- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:36:41.88 ID:YW3nnlYVO
- 【第八話 閃き】
( ・∀・)「今日は初日ゆえ勝負形式で行う。
三本勝負で二本取った方が勝ちだ。いいな」
( ^ω^)「問題ござらんお」
二人の為に道場の真ん中が空けられた。それを道場生が取り囲んでいる。
道場内は静まり返り皆が熱い視線を二人に送る。
( ,'3 )「始めっ!!」
静かな道場に中嶋の声が響いた。
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:37:54.21 ID:YW3nnlYVO
- 先に動いたのは茂良だった。
慣れない道場のせいだろう。
足を移した内藤の足元が針ほどの乱れをみせた。
隙と言えるか分からない程度の隙を茂良は見逃さなかった。
(# ・∀・)「はあっ!」
茂良は床を蹴ってその隙に竹刀を打ち込む。
たがこの打ち込みに応じて切り返す内藤もおそるべき早さを見せた。
(#^ω^)「おおっ!」
茂良の打ち込みを内藤が迎え撃つ形で
二人はほぼ相打ちにお互いの身を竹刀にとらえていた。
内藤は茂良の肩を打ち、茂良は内藤の胴を打った。
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:39:04.20 ID:YW3nnlYVO
- ( ,'3 )「一本!」
中嶋はそう叫ぶと手を内藤に向けた。
周りは不満そうにどよめいたが、当の二人には分かっていた。
黙って開始線まで戻る。
( ,'3 )「二本目、始めっ!」
間髪いれず再び立ち合いが始まった。
先程の立ち合いは相打ちと言っていいだろう。茂良の目には全く動揺の色が見えない。
虎視眈々と内藤の隙を伺っている。
( ^ω^)(来ぬか……お)
内藤は一本取られた焦りから茂良が先に仕掛けてくると思ったが
そのような気配は無い。
むしろその構えは鉄壁の守りと言える隙の無さである。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:40:17.87 ID:YW3nnlYVO
- ( ^ω^)(ならばこちらから仕掛けるお)
茂良の守りは鉄壁に思えたが、内藤には打ち破る自信があった。
ゆっくりとした足裁きを急激に早める。右に左に茂良を揺さ振った。
反応が一瞬遅れた茂良の肩口に鋭い打ち込みを放つ。
それを茂良は躱さずに受けた。二本の竹刀が絡み合う。
次の瞬間、二人は気合いの声と共にすれ違った。
振り返った内藤が見たのは面を狙った茂良の竹刀だった。
ぎりぎりで体を捻り躱し胴を放つ。
( ^ω^)(捉えたおっ!)
そう感じた瞬間、内藤は頭に強い衝撃を感じた。
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:41:50.04 ID:YW3nnlYVO
- ( ,'3 )「一本!」
そう言い放つと中嶋は茂良に手を挙げる。
内藤はまだ頭への衝撃に立ち上がれない。
しかし頭への衝撃以上に内藤の心は乱れていた。
(;^ω^)(全く見えなかったお……)
内藤には先程の立ち合いが理解できない。確かに茂良の面打ちは躱したはずだった。
茂良は既に開始線に立っている。
内藤は力を振り絞り立ち上がると開始線へ向かった。
しかし心の動揺を抑えることはできなかった。
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:43:59.33 ID:YW3nnlYVO
- ( ´ω`)「ありがとうございましたお」
内藤は礼をして直心流道場を後にした。
道場は未だに先程の立ち合いのことで道場生が盛り上がっていた。
結局、内藤は二本目の動揺から三本目を落としてしまった。
力を出し切れなかった悔しさと
茂良の二度来る面打ちの謎が解けない不安で内藤は歩く気力も感じられなかった。
ゆっくりと田んぼ道を歩く。
内藤の頭の中は先程の立ち合いと茂良の勝ち誇った顔で一杯である。
辺りは闇に包まれ始めていた。
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:45:12.33 ID:YW3nnlYVO
- 疲れと考え事のせいだろう。
内藤は後ろから駆け寄る足音に一瞬気付くのが遅れた。
慌てて刀を抜くが相手は疾風の如く斬り込んできた。
内藤は辛うじて刀で跳ねあげたが
一瞬の隙を突かれ肩を浅く斬られてしまう。
(;^ω^)「くっ!何者だおっ!」
素早く距離を置いて向き直った。
全身黒装束に包まれ頭巾を被った男が立っている。
「……。」
男は黙っている。しかし頭巾から見える目には鋭い殺意が込められていた。
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:46:46.64 ID:YW3nnlYVO
- (;^ω^)(こやつ……強いお)
頭巾の男には隙が無かった。奇襲に失敗したというのにお構い無しといった様子だ。
その時内藤を嫌な感覚が包む。
男の構えには確かに見覚えがあったのだ。
瞬間、男が刀を下段に構えると斬り掛かってきた。
内藤は後ろに飛びのき躱しながらすぐさま踏み込んで胴を放つ。
男はそれを強引に刀で弾くと内藤の頭を目がけ打ち込んできた。
内藤は本能で悟った。
この斬り込みを躱してはいけない。
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:48:17.79 ID:YW3nnlYVO
- (#^ω^)「おおおおっ!!」
内藤は全身の力を込めて面への斬り込みを上段で受け止め弾き返した。
その時初めて男に隙が見えた。
内藤は袈裟懸けに男を斬る。しかし勝敗は決したと思い力を緩めた。
それが油断だった。
男は最期の力を振り絞り死に体から斬り込んできたのだ。
(; ω)「……!!」
内藤の頭は真っ白になった。
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:49:38.41 ID:YW3nnlYVO
- 内藤の前には男が倒れていた。
(; ω)「はぁっはぁっ」
体が死を回避しようと本能で動いた。
内藤自身、自分がどのように動いたのかよく分からなかった程である。
呼吸を整える。
(;^ω^)「今の……動きは……」
内藤は掴めそうで掴めることが出来なかった感覚が朧気ながら見えた気がした。
はっと気付いて男の頭巾を剥いだ。
( ^ω^)「中嶋どの……」
ようやく顔を出した月に照らされたその顔は苦痛に歪んでいた。
続く
('A`)「誰か呼んでいる気がする」
('∀`)「フヒヒ。嫁かな」
質問等
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 00:56:33.58 ID:d19qT0820
- これは何時代?
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:00:23.09 ID:YW3nnlYVO
- >>57
一応江戸中期の設定です。
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:02:09.25 ID:w6AK8hZVO
- 無知な俺に江戸時代の社会体制を分かりやすく教えてくらさい。
幕府とか旗本とか武士の仕事内容とか云々
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:07:20.62 ID:YW3nnlYVO
- 基本は藩ごとに統治されてますお
あと仕事である役は踏襲制で親が隠居したら子が引き継ぎます
禄といわれるお給料はそのままでいい働きなどすると増えます
一石は俵一俵です
続く
間違ってたらごめん
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:11:18.71 ID:+iK5tlcP0
- 幕府=元来は前線基地の意。転じて軍事政権での政府の意。
旗本=徳川将軍家の親衛隊・近衛兵。大名ではないがエリート。
武士の仕事
本来はプロの軍人。だが、江戸時代では他にも、
現代でいう公務員全般の仕事をする者がいた。
土地の測量や農地開発をしているものもいれば、事務経理の者もいるし、
裁判をする者もいる。地元の特産品の売り込みをする者までいろいろ。
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:12:12.65 ID:YW3nnlYVO
- 仕事内容は村を田を見て回る郷方組とか馬の世話をする馬廻組など色々。
ちなみに大体六十石以下は下級藩士。百五十以下位が中級藩士。
それ以上が上士って感じだったと。
小説の受け売りです
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:14:41.50 ID:OeV5wKzXO
- 俵一俵は60kgで一石は180kgじゃまいか?
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:17:09.58 ID:w6AK8hZVO
- 後一銭とか一両とかのお金の価値って今でいうとどれくらいなんですか?
- 67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:18:40.36 ID:YW3nnlYVO
- >>64
そうかも(;^ω^)
トン!
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:18:59.85 ID:+iK5tlcP0
- 1石は150kg=2俵半の米あるいはそれが取れる土地
昔の1俵は60kg
1石が一人が一年食うのに必要な量、というのが昔の感覚。
時代によるが大工で年収5石6石とかそんな世界。
1万石あれば大名クラス。
100万石の藩だと大国。
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:19:42.34 ID:wCWfltLMO
- 江戸幕府はアメリカでいう連邦政府みたいなもの。日本の国単位での政治をする
直轄地の江戸、大坂、京都や天領を支配し、財政は天領の租で賄ってる。
大名領の政治は幕府の政治方針に追従する。
旗本は将軍に仕える家臣。御家人と共に軍隊的な役割。
旗本知行地を与えられている。
御家人との違いは将軍に謁見できるところ。
こんな感じ?
- 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:20:52.15 ID:YW3nnlYVO
- >>66
確か一両は10万円位だったような。
銭は……?だれか教えて
- 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:23:59.37 ID:+iK5tlcP0
- 大工年収に関してはちょっと違ったかも。
信じないでくれ
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:24:44.33 ID:SDgcAacF0
- 1両が30〜40万円@武士の家計簿
- 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:25:59.32 ID:SDgcAacF0
- 銭1文は47.6円
- 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:27:00.24 ID:wCWfltLMO
- そういや大岡忠相は旗本だけど後に大名に格上げされたな。
関係無いけど
町奉行みたいな行政、司法をつかさどる役職にも旗本はつく。
寺社領の支配をした寺社奉行だけは普代大名だけど
- 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:28:27.39 ID:YW3nnlYVO
- 下級藩士はかなり厳しい生活をしてたらしいけど
たそがれせいべえとかによると内職とか当たり前
- 79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:31:24.31 ID:czb3Mu4pO
- 金の単位は当時の基準も不明、現在の価値の基準も不明なもんで誰も分からない
って歴史の教授が言ってた
- 81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:32:33.94 ID:OeV5wKzXO
- お金は徳川270年で物価変動があるから幕末だと一両=8万円くらいだっけ?
筆頭家老の石高は小藩(10万石以下)だと2000石くらい
100万石の加賀藩のような大藩だと3、4万石だった希ガス
- 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/15(土) 01:35:21.59 ID:+iK5tlcP0
- 金銭は相場によって変わる上に単位も複雑だ。
金1両を4分、1分を4朱ってな具合だったか。
また、金と銀はそれぞれ別の値動きをする。
銭は1貫文=1000文といった具合にまとめられる。
江戸初期は1両=4000文だった。
地方の貨幣である藩札も複雑だ。
まずい運営をした藩の藩札が10分の1に暴落したり、
逆にうまくやって利益を出した藩もある。
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