- 72 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:11:10.71 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「改めまして、私が長岡コンツェルン代表のジョルジュ長岡と申します。
気軽にジョルジュと呼んで下さい」
ブーンが見た感じ、年齢的には30を過ぎた辺りだろうか…ジョルジュと名乗ったその男は両方の鼻孔にティッシュを詰めると、無駄に白い歯を輝かせ爽やかな笑顔で挨拶をした。
(;^ω^)「は…はぁ…」
('A`)「何か…」
(´・ω・`)「凄く…」
(*゚ー゚)「嘘っぽいよね…」
(;^ω^)「…」
ブーン達が疑うのも当然であった。
長岡コンツェルンといえば、世界規模の大企業である。
その長岡ブランドの名前を何かしら目にしてブーン達は毎日を過ごしている。
そんな大企業の代表がこんなイスや食器が散らかった小さな食堂にいるとは到底信じ難いのだ。
しかも、そんな男が鼻にティッシュを詰めてそこに座っている。
- 75 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:13:48.28 ID:OAkWC5uUO
- ξ゚听)ξ「今回のジョルジュヒルズプロジェクトに懸ける長岡の意気込みは生半可なものでは御座いません。
ですから、こうして土地をお譲り頂けるここら一帯一つ一つの家、会社、あらゆる店に長岡自身が挨拶に回っているのです」
( ゚∀゚)「そういうわけなんです、ハハハw」
(;^ω^)「そうなんですかぉ…」
( ゚∀゚)「えー…貴方が内藤さん、そしてそちらが…」
('A`)「…ドクオ…」
(´・ω・`)「…ショボンです」
(*゚ー゚)「しぃ」
しぃの自己紹介になるとジョルジュはその胸元を凝視していた。
しぃは巨乳である。
しかもタンクトップが今にもはち切れんばかりに張っている。
( ゚∀゚)「…お…」
ξ゚听)ξ「ゴホン!」
ツンが大きな咳払いをすると、何かを言いかけていたジョルジュは慌てて身を正した。
- 78 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:16:33.95 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「それで、ツン君何処までお話された?」
ξ゚听)ξ「はい、只今資料と併せて今後行われていく計画の詳細について説明させて頂いてました」
( ゚∀゚)「そうか…よし、それは今日はもう終わり」
ξ;゚听)ξ「え…」
( ゚∀゚)「聞けば昨日初めてお話に伺ったばかりだそうじゃないか…イキナリあれやこれやと説明されても、内藤さん側からしたら困るだろう?
だから今日はそこまで、また後日ということにして…」
ツンに向けられていたジョルジュの瞳がブーンに向けられる…前に、しぃの胸を一瞬盗み見たのをショボンは見逃さなかった。
(´・ω・`)(…コイツ…今…)
- 79 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:19:25.58 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「内藤さん」
(;^ω^)「ブーンで良いお」
( ゚∀゚)「じゃあ親しみを込めてブーン君と呼ばせてもらうよ」
男はそういうとまたあの笑顔でブーンに笑いかける。
(;^ω^)「……」
( ゚∀゚)「私のことを御存知ですか?」
(;^ω^)「長岡コンツェルンの名前を知らない方が少ないと思いますお…
銀行とか車とか…後、最近だと電化製品とかも長岡さんのとこの名前が目立つ感じがするお」
( ゚∀゚)「そうです、そうです。
それだけ知って頂いていると私も凄く嬉しいです。
長岡コンツェルンの総帥は私の祖父に当たりまして…私は3代目ということになります」
(;^ω^)「はぁ…」
( ゚∀゚)「ちなみに私、今年で38になります。まだ独身でして…w」
ジョルジュは言葉と同時にしぃの方に視線を向ける。
(;゚ー゚)(キモッ…こっち見た)
- 80 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:21:35.66 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「世間一般的には、私は御曹司だとか、ボンボンだとか、お坊ちゃんみたいな呼ばれ方をされてるんだろうが…私はそうじゃない」
('A`)「何処がか具体的に言えよ」
( ゚∀゚)「君良いねw私も若い頃はパンクにハマったもんだよ、えー…ピストルズやクラッシュとか」
('A`)「さっさと話してくんね?
おっさんとパンク議論してる程俺も暇じゃ無ぇんだ。この後バイトでな。」
( ゚∀゚)「そうか…残念だ。是非また機会があればゆっくりw
…まぁ世間のボンボンとか御曹司は金で上手いこと高学歴を手に入れて、引き継ぐと会社をダメにしてしまう、みたいなケースは少なくない。
私も若い頃は好きなものは何でも金で手に入れるクズだったよ」
- 84 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:28:40.49 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「ある時、私は急に周りの者全てが信じられなくなったんだ。結局私に寄って来る者は金目当て。信頼できる者など一人もいない。
こういうのを裕福貧乏とでも言うのかな?」
(*゚ー゚)「それで?」
( ゚∀゚)〇「…お…」
ξ゚听)ξ「ゴホン!!」
ツンが再び大きな咳払いをすると、ハッとしたようにジョルジュはツンに「申し訳無い」と微笑む。
( ゚∀゚)「それで、いつまでも大学を出てブラブラしているわけにも行かないし、セオリー通り自分の会社に入社したよ」
(´・ω・`)「でも貴方は一つではなく多くの会社を抱えているだ」
( ゚∀゚)「その通り。
私がまず入社したのは、うちの会社でも底辺に存在するような小さな会社だ。
身内と言えど、社会に出た限り、働くこと、金を稼ぐことの厳しさを知らなければならない。それがうちの父の躾方だったんだ」
- 85 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:30:15.05 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「遅い社会勉強とでも言うのかな…遊ぶだけ遊んで、ほとんど何の苦労も無く過ごして来た私にとって働くことは地獄だったよ」
('A`)「自分の会社だろ?周りも気ィ遣ってくれたはずだ」
( ゚∀゚)「と、思うだろ?それがもう全然なんだよw何せ偽名を使わされてたからねwww
「俺は長岡家の御曹司だ」と言っても誰も信じてくれない」
(*゚ー゚)「偽名とか嘘っぽいなぁ」
( ゚∀゚)「巨ny…お嬢さん、私は嘘は吐かないよ。そこまで汚い人間じゃないw
で、諦めて真面目に…何とか私なりに真面目に働き出したんだよ」
- 86 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:32:46.13 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「ある時、小さな商談があって、その担当を任されたんだ。今思えば本当に何でも無い小さな商談だったんだけどね。
…当時の私には大変だった。金がある以外全く取り柄も無く、礼儀も作法も知らないような私だ。
相手へ拙い説明をするのが精一杯だったよ」
( ^ω^)「…」
( ゚∀゚)「その商談が上手くいった時、私は泣いたよ。
この体一つで何かを成し遂げた達成感。
そしてそれを会社の人は笑顔で「よくやったな」と言ってくれる」
( ゚∀゚)「気が付けば私は、仕事に夢中になっていた。
そしてその中で、自分の働きで…それが例え一人だろうが二人だろうが、お客様方に笑顔を届けられる、ということにも気付いた」
( ^ω^)「…!」
- 87 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:34:16.60 ID:OAkWC5uUO
- ( ゚∀゚)「前置きが長くなったが、今回のこのプロジェクトは金云々の話では無い、もっとこの日本中の人笑顔を見たいがための一歩なんだ。
私は常に未来のことを考えると、多少の犠牲は仕方無いと思っている。
ブーン君、君には君が満足するまで何度でも詫びよう」
('A`)「コラコラ、何か正論述べてる様に聞こえるけどよ、結局h」
ドクオが席を立ち上がろうとするのを無言で制するブーン。
ドクオは舌打ちをすると渋々席に座った。
( ^ω^)「よく分かったお。ジョルジュさんの意気込みも、アナタがどういう人かも。
今日はアナタとお話ができて本当に良かったおw」
- 88 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:35:53.36 ID:OAkWC5uUO
- ──…
ジョルジュとツンが店を出て行くのを見送り、ブーンは何も言わず散らかって汚くなった食堂内の片付けにかかる。
('A`)「おぃ、ブーン。何で止めたんだよ」
( ^ω^)「あの人が言ってた…お客さんの笑顔っていうのはブーンもよく分かるお。
ここが潰れて、ビルが建つことで数え切れない程の人が笑ってくれるなら…それはブーンにとっても嬉しいことだおw」
('A`)「チッ…それは違うと思うけどな…
俺ァ気分悪ぃからもう行くぜ、しぃ」
(*゚ー゚)「あ、うん。
…ブーン、ゴメンね。またいっぱい壊しちゃって…あの…請求書」
( ^ω^)「気にしなくて良いお」
しぃが「ゴメン」と謝るジェスチャーをすると、ドクオ達は店から出て行った。
- 89 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:38:08.71 ID:OAkWC5uUO
- (´・ω・`)「すまなかったね…」
( ^ω^)「まぁ…良いお…」
(´・ω・`)「僕も正直ドクオの言うことに賛成かな。
確かにここが無くなった後に出来たビルを見て喜ぶ人は大勢いるだろうけど、ここが無くなって悲しむ人もいるんだよ」
( ^ω^)「…」
(´・ω・`)「もっとワガママ言ったり、悪足掻きしても良いと思うよ。人間なんだし」
そういうと、ショボンはブーンの手を握り「また来るね」と微笑みかけると店を出て行った。
(;^ω^)「……」
ブーンが掌を開くと、そこには店の修理費には余裕で事足りる程の金額が書かれた小切手があった。
- 90 :◆YeHeE7t/qo:2006/07/01(土) 03:39:48.97 ID:OAkWC5uUO
- 何処から見ても高級そうなその車の車内は、夏間近な外の暑さとは裏腹に、ひんやりとした居心地の良い空間が広がっていた。
( ゚∀゚)「随分素直に仕事をこなしてたようだね?」
ξ゚听)ξ「え…」
( ゚∀゚)「君にあそこ一帯の担当を任せた時、あの食堂だけはエラく嫌がってたじゃないか」
ξ゚听)ξ「…そうでしたか?」
( ゚∀゚)「…まぁ良いさ…何かあるんだろうが、君の個人的な部分には立ち入らないよ。
良いおっぱいも見れたから私は満足だ。
さて次は何処に行くんだい?」
ξ゚听)ξ「…次は…」
車はスピードを上げ、ビジネス街の中へと消えて行った。
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