- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:12:45.28 ID:CGmKlpe4O
- 【第三話 思惑】
内藤は津出のいきなりの申し出が理解できずにいた。
(,,゚Д゚) 「詳しくはまだ言えぬが俺が・・いやこの屋敷が狙われておる」
(;^ω^)「なんと!何奴ですかお?」
(,,゚Д゚)「それがまだはっきりとはしておらぬのだ」
(,,゚Д゚)「しかし内藤、お前も藩の派閥争いについては知っておろう」
内藤の肝が冷えた。
日頃から父親に決して派閥争いには関わるなと言われていたのだ。
しかし己が藩の政局である。
内藤自信興味が無いわけでは無かった。
( ^ω^)「・・多少は存じておりますお」
- 55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:13:41.96 ID:CGmKlpe4O
- いつの世にも政治に争いは絶えない。
現在事実上の藩政を握っているのは筆頭家老の引家慎乃上である。
しかしこれを良しとしない次席家老の弍田国男と
長きに渡って熾烈な争いが行われていた。
津出は引家派として有名である。
( ^ω^)「先程ツンどのとこちらに向かう際、気配を感じましたお」
( ^ω^)「おそらく二人。ただの見張りのようでしたお」
(,,゚Д゚)「やはりな・・・うむ、全て話さねばならぬか」
(,,゚Д゚)「内藤。ちこう寄れ」
内藤は膝を使い津出の近くへとにじり寄った。
- 57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:14:32.58 ID:CGmKlpe4O
- (,,゚Д゚)「実はしばらく前だが藩が受注する工事において
弍田が不正を行った証拠が偶然にも見つかった」
(;^ω^)「・・・」
(,,゚Д゚)「奴の息の根を完全に止めるためには殿に直接申し立てるしかない」
(,,゚Д゚)「しかし殿は御湯治に行っておられる。お帰りは三日後」
(,,゚Д゚)「弍田はなりふりかまわずお帰りの前に証拠を消そうとしておる」
(,,゚Д゚)「証拠は今俺が持っている。近頃の執拗な見張りからすると」
( ^ω^)「見破られている。そうでなくとも疑われていますお」
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:16:09.06 ID:CGmKlpe4O
- (,,゚Д゚)「うむ。そこでお主に頼みたいのだ。お主の師、荒巻とは友人での」
(,,゚Д゚)「聞けば次の御前試合には内藤、お主が出るそうではないか」
(;^ω^)「はぁ・・・」
(,,゚Д゚)「お主の上役とは話をつけておる。
しばらく城勤めには出なくとも良い。もちろん道場通いは構わん」
(,,゚Д゚)「屋敷の護衛、頼まれてくれぬか?」
(;^ω^)「・・・」
頼んではいるが、上役まで手を回しているということは
ほぼ命令されているのと同じようなものである。
内藤は抵抗できない力を感じていた。
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:17:30.84 ID:CGmKlpe4O
- ( ^ω^)「・・お受けしますお」
(,,゚Д゚)「そう言ってくれると信じておったぞ。
とりあえず今日は泊まれ。明日一度帰り支度をするがよい」
( ^ω^)「分かり申したお。ではこれにて」
深く礼をして津出の座敷を出た。
途端に体中が重くなり、疲労と睡魔が耐え難い程に襲う。
( ^ω^)(今日は色々とありすぎたお)
内藤は下男に案内された部屋に入ると
何も考えずに泥のように眠った。
- 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:20:15.79 ID:CGmKlpe4O
- 次の日、内藤は七つの鐘で目が覚めた。
この時間に起きるのはもはや習慣であり
連日の稽古疲れで重い体を引きずり井戸へ向かった。
ξ゚听)ξ「おはよう。早いわね」
途中、ツンに会った。
普段と違う格好のツンの顔を見ると内藤の胸が高鳴った。
(*^ω^)「習慣で起きてしまいましたお」
ξ゚ー゚)ξ「ふふ、私も同じよ。アンタとこの屋敷で話すの久しいわね」
ξ゚听)ξ「先程、父上から大まかな話は聞いたわ。頼むわね。内藤」
(*^ω^)「お任せ下さいお。ツンどのもご安心めされお」
ξ*゚ー゚)ξ「心配なんかしてないわよ。
アンタ昔から刀の腕だけはよかったものね」
- 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:22:55.11 ID:CGmKlpe4O
- ツンと話していると内藤の心は晴れやかになっていった。
屋敷を守るということはツンを守るということでもある。
半ば無理やり決められた話ではあったが
内藤自身話を受ける理由が見つかった気がしたのである。
朝食を取り実家に戻ると
早速両親に事の経緯を話した。
やはりいい顔はしなかったが思案した後了承した。
津出の頼みということで納得せざるを得なかったのだろう。
しかしこの件が終わり次第手を引くようにと念を押された。
- 67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:23:54.83 ID:CGmKlpe4O
- 昼食を取り荷物を津出家に置くと
内藤は竹刀を手に道場へ向かった。
( ^ω^)(この時間に行くのは久しいお)
道場は若い気合いの声で溢れていた。
この時間は年齢層が低いのであろう。
礼をして道場に入ると数人の高弟が指導していた。
内藤の姿を認めると数人の少年が駆け寄ってくる
「内藤さま!この時間はお珍しいですね。是非ご指導を!」
「おい!抜け駆けするな!内藤さま、是非私に!」
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:25:29.50 ID:CGmKlpe4O
- (;^ω^)「喧嘩するでないお。順番だお」
内藤は今年で齢十八であったが
この若さで御前試合でるということで年少の者の羨望の的であった。
普段から穏和で面倒見がよく慕われてはいたが更に人気が加熱したようである。
しばらく稽古をつけていると欝田が道場に入ってきた。
('A`)「おう内藤。今日はどうした?城勤めは?」
(;^ω^)「また面倒事だお」
('A`;)「お主も大変だの・・・」
- 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:27:13.86 ID:CGmKlpe4O
- ('A`)「話を聞こう。今宵も一杯行くか?」
( ^ω^)「む、それもまずいのだお。帰りの道中に」
そこまで話すと長岡が道場に入ってきた。
( ゚∀゚)「ん、今日は早いな。始めるぞ、内藤」
( ^ω^)「はいですお。よろしくお願いしますお!」
内藤は勢い良く返事をする。再び長く激しい稽古が始まった。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:28:37.47 ID:CGmKlpe4O
- 稽古を終えると内藤は欝田を待たせ荒巻の部屋へ向かった。
荒巻は道場に繋がる長屋に娘と数人の女中と暮らしている。
( ^ω^)「失礼いたしますお」
内藤が座敷に入ると荒巻な書き物をしている筆を止めた。
/ ,' 3「うむ、津出から話は聞いたか?」
( ^ω^)「は。他ならぬ津出どのの頼み、お受けしましたお」
/ ,' 3「そうか。強引な奴での」
/ ,' 3「しかしお主なら問題あるまい。いい実戦の経験にもなろう」
/ ,' 3「命のやり取りはお主に一番足りぬものだ。ぬかるなよ」
- 74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:31:08.94 ID:CGmKlpe4O
- ( ^ω^)「・・・はい」
礼をして荒巻の座敷を出た。
しかし先程の荒巻の言葉が頭を離れない。
内藤自身、少なからず自分の腕に自信はあった。
そこらの輩なら束になっても負ける気はしない。
しかし
( ^ω^)(拙者に人が斬れるのか・・・お?)
この答えが試される時が刻一刻と迫っていることを
内藤はまだ知らなかった。
続く
('A`)「遅い・・」
('∀`)「嫁のことでも考えるか」
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