79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:43:55.99 ID:CGmKlpe4O
【第四話 刺客】


外にでると欝田が待っていた。
外は既に闇に包まれている。
今宵も月は出ていなかった。

( ^ω^)「待たせたお。すまぬ」

('A`)「ん、来たか。して、新たな面倒事とは?」

( ^ω^)「歩きながら話すお。人に聞かれるとまずい」

二人は連れ立って歩き始めた。
月が出てないため足元が危うい程に暗い。
田んぼに囲まれた道をゆっくりと進むと
ぼんやりと豊かに稔った稲穂が頭を垂れているのが分かる。
このまま行けば今年は豊作だろう。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:44:52.66 ID:CGmKlpe4O
( ^ω^)「昨日お主と別れた後、津出どのに呼ばれたのだお」

辺りに気を払いながら欝田に事情を明かした。
藩政の話に及ぶと欝田の顔も真剣になる。

しかしそこで人の多い通りに入り二人は口をつぐんだ。


('A`)「・・・内藤」

欝田が呟くように口を開いた。

( ^ω^)「お・・・尾行かお」

('A`)「道場を出た時には何も感じなかったがな」

( ^ω^)「おそらく途中の通りで張っておったのだろうお」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:45:52.09 ID:CGmKlpe4O
二人は示し合わせて、足袋を結び直すように見せかけ立ち止まる。
すると後ろの気配も立ち止まる。
これで間違いない。

('A`)「どうやら人気の無い場所まで待っているようだな」

( ^ω^)「・・・殺気に溢れてるお。ついにやる気かお」

('A`)「しかし早速巻き込まれるとはな。俺は祝言を待つ身だぞ」

(;^ω^)「そう言うなお。欝田無しでは厳しいお」

向こうは四人から五人いるようであった。
おそらく内藤の実力を知って数を集めたのだろう。

刀の鯉口は既に切っている。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:46:58.38 ID:CGmKlpe4O
通りを抜け小さな川を結ぶ橋に差し掛かった時だった。
後ろから足音が駆けて来る。
二人は素早く向き直った。

('A`)「たいした輩では無さそうだな」

欝田が少し呆れたように言った。
尾行だと言うのに先頭の男は提灯を携えている。
こちらからその姿は丸見えだった。

( ^ω^)「四人・・油断はするなお」

男達は既に刀を抜き、その抜き身をギラギラと輝かせている。

( ^ω^)「何者だお!名を名乗れお!」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:49:06.26 ID:CGmKlpe4O
答える気など最初から無かったのだろう。
無言で二人を囲もうとする。
二人は素早く橋の中央に進み囲ませないよう道を塞いだ。

( ^ω^)「はっ!」

内藤は素早く刀を抜くと袈裟懸けに提灯を斬り落とした。
おそらく男達には内藤の太刀は見えなかったのだろう。
視界が暗くなると同時に動揺が手に取るように分かる。

提灯を持たなかった二人の方が夜目もきいた

( ^ω^)「欝田。殺すなお」

('A`)「承知した」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:50:21.31 ID:CGmKlpe4O
欝田が言い終わると同時に男二人が一斉に斬り掛かってきた。
狭い橋なので一対一の形になる

( ^ω^)(遅いお・・)

内藤は半歩後ろに下がった。
読みどおり白刃は目の前を通り空を斬る。
内藤は刀の峰でしたたかに小手を打ち
痛みで刀を落とした男の腹に当て身を食らわせる。
しばらくは起き上がれないだろう。

すぐさまもう一人斬り掛かってくるが
内藤は目にも止まらぬ早さで刀を振り上げる男の懐に入り込む。

(#^ω^)「おおっ!」

気合いと共に弾き飛ばした。男は橋をごろごろと転がり昏倒した。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:51:18.61 ID:CGmKlpe4O
欝田の方も終わったようであった。

('A`)「ふう・・・」

一人は昏倒しているようだが、もう一人は利き腕を折られ苦しんでいる。

その男に内藤と欝田が詰め寄る。

( ^ω^)「何者だお?弍田の手の者かお?」

内藤の問いかけに男は答えない。
腕をおさえ歯を食い縛りながら睨み付けてきた。

( ^ω^)「答えぬなら奉行所に引き渡すまでだお。
全て吐くなら見逃してやるお」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:54:18.22 ID:CGmKlpe4O
男はそれでも睨み付けてきたが
しばらくすると忌々しげに口を開いた。

「我等は金で雇われた浪人だ。雇い主は顔を隠しておったので存ぜぬ」

('A`)「それでは何も分からぬ。奉行所に連れていかれたいか」

「存ぜぬものは存ぜぬ。しかし雇われたのは我等だけでは無い」

「他に数人。別の場所で使われているはずだ」

(;^ω^)「・・・!」

('A`;)「まさか・・津出家か!?」

二人は倒れる男達に目もくれず走りだした。
暗い夜道を何度も転びそうになりながら走り続ける。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/12(水) 01:56:48.57 ID:CGmKlpe4O
(;^ω^)(ツン!無事でいてくれお)

('A`;)「ぜぇっぜぇっ」

内藤は欝田が驚く程に速く走る。
欝田を大きく引き離し津出家の屋敷に向かい駆けた。


続く



('A`;)「ぜぇっぜぇっ」
('A`)(まだ見ぬ嫁よ。俺頑張っておるぞ!)

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