26 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:23:05.51 ID:wWrqVMh70

〜第8話〜



(*'A`)「そんでね、そんでね」


ドクは意気揚々と喋り続ける。
やはり、父が帰ってきた事は嬉しいのであろう。

ここ数日間で学んだ事や、体験したことを
本当に楽しそうにドクオに話していた。

27 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:25:29.10 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「そうか・・・もうそんなとこまで学んだのか」

(*'A`)「うん!ショボンさんもジョルジュさんも解り易く教えてくれるし
        ギコさんは・・・厳しいけどやっぱり操作は上手いし」

ノノ'A`)「はは、ギコか・・・あいつ、最初は雑で適当でどうしようも無かったんだがな」

(*'A`)「適当ってのは解る気がするよ」


食事を二人で取りながらドクはマシンガンのように喋り捲った。
そして、食べ終わった頃、ドクが重い口調で口を開いた。

28 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:26:39.37 ID:wWrqVMh70

('A`)「ねぇ父ちゃん」

ノノ'A`)「なんだ?」

('A`)「母ちゃんってどんな人だった?」


沈黙が続く


ノノ'A`)「・・・・誰に聞いた?」

(;'A`)「誰だっていいじゃんよ!ただ・・・聞いてみたくて」

ノノ'A`)「・・・・そうか・・・・・・。お前の母親の名前はクー」

('A`)「クー・・・」


ランキングで見たときに、名前は当然知っていた。
だが、ドクは初めて聞く名前のように繰り返す。


ノノ'A`)「そうだなぁ・・・俺なんて足元にも及ばないダイバーだった」

('A`)「へぇ〜」

29 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:28:18.53 ID:wWrqVMh70


・・
・・・



川 ゚ -゚)「ドクオ置いていくぞ」

(;'A`)「ま、待てって」


容姿端麗にして、スタイルもいい。
そして彼女もまた、1人で船を操るダイバーだった。

30 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:29:48.08 ID:wWrqVMh70

川 ゚ -゚)「レオパルトは本当に足が遅いな」

('A`)「るせーやい、お前のフォックスよりマシだ」

川 ゚ -゚)「言うじゃないか、ならば火星まで競争でもするか?」

('A`)「いい度胸だ、お前が負けたら俺のパートナーになれよ?」

川 ゚ -゚)「いいだろう、私が勝ったら、お前は私のパートナーだな」

('A`)「ほざけ!男が女の尻追ってられるか!ぶっちぎりで勝ってやるよ」

川 ゚ -゚)「ふふ言うが安しだ」


('A`)「レディ」




川 ゚ -゚)「ゴー!!」('A`)

31 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:32:24.66 ID:wWrqVMh70

ドクオは負けた。しかもぶっちぎりで。
ドクオ自身も負けることは分かっていた。

だが、この女なら、クーなら後ろに乗ってもいいかな。
とすら思っていた。

実際には約束は守らず、1人乗りを貫いたのだが・・・。


互いにNo1を争い
友情は信頼に形を変え、信頼は愛情へと変わって行った。

34 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:35:02.53 ID:wWrqVMh70

(#'A`)「ダメだ!ドクオ・スナオなんて語呂が悪い!
        スネオが独身貫いてるみてぇじゃねぇか」

川#゚ -゚)「クー・ニートだと!グーニーズじゃあるまいし!」

(*'A`)「クー・ニート。いいじゃねぇか、お前にぴったりで可愛らしい」

川 ///)「ばっ・・真顔で言うな」

(*'A`)「決まりだな!お腹の子もスナオは嫌だってよ」

川*゚ -゚)「この子はお前のようには絶対育てさせん!」

('A`)「お〜お〜、怖い怖い」



そして子供は産まれた。
名ダイバー2人の遺伝子を受け継いだ子。

出生率の悪さ、環境の悪さを跳ね除け誕生した子。
名前を『ドク』と名付けた。


35 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:36:21.78 ID:wWrqVMh70

・・・
・・



(*'A`)「父ちゃんは母ちゃんより遅かったんだねww」

ノノ#'A`)「ふん・・・回収ランキングは常に上を行ってたがな」

(;'A`)(出た、変なとこで負けず嫌い)「それでそれで?」


36 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:37:19.02 ID:wWrqVMh70


・・
・・・


川 ゚ -゚)「ドクオ、β星雲付近で政府の船が座礁(ここで言う隕石に追突)したらしい」

('A`)「あー、βは普通の乗り手がいける場所じゃねぇからな。
        通り名は『ダイバーの墓場』だし」


クーが意を決したように切り出す


川 ゚ -゚)「行って・・・みないか?」

37 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:38:51.53 ID:wWrqVMh70

(#'A`)「馬鹿野郎!あんなとこ自殺しに行くようなもんだ」

川 ゚ -゚)「だが・・・政府の船だ。回収すればランキング1位は間違いないぞ」

(#'A`)「ダメだダメだ。命あってのフライトだ、絶対にダメだ」

川 ゚ -゚)「そうか・・・」

(#'A`)「ドクだってまだ1歳だ、今は無茶してる場合じゃねぇだろ」

川 ゚ -゚)「そう・・・だよな。分かった、諦めよう」

('A`)「んとに・・・無茶通り越して無謀だぜ」

38 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:39:29.96 ID:wWrqVMh70







次の日、クーはコロニーから発艦した。







39 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:40:42.69 ID:wWrqVMh70

(#'A`)「あんの・・・・馬鹿やろぉぉぉぉぉぉぉ!」

('◎`)「きゃっきゃ」


(;'A`)「荒巻さん、済みません。ドクをちょっとだけ預かってくれませんか?」

,' 3 「どうした息を荒げて、別に構わんが?」

(;'A`)「すみません、ありがとうございます」

('◎`)「あ〜あ〜、きゃはは」

,' 3 「おほほ、元気な子だ」


41 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:42:02.81 ID:wWrqVMh70
   |
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(;'A`)「マザー、即発進するエンジン起動しろ」

マザーCP「エンジン起動、システムオールグリーン、発艦できます」

(;'A`)「レオパルト出るっ」


無音の暗闇へ機体が飛び込んで行く。


(;'A`)「マザー、フォックスと回線を繋げ」

マザーCP「回線7403、接続完了しました」

(;'A`)「クー聞こえるか!レオパレトだ」


「「ドク・・・オか・・・」」

42 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:45:02.19 ID:wWrqVMh70
(;'A`)「クー!今どこにいる!?」


ドク


「「すま・・・ない・・・ドクオの・・・言うとおり・・・だった」」


(;'A`)「馬鹿野郎!座標を言え!」


ドクン


「「ドクは・・・頼んだぞ・・・」」


(;'A`)「ダメだダメだ!俺1人じゃダメなんだ」


ドクンッ


「「ドク・・・オ・・・愛し・・・t」」


マザーCP「回線7403、強制遮断されました」


43 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:46:25.60 ID:wWrqVMh70

(;゚A゚)「うわぁぁぁぁぁぁ、マザー!β星雲へ向け進路をとれ」

マザーCP「β星雲、危険地域です、移動開始します。到着予定時刻は15時間後です」

(;゚A゚)「マザー!フォックスへ回線復旧させろ」

マザーCP「回線7403接続開始・・・・・・・・応答無、接続不能です」

(;゚A゚)「俺をパートナーにするんだろっ!俺が後ろから支えてやるからっ!
          頼むっ!返事をしてくれ!」

マザーCP「エンジン全開、β星雲危険地域へ向かいます」

(;゚A゚)「うおおおぉぉぉぉぉぉ」


44 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:47:41.93 ID:wWrqVMh70

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ドクオがコロニーに戻ってきたのは5日後。
機体は隕石との接触により、ボロボロになりながら、
燃料が尽きるギリギリ、満身創痍の生還だった。

ダイバー(回収者)としてドクオが回収してきたもの。
それは、フォックスの外装の切れ端だった。


ドクオが何故今も『外』を飛ぶのか。
それは他でもない、フォックスの本体の回収であり・・・





クーのクローン再生




のためだった

45 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:48:59.26 ID:wWrqVMh70
・・・
・・



ドクには、クローン再生の事は話さない。


('A`)「母ちゃんは・・・戻って来なかったんだね・・・?」

ノノ'A`)「あぁ、本体はまだこの宇宙を彷徨っているか、衝突で消滅したか・・・」

('A`)「・・・」

ノノ'A`)「どちらにせよ、生きてはいまい」

('A`)「・・・」


ドクは不思議と悲しくは無かった。
それより、ダイバーの墓場と言われるβ星雲へ
挑戦した母と、そこへ行き生還した父への尊敬の念が強かった。

46 :◆3m0SptlYn6:2007/01/03(水) 19:50:21.38 ID:wWrqVMh70

ノノ'A`)「・・・今日はもう遅い、明日もギコの手伝いに行くんだろ?」

('A`)「・・・うん・・・」

ノノ'A`)「なら、もう寝なさい」

('A`)「分かった・・・・・・・・父ちゃん?」

ノノ'A`)「ん?なんだ?」

('A`)「母ちゃんは・・・・俺のこと・・・その・・・」

ノノ'A`)「・・・・愛していたよ」

('A`)「・・・そっか・・・話してくれてありがとう」

ノノ'A`)「うむ、おやすみ」

('A`)「おやすみなさい」

第8話    〜完〜

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