3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:30:13.51 ID:mV++UnUw0

( ;・∀・)「うう……頭が痛い」

モララーは朝からずっと布団にこもっていた。
もともとインドア派だが、今日は少し事情が違い、どうやら熱が出ているようだった。

川;д川「大丈夫ですか……?」

( ・∀・)「風邪引いたみたい」

( ・∀・)「は! もしかして君の呪い!?」

川;д川「ち、違います……!」

( ・∀・)「悪い悪い。冗談だよ」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:33:24.19 ID:mV++UnUw0

( ;・∀・)「ゲホッ! ゴホッ!」

川;д川「苦しそうですね……」

( ii・∀・)「こりゃあ駄目だ……今日部屋の大掃除しようと思ってたけど、やめとこうかな」

川;д川「無理しないで下さいね」

( ii・∀・)「君は僕に死んで欲しいんじゃないの?」

川д川「苦しんで死ぬのは駄目です。最後なんだから、楽に死にたいでしょ?」

( ii・∀・)「そだね……出来れば死にたくないんだけど」

川д川「あ」

( ・∀・)「どったの?」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:36:26.95 ID:mV++UnUw0

川*д川「私が掃除してあげましょうか?」

( ;・∀・)「君が? 出来るの?」

川д川「任せて下さい。
     生前では、村一番独身男性のアパートを片付けるのが上手い女と言われてました」

( ;・∀・)「果てしなくうそくせー」

川д川「交換条件として死んでくれます……?」

( ;・∀・)「嫌だよ! 死んだら部屋が綺麗になっても意味無いじゃないか」

川д川「またそんな屁理屈言う……」

( ;・∀・)「これ以上無いってくらい正論だよ!」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:41:19.64 ID:mV++UnUw0

川*д川「まあ、死んでくれなくても良いですよ。
     ふぁみりーこんぴゅーたーやらせてもらったお礼です」

( ii・∀・)「あれはファミコンじゃ……まあいいや。ありがとう。だったら任せるよ」

川д川「モララーさんは大船になったつもりで寝ていて下さい……!」

( ii・∀・)「大船の気持ちなんてわからないけど、そうするよ」

布団から、すぐに寝息が聞こえてきた。
モララーが寝付いたのを確認してから、貞子はエプロンを取り出し着る。

川д川「よし……まずは……何すればいいんだろう……?」

川д川「大口叩いたけど、和室の掃除しかしたこと無いんだよね……実際のとこ」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:45:49.76 ID:mV++UnUw0

川;д川

川д;川「んんー」

川;д川「服はタンスの中に……あ、タンス無いや。
      何を何処にしまえばいいんだろ。物置はこれかな?」

クローゼットを見つけ、中を確認する。
服をかける場所を見つけたので、部屋に散乱していた衣服や、洗濯物を取り込み始めた。

川;д川=3

川д川「床の掃除しないと……あ、でもほこりが飛ぶとまずいよね。
     濡らしたぞうきんならいいかな……」

川;д川「あ……その前に台所掃除するかぁ……」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:52:34.17 ID:mV++UnUw0

台所はさんざんな有様だった。
シンクにはまだ洗っていない食器類が山積みになっている。
ゴミ出しをさぼっていたらしく、ゴミ袋が一人暮らしとは思えないほどたまっていた。


川;д川「きちゃない……」


まずはシンクから手をつけた。
食器を一枚一枚洗い、水切りに放り込んでいく。

川;д川「調子にのって掃除出来るなんて言わない方が良かった……。
      こんなとこで女の子アピールしても仕方ないしね……」


十数分の格闘により、ひとまず台所の片付けは一段落した。
次に雑巾を濡らし、生活スペースの掃除へ移る。


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 02:58:49.01 ID:mV++UnUw0

川д川(天井はいいか。今日は床だけにしとこ)

モララーを起こさないように、隅のほこりや、小さなゴミを掃除していく。
大方吹き終わった後、ある物が目についた。

川д川(……これもした方が良いよね)


ふぁみりーこんぴゅーたー……と貞子が思っているゲーム機と、そのソフトだ。

川*д川(モララーさんはゲーム好きだろうから、きっと掃除してあげたら喜ぶだろうな)

雑巾で拭くのは憚られたので、布巾を濡らし、ゲーム機から拭いていく。


川д川(水洗いした方が良いかな……?)


モララー! 目を覚ましてー!


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:00:34.79 ID:mV++UnUw0
   _ρ_
  / ⊥ \
  |____|
  ‖    ¶
   川*д川/ < ノロマース
   /  /
  〈  (
  ∫ヽ__)
    U U
  | ̄ ̄ ̄ ̄|
  \__人__/


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:04:48.24 ID:mV++UnUw0

( ー∀・)「ふああ……」

川д川「あ……」

( ・∀・)「……おお、凄い綺麗になってる」

モララーが目を覚ました頃には、部屋の掃除は終わっていた。

( ・∀・)「とりあえず熱は引いたみたいだ」

川*д川「良かったですね」

( ・∀・)「うん。掃除ありがとう……あれ?」

川д川「どうかしました……?」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:07:51.61 ID:mV++UnUw0

( ・∀・)「箱……じゃなくてファミリーコンピューターは何処?」

川д川「今乾かしてるとこですよ」

( ;・∀・)「ふーん……んんん!? 乾かしてるって……?」

川д川「水洗いしたので、ベランダで置き干ししてます」

( ・∀・)

川*д川「ほこりがたまってましたけど、ちゃんと全部取りました……」

( ・∀・)

川*д川「あ、大丈夫です。もちろんソフトの方も、全部残らず洗っておいたので」

( ・∀・)


( ・∀・ )


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:12:32.87 ID:mV++UnUw0

川;д川「モララーさん……?」

( ;∀;)「なあに?」

川;д川「あの……私、もしかして間違った事を……」

( ;∀;)「ううん。部屋の綺麗さに感激してるだけだよ」

川*д川「そうですか……」

( ;∀;)「ごめん……もうちょっと寝ておくね……」

川*д川「わかりました……」



( ;∀;)(早く……早く何とかしないと……!)

モララーは命の危機以上の何かを感じ始めていた。
ちなみにあとで起動してみたところ、360は案の定ご臨終していた。


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:16:17.34 ID:mV++UnUw0
  ∧,,∧
 川*д川  。・゚・⌒)
 /   o━ヽニニフ))
 しー-J

        アッ! 。・゚・
  ∧,,∧ て     。・゚・。・゚・
 川;д川て   //
 /   o━ヽニニフ
 しー-J    彡


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:19:19.90 ID:mV++UnUw0

('A`)

('A`)「俺の名前は鬱田ドクオ」

('A`)「生まれてこの方女の子の肌と触れあった記憶が無いぜ」

('A`)

('A`)「うん……あとは特に言うことねえ」

彼はモララーの数少ない友人の一人だ。
ちなみにニート歴二年の中堅ニートである。

('A`)「あ……駄目だ……久しぶりに外に出たら死にたくなってきた……」

生きろ。


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:23:50.38 ID:mV++UnUw0

('A`)「ここか……」

モララーのアパートを見上げて呟く。
昨夜メッセにて、モララーから家に来て欲しいと誘われたのだった。

階段を上り、部屋番号を一部屋ずつ確認していく。

('A`)「ドキドキ」

外に出るのすら久しぶりだから、他人の家に行くのも久々の体験だった。

('A`)(あった)

('A`)「おーい」

ドアをノックすると、数秒後、中から足音が聞こえてきた。

('A`)「ドキドキ」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:25:42.23 ID:mV++UnUw0

ガチャ。

( ・∀・)「おっす久しぶり!」

('A`)「おう」

( ・∀・)「まあ上がれよ。今お茶出すから」

('A`)「俺Qooが良い」

( ・∀・)「ぴ、ピンポイントだな……ファンタグレープしか無いぞ」

('A`)「じゃあそれで良い」

( ・∀・)「OK」

('A`)「お邪魔します」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:28:53.81 ID:mV++UnUw0

(;'A`)

('A`;)

(;'A`)「結構片付いてるな」

( ・∀・)「んあ? ああ、昨日掃除してくれたからな」

('A`)「一人暮らしって、部屋が散らかってるイメージがあった」

( ・∀・)「昨日まではかなり散らかってたよ」

('A`)「……掃除してくれた?」

( ・∀・)「うん」

('A`)「親?」

( ・∀・)「ううん」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:33:09.06 ID:mV++UnUw0

川д川「ふぁんたです。どぞ」

( ・∀・)「この子が」

('A`)

( ・∀・)「……?」

('A`)「……電池式?」

( ;・∀・)「何を考えてるか知らんが、たぶんそれは違うぞ」

('A`)


1:モララーが買った自立可動式フィギュア
2:最新テクノロジーが生み出したホログラフィ映像
3:彼女


答え3 答え3 答え3!!!


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:36:17.18 ID:mV++UnUw0

( ・∀・)「ああ、それで話したいことっていうのは……」

('A`)「良いだろう」

( ;・∀・)「え?」

('A`)「お前だけは俺の味方だと思っていた。
    しかしどうやらそれも、俺が見ていた夢だったって訳だな」

( ・∀・)「何言ってんの……?」

川д川「モララーさんも飲みます?」

(・∀・ )「うん。お願い」

(#'A`)「ひょぉぉぉぉぉぉぉおお!!」

( ;・∀・)「うわあ発狂した! 俺の友達なんですぐに発狂するの!?」


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:41:12.33 ID:mV++UnUw0

(;A;)「何だよもう……何処で知り合った!? あれか!?
    道の角でぶつかったのか!? 不良から助けたのか!?」

( ;・∀・)「発想が死ぬほどベタだな! 違うよこの子は……」

(;A;)「うああああん……リア充め……リア充は滅べばいいんだよ!」

( ;・∀・)「俺も常々そう思ってるから!」

川д川「りあじゅうって何ですか?」

(・∀・; )「ごめんねあとで説明する」

('A`)「そうか……そういうことか」

( ・∀・)「また何か勘違いしてそう……」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:46:02.21 ID:mV++UnUw0

('A`)「可愛い彼女をゲットしたから、俺に見せびらかしたかった。そういう事だろ?」

( ;・∀・)「だーかーらー!」

川*д川「彼女だなんてそんな……」

(・∀・; )「赤らめるな赤らめるな!」

('A`)「ご覧いただけたでしょうか皆様。
   このようにリア充は下々との差を見せつける事で自らの地位を確保するのです」

( ;・∀・)「誰に向かって言ってるんだよ!」

川д川「このちっちゃいゲームしても良いですかぁ?」

(・∀・; )「良いけどモンハンわかる!? スティックが変な位置にあるから難しいよ!」

('A`)「誠死ねの次はモララー死ねですね。わかります」

( ・∀・)「あーめんどくせえ!」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:48:38.30 ID:mV++UnUw0

 川*д川 ⌒☆
/つ\ つ
|*:/;≡|@\
  ̄,(/ U, ̄


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:53:28.34 ID:mV++UnUw0

あの後、ドクオは泣いた。
凄い泣いた。顔が歪むくらい泣いた。

(゚A゚)「じゃあなモララー。次に会うときは、殺し合いだぜ」

こう言って、彼は話も聞かず帰っていったとさ。


( ・∀・)「友達がどんどん減る……」

川*д川「この竜の皮って、何か使えます?」

( ・∀・)「それ良い防具になるよ」


モララーは、いっそ全く無関係の他人に見せて、代わりに死んでもらおうかと考え始めている。
しかしその日の夜、ブーンからあるメールが届いた。


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/08/23(土) 03:58:14.34 ID:mV++UnUw0

From:ブーン
無題

呪い解けるかも。
近所に凄い巫女さんがいるらしいお。
その人に除霊頼んでもらえばいいお。
あと今度コードギアスのデータ頂戴。
PCdだ。


( ;・∀・)「……」

川;д川「うわっ、でっかいのきた! モララーさん助けて!」

( ;・∀・)「あ、ああ……」


助かるかもしれない。
安堵と共に、言葉では言い表せない何かが、モララーの中でうずいた。


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