2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:26:22.71 ID:IkD+w2wIO
 
 ダイ17ワ キミ ガ オモウ ワタシ ワタシ ガ オモウ セカイ
 
 
│ ちょっと聞いてくださいなんです、お花さん│
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
 
│  皆、僕が1人じゃ何も出来ないって   │
│  言うんです                  │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:28:14.36 ID:IkD+w2wIO

│    何も取り得がないんだって      │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
 
│  どうせ何も出来ないんだから、      │
│  何もしなくっていいって言うんです    │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:30:12.86 ID:IkD+w2wIO
 
│    そんなことないんです!        │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
 
│ 僕にだって出来る事はあるんです!   │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:34:14.83 ID:IkD+w2wIO
 
│   それなのに皆、ひどいんです!    │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
 
│   お花さんもそう思いませんか?     │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:37:43.37 ID:IkD+w2wIO
 
│     ビロード、何が出来るの?     │
 \__ ______________/
      |/      
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
│         え……             │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:41:45.02 ID:IkD+w2wIO

│        えっと……            │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ー゚)  (>< )
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 
 
│      わかんないんです         │
 \______ __________/
           |/
        
    (*゚ぺ)  (><;)
    ヽ|〃  (∩∩  )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:45:18.31 ID:IkD+w2wIO
 
(*゚ー゚) 「──って言ってた」
 
川;゚ -゚) 「うん、ちょっと引き伸ばしすぎだろって気もしたがありがとう、よくわかったよ」
 
意外な人物のお陰で、ビロードの悩みが判明した。
花の話は言われてみれば確かに覚えのある事だった。
 
ビロードの扱いについて。
 
事実といえば事実なのだが、少々子供扱いが過ぎたかもしれないと思う。
主にワカッテマス達2人がだが。
 
( <●><●>) 「ビロードがそんな事を……」
 
川 ゚ -゚) 「……思ってたようだな」
 
後悔なのか落胆なのか、ほとんど変わらぬ表情だが、わずかに曇らせたのだとわかる顔でワカッテマスが呟く。
ただ、私が思うにそれは仕方がない部分もあったと思わざるを得ない。
 
ビロードはワカッテマス達に比べ、若干以上幼い部分が多々見受けられた。
実際の年齢はわからないが、精神的もに肉体的にも。
 

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:50:06.78 ID:IkD+w2wIO
 
3人常に重なって行動している中で、一番上に乗るビロードが他の2人より軽く、小さめなのはその行動形態の必要性に
迫られたからなのかもしれない。
 
精神的に未成熟なのはよくわからないが、その辺りは性格にも寄るのだろうか。
明らかに世話焼きのワカッテマスに、悪態を吐きながらもビロードから目を離さずフォローしているちんぽっぽ。
 
傍から見ていて微笑ましい光景ではあったが、それがビロード自体に伝わっていなかったのはその幼さの所為なのか。
それとも、ずっと子供扱いされるのが、本人にとってはあまり好ましいと思えない、押し付けと感じられたのだろうか。
 
川 ゚ -゚) 「何にせよ、本人がそう思っている以上、ちゃんと話して解決するしかない話だな」
 
( <●><●>) 「……そうですね」
 
肯定の意を表しながらも、続く言葉を濁すワカッテマス。
ワカッテマスが言いたい事は何となく理解している。
 
(*‘ω‘ *) 「うるせえっぽ、このクズ」
 
(;><) 「ク、クズ!?」
 
未だ言い争いを続ける2人を、ワカッテマスは無言で見つめている。
 

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 22:55:03.66 ID:IkD+w2wIO
 
川 ゚ -゚) 「だがなぁ……」
 
( <●><●>) 「だが?」
 
川 ゚ -゚) 「ビロードの悩みもわかるが、実際の話、あいつって……」
 
( <●><●>) 「……」
 
そこで言葉を切り、ワカッテマスを見る。
私が言わんとせん事を理解出来ているのか、ワカッテマスは困った顔で首をかしげた。
 
(*゚ー゚) 「ビロード、子供、小さい」
 
川 ゚ -゚) 「うん、そういう事」
 
この短い時間でビロードの事を理解したのか、花が私の代わりに言葉を続けた。
その片言気味のしゃべり方から花自身も幼いかと思っていたが、意外に侮れない様だ。
 
( <●><●>) 「そうなんですよね……」
 
ワカッテマスが深々とため息をつき、吐き出すように言う。
 

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:00:16.94 ID:IkD+w2wIO
 
(;><) 「だから、ほっといてくださいなんです!」
 
(*‘ω‘ *) 「ぽ……」
 
2人の方に目を向けると、思った以上にビロードは強情な様で、いつの間にかちんぽっぽは黙ってしまっていた。
口は悪いものの、当然ビロードが心配故のちんぽっぽの態度なのだが、ビロードにはそれがわからない。
この場合は、素直ではないちんぽっぽにも否はあるのだが、気付かないビロードはやはりまだ幼いのだ。
 
川 ゚ -゚) 「そのくらいにしとこうか」
 
(;><) 「クー……」
 
(*‘ω‘ *) 「ぽ」
 
私が割って入ると、ちんっぽっぽは顔を背け、ビロードから離れる。
ビロードは一瞬それを目で追うものの、すぐに私の方に視線を戻した。
 
川 ゚ -゚) 「なあ、ビロード?」
 
(;><) 「はいなんです」
 

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:02:19.84 ID:IkD+w2wIO
 
川 ゚ -゚) 「言わなきゃ伝わらない事もあるんだぞ?」
 
(;><) 「……」
 
私は、ビロードに向けた様でその場の皆、この場合は主にワカッテマスとちんぽっぽにだが向けて言葉を放つ。
しかし、3人とも無言で微動だにしない。
 
川 ゚ -゚) 「まあ、言えるんならこうもこじれる事はないんだろうがな」
 
私は若干呆れたような口調で呟く。
少なくとも近くにいたビロードには聞こえたはずだが、特に何かを言い返して来る様子もない。
 
川 ゚ -゚) 「兎に角、ちゃんと話す事が──」
 
(;><) 「話す事はないんです!」
 
私の言葉を大声で遮り、それ以上聞く気はないとばかりにそっぽを向くビロード。
何とも子供らしい拗ね方に、私は少しトーンを落として話かける。
 
川 ゚ -゚) 「……あのなあ、ビロード?」
 
(;><) 「……」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:06:13.09 ID:IkD+w2wIO
 
川 ゚ -゚) 「皆、おま──」
 
(><;)彡 ダッ!
 
川 ゚ -゚) 「──えの事が心配……」
 
しかし、言い終える前に逃げ出すビロード。
相変わらずの遅い歩みなので、追いかければすぐ捕まえられそうだが、ワカッテマスがそれを止めた。
  _,
川 ゚ -゚) 「何故止める?」
 
( <●><●>) 「クーの気持ちはありがたいのですが、原因もわかったことですし、後は我々が……」
 
そういってワカッテマスは自分とちんっぽっぽを指す。
ちんぽっぽはゆっくりとだがビロードの方へ向かっている。
いつのも跳ねる様な動きではなく、普通に歩いて。
 
川 ゚ -゚) 「言っちゃあなんだが、今のままだと平行線だと思うぞ?」
 

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:09:05.08 ID:IkD+w2wIO
 
理詰めのワカッテマス、素直じゃないちんぽっぽ、子供のビロード。
先のやり取りを見る限りでは明らかに噛み合ってない。
誰かが折れなければ、まとまる話もまとまらないだろう。

( <●><●>) 「……今までは、ビロードを折っていてのでしょうかね?」
 
少し寂しそうに言うワカッテマス。
言わんとする所の意味はわかるし、そういう側面もあったかもしれない。

子供の自主性に任せるのも、教育の内かもしれないが、同時に年長者には責任があると思う。
 
折り合いの難しい話だが、少なくとも、ワカッテマスやちんぽっぽがビロードに意地悪をしていたわけではないのは
わかっている。
ちんっぽっぽが多少ビロードをからかい過ぎていたというのはあるかもしれないが。
 
川 ゚ -゚) 「配慮した結果だろ? 私はお前が間違っていたとは思わんよ」
 
慰めとも取れる言葉をワカッテマスにかけるも、ワカッテマスは軽く頭を下げ礼の言葉を述べるとちんぽっぽの方に
歩いていった。
2人でビロードを追いかけるのだろう。
 

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:11:58.44 ID:IkD+w2wIO
 
川 ゚ -゚) 「やれやれ……」
 
ξ゚听)ξ 「お疲れ様」
 
3人の姿が見えなくなると、それまで口を挟まず見守っていたツンが私を労ってくれた。
私は、別に疲れてはいないと、苦い笑いを返した。
 
ξ゚ー゚)ξ 「ひとまず本人達の好きにさせるしかないんじゃない?」
 
同じくツンも苦い笑いで私の聞こうとした答えを返してくれる。
 
川 ゚ -゚) 「顔に出ていたかな?」
 
ξ゚听)ξ 「まあね」
 
川 ゚ -゚) 「よほど苦い顔をしていたらしいな」
 
ツンは笑って肯定の意を返した。
正直な話、今の所はツンの言う通りにするしかないかと思っている。
原因が彼ら3者間のものだとはっきりした以上、本人たちが解決すべき問題だと思う。
 

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:15:16.69 ID:IkD+w2wIO
 
しかし同時に、ビロードが例の発生原因であった場合、そう悠長な事も言ってられなくもなるのだが。
 
ξ゚听)ξ 「しばらく様子を見て、頼ってきたら手伝ってあげなさいよ」
 
川 ゚ -゚) 「うん……そうするかな……」
 
その危惧をツンに話すわけにもいかず、ひとまず納得した顔で頷いて見せた。
そのまま空を見上げると日は既に高く、時刻は恐らく昼を回ったあたりだろう。
 
川 ゚ -゚) 「さて、取り敢えずお昼にするかな」
 
私は花の横に腰掛け、ボーチからおにぎりを取り出す。
 
川 ゚ -゚) 「ツンも食べるか?」
 
ξ゚听)ξ 「いいの?」
 
川 ゚ -゚) 「一応ビロードの分もあったんだが……この様子じゃ渡せなさそうだしな」
 
そう言っておにぎりをツンに差し出す。
ツンは嬉しそうにそれを受け取り、私の横に腰掛けて食べ始めた。
 

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:18:07.27 ID:IkD+w2wIO
 
川 ゚ -゚) 「お前は……流石に食べないよな……」
 
(*゚ー゚) 「おにぎり? 食べる?」
 
一応、花の前におにぎりをちらつかせてみたが、首を傾げるだけでそれがなんなのかわからない様だ。
花という以上、植物なのだろうからそれも当然かもしれない。
葉や根から、日の光なり水なり養分を吸収しているのだろうか。
 
川 ゚ -゚) 「地面に置いておけばそのうち肥料代わりになるかもしれんが……」
 
流石にそれは勿体無いというか惜しい味だ。
朝から少々疲れたので、お腹も空いている。
 
(*゚ー゚) 「クー、おにぎり、元気」
 
川 ゚ー゚) 「ああ、食べると元気なるんだよ」
 
花と話しながら、ツンの方を盗み見る。
ツンは美味しそうにおにぎりを頬張っている。
そこには、何の警戒もない。
 

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:22:35.56 ID:IkD+w2wIO
 
ξ*゚ー゚)ξ
 
川 ゚ -゚) 「……」
 
このおにぎりを作ったのはワタナベだ。
今朝、ツンに聞くのを躊躇ったもう1つの件。
ビロードが口にした、ワタナベが怖いという言葉だ。
 
ツンもこれがワタナベが作ったおにぎりである事は知っているはずだ。
前にそんな話をした事がある。
その時も別にこれといった拒絶反応もなくおにぎりを口にしていた。
 
川 ゚ -゚) (……そう思っているのはビロードだけなのか?)
 
そう思って片付けたい話でもあるが、未だかつてワタナベの家に誰も来た事がないという事実が結論を
出すのを妨げる。
 
以前に聞いた、文明の利器に近付きたくないという説明でも筋は通りはするのだが、冷静に考えると納得
いかない点もある。
 

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:26:38.55 ID:IkD+w2wIO
 
仲が良い、友達なら、そういう点を差し置いてでも会いに行くだろう。
逆にワタナベが会いに行ったという様な話も聞いた事はない。
 
川 ゚ -゚) (これだけ美味そうに食べるのなら、たまに食事ぐらいご馳走になりにいっても良くないか?)
 
雨を凌ぐ術もそうだが、遠慮深いにも程がある。
やはり何らかの近寄りたくない理由はあると考えた方が自然だ。
 
ξ゚听)ξ 「どうしたの? 私の顔に何かついてる?」
 
いつの間にかツンの目が私に向けられていた。
盗み見ていたつもりが、いつの間にか考え事をしながらじっと見つめていた様だ。
 
私は、昨夜ワタナベに向けた時と同じ様に顎のところを指差す。
 
ξ゚听)ξ 「あ……」
 
ツンは照れくさそうに顎に吐いたご飯粒を指につけ、そのまま口に運んだ。
その姿は、やはり昨夜のワタナベの姿を想起させる。
 
ξ;゚听)ξ 「な、何よ……?」
 

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:29:43.62 ID:IkD+w2wIO
 
自然に浮かんでいた笑みに、ツンは自分のいささかお行儀の悪い行動に気が付いたのか、頬を染めながら私を
睨み付ける。
 
川 ゚ー゚) 「別に……まだあるが食べるか?」
 
ξ*゚听)ξ 「……頂くわ」
 
ツンにおにぎりを手渡し、自分の分を食べ終えた私はそのまま草むらに寝転がった。
 
川 - -) (この話は、ツンには聞かないでおくか……)
 
それは真実から目を背けたい逃避なのだろうか。
私にはその答えはわからない。
 
川 - -) (私はここに仕事で来ている)
 
仕事なら、私情をばっさりと捨て去って、答えを追い求めるべきかもしれない。
でも──
 
川 - -) (わからないなら、自分で探す事にするさ……)
 
単純には割り切れない私は、私の思う様に動こうと思う。
 

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:33:55.97 ID:IkD+w2wIO
 
・・・・
・・・
 
( ´_ゝ`) 「なるほどね……つまり今の所候補者は1と」
 
川 ゚ -゚) 「いや、ブーンも確定だから2だ」
 
(´<_` ) 「ちゃんと話を聞いてるのか、兄者よ?」
 
ツンに別れを告げ、今の所数少ない事情を知る2人に会いに湖まで来た。
相変わらず仲が良いとは言い切れない2人だが、何とか一緒に暮らせてはいる様だ。
 
(´<_` ) 「そもそも、ブーンの事は最初にクーが話してくれた時に聞いてただろ?」
 
(;´_ゝ`) 「わかってるさ、弟者よ。ちょっと失念してただけじゃないか」
 
若干抜けた所のある、おっとり気味の兄者と、抜け目なく、せっかちな弟者。
いつの間にか元は1つだったとは思えないくらいその性格の差異が際立っていたが、それも共に暮らし、
触発されあった結果なのかもしれない。
 

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:36:00.96 ID:IkD+w2wIO
 
現在の所、確実に原因だとわかっている人物は2人。
彼女に告げられたブーンと、本人からの自己申告のギコ。
 
この内、ブーンが確定なのは間違いのないことだが、ギコは自己申告なのでその信憑性に疑わしい部分が
ないわけではない。
 
しかしながら、じいちゃんとの来歴や、日記を見る限りはこれも確定として見るべきだろう。
 
川 ゚ -゚) 「それに、候補者自体は何人かいるんだ」
 
悩みを抱えた人間。
いささか漠然とし過ぎた発言で、かつ悩みのない人間などいるのかという話ではあるが、少なくとも数人は
そんな顔が思い浮かぶ。
 
(´<_` ) 「ふむ……しかし、それらが全てハズレの可能性もあるわけだよな?」
 
川 ゚ -゚) 「まあな。しかし……」
 
( ´_ゝ`) 「しかし?」
 
当たっている可能性の方が大きい、私はそう考えている。
 

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:39:23.47 ID:IkD+w2wIO
 
(´<_` ) 「何故だ?」
 
( ´_ゝ`) 「何か理由があるのかな?」
 
理由は彼女の存在。
 
これまでもそれとなく示唆されてきた道筋。
ゲームの様に示された条件。
 
大幅に外れていれば、彼女の方から何らかの誘導があるのではないかと私は踏んでいる。
 
最も、彼女の話では順調過ぎるくらいという話だから、まだ余裕を見て何も言って来ないだけの可能性もあるが、
元々、私が道を大きく外さない様に条件を整えてていたような節もある。
 
それともう1つ──
 
川 ゚ -゚) 「……それで、頼んでいた件だが」
 

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:42:59.73 ID:IkD+w2wIO
 
( ´_ゝ`) 「ああ、ざっとだが終わってるよ」
 
(´<_` ) 「クーの予想通り、といった所かな」
 
川 ゚ -゚) 「そうか……」
 
ならばやはり、単純に消去法で考えてもその可能性は高まる。
 
私が2人に頼んでいた調査、それはこの星全体の人口調査だ。
本当は原因がわかった時点で真っ先に手をつけるべき事だったのだが、原因の1人がブーンだとわかった事で
そちらの解決を優先した結果、そこまで手が回っていなかった。
 
そこで、協力を申し出てくれた2人に頼んでみたのだが、如何せん水の周りでしか長時間の行動は難しい2人だ。
そう早い結果は期待していなかったのだががんばってくれたらしい。
 
雨の時を利用したらしいが、対象が雨を避けるために隠れている場合も考えられるので、見落としがある可能性は否めないと
弟者は言葉を添えるが、その辺りを考慮しても多分私の予想通りなのだろう。
 
( ´_ゝ`) 「誰1人見かけなかったよ」
 
(´<_` ) 「建造物はいくつかあったが、そのどれもがもぬけの殻だ」
 

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:46:52.22 ID:IkD+w2wIO
 
それも最近、ここ数ヶ月ぐらいの単位ではなく、もっと長い間放置されていたと弟者は言う。
 
川 ゚ -゚) 「……自我を持った生き物の存在は確認出来ず、だな?」
 
私は念を押す様に2人に問い掛ける。
2人は無言で同時に頷いた。
 
( ´_ゝ`) 「だから先の可能性の話になるってのは理解出来るんだが……」
 
(´<_` ) 「ゲーム感覚ねぇ……。どういうつもりなんだか、その同居人とやらは」
 
私の説明には納得のいった2人だが、彼女の意図するところは理解出来ない様だ。
それは当然だろう。
 
直接相対している私自身も理解出来ていないのに、その私から話を聞かされただけの兄者達2人には
その微妙なニュアンスはわかりようがないはずだ。
 
川 ゚ -゚) 「その話は今はいいさ。今は目先の──」
 
ひとまずビロードの話で何か良い解決策はないかと尋ねようとしたところ、背後に誰かの視線を感じ、
言葉を切って振り向いた。
 

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:49:48.24 ID:IkD+w2wIO
 
( ^ω^)
 
川 ゚ -゚) 「何だ、ブーンじゃないか。どうしたんだ?」
 
そこにはいつのも穏やかな笑顔を浮かべた真っ白なブーンの姿があった。
 
( ^ω^) 「クー、おいすー」
 
川 ゚ -゚) 「こんにちは」
 
特に用事はないが、散歩していたら私の姿が見えたので挨拶に来ただけらしい。
流石に先の兄者達としていた話を原因の1人だと確定しているブーンにするわけにもいかないので、
兄者達にそれを促そうと振り向いたが、そこには2人の姿はなかった。
  _,
川 ゚ -゚) 「む……どこへ行った?」
 
目を凝らして見ると、水中に2人の顔らしきものが確認出来た。
首を振る様な仕草をしているところを見ると、出て来る気はないらしい。
 
川 ゚ -゚) (まあ、あいつらがブーンが苦手なのはわからなくもないが……)
 

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:51:59.33 ID:IkD+w2wIO
 
水を吸収してしまうブーンは、ある意味兄者達の天敵とも言える。
本人にその気はないのだが。近付けは自然とそうなってしまう。
以前それで兄者が危うく逝きかけたのは記憶に新しい。
 
( ^ω^) 「クーも散歩かお?」
 
川 ゚ -゚) 「うん、そんなとこだな」
 
世間話がてらに、と水面を指差してみせた。
ブーンも兄者達2人の事は知っているが、恐れられている事は理解していない。
私が2人と既に話し終えて別れた事を聞くと、会えない事を残念がっていた。
 
( ^ω^) 「兄者達ともお話したかったお」
 
川 ゚ -゚) 「まあ、この辺にいればその内会えるだろう」
 
水面を覗うと、何やら水面が揺れているのが見えたが、気にしない事にした。
近場に住んでいるのだから、ブーンともっと話して何かしらヒントは掴んでくれると有難いのだが。
 
触れなければ大丈夫なのだから、気を付ければいいだけだ。
 
2人にとっては命懸けの事だろうが。
 

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/15(木) 23:54:33.89 ID:IkD+w2wIO
 
( ^ω^) 「そうだおね。お話できるおね」
 
川 ゚ー゚) 「ああ、またすぐに会えるさ」
 
にこやかな笑顔を満面に浮かべるブーンを見ていると、私も微笑まざるを得ない。
悩みを何も感じさせない笑顔だが、実際の所はブーンは原因の1人だ。
心のどこかに、悩みを抱えているはずなのだ。
 
川 ゚ -゚) 「代わりに今日は私が話し相手になってやろう」
 
( ^ω^) 「お!」
 
私はいつものようにブーンの上に腰掛け、話しを始めた。
それほど話題を持っていない私だが、ブーンはどんな話でも楽しそうに聞いてくれる。
 
・・・・
・・・
 

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/16(金) 00:00:09.18 ID:UZ60AwctO
 
川 ゚ -゚) 「そうだ、ブーン。ちょっと意見を聞きたい事があるんだが」
 
( ^ω^) 「お?」
 
私はビロードの件をそことなく一般的な話に喩え、ビロード達である事はわからぬようにブーンに話した。
あまり期待はしていなかったが、花の件もあるし、聞くだけ聞いてみても損はないだろう。
 
私の言葉に、ブーンはほんのわずか考えるような顔をして、すぐに答えを告げて来た。
 
( ^ω^) 「ちゃんと話せばいいお。嫌な事は嫌だって言うお」
 
川 ゚ -゚) 「……だな」
 
至極当たり前の回答を述べたブーンだが、それが正論なのだろう。
私も当事者同士解決するのが一番いいと思うし。
 
例の制限時間がなければの話だが。
何かしら手伝える事がないのだろうか。
 
( ^ω^) 「その子は何で言わないんだお?」
 
川 ゚ -゚) 「む……それは……」
 

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/16(金) 00:01:25.10 ID:UZ60AwctO
 
言わないのではなく言えないのだろう。
おどおどした感じのビロードの性格を考えれば、そう判断せざるを得ない。
遠慮深いのは美徳だが、過ぎるのは考え物だ。
 
川 ゚ -゚) 「自信がないんだろうな」
 
( ^ω^) 「じしん?」
 
自分に自信が持てないのだろうと、私はブーンに言う。
 
川 ゚ -゚) (悪循環か……)
 
自信がないからやらない。
やらないから自信が付かない。
今までそれを繰り返してきたのだろう。
 
幾分、他の2人が過保護過ぎたのもあるだろうが。
同時に2人もまだ子供の部分があるのだから仕方がない事ではある。
 
( ^ω^) 「じゃあ、自分で出来る事をやればいいお」
 
川 ゚ -゚) 「そうだな……」
 

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/10/16(金) 00:02:51.44 ID:UZ60AwctO
 
やはり当たり前の回答をくれるブーンだが、結局はそのくらい単純な問題なのかもしれない。
ビロードが自分に自信を持てて、周りに目を向ける余裕が出来れば自然に気付くはずだ。
 
川 ゚ -゚) 「時間が解決してくれるとは思うのだが……」
 
こちらにはそう悠長に構えてられない事情もある。
 
( ^ω^) 「難しいおね」
 
そう、難しい話なのだ。
人の心の話というのは。
答えはわかっているというのに。
 
( ^ω^) 「でも、きっと何とかなるお!」
 
川 ゚ー゚) 「うん、きっと……な」
 
私なら大丈夫だというブーンの根拠のない励ましに、私の心は少し軽くなった。
飛び方を忘れたブーンでも、私の心に翼を生やす事は出来るらしい。
 
 
 第17話 了 〜 時に強く生きる為に、時にやさしく生きる為に 〜
 

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