5 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:09:19.93 ID:pC/xy7ca0

『この日記を書き始めて、もう3年になろうとしている。
 思い返せば、あの事件からある程度時間が経ち、書き始めたこの日記だ。
 最初の頃は、感情が入り混じり、駄文という駄文であった。
 まあ、日記であるから故、許される物だろう。
 ただ、私はその3年で何を得ることができたか?そう問われれば、明確な答えは、
 言語化して、口に出す事はできないだろう。そう。多すぎたのだ。学びすぎたのだ。
 この3年は、現象を調べる為に、人生を費やしてきた。この研究をしていくにつれ、
 私は多角にわたる視点を持つことが出来た。色々な立場からの目、色々な人たちの目だ』


『私は、この心を持つ思念の塊を、tanasinnと呼ぶ事にする。
 それは、tanasinn自らが、tanasinnと名乗る故の事。
 己が名乗るのであるから、それに間違いはあるまい』



('A`)にはノルマがあるようです 第7話 『死には至らない気分は、どうだい?』

6 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:11:16.33 ID:pC/xy7ca0

ただ一人残されたジョルジュは、その日記を読み返していた。
7年前から、約4年間、毎日書き連ねられていたので、冊数は5冊にもわたる。
筆者の徒然な心象から、その日に食べた晩御飯の献立まで、色々な事がそこに記録されている。

そして、重要なのが、tanasinnに対しての記述。
日記は、この人物によって、ナイトウ財閥による大型遊戯施設建設計画失敗の後に書かれている。
おそらく、最初に起こったと思われる、あの白骨化死体事件に感化されて書き出されたのであろう。

しかしそこには、あたかもtanasinnを"飼っているかのような"記述。
そう、それはドクオとは違い、意図的にtanasinnを呼び出し、研究をしているように思えた。

(;゚∀゚)「……うーん。ねえぞどこにも……」

それ故に、tanasinnに"やられた"場合の記述など無かった。
パラパラと、ジョルジュはその日記の2冊目を捲っていく。

日々の徒然とした文と、tanasinnに対する研究文のギャップに混乱しながら。

8 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:13:19.66 ID:pC/xy7ca0

時は戻り、一週間前。

現実を否定したドクオ、そしてミセリを連れ、
イトウ内科へと着いたモララーを迎えていたのは、女が二人。

ペニサス。
ノルノ。

('、`*川「で、その女の子が助かる代わりに、その男の子がやられちゃったって訳なのね?」
(;・∀・)「……そうだ」

ミセ;*゚ー゚)リ「お願いします!!ドクオさんを……助けて下さい!!!」

('、`*川「とにかく、その状態では何とも言えないわ。とりあえず診察室まで着てちょうだい。
     ノルノ。カプセルを起動させておいて。内空気成分濃度は低めに設定しておいてね」

ノル゚-゚ノ「はい。わかりましたドクター」

スタスタと、ミセリは診療室の奥へと入っていった。

そしてペニサスに連れられ、診察室、ベッドが二つほど置いてあり、
カーテンで仕切られている部屋へと案内された。

ドクオを寝かせると、モララーはペニサスに、この異常の詳しい状況を説明する。
ミセリは、事情を詳しく飲み込めていない為、ドクオの手を握り、静かに俯いていた。

9 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:15:52.02 ID:pC/xy7ca0

('、`*川「tanasinnと言われても、あなたが協力するまで詳しくは教えない。
     なんて言うんだもの、私にもよくわからない、ってのが正直な話ね。
     tanasinnを、意思を持ち、精神内のみに生息する存在と仮定しても、謎が多すぎるわ」

カルテに、モララーから聞いた事、その話から判明した事を事細かに書き込んでいく。
モララーは、ばつが悪そうな顔をしたまま、話を続けるしかなかった。

消毒液のような、診療所独特の臭いが鼻をつく。
だが、先程までのあの空間と比べれば、幾分かマシではあった。

(;・∀・)「それは、悪かったと思っている。
     だけどよ、大っぴらにされると行動しにくいんだ。わかってくれるだろ?」

('、`*川「まあ、それはそうね。とりあえず、仮だけど処置をするから、終わったら詳しく教えなさい。
     これは、本人がどうこうしないと解決し無さそうだけどね。ミイラ取りがミイラに〜って訳じゃ無さそうだわ」

ドクオの傍へと近寄り、パイプ椅子に座るペニサス。
すると、上着を脱がし、背骨の辺りを触診し始めた。

11 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:18:14.08 ID:pC/xy7ca0

('、`*川「……。じゃあ、これ血管に打ち込むわよ?いいわね?」

太い注射器。
その中には、青緑色をした、どろどろとした液体が入っていた。
少し不安げな顔をするモララーを見て、くすりと笑いながらペニサスは言う。

('、`*川「ま、信用するにはまだ早すぎるものね。
      これはパニタストリンって名前の精神安定剤の一種。
      直接打ち込むタイプのね。もちろん非合法。
      体にどんな害悪が起きても責任はとらないわ」

(;・∀・)「だ、大丈夫なのかよ……」
ミセ;*゚ー゚)リ「……」

('、`*川「このパニタストリンってのはね、
     重度鬱病患者に服用される事がある精神安定剤なんだけど、
     精神内の浄化作用を持っているの。まあ、その副作用から敬遠されているんだけどね。
     そこはまあ非合法って所でお察しちょうだい?」

(;・∀・)「ちょ、ちょっと待った。その副作用とか詳しく教えてくんねぇか?
      何回言ったかわからねえが、そいつ、ドクオは俺達のキーマンだ。
      死んでもらう訳にもいかねえし、死んでもらいたくもねえ」

12 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:19:24.39 ID:pC/xy7ca0

……そう。
最初は、ただtanasinnの親を持っているから、そうだから接触した。
それだけだった。
だが、どうにもいけねぇ。

俺の中には、十分と言えるほど、情があった。
それは、ジョルジュや、ツン達に向けられるそれと同じ。
温かいものだ。

俺の中の『俺達』の中に、ドクオは含まれているのかもしれない。
冷静に徹して、一つ壁を置いて。

……それが、正しいと思ってたんだ。

('、`*川「副作用は、一時的な筋硬直。
     まあ、キツすぎるのよ、この薬はね。
     人間の体で受け止めきれない程の成分が入ってるんだから」

(;・∀・)「……」
ミセ;*゚ー゚)リ「お、お兄ちゃん。どうするの?」

14 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:21:46.75 ID:pC/xy7ca0

少しかかった前髪を、両手で上に捲くり上げ、その場に座り込み考える。
だが、考えている時間も、選べる手段も無い。

このままこのパニタストリンを打たずに放置しても、いつかはtanasinnに食われ、
あの塵を噴出し白骨化して死んでしまうだろう。それは揺るがない。

なら――。

(;・∀・)「……頼む」
('、`*川「わかったわ。じゃあ、ちょっと両手両足押さえててちょうだい」

言われるがままに、モララーが両足。ミセリが両腕を押さえる。
そして、針の先端のカバーを取り外すと、1,2滴ほど出して確認した。

そこにあるのは、風邪の頃、熱冷ましにと、打たれたあの注射ではなく、
ストローから出るゼリーのような、感じの悪い物であった。

針の先端を斜めに向け、ドクオの白い腕に浮き上がっている青白い血管にプスリと突き刺した。
徐々に、内容物をドクオの体に注いでいく。

15 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:24:44.96 ID:pC/xy7ca0

体内に入り込んだパニタストリンは、時間をかけて、脳内物質にその効力を働きかける。
その対象の脳内物質というのが、脳内のとある空間に影響を与える物。

ペニサスは、tanasinnという物が、その脳内のとある空間、所謂"虚空空間"に、
誰もが持つ夢の部分に巣食うと考えた。

夢を喰うという表現は間違っているが、その存在はバクのような物。
ユメクイという人間が作る虚像が生み出した、架空の存在。虚構の存在。

それに見立てて、ペニサスは仮定を打ち立てた。
モララーから、tanasinnの話を聞いて。


それも、ものの数分で。


('、`*川「さあ。あなたの頭の中をお掃除しましょうね〜」

ペニサスは、間の抜けた声、どこか色っぽさを持ち合わせた声でドクオの耳元でそっと囁く。
そしてノルノを呼ぶと、そのままベッドを移動させて、奥へと向かう。
二人は、ペニサスの後ろを付いていく。カラカラと音を立てるベッドの車輪が、静かな診療所に響いた。

16 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:26:31.28 ID:pC/xy7ca0

相変わらず、ドクオの体に動きは見られない。
少し古ぼけた診療所に似つかない、大き目のエレベーターが目に入ってきた。
そこへベッドを入れ、ペニサスはモララー達に手招きをする。

('、`*川「ミセリちゃんを救える装置ってのは、この下にあるの」

下を指差し、ペニサスは言う。
ミセリは少し険しい顔をし、エレベーター全体をゆっくりと見回した。
階層の番号は、地上が1階。地下が3階の構成。
という事は、地下に大きな施設が広がっているのだろうか?

多少ながら勘繰るミセリに気付いたのか。

('、`*川「地下にはね、私の父と母が、遺伝子学研究をしていた研究施設が広がっているの。
     潰すのも勿体無いから、ずっとそのままなのよね。私が使ってるのは一室だけ」

エレベーターが、下へと移動を始める。
少しの重力に身を取られながら、地下へと進んでいった。
1階層、1階層が大きいのか。
通常のビルの3階層下へ行くのとは、また違った感覚であった。

エレベーターのドアが開く。

すると、少し間を置いて、鼻をつく、何かの芳香。
爽やかな香りが、地下に広がっていた。

17 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:28:26.63 ID:pC/xy7ca0

( ・∀・)「……なんだこの臭い。柑橘系?オレンジか何かか?」
('、`*川「あら。よくおわかりね、食いしん坊さん?」

(;・∀・)「そんなにムシャムシャ食べるもんでもねえだろ……」

車輪の音と、足音が、地下に響く。
無機物の空間は、外より肌寒く感じられ、その暗さが、より一層それを引き立てていた。
なぜだろう。

どこか、ゾウリ総合ビルのあの地下室とも似ている。
tanasinnと関係のある者は、地下に惹かれるものなのだろうか。

それとも、暗闇に、どこか安息を覚えているのだろうか。
そう、モララーは考えていると、眼前に、カードキーが着いた、大きいドアが一つ現れた。

ノルノが暗証番号を打ち、カードを通すと、赤く光るランプが緑色に変わった。

ノル゚-゚ノ「ドクター。キーをお渡しします」
('、`*川「はい、ご苦労様」

ピンク色のナース服が、光に触れて少し輝いた。

その先に見えたのは、大きな、大きなグレープフルーツの樹。
人工的に当てられた光が、それを生育させているのであろう。
屋根を突き破り、二階層に及んでいた。その樹には、元気な色をした、花弁があり、実もなっていた。

先程の香りは、このグレープフルーツの果実が放つ香りだったようだ。

18 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:29:49.42 ID:pC/xy7ca0

ミセ*゚ー゚)リ「うわぁ……」

その光景に、ミセリとモララーはちょっとした感動を覚えた。
地下に埋められた、グレープフルーツの樹。

そして、その根元には、何かのフィルムがかけられているスポットライト。
足元の違った感触に気付く。
そこには、新緑の色をした、芝生が敷き詰められているように、所狭しと群生していたのだ。

地上よりも、地上らしい。
その空間が、二人を、いい意味で翻弄する。

('、`*川「ほら、ここの説明は後よ。モララーちゃん。ドクオちゃんを持ってちょうだい」
(;・∀・)「お、おぉ。何だよこれ……」

肩から担ぐかのようにして、ドクオの体を背負う。
動かない人間というのは、やはり重い。

その広い一室の右奥。
樹の恩恵を受けているように、苔をその身に宿らせたカプセルがそこにはあった。

20 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:31:11.04 ID:pC/xy7ca0

機種名?だろうか……。
名前がこう記されていた。

『BOON』

('、`*川「さ、カプセルを起動するから、その中にドクオちゃんを入れてね」
( ・∀・)「ああ」

それにしても、よく似ていた。
あのゾウリ総合ビルにあった、機械と。

炭酸が混じったペットボトルのキャップを開けた時の様な、
心地の良い空気の抜ける音がして、カプセルは大きく口を開く。

そこへ、ドクオを椅子に座らせるかのようにして入れると、手首足首を、ベルトで固定した。

ミセ*゚ー゚)リ「なんでこんなに厳重にドクオさんの体を?」
('、`*川「あら。あなたもされてたんでしょう?だからしたんだけど、よくなかったかしら?」

tanasinnを持つ者の体から、tanasinnが出る際、その対象の精神に、大きな衝撃が走る。
その衝撃は、対象を追いかけるようにして続く。連綿とした衝撃。
逃げるようにして、対象は暴れるのだ。
なので、ミセリの体は、液体と共に雁字搦めにされていた。

ミセリの場合、特殊配合された溶液により、
体の劣化を防がれていた事もあり、tanasinnの力は奥底に眠っていたようであるが。

ミセ*゚ー゚)リ「い、いえ…」

22 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:36:22.51 ID:pC/xy7ca0

('、`*川「私の推測では、あなた達が言うtanasinn。
     それは、精神世界に巣食う寄生虫の様な物だと思うの。
     いや、もっと難しい存在なのかもしれない。それに、にわかに信じがたいしね。
     だから、私が考えた、最善の方法。それは、ドクオちゃんに、そのtanasinnを直接押さえ込ませる事」

( ・∀・)「……そんな事が出来るのか?」

ペニサスの理屈はこうだ。
元の人間というのは、少なからず多元の自分を持っている。
それは、嬉しいときの自分や、悲しいときの自分といったものではなく、ふと気付く、新たな自分という事だ。
そこに、tanasinnは巣を張る。先程の虚空空間。夢を見る部分に巣を張り、精神世界を侵食していくのだ。
まるで癌細胞のように、脳の色々な部分に転移、又は逃避すると考えた。

人間は、夜に眠る。
眠るという事は、夢を見るという事に近しい。
その夢が、tanasinnの餌になる。

そして、tanasinnの空腹を満たせば、それは準備の完了という意味をもち、
塵を噴出し、成体となって人間の目の前に姿を現す。

という仮定ながらの結論を出した。

('、`*川「だから、さっき打ったパニタストリンはね、精神の浄化作用があるって言ったでしょ?
     もし、そのtanasinnが、人間の精神世界に巣を作るとすれば、効果があるはず。
     だから、ドクオちゃん本人に委ねることになるのはしょうがないんだけど、
     弱ったtanasinnと、真っ向勝負してもらおうと思ったの」

24 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:39:48.48 ID:pC/xy7ca0

ミセ;*゚ー゚)リ「ま、真っ向勝負……って」

('、`*川「ああ。そんな拳と拳の語り合い!!なんてものじゃないから安心してね。
      まあ、精神世界なんだから痛くも無いんだろうけど……」

( ・∀・)「で、このカプセルは何の意味が?」

('、`*川「このカプセルはね、虚空空間に、その多元の自分との、会話ができるようにする物よ。
     父と母が研究していた遺伝子学。その副産物かしら?
     子供の頃は、これがすごいものだなんて思ったことが無かったけど、まさかこんな形で役に立つなんてね」

そう言って、少し古い型のキーボードを淡々と弾いていく。
ノルノも、その隣で、脳波を採取しているようだ。
何もすることが無い、いや、何も出来る事が無い状況に、モララーはどうすればいいかわからなかった。

( ・∀・)「そ、それでよ。その効果はいつになれば現れるんだ?一時間くらいか?」

('、`*川「さあ。それはわからないわ。言ったでしょ?ドクオちゃんに委ねることになる、って。
     ドクオちゃんが、tanasinnと向き合おうとしない限り、一年でも、十年でも掛かるわ。
     それはもう、5秒だって有り得ない事も無い訳だしね」

( ・∀・)「……そうなのか。じゃあ、俺は戻って、この状況を報告してこなきゃなんねぇ。
      ドクオを任せるような形になるのは申し訳ねぇが……」

('、`*川「ええ。いいわ、気にしないで」

( ・∀・)「じゃあミセリ、一旦帰るぞ」

ミセ*゚ー゚)リ「イヤ」

25 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:40:23.31 ID:pC/xy7ca0

……二文字で返されてしまった。
やっぱり、最近は物事がうまくはこばねぇ。

(;・∀・)「いや、何言ってんだよミセリ」
ミセ*゚ー゚)リ「私、ドクオさんの傍にいる」

('、`*川「あらあら。うちは別に構わないわよ?」

本当、うまくいかねぇ。
厄年でもなんでもねんだけどな。

(;・∀・)「……そうなら、まあ勝手にしろ。ただ、危ない事はすんなよ!!」
ミセ*゚ー゚)リ「うん!何かあったら、すぐに連絡する!!」


――――
―――
――

そして、動きの無いままの一週間。
八つ当たりをしないように、しないようにと自制を心がけていた。
だが、募る苛立ち。

停滞は、人を焦らすことばかりで、何も恩恵をもたらさないからだ。
俺は嫌った、それを。

27 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:41:40.59 ID:pC/xy7ca0

( ・∀・)「……何もできねぇって、どういう事だよ」

一人車内で、愚痴を漏らす。
何も出来ない自分、だから、何もしない自分。
それは、同義。

そして、己の存在価値の欠如を指す。
自分がいなくていい世の中なんて有り得ない。
自分がいて、何か一つの歯車になることが、俺の存在意義。

人間として、生きる糧になる。
そういうところが、ドクオと似ているのかもしれない。

( ・∀・)「……」

あいつは、周りに必要とされていなかった。
今も、中でそう思っているんだろう。
自分ではなくて、自分の中にいるtanasinnに頼っているんだろう、って。
でも、そうじゃねんだよ。

ミセリは、tanasinnだけじゃ救えなかった。
ドクオの犠牲があって助かったんだよ。
ドクオのtanasinnじゃなくて、ドクオ自身に。

28 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:42:37.14 ID:pC/xy7ca0
悔しいけどよ。
あの抱擁が無きゃ、ミセリも駄目だったと思う。

悔しいけどよ……。

車が、滑らかなカーブを走っているその頃。
ミセリが見つめるドクオの中で、何かが始まろうとしていた。
それは、新たな自分との対面。

('A`)『あんたが……。tanasinn』

何も無い世界に咲いた、紫のグレープフルーツの花弁。

( ∵A∵)『……』


精神世界の中で、己との戦いが始まる。
それは、短くも長い時間。
もう一人の己と向き合う、時間。

('A`)『気付いたんだ。誰にも相手にされない世界。そんなものより、一人の方が辛いって』
( ∵A∵)『……』

('A`)『……表に、帰ろう』



('A`)にはノルマがあるようです 第7話『死には至らない、気分はどうだい?』 完


補足等


30 :◆Cy/9gwA.RE:2007/10/23(火) 09:44:59.37 ID:pC/xy7ca0

――※――

グレープフルーツ(学名:Citrus X paradisi)は亜熱帯を原産とする柑橘類である。
グレープフルーツは様々な種類があるが、その色で呼び分けるのが一般的である。

グレープフルーツ(特にジュース)は様々な医薬品と干渉し、意図しない効果を生み出すことがある。
これはグレープフルーツに解毒酵素のシトクロムP450を阻害する成分が含まれているため、
医薬品の代謝が阻害されることによる。特にカルシウム拮抗剤という系統の高血圧治療薬に、
グレープフルーツの影響を強く受けるものがあることがよく知られている。

このほかに風邪薬でも主作用、副作用ともに効果が効き過ぎることがある。

グレープフルーツの種からは抗菌成分が抽出できる。

※Wikipediaより



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