- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:34:46.60 ID:CGmKlpe4O
- 三百年続いた戦乱は終わりを告げ
人々は長い泰平の世を謳歌していた。
しかし小さな争いは絶えることは無く
武士と呼ばれる者達は藩主に忠誠を誓い
その生きざまを刀に懸けた。
都から遠く離れた小藩VIPに暮らす内藤ホライゾン。
この男もその一人である。
( ^ω^)は刀に生きるようです
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:35:43.42 ID:CGmKlpe4O
- 【第一話 御前試合】
( ^ω^)(さて、どうしたものかお・・・)
内藤洞伊蔵は城に向かう道中、考え事をしながら歩いていた。
その為後ろから近づく男に全く気が付かなかった。
('A`)「おい、内藤」
( ^ω^)「お、欝田かお」
男の名は欝田毒男。
内藤とは道場の同門で幼少の頃からの付き合いだった。
('A`)「浮かぬ顔だな。面倒事か?」
( ^ω^)「む、面倒事といえば面倒事だお」
( ^ω^)「昨夜先生に呼ばれ、今度の御前試合に出ることになったお」
('A`)「なに?長岡どのではなくお前が選ばれたのか!」
長岡は二人の道場の先輩にあたる人物である。
早くに道場主の荒巻に師事し
その剣の才は幼少から名を轟かせていた。
現在は荒巻に免許皆伝を受けている。
対する内藤も長岡より遅れての入門であったが
めきめきと頭角を表し今では道場の筆頭に数えられている。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:37:04.60 ID:CGmKlpe4O
- ( ^ω^)「無論、先生には理由をお聞きしたお」
( ^ω^)「先生は剣の腕は既に変わらぬとおっしゃってくれたお」
( ^ω^)「だが、長岡どのは近頃・・・」
('A`)「ああ、話は聞いている。例の悪癖か・・」
長岡は後輩の面倒見もよく、変に偉ぶったりもしない
よくできた人物であった。
しかし、これが酒を飲むと豹変した。
酔うと腕を振り回し暴言を吐いた。
暴力沙汰も一度や二度ではない。
しかも質が悪いことに、酔っていた時の記憶は無く
本人は無類の酒好きなのである。
この間も酒の席で暴れだし町民に怪我を負わせ
三日の謹慎を命ぜられたばかりであった。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:38:39.16 ID:CGmKlpe4O
- ('A`)「ならば腹を決めるんだな。先生も考え抜かれてのことだろう」
( ^ω^)「・・・」
しかし内藤は腹を決めかねていた。
内藤達が通う道場、武雲流は藩内でも屈指の大道場である。
長岡はその看板であり、本人もそれを自負していた。
内藤自身、長岡にはよく稽古をつけてもらい
よい兄弟分の関係にあったのである。
( ^ω^)(長岡どのと話しをせねばなるまいお)
( ^ω^)(しかし・・・)
内藤は名誉などさして興味は無かった。
そのためむしろ心に暗雲が立ちこめるようであった。
欝田も内藤の複雑な心境を察し、ただ黙って歩き続けた。
城に着くと欝田が口を開いた。
('A`)「今日は道場へ行くのか?」
( ^ω^)「行かないわけにも行くまいお。
長岡どのとも腹を割って話すつもりだお」
('A`)「そうか・・・こういうことは早い方がよい。俺も同行しよう」
二人はそれぞれの持ち場へと別れていった。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:39:47.77 ID:CGmKlpe4O
- 夕陽が城を茜色に染める頃、それぞれの役目を終え二人は城門で落ち合った。
連れ立って飲み屋街に向かう連中を横目に
二人は足早に道場へ向かった。
('A`)「どうだ?腹は決まったか?」
( ^ω^)「お、決まったお」
( ^ω^)「命ぜられたからには、武雲流の名に恥じぬよう」
( ^ω^)「全力で戦うのみだお!」
('A`)「長岡どののことは如何にする気だ?」
( ^ω^)「話し合いはやはり肝要だお。しかしお互い刀に生きる者」
( ^ω^)「立ち合いも止むなし。むしろ立ち合ってこそ分かりあえることもあるお」
考えても仕方ない。
内藤の迷いは消え、道場へ向け力強く歩きだした。
('A`)「そうか・・・お前らしいな」
欝田はそう呟くと内藤の背中を軽く叩き
二人はまた無言で歩きだした。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:40:50.16 ID:CGmKlpe4O
- ('A`)「ん?」
道場が見えると違和感を感じた。
('A`)「静かだな。誰もいないなんてことは無いはずだが」
武雲流道場は門下生100を越える大所帯である。
この時間はまだ何人も門下生が残り
気合いの声と竹刀の打ち込む音で賑やかなはずだった。
( ^ω^)「油断するなお。欝田」
不穏な空気を感じた二人は慎重に道場に足を踏み入れた。
( ゚∀゚)「待ちくたびれたぞ。内藤。ん?欝田も一緒か」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:41:38.89 ID:CGmKlpe4O
- ( ^ω^)「長岡どの・・・」
('A`)「長岡どの。他の者はどうなされたのですか?」
( ゚∀゚)「帰らした。この道場に俺に逆らう奴はおらぬしな」
( ^ω^)「何故・・ですかお?」
( ゚∀゚)「分かり切ったこと。昨夜俺も先生に全て話は聞いた」
( ゚∀゚)「貴様の後にな。聞けば内藤、初め話を断ろうとしたらしいな」
( ^ω^)「・・・」
( ゚∀゚)「それを聞いてしまっては俺はお前と立ち合わねばならぬ」
( ゚∀゚)「今回の件、全て俺の不徳の致すところ。それは承知」
( ゚∀゚)「だが貴様に情けをかけられるほど落ちぶれてはおらぬ!」
('A`)「内藤はそのようなつもりでは・・」
( ゚∀゚)「分かっておる!だが内藤。俺は武雲流の免許皆伝」
( ゚∀゚)「仮にも武雲流の看板を背負い御前試合に出るというなら」
( ゚∀゚)「俺と立ち合え!力不足なら容赦無く骨を断つ!」
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:42:53.91 ID:CGmKlpe4O
- ( ^ω^)「分かりましたお」
内藤は静かに言い放つと稽古着に着替え木刀を振り出した。
長岡は既に体をあたためていたのだろう。
目を瞑り、胡坐をかいて瞑想している。
('A`)「防具は着けないのですか」
( ゚∀゚)「いらん。御前試合は鉢巻きだけだ。同様にいく。いいな内藤」
( ^ω^)「はいですお」
内藤の素振りが終わり、鉢巻きと稽古着姿になった二人が
開始線に着いた。
('A`)「俺が・・・見届けます」
道場は静まり返っていた。
それに反比例するようにむせ返るような熱気が道場を包んでいた。
( ^ω^)「・・・」
長岡と睨み合う。
その目には明らかに殺気が浮かんでいた。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:43:40.97 ID:CGmKlpe4O
- ('A`)「始めっ!!」
欝田の掛け声と共に双方の気合いの声が響き渡る。
お互い木刀を青眼に構え、足をジリジリと運び隙をうかがう。
(;^ω^)「隙が無いお・・・」
長岡のどっしりとした落ち着きのある構えには微塵の隙も見当たらない。
ゆらりと長岡の木刀の先が揺れた。
( ゚∀゚)「はっ!!」
疾風のような打ち込みが横面に来た。
内藤は体を斜めに傾けながら打ち込みを跳ね上げ
そのまま踏み込みで胴を放った。
(#^ω^)「おおっ!」
しかし長岡は後ろに飛び退いて躱す。
二人は少しずつ足を送り、丁度道場の中心まで動くと
また長い睨み合いとなった。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:44:28.32 ID:CGmKlpe4O
- 今度は内藤から動いた。
素早い足運びで回り込み長岡の肩を狙う。
( ^ω^)「はあっ!」
内藤の最も得意とする攻撃であった。
しかし長岡には完全に読まれていた。
(#゚∀゚)「おらっ!」
打ち込みの軌道を読まれ、大きく木刀を弾かれる。
そのまま凄まじい打ち込みが面を襲った。
(;^ω^)「ぐっ!」
内藤は間一髪木刀を滑り込ませたが勢いは殺せず
防いだ木刀でしたたかに額を打ってしまう。
(;^ω^)「おっ!」
気合いで長岡の木刀を弾き距離を取った。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:46:06.19 ID:CGmKlpe4O
- (;^ω^)「・・・」
急に内藤に吐き気がこみあげてきた。
長岡の絶え間ない殺気による緊張感に身体が耐えきれなくなっていた。
(♯^ω^)「はっ!」
内藤は覚悟を決め自分から仕掛けていった。
打ち合い、飛び離れ、また打ち合った。
得意の素早い足さばきから間髪なく打ち込む。
(;゚∀゚)(速いっ!)
鋭い一撃に初めて長岡の隙をみた。
(#^ω^)「おおっ!」
内藤は思い切り踏み込んで小手を放った。
だが浅かった
(#゚∀゚)「「がああっ!」
同時に左肩に激痛が走った
(#^ω^)「がっ!」
/ ,' 3「それまで!」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:47:29.74 ID:CGmKlpe4O
- いつの間に来たのか
道場主の荒巻が試合を止めた。
/ ,' 3「もうお互い実力は分かったじゃろう」
(;゚∀゚)「まだ勝負はこれからです!」
(;^ω^)「おっ・・」
憤る長岡に対して内藤はまだ立てないでいる。
すると荒巻は手に持った木刀で軽く長岡の木刀を叩いた。
カラン
長岡の手から木刀が落ちる。
よく見ると長岡の手は赤く大きく腫れあがり
とてもではないがこれ以上木刀は握れそうもなかった。
/ ,' 3「引き分け・・・いや、真剣ならば内藤に分がありじゃな」
(;゚∀゚)「・・・!!」
/ ,' 3「今回の件、確かに長岡の不徳もあるが・・・」
/ ,' 3「内藤の腕を見込んでのことでもある。まぁまだ長岡の方が上手じゃが」
/ ,' 3「内藤には光るものがあるのも事実。今回はそれに懸けてみたわけじゃ」
( ゚∀゚)「・・・」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:48:50.60 ID:CGmKlpe4O
- / ,' 3「分かってくれるかのぉ。長岡」
( ゚∀゚)「・・・」
長い沈黙が続いた。
( ゚∀゚)「はー、まず酒を辞めねばならぬな」
(;^ω^)「おっ?」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 00:51:11.96 ID:CGmKlpe4O
( ゚∀゚)「認めるしかあるまい。だが内藤」
( ゚∀゚)「もし御前試合にて武雲流の名を汚すようなことがあれば・・・」
(♯゚∀゚)「斬る!覚悟しておけ!」
(;^ω^)「はっ!はいですおっ!!」
( ゚∀゚)「御前試合までの間、じっくり鍛え直してやろう」
/ ,' 3(ふむ、両方上手くいったようじゃな)
藩内外から名だたる遣い手が集まる御前試合。
こうして内藤は武雲流の代表として戦うことが決まったのだった。
続く
('A`)「あれ、俺忘れられてない?」
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