- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 20:55:08.85 ID:n4NmK/4U0
- ○月×日
いつも通りのなんてことない日でした。
学校に行って、帰り道にちょっと寄り道して、皆と別れて。
そんなありふれた一日、どこにでもいる女の子の一日。
でも、私はまっすぐに家に帰りませんでした。
今思うと、これがいけなかったのかもしれません。
しかし、その道草も普段からやっていること。
言うなれば、私の平凡な日常の延長線上にあるものです。
ですから、普段と同じ日常を過ごしているだけでした。
ただ、普通であることを求めていただけでした。
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 20:57:05.30 ID:n4NmK/4U0
- 温かいコーヒーを買って公園のベンチに座りました。
すでに太陽は沈み、電灯の光が少し眩しく輝いていました。
秋特有の乾いた風が吹き、とても寒かったのを覚えています。
もうじき、冬も訪れるなぁなんてことを考えていたと思います。
そして、コーヒーの温かさで体を誤魔化して時が過ぎるのを待っていました。
ベンチに座ってから、いくらか時間が過ぎた頃。
コーヒーの温かさもあまり感じられなくなった時ぐらいでしょうか。
公園に一台の車が入ってきました。
白いワゴン車で、ところどころに傷跡がついていました。
私は公園に車を入れるなんて変だなぁと感じていました。
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 20:58:07.91 ID:n4NmK/4U0
- その中から二人の男性が降りてきました。
黒いスーツを着ている人と、作業服を着ている二人組みで不釣合いに見えました。
ただ、彼らの進む方角。
それがまっすぐにこちらへ来ているのだけは呆けていた私にもわかりました。
寒さのせいではありません。
私は確かに背筋が凍るような思いをしました。
立ち上がって逃げ出しました。
しかし、作業服を着た男性が私を捕まえ、決して離そうとはしません。
そして、彼が何かをしたかと思えば、私は強烈な眠気に誘われてしまいました。
頭では抵抗しなくてはならないと分かっているのに、体は既に動きません。
私は、薄れていく景色の中で車に放り込まれていたのだけは覚えています。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 20:59:59.74 ID:n4NmK/4U0
- 目が覚めると、そこは薄暗い倉庫のような場所でした。
そして、私の隣には一人の男性が座っています。
彼は、私が目を覚ましたことを確認すると嘲るようにこう言いました。
(´・ω・`)「やぁ、地獄へようこそ」
―――(´・ω・`)は嘘をついてしまったようです―――
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:01:41.36 ID:n4NmK/4U0
- 本来なら人の気配など感じられないような廃れた倉庫の中。
一人の男と、一人の少女がその静寂を崩している。
少女は脅えた心を抑えて男に尋ねた。
(*゚ー゚)「……ここはいったいどこですか」
すると、男は急に立ち上がり奥へと消えてく。
かと思うと、男はすぐに戻ってきた。
唯一変わっていることと言えば、その手にシチューとパンが握られている事か。
(´・ω・`)「食え」
(*゚ー゚)「……え?」
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:02:37.97 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「君は丸1日眠っていたんだ。だから食え」
言われてみれば、お腹がすいている感覚。
だが、今は食欲よりも満たすべき欲求が多すぎた。
(*゚ー゚)「ちょっと待ってください、そもそもここはどこなんですか?」
(´・ω・`)「……ここは、ある港の傍にある倉庫。
眠っている君を車で運び、拘束しておいた。」
少女の腕は手錠で繋がれている。
その手錠が鎖で結ばれており、逃げるのは出来ない状況であった。
ただ、その鉄特有の冷たさが少女の不安を加速させる。
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:04:30.31 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「やはり誘拐……ですか?」
(´・ω・`)「ああ、その通りだ。理解が早くて助かる」
(*゚ー゚)「初めてではないので……お金が目的ですよね?
私の父が経営している会社の」
(´・ω・`)「まぁね、2度も誘拐されるなんて馬鹿げた話だ」
男のくぐもった笑い声が倉庫に響き渡る。
…少女の父が経営している会社は、エリートを集めたようなトップ集団が集まる会社。
出来るものだけが自らを高め、出来ないものは容赦なく切り捨てていく。
もちろん、そんな事が出来るのはそれなりの実績があるからこそ。
彼女の家もまた、その会社の恩恵を受けるがごとき巨大な屋敷。
だが、少女はそんな家に嫌気をさしているため、公園で出来るだけ時間を潰していた。
その結果、今という時間がある。
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:06:00.20 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「それで、貴方は見張り役という訳ですか?」
(´・ω・`)「まぁ、そういう訳だ。しばらくの間よろしく、『しぃちゃん』」
少女は犯罪者にこんなに軽々しく名前を呼ばれるとは思っていなかった。
そう、二人の間には『犯罪者と被害者』の構図が成り立つような雰囲気が流れてはいなかった。
それは恐らく男の所為であろう。
近代の若者のようなラフな格好。
垂れた眉が、まるでお人よしに見えてしまいそうだった。
もっとも、その口調と言葉の紡ぎ方はやはり常人とは言い辛いものではある。
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:07:33.33 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「ちなみに、僕の名前はショボンだ。
……まぁ、そう呼ばれているだけで本名でも何でもない。
君がこの名前を誰かに言ったところで、なんの支障もきたさない。」
(*゚ー゚)「…やっぱり、帰してくれる予定ではあるんですね?」
(´・ω・`)「今はボスがそう言ってるから、ね」
とりあえずは一安心といったところか。
誘拐された身でこんな事を考える自分も自分だと少女は思わず笑みを溢す。
(´・ω・`)「この状況で笑うなんて、君は狂人か何かかい?」
(*゚ー゚)「……犯罪者にそう言われるのは心外ですけどね」
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:08:58.98 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「そうそう、一応言葉には気をつけておいた方が良い。
僕は犯罪者で、君は身動きできない弱者だ……あとはわかるな?」
少女はハッとなって自分の姿を見直す。
手錠で繋がれた腕、逃げられない状況、恐らく助けを呼んでも無駄だろう。
出来るだけ体を丸めて防衛するような体勢をとった。
(´・ω・`)「……まぁ、僕は女とかそういうのには興味ないからね。
僕が見張りのときは大して警戒しなくても大丈夫じゃないかな」
(*゚ー゚)「興味ないって…ああ、そういう」
(´・ω・`)「ちげぇよ、ぶち殺すぞ」
冗談のつもりだろうが、右手が『黒光りする鉄製の何か』に触れかけていた。
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:10:54.92 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「…それにしても、随分と色々話してくれるんですね」
(´・ω・`)「悪いかい?」
(*゚ー゚)「ううん、普通はなかなか話してくれないものじゃないかなって……」
(´・ω・`)「僕は人を騙すが大嫌いだからね。嘘は絶対につかないよ。
まぁ、その点だけはちょっと覚えていて欲しい」
しぃは犯罪者が何を言うか、と思ったが口にはしない。
一応、機嫌はとっておくのが吉であると考えたからである。
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:12:36.69 ID:n4NmK/4U0
- 二人の会話が終わった頃だろうか。
ぐぅ〜と可愛らしい音が鳴り響く。
(*゚ー゚)「……ごめん、お腹すいた」
(´・ω・`)「それにしても警戒するなとは言ったが、タメ語とはね。
君、間違いなく大物になるよ」
(*゚ー゚)「ありがとー……ところで、これどうやって食べるの?」
繋がれた手。
粗末に置かれたスプーン。
とてもではないが、まともに食事をとれるような状況ではなかった。
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:14:15.15 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「這いつくばって食べればいいだろ?」
(*゚ー゚)「…年頃の女の子にそういう事させちゃうんだ」
(´・ω・`)「君は本当に狂ってるとしか思えないね。
……で、具体的にどうすれば君は満足して食事を摂ってくれるんだい?」
(*゚ー゚)「食べさせて?」
にんまりと笑顔を見せる少女。
百人中百人がそれはおかしいと突っ込みたくなる程。
目の前には人一人殺していてもおかしくない人間。
それに対してそう頼んだのだから納得である。
(´・ω・`)「……本気?」
(*゚ー゚)「もちろん!」
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:15:53.74 ID:n4NmK/4U0
- やれやれと一息ついて、それに従う男。
ふぅふぅと熱々のシチューを冷まし少女の口へと運んだ。
(´・ω・`)「ほれ、あーん」
(*゚ー゚)「あーん……あ、結構おいしー!」
少女は舌鼓を打ち、笑顔を絶やさない。
そして、もっと頂戴と言わんばかりに雛鳥のような目線を男に向ける。
それを見て男は『ああ、めんどくさくなりそうだ』と、またしてもため息を深くついた。
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:18:19.60 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
少女のいる倉庫から、わずかに離れた場所にある小屋。
そこには、十数人の人間が明らかに許容オーバーなのを無視して居座っていた。
その中には、先ほどの眉の垂れ下がった男の姿もある。
周りの者は談笑に花を咲かせているのだが、この男だけは例外。
ただ一人、表情も変えずに壁に寄りかかって何かを考えているような素振りを見せていた。
そんな男を気に食わないのか食って掛かるやつがいた。
<ヽ`∀´>「ショボン、何を考えているニダか?」
ニダー、この集団の中では2番目に偉い地位を持っている者である。
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:19:51.17 ID:n4NmK/4U0
- ´・ω・`)「別に……君に関係ないだろ」
<ヽ`∀´>「ひょっとして、あの女の子の事ニダか?」
(´・ω・`)「……何が言いたい」
<ヽ`∀´>「『ふーふーあーん』……ヒャヒャヒャヒャ!!」
ニダーが発する気持ちの悪い笑い声。
それにつられて、周りの者もざわめきだす。
しまいには、ショボンを取り囲むように笑い声が辺りを包んでいた。
<ヽ`∀´>「いやぁ、子守が得意なんですねぇ、ショボン?
将来の夢は幼稚園の先生か何かニダか?」
(´・ω・`)「……そしたら、君は動物園にでも行くと良いよ」
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:21:39.15 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「あ?どういう意味ニダ?」
(´・ω・`)「知能が猿並だって言ってるんだよ馬鹿が」
<ヽ`∀´>「てめぇ……!ちょっと表出ろニダ……!!」
『おい、そこらでそろそろ止めねぇか……!』
扉が開くとともに、怒声が小屋の中に響き渡る。
それを聞くと、先ほどまで粋がっていたニダーが急に態度を改める。
ショボンはこうなる事を予測していたのだろう。
当たり前のように、先ほどと同じ体勢を取り直した。
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:23:17.54 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「よぉ、ちょっと考え事しててな……遅れちまった」
この男の名前はドクオ、この荒くれ者たちを治めている。
現に、先ほどまでと違って緊迫した雰囲気が小屋の中には流れていた。
<ヽ`∀´>「ボス、考え事とは…?」
('A`)「ん、ああ。今日のデザートはプリンがいいかケーキがいいか迷っててな……」
ニダーを含め、男たちが呆気にとられている中。
ショボンだけは堪えきれない感情をためらわず、笑い声を発していた。
('A`)「なぁ、お前はどっちが良いと思う、ショボン?」
(´・ω・`)「生クリーム乗せプリンが良いんじゃないですか」
('A`)「おお、奇才現る。よし、今日はそれで決まりだな!」
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:24:43.53 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「さて……」
一呼吸置いて、ドクオが険しい表情を見せる。
本題に入るらしき態度に、今一度緊迫した雰囲気が辺りを包む。
('A`)「身代金の取引は一ヵ月後と仮定する、もちろん警察にここを調べられる可能性はある。
だが、俺たちはまず奴等に向かって覚悟を示す必要がある。
金を払わないなら、何でもするという覚悟をだ……その為には時間を置くのがいいだろう」
<ヽ`∀´>「でも、お姫様の監禁にも何かと苦労がかかりますよ。
さっきだって、ショボンの野郎が……」
そう言って、ニダーは目線をショボンに向ける。
その目には小馬鹿にする態度が秘められていたが、ショボンは気にしていないみたいだ。
('A`)「ああ、監視カメラでお姫様を見てて決めたよ……うん」
<ヽ`∀´>「何をニダ?」
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:26:42.82 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「お姫様の監視はショボン一人に完全に任すことにする」
その発言に全員がざわめきだす。
これには流石のショボンも驚きを隠せないみたいである。
<ヽ`∀´>「ど、どうしてニダ!?そんな重要な任務をこんな奴に……!!」
('A`)「重要な任務だからこそ、だ。
お前らに一つ教えておくが、『人質は無事であるからこそ人質である』……。
これが、どういう意味かわかるか?」
首を傾げるばかりの者たち。
案の定、ショボンだけがスッと手を上げて答えようとしていた。
('A`)「オッケー、やっぱりこいつに任せて大丈夫だな、うん」
<ヽ`∀´>「そ、そんな!答えを聞いてないのにニダ!?」
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:27:49.69 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「聞かなくてもわかるんだよ……こいつの目とさっきの様子を見たからな」
ドクオはまっすぐにショボンの目を見据える。
ショボンもまた、視線を逸らすことなくそれに応えていた。
そして、ショボンが屈み込み忠誠の姿勢をとる。
(´・ω・`)「やれるだけの事はやります。
……全ては、ボスの思うがままに」
('A`)「…それでこそ、頼りがいがあるってもんだ」
ドクオはそれだけ言い残し小屋を去っていった。
残ったのは、苛立つ気持ちを捨てきれないニダーとその傘下の者達。
ショボンに向かい、『頑張れよ』と一礼をかける者達。
そして、その言葉を受け取り、これから忙しくなる日々に思いをはせる者だった。
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:30:23.86 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
(´・ω・`)「やぁ、しぃちゃん。おはよう」
(*゚ー゚)「おはようショボン、何だか今日は冷えるね」
男が少女の監視担当になってから、早くも一週間が過ぎる。
二人の間柄は既に、犯罪者と被害者の域を越えていた。
元々、ありえない犯罪者とありえない被害者の二人であるからこそだが。
すでに少女を拘束していた手錠の影はない。
今では、倉庫ないなら自由に動き回れるほどだ。
もっとも、少女は逃げる意思などは無かったのだが。
それは、単に逃げることなど不可能だという思いもある。
だが、それ以上にありえない体験であるが故に少女の退屈を紛らわしていたのが原因である。
幸い、命には心配はいらないし、男も自分には優しくしてくれる。
そのせいか、少女はこの生活をむしろ快適にすら思っていた。
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:32:29.70 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「君もつくづく可笑しい子だよ、犯罪者と過ごしてよくそんなに笑顔でいられるもんだ」
(*゚ー゚)「そんな事言っちゃってー、ショボンだってこんな可愛い子といられて満更でも無いんでしょ?」
そう言いながら、モデルのようなポーズを見せる少女。
男はそれを見て、何度目かもわからないため息をついた。
(´・ω・`)「止めてくれ、一応監視カメラで他の仲間も見てるんだ」
(*゚ー゚)「あははー、アレだっけ?ほれほれ」
今度はカメラに向けてポーズをとる少女。
男はため息どころか、がっくりと肩を落とし、うな垂れるばかりであった。
もっとも、俯いた顔に僅かな微笑がある事は彼自身も気づいていない。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:33:44.58 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「でも、実際楽しいよー?気楽だしね」
(´・ω・`)「そうか、僕は気が気じゃないけどね」
(*゚ー゚)「冷たいなぁ。でも、ショボン最近よく笑うよ。
私、ショボンの笑顔ってなんか好きだからさ、もっと笑えって」
(´・ω・`)「勘弁してくれ、笑顔とかそういうのは似合いたくないもんだ」
実際、よく笑うと言われても自覚は無かった。
それに、こういった会話を苦手としているのも事実。
それでも、どこか楽しいと感じている自分がいることに男は気づいていた。
少女と過ごす時間が心地良いと感じている自分がいる事に気づいていた。
その気持ちを隠すように紛らわそうと煙草をポケットから取り出す。
そんな時だった。
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:36:15.54 ID:n4NmK/4U0
- ゴゴゴど鈍い音を立てながら倉庫の扉が開いていく。
本来なら、ショボン以外がここを行き来することはないのにも関わらず、である。
しぃとショボンが目を凝らして誰が入ってくるのか見ようとしたが、逆光にそれを阻まれる。
扉が閉じてから、初めてそれが誰なのかを把握することが出来た。
その男はコツリコツリと足音をたてながらゆっくりと二人に近づいてくる。
黒いスーツに身を包んでもいるのにも関わらず、下品な雰囲気だけは緩和されることが無い。
しぃはその人を公園で見た人だと掌握していたが、名前はまだ知る由も無い。
だが、ショボンは敵意丸出しの目でそいつを睨み付けるばかりであった。
<ヽ`∀´>「おや、姫様を守るナイトが何だか怒っているニダか……?」
その男はニダー。
正に、不幸を運ぶ男と呼んでも過言ではなかった。
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:37:40.98 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「何のようだニダー、ここには来るなとボスに言われてるはずだぞ」
<ヽ`∀´>「怖い怖い、さしずめ俺は姫様を狙う化け物ってところニダか?」
耳障りな笑い声が倉庫内に響き渡る。
しぃもこの男に対しては恐怖心を抱かずにはいられなかった。
(´・ω・`)「何のようだと聞いてるんだ」
<ヽ`∀´>「何ってこういう事ニダ……」
そう言いながらニダーはゆっくりとしぃに近づいていく。
しぃは恐怖に縛られ、逃げなくてはならないという気持ちと裏腹に動けずにいた。
ニダーはそんなしぃに歩を止めず、近付き。
(*゚ー゚)「きゃああああああ!!」
服を引き裂いた。
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:39:29.49 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「貴様!何をする!!」
脅えるしぃに庇い立ち、ショボンが叫ぶ。
ここまで感情を見せるのなんて自分らしくないと感じながら、である。
<ヽ`∀´>「何って……ちょっと楽しませてもらうだけニダ。
なんなら、お前も混ざって一緒に楽しんでやってもいいニダ?」
(´・ω・`)「ボスの言葉を忘れたのかっ!!人質は無事であるからこそ人質だという言葉をっ!!」
<ヽ`∀´>「はっ、いい加減俺も我慢の限界ニダ。
お前だけ楽しむ魂胆なんだろうが、そうはいかないニダよ……」
(´・ω・`)「貴様、いったい何をっ……!!」
瞬間、駆け出したニダー。
ショボンが息をつくまもなく懐に飛び込み、かかさず一撃腹に叩き込む。
(´・ω・`)「がはっ……!」
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:41:11.87 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「ひゃっはぁー!!」
畳み掛けるがごとく、腹、腕、顔と殴り続けるニダー。
ショボンもどうにか応戦しようと構えるが、勢いに飲まれ倒されてしまう。
それでもニダーは攻撃を止めない
倒れこんだショボンに跨り、拳を顔に思い切り叩きつける。
圧倒的な戦力差が目に見えてしまっていた。
次第に血が辺りを赤く染めていく。
地獄のような図に塗り替えられていく。
その絵画を更に彩るのは人が人を殴る音が奏でる交響曲。
ショボンの意識がもう少しで途切れようかと言う頃。
少女が、動く。
- 50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:43:17.25 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「や、止めて!」
<ヽ`∀´>「ニダ?……ほほう、これはこれは」
ニダーがその手を止めたのには訳がある。
しぃが、その身に何も羽織っていなかったからである。
年端もいかない少女故の、美しき素肌。
露になる乳房と誰にも見せたことがないであろう恥部。
震えた体がその脆さを表現しているようで、ニダーの事を興奮させる。
(*゚ー゚)「私に何をしてもいいから……その人に何もしないで!」
<ヽ`∀´>「…賢い子は嫌いじゃないニダ」
無残な姿のショボンをその場に残し、ニダーはしぃに歩み寄る。
息を荒げ、これから起こるであろう現実への妄想に浸りながら。
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:45:14.38 ID:n4NmK/4U0
<ヽ`∀´>「覚悟は出来てるニダね?」
(*゚ー゚)「……はい」
無論、出来ているはずなどない。
まだ、好きな人に捧げようとも思わない年齢。
それが、このような輩に半ば無理矢理奪われようというのである。
そんな覚悟を、一体誰が出来ようというのか。
それでも、少女はその身を男に預けようとした。
それは一体どこから来る想いであるというのか。
ショボンという会って間もない犯罪者の為に身を汚しても良いというのか。
人を守るためなら、自らが犠牲になるという清らかな精神の故なのか。
誰にも答えはだせない。
それは本人である少女にも言えること。
- 54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:47:27.93 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「ヒャヒャヒャ、どいつもこいつも狂ってるニダ。
もちろん、一番狂ってるのは俺ニダ?ヒャヒャヒャ!」
そんな清らかな想いとは真逆の意思を見せる男。
どす黒く濁った色を見せる欲望にまみれた心。
だが、そんな心こそ時には力を発揮してしまうものである。
現に、こういった場所では間違いなく王になる力を持ってしまう。
だからこそ、人間という世界には悪という存在が蔓延るのである。
だが、その二つの心とはまた違った心を持つ人間がいる。
(´・ω・`)「しぃから離れろ屑が」
構えた拳銃の矛先にはニダー。
その拳銃に秘められたのは白と黒の混ざり合った感情。
殺意と正義の交じり合う、輝きと妖しさを備えた哀しい力。
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:49:13.27 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「おい、ショボン…どういうつもりニダ?」
(´・ω・`)「どういうつもりも何もない、拳銃を向けるとはどういうことかわかるだろう?」
ニダーは今までの経験から今の状況を完全に把握する。
この男は、一歩でも少女に近付くようなら間違いなく引き金を引くだろう。
こいつの覚悟はすでに完了してしまっている。
この後、殺されても文句は言えないと覚悟している
これを上回るには、自分自身も死を賭ける必要があるとニダーは思う。
そこまで考えて出した結論。
自分はまだ死ぬわけにはいかない、というものであった。
もっとも、それが『脅え』を感じたものからというのをニダーは心の内でも決して認めなかった。
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:51:20.44 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「……記憶を失くしたお前えを拾ってやった恩を仇で返すニダ?」
(´・ω・`)「……すまない、ボスの命令は何よりも重いのでね」
<ヽ`∀´>「はっ、正直じゃないやつニダ。
だから、俺はお前がいつまでたっても好きになれないニダ」
ニダーは唾を吐き捨て、入り口へと戻る。
そして再び、ゴゴゴと鈍い音が倉庫内に二度響く。
その音が鳴り終わると共に、ショボンは倒れこむように横になった。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:53:01.45 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「ショボン!大丈夫!?」
駆け寄った少女に男は無言で自らの上着を渡す。
恐らく、未だ裸体を晒す少女に着ろと無言で促しているのだ。
(*゚ー゚)「かっこつけないでよ!それより、傷の手当てをしないと!!」
少女は男が持ち込んだ様々な道具を使い精一杯の看護をする。
こんな倉庫じゃ、応急処理にも満たないような事しか出来ないのは分かっている。
少女はそれを承知でやっているし、
男はそんな少女の気持ちが唯、純粋に嬉しかった。
男は安心感を覚えたのか、少女の見守る中で眠りに落ちた。
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:55:20.46 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
3日も過ぎても、あの日のことを再び話題にだそうとは両者ともしなかった。
唯でさえ、気の滅入りそうな倉庫内でネガティヴな話題など出したくなかったからだ。
しかし、少女はどうしても男に聞いてみたかった事があった。
(*゚ー゚)「ねぇ、ショボンちょっといいかな?」
(´・ω・`)「構わないよ、どうせする事もないしね」
男の傷は幸い、そこまで深い物ではなかった。
多少の傷跡は残るであろうが、顔の形が変形してしまう等の心配は少しも心配いらない。
ただ、痛みでシャワーを浴びるのが辛いのが男の悩みどころであった。
もっとも、献身的に介護をしてくれた少女の事を考えるとこの程度で済んで良かったということにした。
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:57:42.70 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「あのさ…この前、あの男が来たときあるじゃない?」
(´・ω・`)「……それがどうかしたのかい?」
(*゚ー゚)「違うの、別にあの男がどうとかそういうのじゃなくて……。
その、去り際に『ショボンが記憶を失くした』とか言ってたから気になって……」
(´・ω・`)「ああ、あれかい。気になるも何も言葉の通りさ。
僕は記憶を失くして行く当ても無いから、こんな場所にいるのさ」
男はあっけらかんとそう言い放つ。
常人なら、そんな馬鹿なと言いたくなる様な事なのにである。
- 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 21:59:00.41 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「…記憶を失くす前の手がかりとかもないの?」
(´・ω・`)「全く、だね。あの人達が拾ってくれなかったら今頃野垂れ死にさ。
だから、実はニダーにも少なからずの感謝があるのは本当の所だ。
まぁ、嫌いであるのには変わりないが……」
(*゚ー゚)「そっかー、人達ってのはお仲間の方?」
(´・ω・`)「というよりは、うちのボスのことかな。
あの人は凄い人だよ、自由奔放な暴れん坊でも子犬のように手懐ける。
ここでこうして働いているのも、あの人に憧れているからと言っても、過言ではないね」
そう言って、自らのボスについて語る男の瞳は少年のように輝いていた。
純粋な心が確かにそこにはあった。
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:01:09.23 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「でもさ!もしかしたら私達子供の頃会ってたりしてね!!」
(´・ω・`)「君と僕が…?くくく、それはないと思うよ……!」
(*゚ー゚)「そうかなー?有り得ない話じゃないと思うんだけどなぁ……」
そう言って男はくぐもった笑いを続ける。
少女は、そんな男につられて楽しげな笑い声を奏でる。
幸せな風景。
犯罪者と被害者の有り得ない日常。
でも、二人は確かに幸せを感じていた。
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:02:39.31 ID:n4NmK/4U0
- その日、男は夢を見ることになる。
その夢の登場人物は他ならぬ彼と、
ここ最近の日々を共にしている少女の姿だった。
しかし、そこは見たこともない平原。
どこまでも続く緑薫る美しい草木や花。
そして、頭上には広がる青と所々に浮かび上がる白い斑点。
風が、快く駆け抜けていた。
そして、何よりも隣には少女がいた。
年は今よりもずっと若く、少女と呼んで良いのかも迷う程である。
よく見れば、自分自身も今よりもずっと若い、いや幼い。
ああ、これは夢なのだなと思った。
だが、同時に醒めないで欲しいと心に強く願った。
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:04:40.20 ID:n4NmK/4U0
- 少女の手が少年の手をとり駆け出す。
草原を駆け抜けると腰ほどまで生えた草木とのすれ違いがこそばゆい。
だけど、今では絶対に味わえない感覚に心躍っていた。
『行こう、ショボン君!』
『うん、しぃちゃん!』
声が聞こえた。
それが自らが発した声だと気づくにも時間がかかった。
いつからか自分はこんなにも成長したんだな。
なんて、ありもしない昔の記憶に想いを馳せていた。
夢から醒めたとき、これが自分の望む記憶かと男は自虐的に笑った。
- 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:06:40.25 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
少女を誘拐してから、三週間。
もうじき、少女ともお別れかなんて馬鹿げた考えを男が考えていた頃。
ドクオがショボンを呼び出した。
(´・ω・`)「どうかしましたか?」
('A`)「……いやな、飼ってたハムスターが死んだんだ」
(´・ω・`)「そうですか、それはお気の毒に」
('A`)「まったく、弱い生き物だよ。
目の前で何回か仲間を殺すところを見せたのがいけなかったのかな……。
恐らく、それでストレスが溜まったんだと思う」
(´・ω・`)「ハムスターはストレスに弱いですからね」
- 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:08:52.62 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「生きているもの、必ず死が訪れる。
そんなこの世の心理を教えてやっただけなのにな……。
ショボン、お前は目の前で『死』があったとしても生きていけるよな?」
(´・ω・`)「はぁ、恐らくは」
('A`)「ふむ、その言葉だけが聞きたかった!」
急に明るく言葉を紡ぐドクオにショボンはいささか戸惑う。
ドクオがいつも変なのは知っているが、今日ばかりはいつもとも少し違うのだ。
(´・ω・`)「どういうこと、ですか?」
('A`)「……俺たちの上の組織に圧力がかかった。
どうやら、警察からの強硬政策だ……まったくもってけしからんな」
(´・ω・`)「それはまさか?」
- 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:10:29.25 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「その通り、例のお姫様の親父さんがたっぷり金を使ってるらしい。
どうやら、俺たちは時期を間違えた。大体の見当はつけられたし、何より……」
(´・ω・`)「身代金の取引が出来ない、と」
('A`)「…お前は本当に頭の回転が速くて助かる。
となれば、この先どうすればいいのかもわかるな?」
……ショボンにはその答えが分かっていた。
分かっていて、口には出せなかった。
身代金の取引が出来ないという事は、しぃの存在価値がない。
また、取引をしなかったとしても今は警察にしぃを誘拐したという事実がばれるのがまずい。
となれば、どうなるのか?
簡単だ『誘拐という事実そのものを失くせばいい』
- 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:13:06.71 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「どうした?答えはもう出ているんだろう?」
(´・ω・`)「……」
答えはとうに出ている。
けれども、認めたくない。
心の中の葛藤、決して終わらない心の迷い。
<ヽ`∀´>「はっ、そんなの決まってる。
『vip湾にお姫様を沈める』いつもやってることニダ」
(´・ω・`)「!!!!」
そんな心の迷いなど露知らず、どこからともなく現れたニダーがあっけらかんと言い放つ。
ショボン思いつきながらも言えなかった言葉、『しぃを殺すということ』を。
('A`)「その通りだよ、ニダー。
ショボン……今回はその役目をお前に任そうと思っている」
- 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:15:04.70 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「何故、この僕にそんな事をさせる?」
('A`)「……お姫様の相手役を勤めたお前がやるのが適任であるというのが俺の考えだ。
他人にやられるより、自分で手を下した方がいいだろう?」
(´・ω・`)「でも…僕は人を殺したことがない」
('A`)「…だからこそ、お前にやってみらいたいという事もあるんだが」
そんな二人のやり取りを見ながら不気味な笑みを浮かべるニダー。
いや、その笑い声は既に小屋の中に響き渡るほどになっていた。
(´・ω・`)「おい…何がおかしいんだ、ニダー」
<ヽ`∀´>「ヒャヒャヒャ、お前の発言は本当に面白いニダ。
『 僕は人を殺したことが無い』だから、やりたくないニダか……」
ニダーの笑みが一瞬消える。
そして、溜めたそれが一挙に爆発する。
- 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:17:42.68 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「ヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!
アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
涙を流し、腹を抱え、耳が痛くなるような音量で笑うニダー。
常人から見れば狂ってるとしか思えない、ショボンはそれを不快に思う。
(´・ω・`)「貴様、馬鹿にしているのか」
<ヽ`∀´>「俺の事をここまで、笑わせるなんて褒めてやるニダ!
……ねぇ、ボス。そろそろこいつに打ち明けてもいいでしょう?
ニダーが問いかける、ショボンはその意味が全くわからない。
ただ、ドクオは仕方ないと言った表情でニダーに頷くだけだった。
- 91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:19:30.60 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「人を殺したことが無い? そんなのは唯、お前が覚えていないだけニダ」
(´・ω・`)「……なんだと?」
<ヽ`∀´>「お前の正体は死神、この世界に生きてる奴らなら名前を聞くだけで誰もが恐怖するほどの化物。
その人の良さそうな顔で騙し、どれだけの人間の生を奪ったことか……」
ニダーが語る自らの過去について、ショボンは理解出来なかった。
いや、理解しようとはしなかったのだ。
記憶を失くす前、自分が自分であった頃。
多くの命を奪った殺人鬼、それが自分だと知ったのだから。
<ヽ`∀´>「何があったのかは知らないが、お前は一人路上で生き倒れていた。
ボスはお前の事を知っていたから、恩を尽くせば組織の利益になると思ったから……
だが、お前は記憶を失っていた。殺人鬼としての存在価値が消えた」
- 93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:21:37.74 ID:n4NmK/4U0
- <ヽ`∀´>「幸い、お前は色々と有能な面があったから、ボスは傍に置いておくことにしたニダ。
…それともお前、本当にボスがお人よしでお前の事を助けてやったとでも思っているニダ?」
(´・ω・`)「…ということは、今回のこれは」
<ヽ`∀´>「そうニダ、この誘拐事件は元々、失敗を目的として作られていたニダ。
親しんだ仲になった者を殺せば、お前が元の冷酷な殺人鬼になることを期待して……」
ニダーの言葉が雷鳴のようにショボンの体を駆け巡る。
ボスの手の中で踊らされいた。
人形のように、操られていた。
繰り返される衝撃の連続にショボンは言葉を失う。
自らの正体、計画の正体、その二つはショボンにとってあまりにも大きすぎた。
心が、押しつぶされてしまう程に。
- 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:23:40.13 ID:n4NmK/4U0
- ショボンはドクオの事をじっと見据える。
そして、ドクオの瞳は黒く濁っていることに気付いてしまった。
('A`)「…まぁ、そんなとこだな。もちろん謝る気なんてさらさら無い。
自分の利益だけを考えるのがこの世界で生き抜く方法だとお前にも言ったはずだ」
(´・ω・`)「……」
('A`)「だがまぁ、今のお前には酷な事実だということも分かってる。
だから、3日だ。3日やろう。
その間に覚悟を決めろ、再びこの世界で生きていく覚悟を」
それだけを聞いて、ショボンは小屋を後にする。
考えるのには時間を有するが、ここでは考えにくいのか。
いや、決意はすでに出来ていた。
- 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:25:23.08 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
何度も出入りを繰り返した倉庫。
今ではそこが家と呼んでも過言ではないと男は思った。
(*゚ー゚)「おっかえりー、ショボンも色々大変だね」
そして、そこには少女がいる。
誘拐された身でありながら、微笑みをくれる少女がいる。
例え、夢が夢であったとしても少女は確かにここに存在する。
殺人鬼と宣告された男には、その笑みが何よりも温かくて。
出来もしないと分かっていながら、守りたいと思ってしまうのだ。
その先に何があったとしても。
- 101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:27:31.34 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「…ただいま、しぃちゃん」
(*゚ー゚)「…?どうしたの、元気ないね」
(´・ω・`)「気のせいだよ、生まれつきじゃないかな」
気を落としていることをあっさりと見抜かれるほど今の自分は酷いのかと男は思う。
それでも、隠し通すのはプライド故か。
そして、男は少女に尋ねる。
今後の二人の運命を決めるその言葉を。
(´・ω・`)「しぃちゃん、ちょっと一つだけ質問してもいいかい?」
(*゚ー゚)「…ん?別にいいけど」
- 106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:30:09.04 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「君は『生きたい』かい?」
シンプルな質問。
単調で短くて分かりやすくて。
それでも、その言葉に込められた意志は語れないほどの量だった。
(*゚ー゚)「変な事を言うなぁ、そんなの当たりまえじゃん」
少女はそんな事を露知らず、当たり前のように言い放つ。
それでも、男にとってはそれだけで充分すぎる程だった。
(´・ω・`)「……うん、その言葉だけが聞きたかったんだ。
変なことを聞いてしまってすまないね。
もう夜も遅い、そろそろ眠るのがいいだろう」
(*゚ー゚)「……?おやすみ?」
少女は眠りにつく。
男は幸せな夢を少女に見させる為に決意する。
- 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:31:45.59 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・
深夜、少女が完全に寝静まった頃。
男は音を出来るだけ立てずに倉庫を後にする。
外は凍えるような風が吹き、身を包んだ防寒具を今にも貫通しそうだった。
それでも男は歩を止めずに、自らの決意の為に前に進む。
夜空には星が眩いばかりに輝く。
男はその美しい輝きに何故か心が痛むのを感じる。
きっと、それは男が光と別れを告げた故。
そう、男の目もまた黒く濁ってしまったのだ。
- 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:33:24.76 ID:n4NmK/4U0
- キィと僅かな音を立てて小屋の扉を開く。
中にいたのはいつもの仲間達と呼ぶべき存在。
彼らは一同に困惑する。
先ほどまで酒を飲みながら騒いでいたのが嘘のように静寂が訪れる。
少女を見張っていたはずの男が何故ここに?
そんな疑問を浮かべ、皆が固まっている中。
男の脳と体だけは迅速に、かつ正確に動いている。
彼らの中の一人が僅かな混乱を残しながら男に近づく。
男はそれを見て決める。
『こいつが一番目の獲物だ』と。
- 114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:35:35.30 ID:n4NmK/4U0
- 懐の拳銃を取り出し、獲物に向ける。
同時に、何のためらいもなく引き金を引いた。
獲物は恐怖を感じる一瞬すら与えられず肉塊と化す。
その肉が地面に音を立てながら崩れ落ちたのを確認する。
そうしてから、ようやく他の者達は今目の前で何が起こったのかを理解した。
<ヽ`∀´>「てめぇええええええええええ!!!」
怒号を撒き散らしながらニダーが男に詰め寄る。
だが、その速度は所詮人間のもの。
この男の速さには敵わない。
死神の早さには追いつけない。
- 121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:37:50.94 ID:n4NmK/4U0
- 速さとは覚悟の度量である。
この男には、人を殺める事に何の抵抗もないのだから覚悟などほんの少しで充分。
いや、有り余るほどの覚悟があるのもまた事実。
そして喧嘩の腕がたつ、たたないは全く関係がない。
人が人を殺す為に作られた道具に敵う訳がないのだから。
男はニダーがこちらにくるのを確認してなお余裕の表情を見せる。
充分に引き付け、一撃で倒せる間合い。
急所を確実に打ち抜ける位置までニダーがくるのを待ち、それから弾丸を放つ。
即死。
知覚など出来なかった。
ニダーは死神に破れ命を落としたとう事実すら知らぬまま生を失くした。
だが、男は何も思わない。
ただ、そこに肉塊が増えたと認識。
そして、残りは何匹かと勘定するだけである。
- 128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:39:32.67 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「近づいてくるものは殺す、死にたくない奴だけは外へ逃げろ。
そして、二度とこの場所と僕に近づかないようにしろ」
そう言い放ち出口への道を空ける。
その出口へ向かってもいいのかと彼らが数秒か迷った時。
またしても、銃声が鳴り響く。
そして、そこにまた一つの肉塊が増えた。
(´・ω・`)「遅い、お前らが逃げないというのなら僕がお前らをここで始末するだけだ」
その言葉には何の感情も込められていない。
ただ、事実を簡潔にのべているだけ。
しかし、そこにいる者にとっては恐ろしい言葉という他になかった。
- 131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:40:55.41 ID:n4NmK/4U0
- カチャと拳銃を男が鳴らす。
その音がまるで合図のように彼らは逃げ出した。
死に脅えているのではない。
この男自体に脅えているのだ。
あの瞳に睨み付けられたら体は動かなくなる。
あの口から発せられる言葉に脳は考えるのを止める。
あの手から放たれる弾丸に全てを終わらせられる。
死と同義でありそうで全く違う。
男の行動は魂までも奪い取る。
それは正に死神。
死を操り、人を震え上がらせる化物。
- 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:43:03.98 ID:n4NmK/4U0
- そんな男を目の前にして、逃げ出さない者がいた。
彼はどっしりと椅子に腰掛け、この景色を何も思わずにただ傍観していた。
('A`)「そうか、これがお前の答えなのか」
(´・ω・`)「…すまない、今の僕には自分よりも大切なものがあるんでね」
('A`)「それにしても…これがお前の正体か。
驚いた、確かにこれは死神そのものだな」
この状況下でドクオは何時もの様に笑う。
親しい友と話しているがごとく、朗らかな顔を見せる。
…いや、もしかしたらドクオはそのつもりでいるのかもしれない。
- 141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:45:42.71 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「当然、狙いは俺だよな。
俺がいなくならないと、この計画は組織の誰かが受け継ぐだろうからな」
(´・ω・`)「…ボスが逃げようとしなくてよかったよ。
ボスのことを後ろから撃ちぬいてお終いだなんてつまらない」
('A`)「死神の美学か?いいねぇ、全く持って漢を感じるよ」
(´・ω・`)「…ボスもそうであるじゃないですか」
('A`)「ヒハハハ、俺はびびって動けないだけさ」
男は、どんなことがあったとしてもドクオはこの調子だろうと思った。
強く、何事にも耐え乗り越えられる精神があると思った。
それは、自らが欲しいと思った心だったから。
- 144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:47:48.44 ID:n4NmK/4U0
- ('A`)「さぁ、ショボン。覚悟は出来てるな?
俺を殺すということは、どういうことなのかという事はわかってるな?」
(´・ω・`)「無論、承知の上だ」
('A`)「……それでこそ俺の右腕だ」
ドクオは両手を上にあげ降参に近いポーズをとる。
男に殺されるのをまるで天命か何かのように覚悟している。
いや、きっとそうにちがいない。
この死神を拾い、近くに置いておいた。
あの時から、こうなることはきっと決められていたのだ。
(´・ω・`)「……ボス」
('A`)「何だ?」
- 153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:49:42.21 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「貴方は僕が尊敬出来た唯一の人でした」
銃をドクオに向け、指を引き金にかける。
('A`)「…冥土の土産には充分すぎるな」
聞き届けたと同時に、男はかけた指を引く。
乾いた音、人の命が終わりを知らせる終幕の鐘。
その音の木霊すら聞こえなくなった時。
辺りは夜の静けさに包まれたいた。
- 159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:51:47.70 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
(*゚ー゚)「ん、んん……?」
(´・ω・`)「やぁ、おはよう」
少女が目を覚ますと、男が隣に座っていた。
昨日とは違い、憑き物でも落ちたような安らかな顔。
そして、その手は少女の頭をやさしく撫でていた。
(*゚ー゚)「おはよー、あー眠い」
(´・ω・`)「これだけ寝ておいて、よく言えたものだよ」
(*゚ー゚)「うるさいなぁ……にしても機嫌よさそうじゃん。何かあったの?」
- 164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:53:07.77 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「僕には特に何もないよ。あるとしたら君の方じゃないかな」
その言葉を少女は疑問に思う。
だから、その疑問を解くために尋ねる、ただそれだけだ。
(*゚ー゚)「…?何かあるの?」
(´・ω・`)「喜べ、君の事を開放出来る日がやってきた」
男の言葉に少女は一瞬固まる。
唐突過ぎたのだ、普段となんら変わりなく過ごすはずだったのに。
しかし、男は躊躇いなく話を続ける。
- 169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:55:13.93 ID:n4NmK/4U0
- (´・ω・`)「まず、この倉庫を出たら真っ直ぐ前に進め道路にでる。
その道路に出たら右だ、間違えるなよ左は行き止まりだからな。
しばらくしたら、民家が見えるはずだ。そこで助けを求めれば良い。」
(*゚ー゚)「…なんか脱走みたいな感じじゃないかな?」
(´・ω・`)「色々と訳ありでな、俺達も大変なんだ」
(*゚ー゚)「ふぅん?まぁ、帰れるならそれでもいいか。
そろそろ、美味しいケーキが一杯食べたくなってきたところだしね」
そう言って、少女は早速出口へと向かう。
別れの名残も何もないなと男はすこし思う。
だが、同時にこれが一番なのだとも理解していた。
- 172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:57:12.60 ID:n4NmK/4U0
- しかし、そんな男の思いとは裏腹に少女の足が止まる。
そして振り返り際にこう言ったのだ。
(*゚ー゚)「ねぇ、もちろん『また会える』んだよね?」
(´・ω・`)「……ああ、もちろん『また会える』さ」
それは嘘。
嘘をつかないと言った男の最初で最後の嘘。
世界で一番優しくて残酷な嘘。
- 178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 22:59:39.59 ID:n4NmK/4U0
- (*゚ー゚)「…それを聞いて安心したよ、それじゃあまたね!」
(´・ω・`)「ああ、じゃあな」
鈍い音を立てて扉は閉まる。
少女の姿が見えなくなる。
その刹那、男は誰にも聞こえないようにこう呟く。
『ああ、人を愛するとは良いものだな』と。
死神が、人の心を取り戻す瞬間。
既に濁っていた瞳の面影は無い。
それには、透き通るような純粋な心の気持ちだけが現れていた。
- 186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:01:48.27 ID:n4NmK/4U0
- 男はなんだか疲れたなと壁に背を預けて腰掛ける。
少女と過ごしたこの場所は一人だと、あまりにも広く静かだった。
窓から溢れる朝日が僅かに男を照らす。
今はそんな太陽の光が最高に心地良いと男は思う。
きっと、少女もまた同じように感じているのだとも思った。
今思い返すと、すごく幸せな日々だった。
だが、それも今日でお終い。
最期の任務をする時が来た。
(´・ω・`)「さぁ、最後の後始末だ」
- 188 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:03:43.54 ID:n4NmK/4U0
- 取り出した拳銃を自らの頭に突きつける。
どこをどう撃てば即死できるのかは嫌でも分かった。
死神として生きてきた男だからこそである。
不思議と恐怖はない。
いや、元々死など恐れるにたらなかった。
ただ、少女が幸せに生きてくれるならそれで良かった。
男の2度目の人生は少女の為だけにあったのだ。
男は無意識に微笑んでいた。
そして少女と出会えたことに感謝する。
こんな風に思える事に感謝する。
神がいるとしたら、粋なはからいをするものだと思ったのだ。
様々な事を考えた後……引き金を引いた。
- 192 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:05:04.86 ID:n4NmK/4U0
銃声が鳴り終えた後、
そこに生物は存在していなかった。
- 193 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:05:36.75 ID:n4NmK/4U0
男が最期に考えたのは、
微笑んでいる愛しい少女の顔
- 199 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:07:17.38 ID:n4NmK/4U0
そして、
嘘をついてしまった自分への
後悔の思いだった。
- 203 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:08:43.86 ID:n4NmK/4U0
- ・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・
×月○日
あの事件から既に3年の時が経ちます。
家に帰った時は大騒ぎでしたが、今ではそんなことは遠い昔のようです。
ただ、私の自由は極端に減りました。
どこへいくにも護衛がつくようになり、一人の時はありません。
安全の代わりに、私は次第に笑顔を忘れていきました。
それは単に護衛のせいだけでは無いのは分かっています。
何度も何度も、あの事件が起きた公園に私は向かってしまうのです。
そして、訪れないイレギュラーに繰り返し落胆するのです。
- 207 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:10:01.08 ID:n4NmK/4U0
- ショボンさんは言いました。
『また会える』と。
その言葉を信じ、私はいつまでも待ち続けるのです。
だって、あの人は絶対に嘘をつかないとも言ったのですから。
だから、私は待ち続けるのです。
もう一度、おはようと声をかけてもらうために。
もう一度、あの大きな手で撫でてもらうために。
私から、この想いを打ち明けるために。
ただひたすらに待ち続けるのです。
いつかその時が来ると信じているのです。
- 211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:11:35.66 ID:n4NmK/4U0
- ですが、いくら待ってもその時は訪れません。
年を重ねれば重ねるほど、あの言葉が嘘だったように思えるのです。
私の心は繰り返される日々の中で廃れていきました。
きっと、この傷を治せるのはあの人にしか出来ないのです。
だから、嘘だったとしても待ち続けるしかないのです。
しかし、私には嘘だと知る術はありません。
嘘ではないと願う事しかできません。
それなら、私はいくらでも待ち続けましょう。
この心が壊れるまでその嘘を頼りに生きていきましょう。
- 215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/17(木) 23:12:57.43 ID:n4NmK/4U0
- ああ、ショボンさん
貴方の嘘が
こんなにも
私の胸の奥に
深く
―――(´・ω・`)は嘘をついてしまったようです―――
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