4 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 22:56:41.99 ID:bYkjcXdeO
──…翌日。

ショボンは少し戸惑っていた。
何せ昨日の今日だ。もしかしたらブーンは今日も店を閉めてるかもしれない。
開いていたとしても、昨日の様な暗い雰囲気のままかもしれない。

それでも店に行かないという選択肢はショボンには無かった。


ショボンが店の近くまで来ると暖簾は上がっているため、店は一応開いていることに気付く。

入り口の前に立つと、迷いを振り払うように軽く頭を振ると扉を開ける。

(´・ω・`)「ブーン、いつもn」

(*'A`)「うめーwwwサボテン超うめーwwwww」

(*゚ー゚)「ドクオったら行儀悪いよー。ホラ、糸引いてるから」

( ^ω^)「しぃちゃんとドクオはホントに仲が良いおw」

(*゚ー゚)「もぅ、ブーン。しぃで良いって言ってるじゃないw」

( ^ω^)「おっおっwww把握したwww」

('A`)「ブーン照れてやんのwwwキメェEEEEEEeeeeewww」



店内のあまりに陽気な様子にショボンは言葉を失い、入り口に立ち尽くしてしまった。

7 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 22:59:25.37 ID:bYkjcXdeO
( ^ω^)「お。ショボンいらっしゃいだおー」

('A`)「お、何立ち尽くしてんだよ。外暑いんだからさっさと閉めろよ」

(´・ω・`)「…え?…あぁ…うん」

( ^ω^)「バーボン定食入るおー」

ショボンは呆気に取られたものの、取り敢えずいつもの席に座ろうとする…

と、そこにはしぃが座っていた。

(´・ω・`)「退きなよ、小娘」

(*゚ー゚)「あ?何語喋ってんだ、このホモ」

(;'A`)「あぁ…」

(;^ω^)「やっぱり…」

8 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:01:42.38 ID:bYkjcXdeO
今日でショボンとしぃが出会すのは3回目である。


初めて二人が顔を合わせた時は口喧嘩程度で済んだが、2回目に二人が出会した時、多数の食器とイスが2つ壊れた。
1回目と2回目のステップアップが激しさは説明するまでも無い。

2回目の時、ブーンとドクオはカウンター内の奥に避難し、震えながら終戦を待ったのだ。


(;'A`)「ま…まぁーまぁーまぁ!しぃ、落ち着け!!ショ、ショボンもこっちに座れ」

(#´・ω・`)「あぁ…折角の昼食が誰かさんのお陰で不味くならなきゃ良いんだがね…」

(#゚ー゚)「あー、アタシ食べ終わってて良かったー。
昼間からあんなアルコール臭いもん食べられたら気持ち悪くて吐いちゃうよ。
ってか食べてる奴が気持ち悪くて吐いちゃうけどねーwwwww」

(#´ ω `)「フフフ…w今日は暑いから、何処かにうるさい虫がいるみたいだね…w
おかしいなぁ…この店綺麗なのに、ハエかなぁ…www」

(;^ω^)(;'A`)「……」

(# ー )「ウフフ…w」

(#´ ω `)「フフフ…w」

9 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:03:16.51 ID:bYkjcXdeO
ブーンが震える手でバーボン定食を差し出すと、取り敢えずショボンは落ち着きを取り戻したようだ。
それを見て安堵するブーンとドクオ。

が、隣のしぃから流れて来る重苦しい空気に気付くと慌ててドクオはしぃのフォローに回った。



(´・ω・`)「ブーン、あー…その…大丈夫?」

( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)「ほら、昨日の今日だろ?
実はここに来るまで少し不安だったんだよ…もしかしたらって…」

('A`)「あぁ、俺も同じ気持ちでさぁ」

(*゚ー゚)「だからわざわざアタシを電話で呼び出したんだよねー?
「悪いけど付いて来てくんねぇ?」って。ドクオ可愛いよねw」

(´・ω・`)「……(ピクッ)」

10 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:04:43.88 ID:bYkjcXdeO
(;'A`)「煽るな、しぃッ!!(小声で)」

(;^ω^)「あう…もう決まってしまったものは仕方無いお。ぐじぐじして悩んでてもどうにもならないお。
だからブーンは今できることをやるだけだお」

(´・ω・`)「…偉いね」

('A`)「ブーンはやっぱこうでなきゃな。
焦げたサボテンステーキはもう勘弁だわw」

(*゚ー゚)「でもホント残念、こんな美味しいものが食べられなくなるなんて…」

( ^ω^)「仕方無いおw
今はこうやって皆が来て笑顔で食べてくれるだけてブーンは満足だお」

(´・ω・`)「お父さん、みたいだね…」

( ^ω^)「お?」


ショボンは小声でそう呟いたが、ブーンには聞こえなかったようだ。
味噌汁を一口啜ると「いや、何でもないw」と言った。

11 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:06:32.60 ID:bYkjcXdeO
('A`)「ブーン、じゃあこの店の後のこと考えてんの?」

( ^ω^)「何も考えて無いおw」

(´・ω・`)「そうなんだ…」

( ^ω^)「まぁギコさんも期間的にはまだ余裕がある、って言ってたし、ゆっくり考えれば良いお」

('A`)「だよな…まぁゆっくり考えろや」

(*゚ー゚)「まぁアタシの大切なドクオがこんなホモと毎日顔合わせないで済むようになるってところは嬉しいけどねw」

(#´・ω・`)「……(ピクッ)」

(*゚ー゚)「やっぱ、ドクオにそんな気は無いって分かってるんだけど、気持ち悪いし?ってか、気持ち悪いしーwww」

(#´ ω `)「フフフ…w小娘、今日こそ死にたいようだね…w」

(# ー )「あ?そりゃテメーだよw」

(;'A`)「お、お、お、落ち着け…落ち着けよ、二人共…」

(;^ω^)「そ、そ、そ、そ…そうだお…穏便に…穏便に…」


ショボンとしぃが立ち上がり、闘いの火蓋が切って落とされようとしたその時、店の扉が開いた。

12 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:08:01.92 ID:bYkjcXdeO
ξ゚听)ξ「失礼します、昨日のお返事を頂けるとのことでお伺いに上がりました…」


(;´・ω・`)(;'A`)(;゚ー゚)「あ…」

(;^ω^)「お…」

中に入って来たのはツンだった。
ツンの来訪は、店内の冷たい緊張感を一瞬にして打ち消した。
とは言え、また別の緊張感がブーン以外の3人の間に生まれたのだが…


( ^ω^)「お、いらっしゃいませだお。
あぁ、すみませんがそちらのテーブル席にかけてもらって構いませんかお?」

ブーンはツンに馴れ馴れしい対応をするわけでも無く、いつものブーンらしい対応をしていた。

(´・ω・`)「ブーン…」


だがショボンは気付いていた、ブーンの声が微かに震えているのを。

13 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:09:47.97 ID:bYkjcXdeO
( ^ω^)「それじゃちょっと暖簾下ろして来ますんで、待ってて下さいお」

ξ゚听)ξ「…分かりました」

ブーンはカウンターを出て、テーブル席のイスをゆっくり引くとツンはそれに促され、頭を軽く下げると着席した。

ブーンは一瞬複雑な表情を浮かべたが、次の瞬間にはいつもの笑顔に戻り、暖簾を下ろしに外に出て行った。


(*゚ー゚)「アレが噂の…」

('A`)「そ、長岡コンツェルンの女社員だ…」

(´・ω・`)「私利私欲のために懐を肥やし続ける会社の社員…か…」

(*゚ー゚)「…でも凄い美人だね」

3人は小声で店の奥の方に座るツンの顔を覗き見、愚痴をこぼしていた。

と、暖簾を抱えてブーンが外から戻って来る。

15 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:12:16.98 ID:bYkjcXdeO
( ^ω^)「お待たせしましたお、一応お茶ぐらいしか出せませんが、良かったらどうぞだおw」

ブーンはカウンターからお茶が入ったグラスを持って来ると、それをツンの前に置いた。

ξ゚听)ξ「あ、すいません。有難う御座います」
と他人行儀にお辞儀をするツンを見て、ブーンは胸が痛んだ。

ξ゚听)ξ「では早速お話させて頂きます…」

ツンは鞄からいくつかの書類を取り出すとブーンの目の前にそれらを広げる。

ξ゚听)ξ「ではこちらの書類の説明からさせて頂きます…」



('A`)「早くも立ち退きが現実化しちまってく感じだな…」

(´・ω・`)「確かに昨日の今日なのに、話が進むのが早いね…」

(*゚ー゚)「ドクオとこの店に来た時、何か電話してたっぽいけど…もしかして彼女に電話してたんじゃないかな…」

17 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:15:59.71 ID:bYkjcXdeO
遠巻きにブーンとツンのやり取りを見ている3人。

ショボンとドクオは気付いていた。
ブーンは笑顔でツンの話は聞いているが、その笑顔は何処か寂しそうで、今にも泣きそうな雰囲気も感じ取れる。

(´・ω・`)「やっぱり…悔しいよね…」

('A`)「あぁ…アイツに限らず、ここにはいろんな奴の思い出が詰まってんだからな…」

(´・ω・`)「でも…僕ら…何もできないんだよね…」

('A`)「…」


複雑な面持ちでタバコに火を点けるドクオを見て、不謹慎ながらもしぃは「ドクオ格好良い」と思っていた。

ショボンがしぃの瞳が輝き潤み、ドクオを見つめているのに気付くと、

(#´・ω・`)「…小娘、お前空気嫁、っつーか主観的になってまとめ嫁」

(#゚ー゚)「あ?っつーかアンタ前から前から小娘、小娘言ってっけどさ、テメー、ドクオとそんな年差無ぇんだろ?アタシゃな、こう見えて28なんだよ。
目上の人には敬語使えや。まー…テメーが日本人だったらの話だけどなwww」

19 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:18:31.28 ID:bYkjcXdeO
Σ(゚A゚;)「し…しぃ…!!」


ショボンはしぃのあまりの汚い口調にきょとんとしてしまったが、俯いたと思うと肩を震わせて笑い始めた…

(´ 三 `)「フフフ…w」

(#゚ー゚)「あ?何笑ってんだ、コイツ。気でも狂ったか?」

(´・ω・`)「フフフフフwwwいや、28だとは…ゴメンねwいや、ごめんなさいかwww」


あまりの雰囲気にブーンとツンがドクオ達の方に顔を向ける。

(;^ω^)「何だお…?」


(´・ω・`)「いや、あまりにも違和感があったもんでさwww」

ショボンは改めてしぃの姿を上から下まで舐めるように見ると、堪えきれない様にまた笑った。

21 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:21:54.64 ID:bYkjcXdeO
しぃのファッションは所々破れたタンクトップの上にレザージャケットを羽織り、下はチェックのミニスカートだった。
そしてドクオが隣で立っているとまんまパンクなカップルだった。

(´・ω・`)「改めて見ると…やっぱ無理あるよねwww」

(#゚ー゚)「…あ?」

(´・ω・`)「28でさ…うんwパンクファッション自体にケチ付けるわけじゃないんだけどさwww
肌露出し過ぎじゃない?wwwww」

(#゚ー゚)「アハハwww負け犬の遠吠えにしか聞こえないねぇw」

(´・ω・`)「フ…w君、よく見ると脚むくんでるねぇwww」

(#゚听)「な!!」

ショボンは再び鼻で嘲笑い、しぃの顔をまじまじと見ると、

(´・ω・`)「おやおや…小皺が見えますねぇ…化粧で誤魔化し切れてませんねwww」

22 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:23:55.33 ID:bYkjcXdeO
(#゚ー゚)「コ…コイツ…」

(´・ω・`)「あー…何かイキナリ加齢臭が漂って来たwww」

こういう時こそ、彼氏であるべきドクオが止めに入るとこだが、しぃとショボンがこうなってしまった以上、最早ドクオの手に負える範疇では無くなってしまった。
情けないがこうなると、ドクオは二人の怒りが静まるまで店の隅で震えているしかないのだ…


しばらく遠目で眺めていたブーンも、ようやく二人の周りを囲む空気の重苦しさから状況を把握する。
今はツンと大事な話している最中でもあるし、今回ばかりはどうにかそれを止めようと思ったが、時既に遅しであった。

ショボンとしぃ…二人が席を立ち、それぞれの手に身近な凶器が握られている。

それが二人の開戦の合図であった。

23 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:25:31.07 ID:bYkjcXdeO
(;'A`)「あぁぁ…今日は一体どれだけの物が壊れるんだ…」

Σ(゚A゚;)「ヒッ!!」

カウンター内で膝を抱え必死に身を隠すドクオのすぐ隣に、空のグラスが飛んで来ると、それはガシャッと音を立て割れる。


(;^ω^)「ツン、危ないお!!取り敢えず伏せるお!!」

ξ;゚听)ξ「え!?あ…あ…」

ツンはブーンに肩を抱かれ、二人はテーブルの下に身を隠す。

(;^ω^)「すまんお…あの二人はいつもあぁなんだお…」

ξ*゚听)ξ「……」

ショボン達の様子を用心しながら伺うブーンの横顔を、何とも言えない表情で盗み見るツン。
その口は何か言いたそうだが、下唇を強く噛み、自身でそれを制している。

24 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:27:10.73 ID:bYkjcXdeO
一向に収まる様子の無い二人の争いと、その間被害に遭わない様に必死で身を守るドクオ、そしてブーンとツン。

と、争いが起こる最中、一つの携帯が鳴った。


ξ;゚听)ξ「は…はい…」

鳴ったのはツンの携帯だった。
騒がしい店内の音を遮る様に、携帯を持つ左手に右手が添えられる。

ξ;゚听)ξ「あ…お、お疲れ様です!…只今、VIP食堂にお伺いさせてもらい話を進めていた最中なんですが…え…?」

(;^ω^)(誰と話してるんだお…?)


ツンは携帯を切り終えると、慌てた様にテーブルから出ようとする。

が、それもブーンに抑えられ、再び元の体勢に戻る。

(;^ω^)「何やってるお!今出たら確実にケガするお!!」

26 :◆YeHeE7t/qo :2006/06/30(金) 23:30:37.11 ID:bYkjcXdeO
ξ;゚听)ξ「あ…あの…実は、今近くに」

(#´・ω・`)「逝くが良い!!若作りババァめ!!1!」

(;^ω^)「え!?周りがうるさくて聞こえないお!!」

ξ;゚听)ξ「実は!…すぐ近くに…」

(#゚ー゚)「テメェのしょぼくれ顔、ミンチにしたらぁ!!11!」

ξ;゚听)ξ「近くに!!来てるんです!!!!」


ツンが大声を上げた瞬間、暖簾を下げたはずの食堂の扉が開く。

( ゚∀゚)「いやぁー、失礼します。私、長岡コンツェr」

その時、しぃが勢い良く投げた丼が、店に入って来たばかりのその男の顔にヒットした。

男の視界が一瞬にして暗くなるのと同時に唐突な痛みに襲われ、そのまま倒れて気絶した。

(;゚ー゚)(;´・ω・`)「あ…」

と、流石の二人も身を固めると、店の奥でツンが呟いた…


ξ;゚听)ξ「そこに来てるんです…会長が……」

倒れた男は鼻血を流し、白目を剥いて気絶していた。

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