1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/21(水) 23:55:47.71 ID:OW8CRGiw0

鍵をかけるのって、どういう時?


部屋に入られたくない時?

お金を隠す時?

誰にも見られたくない時?


自分が、見たくない時?




¢暴力の鍵¢



2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/21(水) 23:56:17.49 ID:OW8CRGiw0

−1−


ξ゚听)ξ ……

 女の子がいた。

ξ゚听)ξ ……

 憂鬱そうだった。

ξ゚听)ξ ……

 ブランコに乗っていた。

ξ゚听)ξ ……

 空を仰いでいた。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 00:00:02.40 ID:Odi0p0lK0

<死んじゃえばいい>

 誰かが呟いた。

ξ゚听)ξ うん

 彼女は応えた。

<辛いなら死んじゃえばいい>

ξ゚听)ξ うん

<死ねば楽になるよ>

ξ゚听)ξ うん

<死ねよ>



ξ゚听)ξ うん


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 00:00:18.56 ID:Odi0p0lK0

 頭の中に聞こえてきた声は、感情の無い声で彼女に言った。
 空は晴れていた。心は荒れ狂っていた。
 死のうと決意した。前から決まっていた事だ、と彼女は決めつけた。

 取りだしたカッターナイフで、手首を切りつけた。
 血が滲んだ。深く切ったつもりだったが、浅かった。
 もう一度同じところを切りつけた。血が飛んだ。
 それでも浅かった。

 もう一度手首を切った。血が飛んだ。
 もう一度手首を切った。血が垂れた。
 もう一度手首を切った。血が沸いた。
 もう一度手首を切った。血が弾けた。
 もう一度手首を切った。意識が無くなった。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 00:00:38.06 ID:Odi0p0lK0

−2−


………………。
………………。
………………。


ξ゚听)ξ ……

 暗い闇の中で、彼女は一人の男と出会った。

<どうしてそんなに悲しいの?>

 彼は笑っていた。目と口で笑っていた。
 彼女を見てあざ笑っていた。

ξ゚听)ξ おとうさんが……

 彼女は言った。
 絞り出すような声で言った。
 壊れたテレビのように言葉を続けた。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 00:02:11.64 ID:Odi0p0lK0

ξ゚听)ξ おとうさんが、いじめるの

 彼女は言った。
 ひねり出すような声で言った。
 出来の悪いロボットのように口を動かした。

ξ゚听)ξ はだかにして、おちんちんぶつけるの

 彼女は言った。
 吐き捨てるように言った。
 壊れた人形のように虚ろな目だった。

ξ゚听)ξ おまたに、ぶつけるの

 彼女は言った。
 涎を垂らしながら言った。
 淫乱女のような恍惚とした表情だった。


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 00:03:29.85 ID:Odi0p0lK0

ξ゚听)ξ 悲しいの



<嘘つき>



( ^ω^) 本当は、気持ちいいんだお?








ξ゚听)ξ うん


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 02:58:20.55 ID:Odi0p0lK0

−3−


………………。
………………。
………………。

 世界が一瞬にして構築されたような感覚を覚える。
 そうして彼女は目を覚ました。
 両手はブランコの鎖を握っていた。
 空は晴れていた。心も晴れていた。

 切りつけたはずの手首には、傷一つ無かった。
 ポケットに手を入れる。カッターナイフが入っていた。

<どうしてそんなに楽しそうなの?>

 誰かが呟いた。
 先ほどの、感情の無い声と違い、暖かくて、吐き気のする声だった。

ξ゚ー゚)ξ これから、おとうさん、なぐってくるから

<嘘つき>


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/05/22(木) 02:59:08.43 ID:Odi0p0lK0

 この時彼女は、本当に嘘をついていた。
 実際にはカッターナイフで首を切り裂き、家中の包丁を使って全身を136回刺したのだ。



( ^ω^) 嘘つきは嫌いだ



 警察に両側を挟まれ、連れられる彼女を見て、男は言った。
 次の瞬間には、彼の姿は空中に溶けていた。



¢終わり¢


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