- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 21:14:50.34 ID:/6ZenKoQ0
VIP高等学校
【1−C】
_
( ゚∀゚)「……戦争を、しようと思うんだ」
('A`)「ほー……誰と?」
_
( ゚∀゚)「敵と」
('A`)「……誰だよ、敵って」
_
( ゚∀゚)「俺の敵って言ったら決まってるだろ」
_
(#゚∀゚)「ハインリッヒ長岡、俺の姉だああ!」
('A`)「…………ああ、そう」
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 21:15:43.30 ID:/6ZenKoQ0
〜('A`)きょうだい戦線異常あり!のようです〜
その1 平成のドン・ファンが最も恐れた女
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 21:17:31.69 ID:/6ZenKoQ0
_
( ゚∀゚)「ドクオよ」
('A`)「なんだ」
_
( ゚∀゚)「お前には表情筋が欠如している、人間としての朗らかさが足りない。簡単に言えば反応が淡白すぎるぞこの野朗!
まぁそんなこと、今は別にどうだっていいんだけどな」
('A`)「へえ」
短めにカットしたカフェオレ色の髪をかきながら、友人であるジョルジュ長岡はそう言った
夏の暑さを挑発するかのように、胸元のボタンをあけ、後ろの机へと寄りかかる姿は色男と言えば色男
ラテンの血が混ざっているというその目はやや青みがかっていた
入学式から学校中の女子に胸のサイズを聞きまわらなければ、今頃はモテていたのかもしれないが、こいつの性格を考えるにそれは不可能に近いだろう
俺はといえば、家から持ってきた扇子で自らを仰ぎながら、長岡の言葉を黙って聞いていた
('A`)「まぁ、好きにすればいいんじゃないの、俺には関係のない話だし」
_
( ゚∀゚)「何言ってんの? お前も参加するんだよ、この戦争に!」
('A`)「お前が何を言ってるんだ? この暑さで頭がいかれたのか、元からなのか、どっちだ、教えてくれよ」
_
( ゚∀゚)「相変わらず口が悪いな、そんなんだからお前はモテないんだ」
('A`)「いい機会だから言っておくけど、お前自分が思ってるほどモテてないぞ」
_
( ゚∀゚)「この平成のドン・ファンを捕まえて何を言う」
- 5 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:18:50.75 ID:/6ZenKoQ0
('A`)「正論だ」
軽くあしらうと、俺は数学の教科書を出して次に当たるであろう問題をチェックする作業に移る
この友人がわけのわからない発言をするのはしょっちゅうなので、今更驚くことではない
度がズレてきた眼鏡の位置を直し、アンダーラインを引いていく
するとジョルジュが、見ていた数学の教科書を、勢いよく上に取り上げた
線を引いている途中だったので、ピンクの蛍光ペンが大きく逸れた
俺はわざとらしく眉を顰めて、睨み付ける
('A`)「何するんだ、次の授業当たるんだから、返せよ」
_
( ゚∀゚)「なぁおい、ドクオ、欝ノ宮ドクオくんよ」
('A`)「なんだ」
_
( ゚∀゚)「お前は悔しくないのか?」
('A`)「なんの話かわからん、冗談はその太い眉毛だけにしてくれないか」
_
( ゚∀゚)「姉に虐げられる日々はもう沢山だと思わないのか? 思うだろう? それともお前はマゾヒストさんだったのか?」
_
( ゚∀゚)「否ッ!!」
そこで、ジョルジュ長岡は立ち上がる
申し訳程度に首に巻きつけていたネクタイを引き抜き、まるで威風堂々と突き進む騎士が持つ剣のように
天へと突きつけた
- 6 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:19:46.65 ID:/6ZenKoQ0
当然ながら、重力に従い地へと垂れたが、声の勢いだけは留まらない
_
( ゚∀゚)「虐げられる日々はもう終わりだ! 全国の弟よ、剣を持て! 暴虐を行う姉に鉄槌を!」
('A`)「剣を持って鉄槌ってなんだ?」
_
( ゚∀゚)「細けぇこたあいいんだよ! さぁ立てドクオ!」
クラスメートたちが、遠巻きに俺たちを伺っている
というか、今まで周りにいて普通に話していた奴らが、俺たちから距離をとった
できることならば俺も距離をとりたいが、しっかりと掴んだ腕がそれを許さなかった
('A`)「ちょ、やめて離して、立たせるな」
_
( ゚∀゚)「さあ頑張ろうドクオ! 女のくせに俺よりモテるあいつに目にモノくわせてやるんだ!」
('A`)「喧嘩の原因はそれか? 巻き込むなよ俺を」
_
( ゚∀゚)「お前も弟、俺も弟、そこになんの違いがあるというんだ?」
('A`)「しいて言うなら、性格かn」
_
( ゚∀゚)「そう!そこになんの違いもない!姉に虐げられている、きょうだいに虐げられている!それだけで俺たちは親友だ!」
('A`)「嫌だろ、そんな共通点で結ばれた親友は」
- 8 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:23:09.24 ID:/6ZenKoQ0
_
( ゚∀゚)「集え、仲間よ! 轟け咆哮! さぁ、きょうだいに下克上を仕掛けたい奴ら大募集!」
_
( ゚∀゚)「この夏!俺たちと共に青春を謳歌しよう!!」
両手を広げて仰々しく叫ぶ長岡に、俺は馬鹿じゃないのかと心で思い、実際口にも出したが
返ってきたのは、更にばかばかしい答えだった
_
( ゚∀゚)「と、まぁそういう張り紙を貼ったのが、この授業が始まる前のことだ」
(;'A`)「…………はぁっ?」
_
( ゚∀゚)「もう後には引けない……! 一緒に頑張ろう、友よ!」
(;'A`)「ちょっと待て、なんだそれは」
_
( ゚∀゚)「会長がお前、副会長が俺だ! 我ら下克上同盟!」
握手を求めるかのように右手を伸ばしてきた男を一発ビンタすると、いつの間にか後ろには数学教師が立っていた
どうやら授業が始まっていたらしい
俺は当てられた問題には答えられたものの、結局その時間が終わるまで、立たされたのだった
……どうしてこうなった?
- 10 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:24:16.17 ID:/6ZenKoQ0
- 【1年B組】
ξ゚听)ξ「ちょっとデレ、デレってば」
ζ(゚ー゚*ζ「きゃはははは!え〜〜、デレわかんないよー、モララーくん」
( ・∀・)「あはは、デレちゃんはバカだなあ〜」
ζ(>ー<*ζ「えー、ひどーい!」
( ・∀・)「まあ、そこが可愛いんだけどねw」
ζ(^ー^*ζ「もうっ!うまいんだから〜」
ξ#゚听)ξ「ちょっとってば! 聞いてるでしょ!」
ζ(゚ー゚*ζ「……あれ、なぁに? 来てたのおねえちゃん」
ξ#゚听)ξ「来てたのじゃないわよ、あんた、アタシの英和辞書何処やったの?」
ζ(゚ー゚*ζ「え〜〜、んっとぉ、誰かに貸しちゃった、かな?」
ξ;゚听)ξ「ちょっと、次の授業で使うんだから、返してよ!」
ζ(>ー<*ζ「ごめぇん、今度までに返してもらうからっ! 今日は諦めてっ」
ξ# )ξ
- 11 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:25:27.48 ID:/6ZenKoQ0
その2 ワッフルとカスタードプディングの等価価値
- 12 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:26:33.81 ID:/6ZenKoQ0
妹はいつも私より可愛くて
お母さんもお父さんもデレばっかり贔屓して私は二番目、いつでもデレの引き立て役にしかならない
私のほうが頭もいいし、努力してるのに評価されるのはいつもデレ
悔しい、むかつく
あんな奴大嫌い、昔からあいつばっかりあいつばっかり!
なんなのあの女!
ふんわり香る甘い匂いも、マシュマロみたいに柔らかい体も、蕩けるような甘い声も、全部全部なくなっちゃえばいいんだ!
あの悪魔め、見た目は天使でも中身はてんで悪魔
外見だけは似ていても、結局私たちは別人なのだ
ξ#゚听)ξ「ああ〜〜もう腹立つ…………っ!!」
从 ゚∀从「よう、ツンじゃねーか、どうしたんだよ、カッカしちまってさ」
思わず壁を叩いていると、いつの間に来ていたのか、同じクラスのハインが私の後ろに立っていた
相変わらず、トレードマークの赤い髪を揺らしながら、木刀を装備して人を食ったような笑みをこちらに向けてくる
短いスカートの中からすらりと伸びた美脚が眩しい
私は取り乱していた所をこいつに見られたことを少しだけ恥じると、冷静を装い答えた
ξ*゚听)ξ「べ、別になんでもないわよ」
- 13 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:28:46.71 ID:/6ZenKoQ0
从 ゚∀从「ふうん、その割には顔が赤いけどなあ……」
ξ*゚听)ξ「う、煩いったら!」
从 ゚∀从「ハイハイ、ところで、辞書は借りれたのか?」
ハインの言葉に、私はさっきまでの出来事をもう一度思い出し、腹を立てると、続けて青くなった
何せ次の授業は女子の間でも嫌われまくりの、荒巻のじじいの授業なのだから
あのじじいは辞書を忘れた女の子のみを狙ってを徹底的に当てまくり
おまけに答えられないとなると、しばらくねちねち口で攻撃してくる
最低最悪のじじいなのだ
もう定年退職してもいい年なのに、いつまでも学校に居座られると迷惑この上ない
ξ゚听)ξ「……借りれてない」
从 ゚∀从「あん? 妹に返してもらいにいったんじゃねーのかよ」
ξ゚听)ξ「あいつ又貸ししやがった」
从 ゚∀从「ひゃはっ!懲りないなぁ、デレのやつ」
ξ#゚听)ξ「もう本当最悪っ!あの女!」
从 ゚∀从「まぁ怒んな怒んな、心優しいハインちゃんが辞書見せてやるからよ」
- 14 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:30:51.19 ID:/6ZenKoQ0
ξ゚听)ξ「剣道部の赤鬼と呼ばれる女が良く言うわ」
从 ゚∀从「辞書いらねーんだな」
ξ゚听)ξ「嘘です、ごめんねハイン様!」
从 ゚∀从「ひゃっは!わかればいいのよ!」
ふんぞり返って笑うハインは、私の肩を勢い良く叩いた。……痛い
彼女は顔だけ見ればかなりレベルの高い女子なのに、こういう態度で損をしていると思う
真っ赤な髪は別に染めているわけはないので、痛みもせずサラサラだし、顔のパーツは整っていて、バランスが良い
ラテンの血が混ざっているとも聞いたことがある
大口開けて笑うんじゃなくて、控えめに微笑んだなら、かなりの男がときめくだろうに
ただ、ハインにはそんなもの必要ないのだろうけど
ξ゚听)ξ「……そういえば、アンタも辞書持ってきてないじゃない、どっから借りたの?」
从 ゚∀从「んー?」
こいつは基本的に勉強をしない
頭が悪いのではなく、要領がいいから、勉強しなくてもそこそこいい点は取れるし、上手く立ち回れるからだ
こんな不良っぽい外見でも赤点は一度も取ったことがない
きちんと勉強をしている私としては、その要領のよさをちょっとでも分けてもらいたいものだ
そうすれば、デレに惨めな思いを抱かなくて済むのだろうか
- 15 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:31:37.06 ID:/6ZenKoQ0
从 ゚∀从「弟のとこから持ってきた」
ξ゚听)ξ「ああ、弟くんね」
プラプラと白い表紙の英和辞書を見せ付けて、彼女は笑う
ハインには私と同じく、一年に兄弟がいるのだと、聞いたことがある
実際に見たことはないけれど、このハインを姉に持っているとなると、相当苦労しているんだろう
まぁ、関係のない話だけど
从 ゚∀从「おう、んでさーあ、傑作なんだけど、これ見てよツン」
ξ゚听)ξ「ん? なによこれ」
ポケットから取り出したA4サイズの紙を渡されて、一度足を止めた
四つ折りにされた白い紙を開くと、先ず飛び込んできたのは小学生が書いたような下手くそな絵
男の子が炎の中腕を振っている様な絵が書かれていて、その男の子から出たふきだしには、こう書かれている
- 16 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:33:53.30 ID:/6ZenKoQ0
『急募!
集え、仲間よ! 轟け咆哮!
暴行を許すのはもう終わりだ! さぁ、きょうだいに下克上を仕掛けたい奴ら!
この夏、俺たちと共に青春を謳歌しよう!
詳しくは1年C組、長岡、欝ノ宮まで!』
バカみたいな内容だった
ξ゚听)ξ「…………なにこれ」
从 ^∀从「な! 超意味わかんなくてウケんだろ!? しかも長岡って! アタシの弟だよ! ひゃはは!!
あいつマジバカじゃねえの!ってな!」
ξ゚-゚)ξ「ふぅん……」
从 ゚∀从「……あれ? 面白くなかった? アタシ一人で10分ほど大爆笑したんだけど」
ξ*゚听)ξ「べ、別に……!」
不思議そうな顔で見つめてくるハインから視線を逸らし、私は足早に教室へと足を進める
確かに頭悪そうな文だし、何を言いたいのかも不明だし、正直バカみたいだと思うけど
ただ、書かれている中のある一文が、私の中でそれら全ての感情を打ち消した
- 17 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:34:51.31 ID:/6ZenKoQ0
『きょうだいに下克上を仕掛けたい奴ら!』
ξ゚听)ξ「………………」
妹は昔から可愛くて、両親からも友達からも愛されて
姉の私は我慢ばっかり強要された
ξ )ξ
双子のように育ってきた私たちは、いつから差別されるようになったんだろう?
ある日、お父さんが有名なお菓子屋さんから、ワッフルとカスタードプリンを買って来た
そのお菓子屋さんは本当に有名で、作られたお菓子は宝石のように綺麗で、いつか私はそこのお菓子を食べたいと思っていたのだ
そんな中で、私はカスタードプディングが大好きだった
色とりどりに飾られたプリンを初めてみたときの感動は、今でも忘れられない
私がプリンに手を伸ばそうとした時、デレが言った言葉まで覚えている
ζ(゚ー゚*ζ『デレ、プリンがいい!こっちの方が可愛いし綺麗!』
その瞬間、そのプリンは私の物ではなくなってしまった
綺麗な狐色の生地にふわふわと甘い生クリームがはさんであるワッフルも美味しそうだったけど、それよりも
チェリーやキゥイやイチゴで飾られたカスタードプディングは輝いていた
しかし、結局私がそれを貰うことは叶わなくて
- 18 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:36:41.34 ID:/6ZenKoQ0
ξ゚听)ξ「………………」
ξ )ξ「下克上、か……」
私はそのチラシを握り締め、ポケットの中にしまいこむと
自分の教室ではなく、隣のクラスに入って行く
ハインが後ろから声をかけてきたが、それには気づかないフリをした
- 21 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:38:08.50 ID:/6ZenKoQ0
- 【2−B】
( ´_ゝ`)「お、ブラクラゲト」
(´<_` )「流石だな兄者」
( ´_ゝ`)「うむ、その言葉も最高だ弟者」
(´<_` )「ありがとう兄者」
( ´_ゝ`)「いやいや、なんのなんの」
(´<_` )「こちらこそ」
( ´_ゝ`)「こちらこそ」
ξ゚听)ξ「……ちょっと」
( ´_ゝ`)「ん?」
ゴキン!
三(;´_ゝ`)⊂ξ゚听)ξ「……顔貸しなさいよ、流石兄!」
(;´_ゝ`)「ギャアア! 首がー!」
⊂(´<_`;)「兄者ぁー!」
- 22 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:39:50.05 ID:/6ZenKoQ0
その3 がなるシャム双生児と決別の時
- 23 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:41:52.97 ID:/6ZenKoQ0
唐突に首を掴まれたと思えば、俺は教室の外に連れ出されていた
教室の奥からは弟の叫ぶ声がするが、首をつかまれていたことにより、俺が叫んだ声は掠れていた
なんだ? この状況は!
(;´_ゝ`)「カハッ……カハッ……!」
ξ゚听)ξ「ちょっと、何咳き込んでるのよ」
(;´_ゝ`)「あ、あぁ……?」
ξ゚听)ξ「こんにちは、流石兄」
顔を上げると、そこに立っていたのは隣のクラスのツンデレ嬢
言っておくが、このツンデレというのは別に彼女の本名ではなく、この暴力的な態度を和らげるために
密かに男子生徒の間で呼ばれているあだ名だ
このツンデレ嬢、クラス委員長も努める正統派美人、成績優秀の美形とスペックは高いが、性格に関して言えばかなり酷いと、専らの噂だ
彼女によく出来た妹がいて、そのことをツンデレ嬢がやっかんでいるのは皆が知っている事実だが
それはこのツンデレ嬢の性格が悪いから比較されるのではないだろうか、と俺は思う
( ´_ゝ`)「津木さん、何か用か、というかそこまで言ったならもう者まで言ってくれよ」
ξ゚听)ξ「あんた、弟に不満があるでしょう」
(;´_ゝ`)「い、意味がわからない……まず状況もわからない!」
- 24 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:43:23.13 ID:/6ZenKoQ0
唐突に言い出したツンデレ嬢は、俺に指を突きつけて言った
どこのハルヒかと問いたい、大体、ハルヒって現実にいたらかなりウザイよな。可愛いは正義って逃げだと思うよ
ただし長門は俺の嫁
ξ゚听)ξ「何ぶつぶつ呟いてるのよ」
( ´_ゝ`)「いや、癖なんだ、ここに弟者がいれば突っ込んでくれるんだが……、で、なんだっけ?」
ξ゚听)ξ「あんた、弟のこと嫌いでしょう!」
( ´_ゝ`)「今までの流れでどうしてそんな発想が出てくるのかわからない。見ての通り仲良し兄弟だよ」
スーパー流石ブラザーズ、二人で一つの流石兄弟、向かうところに敵はなし
二年の間でそう呼ばれていることは、このツンデレ嬢とて知っているだろうに、彼女が何を言いたいのかが
俺にはわからなかった。
解らないといえば、今まで話したこともないのに突然首を掴まれて連れ出されたこの状況も
しかし俺が口を開きかけたところで、ツンデレ嬢の小さな手が俺の額に当てられた
視界が暗くなったかと思うと、そのまますごい圧力が脳に伝わってくる
(; _ゝ )「頭がああああああ!」
ξ゚听)ξ「嫌いでしょ? 嫌いよね、嫌いって言いなさい」
(; _ゝ )「いたたたたたたた! 何これ! どこから来るんだこの圧力!!」
- 25 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:44:22.23 ID:/6ZenKoQ0
ミシミシと音を立てて割れそうになる俺の脳
ξ゚听)ξ「早く言わないと脳が破裂するわよ」
(;´_ゝ`)「嫌いです! 弟が大嫌いです!」
ξ゚ー゚)ξ「それでいいのよ」
俺の言葉に、ツンデレ嬢は満足したように笑うと、手を離した。
恐ろしいなんてもんじゃない
性格が悪いで片付けられないことをしたぞ、この17歳
生きる狂気といっても過言じゃねえ
ξ゚听)ξ「最初からそういえばよかったのよ」
(;´_ゝ`)「うぅ……」
これは一体なんのプレイなんだ
もう授業も始まるって言うのに、……ああ、すまない弟者
お前の兄は圧力(物理的な意味で)に負けて心無いセリフを吐いてしまった。こんな兄を許して欲しい
俺たちは仲良し兄弟だぞ!
- 27 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:47:43.19 ID:/6ZenKoQ0
( ´_ゝ`)「それにしても、年頃の女の子とは到底思えない攻撃だったが……、何があったんだい?」
ξ゚听)ξ「これよ」
( ´_ゝ`)「ふむ、何々……『あいつが憎い、いつも天使みたいな笑顔しやがって腹は黒いくせに……憎い憎い憎い!もうあいつn』」
ξ゚听)ξ パシーンッ
⊂彡 (#)´_ゝ`)
ξ゚听)ξ「間違えた、こっちよ」
(#)´_ゝ`)「どうして今俺は殴られたんだ?」
ξ゚听)ξ「気にしないで」
ツンデレ嬢は、ごく当たり前のように俺をビンタすると、ポケットから取り出した紙を俺に手渡した
もの申したいところだが、またアイアンクローをくらってはたまらないので黙っておくことにしよう
開くと、そこには絵描きを嗜む俺が激怒するような画力の絵と、妙なキャッチフレーズに募集がかいてあった
( ´_ゝ`)「むぅ、これは?」
ξ゚听)ξ「参加しようと思って」
それは、仲の悪いきょうだいの、立場が低い方が反旗を翻すことを促す……内容なのだろう、多分
俺は特に興味もなく、その紙をツンデレ嬢へ突っ返した
- 29 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:49:48.10 ID:/6ZenKoQ0
( ´_ゝ`)「頑張れ、多分津木さんの性格が直ればできるかもよ、下克上」
ξ゚听)ξ「何言ってるの? あんたも参加するのよ」
何故だ
( ´_ゝ`)「……悪いけど、俺たち流石ブラザーズは仲良しなんだ。そこんじょそこらの絆じゃないんだ」
ξ゚听)ξ「さっき弟が嫌いって言ったじゃない」
( ´_ゝ`)「津木さんが言わせたんじゃないか」
ξ゚听)ξ「何よ、文句あるわけ?」
( ´_ゝ`)「リアルハルヒ乙」
ξ゚听)ξ「何言ってるのよアンタ、打たれたいの?」
( ´_ゝ`)「すみませんでした」
やれやれ、これだから三次元は、なんて思ったりしないよ
これだから津木委員長は!とは思うけれど
俺はレベルの高いオタクだから、そんな簡単に二次元と三次元を比較したりはしないんだ
ただ、面倒くさいとは思うから、あまり関わりたくない
これだけはガチ
- 30 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:50:43.49 ID:/6ZenKoQ0
((( ´_ゝ`)「……じゃあ、俺はこれで」
ξ゚听)ξつ「待ちなさい」
ゴキン!
(;´_ゝ`)「首がぁああ!!」
どうして彼女は人の首をすぐ掴むんだ!
また首がおかしな方向に曲がってしまった、もしかしたら
この10分休みの間に俺の首はなくなってしまうのかもしれない
ξ゚听)ξ「じゃあいいわよ、仲がいいってことにしてあげる」
(;´_ゝ`)「ああ……はい」
なんでそんな上から目線?
ツンデレ嬢は腕を組みながら、顔を近づけると、その辺の男ならくらりときそうな笑みを見せた
ξ゚ー゚)ξ「仲がいいなら、逆に参加しなさいよ。ただ馴れ合っててもだめよ、これを機に兄弟喧嘩とかして絆を深めるべき
付き合ってあげるから参加しましょう?」
( ´_ゝ`)「……津木さん、君は……」
ξ゚听)ξ「何よ」
( ´_ゝ`)「もしかして、このバカらしい紙を見て一人で参加するのが恥ずかしいんじゃ……」
ξ゚听)ξ
- 31 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:51:39.48 ID:/6ZenKoQ0
ξ*゚听)ξ「う、うるさいわよ!」
どうやら図星のようだったが
声に出すとまたアイアンクローをかけられそうだったので、やはり口に出すのは自粛する
( ´_ゝ`)(下克上、ねぇ……)
しかしまあ、彼女の言うことにも一理あるかもしれない
確かに俺たち兄弟は仲がいい、一つのパソコンを二人で共有するほどには
伊達に生まれたときから一緒にはいないさ
だが、その仲の良さゆえに、喧嘩をすることは殆どない
あったとしても、大抵弟者が俺に譲ってくれるからだ
漫画だと、喧嘩するのは仲の良い証拠とか言われていたりする
このまま喧嘩をしなければ俺たちは本当の仲良し兄弟とはいえなくなってしまうのかもしれない
( ´_ゝ`)「ふむ……」
それはまずい
スーパー流石ブラザーズ、二人で一つの流石兄弟の名が廃る
( ´_ゝ`)「…………わかった、参加しようじゃないか」
ξ゚听)ξ「だから参加しなさ……え? するの?」
- 32 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:52:39.06 ID:/6ZenKoQ0
( ´_ゝ`)「ああ、たまには血で血を洗う戦争もしてみようと思っていたんだ」
ξ゚听)ξ「そんなこと思ってたんだ……こわ」
( ´_ゝ`)「どうして引いた」
ξ゚听)ξ「意味はないわ」
( ´_ゝ`)「そうか。……というわけで、弟者よ、俺とお前は今から敵同士だ」
(´<_`;)「!!」
物陰に隠れてこちらを伺っていた弟者が、有りえないものを見るような顔で、俺を見てきた
バカだな、俺たちは、二人で一つの流石兄弟
お前の行動なんてお見通しさ
ξ゚听)ξ「いつからいたのよ」
(´<_`;)「兄者……目を覚ましてくれ、俺たちは仲良しが売りだろう……?」
( ´_ゝ`)「いいや、こればっかりはもう無理だ、弟者よ……俺は今ここに」
( ´_ゝ`)「宣戦布告する! お前は敵だ!」
(´<_`;)「ガーーーン!」
ξ゚听)ξ(今口でガーンっつったわ、こいつ……)
- 33 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:54:09.43 ID:/6ZenKoQ0
後ろで俺の名前を連呼する弟を無視して、俺はツンデレ嬢に尋ねた
( ´_ゝ`)「ところでツンデレ嬢」
ξ゚听)ξ「何よツンデレ嬢って」
( ´_ゝ`)「間違えた、津木さんは、どうして俺を誘ったんだ? 下克上なら普通弟じゃないのか」
ξ゚听)ξ「そりゃあ」
( ´_ゝ`)「そりゃあ?」
ξ゚听)ξ「あんたの方がスペック的にも立場的にも下だからよ」
( ´_ゝ`)「女性をビンタしたいと思ったのは初めてだ」
ξ゚听)ξ「やる気?」
( ´_ゝ`)「すみません」
まったく、これだから性格の悪い女は始末に終えない
そんなことを考えているうちに、授業始まりのチャイムが鳴った
- 37 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:57:36.18 ID:/6ZenKoQ0
【3−A】
(*゚∀゚)「ねーちゃん! ねーちゃん! 大好き!」
(*゚ー゚) 「つー、もう授業が始まるから教室に戻りなさい」
(*゚∀゚)「いやだ! オレ様はねえちゃんと一緒にいるんだ!」
(*゚ー゚) 「つー……いい子だから……お姉ちゃんの言うこと聞いて? ね?」
(*>∀<)「いーーーやーーーだーーー!」
(#゚ー゚) 「つー!」
(;*゚∀゚)ビクン
:(*゚∀゚): フルフル
(*;∀;) ブワッ
三(*;∀;)「ねえちゃんのばかやろうーーー! 嫌いだ! やっぱり嘘、大好きだーー!」
(;゚ー゚) 「あ!」
三(*;∀;)
- 38 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:59:18.99 ID:/6ZenKoQ0
その4 一番目の猫に二番目の猫は愛されず舌を噛む
- 39 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:00:49.20 ID:/6ZenKoQ0
オレ様のねえちゃんは世界一可愛い!そんでもって頭もいい!
あと、優しい!オレ様のねえちゃんは世界一のねえちゃんだ!
アヒャ!
だからオレ様はそんなねえちゃんといつも一緒にいたいんだけど、ねえちゃんは一緒にいたらダメだって、最近言うようになった
もっと友達ふやしなさいとか言う。オレ様はねえちゃんがいればそれでいいのに、すっげえ悲しい!
だから、ねえちゃんにはもっと構ってもらうにはどうしたらいいか
オレ様がんばって考えたんだ
いつもバカにされる脳みそをしぼって考えたぞ
そしたらな、なんか同じクラスの糸目男がイイコト話してるの、聞いたんだ
J( 'ー`)し「……兄者くん、チャイムが鳴ったらすぐ教室に入ってね」
( ´_ゝ`)「すみません、暴君に襲われてましたので」
(;<_; )「兄者ぁああ……」
- 41 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:02:30.39 ID:/6ZenKoQ0
J(;'ー`)し「どうして弟者くんは泣いているの?」
( ´_ゝ`)「ビックリマンチョコ買ったらお目当てのシールが入ってなかったみたいです」
J( 'ー`)し「高校生にもなってそんなことで……」
( ´_ゝ`)「でもあれ、ウェハースは美味しいですよね」
J( 'ー`)し「そうね、先生もあのウェハースは好きよ、サクッとした触感がたまらないわね」
( ´_ゝ`)「俺はシールよりもチョコが目当てでビックリマンチョコ買ってましたからね」
J( 'ー`)し「奇遇ね、先生もよ」
(;<_; )「兄者ぁあ……俺たちは、仲良し兄弟だっただろう……!」
(*゚∀゚)「…………」
現国のカーチャン先生と話している流石兄者は、この2年B組の名物双子の兄貴の方だ
色が白い細面に、少し伸びた髪を後ろで縛っている、背の高い男が兄者
泣いているのは弟の方で、顔立ちは似てるけど、こっちは健康的に日に焼けていて、髪を短めにカットしているから、区別がつきやすい
スーパー流石ブラザーズとか言われているけど、ぶっちゃけ、オレ様とねえちゃんのが名コンビだと思う
オレ様は席に着いた兄者の背中をシャーペンでつつくと、さっき書いた手紙を渡した
へへー、席が近くてよかった!
- 43 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:03:20.00 ID:/6ZenKoQ0
(*゚∀゚)(おい、おい!)
( ´_ゝ`)(……ん?)
(*゚∀゚)(これ、やる!)
(;´_ゝ`)(うわ……2年B組の問題児……一体何だってんだ)
兄者はちょっと身構えるような空気を出しながら、オレ様の手紙を受け取った
アヒャ!言っておくけどラブレターじゃないぞ!変な期待はすんなよな!
にっこり笑ってやると、不信そうな顔をしながらも、前を向いて手紙を開いている
よしよし、読んでるな!……と思ったら、兄者はすぐ不可解な顔でこっちを向いた
おまけに、オレ様の渡した手紙に何か書き添えて、返してきた
(;´_ゝ`)つ□
(*゚∀゚)つ「?」
男の癖に、神経質そうな小さな字で、オレ様の手紙の横にこう書いてある
『ごめん、汚くて読めない』
(#゚∀゚)
こいつ マジ ゆるせない
オレサマ オマエ マルカジリ!!
- 44 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:04:23.09 ID:/6ZenKoQ0
(#゚∀゚)「アッヒャー! テメー戦争だこのヤロー!」
J( 'ー`)し「猫野さん、授業中に戦争は止めてくださいね」
(*゚皿゚)σ「だってこいつが!」
J( 'ー`)し「おねえちゃんに言いつけますよ」
(;゚σ゚)「アヒャ!?」
(;*゚∀゚)「ねねね、ねえちゃんは関係ないだろ! 先生卑怯だ! 卑怯!」
J( 'ー`)し「大人はね……卑怯なのよ……よく覚えておきなさい」
カーチャン先生は、オレ様に漢字ドリルの宿題を出すと、もう騒いだらダメですよ、と優しく笑った
むかつくけど、これ以上騒いでねえちゃんに言いつけられるのもいやだ
オレ様は、兄者の後ろ髪をちょっと引っ張るが、振り向く様子もなかったので、授業が終わるまで待つことにした
(;´_ゝ`)(…………視線を感じる……)
(*゚∀゚)「アヒャー」
授業が終わると、兄者が呆れたような顔でようやくこっちを振り向いた
弟者は授業中ずっと泣いてたから、保健室送りになったが、兄者は別に気にしてないようだった
- 46 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:06:16.74 ID:/6ZenKoQ0
(*゚∀゚)「弟者いっちゃったぞー」
( ´_ゝ`)「今、俺たちは戦中だからいいんだ。で、何の用だ猫野?」
(*゚∀゚)「つーでいいぞ! オレ様つーって呼ばれるの好きだから、つーがいい! つー! つー!」
( ´_ゝ`)「つーがゲンシュタルト崩壊しそう。……じゃあつーよ、何の用?」
(*゚∀゚)「アッヒャー! あのなあ、オレ様もお前が出るやつ、一緒にでる!」
( ´_ゝ`)「……? 出るやつ? 主語を言ってくれないとわからない」
(*゚∀゚)「隣のクラスの奴と話してただろ? オレ様聞いちゃったんだぜ」
( ´_ゝ`)「……ああ、もしかして、ツンデレ嬢が言ってたやつか」
(*゚∀゚)「ツンデレっていうのか? じゃあオレ様あいつのことツンって呼ぼうかな!」
( ´_ゝ`)「やめとけ」
(*゚∀゚)「なんで?」
( ´_ゝ`)「ビンタされるぞ」
(*゚o゚)「こ、こえー!」
どうやら、あの時兄者と話していた女は凶暴なヤツらしい
って、兄者が言っていた
- 48 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:07:17.88 ID:/6ZenKoQ0
( ´_ゝ`)「にしても、どうしてお前が参加するのかわからんな、ドが三つつくくらいのシスコンなのに」
(*゚∀゚)「ねえちゃんは大好きだぞ! むしろねえちゃん以上に好きな人なんていないぞ!
でもなーでもなー、あの女言ってただろ? 喧嘩くらいしなくちゃ本当の仲良しとはいえないって!」
( ´_ゝ`)「まぁ……」
(*゚∀゚)「オレ様、ねえちゃんのことが大好き!世界で一番好き!
だから、ねえちゃんとは世界一仲の良い姉妹になりたいんだ!」
( ´_ゝ`)「ほう」
(*゚∀゚)「それになー、喧嘩したら、ねーちゃんもオレ様にかまってくれるかもしれないだろ?」
最近のねえちゃんは、少し冷たくて、姉離れしなさいって良くオレ様に言う
あと少しでねえちゃんはこの学校を卒業しちゃうから、オレ様ひとりでも頑張れるように、姉離れしろって言う
でも、そんなのオレ様いやだ!
ねえちゃんと離れたくない!
だから
(*゚∀゚)「んでな、この喧嘩でねえちゃんを留年させるんだー!」
(;´_ゝ`)「お前最悪だな!」
離れないように、こうするんだ! そうすればオレ様とねえちゃんは卒業まで一緒だ! アーヒャヒャヒャ!!
- 49 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:08:17.54 ID:/6ZenKoQ0
(;´_ゝ`)「本当は姉のこと嫌いなのか?」
(*゚∀゚)「バカだな! 大好きだって言ってんじゃん!」
意味わかんねー!
( ´_ゝ`)「じゃあなんで、そんな酷いことするんだよ」
(*゚∀゚)「だってオレ様ねえちゃんのこと大好きなんだぞ?」
(;´_ゝ`)「え?うん」
(*゚∀゚)「留年すればいっしょにいられるじゃん!」
( ´_ゝ`)(猫野姉可哀相……)
ねえちゃんはオレ様と違って頭がいいし真面目だから
普通にしてたらたぶん留年なんてしないと思うけど、でも、オレ様頑張るぞ!
これでオレ様とねえちゃんは喧嘩して真の仲良しになれるんだ!
そしたらねえちゃんも、昔みたいにオレ様のことかまってくれる!
オレ様はにんまりと口をゆるませて、次の授業の準備をした
- 51 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:09:50.19 ID:/6ZenKoQ0
- 【1−B】
( ><)「何しにきたんですか? お兄ちゃん」
( <●><●>)「可愛い妹の授業風景を見学しに」
( ><)「帰ってください」
( <●><●>)「照れてるんですね、わかります」
( ><)「先生、つまみ出してください」
( <●><●>)「買収済みです」
( ><)「教室でそんなこと言わないで下さい、先生焦ってるじゃないですか」
( <●><●>)「生徒も買収済みです」
(;><)「いい加減、金に物を言わせるのはやめてください!!」
( <●><●>)「人間は金で買えるんですよ……ふふ……」
- 54 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:10:55.55 ID:/6ZenKoQ0
その5 万物の起源は妹です、とエロい人は言いました
- 57 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:12:05.56 ID:/6ZenKoQ0
ボクの名前はビロード
ボクの不幸は、お金持ちなことと、兄が変態なことです
( <●><●>)
こうやって言うと、大体の人に嫌味か?、とかお金持ちなんて羨ましい!と言われるけれど、勘違いしちゃあダメなんです
いくらお金があっても、そこに変態の兄が加わると、厄介なことにしかなりません
お金やら権力やらを持った変態ほど、始末に終えるものはないからです
奴らは豚箱に入っても、お金の力でのうのうと出てきて、また世に放たれるんです、たまったものじゃありませんよ
もっと徹底的に罰して欲しいんです、特にストーカーは
( ><)「…………」
(*<●>・・<●>)=3「ビロード、こっち向いてください! 顔を伏せてちゃわかりませんよ! ホラホラ早く!」
つ[:◎:]
鼻息荒く、今日も無駄に権力を駆使して、ボクの授業風景を双眼鏡持参で覗きにくる兄を、そろそろ本気で訴えたいです
くそう、なんでデジカメもってきてるんですか、出来ることなら、今すぐそのデジカメ叩き割ってやりたい
だけど、こんな視線の中出来るはずがないんです
ついでに言うなら空気も重い
- 58 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:13:11.95 ID:/6ZenKoQ0
( ><)∩「……先生、お腹痛いので保健室行ってもいいですか……」
仕方なく、ボクは教室を出ることにしました。こんなこと日常茶飯事なので、先生も止めません
お兄ちゃんが立ち上がりますが、そこは想定の範囲内です
(;<●><●>)「ええええええ! だい、大丈夫ですかビロード!?こうしちゃいられません、セバスちゃん!
今すぐブラックジャック先生を呼んでください」
( ФωФ)「かしこまりました」
( ><)「杉浦さん、呼んだら解雇しますよ」
( ФωФ)「わかりました、呼びません」
(;<●><●>)「そんな、ビロード……!」
( ><)「あと、お兄ちゃんもついてこないで下さいね。ついてきたら絶交です。家族の縁を」
( <●><●>)「あれ? もしかして、照れて……?」
( ><)「ません」
何故か頬を赤く染める兄を、引っぱたきたい衝動に駆られながらも、ボクはこの居心地の悪い教室から抜け出しました
- 61 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:14:29.63 ID:/6ZenKoQ0
お兄ちゃんが教室に来るようになってから、もちろんボクに友達は出来ません
もともと内向的なこの性格のせいもあるかもしれませんが、ボクが話しかけると皆明らかに避けていきます
近寄ってくるのはお金目当ての人か、お兄ちゃんにあやかりたい人ばかりです
もっとこう、気軽に話ができるような、そんな友達が欲しいんです
( ><)「はぁ……」
教室を出たところで、ボクはひっそりとため息をつきました
共通の話題、例えば、身内の苦労話が出来る人間がいればなあ……
( ><)「あれ?」
そんな時、ボクの前に一枚の紙が映ります
1年C組の前の掲示板に貼ってある紙は、このクラスの男の子が書いたんでしょうか
ちょっと乱暴な感じな絵の少年が、腕を振りながら叫んでいます
『急募!
集え、仲間よ! 轟け咆哮!
暴行を許すのはもう終わりだ! さぁ、きょうだいに下克上を仕掛けたい奴ら!
この夏、俺たちと共に青春を謳歌しよう!
詳しくは1年C組、長岡、欝ノ宮まで!』
( ><)「なんですか、これ……」
- 63 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:16:21.83 ID:/6ZenKoQ0
そこに書かれているのは、バカみたいな内容でしたが、ボクは迂闊にも惹かれてしまいました
( ><)「きょうだいに下克上……」
下克上って言ってる時点で負けそうだなあとは思うけど、ボクが惹かれたのはこの文じゃなくて、次の文章でした
黒いボールペンで書かれたその紙上をなぞり、言葉に乗せます
( ><)「俺たちと共に、青春を謳歌しよう、か……」
胸に手を当てると、なんだか心臓がドキドキしてくるんです
ボクには友達がいませんし、部活をやってもお兄ちゃんが見にくるので、迷惑をかけそうなので自重して入りません
見るなといってもいつの間にか盗撮とかするし
本当、ふざけんな
(*><)「ここなら、もしかしたらボクでも、友達出来るかなぁ……」
でも、この人たちなら、ボクの苦しみをわかってくれるかもしれないんです
いや、わかってくれなくてもいい、ただ単純に、友達になってくれるだけでもいいんです
( ><)「長岡、欝ノ宮……」
この人たちが画策したんでしょうか?
その名前は確か、ボクにも聞き覚えがありました
隣のクラスの異色コンビだと、クラスの人が話していたのを聞いたことがあるんです
ボクは授業が終わったら、彼らのところまで行って見ることに決めました
- 64 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:18:09.06 ID:/6ZenKoQ0
もしかしたら、友達になれるかも……こんなチラシ見て他に集まる人がいるのか僕にはわかりませんが
それでも万が一他にも集まったら、さらにお友達は増えるかもしれないんです
……ああ、なんだか待ち遠しいんです!
(*><)「……えへへ!」
パシャパシャ
( <●><●>)「おっと妹よ、いい笑顔ですね、もう一枚」
つ[:◎:]と
( ><)「…………」
(;<●><●>)「あっちょ、やめ、デジカメだけは!」
変態のデジカメを粉砕して、wktkする心を抑えながら、僕は終了のチャイムを待ちました
本当に、待ち遠しいです!
( <;><;>)「ひどい、ひどいですよ妹……」
( ><)「うるさいんです」
どうなってんですか、その目。怖っ
- 66 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:20:24.93 ID:/6ZenKoQ0
ξ゚听)ξ
( ´_ゝ`)
(*゚∀゚)
( ><)
_
( ゚∀゚)
('A`)
('A`)(なんだろう、この空気……)
- 69 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:21:06.46 ID:/6ZenKoQ0
その6 駄目な奴は何をやっても駄目だ
- 70 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:22:16.84 ID:/6ZenKoQ0
- 【再び、1−C】
('A`)「…………」
正直、俺はこの学校を甘く見ていたのかもしれない
もしかしたら、ちょっと頭の悪いやつが1人くらいは来てしまうかもしれない、とか考えていたが
まぁそれも、実際ないだろうと高を括っていた
あんなチラシで来るやつはアホだと思った
だけど、アホは予想外に、結構いたらしい
ξ゚听)ξ( ´_ゝ`)(*゚∀゚)( ><)
('A`)「…………」
4人の男女が、休み時間、俺たちの教室に集まっていた
しかもそのうちの3人が上級生だ、その光景はちょっと異質で、相変わらずクラスメートは俺たちを遠巻きに見ている
正直俺としては予想外意外の何者でもなかったが、企画者のジョルジュはそうでもないのだろう
そう思って顔を見ると、笑顔の上に若干の脂汗を浮かせていた
_
(;゚∀゚)「予想外に集まっちゃった……」
いや、お前も予想外なのかよ
- 73 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:23:51.01 ID:/6ZenKoQ0
ξ゚听)ξ「アンタがハインの弟?」
_
(;゚∀゚)「は、はひ!そうでしゅ!」
噛み噛みじゃないか
平成のドン・ファンの名が泣くぞ、と言おうとして、元からそんな名がついていないことを思い出した
まずいなあ、どうやら俺もこの不測事態に若干焦っているらしい
眼鏡をかけ直し、キッと前を見据え
注意深く、集まった奴らを観察した
ξ゚听)ξ
まず、目に入ったのは金色の髪を低い位置で縦ロールに縛った、少しきつそうな印象の女
ちなみに、ネクタイの色が違うから二年生だろう
この人は俺と同じラス委員だから、委員会で何度か見たことがある
見た目と違わず、きつい物言いをする人だ
名前は、たしか津木先輩
( ´_ゝ`)
そんでもって、隣にいる男
この人もなんか有名だよなあ、二年生の間でよく名前を聞くと、姉から聞いたことがある
兄弟仲はいいって聞いたけど、なんでこんなところにいるんだ?
飄々とした感じで、表情があまり読めない男だった
- 75 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:26:01.45 ID:/6ZenKoQ0
(*゚∀゚)
次は……たぶん二年生なんだろうけど、驚くほど子供っぽい女がいた
よくわからないけれど、来たときからずっとにこにこ笑っている
何かよほどいいことがあったのかもしれない
茶色いショートカットに、十字のネックレスをぶら下げている
プリーツスカートの中にはスパッツを着込んでいて、俺にはそれが少し邪道に感じられた
( ><)
そんでもってこの人は……隣のクラスのビロードだ、有名だからよく知ってる
天然パーマ気味な髪がふわふわの綿飴に見える
まあ知っているといっても、お金持ちのお嬢様、ってのが、俺の見解だけど
一体なんの目的があってこんなところに来たんだか……
( ><)「あのー、欝ノ宮くん、と長岡くん?」
_
(;゚∀゚)「え、何?」
('A`)「ななななあななななんだい」
_
(;゚∀゚)「いくらなんでも噛みすぎだよお前!」
('A`)「噛んでねえよ」
- 77 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:27:05.96 ID:/6ZenKoQ0
- _
(;゚∀゚)「スゲー噛んでたよ、そこは否定すんなって!」
(#'A`)「噛んでないって言ってるだろ!」
_
(;゚∀゚)「わ、わかったよ、じゃあもう噛んでないでいいよ! お前男の前だと本当強気だな!」
(;><)「………………」
まったく、相変わらず失礼な男だ
そうとも、別に俺は噛んでなんていない。女の子に慣れてないわけでもない
ただ少しだけ人見知りで、あまり話すことがないから緊張してしまうだけだ
本当だ
_
(;゚∀゚)「と、とりあえず場所変え……ますか」
ジョルジュが立ち上がり、中庭の広場まで行くことを提案した
とくに逆らう者もおらず、俺たちは広場の方へと向かう
昼飯時ということで、結構な数の生徒がいたが、皆俺たちを見るとなぜか離れて行った
一年と二年が混ざってることも異色だし
変な意味で有名な人も混ざっているからだろうか
今日は色々避けられてばっかりだ、と思ったが
よく考えてみたら日常的に周囲の人間からは避けられているので、特に問題はなかった
- 80 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:32:15.51 ID:/6ZenKoQ0
_
( ゚∀゚)「えっと、……んじゃあ、まあ軽く自己紹介でもしましょうか」
小さく咳払いをしてジョルジュが手を上げた
持ち前の、人懐こい笑みを顔に浮かべて、主にビロードや津木先輩の方に笑いかけた、この女好きめ
_
( ゚∀゚)「1年C組、ジョルジュ長岡! この夏こそ姉に勝とうとチラシを貼ってみたりしました!
好きな食べ物は冷やしラーメン! 姉の名前はハインリッヒ長岡! どうぞよろしくぅー!」
活きの良い声で、そう告げると、次は俺に言えと促してくる
どうやらこの気まずい空気をなんとかしたいらしいが、俺には無理だ
ていうか、困るなら最初からこんなことしなきゃよかっただろうが!
なんていっても、もう遅いんだろう。仕方がないな
('A`)「……あーっと、同じく一年C組、欝ノ宮ドクオ、別に俺はメンバーに入ってないんで」
ξ゚听)ξ「欝ノ宮って、ペニサス先輩の弟?」
('A`)「ふあ、ふぁい!そうでしゅけど」
ξ゚听)ξ「噛みすぎよ。私ペニサス先輩と同じ部活だから」
('A`)「しょ、しょうなんでしゅか」
( ><)「あ、ボクは欝ノ宮くんと隣のクラスの若出ビロードって言います! よろしくなんです」
('A`)「ああよりょしく、ド、ドクオでいいいよ」
- 82 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:34:26.32 ID:/6ZenKoQ0
(*><)「噛み過ぎです。ちなみに、兄の変態を直すのと、友達が出来たらいいなあと思って来ました
よ、よかったらお友達になってくださいね!」
頬を染めて天然パーマ気味な頭をひょこひょこ動かす様は、ハムスターを連想させた
なるほど、こんな妹を持っていたら、兄も変態になるかもしれない
一人納得していると、今度はその後ろから、背の低い先輩がぴょいと飛び出してきた
(*゚∀゚)「オレ様はー! つーって言うんだぞ! 一年は先輩ってつけろよな!」
_
( ゚∀゚)「つー先輩って、もしかして猫野先輩の妹の?」
(*゚∀゚)「アッヒャ!そうだぜー!」
どうやら、ジョルジュは知っているらしい
というか猫野、の名前は俺も聞いたことがある
確か、生徒会長の苗字が猫野だったような……ってことは、この人生徒会長の妹かよ、こんなとこで何してるんだよ
(*゚∀゚)「オレ様、ねえちゃんともっと仲良くするために、喧嘩しようと思ってきました! おわりー!」
日本語でおk
( ´_ゝ`)「……ニ年の流石兄者、同じく、兄弟としての絆を深めようと、この祭りに参加し
さながら喧嘩後の番長同士並に青春しようとここまできた。よろしく」
そこで兄者、と自己紹介したその人が、つー先輩の言葉を補完してくれた
そうか、これはただ単に仲の悪い奴らが集まるのかと思っていたけど、そういう考え方もあるんだな
- 84 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:37:04.51 ID:/6ZenKoQ0
確かに、喧嘩後に友情は芽生えるかもしれないが、それはあくまで他人同士のいがみ合ってる奴らの場合じゃないだろうか
ξ゚听)ξ「二年の津木怜よ、別に参加したくてしたわけじゃないけど、誰も集まらなかったら
可哀相だと思って参加してやったの」
( ´_ゝ`)「ははは」
ξ゚听)ξ「何笑ってるのよ、殴るわよ」
( ´_ゝ`)「いや、なんでもないです」
('A`)「…………」
今、なんだか二年の力関係を垣間見た気がした
ぼんやりと集まった連中を見ながら、俺は来るときに持ってきていたパックジュースを口に含んだ
(*゚∀゚)「……じゃあ、自己紹介も終わったし、早速生徒会室襲いにいこうぜ!」
(;'3`).。* ブーッ!
そして、盛大に吹いた
(;'A`)「な、なんななな……!?」
- 85 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:38:31.37 ID:/6ZenKoQ0
- _
(;゚∀゚)「なんでいきなりそんなことに!?」
同調する俺とジョルジュに、八重歯を見せて笑うつー先輩は、当たり前のように言った
(*゚∀゚)「だってオレ様のねえちゃんは、せーとかいちょーなんだぞ! しごとの邪魔したら、きっと喧嘩になるじゃん!」
(;'A`)「いや、そそそ、それはでもつ、つつー先輩の都合であって……」
( ><)「……ああ、そういえば、僕のお兄ちゃんは副会長でした、意外にいい案かもしれないんです」
_
(;゚∀゚)「えぇえ!?」
そこで、まさかのビロード同意に、オレ達は我が耳を疑った
だってそうだろ、まさか今日の朝初めて聞いて、数時間もしないうちに生徒会を襲うなんて話になるとは誰も思わない
そして、この反応を見るに、ジョルジュもまさかそこまでことが大きくなるとは思っていなかったんだろう
元々熱しやすく冷めやすい男だ
呆然としている俺とジョルジュを他所に、話はどんどん進んでいく
( ´_ゝ`)「む、俺の弟はなんと会計、これは行くしかないかもしんね」
(;'A`)
あんたの兄弟も関わってるのかよ! 出来すぎだろ!
なんだここは? 兄弟のスペックが高い人たち集会所か?
(;'A`)(おい……ジョルジュ)
_
(;゚∀゚)(なんだ、友よ)
- 87 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:39:51.92 ID:/6ZenKoQ0
(;'A`)(お前なんて友じゃない! ハインリッヒの姉さんは、まさか生徒会のメンバーじゃないだろうな!)
_
(;゚∀゚)(あの乱暴者にそんな真面目なことできるかよ!ただ……)
('A`)(ただ?)
_
(;゚∀゚)(……そこにいる津木先輩と、結構仲がいいから……生徒会室には良く行く、かも)
('A`)(…………)
ξ゚听)ξ「私は反対よ、生徒会メンバーとして」
ツンとした表情で、津木先輩が言い放つ
(;'A`)「…………はは、はぁ」
あくまでも真面目に、津木先輩は言う
腕を組んで睨みつける姿は、威圧感たっぷりだ
ξ゚听)ξ「そんなことしたら、内心点下がっちゃうし」
まぁ、そうだろうな
- 88 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:41:44.32 ID:/6ZenKoQ0
(*゚∀゚)「バレないようにすればいいんだぞー! ツン!」
ξ゚听)ξ「誰よツンって」
(*゚∀゚)σ「お前!」
ξ#゚听)ξ「……私の名前は津木怜よ! 勝手に変なあだ名つけないで!」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ!ツンが怒った怒ったー!」
ξ#゚听)ξ「なんなのよあんた! ちょっと流石兄、連れてきたのあんたでしょ、どうにかしなさいよ!」
(;´_ゝ`)「はいはい、おいつー、あんまりここで喧嘩したら、後で喧嘩できないぞ」
(*゚∩゚)「それは嫌だ!」
( ´_ゝ`)「じゃあ、大人しくしてろ」
∩(*゚∀゚)∩「おう!」
( ´_ゝ`)「ってことで、どうぞリーダー、続けて続けて」
_
( ゚∀゚)「…………」
('A`)「…………」
_
( ゚∀゚)「……ほら、どうぞだってさ」
- 89 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:42:33.35 ID:/6ZenKoQ0
(;'A`)「なんで俺だよ、お前だろうが、ていうかどうして俺がここのメンバーに入っているのか、未だに理解できないぞ」
_
( ゚∀゚)「……俺たち友達じゃん」
('A`)「じゃあ今から絶交だ」
(;><)「け、喧嘩はダメなんです!」
焦ったビロードが止めてくる、畜生可愛いな
正直俺はこんなロリっ娘よりもお姉さんの方が好きなんだけど、こういわれたら引き下がれないじゃないか
('A`)「べべべっべつに喧嘩してるわけじゃななな、ないんだからね!」
_
(;゚∀゚)「おい! お前キャラがおかしいぞ!」
( ><)「あ、そうなんですか? ごめんなさい、勘違いしてたんです!」
_
(;゚∀゚)「アッレー! 普通に返してきた!」
一人あたふたとしているジョルジュを見るのは滑稽だが、ここでこうしていても埒が明かない
('A`)「じゃあ……とりあえずこうしませんか……」
- 93 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:43:51.88 ID:/6ZenKoQ0
その後、結局話し合いの末、俺たちは生徒会室に行くことに決定した
ただし、津木先輩の強い希望、というか進言というか、まあ言いなりにより
喧嘩を売りに行くのではなく、もの申しにいくということで話は落ち着いた
津木先輩は津木先輩で何か考えがあるらしく、口元には不敵な笑みを浮かべている
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう
出来るならば、早いところ家に帰ってプリンでも食べたい
天気のいい空を見上げて、俺はがっくりうな垂れた
- 95 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:45:35.86 ID:/6ZenKoQ0
(*゚ー゚) 「若出くん、今度の文化祭の件どうなってる?」
ペロペロ
( <●><●>)「ああ〜〜妹可愛いよぉ〜、ペロペロしたいよぉ〜」
つ□と
(*゚ー゚) 「…………」
(*゚ー゚) 「流石くん、部活の予算の件は……」
(´<_` )「ふふふ……いいだろう、俺が泣いているだけだと思うなよ兄者、ならば戦争、戦争だ……!」
(*゚ー゚) 「…………」
从 ゚∀从「ひゃはー! 生徒会長も大変だなあ!」
( ・∀・)「ちょっと長岡先輩、机の上に足乗せないで下さいよ」
(*゚ー゚) 「……毛利くんも、彼女を連れ込まないでね」
ζ(゚ー゚*ζ「やだ〜〜、彼女じゃないですよぉ〜」
(;・∀・)そ ガーン
(*゚ー゚) 「…………」
- 97 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:47:20.32 ID:/6ZenKoQ0
その7 寝ている赤子を起こせば、そこは戦場である
- 103 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:00:46.78 ID:/6ZenKoQ0
どうして、皆こうなんだろう
私は精一杯やっているつもりなのに、皆どうして真面目に取り組んでくれないの?
生徒会長だって、別になりたくてなったわけじゃないのに
いつの間にか推薦で生徒会長になっていた
なってしまったからには真面目に取り組もうと思っているのに、誰も真面目にやってくれない
じわりと、視界が熱くなる
どうして? もう、どうしてー……
(*うー;) 「うー………」
从;゚∀从「うお! おい! お前ら雑談禁止! 猫野が泣きそう!」
(;<●><●>)「えっ」
(´<_`;)「う」
ζ(゚ー゚;ζ「やばっ」
(;・∀・)「か、会長!僕達真面目に取り組んでますよ!ほら、ねっ!」
皆が焦ったように話しかけてくるけれど、その理由は大体わかっていた
私には、一人、妹がいて、妹はなんというか、私をまるで教祖のように崇めている
そして、厄介なことに妹は「乱暴者」と評されるくらいお転婆で、ちょっとした恐怖心を他人に植え付けたりする性質だ
- 105 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:02:02.32 ID:/6ZenKoQ0
もう高校生なのに、いざとなったら妹の存在に助けられるなんて、私は情けないやら、悲しいやらで涙が出てきた
みんな、こんなところを妹に見られたら、何をされるのかわかったものじゃないから、怖いんだろう
(*;ー;)「な、泣いてません……」
从;゚∀从「目! 目! ああクソ! ツンの奴、早くこいよ! 宥めるのはお前の仕事だろー!?」
そのとき、タイミングよく生徒会室のドアがノックされた
全員がぎくりとしたが、入ってきたのは、ネクタイの色から察するに一年生の、ちょっと背の低い眼鏡をかけた男子生徒だった
('A`)「失礼します……うわ」
彼は私を見るとちょっと引いて、まずいところに来てしまったとでもいうように顔を青ざめさせた
(*うー;) 「……どちら様?」
(;'A`)(しゅ、修羅場……?)
(;'A`)「いや、ぼぼ、僕はそにょ」
男子生徒はやけに噛みながらも、後ろ手でドアを必死に閉めようとしてくる
……?
その様子はどこか焦っているようにも見えて、私は首を傾げた。
しかしその瞬間、扉がすごい勢いで開く
- 108 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:03:12.28 ID:/6ZenKoQ0
(;'A`)「や、やっぱり出直しまっ……」
バターン!
(゚A゚)「がっ!!」
_
(;゚∀゚)「ド、ドクオー!」
三(*゚∀゚)「ねえちゃああああああああああん!!!」
男子生徒は横に吹っ飛び、後ろのからは何故か妹が飛び出してきた
(*;ー゚) 「つ、つー……!?」
(*゚∀゚)「アヒャーーー!喧嘩しにきた……って、なんで泣いてるんだ?……だ?」
ξ;゚听)ξ「…………まずい」
(* ∀ )「……誰がねえちゃんを泣かせたんだ?アヒャー」
すると今度は、後ろの方から生徒会メンバーである津木さんが顔を出してきた
どうやら複数人で来ているらしい
私は困惑しながらも彼女に尋ねるが、自分でも少しまずい状況というのがわかっていたのかもしれない
(;うー゚) 「つ、津木さん?これは一体どういう……」
- 109 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:05:45.30 ID:/6ZenKoQ0
- 昔、私を泣かせた男を、妹がボッコボコにしたことは、割と有名な話だから
(* ∀ )「ねえちゃんがないてる、ないてるないてるナーイーテールー!」
从;゚∀从「おい愚弟……てめぇかぁ、このやばい状況にこのガキ連れてきたのはあ……」
_
(;゚∀゚)「だ、だって姉ちゃん……おい、ドクオもなんとか言えよ……!」
チーン
(゚A゚)
_
(;゚∀゚)「ドクオー!」
ゆらりと揺れるつーに対して、二年生の長岡さんが腰に差していた木刀を構えた
(´<_` )「兄者……来たのか、戦争をしに」
( ´_ゝ`)「ああ…………と言いたい所だが、もしかしたらそれどころじゃなくなるかもしれん」
(´<_` )「というと?」
( ´_ゝ`)「我々の戦争とは無関係に、ここは戦場となるからだ」
(´<_` )「なるほど、流石だな、兄者」
(;´_ゝ`)(そうか?)
(* ∀ )「…………アヒャッ!」
刹那、つーの体が1年生の毛利君の方へと飛ぶ
- 110 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:06:55.86 ID:/6ZenKoQ0
反則的なその脚力を生かして、何処から引っ張ってきたのか、手にはかけたガラス片
(;・∀・)「うわ、わ!?」
(*゚∀゚)「お前か!?お前なのか!? ねえちゃんを泣かせたのはお前なのかー!!」
(;*゚ー゚) 「つー!?」
鈍い音と共に壁に打ち付けられるモララーくん、ああ、こうなってしまうともう手が付けられない
私は頭を抱えて、津木さんの方へかけよった
(;*゚ー゚) 「ど、どうしよう津木さん……!」
ζ(゚ー゚;ζ「やだぁ〜〜!モララーーくーん! 大丈夫!?」
ξ゚听)ξb「GJつー」
(;*゚ー゚) 「つ、津木さん!?」
どうしてグーサインを出しているの!?
ζ(;ー;*ζ「ちょっとモララーくんおきてよぉ〜」
ξ )ξ「フフ……ざまぁ……」
(;*゚ー゚) 「津木さん……! ど、どうしよう、若出くん……!?」
- 112 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:08:53.57 ID:/6ZenKoQ0
話を聞いてくれない、いつもの津木さんじゃない!私は副会長である若出くんを見たけれど
こっちもいつもの彼ではなかった
(*<●>・・<●>)「ビビビビ、ビロード!どうしたんですか?お兄ちゃんに会いに!?」
( ><)「違います、死ね!」
( <●><●>)「いいんですよテレなくても、君のツンデレはわかっています、ハアハァハァ」
( ><)「つー先輩! お姉さんを泣かせたのはこの人みたいでよー!」
(*゚∀゚)「アヒャ!?」
(;<●><●>)「え、ちょ、ま、違……」
喋り終わらないうちに若出くんが吹っ飛んでいく、なにこれ?どうしてこうなっちゃうの?
私はいつも、いつだって、真面目に頑張ろうと思っているだけなのに……
どうして? どうして? どうして……? どうしてこうなるの?
(*゚∀゚)「アッヒャーー!」
どうして、私の言うこと、素直に聞いてくれないの?
('A`)「ハッ……あれ……俺は一体……」
(* ー ) 「…………どうして、どうして……」
- 115 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:11:40.04 ID:/6ZenKoQ0
(;'A`)「ね、猫野先輩……?」
いつもいつもいつもいつも!!
(* ー ) 「もうっ……もうっ……どうして」
(*゚皿゚)「どうしてこうなるんだよ!! いい加減にしろぉおおおおおおお!!
テメェらあああああああああ!」
(;*゚∀゚)ビクッ
_
(;゚∀゚) (;'A`)(;><)从;゚∀从「!?」(;´_ゝ`)ζ(゚ー゚;ζ(´<_`;)
―――その時、確かに時は止まった
- 118 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:13:39.92 ID:/6ZenKoQ0
それから後のことを、少しだけ話そう
プッツンしてしまった猫野先輩の暴れようは、尋常ではなく、到底俺たちに止められるものではなかった
あれから駆けつけた教師により押さえつけられた猫野姉妹は、漸く正気に戻ると、姉が謝り、それを見た妹も強く謝った
元々真面目な生徒会長ってこともあったので、姉妹に関してはちょっと行き過ぎた兄弟喧嘩として片付けられることになったみたいだ
ジョルジュは姉にこってり絞られていたし、津木先輩は、なんだか妹さんが悲しんでるのを見て嬉しそうだったが
やはり内心点のことを気にしていた
流石兄弟に至っては、喧嘩してさらに傷を深めた流石兄弟という名が、その日のうちに、校内に知れ渡っていたので
もしかしたら、今回の騒動で一番得したのはあの兄弟なのかもしれない
そしてビロードはというと、あれから俺たちとよく話すようになった
もちろん、兄がよく後ろについて周るのだが、それすらも気にしなくなったのは進歩と言った所だろうか
んで、俺はというと……
- 121 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:15:28.21 ID:/6ZenKoQ0
その8 !
- 124 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:17:10.31 ID:/6ZenKoQ0
騒動が終わり、家に帰ってくると、姉が居間で寝転がっていた
疲れた、今日はもうゆっくり風呂にでも入ってぐっすりと眠りたい
('A`)「……ただいまー」
('、`*川「おかえり、ねぇ、ちょっと麦茶もってきて」
('A`)「自分でもってこいよー」
('、`*川「いいから、早く」
('A`)「チッ……」
命令すんな、と思うものの、年下魂というものが染み付いてしまっているのだろうか
俺の体はすでに台所の方へと向かっていた
そういえば、昨日から取って置いたプリンが冷蔵庫にあったはず
テレビでも見ながら食おう、そんでもって風呂でも入ってぐっすり寝るんだ
俺は腐る気持ちを少しだけ高めて、冷蔵庫の扉を開ける
綺麗に整頓された中から麦茶を取り出し、コップに注ぐと、プリンを探した
('A`)「…………あれ?」
しかし、見渡してもその姿は何処にもない。可笑しいな、昨日確かに入れたのに
('A`)「姉ちゃーん、俺のプリン知らない?」
- 126 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:18:15.57 ID:/6ZenKoQ0
('、`*川「ああ、ごめん、食べちゃった」
('A`)「え?」
('、`*川「テレビ見ながら、今食べた、ごめんねー」
('A`)「…………えっ?」
俺は今日、本当に疲れていて
甘いものでも食べてゆっくり眠れたら、それで幸せだったんだ
その幸せを、目の前で奪われた人間の気持ち、理解できるか?
いや、理解できるはずがない、理解できる奴がいるとしたら、俺と同じく、きょうだいに虐げられている奴だけだ!!
( A )「せ…………」
(#゚A゚)「戦争だーーー!」
俺は携帯を取り出して、ジョルジュへとの電話番号をプッシュした
終わり
小ネタ的な
- 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 23:40:21.30 ID:2LEHxkhcO
- おつんつん!
何気に各話タイトルが立て読みだなww
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/08/21(金) 21:15:43.30 ID:/6ZenKoQ0
〜('A`)きょうだい戦線異常あり!のようです〜
その1 平成のドン・ファンが最も恐れた女
- 11 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:25:27.48 ID:/6ZenKoQ0
その2 ワッフルとカスタードプディングの等価価値
- 22 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:39:50.05 ID:/6ZenKoQ0
その3 がなるシャム双生児と決別の時
- 38 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 21:59:18.99 ID:/6ZenKoQ0
その4 一番目の猫に二番目の猫は愛されず舌を噛む
- 54 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:10:55.55 ID:/6ZenKoQ0
その5 万物の起源は妹です、とエロい人は言いました
- 69 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:21:06.46 ID:/6ZenKoQ0
その6 駄目な奴は何をやっても駄目だ
- 97 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 22:47:20.32 ID:/6ZenKoQ0
その7 寝ている赤子を起こせば、そこは戦場である
- 121 :◆Ib6f2pPCNI :2009/08/21(金) 23:15:28.21 ID:/6ZenKoQ0
その8 !
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