「……ありがとう。こんな私を信じてくれて」
( ФωФ)「本当のあなたは、きっと綺麗だから。それだけです」
――――
('A`)「……これじゃないですか?床に掴むところがあります!」
( ゚∀゚)「こ、こんなのあったっけかな……」
ドクオ達が見つけたのは床を一枚剥がした所にあった、少し大き目の正方形の鉄板。
そこには取っ手が付いていて、取り外せば下にいけそうにも見える。コンコンと叩いてみると、少し響いた音が鳴った。
やはり地下にまだ何かあるのだろうか?ジョルジュが恐る恐る、鉄板を掴んで引っ張りあげる。
ミセ*゚ー゚)リ「階段……」
- 49 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:41:36.83 ID:+bxalQSW0
- そこには、石でできた簡素な階段が少しばかり続いていた。地下に床下があるようなそのスペース。
電気は無く、先は真っ暗だったので、ジョルジュが懐中電灯を点ける。少し小さなランプが備えてあり、
そこにはカチカチになった溶けたロウソクが長い間置いて置かれたという事を知らしめていた。
壁には色あせた世界地図。子供の部屋のようにも見えた。
('、`*川 「随分古いわね。ほら、見てこの国。20年も前に統一されたのにまだそのまま。
壁の劣化、石階段。あとそこの、開放要求の張り紙。随分昔に作られた部屋には違いないわ」
( ゚∀゚)「埃も、カビ臭ぇな。どんだけ人が入ってなかったんだ?アンタの言い方からすると、その20年より前って事か。
俺まだ生まれてないかもしんねぇな」
ジョルジュがドカドカと階段を降りていくと、10畳程の部屋にたどり着いた。
周りを懐中電灯で照らす。どうやら、何かの儀式に使われていたようだ。そこら中壁一面に、枯れてしまって面影もないであろう、何かの植物の葉と、朱で書かれた文字。
旧字体で書かれていて少し読みにくい部分もあるが、入る時に使用した階段の途中、壁に貼られていた地域開放の事について書かれているようであった。
ミセ*゚ー゚)リ「内藤って書いてありますね。こっちには……い……とう?」
('、`*川 「伊藤ね。 ……私と同じ苗字だわ」
赤い字で書かれた名前は、何十年経っていても決して色あせていなかった。
もしこれが呪詛の類だとしたら、色々と"線"が繋がってくる。皆、色々と調べ始めた。
ドクオも、周りを見渡す。あの時感じた感覚はこれだったのだろうか?それを、今自分の中で確信にしようと思っていたから。
('A`)「……」
すると、何かが目に付く。
それは筆箱大の大きさをした木箱。ヒノキだろうか?上等な雰囲気を持っていた。
手に取ると、紫色の紐、和紙に"思ひ出"と一言書いてある。
これ……だろうか?これが、何かの鍵を握っているのだろうか?不安が頭の中を先行する。
しかしそうは言っていられず、ドクオはゆっくりと紐を解き、箱を開けた。
- 51 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:43:24.99 ID:+bxalQSW0
- ('A`)「……あぁ」
中には、写真が数枚。
どれも白黒、もしくはセピア色をした写真で、そこには仲睦まじく見える、白衣を着た男女が写っているものもあれば、
民族衣装のようなものを着た、物々しい雰囲気の物まであった。よくよくちゃんと数えてみると、4枚。
誰も見覚えが無い人間ばかりで、本当にこれが元凶の鍵なのか不安になってしまった。
すると、ペニサスがドクオの持っている写真に目をつけた。
('、`*川 「それは……写真?ちょっと見せてみて?」
('A`)「あ、はいどうぞ」
('、`*川
「……。ねぇ、あなた達は、自己犠牲を払ってまで人を呪いたいと思った事、あるかしら?」
突然、ペニサスが質問を投げかける。キョトンとした顔でドクオがいると、ジョルジュが『そんな事考えた事無い』と言う。
ミセリも、ノルノも『同じく』と答えた。ペニサスに再度問われたドクオ。
('A`)「えっと……」
無いとは言い切れなかった。
学生時代も、社会に出た数年間も、苛められていた自分、仕事の出来ない自分は日陰から、そういう事を考えていた時もあった。
自分より出来る人間が憎い。自分より人気のある人間が憎い。だから、答えるとするならば"ある"という事になる。
あまり言いたくないものであるが。
('A`)「あり……ます。ちょっと……だけ」
( ゚∀゚)「あるのかよ!!」
('、`*川 「あるに決まってるじゃない。私もあるわよ。昔から、神だとか、何だとか、崇められている人間程、その身を売ったりしているものよ?
自分の揺らがない決意、地位が欲しいからこそ、何かを捨てたいのよ。いらないものを捨てたい。雑念を取り除きたい。そういうものよ」
- 53 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:45:26.26 ID:+bxalQSW0
- そして、ペニサスはドクオから受け取った写真を持って見せる。
そこに写っているのは、先ほど見た白衣の男女。フラスコを持ったり、笑顔で写っているが、なにがおかしいのか一見わからなかった。
('A`)「これが……やっぱり何かあるんですか?」
ノル゚-゚ノ「……おじ様、おば様」
('、`*川 「……この右側の二人。私の父、母よ。そしておそらく、他の写真に写っている人物はtanasinnを生み出した者のはず」
('A`)「え……?それってどういう……」
懐中電灯で写真を照らしながら、ペニサスは説明を始める。
('、`*川 「まず、おそらく一番古いと思われるこの白黒の写真。ジョルジュちゃん、ミセリちゃん。この左側の女の人、見覚えないかしら?」
(;゚∀゚)「あ、あれ?」
ミセ*゚ー゚)リ「こ、これって若いけど、どう見たってシスターだよ!!」
('、`*川 「モララーちゃんにシスターの写真を見せてもらったから私も知っているんだけどね。
見せてもらったのはモララーちゃんが高校生時代の時のシスターの写真。そして見た感じで言うと、
このシスターは40歳くらいかしら?隣にいる男は、この一帯を買い占めようとした人間である内藤よ」
そして、ペニサスが本格的に説明を始めた。
どうやら、写真は20年くらいにまたがった時系列に並べる事が出来るらしく、古い順から並べていくとよくわかる。
この地域は昔から、建設会社と特定地域住民の間で対立が起こっていたという。そして、その対立していた会社というのが内藤が持っている会社。
特定地域住民との対立は、その内藤の前代社長からあったらしく、早くは戦後すぐから始まっていたという。そこで何があったかが問題。
地元住民なら知っているが、この地域一帯にはイタコと呼ばれる、霊媒師の類の有名な流れがあった。内藤はそれを面白く考えていたという。
- 54 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:46:09.23 ID:+bxalQSW0
- ミセ*゚ー゚)リ「イタコをおもしろく?」
('、`*川 「発言はたしか会社が発行している会報誌にあったはずよ。オカルト現象が大好きで、変わり者ね」
そして起きた、建設現場員の死。その影で行われてきた、連続的な変死である。
それが波及的に広がり、現在に至るという。狙われた内藤一族へののろいが、tanasinnを生み出したと言えるのだ。
社長である内藤。その血縁関係にあたる、シスターバルケン。自己犠牲を払い、人に呪詛をかけた特定地域民であるイタコ。
これが全ての元凶。tanasinnという呪いの塊を生み出したのだ。時間は恐ろしく、呪いを培養する。
その範囲、威力、効果を全て強化するのだ。インターネットを潜り抜け、その薄い関係性をも見つけ、把握し、
対象へと感染。肉体を溶かしきってしまう。驚異的なウィルス。威力を増し、行き場を失ったtanasinnの暴走が、ドクオ達を苦しめた。
モララーを殺した。バルケンの愛を受けたミセリに感染した。
全て、全てが繋がるのである。薄い糸で、今にも千切れてしまいそうな糸で。
( ゚∀゚)「……なんとなく、わかってきた気がするな」
('、`*川 「ええ……。これは、やっぱりここで終わらせておくべきだわ。じゃないと、私の……あっ」
ドクオは、ペニサスから写真を半ば奪うような感じで自分の手に持つと、そのまま一気に破いた。
周囲からは驚きの声が上がったが、その驚きが、写真を破いた事に対するものなのか、気弱なドクオがいきなり勢いのいい行動に出たものなのかいずれかはわからなかった。
そしてドクオは一言、ペニサスに告げた。
('A`)「これで終わりです」
('、`;*川 「え?そんないきなり破いたら……」
('A`)「……違います。今から、怖がらないで見てください。これは普通の写真じゃ無かったんです」
('、`*川 「え……?」
- 55 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:47:52.07 ID:+bxalQSW0
- ビリビリに破いた写真を、ドクオが地面にパラパラと振り撒くと、手紙の欠片が霧状に変わっていく。
やはり、その霧の色も薄い紫色をしていて、tanasinnであろう事は間違いなかった。
だがそのtanasinnには、圧迫感。侵食による恐怖などは詰まっておらず、何か伝えようと必死な、ひたむきさが伝わってきたのだ。
それは、その空間にいる全ての人間に伝達される。皆、息を飲み、狭い天井を見つめた。
ノル゚-゚ノ「……」
ミセ*゚ー゚)リ「うわ……」
('A`)「こうしろっていうのが、僕の感じたものだったかもしれません」
( ゚∀゚)「何が起こるんだ?取って喰われたりしねぇ……よな。そんな感じじゃねえな」
ミセ*゚ー゚)リ「……暖かい」
雲散霧消とはよく言ったもので、tanasinnは、その後一言だけメッセージを残して跡形も無く消えてしまった。
ドクオはふと考えた。死を迎えた人は、なぜこうもメッセージを残そうとするのだろうか?と。
やはり、寂しいからなのだろうか。自分がいなくなった世界を延々と見せられるとするならば、生きている人にメッセージを託そうという気持ちになるのだろうか。
あまりにも現実離れしている考えではある。だけど、今目の前で起きていた、この短期間の非日常は、たしかに存在していた。
そして、託されたのだ。
モララーという、人間に。
- 56 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:48:32.84 ID:+bxalQSW0
- ('A`)「これから、どうしますか?僕は、モララーさんの……」
( ゚∀゚)「墓なんて、いらねえよ。ドクオ」
('A`)「え……なんでですか?」
ξ゚听)ξ「あいつはね、ずっと言ってたの。"墓なんていらないから、悲しまないでくれ。覚えていてくれ"ってね。
だから私達は、悲しまないし、忘れやしない。もちろん、悲しいわよ?それでも、悲しまないでいる事が大事だと思うの」
ミセ*゚ー゚)リ「変わってるでしょ。でも、お兄ちゃんらしいんです」
('A`)「……それなら、それなら僕も忘れません。悲しみません」
( ゚∀゚)「わかってんじゃん!じゃあ、ちょっと警察に見つかるのもアレだし、気晴らしに遠いところいくか!!」
(;'A`)「と、遠いところってどこですか!?」
('、`*川 「あらいいじゃない。内科も1ヶ月くらい閉めて私達も行こうかしら?ねぇノルノ」
ノル゚-゚ノ「……はい!」
ξ゚听)ξ「はぁ……。あんた達の行動力には感服だわ」
( ゚∀゚)「じゃあそうだな。とりあえずは暖かい所行こうぜ。海外は簡便な。パスポートねぇし」
('A`)「あ、僕もありません」
('、`*川 「……ダサいわね」
(;゚∀゚)「や、やかましいわ!!」
- 57 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:49:50.31 ID:+bxalQSW0
- 今、こうやって和気藹々としている日常が、今迄でいう非日常だった。
変に安心してしまう、この空気、感覚。
僕に課せられた事は、この家族を守り抜く事。
それは、生きている間ずっと、僕に与えられた課題。
だけど、決して嫌な事じゃない。
超えることは出来ないけど、守ることはできるんだから。
見ていてくれるのだから。
待っていてくれるのだから。
僕には、ノルマがある。
- 58 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 12:50:22.56 ID:+bxalQSW0
- ・
・ ・
________
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::: ∴
∴∵∴:
∴: ∴ ::∵∴
∴∵∴ : :∵∴∴::..
"サヨナラ"
('A`)にはノルマがあるようです 最終話『未来の色は何色ですか?』完
('A`)にはノルマがあるようです 完
あとがき
- 60 :◆Cy/9gwA.RE:2008/02/24(日) 13:00:52.57 ID:+bxalQSW0
- 以上で、('A`)にはノルマがあるようです を終わらせていただきます。
日曜日のお昼という貴重な時間をお貸しいただいて、支援までしていただいて、本当にありがとうございました。
中篇という事を念頭に入れていましたので、あっさりとした終わらせ方をするように心がけましたが、いかがでしたでしょうか?
よろしければ、質問・感想を聞かせてください。
えっと、色々何か言いたいことがあったけど忘れてしまいました。
キレイには負けないようにしたいと思います、色々的な意味で!!
あとがきを投下しようと思ったらさるくらってました死にたい死にたい
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:03:32.35 ID:gvGIcKItO
- キレイとはライバルだったのか!
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/24(日) 13:07:00.10 ID:+bxalQSW0
- >>62
いえ、自分が勝手に思ってるだけなんですけどねww
今宇宙船SIXって書いてらっしゃるじゃないですか
面白いんですね、あれ
同じ時期に出た人がおもしろい物を書いてると悔しいじゃないですか
もっとおもしろいの書いてやろうってなるんですね
という訳だ!!
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